説明

チアジアゾリン−1−オキシド誘導体

一般式(I)


(式中、R、RおよびRは、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキルなどを表し、Rは、水素原子などを表し、Rは、置換もしくは非置換の低級アルキルなどを表す)で表されるチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は腫瘍の治療などに有用なチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
臨床上重要な抗癌剤であるビンカアルカロイド類やタキサン類などの薬剤は微小管と結合し、微小管を構造ユニットとする紡錘体の機能を阻害する作用を有している。紡錘体機能は細胞分裂時(細胞周期M期)における中心体の局在や染色体の正確な分離に必須であり、その機能の阻害は、正常な細胞分裂を阻害し癌細胞に細胞死を誘導することが知られている[バイオケミカル・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem.Biophys.Res.Commun.)、263巻、398ページ(1999年)]。
微小管はM期紡錘体の構成分子としてだけでなく、細胞形態の維持や細胞内物質輸送および神経線維の軸索輸送にも関わっているため、微小管作用性の抗癌剤は癌細胞に作用するだけでなく正常細胞に対しても副作用を及ぼす。例えば、微小管作用薬に特徴的な副作用として、神経線維の軸索輸送の阻害による末梢神経障害が臨床上問題となっている。したがって、微小管以外の、細胞周期M期における紡錘体機能制御に重要な分子に作用し、既存の微小管作用性抗癌剤と同様に紡錘体機能を阻害する薬剤は、既存抗癌剤に見られる微小管作用に由来する上記副作用を回避した新しい抗癌剤になると期待される。
M期キネシンはM期紡錘体制御に関わる蛋白質であり、細胞周期のM期進行において必須の役割を担っている。これら蛋白質は、ATP加水分解により生じたエネルギーを利用して、微小管に沿って蛋白質を移動させる機能を有しており、一般に「分子モーター」と呼ばれる機能蛋白質の一群である。M期においては、紡錘体の伸長と維持および紡錘体極と呼ばれる構造体形成に深く関わっており、さらに紡錘体微小管に沿った染色体の移動を通して、正しい細胞分裂の進行を制御している。
M期キネシンイージーファイブ(Eg5)は、進化上保存されたサブファミリーを形成するM期キネシンの一つである。Eg5はホモ四量体の双極性分子であって、2本の同じ向きの微小管を架橋して+(プラス)端方向へ移動させ、逆平行に並んだ2本の微小管の間でスライディングを起こし、微小管の−(マイナス)端同士を遠ざけることで、紡錘体極を分離し、双極性の紡錘体構造の形成に関与することが知られている。このようなEg5の機能については、抗体導入実験や特異的阻害剤を用いたヒト細胞の解析から明らかにされている[セル(Cell)、83巻、1159ページ(1995年);ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー(J.Cell Biol.)、150巻、975ページ(2000年);実験医学、17巻、439ページ(1999年)]。
ヒトEg5の遺伝子は1995年にクローニングされ、昆虫細胞を用いた全長のヒトEg5組換え蛋白質の発現とそれを利用した機能解析が報告されている[セル(Cell)、83巻、1159ページ(1995年)]。遺伝子はGenBank accession number:X85137、NM004523、U37426として公的データベースに登録されている。ヒトEg5と相同性が高いアフリカツメガエル由来のEg5を用いた解析[プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ユーエスエー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、96巻、9106ページ(1999年);バイオケミストリー(Biochemistry)、35巻、2365ページ(1996年)]と同様の手法を用い、大腸菌を用い発現させたヒトEg5のN末端部分を利用し、Eg5に関する生化学的解析および結晶構造解析が報告されている[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biological Chemistry)、276巻、25496ページ(2001年);ケミストリー・バイオロジー(Chemistry&Biology)、9巻、989ページ(2002年)]。
ヒト正常組織におけるEg5の発現は、精巣や胸腺などに限定されることが知られており、また、癌患者の組織を解析した結果より、ヒトEg5は非癌部に比べ癌部において高い発現を示すことが報告されている[プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ユーエスエー(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、99巻、4465ページ(2002年)、US6414121B1]。
以上のように、M期キネシンEg5は新規M期作用薬の標的分子として重要であり、その阻害剤は癌などの細胞増殖制御の異常が原因となる疾患の治療剤として有望と考えられる。
ヒトEg5酵素阻害活性を示す化合物としては、モナスタロール(Monastrol)[サイエンス(Science)、286巻、971ページ(1999年)]、キナゾリン誘導体(WO01/98278)、フェナチアジン誘導体(WO02/057244)、トリフェニルメタン誘導体(WO02/056880)、ジヒドロピリミジン誘導体(WO02/079149,WO02/079169)などが報告されている。
チアジアゾリン誘導体としては、転写因子スタット6(STAT6)活性化阻害活性やインテグリンのアンタゴニスト作用を有するものが知られている(特開2000−229959、WO01/56994)。また、抗菌活性、ACE阻害活性などを有するものも知られている(WO93/22311、ジャーナル・オブ・バングラディシュ・ケミカル・ソサエティ(J.Bangladesh Chem.Soc.)、5巻、127ページ(1992年))。また、チアジアゾリン−1−オキシド誘導体としては、米国特許第6235762号明細書;欧州特許第1004241号明細書;テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Lett.)、37巻、3569ページ(1973年)などに報告があり、2位に窒素原子を介した置換基を有するチアジアゾリン−1−オキシド誘導体も知られている[ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソサエティ・ケミカル・コミュニケーションズ(J.Chem.Soc.Chem.Commun.)、16巻、901ページ(1982年)、ヘテロサイクルズ(Heterocycles)、24巻、21ページ(1986年)]。
【発明の開示】
本発明の目的は、細胞増殖が関わる疾患の治療、例えば悪性腫瘍(乳癌、胃癌、卵巣癌、大腸癌、肺癌、脳腫瘍、喉頭癌、血液系の癌、膀胱癌および前立腺癌を含む尿生殖管の癌、腎癌、皮膚癌、肝癌、膵癌、子宮癌など)、再狭窄、心肥大、免疫疾患などの治療に有用なチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(28)に関する。
(1) 一般式(I)

