説明

チアジアジン誘導体及びポジティブAMPA受容体モジュレーターとしてのそれらの使用

本発明は、チアジアジン誘導体及びそのポジティブAMPA受容体モジュレーターとしての使用に関する。より詳細には、本発明は、式(I)[式中、Aは、チエニル基、フリル基、ピロリル基、オキサチオール基、チアゾール基、イソチアゾール基、オキサゾール基又はイミダゾール基を表し;-・-・-・-は、単結合又は二重結合を表し;Rは、水素原子、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル基(ここで、該アルキル基は、1個以上のハロゲン原子で場合により置換されていてもよい)、又は、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル基を表し;Rは、水素原子、又は、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル基(ここで、該アルキル基は、1個以上のハロゲン原子で場合により置換されていてもよい)を表し;Rは、水素原子を表すか、又は、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル、CONHR’及びSONHR’(ここで、R’は直鎖又は分枝鎖の(C〜C)アルキル基を表す)から選択される基を表す]で表される化合物に関する。本発明は、さらにまた、上記化合物のエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びに、それらの製薬上許容される塩基付加塩又は酸付加塩にも関する。本発明は、さらに、それらの医薬としての使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規チアジアジン化合物、それらを調製する方法、及び、それらを含有する医薬組成物に関する。
【0002】
現在、興奮性アミノ酸(特に、グルタメート)は、神経可塑性の生理学的プロセス、並びに、学習及び記憶の基本的なメカニズムにおいて、非常に重要な役割を果たしていると認識されている。病態生理学的研究によって、グルタミン酸作動性神経伝達における欠陥が、アルツハイマー病の発症に密接に関連することが明瞭に示されている(Neuroscience and Biobehavioral Reviews,1992,16,13−24;Progress in Neurobiology,1992,39,517−545)。
【0003】
その上、近年の幾つかの研究によって、興奮性アミノ酸受容体のサブタイプの存在とそれらの機能的相互作用が実証された(Molecular Neuropharmacology,1992,,15−31)。
【0004】
そのようなの受容体のうち、AMPA(α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾール−プロピオン酸)受容体は、生理学的な神経興奮性の現象、特に、記銘のプロセスに含まれる現象に最も大きく関与する受容体であると思われる。例えば、学習は、海馬(海馬は、記憶及び認識のプロセスに不可欠な脳内領域の1つである)におけるAMPA受容体へのAMPAの結合の増加に関連することが示されている。同様に、アニラセタムなどの向知性薬が神経細胞のAMPA受容体を正に調節するということが、最近になって記述された(Journal of Neurochemistry,1992,58,1199−1204)。
【0005】
文献において、ベンズアミド構造を有する化合物が、同様の作用機序を有していて、記憶を向上させるということが記述されている(Synapse,1993,15,326−329)。特に、化合物BA74は、それらの新規な薬理学的な物質の内で最も活性が高い。
【0006】
最後に、特許明細書EP692484には、AMPAの流れを促進する作用を有するベンゾチアジアジン化合物が記述されており、特許出願WO99/42456には、AMPA受容体のモジュレーターとして、特定のベンゾチアジアジン化合物が記述されている。
【0007】
本発明に関連するチアジアジン化合物は、新規であることに加えて、驚くべきことに、先行技術で記述された類似構造を有する化合物の活性よりも著しく優れたAMPA流に対する薬理学的活性を示す。それらは、年齢、不安又は抑鬱症候群、進行性神経変性疾患、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン舞踏病、統合失調症、急性神経変性疾患の後遺症、虚血の後遺症及び癲癇の後遺症に関連する、記憶及び認識の疾患を治療又は予防するためのAMPAモジュレータとして有用である。
【0008】
より詳細には、本発明は式(I):
【0009】
【化28】

【0010】
[式中、
◆ Aは、それを担持している2個の炭素原子と一緒に、基A、基A、基A
【0011】
【化29】

【0012】
[式中、Xは、それぞれの場合において、硫黄原子、酸素原子又は窒素原子を表し、R及びRは、同一でも又は異なっていてもよく、それぞれ互いに独立して、水素原子、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル基(ここで、該アルキル基は、1個以上のフッ素原子で場合により置換されていてもよい)、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基(ここで、該アミノ基は、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキルカルボニル基か、1若しくは2の直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル基で場合により置換されていてもよい)、カルボキシル基、又は、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルコキシカルボニル基を表す]
から選択されるチエニル基、フリル基又はピロリル基を形成しているか;
基A、基A、基A、基A
【0013】
【化30】

【0014】
[式中、Rは、上記で定義されているとおりである]
から選択されるオキサチオール基を形成しているか;
基A、基A
【0015】
【化31】

【0016】
[式中、Rは、上記で定義されているとおりである]
から選択されるチアゾール基を形成しているか;
基A10、基A11
【0017】
【化32】

【0018】
[式中、Rは、上記で定義されているとおりである]
から選択されるイソチアゾール基を形成しているか;
基A12、基A13、基A14、基A15
【0019】
【化33】

