説明

ダントロレン治療剤の送達を改善するための、共溶媒組成物および方法

本発明は、低い溶解性をもつ薬剤の製造および処方物において、tert−ブチルアルコール(TBA)共溶媒システムを使用する方法を提供する。また、本発明は、新規な共溶媒システムを用いて作製される薬学的組成物を提供する。一実施形態において、本発明は静脈内へ投与(DS−IV)するためのダントロレンナトリウム(DS)処方物の製造方法を提供する。凍結乾燥されたDS−IV製品を瞬時に再構成できるので、手術中に悪性の高熱症を被った患者の薬物治療を著しく改善する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、US仮出願番号第60/978,626(出願日:2007年10月9日)に優先権を主張し、当該US仮出願の全体が、あらゆる目的のために参考として本明細書中に援用される。
【0002】
〔本発明の分野〕
本発明は、概して、溶解性が増大した薬剤の製造および処方物のための共溶媒システム(co-solvent system)に関する。また、本発明は、低い溶解性を有する薬剤の製造および処方物において、tert−ブチルアルコール(TBA)共溶媒システムを使用する方法を提供する。本発明は、新規の共溶媒システムを用いて製造される薬学的組成物を提供する。一実施形態では、静脈注射に使用するためのダントロレン処方物の製造方法を提供する。結果的に得られた製品は、ダントロレン製品を迅速に再構成(reconstitution)することができ、当該ダントロレン製品は、手術中に悪性の高熱症(malignant hyperthermia)を被った患者の薬物療法を著しく改善させる。
【0003】
〔本発明の背景〕
米国特許第3,415,821には、ダントロレンナトリウム(1−[[5−(p−ニトロフェニル)フルフリリデン]−アミノ]ヒダントインナトリウム塩)が記載されており、当該文献の全文は、参照により本明細書中に含まれる。当該物質は、特に上部神経細胞の疾患(upper neuron disorders)によって生じる痙攣を制御するための骨格筋弛緩薬として使用される(Physicians' Desk Reference, 36th Edition, 1982)。また、当該物質は、ヒトの悪性の高熱症の予防および治療にも使用される(Friesen et al., Can. Anaesth. Soc. J. 26:319-321, 1979)。
【0004】
体温上昇時にダントロレンナトリウムを使用すると、当該体温上昇に伴って生じる不整脈が消失することがわかっている[Salata et al., Effects of Dantrolene Sodium on the Electrophysiological Properties of Canine Cardiac Purkinje Fibers, J. Pharmacol. Exp. Ther. 220(l): 157-166 (Jan.) 1982]。当該文献の全文は、参照により本明細書中に含まれる。ダントロレンナトリウムは、米国特許第4,543,359に記載されているように低体温の温血動物および正常体温の温血動物に対する強心抗不整脈薬として有効であり、当該文献の全文は、参照により本明細書中に含まれる。
【0005】
また、ダントロレンナトリウムは、低体温の温血動物および正常体温の温血動物における不整脈を予防または緩和することが知られている。特に、ダントロレンナトリウムは、上室性頻拍症の治療、梗塞組織における反応遅延の抑制、これらの組織が原因で生じる心室期外収縮または頻脈の除去、および、回帰性頻拍による心室調律障害に対して有効である。
【0006】
悪性の高熱症が確認された1960年では、当該疾患の死亡率は約80%であった。治療は、患者を冷やすこと、および特定の病状を治療することのみであり、根本的な原因を治療するものではなかった。1979年以来、解毒剤であるダントロレンナトリウムが悪性の高熱症の治療に利用できるようになり、死亡率の低下に大きく寄与した。治療の成功のためには、早期に病状を特定して、治療を行う必要がある。
【0007】
注射用のダントロレンナトリウムは、乾燥粉末として提供されており、それを注射前に滅菌水に溶解させる必要がある。一般的には、約16〜約20mgの活性な薬を得るために十分な量の粉末を小型のガラス製容器内に入れた形態にて、ダントロレンナトリウムが供給される。
【0008】
悪性の高熱症の殆どの症例が、はじめは2.5〜4.0mg/kgのダントロレンに反応するが、発症を制御するためにさらに多くのダントロレンを必要とする患者もいる。加えて、治療後の数日間は、再発の可能性がある。最後に、悪性の高熱症の発症後少なくとも48時間は、4時間毎に約1mg/kg投与し続ける必要があるので、アメリカ合衆国悪性高熱症協会(MHAUS)は、36バイアルをストックしておくことを推奨している。
【0009】
薬学的に活性な成分(API)(DS)は、水性媒体中で徐々に加水分解される。当該分解は、pH値が高いと加速し、温度の上昇に伴って増大する。したがって、最終産物(DS−IV)を生成している間は、上記条件を出来る限り避ける必要がある。
【0010】
DSは水に不溶性であるので、そのpKa値よりもずっと高いpHにてDSを溶解させる必要がある。その処方物に必要な比較的高いpHの結果、a)DSのアルカリ加水分解(効力の喪失)、および、b)バイアルへの注入(バイアルへの充填)時における、当該溶液の二酸化炭素に対する感受性、が生じる。大気中の二酸化炭素(CO)は、充填されたバイアルのアルカリ性の内容物(例えばNaOH)と相互作用すると考えられ、その結果当該溶液のpH値が低下し、DS処方物における不要な効果が生じる可能性がある。したがって、上記2つの現象により、薬剤を処方する工程においてDS(API)の溶解を行う必要があるとともに、凍結乾燥前の溶液のバイアルへの注入は迅速に行う必要がある。
【0011】
実用に十分な安定性を保ちながら、薬剤の処方においてより高い溶解性を有するダントロレンナトリウム処方物が強く必要とされている。
【0012】
本発明は、(a)DS−IV処方物の凍結時間(b)その凍結乾燥時間、および(c)DS凍結乾燥製品の再構成時間、を短縮させる新たな有機溶媒/水 共溶媒(organic solvent/water co-solvent)システムの使用を開示する。より速いDS−IV製品の再構成は、手術中の悪性の高熱症(MH)によって危篤状態にある患者の治療において、大きな薬物療法的な利点を提供する。平均して、これらの患者には約2.5〜約10mg/kg−患者体重からなる9〜10バイアルのDS−IV製品を、迅速に静脈内注射する必要があり、約60mLの滅菌蒸留水を用いてそれぞれ再構成する必要がある(例えば、Merck Manual, 18th Edition, 2006参照)。多くの場合、使用されるDS−IVバイアルの数は約10〜20個であるが、それ以上のこともある。最大36バイアルのDS−IVを必要としたMH症例が記録されている。発症から30分以内などの短時間にMHによって死亡する症例があることを鑑みれば、必要とされる10〜36バイアルを再構成する時間の長さ(各約1〜3分間)は、極めて重要な課題である。
【0013】
有機共溶媒システムは、広範囲の有機溶媒を含む(例:tert−ブチルアルコール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセトン、酢酸メチル、メタノール、四塩化炭素、ジメチルスフホキシド、クロロブタノール、シクロヘキサン、または酢酸)。
【0014】
CaverjectTM(Alprostadil)(Pfizer)の処方物は、TBA−水 溶液を凍結乾燥して得られた市販されている滅菌注入剤の一例である。表1は、共溶媒システムを用いた凍結乾燥された調製物の様々な例を表す。
【0015】
【表1】

【0016】
〔本発明の概要〕
本発明は、概して、溶解度が上昇した薬剤の製造および処方物のための共溶媒システムに関する。また、本発明は、共溶媒システムを用いて薬剤を凍結乾燥する方法に関する。
【0017】
さらに、本発明は、低い溶解度を有する薬剤の製造および処方物にtert−ブチルアルコール(TBA)共溶媒システムを用いる方法を提供する。また、本発明は、新たな共溶媒システムを用いて製造される薬学的組成物を提供する。
【0018】
一実施形態では、本発明は、静脈内使用(DS−IV)のためのダントロレンナトリウム(DS)処方物を製造する方法を提供する。上記したように、実質的に即時にDS−IV製品を再構成することによって、手術中に悪性の高熱症を被った患者の薬物療法が著しく改善される。一実施形態では、30秒間以内に、実質的に完全に溶解する。一実施形態では、約10〜約20秒間以内に、実質的に完全に溶解する。
【0019】
一実施形態では、本発明は下記3つの主なステップを含むDS−IV製品の製造を提供する。
【0020】
1.アルカリ性のpHにて、薬学的に活性な成分(API)であるダントロレンナトリウムを生成するステップ、
2.共溶媒を加えてDS溶液を作製し、凍結乾燥される溶液を含むバイアルを充填(溶液を充填)するステップ、
3.DS溶液を凍結サイクルにかけて、凍結乾燥された滅菌DS−IV製品を作製するステップ。
【0021】
本発明は、ダントロレンナトリウム、ダントロレンナトリウムの安定した薬学的組成物(特に、凍結乾燥されたダントロレンナトリウム)、および様々な病状(特に、神経疾患、悪性の高熱症、またはその他高熱を伴う病状)の治療における使用を目的とする。
【0022】
本発明の実施形態は、本明細書中に記載されているように、凍結乾燥されたダントロレンナトリウムの薬学的組成物を再構成した後に微量の有機溶媒を含む、ダントロレンナトリウムの薬学的組成物である。
【0023】
本発明の別の実施形態は、再構成した後に約0.001%〜約0.3%のダントロレンナトリウムを含む、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥された処方物である。本発明の別の実施形態は、再構成した後に約0.01%〜約0.1%のダントロレンナトリウムを含む、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥された処方物である。本発明の更に別の実施形態は、再構成した後に約0.015%〜約0.05%のダントロレンナトリウムを含む、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥された処方物である。