<式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−C(=W)R[式中、Wは酸素原子または硫黄原子を表し、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−NR(式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、またはRとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)、−OR(式中、Rは置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)または−SR10(式中、R10は前記のRと同義である)を表す]、−NR1112{式中、R11およびR12は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基または−COR13[式中、R13は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−NR7A8A(式中、R7AおよびR8Aは、それぞれ前記のRおよびRと同義である)、−OR9A(式中、R9Aは前記のRと同義である)または−SR10A(式中、R10Aは前記のRと同義である)を表す]を表す}または−SO14(式中、R14は前記のRと同義である)を表すか、またはRとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成し、Rは置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、またはRとRが一緒になって−(CR15A15Bm1−Q−(CR15C15Dm2−{式中、Qは単結合、置換もしくは非置換のフェニレンまたはシクロアルキレンを表し、m1およびm2は同一または異なって0〜4の整数を表すが、m1とm2は同時に0とはならず、R15A、R15B、R15CおよびR15Dは同一または異なって、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、−OR16[式中、R16は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−CONR7B8B(式中、R7BおよびR8Bは、それぞれ前記のRおよびRと同義である)、−SONR7C8C(式中、R7CおよびR8Cはそれぞれ前記のRおよびRと同義である)または−COR17(式中、R17は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)を表す]、−NR1819[式中、R18およびR19は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−COR20(式中、R20は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリールオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノまたは置換もしくは非置換のアリールアミノを表す)または−SO21(式中、R21は前記のRと同義である)を表す]または
−CO22(式中、R22は前記のR17と同義である)を表すか、またはR15AとR15BもしくはR15CとR15Dが一緒になって酸素原子を表し、m1またはm2が2以上の整数であるとき、それぞれのR15A、R15B、R15CおよびR15Dは同一でも異なっていてもよく、隣接するふたつの炭素原子に結合するR15A、R15B、R15CおよびR15Dはそれぞれ一緒になって結合を形成してもよい}を表し、Rは水素原子または−C(=W)R6A(式中、WおよびR6Aはそれぞれ前記のWおよびRと同義である)を表す。ただし、Rが水素、RおよびRがアセチル、ならびにRがフェニルであるとき、Rは水素およびメチルではない>で表されるチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(2) Rが置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニルまたは置換もしくは非置換の低級アルキニルであり、Rが置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の複素環基または置換もしくは非置換のアリールであるか、またはRとRが一緒になって
−(CR15A15Bm1−Q−(CR15C15Dm2−(式中、R15A、R15B、R15C、R15D、m1、m2およびQはそれぞれ前記と同義である)を表す(1)記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(3) Rが置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニルまたは置換もしくは非置換のシクロアルキルである(1)記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(4) Rが置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基である(1)または(2)記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(5) Rが置換もしくは非置換のフェニルまたは置換もしくは非置換のチエニルである(1)または(2)記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(6) Rが置換もしくは非置換の低級アルキルである(1)〜(5)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(7) Rが置換低級アルキルである(1)〜(5)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(8) RとRが一緒になって
−(CR15A15Bm1−Q−(CR15C15Dm2−(式中、R15A、R15B、R15C、R15D、m1、m2およびQはそれぞれ前記と同義である)を表す(1)記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(9) RとRが一緒になって−(CHm1−Q−(CHm2−(式中、m1、m2およびQはそれぞれ前記と同義である)を表す(1)記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(10) Qが置換もしくは非置換のフェニレンである(8)または(9)記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(11) Rが水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルである(1)〜(10)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(12) Rが水素原子である(1)〜(10)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(13) Rが−C(=W)R(式中、WおよびRは、それぞれ前記と同義である)である(1)〜(12)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(14) Rが置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニルまたは置換もしくは非置換のシクロアルキルである(13)記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(15) Rが低級アルキルである(13)記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(16) Wが酸素原子である(13)〜(15)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(17) RとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する(1)〜(10)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(18) Rが−C(=W)R6A(式中、WおよびR6Aは、それぞれ前記と同義である)である(1)〜(17)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(19) R6Aが置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニルまたは置換もしくは非置換のシクロアルキルである(18)記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(20) R6Aが低級アルキルである(18)記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(21) Wが酸素原子である(18)〜(20)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
(22) (1)〜(21)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
(23) (1)〜(21)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するM期キネシンEg5阻害剤。
(24) (1)〜(21)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
(25) (1)〜(21)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするM期キネシンEg5阻害方法。
(26) (1)〜(21)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
(27) M期キネシンEg5阻害剤の製造のための(1)〜(21)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
(28) 抗腫瘍剤の製造のための(1)〜(21)のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
以下、一般式(I)で表される化合物を化合物(I)という。他の式番号の化合物についても同様である。
一般式(I)の各基の定義において、
(i)低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルアミノおよびジ低級アルキルアミノの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキル、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどがあげられる。ジ低級アルキルアミノの2つの低級アルキル部分は、同一でも異なっていてもよい。
(ii)低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜10のアルケニル、具体的にはビニル、アリル、1−プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニルなどがあげられる。
(iii)低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜10のアルキニル、具体的にはエチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニルなどがあげられる。
(iv)シクロアルキルとしては、例えば炭素数3〜8のシクロアルキル、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあげられる。
(v)アリール、アリールオキシおよびアリールアミノのアリール部分としては、例えばフェニル、ナフチルなどがあげられる。
(vi)複素環基としては、例えば脂肪族複素環基、芳香族複素環基などがあげられる。脂肪族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂肪族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂肪族複素環基などがあげられ、具体的にはアゼチジニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、オキサゾリニル、ジオキソラニル、ピペリジノ、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリノ、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペリジニル、ホモピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロベンゾフラニルなどがあげられる。芳香族複素環基としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環基、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環基などがあげられ、具体的にはフリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ベンゾジアゼピニル、フェノチアジニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、ピラニルなどがあげられる。
(vii)隣接する窒素原子と一緒になって形成される複素環基としては、例えば少なくとも1個の窒素原子を含む脂肪族複素環基などがあげられる。該少なくとも1個の窒素原子を含む脂肪族複素環基は、酸素原子、硫黄原子または他の窒素原子を含んでもいてよく、例えば1−ピロリル、ピロリジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ピラゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アジリジニル、アゼチジニル、アゾリジニル、ペルヒドロアゼピニル、ペルヒドロアゾシニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、インドリル、イソインドリル、1,3−ジヒドロイソインドリル、ピロリドニル、スクシンイミジル、グルタルイミジル、ピペリドニルなどがあげられる。
(viii)シクロアルキレンとしては、例えば炭素数3〜8のシクロアルキレン、具体的にはシクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレンなどがあげられ、フェニレンとしては、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンおよび1,4−フェニレンがあげられる。
(ix)ハロゲンはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素の各原子を意味する。
(x)置換低級アルキル、置換低級アルケニル、置換低級アルキニル、置換シクロアルキル、置換低級アルコキシ、置換低級アルキルアミノおよび置換ジ低級アルキルアミノにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜置換可能な数の、好ましくは1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、アジド、シアノ、カルボキシ、
置換もしくは非置換のシクロアルキル{該置換シクロアルキルにおける置換基(a)としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、
ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、ニトロ、アジド、シアノ、カルボキシ、
置換もしくは非置換の低級アルコキシ(該置換低級アルコキシにおける置換基(b)としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、
ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、アミノ、ニトロ、アジド、シアノ、カルボキシ、低級アルコキシ、ヒドロキシ置換低級アルコキシ、低級アルコキシ置換低級アルコキシ、アミノ置換低級アルコキシ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、ヒドロキシ置換低級アルキルアミノ、低級アルコキシ置換低級アルキルアミノ、アミノ置換低級アルキルアミノ、低級アルカノイルアミノ、低級アルコキシカルボニルアミノ、アラルキルアミノ、アラルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、複素環基
などがあげられる)、
置換もしくは非置換の低級アルキルチオ(該置換低級アルキルチオにおける置換基は前記置換低級アルコキシにおける置換基(b)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルカノイル(該置換低級アルカノイルにおける置換基は前記置換低級アルコキシにおける置換基(b)と同義である)、
−NR2324[式中、R23およびR24はそれぞれ同一または異なって、
水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル(該置換低級アルキルにおける置換基は前記置換低級アルコキシにおける置換基(b)と同義である)、置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記置換低級アルコキシにおける置換基(b)と同義である)、置換もしくは非置換の低級アルカノイル(該置換低級アルカノイルにおける置換基は前記置換低級アルコキシにおける置換基(b)と同義である)、アラルキル、アリールまたは複素環基
を表すか、またはR23とR24が隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する(該隣接する窒素原子と一緒になって形成される置換複素環基における置換基は前記低級アルコキシにおける置換基(b)と同義である)]、
アリール、複素環基
などがあげられる}、
−NR2526<式中、R25およびR26は、同一または異なって、
水素原子、ヒドロキシ、アミノ、
置換もしくは非置換の低級アルコキシ(該置換低級アルコキシにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ(該置換低級アルキルアミノにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノ(該置換ジ低級アルキルアミノにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキル{該置換低級アルキルにおける置換基(c)としては、例えば置換数1〜3の
ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、アジド、シアノ、カルボキシ、置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基は後記置換アリールにおける置換基(xii)と同義である)、
置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は後記置換複素環基における置換基(xiii)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルコキシ(該置換低級アルコキシにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキルチオ(該置換低級アルキルチオにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルカノイル(該置換低級アルカノイルにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル(該置換低級アルコキシカルボニルにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
−O(CHCHO)27(式中、nは1〜15の整数を表し、R27は水素原子または低級アルキルを表す)、
−NR2829[式中、R28およびR29は、同一または異なって、
水素原子、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、
置換もしくは非置換の低級アルコキシ(該置換低級アルコキシにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキル(該置換低級アルキルにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルケニル(該置換低級アルケニルにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキニル(該置換低級アルキニルにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基は後記置換アリールにおける置換基(xii)と同義である)、
