説明

ダンプトラックのロックエジェクタ装置

【課題】 ダンプボディを上げた状態で、ロックエジェクタが前方向に振れた場合でも、後車輪のハブに当たらないダンプトラックのロックエジェクタ装置を提供すること。
【解決手段】 ダンプトラックのロックエジェクタ装置において、複列に配置された後車輪の間であって後車輪の後部側のすきまに配置されたロックエジェクタを、前後方向に回動自在としてダンプボディに備え、前記ロックエジェクタの前面にロック溝を設け、前記ロックエジェクタの前方にロックレバーを前後方向に回動自在に設け、前記ロックレバーを前記ロックエジェクタ側へ押し付ける付勢手段を備え、前記ダンプボディ上げ時に前記ロックレバーが前記ロック溝に引っ掛ることを特徴とするダンプトラックのロックエジェクタ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンプトラックのロックエジェクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図5、図6に示すように、ダンプトラック100のダンプボディ110には、ロックエジェクタ120が前後方向に回動自在に吊り下げられている。このロックエジェクタ120は、ダンプトラック100の複列に配置された後車輪130,130の間のすきまに挟まった石などを取り除くための石取り棒として用いられている。ロックエジェクタ120は、ダンプボディ110に設けられたブラケット111にピン112により取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。ロックエジェクタ120は、前後方向に回動自在に吊り下げられているので、ロックエジェクタ120が前方向に振れるが、その場合に後車輪130のハブ131にロックエジェクタ120が当たらないよう、ブラケット111には、ストッパボス113が取り付けられ、ロックエジェクタ120の前方向の動きを規制している。
【0003】
【特許文献1】実開昭62−28663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図7に示すように、ダンプボディ110を上げて排土する場合には、ストッパボス113は回動してロックエジェクタ120から離れてしまい、ストッパの役目をしなくなり、ロックエジェクタ120が前方向に振れた場合に、後車輪130のハブ131に当たり、ハブ131に傷が付いてしまう。
【0005】
本発明は上記の問題点に着目してなされたもので、ダンプボディを上げた状態で、ロックエジェクタが前方向に振れた場合でも、後車輪のハブに当たらないダンプトラックのロックエジェクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明は、ダンプトラックのロックエジェクタ装置において、複列に配置された後車輪の間であって後車輪の後部側のすきまに配置されたロックエジェクタを、前後方向に回動自在としてダンプボディに備え、前記ロックエジェクタの前面にロック溝を設け、前記ロックエジェクタの前方にロックレバーを前後方向に回動自在に設け、前記ロックレバーを前記ロックエジェクタ側へ押し付ける付勢手段を備え、前記ダンプボディ上げ時に前記ロックレバーが前記ロック溝に引っ掛る構成としている。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記ロックレバーの重心位置を、前記ロックレバーの回動する中心を通る鉛直線より前方にした構成としている。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明によれば、ダンプボディを上げた状態で、ロックエジェクタが前方向に振れた場合でも、後車輪のハブに当たることがない。
【0009】
第2の発明によれば、簡単な構造でロックレバーをロックエジェクタ側へ押し付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係るダンプトラックのロックエジェクタ装置の実施形態について図面を参照して説明する。
図1には、本発明に係るダンプトラックのロックエジェクタ装置を備えたダンプトラックの側面図を示す。図2には、ロックエジェクタ装置部分の後面図を示す。図3には、ロックエジェクタ装置の詳細図を示す。図4には、ダンプボディ上げ時のロックエジェクタ装置の状態を示す。
【0011】
図1示すように、ダンプトラック10は、ダンプボディ11を備えている。図1はダンプボディ11を下げた位置を示している。ダンプボディ11は、ダンプトラック10の車体10Sにヒンジピン10Hにより回動可能に取り付けられており、排土時などにはダンプボディ11を上方に回動できるようになっている。図1,2示すように、ダンプボディ11には、ロックエジェクタ12が前後方向に回動自在に吊り下げられている。ダンプボディ11を下げた位置で、ロックエジェクタ12は複列に配置された後車輪13,13の間であって、後車輪13,13の後部側のすきまにあるように配置されている。このロックエジェクタ12は、ダンプトラック10が走行して後車輪13,13が回転することで、ダンプトラック10の複列に配置された後車輪13,13の間のすきまに挟まった石などを取り除くための石取り棒として用いられている。後車輪13,13はハブ14を介して後車軸16に取り付けられている。ロックエジェクタ12は、ダンプボディ11に設けられたブラケット21にピン22により、取り付けられている。