【0020】
[式中、Rは、上記で定義されているとおりである]
から選択されるオキサゾール基を形成しているか;
又は、
式A16
【0021】
【化34】

【0022】
[式中、Rは、上記で定義されているとおりである]
で表されるイミダゾール基を形成しており;

【0023】
【化35】

【0024】
は、単結合又は二重結合を表し;
◆ Rは、水素原子、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル基(ここで、該アルキル基は、1個以上のフッ素原子又はフッ素以外の1個以上のハロゲン原子で場合により置換されていてもよい)、又は、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル基(ここで、各アルキル部分は直鎖又は分枝鎖であり得る)を表し;
◆ Rは、水素原子、又は、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル基(ここで、該アルキル基は、1個以上のフッ素原子又はフッ素以外の複数のハロゲン原子で場合により置換されていてもよい)を表し;
◆ Rは、水素原子を表すか、又は、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル、CONHR’及びSONHR’(ここで、R’は直鎖又は分枝鎖の(C〜C)アルキル基を表す)から選択される基を表す]
で表される化合物、それらのエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びに、それらの製薬上許容される酸又は塩基との付加塩に関する。
【0025】
製薬上許容される酸の中では、限定するものではないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、ホスホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸及びショウノウ酸などを挙げることができる。
【0026】
製薬上許容される塩基の中では、限定するものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン及びt−ブチルアミンなどを挙げることができる。
【0027】
好ましい基Aは、基A、基A及び基A(ここで、Xは硫黄原子を表す)から選択されるチエニル基である。
【0028】
さらに好ましくは、好ましい基Aは、基A及び基A(ここで、Xは硫黄原子を表す)から選択されるチエニル基である。
【0029】
好ましい基R及び基Rは、互いに独立して、水素原子及び塩素原子である。
【0030】
好ましい基Rは、水素原子、又は、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル基、好ましくは、メチル基、エチル基若しくはイソプロピル基である。
【0031】
好ましい基Rは、水素原子である。
好ましい基Rは、水素原子、又は、CONHR’基(ここで、R’は、式(I)に関して定義されているとおりである)である。
【0032】
本発明で好ましい化合物は
・ 6−クロロ−4−エチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド;
・ 6−クロロ−4−イソプロピル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド;
及び
・ 5,7−ジクロロ−4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド;
である。
【0033】
本発明は、式(I)で表される化合物を調製する方法であって式(II):
【0034】
【化36】

【0035】
[式中、A及び
【0036】
【化37】

【0037】
は、式(I)に関して定義されているとおりである]
で表される化合物を出発材料として使用して、
式(II)で表される化合物を、式(III):
【0038】
【化38】

【0039】
[式中、Rは式(I)に関して定義されているとおりである]
で表される化合物の存在下で環化して、式(IV):
【0040】
【化39】

【0041】
[式中、A、R及び
【0042】
【化40】

【0043】
は、上記で定義されているとおりである]
で表される化合物を生成させ;
生成した式(IV)の化合物を、
・ 還元剤と反応させて、式(I/a):
【0044】
【化41】

【0045】
[式中、A、R及び
【0046】
【化42】

【0047】
は、上記で定義されているとおりである]
で表される化合物(この化合物は、式(I)で表される化合物の特別な例である)を生成させ;
生成した式(I/a)の化合物を、場合により、二炭酸ジ(t−ブチル)と反応させて式(V):
【0048】
【化43】

【0049】
[式中、Bocは基t−ブトキシカルボニルを表し、A、R及び
【0050】
【化44】

【0051】
は、上記で定義されているとおりである]
で表される化合物を生成させ;
生成した式(V)の化合物を式(VI):
【0052】
【化45】

【0053】
[式中、R'は、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル基を表すか、又は、CONHR’基若しくはSONHR’基(ここで、R’は式(I)に関して定義されているとおりである)を表し、Yは脱離基を表す]
で表される化合物と反応させ、脱保護した後、式(I/b):
【0054】
【化46】

【0055】
[式中、A、R、R'及び
【0056】
【化47】

【0057】
は上記で定義されているとおりである]
で表される化合物(この化合物は、式(I)で表される化合物の特別な例である)を生成させる;
又は、
・ 塩基性媒体中で、式(VII):
【0058】
【化48】

【0059】
[式中、R'は直鎖又は分枝鎖の(C〜C)アルキル基(ここで、該アルキル基は、1個以上のフッ素原子又は複数のハロゲン原子で場合により置換されていてもよい)を表し、Yは脱離基を表す]
で表される化合物と反応させて、式(VIII):
【0060】
【化49】