置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は後記置換複素環基における置換基(xiii)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルカノイル(該置換低級アルカノイルにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルコキシカルボニル(該置換低級アルコキシカルボニルにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニル(該置換低級アルキルスルホニルにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のアロイル(該置換アロイルにおける置換基は後記置換アリールにおける置換基(xii)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリールオキシカルボニル(該置換アリールオキシカルボニルにおける置換基は後記置換アリールにおける置換基(xii)と同義である)または
置換もしくは非置換のアラルキル(該置換アラルキルにおける置換基は後記置換アリールにおける置換基(xii)と同義である)
を表すか、またはR28とR29が隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する(該隣接する窒素原子と一緒になって形成される置換複素環基における置換基は後記置換複素環基における置換基(xiii)と同義である)]、
−CONR3031(式中、R30およびR31はそれぞれ前記R28およびRと同義である)、
−SO32[式中、R32
置換もしくは非置換の低級アルキル(該置換低級アルキルにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルケニル(該置換低級アルケニルにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキニル(該置換低級アルキニルにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基は後記置換アリールにおける置換基(xii)と同義である)、
置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は後記置換複素環基における置換基(xiii)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルコキシ(該置換低級アルコキシにおける置換基は前記置換シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)または
−NR3334(式中、R33およびR34はそれぞれ前記R28およびRと同義である)
を表す]、
−N353637(式中、R35およびR36は同一または異なって低級アルキルを表すか、またはR35とR36が隣接する窒素原子と一緒になって複素環基を形成し、R37は低級アルキルを表し、Xはハロゲンを表す)
などがあげられる}、
置換もしくは非置換の低級アルケニル(該置換低級アルケニルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキニル(該置換低級アルキニルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基は後記置換アリールにおける置換基(xii)と同義である)、
置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は後記置換複素環基における置換基(xiii)と同義である)、
−COR38[式中、R38
置換もしくは非置換の低級アルキル(該置換低級アルキルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルケニル(該置換低級アルケニルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキニル(該置換低級アルキニルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基は後記置換アリールにおける置換基(xii)と同義である)、
置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は後記置換複素環基における置換基(xiii)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルコキシ(該置換低級アルコキシにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリールオキシ(該置換アリールオキシにおける置換基は後記置換アリールにおける置換基(xii)と同義である)または置換もしくは非置換の複素環オキシ(該置換複素環オキシにおける置換基は後記置換複素環における置換基(xiii)と同義である)
を表す]、
−CONR3940(式中、R39およびR40はそれぞれ前記R28およびR29と同義である)、または
−SO41[式中、R41
置換もしくは非置換の低級アルキル(該置換低級アルキルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルケニル(該置換低級アルケニルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキニル(該置換低級アルキニルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基は後記置換アリールにおける置換基(xii)と同義である)、
置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は後記置換複素環基における置換基(xiii)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルコキシ(該置換低級アルコキシにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)または −NR4243(式中、R42およびR43はそれぞれ前記R28およびR29と同義である)
を表す]
を表すか、またはR25とR26が隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する(該隣接する窒素原子と一緒になって形成される置換複素環基における置換基は後記置換複素環基における置換基(xiii)と同義である)を表す>、
−CONR4445(式中、R44およびR45はそれぞれ前記R25およびR26と同義である)、
−COR46[式中、R46
置換もしくは非置換の低級アルキル(該置換低級アルキルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルケニル(該置換低級アルケニルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキニル(該置換低級アルキニルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基は後記置換アリールにおける置換基(xii)と同義である)または
置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は後記置換複素環基における置換基(xiii)と同義である)
を表す]、
−COOR47(式中、R47は前記R46と同義である)、
−SO48[式中、R48
置換もしくは非置換の低級アルキル(該置換低級アルキルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルケニル(該置換低級アルケニルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキニル(該置換低級アルキニルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基は後記置換アリールにおける置換基(xii)と同義である)、
置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は後記置換複素環基における置換基(xiii)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルコキシ(該置換低級アルコキシにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)または
−NR4950(式中、R49およびR50はそれぞれ前記R28およびR29と同義である)
を表す]、
−OR51[式中、R51
置換もしくは非置換の低級アルキル(該置換低級アルキルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルケニル(該置換低級アルケニルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキニル(該置換低級アルキニルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記置換低級アルキルにおける置換基(c)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基は後記置換アリールにおける置換基(xii)と同義である)、
置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は後記置換複素環基における置換基(xiii)と同義である)、
−COR52(式中、R52は前記R48と同義である)、
−SO53(式中、R53は前記R48と同義である)または
−SiR545556(式中、R54、R55およびR56は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ、低級アルキルまたは低級アルコキシを表す)
を表す]、
−SR57(式中、R57は前記R51と同義である)、
−N585960(式中、R58、R59、R60およびXはそれぞれ前記R35、R36、R37およびXと同義である)などがあげられる。
ここで示した低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルコキシカルボニル、低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシ、低級アルカノイルアミノ、低級アルコキシ置換低級アルコキシ、低級アルコキシ置換低級アルキルアミノ、低級アルカノイルアミノ、低級アルコキシカルボニルアミノおよび低級アルキルスルホニルの低級アルキル部分、低級アルケニル、低級アルキニル、シクロアルキルならびにハロゲンは、それぞれ前記は前記低級アルキル(i)、低級アルケニル(ii)、低級アルキニル(iii)、シクロアルキル(iv)およびハロゲン(ix)と同義であり、ヒドロキシ置換低級アルコキシ、アミノ置換低級アルコキシ、低級アルコキシ置換低級アルコキシ、ヒドロキシ置換低級アルキルアミノ、アミノ置換低級アルキルアミノおよび低級アルコキシ置換低級アルキルアミノのアルキレン部分は、前記低級アルキル(i)の定義であげた基から水素原子を一つ除いたものと同義である。ジ低級アルキルアミノにおける2つの低級アルキル部分は同一でも異なっていてもよい。また、ここで示したアリール、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルおよびアロイルのアリール部分、複素環基、複素環オキシにおける複素環基部分ならびに隣接する窒素原子と一緒になって形成される複素環基は、それぞれ前記アリール(v)、複素環基(vi)および隣接する窒素原子と一緒になって形成される複素環基(vii)と同義であり、ここで示したアラルキルおよびアラルキルオキシのアラルキル部分(xi)としては、例えば炭素数7〜15のアラルキル、具体的にはベンジル、フェネチル、ベンズヒドリル、ナフチルメチルなどがあげられる。
(xii)置換アリール、置換アリールオキシ、置換アリールアミノおよび置換フェニレンにおける置換基としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アジド、メチレンジオキシ、
置換もしくは非置換の低級アルキル(該置換低級アルキルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルケニル(該置換低級アルケニルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキニル(該置換低級アルキニルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基(d)としては、同一または異なって例えば置換数1〜3の、
ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アジド、シアノ、カルボキシ、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシ、低級アルカノイルアミノ、メチレンジオキシ、アリール、複素環基
などがあげられる)、
置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は前記置換アリールにおける置換基(d)と同義である)、
−COR61[式中、R61
水素原子、
置換もしくは非置換の低級アルキル(該置換低級アルキルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルケニル(該置換低級アルケニルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキニル(該置換低級アルキニルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基は前記置換アリールにおける置換基(d)と同義である)または
置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は前記置換アリールにおける置換基(d)と同義である)
を表す]、
−COOR62(式中、R62は前記R61と同義である)、
−OR63[式中、R63
置換もしくは非置換の低級アルキル(該置換低級アルキルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルケニル(該置換低級アルケニルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキニル(該置換低級アルキニルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルカノイル(該置換低級アルカノイルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
トリ低級アルキルシリル、
置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基は前記置換アリールにおける置換基(d)と同義である)、
置換もしくは非置換のアラルキル(該置換アラルキルにおける置換基は前記置換アリールにおける置換基(d)と同義である)または
置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は前記置換アリールにおける置換基(d)と同義である)
を表す]、
−SR64(式中、R64は前記R63と同義である)、
−NR6566[式中、R65およびR66は、同一または異なって、
水素原子、ヒドロキシ、
置換もしくは非置換の低級アルキル(該置換低級アルキルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルケニル(該置換低級アルケニルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキニル(該置換低級アルキニルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルコキシ(該置換低級アルコキシにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルカノイル(該置換低級アルカノイルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキルスルホニル(該置換低級アルキルスルホニルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基は前記置換アリールにおける置換基(d)と同義である)、
置換もしくは非置換のアラルキル(該置換アラルキルにおける置換基は前記置換アリールにおける置換基(d)と同義である)、
置換もしくは非置換のアロイル(該置換アロイルにおける置換基は前記置換アリールにおける置換基(d)と同義である)または
置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は前記置換アリールにおける置換基(d)と同義である)
を表すか、またはR65とR66が隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する(該隣接する窒素原子と一緒になって形成される置換複素環基における置換基は前記アリールにおける置換基(d)と同義である)]、
−CONR6768(式中、R67およびR68はそれぞれ前記R65およびR66と同義である)、
−SO69[式中、R69は、
置換もしくは非置換の低級アルキル(該置換低級アルキルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルケニル(該置換低級アルケニルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルキニル(該置換低級アルキニルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のシクロアルキル(該置換シクロアルキルにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換の低級アルコキシ(該置換低級アルコキシにおける置換基は前記シクロアルキルにおける置換基(a)と同義である)、
置換もしくは非置換のアリール(該置換アリールにおける置換基は前記置換アリールにおける置換基(d)と同義である)、
置換もしくは非置換のアラルキル(該置換アラルキルにおける置換基は前記置換アリールにおける置換基(d)と同義である)、
置換もしくは非置換のアロイル(該置換アロイルにおける置換基は前記置換アリールにおける置換基(d)と同義である)、
置換もしくは非置換の複素環基(該置換複素環基における置換基は前記置換アリールにおける置換基(d)と同義である)または
−NR7071(式中、R70およびR71はそれぞれ前記R65およびR66と同義である)
を表す]などがあげられる。
ここで示した低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、トリ低級アルキルシリル、低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシ、低級アルカノイルアミノおよび低級アルキルスルホニルの低級アルキル部分、低級アルケニル、低級アルキニル、シクロアルキルならびにハロゲンは、それぞれ前記低級アルキル(i)、低級アルケニル(ii)、低級アルキニル(iii)、シクロアルキル(iv)およびハロゲン(ix)と同義であり、ジ低級アルキルアミノにおける2つの低級アルキル部分およびトリ低級アルキルシリルにおける3つの低級アルキル部分は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、ここで示したアリールおよびアロイルのアリール部分、複素環基、隣接する窒素原子と一緒になって形成される複素環基ならびにアラルキルは、それぞれ前記アリール(v)、複素環基(vi)、隣接する窒素原子と一緒になって形成される複素環基(vii)およびアラルキル(xi)と同義である。
(xiii)置換複素環基および隣接する窒素原子と一緒になって形成される置換複素環基における置換基としては、前記置換アリールにおける置換基(xii)の定義であげた基に加え、オキソなどがあげられる。
化合物(I)の薬理学的に許容される塩は、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩などを包含する。化合物(I)の薬理学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩などがあげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩などがあげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、例えばモルホリン、ピペリジンなどの付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、例えばリジン、グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの付加塩があげられる。
次に化合物(I)の製造法について説明する。
なお、以下に示す製造法において、定義した基が製造方法の条件下で変化するかまたは方法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で常用される保護基の導入および除去方法[例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T.W.Greenes)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley&Sons Inc.)(1981年)]などを用いることにより、目的化合物を製造することができる。また、必要に応じて置換基導入などの反応工程の順序を変えることもできる。
化合物(I)は、以下の製造法に従い製造することができる。
製造法1