【0024】
本発明の好適な形態では、剤形は、約5〜約50mgのダントロレンナトリウム、約10〜約30mgのダントロレンナトリウム、約10mg〜約20mgのダントロレンナトリウム、または約20mgのダントロレンナトリウムであってもよい。
【0025】
本発明の更なる実施形態は、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥された処方物を含む医薬剤形であって、上記凍結乾燥された処方物は、約0.05%〜約1%以下、好適には0.6%〜約0.7%以下のDS−IV(w/w)のダントロレンナトリウムを含む。特定の実施形態では、剤形は、約5〜約720mgのダントロレンナトリウム、約10〜約300mgのダントロレンナトリウム、約10〜約100mgのダントロレンナトリウム、または約12mg〜約22mgのダントロレンナトリウムであってもよい。
【0026】
更なる別の実施形態では、本発明は、ダントロレンナトリウムの薬学的組成物であって、当該明細書に記載されているように、上記薬学的組成物は、凍結乾燥されたダントロレンナトリウムの薬学的組成物を再構成した後で約5%以下の1種類以上の有機溶媒を含むダントロレンナトリウムを有する。
【0027】
本発明の別の形態では、有機溶媒は、第3級ブタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸エチル、炭酸ジメチル、アセトニトリル、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1−ペンタノール、酢酸メチル、四塩化炭素、ジメチルスルホキシド、ヘキサフルオロアセトン、クロロブタノール、ジメチルスルホン、酢酸、およびシクロヘキサンのうちの1つ以上から選択される。
【0028】
特定の実施形態では、有機溶媒は、エチルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールのうちの1つ以上を含む。別の実施形態では、有機溶媒は、第3級ブタノール、TBAとしても知られるt−ブタノール、tert−ブチルアルコール、または第3級ブチルアルコールであるか、または、これらと1つ以上のさらなる溶媒との組み合せである。別の実施形態では、有機溶媒は、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、95、98、99%以上(v/v)のアルコールおよび1つ以上のさらなる溶媒を含む。別の実施形態では、有機溶媒は、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、95、98、99%以上(v/v)のブタノールおよび1つ以上のさらなる溶媒を含む。別の実施形態では、有機溶媒は、少なくとも30%(v/v)の第3級ブタノールおよび1つ以上のさらなる溶媒を含む。
【0029】
本発明の別の実施形態は、最終製品中のダントロレンナトリウムの粒径の制御を含む、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥された調製物を製造するためのプロセスである。
【0030】
本発明の別の実施形態は、1つ以上の有機溶媒を有する凍結乾燥前のダントロレンナトリウム溶液または分散液であり、当該溶液または分散液は、凍結乾燥によって作製されたダントロレンナトリウム製品の迅速な再構成が可能となるように、少なくとも1つの安定化濃度の有機溶媒を含む。一実施形態では、ダントロレンナトリウム製品は、キャリアキャリア中において、約10、8、5、4、3、2、または1分以内に、実質的に再構成可能である。別の実施形態では、ダントロレンナトリウム製品は、キャリアキャリア中において、約30秒間以内に実質的に再構成可能である。別の実施形態では、ダントロレンナトリウム製品は、キャリアキャリア中において、約20秒間以内に実質的に再構成可能である。別の実施形態では、ダントロレンナトリウム製品は、キャリアキャリア中において、約10〜20秒間以内に実質的に再構成可能である。
【0031】
本発明の形態は、凍結乾燥前の溶液または分散液から作製された凍結乾燥された粉末である。
【0032】
本発明は、約1%〜約99.9%の安定化濃度のアルコール溶媒(凍結乾燥前の溶液を形成するアルコールV/V)にダントロレンナトリウムを溶解させること、および、凍結乾燥前の溶液を凍結乾燥すること、を含むダントロレンナトリウムの凍結乾燥された調製物を調製するための方法であって、当該方法によって作製されたダントロレンナトリウムの凍結乾燥された調製物は賦形剤を含む。
【0033】
別のアルコール濃度は、約1〜約99%、約1〜約70%、約2〜約60%、約3〜約50%、約2〜約40%、約2〜約35%である。好適なアルコール濃度は、約2〜約30%である。
【0034】
一実施形態では、アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、および第3級ブタノールのうちの1つ以上を含む。別の実施形態では、アルコールは、第3級ブタノール(第3級ブチルアルコール、すなわちTBA)である。一実施形態では、第3級ブタノールの濃度は、約0.5〜約30%である。他の実施形態では、第3級ブタノールの濃度は、約1〜約20%である。別の実施形態では、第3級ブタノールの濃度は、約2〜約10%である。当該実施形態の特徴は、凍結乾燥前に賦形剤を添加することである。一実施形態では、賦形剤は、マンニトール、水酸化ナトリウム(NaOH)、またはこれらの混合物である。
【0035】
一実施形態では、凍結乾燥前のダントロレンナトリウムの濃度は、約0.1mg/mL〜約50mg/mLである。別の実施形態では、凍結乾燥前のダントロレンナトリウムの濃度は、約0.2mg/mL〜約10mg/mLである。別の実施形態では、凍結乾燥前のダントロレンナトリウムの濃度は、約0.2mg/mL〜約5mg/mLである。さらなる別の実施形態では、凍結乾燥前のダントロレンナトリウムの濃度は、約0.2mg/mL〜約1mg/mLである。
【0036】
本発明の一実施形態では、a)水と約1〜99%(v/v)の有機共溶媒を含む有機共溶媒溶液との溶液中にダントロレンナトリウムを溶解させて、凍結乾燥前の溶液を作製するステップと、b)凍結乾燥前の溶液を凍結乾燥させるステップと、を含むダントロレンナトリウムの凍結乾燥された調製物の調製方法を提供する。
【0037】
別の実施形態では、凍結乾燥前の溶液の凍結乾燥は、
i)凍結溶液を形成できる温度にまで、凍結乾燥前の溶液を冷却するステップ;
ii)溶液を実質的に凍結させる時間、凍結溶液が形成できる温度にて凍結溶液を保つステップ;
iii)第一乾燥温度にまで、凍結溶液を引き上げるステップ;
iv)凍結乾燥製品を実質的に形成するのに十分な時間、第一乾燥温度を保つステップ;
v)凍結溶液を第二乾燥温度にまで引き上げる、任意のステップ:および、
vi)乾燥したダントロレンナトリウムの凍結乾燥された調製物を形成するのに十分な時間、第二乾燥温度に保つ、任意のステップ、を含む。
【0038】
本発明の別の実施形態では、a)約1〜約99%(v/v)の有機共溶媒の水溶液中にダントロレンナトリウムを溶解させて、凍結乾燥前の溶液を形成するステップと、b)凍結乾燥前の溶液を凍結乾燥させるステップと、を含む安定かつ凍結乾燥されたダントロレンナトリウムの処方物を提供する。
【0039】
別の実施形態では、凍結乾燥前の溶液の凍結乾燥は、
i)溶液を実質的に凍結させるのに十分な時間、約−20℃以下の温度にて凍結乾燥前の溶液を凍結させるステップ;ii)約−60℃〜約30℃の乾燥温度にて凍結溶液を乾燥させて、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥された調製物を作製するステップを含む。
【0040】
別の実施形態では、凍結乾燥前の溶液の凍結乾燥は、
i)溶液を実質的に凍結させるのに十分な時間、約−40℃以下の温度にて凍結乾燥前の溶液を凍結させるステップ;ii)約1〜約100時間、約−50℃〜約30℃の乾燥温度にて凍結溶液を乾燥させて、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥された調製物を作製するステップを含む。
【0041】
別の実施形態では、凍結乾燥前の溶液の凍結乾燥は、
i)約−40℃未満の温度にて凍結乾燥前の溶液を凍結させて凍結溶液を作製するステップ;ii)少なくとも2時間、−40℃以下の温度下にて凍結した溶液を保つステップ;iii)約−40℃〜約30℃の第一乾燥温度にまで凍結溶液を上昇させて、乾燥溶液を作製するステップ;iv)約10〜約70時間保持するステップ;v)約20℃〜約40℃の第二乾燥温度にまで乾燥溶液を上昇させるステップ;および、vii)約5〜約40時間保持して、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥された調製物を作製するステップを含む。
【0042】
別の実施形態では、凍結乾燥サイクルは、約0℃〜30℃、約5℃〜25℃、約5℃〜15℃である積み込み棚の温度にて、凍結乾燥前の溶液を乾燥させることから始まる。
【0043】
別の実施形態では、凍結乾燥サイクルは、シールされた薬学的に許容可能な容器内に、約0℃〜約30℃、約5℃〜約25℃、約5℃〜約15℃の温度にて取り出すことによって終了する。
【0044】
別の実施形態では、凍結乾燥サイクルでは、第一乾燥における圧力が約50〜約200ミクロン、約50〜約150ミクロン、約100〜約150ミクロンであり、第二乾燥における圧力が約50〜約200ミクロン、約50〜約150ミクロン、約100〜約150ミクロンである。
【0045】
本発明の別の実施形態は、本明細書に開示されたダントロレンナトリウムの凍結乾燥された調製物の調製方法によって得られる凍結乾燥された粉末または調製物である。
【0046】
