説明

チアゾリウム塩

【課題】 疎水性に優れたイオン液体を提供すること。
【解決手段】 式(1):


(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアラルキル基、炭素数2〜8のアルキニル基または炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、フッ素原子または炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。)で表されるチアゾリウム塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン液体であるチアゾリウム塩に関する。さらに詳しくは、リチウム電池、電解コンデンサ、電気ニ重層キャパシタ、エレクトロクロミック表示素子および色素増感型太陽電池等の電気化学デバイスに有用で、また電析浴溶媒、化学反応溶媒および帯電防止剤等としても有用なイオン液体であるチアゾリウム塩に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン液体は、室温付近で液体を示す塩であり、例えば、非特許文献1に記載されているように、これまで種々の化合物が報告されている。
【0003】
一方、イオン液体の用途であるリチウム電池、電解コンデンサ、電気ニ重層キャパシタ、エレクトロクロミック表示素子および色素増感型太陽電池等の電気化学デバイスにおいては、リチウムをはじめとして水分と反応しやすい部材が用いられたり、使用において共存する水分が反応して当該デバイスの特性を劣化させること等から、水分の混入防止に厳重な注意が払われている。
【0004】
そこで疎水性を向上させたイオン液体として種々の提案がされている。例えば、特許文献1には、特定のカチオンとアニオンを有し、かつ周囲温度で低粘性である液体疎水性塩が開示されている。
【0005】
【非特許文献1】大野弘幸監修,「イオン液体II−驚異的な進歩と多彩な近未来−」,株式会社シーエムシー出版,2006年3月,第3章
【特許文献1】特開平08−259543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、イオン液体は様々な用途への検討が進められ、上記電気化学デバイス等への応用においても多くの優れた特性が求められるなかで、疎水性を有する多様なイオン液体の提案が求められている。
【0007】
本発明の目的は、疎水性に優れたイオン液体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下に示すとおりのチアゾリウム塩に関する。
項1. 式(1):
【0009】
【化1】

(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアラルキル基、炭素数2〜8のアルキニル基または炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、フッ素原子または炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。)で表されるチアゾリウム塩。
項2. 式(1)において、RおよびRが共に水素原子またはメチル基である項1に記載のチアゾリウム塩。
項3. 式(1)において、RおよびRが共にトリフルオロメチル基である項1または2に記載のチアゾリウム塩。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明のチアゾリウム塩は、式(1)で示される。
【0012】
【化2】