(式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)
化合物(I)は、化合物(II)を、例えばジクロロメタン、水などの反応に不活性な溶媒中、例えばm−クロロ過安息香酸、過酸化水素などの適当な酸化剤で−78℃〜100℃の間の温度で、5分間〜48時間処理することにより得ることができる。適当な酸化剤は、化合物(II)に対して、好ましくは1〜100当量、より好ましくは1〜4当量用いられる。
化合物(II)は以下に示す製造法2〜12に従って製造することができる。
製造法2
化合物(II)のうち、Rが水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基であるか、またはRとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成し、Rが−COR6Aである化合物(IIa)は、公知の方法で[例えばジャーナル・オブ・ヘテロサイクリック・ケミストリー(J.Heterocyclic Chem.)、21巻、599ページ(1984年)など]またはそれらに準じて、化合物(III)と化合物(IV)から、化合物(V)を経て製造することができる。

(式中、R、R、RおよびR6Aはそれぞれ前記と同義であり、Xは塩素、臭素またはヨウ素の各原子を表し、R2aは前記のRの定義のうち水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、またはRとR2aが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)
製造法3
化合物(II)のうち、RおよびRが同一で、−COR6B(式中、R6Bは前記のRと同義である)である化合物(IIb)は、製造法1で得られる化合物(V)のうちR2aが水素原子である化合物(Va)と化合物(VIc)または化合物(VId)から、公知の方法で[例えばジャーナル・オブ・バングラディシュ・ケミカル・ソサエティ(J.Bangladesh Chem.Soc.)、5巻、127ページ(1992年)、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)、45巻、1473ページ(1980年)、東独特許243930など]またはそれらに準じて製造することができる。

(式中、R、R、R、R6BおよびXはそれぞれ前記と同義である)
製造法4
化合物(II)のうち、Rが水素原子であり、Rが−COR6B(式中、R6Bは前記と同義である)である化合物(IIc)は、製造法3で得られる化合物(IIb)から、次の工程によっても製造することができる。

(式中、R、R、RおよびR6Bはそれぞれ前記と同義である)
化合物(IIc)は、化合物(IIb)を、例えば水、エタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルムなどの適当な溶媒中、例えば水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、ヒドラジン一水和物などの適当な塩基の存在下、−10℃〜用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜24時間処理することにより得ることができる。溶媒は、単独でまたは混合して用いることができ、塩基は化合物(IIb)に対し、好ましくは1〜200当量、より好ましくは1〜10当量用いられる。
さらに化合物(IIc)は、以下の方法によっても製造することができる。
化合物(IIc)は、化合物(IIb)を、例えばメタノール、tert−ブタノールなどの溶媒中、還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウムなどの存在下、必要に応じて塩化セリウム七水和物などの存在下、−10℃〜100℃の間の温度で、5分間〜24時間処理することにより得ることができる。還元剤は化合物(IIb)に対し、好ましくは1〜200当量用いられる。
製造法5
化合物(II)のうち、Rが−CORであり、Rが−COR6c(式中、R6cは前記のRと同義である)である化合物(IIe)は、製造法2または製造法4で得られる化合物(IIc−a)から、次の工程によっても製造することができる。

(式中、R、R、R、R、R6cおよびXはそれぞれ前記と同義である)
化合物(IIe)は、化合物(IIc−a)を、無溶媒でまたはアセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタンなどの反応に不活性な溶媒中、適当な塩基、例えばピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、水素化ナトリウムなどの存在下、化合物(VIe)または化合物(VIf)と、−10℃〜150℃の間の温度で、5分間〜24時間反応させることにより得ることができる。化合物(IIc−a)に対し、塩基および化合物(VIe)または化合物(VIf)は、それぞれ好ましくは1〜20当量、より好ましくはそれぞれ1〜3当量用いられる。
製造法6
化合物(II)のうち、Rが−SO14であり、Rが−COR6cである化合物(IIf)は、製造法2または製造法4で得られる化合物(IIc−a)から、例えば新実験化学講座、14巻、1803ページ(丸善株式会社、1978年)などに記載の方法でまたはそれらに準じて製造することができる。

(式中、R、R、R、R6c、R14およびXはそれぞれ前記と同義である)
製造法7
化合物(II)のうち、Rが−NR1112であり、Rが−COR6Aである化合物(IIg)は、インディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Indian J.Chem.)、セクションB、31B(8)巻、547ページ(1992年)に記載の方法でまたはそれに準じて得られる化合物(VIII)から、例えばインディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Indian J.Chem.)、セクションB、31B(8)巻、547ページ(1992年)、ホスフォラス・サルファー・アンド・シリコン・アンド・ザ・リレイテッド・エレメンツ(Phosphorus Sulfur&Silicon&Related Elements)、122巻、307ページ(1997年)などに記載の方法でまたはそれらに準じて製造することができる。

(式中、R、R、R、R6A、R11およびR12はそれぞれ前記と同義である)
製造法8
製造法5で得られる化合物(IIe)のうち、Rが置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基である化合物(IIe−b)は、製造法5で得られる化合物(IIe)のうちRが水素原子である化合物(IIe−a)から、次の工程により製造することもできる。

(式中、R、R、R、R6AおよびXはそれぞれ前記と同義であり、R1aは前記のRの定義のうち置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)
化合物(IIe−b)は、化合物(IIe−a)を、例えばN,N−ジメチルホルムアミドなどの反応に不活性な溶媒中、適当な塩基、例えば水素化ナトリウムなどの存在下、化合物(IX)と−10℃〜用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜24時間反応させることにより得ることができる。塩基および化合物(IX)は、化合物(IIe−a)に対して、それぞれ好ましくは1〜100当量および1〜100当量、より好ましくはそれぞれ2〜5当量および2〜3当量用いられる。
製造法9
化合物(II)のうち、Rが水素原子である化合物(IIh)は、例えばホスフォラス・サルファー・アンド・シリコン・アンド・ザ・リレイテッド・エレメンツ(Phosphorus Sulfur&Silicon&Related Elements)、122巻、307ページ(1997年)、ヒミカ・ベリヒテ(Chem.Ber.)、123巻、691ページ(1990年)などに記載の方法でまたはそれらに準じて製造することができる。
製造法10
化合物(II)のうち、Rおよび/またはRがそれぞれ−C(=S)Rおよび/または−C(=S)R6Aである化合物(IIj)は、上記製造法2〜9で得られる化合物(IIa)〜化合物(IIh)のうち、それぞれ対応するRおよび/またはRがそれぞれ−CORおよび/または−COR6Aである化合物(IIk)を硫化することにより製造することができる。
例えば、化合物(IIj)は、化合物(IIk)を、トルエン、ピリジン、テトラヒドロフランなどの溶媒中、適当な硫化剤、例えば2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスホエタン−2,4−ジスルフィド(ローソンズ試薬;Lawesson’s reagent)、五硫化リンなどで、−10℃〜用いる溶媒の沸点の間の温度で、5分間〜24時間処理することにより得ることができる。硫化剤は、化合物(IIk)に対して、好ましくは1〜50当量、より好ましくは2〜10当量用いられる。
製造法11
化合物(II)のうち、Rが−CORであり、RとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する化合物(IIm)は、製造法2または製造法4で得られる化合物(IIn)から、次の工程によっても製造することができる。

(式中、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義であり、Xは塩素、臭素またヨウ素の各原子を表し、R1bおよびR2bは隣接する窒素原子と一緒になって形成される置換もしくは非置換の複素環基を表し、該隣接する窒素原子と一緒になって形成される複素環基は前記の隣接する窒素原子と一緒になって形成される複素環基
(vii)と同義であり、隣接する窒素原子と一緒になって形成される置換複素環基における置換基は前記の複素環基における置換基(xiii)と同義である)
化合物(IIm)は、化合物(IIp)を、無溶媒もしくはジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドなどの反応に不活性な溶媒中、化合物(X)と−10℃〜200℃の間の温度で、5分間〜24時間反応させることにより得ることができる。化合物(X)は、化合物(IIp)に対して、好ましくは1〜200当量、より好ましくは2〜50当量用いられる。
なお、中間体である化合物(IIp)は、化合物(IIn)から、例えばケミカル・コミュニケーション(Chem.Commun.)、8巻、873ページ(1998年)などに記載の方法でまたはそれらに準じて得ることができる。
また、別法として、化合物(IIm)は、製造法5で得られる化合物(IIe)のうち、Rが水素原子であり、Rがカルボキシル基で置換されたアルキル基である化合物(IIe−c)から、例えばシンセシス−スツッツガルト(Synthesis−Stuttgart)、5巻、420ページ(1991年)などに記載の方法でまたはそれらに準じて製造することもできる。
さらに化合物(IIm)は、化合物(IIe)のうち、Rが水素原子であり、Rがハロゲンで置換されたアルキル基である化合物(IIe−d)から、例えば新実験化学講座、14巻、1174ページ(丸善株式会社、1978年)などに記載の方法でまたはそれらに準じて製造することもできる。
製造法12
化合物(II)のうち、Rが−C(=S)R6Aであり、RとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する化合物(IIj−a)は、化合物(IIm)から上記製造法10と同様にして製造することができる。