本発明は、賦形剤および安定化濃度の有機溶媒を含む、凍結乾燥のためのダントロレンナトリウムの処方物を含む。一実施形態では、有機溶媒は、アルカリをさらに含む。一実施形態では、凍結乾燥前の溶液は、約1〜約1000mg/mLの賦形剤を含む。別の実施形態では、凍結乾燥前の溶液は、約1〜約500mg/mLの賦形剤を含む。別の実施形態では、凍結乾燥前の溶液は、約10〜約100mg/mLの賦形剤を含む。ある処方物は、約0.01〜約15mg/mLの濃度のダントロレンナトリウム、約1〜200mg/mLの濃度のマンニトール、約1〜約50%(v/v)の濃度の第3級ブチルアルコール、および水を含む。別の処方物は、約0.05〜約5mg/mLの濃度のダントロレンナトリウム、約8.0〜約100mg/mLの濃度のマンニトール、約1〜約30%(v/v)の濃度の第3級ブチルアルコール、および水を含む。上記本発明の実施形態には、当該ダントロレンナトリウム処方物などから作製された、凍結乾燥された調製物が含まれる。
【0047】
本発明は、薬学的組成物を用いた治療に寛容な病状の場合に、本発明に係る臨床的に有効な量の薬学的組成物の投与を含む、患者の病状の治療方法を含む。
【0048】
本発明は、薬学的組成物を用いた治療に寛容な病状の場合に、本明細書に規定されたように、本発明に係る臨床的に有効な量の薬学的組成物の投与を含む、患者の病状の治療のための薬剤の製造における、本発明に係る薬学的組成物または薬学的な調製物の使用を含む。
【0049】
本発明は、本発明の薬学的組成物が、1つ以上のさらなる活性因子との組み合せであって、当該さらなる活性因子が、本発明の薬学的組成物よりも前、同時、または後に投与される治療方法をも含む。
【0050】
また、本発明は、剤形がバイアルまたは他の薬学的に許容可能な容器を有する、ダントロレンの医薬剤形を含む。ダントロレンナトリウムの好適な濃度は、約1〜約500mg/容器、約5〜50mg/容器、約5〜約20mg/容器、または、約10〜約20mg/容器である。
【0051】
また、本発明は凍結乾燥前のダントロレンナトリウムの薬学的組成物を含む。一実施形態では、凍結乾燥前の組成物は、ダントロレンナトリウム、マンニトール、第3級ブチルアルコール、水酸化ナトリウム、および水を含む。
【0052】
一実施形態では、本発明に使用可能な活性な薬学的組成物は、ダントロレン、アミノダントロレン、アズモレン、および塩およびその混合物を含む。一実施形態では、活性な薬学的組成物は、ダントロレンナトリウム、31/2O、アズモレンナトリウム、2HO、およびアミノダントロレンナトリウムである。
【0053】
これらの方法では、単独投与、または1つ以上のさらなる活性因子と組み合わせた投与おいて、本発明の組成物を使用してもよい。当該組み合わせた治療は、単独の剤形による治療剤の投与、あるいは、同時または異なる時間に投与される複数の剤形による治療剤の投与を含む。
【0054】
別の実施形態では、活性な薬学的組成物は、一般的な麻酔剤;睡眠薬/鎮静剤/抗不安薬;抗癲癇薬;解熱剤/鎮痛剤/抗炎症薬;興奮薬/覚醒薬;抗パーキンソン病薬;向精神薬/向神経薬;中枢神経抑制薬;局所麻酔薬;骨格筋弛緩薬;自律神経薬;鎮痙薬;抗眩暈薬;感覚器薬(sense organ drugs);強心剤;抗不整脈薬;利尿薬;抗圧薬;血管収縮薬;血管拡張剤;心臓脈管薬;呼吸促進薬;鎮咳薬;去痰薬;気管支拡張薬;抗下痢薬/整腸剤;消化性潰瘍薬;健胃薬/消化薬;便秘薬/浣腸薬;利胆薬;胃腸薬;甲状腺ホルモン薬/副甲状腺ホルモン薬;同化ステロイド薬;コルチコイド薬;男性ホルモン薬;エストロゲン薬/プロゲスチン薬;ホルモン薬;尿路薬;分娩促進薬;ビタミン;止血剤;抗凝血剤;肝疾患治療薬;解毒剤;痛風治療薬;抗糖尿病薬;代謝薬;抗癌剤;抗アレルギー剤;抗生物質;サルファ剤;抗結核薬;抗ハンセン菌薬;合成抗菌剤;抗ウイルス薬;化学療法薬;駆虫薬;および麻酔薬から選択される少なくとも1つの薬を含む。
【0055】
別の実施形態では、活性な薬学的組成物は、アデニンヌクレオシド、ヌクレオチド、アミノ酸、マンニトール、ビタミンC、グルタチオン、ビタミンE、マグネシウム、ダントロレン、コルチコステロイド、プロマジン、ニコリン、21−アミノステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、カルシウム拮抗薬;およびK−ATPチャネル開口薬から選択される少なくとも1つのさらなる因子をさらに含む高張液である。
【0056】
本発明のこれらおよび他の実施形態は、以下に説明するか、または当業者にとっては下記の説明を参照すれば明らかなものである。
【0057】
本発明の要約は、本発明の各実施形態または各実施例を説明する意図はない。本発明の利点、目的およびより完全な理解は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な説明および請求項を読むことによって明白になる。
【0058】
〔図面の簡単な説明〕
請求項に規定される本発明は、下記図面を参照するとよりよく理解できる。
【0059】
図1は、冷却および共溶媒を添加する薬剤の製造方法の概略図である。図面は、TBA−水 共溶媒システムを用いて急速に再構成される、凍結乾燥DS−IV製品を調製するための工程を示す。下記のように、混合および冷却を行う。50℃にてpHを10.1〜10.3にさせるために十分なNaOHを含むマンニトール水溶液(WFI)に、DS(API)を加える。50℃にて20分間混合する。当該ステップの後、TBAを加える際に25℃にまで冷却する。
【0060】
例示された実施形態に関する下記の説明において、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照し、本発明を実施し得る様々な実施形態を例示する。本発明の範囲を逸脱することなく、他の実施形態を利用してもよく、さらに、構造的および機能的変形を行ってもよい。
【0061】
〔本発明の詳細な説明〕
本方法および組成物を記載する前に、本発明は、記載された特定の方法、装置、処方物および組成物に限定されるものではなく、当然のことながら変更されてもよいことを理解されたい。また、本明細書において使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明の範囲を限定する意図はなく、添付の請求項によってのみ限定されることを理解されたい。
【0062】
本明細書および添付の請求項において、定冠詞「1つ(a,an)」および不定冠詞「the」は、特に指定のない限りは、複数の指示対象を含む。
【0063】
特に指定のない限りは、本願に使用する全ての専門用語・技術用語は、当業者の通常の理解と同じ意味をもつ。本明細書に記載されたものと同様または同等のあらゆる方法および材料を本発明の実施または検査に用いることができるが、好適な方法、装置および材料をここに記載する。本明細書に記載された全ての参考文献、刊行物、特許、特許出願および市販材料は、本発明に関連して使用される可能性のある文献に報告された細胞株、ベクター、および方法を説明および開示することを含む全ての目的のために、参考として本明細書中に援用される。本明細書に記載されたものについては全て、先行発明による開示を理由として本発明に先行するという許可を与えるものではない。
【0064】
当該用語の範囲を含み、明細書および請求項の明確かつ一貫性のある理解を助けるために、下記定義を記す。
【0065】
明細書は、薬学的に活性な成分(API)、ダントロレンナトリウム(DS)、ダントロレンナトリウム静脈内注射(DS−IV)、安全食品認定(GRAS)、水酸化カリウム(KOH)、悪性の高熱症(MH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、第3級ブチルアルコール、t−ブタノール、第3級ブタノール、tert−ブチルアルコール(TBA)、および米国薬局方(USP)という省略形を示す。
【0066】
本明細書において、薬学的に活性な化合物の「投与」という用語は、(特に非経口での)注射、静脈内注射、坐薬、または経口投与による全身に対する使用(systemic use)を含む。本発明においては、静脈内注射が特に好適である。
【0067】
「改善する」または「改善」は、治療を受けた患者において、疾病の有害な影響または重症度が低減されることを指し、当業者に周知の方法によって反応の重症度が決定される。
【0068】
本明細書において「適合性がある」とは、本発明の組成物の成分が、通常の使用条件下にて、薬学的に活性な化合物の活性が実質的に低減するように相互作用することなく、混合できることを意図する。
【0069】
「有効量」または「薬学的な有効量」とは、毒性はないが、所望の生物学的結果を得るのに十分な薬剤の量を意図する。当該有効量は、例えば神経疾患、悪性の高熱症などの疾患の兆候、病状または原因の低減および/または軽減をもたらす、または生体システムのあらゆる所望の変化をもたらす。当該量を以下に記す。当業者が、従来の実験を用いて個々の症例における適切な「有効」な量を決定してもよい。
【0070】
本願において、「賦形剤」とは、薬学的に活性な成分(API)を処方物に構成するために使用される物質を意図する。好適には、賦形剤は治療上効果のないものである。「賦形剤」という用語は、キャリアキャリア、希釈剤、媒体(vehicle)、可溶化剤、安定剤、充填剤、酸性または塩基性pH調整剤および結合剤を含む。また、賦形剤は、製造工程中に間接的または意図せず生じた、薬学的な処方物中に存在する物質であり得る。好適には、賦形剤は、ヒトおよび動物への投与について安全であると承認または検討されているもの、すなわちGRAS(安全食品認定)物質である。GRAS物質は、食品医薬品局による連邦規制基準21CFR182、および21CFR184に示されており、参照により本明細書中に含まれる。一実施形態では、賦形剤は、マンニトールなどを含むヘキシトール(hexitols)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、またはその混合物を含むが、これに限定されない。
【0071】
本明細書において、「処方する」という用語は、哺乳類の患者、好適にはヒトへの投与に適した形状でのダントロレンなどの薬剤の調製を意図する。従って、「処方物」は、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、または、キャリアキャリアおよびpH調整剤などの添加を含む。
【0072】