式(1)中において、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアラルキル基、炭素数2〜8のアルキニル基または炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、フッ素原子または炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。
【0013】
で示される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基およびオクチル基等が挙げられる。
【0014】
で示される炭素数2〜8のアラルキル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基およびオクテニル基等が挙げられる。
【0015】
で示される炭素数2〜8のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、ブチニル基およびオクチニル基等が挙げられる。
【0016】
で示される炭素数2〜8のアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、メトキシヘプチル基およびエトキシヘキシル基等が挙げられる。
【0017】
これらRで示される基のなかでも、容易に低粘度のチアゾリウム塩が得られることから、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ビニル基、アリル基、メトキシメチル基およびメトキシエチル基が好ましい。
【0018】
およびRで示される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基およびオクチル基等が挙げられる。RおよびRで示される基のなかでも、低粘度のチアゾリウム塩が得られることから、RおよびRが共に水素原子またはメチル基であることが好ましい。
【0019】
およびRで示される炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。RおよびRで示される基のなかでも、低粘度のチアゾリウム塩が得られることから、RおよびRが共にトリフルオロメチル基であることが好ましい。
【0020】
式(1)で表される本発明のチアゾリウム塩の具体例としては、例えば、
チアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−メチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−エチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−プロピルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ブチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ペンチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ヘキシルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ヘプチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−オクチルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、
3−ビニルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−アリルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ブテニルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−エチニルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−ブチニルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−オクチニルチアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、
3−(2−メトキシメチル)チアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−(2−メトキシプロピル)チアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−(2−エトキシメチル)チアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、3−(2−エトキシエチル)チアゾリウム=ビス(フルオロスルホニル)イミド、
チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−エチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−プロピルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ペンチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ヘキシルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ヘプチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−オクチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
3−ビニルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−アリルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブテニルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−エチニルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブチニルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−オクチニルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
3−(2−メトキシメチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−(2−メトキシプロピル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−(2−エトキシメチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−(2−エトキシエチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3,4,5−トリメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−エチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−プロピルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブチル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−ペンチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−ヘキシルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−ヘプチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−オクチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
4,5−ジメチル−3−ビニルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−アリル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブテニル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−エチニルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブチニル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−オクチニルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
4,5−ジメチル−3−(2−メトキシメチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−(2−メトキシプロピル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−(2−エトキシメチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−(2−エトキシエチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
3,4−ジエチル−5−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブチル−4−エチル−5−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4−エチル−3−ヘキシル−5−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4−エチル−5−メチル−3−オクチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
4−エチル−5−メチル−3−ビニルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−アリル−4−エチル−5−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブテニル−4−エチル−5−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4−エチル−3−エチニル−5−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブチニル−4−エチル−5−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
4−エチル−5−メチル−3−(2−メトキシメチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4−エチル−5−メチル−3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
3,4−ジエチル−5−ヘキシルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブチル−4−エチル−5−ヘキシルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3,5−ジヘキシル−4−エチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4−エチル−5−ヘキシル−3−オクチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
4−エチル−5−ヘキシル−3−ビニルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−アリル−4−エチル−5−ヘキシルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブテニル−4−エチル−5−ヘキシルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4−エチル−3−エチニル−5−ヘキシルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブチニル−4−エチル−5−ヘキシルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
4−エチル−5−ヘキシル−3−(2−メトキシメチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4−エチル−5−ヘキシル−3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
4,5−ジメチル−3−エチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、3−ブチル−4,5−ジメチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、4,5−ジメチル−3−ヘキシルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、4,5−ジメチル−3−オクチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、
4,5−ジメチル−3−ビニルチアゾリウム=ビストリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、3−アリル−4,5−ジメチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、3−ブテニル−4,5−ジメチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、4,5−ジメチル−3−エチニルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、3−ブチニル−4,5−ジメチルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、4,5−ジメチル−3−オクチニルチアゾリウム=トリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、
4,5−ジメチル−3−(2−メトキシメチル)チアゾリウム=トリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、4,5−ジメチル−3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=トリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、4,5−ジメチル−3−(2−メトキシプロピル)チアゾリウム=トリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、4,5−ジメチル−3−(2−エトキシメチル)チアゾリウム=トリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、4,5−ジメチル−3−(2−エトキシエチル)チアゾリウム=トリフルオロメタンスルホニルペンタフルオロエタンスルホニルイミド、
4,5−ジメチル−3−エチルチアゾリウム=ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、3−ブチル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−ヘキシルチアゾリウム=ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−オクチルチアゾリウム=ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、
4,5−ジメチル−3−ビニルチアゾリウム=ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、3−アリル−4,5−ジメチルチアゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、3−ブテニル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−エチニルチアゾリウム=ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、3−ブチニル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−オクチニルチアゾリウム=ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、
4,5−ジメチル−3−(2−メトキシメチル)チアゾリウム=ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−(2−メトキシプロピル)チアゾリウム=ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−(2−エトキシメチル)チアゾリウム=ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−(2−エトキシエチル)チアゾリウム=ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド等を挙げることができる。これらのなかでも、容易に低粘度のチアゾリウム塩が得られることから、
チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−メチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−エチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−プロピルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ペンチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ヘキシルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ヘプチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−オクチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
3−ビニルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−アリルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
3−(2−メトキシメチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3,4,5−トリメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−エチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−プロピルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−ブチル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−ペンチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−ヘキシルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−ヘプチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−オクチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
4,5−ジメチル−3−ビニルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3−アリル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
4,5−ジメチル−3−(2−メトキシメチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、4,5−ジメチル−3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが好ましい。
【0021】
前記式(1)で表される本発明のチアゾリウム塩は、例えば、式(2):
【0022】
【化3】

(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアラルキル基、炭素数2〜8のアルキニル基または炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。また、Xは、ハロゲンイオンを示す。)で表されるチアゾリウムハライドと式(3):
【0023】
【化4】