【0061】
[式中、A、R'、R及び
【0062】
【化50】

【0063】
は上記で定義されているとおりである]
で表される化合物を生成させ;
生成した式(VIII)の化合物を還元剤と反応させて、式(I/c):
【0064】
【化51】

【0065】
[式中、A、R'、R及び
【0066】
【化52】

【0067】
は上記で定義されているとおりである]
で表される化合物(この化合物は、式(I)で表される化合物の特別な例である)を生成させ;
生成した式(I/c)の化合物を、場合により、上記で定義されている式(VI)で表される化合物と反応させて、式(I/d):
【0068】
【化53】

【0069】
[式中、A、R'、R、R'及び
【0070】
【化54】

【0071】
は上記で定義されているとおりである]
で表される化合物(この化合物は、式(I)で表される化合物の特別な例である)を生成させ;
式(I/a)〜式(I/d)で表される上記化合物は、式(I)で表される化合物全体を構成するが、必要な場合には、この式(I/a)〜式(I/d)の化合物を慣習的な精製技術により精製し、また、必要に応じて、慣習的な分離技術によりそれらのエナンチオマー又はジアステレオ異性体に分離し、また、必要に応じて、それらの製薬上許容される酸又は塩基との付加塩に変換することを特徴とする方法に関する。
【0072】
本発明の化合物は、新規であることに加えて、AMPA受容体を活性化する特性を有している。本発明化合物は、そのような特性を有していることにより、脳の老化に関連する認知障害の治療、並びに、アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、コルサコフ病、前頭葉痴呆及び皮質下痴呆などの神経変性病の治療において有用であり、さらに、統合失調症の治療において有用である。
【0073】
本発明は、さらにまた、1種以上の適切で不活性かつ非毒性の賦形剤と一緒に、活性成分として式(I)で表される少なくとも1種の化合物を含む医薬組成物にも関する。本発明の医薬組成物の中では、特に、経口投与、非経口投与(静脈内投与又は皮下投与)又は鼻内投与に適したもの、錠剤、糖衣剤、舌下錠、ゼラチンカプセル剤、ロゼンジ剤、坐剤、クリーム剤、軟膏剤、皮膚用ゲル剤(dermal gels)、注射可能調製物、飲用懸濁液などを挙げることができる。
【0074】
疾患の種類とその重症度、投与経路、並びに、患者の年齢及び体重に応じて、有効な用量を適合させることができる。用量は、1回以上の投与で、1日あたり0.01〜500mgの範囲内である。
【0075】
以下の実施例により本発明を例証するが、該実施例は、決して本発明を限定するものではない。
【0076】
用いる出発物質は、既知生成物であるか、又は、既知調製方法により調製される生成物である。
【0077】
実施例において記述した化合物の構造は、慣習的な分光測光技術(赤外線、NMR、質量分析法)により決定した。
【0078】
調製1:6−クロロ−4H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
3−アミノ−5−クロロ−2−チオフェンスルホンアミド塩酸塩(250mg)(J.Med.Chem.,2002,4171−4187)をo−ギ酸トリエチル(2.5mL)の中に入れた。この溶液を約60℃で30分間加熱した。黄色の粒状沈澱物が形成された。その粒状沈澱物を濾過により採取し、ジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥させた。
【0079】
【表1】

【0080】
調製2:5,7−ジクロロ−4H−チエノ[3,4−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
ステップA:2,5−ジクロロ−4−ニトロ−3−チオフェンスルホニルクロリド
硫酸(30mL)と発煙硝酸(30mL)の混合物を塩含有氷浴を用いて冷却した。この混合物に、2,5−ジクロロ−3−チオフェンスルホニルクロリド(10g)を徐々に添加した。得られた溶液を周囲温度で3時間撹拌し、次いで、氷の上に注いだ。形成された黄色みを帯びた沈澱物を濾過により採取し、水で洗浄し、乾燥させた。
【0081】
【表2】

【0082】
ステップB:2,5−ジクロロ−4−ニトロ−3−チオフェンスルホンアミド
上記ステップAの化合物(11g)をジオキサン(150mL)に溶解させた。この溶液を、10%水酸化アンモニウム溶液(300mL)に滴下して加えた。1時間経過した後、減圧下に、アンモニア及びジオキサンを蒸発させた。形成された白色の沈澱物を濾過により採取し、水で洗浄し、乾燥させた。
【0083】
【表3】

【0084】
ステップC:4−アミノ−2,5−ジクロロ−3−チオフェンスルホンアミド
上記ステップBの化合物(7.25g)を、1:1のエタノール/水混合物(375mL)の中に入れた。この溶液を、生成物が溶解するまで加熱した。次いで、塩化アンモニウム(4.5g)を添加した後、粉末化鉄(15g)を添加した。10分間還流した後、反応を終結させた。不溶性物質を濾過により除去し、少量の熱エタノールで洗浄した。濾液を減圧下に蒸発させた。形成されたベージュ色の沈澱物を濾過により採取し、水で洗浄した後、乾燥させた。
【0085】
【表4】