本明細書において、「凍結乾燥された粉末」または「凍結乾燥された調製物」は、凍結乾燥、すなわち水溶液の凍結乾燥によって得られるあらゆる固形材料を指す。水溶液は、非水性溶媒を含んでいてもよい。すなわち、水溶液は、水性溶媒および1つ以上の非水性溶媒からなる。一実施形態では、凍結乾燥された調製物は、水性溶媒および非水性溶媒からなる溶液を凍結乾燥することによって得られる固形材料である。一実施形態では、非水性溶媒は、アルコールである。ある特定の実施形態では、非水性溶媒は、少なくともブタノールを含む。ある特定の実施形態では、非水性溶媒は、少なくともtert−ブチルアルコールを含む。
【0073】
「有機溶媒」という用語は、有機材料を指し、通常、他の物質を溶解させることができる液体である。本明細書において、「微量の有機溶媒」は、例えばICHガイドラインにて推奨(International Conference on Harmonization, Impurities--Guidelines for Residual Solvents. Q3C. Federal Register. 1997; 62(247):67377)されているような薬剤の推奨レベルと同等またはそれ未満の量の溶媒を意図する。下限値は、検出可能な最小量である。
【0074】
「薬学的に許容可能な」または「薬理学的に許容可能な」は、生物学的ではない、または不要な材料を意図する。すなわち、不要な生物学的効果をもたらさずに、または、当該材料を含む組成物中のいずれかの成分と有害に相互作用をせずに、材料を個人に投与してもよいものである。
【0075】
本明細書において、「薬学的に許容可能なキャリアキャリア」とは、無毒でほぼ不活性であり、活性成分の機能に悪影響を及ぼさない材料である。薬学的に許容可能なキャリアキャリアの例は周知であり、当該キャリアは希釈剤、賦形剤と称される。キャリアは実質上有機または無機であってもよい。現在の凍結乾燥された処方物の設計において存在する薬学的に許容可能な例は、ゼラチン、乳糖、でんぷん、ココアバター、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、アカシアガム、アルギン酸塩、セルロース、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリビニルピロリジン(PVP)、または他の一般的に使用される薬剤キャリアである。一実施形態では、薬剤キャリアは、マンニトールを含む。さらに、処方物は、水酸化ナトリウム(NaOH)などのpH調整剤、香料、着色料、増粘剤またはゲル化剤、乳化剤、湿潤剤、緩衝剤、安定剤などの賦形剤、または抗酸化物質などの保存料をそれぞれ少量含んでいてもよい。
【0076】
「生物学的pH」または「生物学的範囲内のpH」とは、約7.2〜8.0の範囲内であり、特に約7.2〜7.6の範囲内である。
【0077】
本明細書において、「薬学的組成物」という用語は、ヒトへの投与に適した条件下にて作製された組成物を意図する。すなわち、GMP条件下にて作製され、限定するものではないが、安定剤、NaOHなどのpH調整剤、充填剤、緩衝剤、キャリア、希釈剤、溶媒(vehicle)、可溶化剤または結合剤などの薬学的に許容可能な賦形剤を含む。本発明の薬学的組成物は、限定するものではないが、凍結乾燥前の溶液、分散液、および凍結乾燥された調製物を再構成して注射または導入(infusion)の準備が整った液体を含む。
【0078】
本明細書において、「医薬剤形」は、容器内にあるとともに、1服以上の投与量、代表的には1〜2服、1〜3服、1〜4服、1〜5服、1〜6服、1〜10服または約1〜20服の投与量の再構成および投与に適した量の、本願に開示された薬学的組成物を意図する。好適には、本明細書に使用される「医薬剤形」は、容器内にあるとともに、1服以上の投与量、代表的には1〜2服、1〜3服、1〜4服、1〜5服、1〜6服、1〜10服、約1〜20服または約1〜30服の投与量の再構成および運搬(delivery)に適した量の、本願に開示された凍結乾燥された薬学的組成物を意図する。医薬剤形は、バイアルまたは注射器または他の適した薬学的に許容可能な容器を有する。注射用または注入用に適した医薬剤形は、滅菌注射液または注入液または分散液の即時調整に適した活性成分を含む滅菌水溶液または分散液、あるいは滅菌粉末を含む。全ての場合において、最終的な剤形は滅菌状態でなければならず、USP要件の範囲内において、内毒素および微粒子を含まず、製造および保存条件下にて液状および安定状態である。液状キャリアまたは賦形剤は、例えば、水;エタノール、グリセロール、プロピレングリコールまたは液体ポリエチレングリコールなどのポリオール;植物性油脂;無毒性グリセリルエステル;およびそれらの適した混合物を含む溶媒または液分散媒体である。例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどの様々な抗菌剤、および抗真菌剤を用いて、微生物の増殖を防止することができる。
【0079】
「安定な薬学的組成物」とは、薬剤としての活性を備えるために十分な安定性を有する、あらゆる薬学的組成物を意図する。保存寿命または保存期限は、活性成分が90%純度未満に低下するときである。本発明のために、安定な薬学的組成物は、本願に記載した特定の範囲内の薬学的組成物の参照を含む。
【0080】
本明細書において、「被験者」は、哺乳類および非哺乳類を含む。哺乳類の例は、限定するものではないが、ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、ならびに他の類人猿および猿;牛、馬、羊、ヤギ、豚などの家畜;ウサギ、犬および猫などのペット;げっ歯類を含む、ラット、ハツカネズミ、モルモットなどの実験動物;および同様のものなどのあらゆる種類の哺乳類を含む。非哺乳類の例は、限定するものではないが、鳥、魚などを含む。当該用語は、特定の年齢または性を表すものではない。
【0081】
本明細書において、疾患の「治療」とは、疾病の予防、すなわち、罹患する可能性がある、または罹患しやすいが、疾患に罹患していない、または病状を示していない被験者の疾患の臨床上の病状を予防すること;疾病の抑制、すなわち、高熱を抑えるなどして疾病またはその臨床上の病状の進行を抑制すること;あるいは、疾患の緩和、すなわち、疾患またはその臨床上の病状の退行を図ることを含む。
【0082】
本願において、「バイアル」という用語は、剛性または可撓性のあらゆる壁に囲まれた容器を意図する。
【0083】
〔概要〕
本発明は、活性な薬剤から調製される、薬学的に許容可能であるとともに安定な組成物を提供する。特に、本発明は、生理緩衝液または生理食塩水による再構成のときに、低い溶解性を示す活性な薬剤を凍結乾燥するための処方を提供する。本発明によって作製された処方物から得られた凍結乾燥された粉末は、より容易に再構成される。
【0084】
また、本発明は、ダントロレンから調製される、薬学的に許容可能であるとともに安定な組成物を提供する。特に、本発明は、ダントロレンナトリウムを凍結乾燥するための処方物を提供する。上記処方物によって得られた凍結乾燥された粉末は、現在入手可能なダントロレンの凍結乾燥された粉末よりも再構成が容易である。
【0085】
一実施形態では、本発明に使用され得る活性な薬剤には、ダントロレン、アミノダントロレン、アズモレン、ならびに塩およびそれらの混合物が含まれる。一実施形態では、活性な薬学的組成物は、ダントロレンナトリウム、31/2O、アズモレンナトリウム、2HO、およびアミノダントロレンナトリウムである。
【0086】
本発明は更に、様々な病状、特に神経疾患および悪性の高熱症の治療に有効なダントロレンの処方物を提供する。本明細書に記載された処方物は、単独で投与されてもよいし、または少なくとも1つのさらなる活性因子と混合して投与されてもよい。
【0087】
本発明の別の形態は、凍結乾燥再構成工程中にダントロレンナトリウムの溶解性を高めるための条件および手段である。
【0088】
本明細書に記載しているように、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥された処方物は、水中の有機溶媒を除去して得られる。当該処方物を調製するために使用される溶媒の代表例は、アルコールである。一実施形態では、アルコールはブタノールである。別の実施形態では、アルコールは第3級ブタノール(TBA)である。他の有機溶媒は、エタノール、n−プロパノール、n‐ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、炭酸ジメチル、アセトニトリル、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、1−ペンタノール、酢酸メチル、メタノール、四塩化炭素、ジメチルスルホキシド、ヘキサフルオロアセトン、クロロブタノール、ジメチルスルホン、酢酸、シクロヘキサンである。前述した溶媒は、単独または混合して使用されてもよい。有効な溶媒は、ダントロレンナトリウムが安定である溶液を形成する必要があり、化学反応を起こす、または感知できるほど分解する、またはAPIを不活性化させるものであってはならない。選択された溶媒中でのダントロレンナトリウムの溶解性は、商業的に利用可能な薬剤の濃度を溶媒中に形成することができる程度に、十分に高い必要がある。さらに、溶媒は、凍結乾燥または真空乾燥を介して薬剤の水分散液または溶液を容易に除去できるものである必要がある。ある実施形態では、約1〜80mg/mLの濃度の溶液、他の実施形態では、約0.05〜10mg/mLの濃度の溶液、他の実施形態では、約0.1〜3.5mg/mLの濃度の溶液が使用される。
【0089】
薬学的に許容可能な凍結乾燥賦形剤は、処方工程中に水相に溶解し得る。本発明に有効な賦形剤の例は、限定するものではないが、リン酸ナトリウム若しくはリン酸カリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、グリシン、または、糖質(例えば、ラクトース、スクロース、マルトース、グリセリン、デキストロース、デキストラン、トレハロースまたはヘタスターチなど)である。必要に応じて使用してもよい他の賦形剤は、限定するものではないが、アスコルビン酸、アセチルシステイン、システイン、亜硫酸水素ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン若しくはαトコフェノール酢酸エステルなどの抗酸化物質、または、キレート剤およびpH調整剤である。
【0090】