(式中、R1b、R2b、R、RおよびRはそれぞれ前記と同義である)
化合物(I)におけるR、R、R、RまたはRに含まれる官能基の変換は、上記工程以外にも公知の他の方法[例えば、コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)、R.C.ラロック(Larock)著(1989年)などに記載の方法]またはそれらに準じて行うこともできる。
また、上記の方法を適宜組み合わせて実施することにより、所望の位置に所望の官能基を有する化合物(I)を得ることができる。
上記製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される精製法、例えば濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、シリカゲルクロマトグラフィーなどの各種クロマトグラフィーなどに付して精製単離することができる。また、中間体においては、特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
化合物(I)の中には、位置異性体、幾何異性体、光学異性体、互変異性体などの立体異性体が存在しうるものもあるが、本発明は、これらを含め、すべての可能な異性体およびそれらの混合物を包含する。
化合物(I)の塩を取得したいとき、化合物(I)が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られる場合には、化合物(I)を適当な溶媒に溶解または懸濁させて、酸または塩基を加えることにより塩を形成させて単離すればよい。
また、化合物(I)およびその薬理学的に許容される塩は、水または各種溶媒との付加物の形で存在することもあるが、これら付加物も本発明に包含される。
本発明によって得られる化合物(I)の具体例を第1表に示す。ただし、本発明の化合物はこれらに限定されることはない。

次に、代表的な化合物(I)の薬理活性について試験例で説明する。
試験例1:ヒト大腸癌細胞HCT 116に対する増殖阻害活性
HCT 116細胞(ATCC番号:CCL−247)を1x10個/ウェルの割合で96ウェルマイクロタイタープレート(ヌンク社製、167008)に分注した。該プレートを5%炭酸ガスインキュベーター内で37℃、24時間培養した後、これに段階的に希釈した試験化合物を加えて合計100mL/ウェルとし、さらに5%炭酸ガスインキュベーター内で37℃、72時間培養した。この培養培地中に、XTT{3’−[1−(フェニルアミノカルボニル)−3,4−テトラゾリウム]−ビス(4−メトキシ−6−ニトロ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム水和物(Sodium 3’−[1−(phenylaminocarbonyl)−3,4−tetrazolium]−bis(4−methoxy−6−nitro)−benzenesulfonic acid hydrate)}標識混合液(ロシュ・ダイアグノスティックス社製、1465015)を50μL/ウェルずつ分注した後、5%炭酸ガスインキュベーター内で37℃、1時間培養し、マイクロプレート分光光度計(バイオラッド社製、Model550)を用い、490nmと655nmでの吸光度を測定した。細胞増殖抑制活性は50%増殖阻害濃度GI50で示した。
GI50の算出方法:各ウェルの490nmでの吸光度から655nmでの吸光度を減じた値(差吸光度)を算出した。試験化合物未処理の細胞で得られた差吸光度を100%とし、既知濃度の化合物で処理した細胞で得られた差吸光度と比較することにより、細胞の増殖を50%阻害する化合物の濃度を算出し、それをGI50とした。
本試験で得られた本発明の代表的な化合物の結果を第2表に示す。