【0086】
ステップD:5,7−ジクロロ−4H−チエノ[3,4−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
上記ステップCの化合物(250mg)をオルトギ酸トリメチル(2.5mL)に溶解させた。この溶液を開放容器内で沸騰させた。1.5時間経過した後、反応が完結していた。溶液を冷却し、それにより、ベージュ色の沈澱物が生成した。その沈澱物を濾過により採取し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。
融点:200〜203℃
【0087】
実施例1:6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
調製1の化合物(196mg)を水(4mL)の中に入れた。NaBH(500mg)を徐々に添加した。15分間経過した後、反応が完了していた。次いで、得られた溶液のpHを5〜6に調節し、生成物をジクロロメタンを用いて抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、次いで、減圧下に蒸発させた。残渣を最少量のメタノールの中に入れ、水を加えて生成物を沈澱させた。その生成物を濾過により採取し、水で洗浄した後、乾燥させた。
融点:154〜156℃
【0088】
実施例2:6−クロロ−4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
ステップA:6−クロロ−4−メチル−4H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
調製1の化合物(250mg)をアセトニトリル(5mL)とジメチルホルムアミド(0.5mL)の中に入れた。炭酸カリウム(500mg)及びヨウ化メチル(0.3mL)を添加した。得られた溶液を約55℃で約7時間加熱した。反応の終わりに、溶媒を減圧下に除去し、残渣を水の中に入れた。不溶性物質を濾過により手早く採取し、水で洗浄した後、乾燥させた。
【0089】
【表5】

【0090】
ステップB:6−クロロ−4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
上記ステップAの化合物(200mg)をイソプロパノール(5mL)に溶解させた。この溶液を、約60℃で加熱し、NaBH(400mg)を添加した。20分間経過した後、減圧下に溶媒を除去し、残渣を水の中に入れた。pHを約5〜6に調節し、生成物を3×10mLのクロロホルムで抽出した。次いで、有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過した後、減圧下に濃縮した。残渣を最少量のクロロホルムの中に入れ、次いで、ヘキサンを添加することにより生成物を沈澱させた。その生成物を濾過により採取し、ヘキサンで洗浄し、乾燥させた。
【0091】
【表6】

【0092】
実施例3:6−クロロ−4−エチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
ステップA:6−クロロ−4−エチル−4H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
この化合物は、ヨウ化メチルの代わりにブロモエタンを使用して、実施例2ステップAで記述した調製方法に準じて得た。
【0093】
【表7】

【0094】
ステップB:6−クロロ−4−エチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
この化合物は、上記ステップAの化合物を使用して、実施例2ステップBで記述した調製方法に準じて得た。
【0095】
【表8】

【0096】
実施例4:6−クロロ−4−イソプロピル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
ステップA:6−クロロ−4−イソプロピル−4H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
調製1の化合物(400mg)を、アセトニトリル(8mL)とジメチルホルムアミド(数滴)に溶解させた。次いで、炭酸カリウム(800mg)を添加した後、2−ヨードプロパン(0.6mL)を添加した。この混合物を約55℃に加熱した。8時間経過した後、2−ヨードプロパン(0.6mL)をさらに添加し、反応混合物を一晩撹拌した。減圧下に溶媒を蒸発させ、残渣を水の中に入れた。得られた不溶性物質を濾過により手早く採取し、水で洗浄し、最少量の熱メタノールに溶解させた。冷却することにより、白色の結晶が生成した。この白色の結晶を濾過により採取し、メタノールで洗浄した後、乾燥させた。
【0097】
【表9】

【0098】
ステップB:6−クロロ−4−イソプロピル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
この化合物は、上記ステップAの化合物を使用して、実施例2ステップBで記述した調製方法に準じて得た。
【0099】
【表10】

【0100】
実施例5:5,7−ジクロロ−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
調製2の化合物(800mg)を水(15mL)に懸濁させ、それに、微粉砕したNaBH(2g)を徐々に添加した。周囲温度で10分間撹拌した後、6N塩酸を用いて反応混合物をpH6に調節し、ジクロロメタンで2回抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に溶媒を除去した。残渣を最少量のメタノールに溶解させ、活性炭で処理し、次いで、それ以上沈澱しなくなるまで水を添加した。次いで、沈澱物を濾過により採取し、最少量のメタノールに溶解させて水を添加することにより2回精製した。
融点:125〜130℃
【0101】
実施例6:5,7−ジクロロ−4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
ステップA:5,7−ジクロロ−4−メチル−4H−チエノ[3,4−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
調製2の化合物(200mg)を、ニトロエタン(2mL)とジメチルホルムアミド(2mL)に溶解させた。この溶液を60℃に加熱した。次いで、炭酸カリウム(0.2g)を添加した後、ヨードメタン(0.2mL)を添加した。その溶液を2時間撹拌した。次いで、減圧下に溶媒を除去した。残渣を水の中に入れた。不溶性物質を濾過により手早く採取し、水で洗浄し、乾燥させた。
【0102】
【表11】