本発明において有効な代表的な処方サイクルおよび凍結乾燥サイクルについて後述する。凍結乾燥または真空乾燥に使用される標準的な装置を用いて、凍結乾燥を実施することができる。充填/仕上げ(fill / finish)に使用する装置および機器に応じて、サイクルは変更されてもよい。
【0091】
本発明の代表的な実施形態によれば、まず、薬学的に許容可能な配合容器内にて凍結乾燥前の水溶液または分散液を処方する。滅菌状態にて溶液を滅菌容器内へ濾過して注入し、適した大きさのバイアルの中に充填し、部分的に栓をし、凍結乾燥機に入れる。
【0092】
一実施形態では、本明細書に記載された凍結乾燥技術を用いて、水分含有量が約0.01〜約8.0%になるまで、溶液を凍結乾燥させる。結果的に得られた凍結乾燥された粉末は、注射用蒸留水または他の適したキャリアを用いて容易に再構成することが可能であって、例えば、注射剤などの内部投与に適したダントロレンナトリウムの液体状の処方物が得られる。静脈内投与のためには、再構成した液体状の処方物、すなわち薬学的組成物は、溶液であることが好ましい。
【0093】
一実施形態では、凍結乾燥前の溶液を凍結乾燥する方法は、
i)凍結乾燥前の溶液を約30℃未満、好適には約−40℃未満の温度にまで冷却して、凍結した溶液を形成するステップ;
ii)凍結した溶液を−30℃未満、または−40℃未満、より好適には−50℃未満にて少なくとも1時間、好適には少なくとも2時間、さらに好適には2〜4時間、保持するステップ;
iii)凍結した溶液を−約45℃〜約20℃の範囲内の初期の乾燥温度にまで上昇させ、乾燥した溶液を得るステップであって、上記上昇は、少なくとも1時間、好適には2時間、より好適には2〜3時間の期間維持するステップ;
iv)約20℃の温度にて約10〜約70時間、好適には20〜約50時間、より好適には約30〜約40時間、最も好適には約30時間〜約35時間維持するステップ;
v)約25℃〜約50℃、好適には少なくとも30℃、より好適には少なくとも35℃、最も好適には少なくとも40℃の第二温度にまで乾燥した溶液を上昇させるステップであって、上記上昇は、少なくとも30分間、好適には少なくとも1時間、より好適には1〜2時間持続するステップ;および、
vi)第二乾燥温度にて、約1〜約30時間、好適には2〜約20時間、より好適には約3〜約10時間、最も好適には約5〜約7時間保持して、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥された調製物を作製するステップを含む。
【0094】
別の実施形態では、凍結乾燥前の溶液を凍結乾燥する方法は、以下のステップを更に含む、つまり、
vii)乾燥された溶液を約25℃〜約40℃の温度、好適には35℃未満の温度、より好適には30℃未満の温度に上昇させるステップであって、上記上昇は、少なくとも30分間、好適には少なくとも1時間、より好適には1〜2時間持続するステップ;および、
viii)新しい温度にて、少なくとも1時間、好適には少なくとも2時間、より好適には2〜4時間保持して、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥された調製物を作製するステップ。
【0095】
本発明の実施形態では、初期の乾燥サイクルの間、圧力は、約70〜約130ミクロンであり、好適には約80〜約120ミクロンであり、より好適には約90〜約110ミクロンである。本発明の別の実施形態では、第二の乾燥サイクルの間、圧力は、約90〜約150ミクロンであり、より好適には約100〜約140ミクロンであり、さらに好適には約110〜約130ミクロンである。
【0096】
別の実施形態では、凍結乾燥前の溶液を凍結乾燥する方法は、
i)添加(loading)するために、約25℃の棚温度(shelf temperature)から始めるステップ;
ii)約−40℃〜50℃にて、約2〜4時間凍結させるステップ;
iii)−45℃にて、約2〜3時間維持するステップ;
iv)約2〜3時間をかけて、約20℃にまで上昇させるステップ;
v)30〜35時間、約20℃に維持するステップ;
vi)約1〜2時間をかけて、約40℃にまで上昇させるステップ;
vii)約5〜7時間、約40℃に維持するステップ;
vii)約1〜2時間をかけて、約30℃にまで上昇させるステップ;および、
ix)約2〜4時間、約30℃に維持するステップを含み、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥された調製物を作製する。
【0097】
一実施形態では、添加を容易にするために、凍結乾燥前の溶液は、約5℃を上回る、好適には約15℃を上回る開始温度である。別の実施形態では、約−40℃〜−50℃の温度にて凍結乾燥前の溶液を凍結させて、凍結溶液を作製する。
【0098】
別の実施形態では、凍結乾燥前の溶液または分散液は、薬学的に許容可能な容器内にて、以下の1)〜6)によって調製される。つまり、
1)室温の水と混合しながら、マンニトールなどの賦形剤(約0〜500mg/mL)を加える、
2)約20〜35℃にて混合しながら、水溶液にTBAなどの有機溶媒(0.5〜99.9%v/v)を加える、
4)混合しながら、所望の濃度になるまでダントロレンナトリウムを加える、
5)水を加えて最終量を得る、および、
6)約10℃〜30℃、好適には25℃の温度まで溶液を冷却する。
一実施形態では、後のステップ中(例えば、有機溶媒を加えた後など)に、賦形剤を加えてもよい。上記ステップを特定の順序にて示したが、当然のことながら、当業者であれば必要に応じてステップの順序および数量を変えることができる。また、重量ベースにて数量を準備してもよい。
【0099】
別の実施形態では、凍結乾燥前の溶液または分散液は、薬学的に許容可能な容器内にて、以下の1)〜6)によって調製される。つまり、
1)室温の滅菌水と100%滅菌水中の十分な水酸化ナトリウム(NaOH)とを混合しながら、マンニトールなどの賦形剤(約0〜約500mg/mL)を加えて、pHを10.1〜10.3℃にする、
2)混合しながら、所望の濃度になるまでダントロレンナトリウムを加える、
3)水を加えて最終体積を得る、
4)ダントロレンナトリウムを実質的に可溶させるのに十分な時間、溶液を約40℃〜約70℃、好適には約45℃〜約60℃、より好適には約50℃にまで加熱する、
5)約10℃〜約35℃、好適には約30℃、より好適には30℃未満、より好適には26℃未満にまで溶液を冷却し、約20〜25℃にてかき混ぜながらTBAなどの有機溶媒(0.5〜99.9%v/v)を水溶液に加える、および、
6)約10℃〜30℃、好適には約5℃まで溶液を冷却する。
一実施形態では、ステップ5の溶液の冷却後や後のステップ(例えば、有機溶媒の添加後など)中に賦形剤を加えてもよい。上記ステップを特定の順序にて示したが、当然のことながら、当業者であれば必要に応じてステップの順序および数量を変えることができる。また、重量ベースにて数量を準備してもよい。
【0100】
凍結乾燥の前に、凍結乾燥前の溶液または分散液を滅菌してもよい。代表的には、例えば、0.22ミクロン以下のフィルターを用いて滅菌濾過を行うことによって滅菌する。複数の滅菌フィルターを用いてもよい。放射線処理などの周知の方法を用いて、溶液または分散液の滅菌をさらに行ってもよい。
【0101】
この場合、滅菌後に、溶液または分散液の凍結乾燥の準備ができる。通常、濾液を滅菌容器に注入し、処方物を有効に凍結乾燥し得るいずれかの適した容器に移す。通常、限定されるものではないが、例えば、本明細書に記載されるとともに周知であるバイアルなどの製品を入れて市販されている容器内にて、処方物が有効かつ効率的に凍結乾燥される。
【0102】
凍結乾燥前の溶液または分散液を凍結乾燥するために使用される代表的な工程を以下に記す。当業者であれば、限定するものではないが、凍結乾燥前の溶液または分散液、および凍結乾燥装置などに応じて、処理または工程に対する変更が可能であることがわかる。
【0103】
まず、ある範囲の温度条件下にある凍結乾燥室に産物を配置して、産物の凝固点を十分に下回る温度下に数時間さらす。一実施形態では、溶液の凝固点未満、すなわち好適には約−5℃、より好適には約−10℃以下、さらに好適には約−20℃以下にまで産物を冷却する。一実施形態では、少なくとも2時間、温度を約−40℃以下に保つ。凍結が完了した後で、真空ポンプを用いて、室、および循環冷却によって表面が予め冷却されたコンデンサが排気される。溶液の凝固点未満、好適には約−40℃にまでコンデンサを冷却しておくことが望ましい。別の実施形態では、約−45℃以下にまでコンデンサを冷却しておき、別の実施形態では、約−60℃以下にまでコンデンサを冷却しておく。さらに、約10〜約600mTorr、好適には約50〜約150mTorrの圧力が得られるまで、室の排気を続ける必要がある。
【0104】
次いで、室およびコンデンサ内の真空条件下で作製された組成物を温める。凍結乾燥機の中の棚を温めて当該ステップを行う。凍結乾燥の工程中、約10〜約600mTorrの圧力条件下で、製品を棚に静置する。加温工程を段階的に最適に実施する。一実施形態では、数時間、加温工程を実施する。一実施形態では、最初に産物の温度を約−40℃から約20℃へと上昇させ、それを約10〜70時間維持する。別の実施形態では、最初に産物の温度を約−46度から約20℃へと上昇させ、約20〜40時間維持する。
【0105】
加えて、0〜20分間、産物の温度を約25℃〜40℃にまで上昇させることが可能である。
【0106】
凍結乾燥された粉末がバイアルから噴出するのを防ぐために、初期の乾燥段階中に有機溶媒および水を完全に除去する必要がある。真空の安定化、コンデンサの温度の安定化、および産物のための棚の温度の安定化によって、完全な乾燥を確実に実施することができる。初期の乾燥の後に、産物の温度を約25℃〜40℃に上げ、約5〜40時間維持する必要がある。
【0107】
乾燥サイクルが完了すると、滅菌された乾燥窒素ガス(または同等のガス)によって室内の圧力を徐々に大気圧(または僅かにそれ以下)にまで開放する。バイアルなどの容器内にて作製された組成物を凍結乾燥した場合には、バイアルを栓で塞いで取り出し、シールする。様々な物理試験、化学試験および微生物学試験を実施するために、複数の代表的なサンプルを取り出し、処方物の品質を分析することができる。
【0108】