【0012】
図3に示すように、ロックエジェクタ12の前方には、ロックレバー31が設けられている。ロックレバー31は、ピン33により前後方向に回動自在にブラケット21に取り付けられている。ブラケット21には、ストッパボス23がロックエジェクタ12の前に取り付けられている。ストッパボス23は、ロックエジェクタ12が前方向に振れる場合に、ロックエジェクタ12に当たり、ロックエジェクタ12の前方向の動きを規制し、後車輪13のハブ14にロックエジェクタ12が当たらないようにしている。
【0013】
ロックエジェクタ12の前面12Fの上部には、ロック溝12Mが設けられている。ロックレバー31には、ロック爪部32が設けられている。ロックレバー31は、ロックレバー31の重心Gがロックレバーの回動中心であるピン33の軸心を通る鉛直線ELより、前方に位置するような形状にしてある。そして、ダンプボディ11が上下に回動しても、ロック爪部32の先端32Sは、ロックエジェクタ12の前面12Fに常に接触するような寸法としてある。ロック爪部32の先端32Sとロック溝12Mの、それぞれの形状及び位置寸法は、後述するように、ロック爪部32の先端32Sが、ロックエジェクタ12のロック溝12Mに噛み込むと、ロックエジェクタ12が前方に回動しても引っ掛って食い込み、外れないような形状としてある。なお、ロックエジェクタ12が後方に回動した場合には、ロック爪部32の先端32Sはロック溝12Mから外れるような形状としてある。
【0014】
このような構成にしてあるので、図4に示すように、排土などのためにダンプボディ11が上方に回動して最大上昇位置になると、ロック爪部32の先端32Sは、ロックエジェクタ12の前面12Fに常に接触して破線で示した位置から実線で示す位置に移動し、ロックエジェクタ12の前面12Fのロック溝12Mに噛み込む。すると、ロックエジェクタ12が前方に回動しようとしてもロック爪部32の先端32Sがロック溝12Mに噛み込んで引っ掛っているので回動することができない。従って、ダンプボディ11を上げた状態で、ロックエジェクタ12が前方向に振れようとした場合でも、後車輪13のハブ14に当たることがない。
【0015】
なお、ロックレバー31の重心Gがロックレバーの回動中心であるピン33の軸心を通る鉛直線ELより、前方に位置するようにしているが、これに限らずロックレバー31をロックエジェクタ12の前面12Fに押し付ける付勢手段としては、ばねなどの弾性体でロックレバー12をロックエジェクタ12の前面12Fに押し付けるような付勢手段であっても良い。また、ロックエジェクタ12は板状でも、棒状でも、後車輪13,13の間のすきまに挟まった石などを取り除くための石取り棒として用いられるものなら、どのようなものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るダンプトラックのロックエジェクタ装置を備えたダンプトラックの側面図である。
【図2】ロックエジェクタ装置部分の後面図である。
【図3】ロックエジェクタ装置の詳細図である。
【図4】ダンプボディ上げ時のロックエジェクタ装置の状態を示す図である。
【図5】従来のロックエジェクタ装置を備えたダンプトラックの側面図である。
【図6】従来のロックエジェクタ装置部分の後面図である。
【図7】従来のロックエジェクタ装置のダンプボディ上げ時のロックエジェクタ装置の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
10…ダンプトラック、11…ダンプボディ、12…ロックエジェクタ、12M…ロック溝、13…後車輪、31…ロックレバー、32…ロック爪部、32S…先端、EL…鉛直線、G…重心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンプトラックのロックエジェクタ装置において、複列に配置された後車輪の間であって後車輪の後部側のすきまに配置されたロックエジェクタを、前後方向に回動自在としてダンプボディに備え、前記ロックエジェクタの前面にロック溝を設け、前記ロックエジェクタの前方にロックレバーを前後方向に回動自在に設け、前記ロックレバーを前記ロックエジェクタ側へ押し付ける付勢手段を備え、前記ダンプボディ上げ時に前記ロックレバーが前記ロック溝に引っ掛ることを特徴とするダンプトラックのロックエジェクタ装置。
【請求項2】
請求項1記載のダンプトラックのロックエジェクタ装置において、前記ロックレバーの重心位置を、前記ロックレバーの回動する中心を通る鉛直線より前方にしたことを特徴とするダンプトラックのロックエジェクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−21654(P2006−21654A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201825(P2004−201825)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】