【0103】
ステップB:5,7−ジクロロ−4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
上記ステップAの化合物(500mg)を60℃でイソプロパノール(15mL)に溶解させた。次いで、その溶液に、微粉砕したNaBH(1.5g)を添加した。30分間経過した後、減圧下にイソプロパノールを蒸発させた。次いで、残渣を水の中に入れ、得られた溶液のpHを7に調節した。次いで、その溶液をクロロホルム(3×40mL)で抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、濾過した後、減圧下に蒸発乾固させた。残渣を最少量のクロロホルムの中に入れ、ヘキサンを徐々に添加して生成物を沈澱させた。その生成物を濾過により採取し、ヘキサンで洗浄し、次いで、乾燥させた。
【0104】
【表12】

【0105】
実施例7:5,7−ジクロロ−4−エチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
ステップA:5,7−ジクロロ−4−エチル−4H−チエノ[3,4−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
調製2ステップCの化合物(4g)をオルトギ酸トリエチル(20mL)の中に入れ、開放容器内で170℃で30分間加熱した。得られた懸濁液を、次いで、氷上で冷却した。形成された沈澱物を濾過により採取し、n−ヘキサンで洗浄し、乾燥させた。
融点:172〜175℃
【0106】
ステップB:5,7−ジクロロ−4−エチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
上記ステップAの化合物(0.5g)をイソプロパノール(20mL)に溶解させた。この溶液を60℃に加熱し、それに、微粉砕したNaBH(1.5g)を添加した。30分間経過した後、減圧下に溶媒を除去した。残渣を水(30mL)の中に入れ、得られた懸濁液を、6N塩酸を添加することにより中和した。得られた溶液をクロロホルムで2回抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下に溶媒を除去した。残渣をヘキサンの中に入れ、濾過により採取し、n−ヘキサンで洗浄し、乾燥させた。
融点:144〜147℃
【0107】
実施例8:6−クロロ−N,4−ジエチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン−2−カルボキサミド 1,1−ジオキシド
実施例3の化合物(200mg)をCHCN(1.5mL)に溶解させた。次いで、この溶液に、イソシアン酸エチル(1mL)及びトリエチルアミン(0.2mL)を添加した。得られた反応混合物を周囲温度で2時間撹拌した。その撹拌期間の終わりに、減圧下に溶媒を除去した。残渣を最少量のアセトンに溶解させた。次いで、水を徐々に添加することにより、生成物を沈澱させた。その生成物を濾過により手早く採取し、水で洗浄した後、乾燥させた。
融点:80〜81℃
【0108】
実施例9:6−クロロ−N−エチル−4−イソプロピル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン−2−カルボキサミド 1,1−ジオキシド
この化合物は、実施例3の化合物の代わりに実施例4の化合物を使用して、実施例8の調製方法に準じて得た。
融点:72〜74℃
【0109】
実施例10:5,7−ジクロロ−N−エチル−4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−e][1,2,4]−チアジアジン−2−カルボキサミド 1,1−ジオキシド
この化合物は、実施例3の化合物の代わりに実施例6の化合物を使用して、実施例8の調製方法に準じて得た。
融点:87〜88℃
【0110】
実施例11:6−クロロ−4−(2−フルオロエチル)−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]−チアジアジン 1,1−ジオキシド
ステップA:6−クロロ−4−(2−フルオロエチル)−4H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
調製1の化合物(500mg)をアセトニトリル(10mL)に懸濁させた。その懸濁液に、DMF(10滴)、炭酸カリウム(1g)及び1−フルオロ−2−ヨードエタン(0.3mL)を添加した。得られた反応混合物を、撹拌しながら、70℃で35時間加熱した。その反応混合物を冷却した後、不溶性物質を濾過により除去した。減圧下に蒸発させることにより溶媒を除去した。得られた固体残渣を水(10mL)の中に入れ、すぐに、濾過により採取した。得られた生成物を酢酸エチルから再結晶させた。
融点:185〜187℃
【0111】
ステップB:6−クロロ−4−(2−フルオロエチル)−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]−チアジアジン 1,1−ジオキシド
上記ステップAで得た化合物(100mg)をイソプロパノール(4mL)に溶解させた。この混合物を60℃に加熱し、次いで、水素化ホウ素ナトリウム(200mg)を添加した。その温度で10分間経過した後、減圧下に溶媒を蒸発させた。得られた残渣を水(10mL)の中に入れ、氷浴内で冷却し、6N塩酸を添加することによりpH4に調節した。不溶性物質を濾過により採取し、水で洗浄した。次いで、生成物を最少量のクロロホルムに溶解させ、n−ヘキサンを添加することにより沈澱させた。その沈澱物を、次いで、濾過により採取した。