代表的には、凍結乾燥されたダントロレン処方物は、医薬剤形として市販される。本発明の医薬剤形は、代表的にはバイアルであるが、アンプル、注射器、共バイアル(co-vial)などの滅菌された環境を維持できる適切な容器であってもよい。当該容器は、その材料がダントロレン処方物と相互作用しないように、ガラスまたはプラスチックであり得る。代表的には、シールは、栓、最も代表的にはゴム栓、好適には溶接密封を形成するブロモブチルゴム栓で行うことができる。
【0109】
凍結乾燥の後で、ダントロレン凍結乾燥された粉末をバイアルなどの容器内に充填することによって、または、凍結乾燥前の溶液をバイアル内に充填して、当該バイアルの中で凍結乾燥することによって、凍結乾燥ダントロレン処方物を直接含むバイアルが得られる。充填、またはバイアル内の溶液を凍結乾燥した後で、栓を用いてバイアルがシールされ、これによって、滅菌状態でシールされた医薬剤形が得られる。代表的に、バイアルは、約10〜500mg/バイアル、好適には約100mg/バイアルのダントロレンナトリウムと、約5mg〜3.0g/バイアル、好適には約3.0g/バイアルのマンニトールと、を含む凍結乾燥された粉末を包含している。別の実施形態では、ダントロレンナトリウムの量は、約5〜約100mg/容器、約5〜50mg/バイアル、約10mg〜約30mg/バイアル、および約10mg〜20mg/バイアルである。
【0110】
水、好適には注射用蒸留水、または、実質的に滅菌された液体(例えば、共溶媒)を用いて本発明の凍結乾燥された処方物を再構成し、静脈内投与のためのダントロレンナトリウムの適切な溶液を提供してもよい。
【0111】
表1に示された結果は、ダントロレンナトリウムの溶解性が、温度および水溶液中のアルコール量によって異なることを示している。試験されたアルコールでは、アルコールの濃度が増大するにつれて、ダントロレンナトリウムの溶解性が増大した。沈殿物の形状は、温度および時間に応じて異なっていた。
【0112】
アルコールは、溶解性に関して、効果が異なっていた。特定の理論と結びつけるわけではないが、より小さいアルコール(例えば、メタノールおよびエタノール)の方が、より大きいアルコール(例えば、第3級ブタノールおよびn−ブタノール)よりも、溶解性に対する効果が小さかった。しかしながら、アルコールの形状も重要である。例えば、本システムにおける沈殿を予防するためには、tert−ブタノールの方が、イソブタノールよりも優れていることがわかった。溶解性に対して、より大きな効果を有するアルコールは、第3級ブタノールであった。
【0113】
本発明の薬学的組成物は、安全および有効な量にて使用される特に規定されたダントロレン化合物、および薬学的に許容可能なキャリアを含む。
【0114】
本発明の組成物に使用されるダントロレン化合物は、下記構造式を有するものであり、
【0115】
【化1】

【0116】
上記構造式において、Aはフリル基からなる群に属するものであって、
【0117】
【化2】

【0118】
このとき、Rは、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、アセチル基、カルボキシル基、メチル基、トリフルオロメチル基および水素からなる群から選択される1〜2個の置換基であり;
Xは、カルボニルおよびメチレンからなる群の一つであり、
Yは、ヒドロキシエチル、ブチル、水素、およびr−ピリジルエチルからなる群の一つである。
【0119】
一実施形態では、活性な化合物は、
1−[5−(p−ニトロフェニル)フルフリリデンアミノ]ヒダントイン;
1−[5−(p−アミノフェニル)フルフリリデンアミノ]ヒダントイン;
1−[5−(m−ニトロフェニル)フルフリリデンアミノ]ヒダントイン;
1−[5−(p−クロロフェニル)フルフリリデンアミノ]ヒダントイン;
1−[5−(2,4−ジクロロフェニル)フルフリリデンアミノ]ヒダントイン;
1−[5−(2,メチル−4−ニトロフェニル)フルフリリデンアミノ]ヒダントイン;
1−[5−(p−ニトロフェニル)フルフリリデンアミノ]−2−イミダゾリジノン;
1−[5−(p−シアノフェニル)フルフリリデンアミノ]ヒダントイン;
および薬学的に許容可能なこれらの塩、の1つ以上の化合物である。
【0120】
薬学的に活性な成分(API)ダントロレンナトリウム(DS)(USP)は、3.5水和物塩(hemiheptahydrate salt);1−[5−(4−ニトロフェニル)フルフリリデンアミノ]イミダゾリジン−2,4−ジオンであり、14.5%〜17%の水(3〜1/2モル)を含有するとともに、分子量が399である。無水塩は、分子量が336である。
【0121】
ダントロレンナトリウム(USP)は、橙色の無臭の粉末であり、その融点は279〜280℃である。ダントロレンナトリウムは、プロピレングリコールに完全に溶解し、エタノールおよびメタノールに僅かに溶解し、HO(15mg/L)には溶解しない。ダントロレンナトリウムは、pH8.0以上の水の中での溶解性がより高いことが示された。その遊離酸形態(ダントロレン)は、完全に不溶性(mg/L)であり、pKaが約7.5の弱酸性である。しかしながら、遊離酸の溶解性が極めて低いことから、そのpKaを正確に測定することはできない。FDAが推奨する静脈内注射(DS−IV)産物(USP2007)のための凍結乾燥されたダントロレンナトリウムは、20mgの水酸化DS(API)(無水物にて16.8mg)、3.0グラムのマンニトール、および、60mLの注射用水を用いて再構成したときにpH9.5(凡そ)となるために十分な量のNaOHを含む。再構成された産物は、手術中に致命的な状態に陥った患者に対して迅速に注入される。
【0122】
ダントロレンナトリウムは、化学式II
【0123】
【化3】

【0124】
の式を有する。
【0125】
ダントロレンは、3型リアノジン受容体の拮抗薬であり、ナトリウム塩(ナトリウムダントロレン)として提供されることが多く、当該ナトリウム塩は、水和1−[[[5−(4−ニトロフェニル)2−フラニル]メチレン]アミノ]−2,4−イミダゾリジンジオンナトリウム塩である。ダントロレンは、脊髄損傷、脳性麻痺、脳梗塞、または多発性硬化症などの上位運動ニューロン疾患から生じる臨床上の痙縮の治療において処方される。また、ダントロレンは、悪性の高熱症の代謝亢進状態、麻酔剤および特定の弛緩薬への曝露によって引き起こされた骨格筋の遺伝性疾患を退行させるために有効である。
【0126】
当該技術分野において、ダントロレンの他の治療への使用も知られている。例えば、Dreyer, 米国特許第5,597,809は、NMDA−受容体間の拮抗薬の使用、および視神経炎の治療のためのダントロレンの使用について教示している。Lipton,米国特許第5,506,231は、AIDSに特に関連する3つの病状である認知症、ミエロパシー、および失明の治療のためのダントロレンの使用について教示している。ダントロレンは、低体温環境を生み出す細胞のエネルギー要求を低減させることが知られており、悪性低体温症の臨床治療に使用されてきた。Kiyoshi(日本国の特許要約(1994)、公開番号06263636)は、老年認知症、パーキンソン病、ハンチントン病などの脳神経疾患の治療のためのダントロレン使用について開示している。
【0127】
治療以外でのダントロレンの使用は、血管の低温保存である。参照によりその全文が本明細書に含まれる米国特許第5,158,867;5,149,621;5,145,769および5,122,110を参照されたい。
【0128】
第3級ブチルアルコール(TBA)は、薬剤の凍結乾燥のための水共溶媒システムに使用するのに好適な特性をもつ。TBAの好適な物理特性は、凍結乾燥工程の初期の乾燥段階において、蒸気圧が高く、融点が低く(エネルギー消費が少なく、殆どの凍結乾燥機において完全に凍結する)、および昇華が容易であること(昇華速度の増大)である。これらの好適な物理特性に加えて、TBAは有機溶媒として毒性が低い(エチルアルコールとほぼ同じ許容残留制限値、すなわち<5,000ppmである)。
【0129】
【表2】

【0130】
理論付ける目的ではないが、TBA−水共溶媒システムにDS−IV処方物を利用することによって、下記の好適な結果が得られると考えられる。つまり、
i.処方物の充填溶液(バイアル内に注入される溶液)の凍結時間を大幅に短縮する。
【0131】
ii.その作製工程において、DS−IV産物の凍結乾燥体(freeze-dried cake)の乾燥時間を2分の1に短縮する。
【0132】
iii.凍結乾燥されたDS−IV産物の再構成時間を60、50、40、30、20、10秒以下に短縮する。これによって、手術中に致命的な状態に陥った悪性の高熱症の患者の薬物療法の効果が著しく向上する。
【0133】
〔実施例〕
下記の例は、本発明の特定の形態を例示するためのものであり、当業者による本発明の実施を助けることを目的とする。これらの例は、いかなる場合でも本発明の範囲を制限するものではない。
【0134】
〔例1.DS−IV処方物の作製〕
一実施形態では、DS−IV産物は、約16.8mgの無水ダントロレンナトリウム(API)(DS)(14.5%〜18%の水分を含む20mgの水和DS(API)と同等)、3gのマンニトール、および、バイアル毎に注射用水(WFI)60mLを用いて再構成したときに約8.8〜10.9のpH値を得るのに十分なNaOH、を含む凍結乾燥された粉からなる。
【0135】
理論付ける目的ではないが、DS(API)の溶解性は高く、アルカリ性の環境下(pKa7.4値以上)では、必ず溶解すると考えられている。DSは、アルカリ加水分解を受けやすいので、その処方ステップ中において、できる限り迅速にDSを溶解させる必要がある。DSの迅速な溶解を行うためには、より高い温度を使用する必要がある。アルカリ度(pH値)、温度および液体のDS処方物の加熱時間に応じて、最終的な凍結乾燥DS−IV製品の強度(API比率)が決まる。最終的な製品の好適な強度(94〜97%)を得るために、条件を適宜調整してもよい。
【0136】
水共溶媒システムを、不溶性薬剤の溶解を助けるために使用してもよいことが知られている。5%、10%または20%のTBAからなる水共溶媒システムをDS処方物の設計に使用した場合には、処方物(DS)APIは、室温での90分間の混合の後でも溶解しなかった。驚くべきことに、TBA−水共溶媒システムが使用される処方物の大多数と同様に、DS処方物の水性部分へTBAを加えても、DS(API)の溶解速度は増大しなかった。しかしながら、TBAを使用すれば、凍結乾燥前の充填溶液の凍結時間、凍結乾燥時間、およびDS−IV製品の凍結乾燥体の再構成時間を短縮させることが明らかになった。