試験例2:Eg5酵素に対する阻害試験(1)
組換え型全長ヒトEg5蛋白質の調製は文献[セル(Cell)、83巻、1159ページ(1995年)]を参考にして実施する。HisタグをN末端に融合した全長ヒトEg5を発現するバキュロウイルスをSpodoptera frugi−perda(スポドプテラ フルギペルダ)(Sf)9昆虫細胞に感染させ、培養後、培養液を遠心して細胞沈殿物を回収する。細胞沈殿物をバッファーに懸濁し、遠心により上清を回収する。上清をニッケルアガロースカラムに通塔し、HisタグをN末端に融合したEg5をアフィニティー精製して部分精製標品を取得する。
Eg5のATPase活性の測定は文献[エンボ・ジャーナル(The EMBO Journal)、13巻、751ページ(1994年)、プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、89巻、4884ページ(1992年)]を参考にして実施する。25mmol/L ピペラジンN,N’−ビス(エタンスルホン酸)(PIPES)/KOH(pH 6.8)、1mmol/L エチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)四酢酸(EGTA)、2mmol/L MgCl、1mmol/Lジチオトレイトール(DTT)、100μg/mL ウシ血清アルブミン(BSA)、5μmol/L パクリタキセル(Paclitaxel)、25μg/L チューブリン(Tubulin)(サイトスケルトン社、カタログ番号TL238)、および200μmol/L MESG substrate(2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンリボサイド)(モレキュラープローブズ社、カタログ番号E−6646)、1U/mL プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(Purine nucleo−side phosphorylase)(モレキュラープローブズ社、カタログ番号E−6646)にEg5部分精製標品を加えた反応溶液を調製する。段階的に希釈をした試験化合物を含む反応溶液を96−ウェルプレートに分注する。酵素反応は30℃で30分間実施する。ATPase活性の指標となる360nmの吸光度をプレートリーダー(モレキュラーデバイス社、SpectraMax 340PC384)で測定する。Eg5存在下試験化合物非存在下での吸光度を100%、Eg5非存在下試験化合物非存在下での吸光度を0%として相対活性を計算し、IC50値を算出する。
上記の試験により、化合物(I)のEg5酵素に対する阻害作用が確認できる。
試験例3 Eg5酵素に対する阻害試験(2)
組換え型ヒトEg5モータードメイン蛋白質の調製は文献[バイオケミストリー(Biochemistry)、35巻、2365ページ(1996年)]を参考にして実施した。ヒトEg5モータードメインを発現するプラスミドを構築し、大腸菌BL21(DE3)へ形質転換した。形質転換体を25℃で培養し、OD600が0.74になった時点で、終濃度0.5mmol/Lになるようにイソプロピル−β−D−チオガラクシドを添加した。さらに、4時間培養後、培養液を遠心して菌体を回収した。菌体をバッファーに懸濁し、超音波破砕後、遠心により上清を回収した。上清を陽イオン交換カラムクロマトグラフィーにより精製し、部分精製標品を取得した。さらに、部分精製標品をゲルろ過カラムクロマトグラフィーにより精製し、最終精製標品を取得した。
Eg5のATPase活性の測定は文献[エンボ・ジャーナル(EMBO Journal)、13巻、751ページ(1994年)、プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、89巻、4884ページ(1992年)]を参考にして実施した。次の2種類の溶液を用意した。25mmol/L ピペラジンN,N’−ビス(エタンスルホン酸)(PIPES)/KOH(pH6.8)、1mmol/L エチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)四酢酸(EGTA)、2mmol/L MgCl、1mmol/L ジチオトレイトール(DTT)、5μmol/L パクリタキセル(Paclitaxel)、167μg/mL ウシ血清アルブミン(BSA)、41.7μg/mL チューブリン(Tubulin)(サイトスケルトン社、カタログ番号TL238)、333μmol/L MESG substrate(2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンリボサイド)(モレキュラープローブズ社、カタログ番号E−6646)、1.67U/mL プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(Purine nucleoside phosphorylase)(モレキュラープローブ社、カタログ番号E−6646)および1.33μg/mL ヒトEg5モータードメイン精製標品から構成される溶液Aを調製した。25mmol/L ピペラジンN,N’−ビス(エタンスルホン酸)(PIPES)/KOH(pH6.8)、1mmol/L エチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル)四酢酸(EGTA)、2mmol/L MgCl、1mmol/L ジチオトレイトール(DTT)、5μmol/L パクリタキセル(Paclitaxel)および2.5mmol/L ATPから構成される溶液Bを調製した。溶液Aを96−ウェルプレートに各ウェル45μLずつ分注した。溶液Bを用いて、試験化合物を段階的に希釈した。希釈された試験化合物溶液各30μLを、先の96−ウェルプレート内に分注された溶液Aと混合し、酵素反応を開始した。酵素反応は30℃で30分間実施した。ATPase活性の指標となる360nmでの吸光度をプレートリーダー(モレキュラーデバイス社、SpectraMax 340PC384)で測定した。Eg5存在下、試験化合物非存在下での吸光度を100%、Eg5非存在下、試験化合物非存在下の吸光度を0%として相対活性を計算し、IC50値を算出した。
化合物1、3および6は濃度依存的にEg5のATPase活性を阻害し、そのIC50値は5μmol/L以下であった。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、そのまま単独で投与することも可能であるが、通常各種の医薬製剤として提供するのが望ましい。また、それら医薬製剤は、動物または人に使用されるものである。
本発明に係わる医薬製剤は、活性成分として化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を単独で、あるいは任意の他の治療のための有効成分との混合物として含有することができる。また、それら医薬製剤は、活性成分を薬理学的に許容される一種またはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造される。
投与経路としては、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口または、例えば静脈内などの非経口をあげることができる。
投与形態としては、例えば錠剤、注射剤などがあげられる。
経口投与に適当な、例えば錠剤などは、乳糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤は、好ましくは受容者の血液と等張である活性化合物を含む滅菌水性剤からなる。例えば、注射剤の場合は、塩溶液、ブドウ糖溶液または塩水とブドウ糖溶液の混合物からなる担体などを用いて注射用の溶液を調製する。
また、これら非経口剤においても、経口剤で例示した賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤および希釈剤、防腐剤、フレーバー類などから選択される1種もしくはそれ以上の補助成分を添加することもできる。
化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩は、上記の目的で用いる場合、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。投与量および投与回数は、投与形態、患者の年齢、体重、治療すべき症状の性質もしくは重篤度などにより異なるが、通常経口の場合、成人1人あたり、1回につき0.01〜1000mg、好ましくは0.05〜500mgの範囲で、1日1回ないし数回投与する。静脈内投与などの非経口投与の場合、通常成人一人当り0.001〜1000mg、好ましくは0.01〜300mgを一日一回ないし数回投与するか、または1日1〜24時間の範囲で静脈内に持続投与する。しかしながら、これら投与量および投与回数に関しては、前述の種々の条件により変動する。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、実施例、参考例および製剤例により、本発明を詳細に説明する。
実施例および参考例で用いられるプロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)は、270MHzまたは300MHzで測定されたものであり、化合物および測定条件によって交換性プロトンが明瞭には観測されないことがある。なお、シグナルの多重度の表記としては通常用いられるものを用いるが、brとは見かけ上幅広いシグナルであることを表す。
実施例1(化合物 1)
参考例1で得られる化合物1a(300mg,0.66mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、0℃に冷却した。この溶液にm−クロロ過安息香酸(182mg,1.06mmol)を加え、そのままの温度で5時間攪拌した。反応液に水(10mL)を注ぎ、酢酸エチル(25mL)で抽出した後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去した後、残渣を2−プロパノールおよび水(10:1)の混合溶媒(32mL)から再結晶化し、得られた結晶を減圧加熱乾燥することで、標記化合物1(265mg,85%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):1.30(s,9H),1.44(s,9H),2.93(s,3H),4.42(dd,J=3.3,13.8Hz,1H),4.71(dd,J=11.1,13.8Hz,1H),5.88(dd,J=3.3,11.1Hz,1H),7.10−7.12(m,2H),7.36−7.42(m,3H),8.21(br s)
AP−MS(m/z):493(M+Na)
実施例2(化合物 2)
参考例2で得られる化合物2a(80mg,0.17mmol)およびm−クロロ過安息香酸(35mg,0.21mmol)を用い、実施例1と同様にして標記化合物2(74mg,89%)を得た。
H NMR(270MHz,CDOD)δ(ppm):1.25(s,9H),1.46(s,9H),2.93(s,3H),2.99(m,1H),3.12(m,1H),3.23(m,1H),3.53(m,1H),7.13(m,2H),7.30−7.43(m,3H)AP−MS(m/z):483(M−1)
実施例3(化合物 3)
参考例6で得られる化合物6a(102mg,0.190mmol)およびm−クロロ過安息香酸(34.3mg,0.190mmol)を用い、実施例1と同様にして標記化合物3(67.7mg,64%)を得た。
AP−MS(m/z):477(M+1)
実施例4(化合物 4)
参考例8で得られる化合物8a(27.0mg,61.2mmol)およびm−クロロ過安息香酸(10.6mg,61.2mmol)を用い、実施例1と同様にして標記化合物4(20mg,85%)をジアステレオ混合物として得た。
H NMR(270MHz,CDCl)δ(ppm):1.04−1.13(m,3H),1.27(s,9H),1.38(s,9H),2.61−2.93(m,2H),3.00−3.33(m,2H),3.36−3.57(m,2H),4.01および4.05(2×d,J=13.0Hz,1H),4.58および4.60(2×d,J=13.0Hz,1H),7.20−7.41(m,5H),7.95−8.00(br s,1H)
AP−MS(m/z):528(M+1)
実施例5(化合物 5)
参考例12で得られる化合物12aの塩酸塩(74.8mg,0.170mmol)およびm−クロロ過安息香酸(29.3mg,0.170mmol)を用い、実施例1と同様にして標記化合物5(36.5mg,41%)をジアステレオ混合物として得た。
H NMR(270MHz,CDCl)δ(ppm):1.30および1.34(2xs,9H),1.42および1.44(2xs,9H),1.44−1.46(m,1H),1.69−1.75(m,1H),2.83−3.06(m,2H),3.09−3.27(m,2H),7.00−7.08(m,2H),7.20−7.40(m,3H)
AP−MS(m/z):421(M+1)
実施例6(化合物 6)
参考例15で得られる化合物15aを4mol/L塩化水素−酢酸エチル溶液で処理することにより得られる化合物15aの塩酸塩(30mg,0.056mmol)とm−クロロ過安息香酸(12mg,0.068mmol)を用い、実施例1と同様にして標記化合物6(10mg,34%)を得た。
H NMR(270MHz,CDCl)δ(ppm):1.29(s,9H),1.31(s,9H),1.80(m,2H),2.23(t,J=7.2Hz,2H),2.26(s,6H),2.35(t,J=6.8Hz,2H),2.54(m,1H),3.14−3.35(m,2H),3.82(m,1H),6.68(br t,1H),7.19−7.40(m,5H),8.08(br,1H)
AP−MS(m/z):520(M+1)
以下の参考例1〜15で得られる化合物1a〜15aの構造を第3表に示す。