融点:141〜144℃
【0112】
実施例12:4,7−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[2,3−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
ステップA:7−メチル−4H−チエノ[2,3−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
2−アミノ−4−メチルチオフェン−3−スルホンアミド(200mg)(これの調製方法は、特許WO99/03861に記述されている)をオルトギ酸トリメチル(1.5mL)に溶解させた。この混合物を、開放容器内で90℃で2時間加熱した。減圧下に溶媒を蒸発させた後、残渣を酢酸エチル(3mL)の中に入れた。得られた不溶性物質を濾過により採取し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。
融点:195〜198℃
【0113】
ステップB:4,7−ジメチル−4H−チエノ[2,3−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
上記ステップAで得た化合物(150mg)をアセトニトリル(5mL)に懸濁させた。それに、炭酸カリウム(300mg)及びヨードメタン(0.15mL)を添加した。得られた反応混合物を、撹拌しながら、65℃で30分間加熱した。減圧下に溶媒を蒸発させた後、残渣を水(5mL)の中に入れ、次いで、濾過により採取し、水で洗浄し、乾燥させた。
融点:265〜270℃
【0114】
ステップC:4,7−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[2,3−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
上記ステップBで得た化合物(120mg)をイソプロパノール(6mL)に溶解させ、それに、水素化ホウ素ナトリウム(240mg)を添加した。この混合物を50℃で10分間加熱した。減圧下に溶媒を除去し、次いで、得られた残渣を水(5mL)の中に入れた。得られた溶液のpHを、6N塩酸を添加することにより4に調節した。沈澱物を濾過により採取し、水で洗浄し、乾燥させた。
融点:171〜173℃
【0115】
実施例13:6−クロロ−4−イソプロピルメチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]−チアジアジン 1,1−ジオキシド
ステップA:6−クロロ−4−フルオロメチル−4H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド
調製1の化合物(500mg)をアセトニトリル(15mL)に懸濁させた。それに、炭酸カリウム(500mg)及びブロモフルオロメタン(1mL)を添加した。この混合物を密封したオートクレーブの中に入れ、70℃で8時間加熱した。次いで、不溶性物質を濾過により除去した。溶媒を蒸発させた後、残渣を水(20mL)の中に入れ、フィルター上に採取した。得られた固体をメタノールから再結晶させた。
【0116】
ステップB:6−クロロ−4−イソプロピルメチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]−チアジアジン 1,1−ジオキシド
上記ステップAで得た化合物(200mg)をイソプロパノール(8mL)に懸濁させ、それに、水素化ホウ素ナトリウム(400mg)を添加した。この混合物を、撹拌しながら、50℃で10分間加熱した。不溶性物質を濾過により除去した。減圧下に溶媒を蒸発させた後、残渣を、酢酸エチル/n−ヘキサン混合物(15/5)(1mL)の中に入れ、同一の移動相のカラムクロマトグラフィーで精製した。溶媒を蒸発させた後、残渣をメタノール(1mL)に溶解させ、水中で沈澱させた。得られた固体生成物を濾過により採取し、水で洗浄し、乾燥させた。
融点:65〜68℃。
【0117】
本発明化合物の薬理学的試験
実施例A
アフリカツメガエル(Xenopus)の卵母細胞においてAMPAによりに誘発される興奮性電流の試験
グアニジニウムチオシアネート/フェノール/クロロホルム法により、雄ウィスターラットの大脳皮質からmRNAを調製した。ポリ−(A)mRNAを、オリゴ−dTセルロースのクロマトグラフィーにより単離し、卵母細胞1つ当たり50ngの量で注入した。卵母細胞を18℃で2日間〜3日間インキュベートして受容体を発現させ、8〜10℃で保存した。
【0118】
電気生理学的記録を、2つの電極を用いる「電位固定(voltage-clamp)」法(第3の電極は、基準とするために浴中に置いた)により、OR2媒体(J.Exp.Zool.,1973,184,321−334)中、Plexiglass(登録商標)チャンバーにおいて、20〜24℃で実施した。
【0119】
インキュベーション媒体を介して全ての化合物を適用し、適用期間の終了時に電流を測定した。(S)−AMPAは、10μMの濃度で使用した。試験したそれぞれの化合物について、AMPA単独により誘発される電流の強度(5〜50nA)を2倍にする濃度(EC2×)又は5倍にする濃度(EC5×)を測定した。
【0120】
本発明の化合物は、(S)−AMPAにより誘発される興奮性作用を著しく増強する。例証として、実施例4〜実施例6の化合物は、下記表に挙げてあるEC2×値及びEC5×値を示した。
【0121】
【表13】