【0137】
図1は、最初に、約50℃にて約20分間、処方物の構成要素(例えば、約3gのマンニトール、100%の滅菌水のpHを約8.8〜約11、好適には約10〜約10.5、さらに好適には約10.1〜約10.3に調節するために十分な量のNaOH)とAPI(DS)とを混合した場合に、DSを可溶化させることができる好適な方法を示す。
【0138】
その後、冷却期間(約45〜60分間)を経て、約25℃にまで温度を下げる。続いて、約25℃にてTBAを加え、処方を完了する。重要なことに、約25℃でのTBAの注入によって処方物の強度(APIの比率)が不要に落ちることはない。TBA処理された処方物を凍結乾燥した場合に、DS−IVの最終的に再構成された処方物の強度が95±1%であることから、このことが実証されている(表3を参照)。
【0139】
【表3】

【0140】
〔TBAがDS−IV処方物の凍結乾燥工程に及ぼす影響〕
概して、TBA溶媒の有無は、溶液の凍結特性に影響を及ぼす。さらに、当該溶媒は、氷の結晶形態、乾燥速度、乾燥体の表面、および、凍結乾燥物[2](凍結乾燥体)の再構成時間、に対して大きな影響を及ぼす。
【0141】
氷の結晶の大きさおよび形状は、共溶媒システムに使用される有機溶媒の性質および量によって異なる。凍結中のTBA−水システムによって形成される様々な安定状態および準安定状態を評価するために、熱分析研究が行われてきた。異なる比率にてTBAを加えることによって、大型の針状氷結晶が形成され、当該針状氷結晶が昇華するときに、比較的多い多孔および低い抵抗性を生じさせ、これによって乾燥工程が促進されることがわかった。その結果、乾燥回数を約30〜50%低減させることができる[3]。
【0142】
〔TBAが昇華速度に及ぼす影響〕
部分的に乾燥した乾燥体の中を通る溶媒の物質移動速度が向上することによって、昇華速度が上がり、その結果乾燥工程サイクルにおける初期の乾燥段階の時間が短くなる。これによって、凍結乾燥工程の全体が短縮され、エネルギーおよび製造コストの大幅な削減につながる。
【0143】
〔DS−IV産物の乾燥時間および凍結時間の短縮〕
本発明は、DS−IV処方物に約2〜20%のTBAを注入することによって、その凍結乾燥体の乾燥時間が約2分の1に短縮されることを開示する。乾燥速度の増大は、おそらく多孔性の構造を有する針状氷結晶が形成されることによって生じ、その結果、乾燥体の抵抗性の低減およびその表面領域の増大により、水蒸気の質量移動が促進される。
【0144】
約5%のTBA−水共溶媒システムによって作製されるDS−IV産物の凍結乾燥工程の代表例は、下記段階を含む。つまり、
1)積み込み棚の温度約25℃から始める;
2)約2〜4時間、約−40℃〜50℃にまで凍結させる;
3)約2〜3時間、−45℃に保持する;
4)約2〜3時間、約20℃に上げる;
5)30〜35時間、約20℃に保持する;
6)約1〜2時間、約40℃に上げる;
7)約5〜7時間、約40℃に保持する;
8)約1〜2時間、約30℃に上げる;
9)約2〜4時間、約30℃に保持する。
初期の乾燥工程中の圧力は、約90〜110ミクロンであり、第二の乾燥工程中の圧力は、110〜130ミクロンである。
【0145】
(TBAを含まない)従来の凍結乾燥工程と比べると、DS−IV処方物にTBAを添加することによって、全凍結乾燥サイクルの時間が33%短縮した(すなわち、約75時間〜50時間以下)。
【0146】
〔TBAによる凍結乾燥DS−IVの再構成時間の向上〕
TBAが導入されて作製された、凍結乾燥されたDS−IV処方物の多孔質構造が増大することによって、DS−IV処方物の再構成時間がバイアル毎に1〜3分間から10秒未満に短縮された(表4参照)。このように、凍結乾燥されたDS−IV処方物を、ほぼ瞬時に再構成できるので、悪性の高熱症の患者の治療が著しく改善される。MH治療に使用されるDSの推奨用量は、1mg/kg〜10mg/kgである。各バイアルが0.02gのDS(API)を含むと考えると、上記推奨用量は、MH発症毎に、最小4バイアルから最大36バイアルにまで変化する。Merck Manual(18版、2006)は、2.5mg/kg(9〜10バイアル)にてMH治療を開始することを推奨している。また、MHの病状が出たら直ちに治療を開始することも推奨されている。平均して、MHの病状を示す患者には、各60mLの注射用蒸留水(WFI)によって再構成された9〜10(2.5mg/kg)バイアルを迅速に静脈内(IV)注射する必要がある。多くの場合、使用されるDS−IVバイアルの数は、10〜20である。36バイアルのDS−IVの使用を必要とするMH症例も記録されている。MHによる死亡が発病から30分という短時間で起こり得ることを考えれば、10〜36バイアルの再構成時間(各再構成にかかる1〜3分)は、問題となる。成人の患者では、30分を超えるMH期間において、41℃(105.8°F)を超える体温は致命的となり得ることが実証された(Merck manual、18版、2006)。
【0147】
表4:TBA−水共溶媒システム利用前後のDS−IV処方物の再構成時間
【0148】
【表4】

【0149】
ダントロレンナトリウムが、低体温の温血動物および正常体温の温血動物における不整脈を予防および緩和することがわかっている。特に、ダントロレンナトリウムは、上室性頻拍性不整脈の治療、梗塞組織における反応低下の抑制、および当該組織を原因とする心室期外収縮または頻脈、ならびにリエントリーによる心室調律障害の補正に有効である。
【0150】
加えて、本明細書に記載した内容についての手続的補足または詳細に関しての情報は引例に記載されており、当該引例は参照により本明細書中に含まれる。
【0151】
当業者であれば、本発明の新規な開示から逸脱することなく、本明細書に記載された好適な実施形態に対する様々な変更および修正を行ってもよい。当該変更および修正の全てが、本発明に含まれるとともに、本発明の範囲内であるとする。
【0152】
〔参考文献〕
1.Practical aspects of lyophilization using non-aqueous co-solvent systems. Dirk L. Teagarden, and David S. Baker. Department of Sterile Products Development, Pharmacia Corporation, 7000 Portage Road, Kalamazoo, MI 49001-0199, USA
2.The effect of tertiary butyl alchol on the resistance of the dry product layer during primary drying. Pharmaceutical Research, Kasra Kasraian and Patrick DeLuca. 12 (4), 491-495, 1995
3.Thermal analysis of the tertiary butyl alcohol-water syatem and its implications on freeze-drying. Pharmaceutical Research, Kasra Kasraian and Patrick DeLuca.12 (4), 484-490, 1995
4.Freeze-drying of tertiary butanol/water co-solvent systems:a case report on formation of friable freeze-dried powder of tobramycine sulfate. 凍結乾燥された粉末Journal of Pharmaceutical Sciences. Wittaya-Areekul Sackchai et. al. 91(4), 1147-55, 2002
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】冷却および共溶媒を添加する薬剤の製造方法の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水性溶媒;
(b)有機共溶媒;および、
(c)下記化学式を有する少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む薬学的組成物であって、
【化1】

Aは、下記化学式を有し、
【化2】

Rは、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、アセチル基、カルボキル基、メチル基、トリフルオロメチル基および水素からなる群から選択される1〜2つの置換基であり;
Xは、カルボニルおよびメチレンからなる群の一つであり、
Yは、ヒドロキシエチル、ブチル、水素、およびr−ピリジルエチルからなる群の一つである、薬学的組成物。
【請求項2】
上記薬学的に活性な化合物が、
1−[5−(p−ニトロフェニル)フルフリリデンアミノ]ヒダントイン;
1−[5−(p−アミノフェニル)フルフリリデンアミノ]ヒダントイン;
1−[5−(p−クロロフェニル)フルフリリデンアミノ]ヒダントイン;
1−[5−(2,4−ジクロロフェニル)フルフリリデンアミノ]ヒダントイン;
1−[5−(2,4−ジクロロフェニル)フルフリリデンアミノ]ヒダントイン;
1−[5−(2,メチル−4−r−ニトロフェニル)フルフリリデンアミノ]ヒダントイン;
1−[5−(p−ニトロフェニル)フルフリリデンアミノ]−2−イミダゾリジノン;および、
1−[5−(p−シアノフェニル)フルフリリデンアミノ]ヒダントイン;
からなる群から選択される、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
(a)水性溶媒;
(b)有機共溶媒;および、
(c)薬学的に活性な化合物としてのダントロレンナトリウムを含む、薬学的組成物。
【請求項4】
上記有機共溶媒が、第3級ブチルアルコール(TBA)、n−プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸エチル、炭酸ジメチル、アセトニトリル、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1−ペンタノール、酢酸メチル、四塩化炭素、ジメチルスルホキシド、ヘキサフルオロアセトン、クロロブタノール、ジメチルスルホン、酢酸、シクロヘキサン、およびその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