参考例1(化合物 1a)
工程1
2−アミノアセトフェノン塩酸塩(6.10g,35.5mmol)をジクロロメタン(60mL)に溶解し、トリエチルアミン(7.56g,74.9mmol)を加えた。この溶液を0℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド(2.84mL,36.5mmol)を加え、同温度で5分間攪拌した後、室温で2時間攪拌した。反応液に水、1mol/L塩酸を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をクロロホルム(5mL)に懸濁させ、攪拌した後、結晶を濾取し、2−(メチルスルホニルアミノ)アセトフェノン(4.58g,57%)を得た。
工程2
上記で得られた2−(メチルスルホニルアミノ)アセトフェノン(4.58g,20.2mmol)とチオセミカルバジド(1.84g,20.2mmol)をメタノール(30mL)に溶解した。この溶液に塩酸(0.1mL)を加え、室温で15時間激しく攪拌した。反応液に水(30mL)を加え、析出した結晶を濾取した。濾取した結晶を水、ジイソプロピルエーテルで洗浄した後、乾燥して、2−(メチルスルホニルアミノ)アセトフェノン=チオセミカルバゾン(3.08g,51%)を得た。
工程3
上記で得られた2−(メチルスルホニルアミノ)アセトフェノン=チオセミカルバゾン(1.31g,4.36mmol)をジクロロメタン(5.0mL)に溶解し、ピバロイルクロリド(2.10g,17.4mmol)、ピリジン(1.38g,17.4mmol)を加え、室温で5時間攪拌した。反応液に2mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2)にて精製し、標記化合物1a(1.81g,91%)を得た。
H NMR(270MHz,CDCl)δ(ppm):1.30(s,9H),1.36(s,9H),2.97(s,3H),3.98(dd,J=5.3,13.8Hz,1H),4.64(dd,J=8.5,13.8Hz,1H),5.10(br dd,J=5.3,8.5Hz,1H),7.25−7.39(m,5H),7.93(br s,1H)
AP−MS(m/z):453(M−1)
参考例2(化合物 2a)
工程1
メタンスルホンアミド(0.476g,5.00mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、60%水素化ナトリウム(0.275g,5.00mmol)を加え、水冷下で20分間攪拌した。反応液に3−クロロプロピオフェノン(843mg,5.00mol)を加え、水冷下で1時間攪拌し、さらに室温で15時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1)にて精製し、3−(メチルスルホニルアミノ)プロピオフェノン(240mg,21%)を得た。
工程2
参考例1の工程2と同様にして、上記で得られた3−(メチルスルホニルアミノ)プロピオフェノン(388mg,1.71mmol)およびチオセミカルバジド(156mg,1.71mmol)から、3−(メチルスルホニルアミノ)プロピオフェノン=チオセミカルバゾン(219mg,45%)を得た。
工程3
参考例1の工程3と同様にして、上記で得られた3−(メチルスルホニルアミノ)プロピオフェノン=チオセミカルバゾン(200mg,0.696mmol)、ピパロイルクロリド(342μL,2.78mmol)およびピリジン(219μL,2.78mmol)から、標記化合物2a(218mg,86%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):1.30(s,9H),1.34(s,9H),2.56−2.65(m,1H),2.94(s,3H),3.21−3.44(m,2H),3.58−3.70(m,1H),4.45(br s,1H),7.28−7.37(m,5H),7.97(br s,1H)
AP−MS(m/z):467(M−1)
参考例3(化合物 3a)
工程1
チオセミカルバジド(3.86g,42.3mmol)をメタノール(50mL)に溶解した。この溶液に3−カルボメトキシプロピオフェノン(8.13g,42.3mmol)および濃塩酸(1.00mL,12.0mmol)を加え、室温で11時間攪拌した。析出した固体を濾取し、得られた固体をメタノールで洗浄した後、乾燥して、3−カルボメトキシプロピオフェノン=チオセミカルバゾン(10.6g,94%)を得た。
工程2
上記で得られた3−カルボメトキシプロピオフェノン=チオセミカルバゾン(7.76g,29.2mmol)をジクロロメタン(40mL)に溶解した。この溶液にピリジン(11.3mL,140mmol)およびピバロイルクロリド(14.4mL,117mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、室温でさらに1時間攪拌した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣に対しジイソプロピルエーテル(50mL)を加え、懸濁液を1時間攪拌し濾過した。濾取した結晶をジイソプロピルエーテルで洗浄した後、乾燥して、標記化合物3a(9.70g,77%)を得た。
H NMR(270MHz,CDCl)δ(ppm):1.29(s,9H),1.32(s,9H),2.37(m,1H),2.67(m,1H),2.79(m,1H),3.42(m,1H),3.70(s,3H),7.22−7.40(m,5H),7.89(br s,1H)
参考例4(化合物 4a)
参考例3で得られた化合物3a(1.50g,3.46mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解した。この溶液を0℃に冷却した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリドの0.93mol/Lヘキサン溶液(12.5mL,11.6mmol)を加え、2.5時間攪拌した。反応液に無水硫酸ナトリウムおよび飽和硫酸ナトリウム水溶液を加え、さらに1時間攪拌した後、濾過した。濾液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=9/1)にて精製し、標記化合物4a(1.49g,100%)を得た。
AP−MS(m/z):404(M−1)
参考例5(化合物 5a)
参考例4で得られた化合物4a(1.00g,2.47mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶解した。この溶液に二クロム酸ピリジニウム(2.94g,7.81mmol)を加え、室温で60時間攪拌した。反応液を濾過した後、得られた濾液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製し、標記化合物5a(517mg,52%)を得た。
参考例6(化合物 6a)
上記で得られた化合物5a(66.5mg,0.165mmol)を1,2−ジクロロエタン(5mL)に溶解した。この溶液に酢酸(0.0587mL,1.03mmol)、ジエチルアミン(0.0886mL,0.855mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(175mg,0.824mmol)を順次加え、室温で12時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/濃アンモニア水=100/10/1)にて精製し、標記化合物6a(47.4mg,62%)を得た。
AP−MS(m/z):461(M+1)
参考例7(化合物 7a)
工程1
2−アミノアセトフェノン塩酸塩(1.00g,5.85mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶解し、トリエチルアミン(2.50mL,17.9mmol)を加え、室温で10分間攪拌した。反応液を0℃に冷却した後、クロロエタンスルホニルクロリド(0.92mL,8.80mmol)を加え、同温度で15分間攪拌した。反応液に2mol/L塩酸を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣に酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒を加えて結晶化し、2−(ビニルスルホニルアミノ)アセトフェノン(0.42g,32%)を得た。
工程2
上記で得られた2−(ビニルスルホニルアミノ)アセトフェノン(0.32g,1.42mmol)とチオセミカルバジド塩酸塩(0.27g,2.13mmol)をメタノール(20mL)に溶解した。この溶液に濃塩酸(2滴)を加え、室温で3時間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣に酢酸エチル、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて分液した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)にて精製し、2−(ビニルスルホニルアミノ)アセトフェノン=チオセミカルバゾン(0.25g,58%)を得た。
工程3
上記で得られた2−(ビニルスルホニルアミノ)アセトフェノン=チオセミカルバゾン(0.25g,0.83mmol)をアセトン(10mL)に溶解し、ピリジン(0.34mL,4.17mmol)、ピバロイルクロリド(0.31mL,2.50mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。反応液に無水酢酸(0.16mL,1.66mmol)を加え、さらに室温で3日間攪拌した。反応液を濃縮し、残渣に酢酸エチルと2mol/L塩酸を加えて分液した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)で精製し、標記化合物7a(0.10g,26%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):1.29(s,9H),1.33(s,9H),3.85(dd,J=13.5,4.8Hz,1H),4.49(dd,J=13.5,8.1Hz,1H),5.29(br s,1H),5.93(br d,J=9.9Hz,1H),6.27(br d,J=16.5Hz,1H),6.53(br dd,J=16.4,9.6Hz,1H),7.27−7.34(m,5H),8.06(br s,1H)
AP−MS(m/z):466(M
参考例8(化合物 8a)
参考例7で得られた化合物7a(0.05g,0.11mmol)をアセトニトリル(3mL)に溶解し、70%エチルアミン水溶液(0.10mL)を加え、80℃で2時間攪拌した。反応液を濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=10/1)で精製し、標記化合物8a(0.01g,26%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):1.18(m,3H),1.28(s,9H),1.34(s,9H),2.63(quin,J=7.0Hz,2H),2.73(br q,J=6.3Hz,1H),2.84(br q,J=6.2Hz,1H),3.18(br t,J=6.6Hz,2H),4.02(d,J=13.2Hz,1H),4.58(d,J=13.2Hz,1H),5.85(br s,1H),7.27−7.35(m,5H),8.02(br s,1H)
AP−MS(m/z):512(M+1)
参考例9(化合物 9a)
工程1
参考例1の工程2と同様にして、4−カルボメトキシブチロフェノン(0.588g,2.85mmol)およびチオセミカルバジド(0.260g,2.85mmol)から、4−カルボメトキシブチロフェノン=チオセミカルバゾン(0.700g,88%)を得た。
工程2
参考例1の工程3と同様にして、上記で得られた4−カルボメトキシブチロフェノン=チオセミカルバゾン、ピバロイルクロリド(0.549mL,4.45mmol)およびピリジン(0.431mL,5.34mmol)から、標記化合物9a(318mg,64%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ(ppm):1.29(s,9H),1.32(s,9H),1.51−1.60(m,1H),2.10−2.30(m,2H),2.44(m,2H),3.03−3.17(m,1H),3.68(s,3H),7.20−7.36(m,5H),7.95(br s,1H)
参考例10(化合物 10a)
水酸化ナトリウム(2.68g,66.9mmol)を水(2mL)に溶解し、次いで1,4−ジオキサン(4mL)を加えて攪拌し、さらに参考例9で得られた化合物9a(9.65g,22.3mmol)を加えた。5時間室温で反応した後、1mol/L塩酸(20mL)および水(30mL)を加え、析出した白色結晶を濾取した。得られた白色結晶を水さらにジイソプロピルエーテルで洗浄した後、減圧乾燥し、標記化合物10a(9.18g,95%)を得た。
H NMR(270MHz,CDCl)δ(ppm)1.29(s,9H),1.32(s,9H),1.65−1.75(m,1H),2.10−2.35(m,2H),2.50(m,2H),3.10−3.20(m,1H),7.23−7.35(m,6H),7.92(br s,1H)
参考例11(化合物 11a)
参考例10で得られた化合物10a(4.44g,10.2mmol)をtert−ブタノール(100mL)に溶解し、80℃に加熱した。この溶液にトリエチルアミン(1.4mL,10.2mmol)、アジ化ジフェニルホスホリル(2.2mL,10.2mmol)を加え、同温度で9時間攪拌した。減圧下濃縮し、水(100mL)を加え、酢酸エチル(300mL)で抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)にて精製し、標記化合物11a(1.91g,3.78mmol)を得た。
H NMR(270MHz,CDCl)δ(ppm):1.29(s,9H),1.31(s,9H),1.45(s,9H),1.47−1.54(m,1H),1.91−2.04(m,1H),2.17−2.31(m,1H),3.07−3.34(m,3H),4.57−4.69(m,1H),7.19−7.38(m,5H),7.89(s,1H)
AP−MS(m/z):505(M+1)
参考例12(化合物 12a)
参考例11で得られた化合物11a(1.91g,3.78mmol)を4mol/L塩化水素−メタノール溶液(50mL)に溶解し、室温で30分間静置した。溶媒を減圧留去し、標記化合物12a(1.43g,3.24mmol)を塩酸塩として得た。
H NMR(270MHz,CDCl)δ(ppm):1.27(s,9H),1.31(s,9H),1.68−1.86(m,1H),1.05−2.22(m,1H),2.41−2.55(m,1H),2.98−3.11(m,2H),3.21−3.36(m,1H),7.17−7.35(m,3H),7.39−7.46(m,2H),8.02(s,1H),8.33−8.50(m,3H)
AP−MS(m/z):405(M+1)
参考例13(化合物 13a)
工程1
N−tert−ブトキシカルボニル−β−アラニン(14.82g,78.32mmol)、フェニルボロン酸(11.46g,94.00mmol)、酢酸パラジウム(II)(1.05g,4.68mmol)およびトリフェニルホスフィン(2.88g,11.0mmol)をテトラヒドロフラン(300mL)に溶解し、水(3.52mL,196mmol)およびトリメチル酢酸無水物(23.8mL,117mmol)を加え、60℃で16時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9/1)にて精製し、3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロピオフェノン(9.59g,49%)を得た。
工程2
上記で得られた3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロピオフェノン(9.59g,38.5mmol)をメタノール(100mL)および水(25mL)の混合溶媒に溶解し、チオセミカルバジド塩酸塩(7.36g,57.7mmol)を加え、40℃で3時間攪拌した。さらに、チオセミカルバジド塩酸塩(3.51g,27.5mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をジクロロメタン(200mL)に溶解し、0℃でピリジン(10.2mL,126mmol)およびピバロイルクロリド(12.9mL,105mmol)を加え、室温で19時間攪拌した。さらに、0℃でピリジン(10.2mL,126mmol)およびピバロイルクロリド(12.9mL,105mmol)を加え、室温で23時間攪拌した後、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を1mol/L塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をジイソプロピルエーテルでトリチュレーションすることにより、標記化合物13a(9.28g,90%)を得た。
AP−MS(m/z):491(M+1)
参考例14(化合物 14a)
参考例13で得られた化合物13a(6.00g,12.2mmol)をジクロロメタン(30mL)に溶解し、この溶液にトリフルオロ酢酸(60mL)を加え、室温で20分間攪拌した。反応液を減圧下濃縮した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をジイソプロピルエーテルでトリチュレーションすることにより、化合物14a(4.49g,94%)を得た。
H NMR(270MHz,CDCl)δ(ppm):1.29(s,9H),1.31(s,9H),2.43(m,1H),2.82(m,1H),3.12−3.43(m,2H),7.17−7.46(m,5H)
AP−MS(m/z):391(M+1)
参考例15(化合物 15a)
N,N−ジメチル−γ−アミノ酪酸の塩酸塩(0.858g,5.12mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物(0.823g,5.37mmol)および1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド(0.715mL,4.67mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(40mL)に溶解し、0℃で15分間攪拌した後、参考例14で得られた化合物14a(1.00g,2.56mmol)を加え、室温で15.5時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルから再結晶し、標記化合物15a(0.980g,98%)を得た。
AP−MS(m/z):504(M+1)
製剤例1 錠剤(化合物 1)
常法により、次の組成からなる錠剤を調製する。化合物1,40g、乳糖286.8gおよび馬鈴薯澱粉60gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロースの10%水溶液120gを加える。この混合物を常法により練合し、造粒して乾燥させた後、整粒し打錠用顆粒とする。これにステアリン酸マグネシウム1.2gを加えて混合し、径8mmの杵をもった打錠機(菊水社製RT−15型)で打錠を行って、錠剤(1錠あたり活性成分20mgを含有する)を得る。
処方 化合物1 20 mg
乳糖 143.4 mg
馬鈴薯澱粉 30 mg
ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6 mg
200 mg
【産業上の利用可能性】
本発明により、細胞増殖が関わる疾患の治療、例えば悪性腫瘍(乳癌、胃癌、卵巣癌、大腸癌、肺癌、脳腫瘍、喉頭癌、血液系の癌、膀胱癌および前立腺癌を含む尿生殖管の癌、腎癌、皮膚癌、肝癌、膵癌、子宮癌など)、再狭窄、心肥大、免疫疾患などの治療に有用なチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)