【0122】
実施例B
ラットの海馬切片において電気的な刺激により誘発される興奮性シナプス後電位(EPSP)の試験
ティッシュチョッパーを用いて雄ウィスターラットの海馬の横断切片(500μM)を調製し、次いで、Mg2+(10mM)を含んでいるカルシウム非含有媒体中で45分間インキュベートした。次いで、それらを、pH7.35に調節してあるクレブス液中で安定させ、周囲温度で、O/CO(95%/5%)を用いて酸素化した。
【0123】
上記切片を30℃で水中に入れ、タングステン双極電極を用いて貫通路に30秒おきに刺激(50〜100μA,50μ秒)を加えている間中、歯状回の顆粒細胞の樹状領域で興奮性シナプス後電位(EPSP)を記録した。
【0124】
EPSPを獲得し、A−Dコンバーター、TL−1インターフェース及び「pCLAMP」ソフトウェアを用いて解析した。
【0125】
EPSPの振幅と持続時間について、ベース電流に対する陰性波で評価した。
【0126】
NMDA受容体の活性化をブロックするために、化合物は、MgSO(1mM)を含んでいる過冷却浴内で10分間適用した。各化合物について、PSEPの振幅を50%増大させる濃度(A50)又はPSEPの持続時間を50%長くする濃度(D50)を測定した。
【0127】
本発明化合物は、ラットの海馬切片で記録した興奮性シナプス後電場電位の振幅及び持続時間を著しく増大させた。
【0128】
医薬組成物:
それぞれが10mgを含んでいる錠剤1000錠についての調製処方
実施例3の化合物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g
ヒドロキシプロピルセルロース・・・・・・・・・・・・・・・・2g
小麦デンプン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g
乳糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100g
ステアリン酸マグネシウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・3g
タルク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
◆ Aは、それを担持している2個の炭素原子と一緒に、基A、基A、基A
【化2】


[式中、Xは、それぞれの場合において、硫黄原子、酸素原子又は窒素原子を表し、R及びRは、同一でも又は異なっていてもよく、それぞれ互いに独立して、水素原子、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル基(ここで、該アルキル基は、1個以上のフッ素原子で場合により置換されていてもよい)、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基(ここで、該アミノ基は、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキルカルボニル基又は1若しくは2の直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル基で場合により置換されていてもよい)、カルボキシル基、又は、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルコキシカルボニル基を表す]
から選択されるチエニル基、フリル基又はピロリル基を形成しているか;
基A、基A、基A、基A
【化3】


[式中、Rは、上記で定義されているとおりである]
から選択されるオキサチオール基を形成しているか;
基A、基A
【化4】


[式中、Rは、上記で定義されているとおりである]
から選択されるチアゾール基を形成しているか;
基A10、基A11
【化5】


[式中、Rは、上記で定義されているとおりである]
から選択されるイソチアゾール基を形成しているか;
基A12、基A13、基A14、基A15
【化6】


[式中、Rは、上記で定義されているとおりである]
から選択されるオキサゾール基を形成しているか;
又は、
式A16
【化7】


[式中、Rは、上記で定義されているとおりである]
で表されるイミダゾール基を形成しており;

【化8】


は、単結合又は二重結合を表し;
◆ Rは、水素原子、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル基(ここで、該アルキル基は、1個以上のフッ素原子又はフッ素以外の1個以上のハロゲン原子で場合により置換されていてもよい)、又は、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル基(ここで、各アルキル部分は直鎖又は分枝鎖であり得る)を表し;
◆ Rは、水素原子、又は、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル基(ここで、該アルキル基は、1個以上のフッ素原子又はフッ素以外の複数のハロゲン原子で場合により置換されていてもよい)を表し;
◆ Rは、水素原子を表すか、又は、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル、CONHR’及びSONHR’(ここで、R’は直鎖又は分枝鎖の(C〜C)アルキル基を表す)から選択される基を表す]
で表される化合物、それらのエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びに、それらの製薬上許容される酸又は塩基との付加塩。
【請求項2】
Aが、基A、基A及び基A(ここで、Xは硫黄原子を表す)から選択されるチエニル基を表す、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、それらのエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びに、それらの製薬上許容される酸又は塩基との付加塩。
【請求項3】
Aが、基A及び基A(ここで、Xは硫黄原子を表す)から選択されるチエニル基を表す、請求項1又は請求項2に記載の式(I)で表される化合物、それらのエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びに、それらの製薬上許容される酸又は塩基との付加塩。
【請求項4】
及びRが、それぞれ互いに独立して、水素原子又は塩素原子を表す、請求項2又は請求項3に記載の式(I)で表される化合物、それらのエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びに、それらの製薬上許容される酸又は塩基との付加塩。
【請求項5】
が、水素原子を表すか、又は、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル基、好ましくは、メチル基、エチル基若しくはイソプロピル基を表す、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、それらのエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びに、それらの製薬上許容される酸又は塩基との付加塩。
【請求項6】
が水素原子を表す、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、それらのエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びに、それらの製薬上許容される酸又は塩基との付加塩。
【請求項7】
が、水素原子を表すか、又は、CONHR’(ここで、R’は式(I)に関して定義されているとおりである)を表す、請求項1に記載の式(I)で表される化合物、それらのエナンチオマー及びジアステレオ異性体、並びに、それらの製薬上許容される酸又は塩基との付加塩。
【請求項8】
・ 6−クロロ−4−エチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド;
・ 6−クロロ−4−イソプロピル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,2−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド;
及び
・ 5,7−ジクロロ−4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−e][1,2,4]チアジアジン 1,1−ジオキシド;
から選択される、請求項1に記載の式(I)で表される化合物。
【請求項9】
式(II):
【化9】