a)約2mg/ml〜約100mg/mlの濃度のマンニトール、および約1%〜約99%(v/v)の濃度の第3級ブチルアルコールを含むアルカリ性の溶液にダントロレンナトリウムを溶解させて、凍結乾燥前の溶液を形成するステップと、
b)上記凍結乾燥前の溶液を凍結乾燥させるステップとを含む、ダントロレンナトリウムの安定かつ凍結乾燥された処方物を製造する方法。
【請求項6】
上記第3級ブチルアルコールの残留濃度が約0.5%未満である、請求項5に記載の方法によって得られる安定かつ凍結乾燥された処方物。
【請求項7】
上記ダントロレンナトリウムの量は、約8%以上が化学的に分解しない、請求項5に記載の方法によって得られる安定かつ凍結乾燥された処方物。
【請求項8】
バイアルまたは他の薬学的に許容可能な容器にパッケージングされる、請求項5に記載の方法によって得られる安定かつ凍結乾燥された処方物。
【請求項9】
5℃にて保存される場合に、ダントロレンナトリウムの量に関して少なくとも約6ヶ月間にわたって実質的に安定している、請求項7に記載の方法によって得られる安定かつ凍結乾燥された処方物。
【請求項10】
静脈内投与に適した希釈剤を用いて、請求項38に記載の凍結乾燥されたダントロレンナトリウム粉末を再構成するステップを含む、ダントロレンナトリウムの注射用処方物を調製する方法。
【請求項11】
上記注射用処方物が、約10mg〜約30mgの凍結乾燥されたダントロレンナトリウム粉末を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記注射用処方物が、約15mg〜約25mgの凍結乾燥されたダントロレンナトリウム粉末を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
a)約1%〜約99.99%(v/v)のアルコールを含む、安定化濃度のアルコール溶媒中にダントロレンナトリウムを溶解させて、凍結乾燥前の溶液を形成するステップと、
b)上記凍結乾燥前の溶液を凍結乾燥させるステップとを含む、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥された調製物の調製方法。
【請求項14】
上記アルコールの濃度が、約1%〜約99.9%である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールおよび第3級ブタノールのうちの1つ以上から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
上記アルコールが、第3級ブタノールである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記第3級ブタノールが、約1%〜99.9%の濃度にある、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
凍結乾燥の前に、賦形剤およびpH調整剤を加えるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
上記賦形剤が、マンニトールおよび水酸化ナトリウムを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
上記ダントロレンナトリウムの濃度が、約0.1〜約1mg/mLである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法によって得られる、凍結乾燥された粉末。
【請求項22】
上記ステップb)が、
i)約−40℃未満の温度にて上記凍結乾燥前の溶液を凍結させて凍結溶液を形成するステップ;
ii)少なくとも2時間、−40℃以下の温度下に凍結溶液を保つステップ;
iii)凍結溶液を約−40℃〜約20℃の第一乾燥温度に上昇させて乾燥溶液を形成するステップ;
iv)約10〜約70時間保持するステップ;
v)上記乾燥溶液を約25℃〜40℃の第二乾燥温度にまで上昇させるステップ;および、
vii)約5〜約40時間保持して、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥された調製物を形成するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
上記アルコールが、第3級ブタノールである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
上記第3級ブタノールが、約1〜30%の濃度にある、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法によって得られる、凍結乾燥された粉末。
【請求項26】
上記ステップa)の前に、温度が上げられた水溶液中にダントロレンナトリウムを溶解させるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項27】
上記水溶液は、上記ダントロレンナトリウムを溶解させるに十分な時間にわたって、約40℃〜約70℃の温度にまで加熱される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
上記アルコール溶媒を加える前に、ダントロレンが溶解した水溶液を約15℃〜約30℃の温度にまで冷却するステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
約0.1〜約5mg/mLの濃度のダントロレンナトリウム、約2〜約100mg/mLの濃度のマンニトール、約1〜約99%(v/v)の濃度の第3級ブチルアルコール、およびpHを約9.5〜約10.5の範囲内に調整するに適した量のアルカリ水溶液を含む、凍結乾燥のための処方物。
【請求項30】
請求項29に記載の方法によって作製される、凍結乾燥された調製物。
【請求項31】
薬学的に許容可能なキャリアに請求項30に記載の調製物を溶解させて薬学的に許容可能な溶液を製造するステップと、上記臨床的に有効な量の上記溶液を患者に投与するステップとを含む、患者の病状を治療する方法であって、
上記病状は、調製物を用いた治療に寛容な病状である、方法。
【請求項32】
上記病状が、悪性の高熱症である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
1つ以上のさらなる活性因子と組み合わせて、請求項30に記載の調製物の溶解物を投与するステップをさらに含み、
上記さらなる活性因子は、請求項30に記載の調製物の投与前に、投与と同時に、または投与後に投与される、請求項32に記載の治療方法。
【請求項34】
上記さらなる活性因子が、一般的な麻酔剤;睡眠薬/鎮静剤/抗不安薬;抗癲癇薬;解熱剤/鎮痛剤/抗炎症薬;興奮薬/覚醒薬;抗パーキンソン病薬;向精神薬/向神経薬;中枢神経抑制薬;局所麻酔薬;骨格筋弛緩薬;自律神経薬;鎮痙薬;抗眩暈薬;感覚器薬;強心剤;抗不整脈薬;利尿薬;抗圧薬;血管収縮薬;血管拡張剤;心臓脈管薬;呼吸促進薬;鎮咳薬;去痰薬;気管支拡張薬;抗下痢薬/整腸剤;消化性潰瘍薬;健胃薬/消化薬;便秘薬/浣腸薬;利胆薬;胃腸薬;甲状腺ホルモン薬/副甲状腺ホルモン薬;同化ステロイド薬;コルチコイド薬;男性ホルモン薬;エストロゲン薬/プロゲスチン薬;ホルモン薬;尿路薬;分娩促進薬;ビタミン;止血剤;抗凝血剤;肝疾患治療薬;解毒剤;痛風治療薬;抗糖尿病薬;代謝薬;抗癌剤;抗アレルギー剤;抗生物質;サルファ剤;抗結核薬;抗ハンセン菌薬;合成抗菌剤;抗ウイルス薬;化学療法薬;駆虫薬;および麻酔薬から選択される少なくとも1つである、請求項33に記載の治療方法。
【請求項35】
上記バイアルまたは他の薬学的に許容可能な容器が、約10〜約500mg/容器の濃度にてダントロレンナトリウムを含む、請求項8に記載の方法によって得られる安定かつ凍結乾燥された処方物。
【請求項36】
ダントロレンナトリウム、約1%〜約99.9%(v/v)のアルコール、賦形剤および水を含む、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥前の溶液または分散液。
【請求項37】
ダントロレンナトリウム、マンニトール、第3級ブチルアルコール、および約9.5〜約10.5のpHを有するアルカリ化された滅菌水を含む、ダントロレンナトリウムの凍結乾燥前の溶液または分散液。
【請求項38】
請求項5に記載の方法によって得られる、凍結乾燥されたダントロレンナトリウム粉末。
【請求項39】
約8%未満の濃度のダントロレンナトリウム分解物を含む、請求項38に記載の凍結乾燥されたダントロレンナトリウム粉末。
【請求項40】
上記ダントロレンナトリウムの濃度が約96%以上である、請求項38に記載の凍結乾燥されたダントロレンナトリウム粉末。
【請求項41】
約20秒間以内に再構成され得る、請求項38に記載の凍結乾燥されたダントロレンナトリウム粉末。
【請求項42】
ステップb)が、約54時間以内の凍結乾燥サイクルである、請求項22に記載の方法。
【請求項43】
上記再構成が約20秒間以内の時間を費やす、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−500570(P2011−500570A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528917(P2010−528917)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/075406
【国際公開番号】WO2009/048698
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(510098995)ユーエス ワールドメッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (2)
【氏名又は名称原語表記】US WORLDMEDS LLC
【住所又は居所原語表記】4010 Dupont Circle,Suite 700,Louisville,KY 40207,United States of America
【Fターム(参考)】