<式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表し、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−C(=W)R[式中、Wは酸素原子または硫黄原子を表し、Rは水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−NR(式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、またはRとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する)、−OR(式中、Rは置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)または−SR10(式中、R10は前記のRと同義である)を表す]、−NR1112{式中、R11およびR12は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基または−COR13[式中、R13は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−NR7A8A(式中、R7AおよびR8Aは、それぞれ前記のRおよびRと同義である)、−OR9A(式中、R9Aは前記のRと同義である)または−SR10A(式中、R10Aは前記のRと同義である)を表す]を表す}または−SO14(式中、R14は前記のRと同義である)を表すか、またはRとRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成し、Rは置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表すか、またはRとRが一緒になって−(CR15A15Bm1−Q−(CR15C15Dm2−{式中、Qは単結合、置換もしくは非置換のフェニレンまたはシクロアルキレンを表し、m1およびm2は同一または異なって0〜4の整数を表すが、m1とm2は同時に0とはならず、R15A、R15B、R15CおよびR15Dは同一または異なって、水素原子、ハロゲン、置換もしくは非置換の低級アルキル、−OR16[式中、R16は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−CONR7B8B(式中、R7BおよびR8Bは、それぞれ前記のRおよびRと同義である)、−SONR7C8C(式中、R7CおよびR8Cはそれぞれ前記のRおよびRと同義である)または−COR17(式中、R17は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基を表す)を表す]、−NR1819[式中、R18およびR19は同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、−COR20(式中、R20は水素原子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環基、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換もしくは非置換のアリールオキシ、アミノ、置換もしくは非置換の低級アルキルアミノ、置換もしくは非置換のジ低級アルキルアミノまたは置換もしくは非置換のアリールアミノを表す)または−SO21(式中、R21は前記のRと同義である)を表す]または
−CO22(式中、R22は前記のR17と同義である)を表すか、またはR15AとR15BもしくはR15CとR15Dが一緒になって酸素原子を表し、m1またはm2が2以上の整数であるとき、それぞれのR15A、R15B、R15CおよびR15Dは同一でも異なっていてもよく、隣接するふたつの炭素原子に結合するR15A、R15B、R15CおよびR15Dはそれぞれ一緒になって結合を形成してもよい}を表し、Rは水素原子または−C(=W)R6A(式中、WおよびR6Aはそれぞれ前記のWおよびRと同義である)を表す。ただし、Rが水素、RおよびRがアセチル、ならびにRがフェニルであるとき、Rは水素およびメチルではない>で表されるチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項2】
が置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニルまたは置換もしくは非置換の低級アルキニルであり、Rが置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の複素環基または置換もしくは非置換のアリールであるか、またはRとRが一緒になって
−(CR15A15Bm1−Q−(CR15C15Dm2−(式中、R15A、R15B、R15C、R15D、m1、m2およびQはそれぞれ前記と同義である)を表す請求の範囲第1項記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項3】
が置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニルまたは置換もしくは非置換のシクロアルキルである請求の範囲第1項記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項4】
が置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換の複素環基である請求の範囲第1または2項記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項5】
が置換もしくは非置換のフェニルまたは置換もしくは非置換のチエニルである請求の範囲第1または2項記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項6】
が置換もしくは非置換の低級アルキルである請求の範囲第1〜5項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項7】
が置換低級アルキルである請求の範囲第1〜5項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項8】
とRが一緒になって
−(CR15A15Bm1−Q−(CR15C15Dm2−(式中、R15A、R15B、R15C、R15D、m1、m2およびQはそれぞれ前記と同義である)を表す請求の範囲第1項記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項9】
とRが一緒になって−(CHm1−Q−(CHm2−(式中、m1、m2およびQはそれぞれ前記と同義である)を表す請求の範囲第1項記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項10】
Qが置換もしくは非置換のフェニレンである請求の範囲第8または9項記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項11】
が水素原子または置換もしくは非置換の低級アルキルである請求の範囲第1〜10項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項12】
が水素原子である請求の範囲第1〜10項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項13】
が−C(=W)R(式中、WおよびRは、それぞれ前記と同義である)である請求の範囲第1〜12項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項14】
が置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニルまたは置換もしくは非置換のシクロアルキルである請求の範囲第13項記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項15】
が低級アルキルである請求の範囲第13項記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項16】
Wが酸素原子である請求の範囲第13〜15項のいずれに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項17】
とRが隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環基を形成する請求の範囲第1〜10項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項18】
が−C(=W)R6A(式中、WおよびR6Aは、それぞれ前記と同義である)である請求の範囲第1〜17項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項19】
6Aが置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換の低級アルケニル、置換もしくは非置換の低級アルキニルまたは置換もしくは非置換のシクロアルキルである請求の範囲第18項記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項20】
6Aが低級アルキルである請求の範囲第18項記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項21】
が酸素原子である請求の範囲第18〜20項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項22】
請求の範囲第1〜21項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項23】
請求の範囲第1〜21項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有するM期キネシンイージーファイブ(Eg5)阻害剤。
【請求項24】
請求の範囲第1〜21項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
【請求項25】
請求の範囲第1〜21項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするM期キネシンEg5阻害方法。
【請求項26】
請求の範囲第1〜21項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とする悪性腫瘍の治療方法。
【請求項27】
M期キネシンEg5阻害剤の製造のための請求の範囲第1〜21項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項28】
抗腫瘍剤の製造のための請求の範囲第1〜21項のいずれかに記載のチアジアゾリン−1−オキシド誘導体またはその薬理学的に許容される塩の使用。

【国際公開番号】WO2004/111023
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【発行日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506964(P2005−506964)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008374
【国際出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】