[式中、A及び
【化10】


は、式(I)に関して定義されているとおりである]
で表される化合物から出発して、式(I)で表される化合物を調製する方法であって、
式(II)で表される化合物を、式(III):
【化11】


[式中、Rは式(I)に関して定義されているとおりである]
で表される化合物の存在下で環化して、式(IV):
【化12】


[式中、A、R及び
【化13】


は、上記で定義されているとおりである]
で表される化合物を生成させ;
生成した式(IV)の化合物を、
・ 還元剤と反応させて、式(I/a):
【化14】


[式中、A、R及び
【化15】


は、上記で定義されているとおりである]
で表される化合物(この化合物は、式(I)で表される化合物の特別な例である)を生成させ;
生成した式(I/a)の化合物を、場合により、二炭酸ジ(t−ブチル)と反応させて式(V):
【化16】


[式中、Bocは基t−ブトキシカルボニルを表し、A、R及び
【化17】


は、上記で定義されているとおりである]
で表される化合物を生成させ;
生成した式(V)の化合物を式(VI):
【化18】


[式中、R'は、直鎖若しくは分枝鎖の(C〜C)アルキル基を表すか、又は、CONHR’基若しくはSONHR’基(ここで、R’は式(I)に関して定義されているとおりである)を表し、Yは脱離基を表す]
で表される化合物と反応させ、脱保護した後、式(I/b):
【化19】


[式中、A、R、R'及び
【化20】


は上記で定義されているとおりである]
で表される化合物(この化合物は、式(I)で表される化合物の特別な例である)を生成させる;
又は、
・ 塩基性媒体中で、式(VII):
【化21】


[式中、R'は直鎖又は分枝鎖の(C〜C)アルキル基(ここで、該アルキル基は、1個以上のフッ素原子又は複数のハロゲン原子で場合により置換されていてもよい)を表し、Yは脱離基を表す]
で表される化合物と反応させて、式(VIII):
【化22】


[式中、A、R'、R及び
【化23】


は上記で定義されているとおりである]
で表される化合物を生成させ;
生成した式(VIII)の化合物を還元剤と反応させて、式(I/c):
【化24】


[式中、A、R'、R及び
【化25】


は上記で定義されているとおりである]
で表される化合物(この化合物は、式(I)で表される化合物の特別な例である)を生成させ;
生成した式(I/c)の化合物を、場合により、上記で定義されている式(VI)で表される化合物と反応させて、式(I/d):
【化26】


[式中、A、R'、R、R'及び
【化27】


は上記で定義されているとおりである]
で表される化合物(この化合物は、式(I)で表される化合物の特別な例である)を生成させ;
式(I/a)〜式(I/d)で表される上記化合物は、式(I)で表される化合物全体を構成するが、必要な場合には、この式(I/a)〜式(I/d)の化合物を慣習的な精製技術により精製し、また、必要に応じて、慣習的な分離技術によりそれらのエナンチオマー又はジアステレオ異性体に分離し、また、必要に応じて、それらの製薬上許容される酸又は塩基との付加塩に変換する;
前記方法。
【請求項10】
1種以上の不活性で非毒性の製薬上許容される担体と組み合わせて、活性成分として請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項11】
AMPAモジュレーターを必要とする疾患を処置するための医薬の製造において使用するための、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
記憶及び認識の促進因子としての医薬として使用するための、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
統合失調症の処置における医薬として使用するための、請求項11に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2006−525292(P2006−525292A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505830(P2006−505830)
【出願日】平成16年5月4日(2004.5.4)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001070
【国際公開番号】WO2004/099217
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】