(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、フッ素原子または炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。また、Mは、アルカリ金属を示す。)で表されるアルカリ金属イミドとをイオン交換することにより製造することができる。
【0024】
式(2)で表されるチアゾリウムハライドにおいて、Xで示されるハロゲンイオンとしては、例えば、塩素イオン、臭素イオンおよびヨウ素イオン等を挙げることができる。
【0025】
式(2)で表されるチアゾリウムハライドは、例えば、式(4):
【0026】
【化5】

(式中、RおよびRは、それぞれ、前記式(2)におけるRおよびRと同じ基を示す。)で表されるチアゾールと式(5):
【0027】
【化6】

(式中、Rは、前記式(2)におけるRと同じ基を示し、Xは、前記式(2)におけるハロゲンイオンと同一種のハロゲン原子を示す。)で表される有機ハロゲン化合物とを反応させることにより製造することができる。
【0028】
式(4)で表されるチアゾールは、市販のものを用いてもよいし、適宜製造したものを用いてもよい。チアゾールを製造する方法としては、例えば、クロロアセトアルデヒドとチオフォルムアミドとを縮合反応させる等の公知の方法を挙げることができ、この方法により、式(4)におけるRおよびRが共に水素原子であるチアゾールを容易に製造することができる。
【0029】
式(4)で表されるチアゾールと式(5)で表される有機ハロゲン化合物との反応において、有機ハロゲン化合物の使用割合は、チアゾール1モルに対して、0.8〜10モルの割合であることが好ましく、1〜5モルの割合であることがより好ましい。
【0030】
反応温度は、0〜200℃が好ましく、10〜150℃がより好ましい。反応時間は、通常、1〜30時間である。
【0031】
前記式(3)で表されるアルカリ金属イミドにおいて、Mで示されるアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウムおよびカリウム等を挙げることができる。
【0032】
式(3)で表されるアルカリ金属イミドは、市販品のものを用いてもよいし、適宜製造したものを用いてもよい。アルカリ金属イミドを製造する方法としては、例えば、特開2001−288193号公報に記載されているように、アセトニトリル等の溶媒にフッ化カリウム等のフッ素化合物およびパーフルオロアルキルアミド等のスルホニルアミドを加え、撹拌しながらさらにパーフルオロスルホニルフロリド等のスルホニルハロゲン化物を加える方法等の公知の方法を挙げることができる。
【0033】
本発明のチアゾリウム塩を製造する方法において、前記式(2)で表されるチアゾリウムハライドと式(3)で表されるアルカリ金属イミドとをイオン交換する具体的方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、チアゾリウムハライドとアルカリ金属イミドとを溶媒中で混合し、撹拌することにより容易にチアゾリウム塩を得ることができる。
【0034】
アルカリ金属イミドの使用割合は、収率を向上させる観点および経済性の観点から、チアゾリウムハライド1モルに対して、0.8〜2モルの割合であることが好ましく、0.9〜1.5モルの割合であることがより好ましい。
【0035】
イオン交換に用いる溶媒としては、特に制限されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールおよびプロピレングリコール等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、THF、テトラヒドロピランおよび1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル、アクリロニトリルおよびプロピオニトリル等のニトリル類、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ブロモプロパン、ブロモブタン、ブロモペンタン、ブロモヘキサン、ヨウ化メチル、ヨウ化エチルおよびヨウ化プロピル等のハロゲン化アルキル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類、ブチロラクトン、カプロラクトン、ヘキサノラクトンおよび酢酸エチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、ベンジン、ケロシン、トルエン、キシレン、メシチレンおよびベンゼン等の炭化水素類、並びに水等を挙げることができる。これらのなかでも、アルコール類、ニトリル類、ハロゲン化アルキル類および水が好適に用いられる。なお、これら溶媒は、1種単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
溶媒の使用量は、特に制限されるものではないが、チアゾリウムハライド100重量部に対して、10〜5000重量部であることが好ましい。
【0037】
イオン交換する温度は、0〜100℃が好ましく、10〜80℃がより好ましい。イオン交換に要する時間は、通常、0.1〜10時間である。
【0038】
かくして得られるチアゾリウム塩は、水洗および分液を繰り返すことにより、副生塩を除去した後、ロータリーエバポレーター等を用いて溶媒を除去し、当該チアゾリウム塩の分解温度未満の温度で乾燥することにより、単離することができる。
【0039】
本発明のチアゾリウム塩は、疎水性に優れ、比較的イオン伝導度が高く、比較的粘性の低い液体であることから、特に水分の混入を嫌う種々の電気化学デバイス等に有用であるといえる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によると、種々の電気化学デバイス等に有用な、疎水性に優れたイオン液体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0042】
実施例1
撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および冷却器を備えた200mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、4,5−ジメチルチアゾール11.3g(0.10モル)およびヨードエタン22.7g(0.15モル)を仕込み、70℃で6時間撹拌した。反応終了後、メチルイソブチルケトン100gを加えて、室温まで冷却した後、濾別することにより、黄色固体の4,5−ジメチル−3−エチルチアゾリウム=ヨーダイド22.6g(0.08モル)を得た。次に、得られた4,5−ジメチル−3−エチルチアゾリウム=ヨーダイドの全量、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム25.4g(0.09モル)および超純水100mLを、撹拌機、温度計および冷却器を備えた500mL容の四つ口フラスコに仕込み、室温で1時間撹拌した。その後、ジクロロメタン50mLを加えて10分撹拌した後、ジクロロメタン層を分取し、さらに超純水50mLで5回洗浄した。分取したジクロロメタン層をロータリーエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥器を用いて100℃で10時間乾燥することにより、式(1)で表されるチアゾリウム塩のうち、Rがエチル基であり、RおよびRが共にメチル基であり、RおよびRが共にトリフルオロメチル基である、微黄色液体の4,5−ジメチル−3−エチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド31.1g(収率73%)を得た。
【0043】
得られた4,5−ジメチル−3−エチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの含有水分量をカールフィッシャー電量滴定法により測定したところ、72ppmであった。また、回転粘度計(株式会社トキメックの商品名「DISITAL VISCOMETER」)を用いて粘度を測定したところ、72cP(25℃)であり、交流2電極法(株式会社堀場製作所の商品名「Navi h pH D−54」)により導電率を測定したところ、3.3mS/cm(25℃)であった。
【0044】
得られた4,5−ジメチル−3−エチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに適当量の水を加えると2層を形成することから、当該チアゾリウム塩が疎水性に優れていることを確認した。なお、当該チアゾリウム塩を得るために用いた前記4,5−ジメチル−3−エチルチアゾリウム=ヨーダイドは水に完全に溶解するため、水を加えても2層を形成することはない。
【0045】
なお、得られた4,5−ジメチル−3−エチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
【0046】
融点:17℃
H−NMR(400MHz,溶媒:CDCl):1.62(t,J=7.3Hz,3H), 2.42(s,3H),2.55(s,3H),4.45(q,J=7.3Hz,2H),9.66(s,1H)
元素分析:C 25.7;H 2.9;F 27.0;N 6.5;S 22.7(計算値 C 25.6;H 2.9;F 27.0;N 6.6;S 22.8)
【0047】
実施例2
撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および冷却器を備えた200mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、4,5−ジメチルチアゾール11.3g(0.10モル)およびヨードブタン22.6g(0.12モル)を仕込み、100℃で10時間撹拌した。反応終了後、メチルイソブチルケトン100gを加えて、室温まで冷却した後、濾別することにより、微黄色固体の3−ブチル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ヨーダイド27.7g(0.09モル)を得た。次に、得られた3−ブチル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ヨーダイドの全量、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム29.6g(0.10モル)および超純水100mLを、撹拌機、温度計および冷却器を備えた500mL容の四つ口フラスコに仕込み、室温で1時間撹拌した。その後、ジクロロメタン50mLを加えて10分撹拌した後、ジクロロメタン層を分取し、さらに超純水50mLで5回洗浄した。分取したジクロロメタン層をロータリーエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥器を用いて100℃で10時間乾燥することにより、式(1)で表されるチアゾリウム塩のうち、Rがブチル基であり、RおよびRが共にメチル基であり、RおよびRが共にトリフルオロメチル基である、微黄色液体の3−ブチル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド36.4g(収率81%)を得た。
【0048】
得られた3−ブチル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの含有水分量を実施例1と同様にして測定したところ、64ppmであった。また、粘度および導電率を実施例1と同様にして測定したところ、それぞれ、87cP(25℃)および2.0mS/cm(25℃)であった。
【0049】
得られた3−ブチル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに適当量の水を加えると2層を形成することから、当該チアゾリウム塩が疎水性に優れていることを確認した。なお、当該チアゾリウム塩を得るために用いた前記3−ブチル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ヨーダイドは水に完全に溶解するため、水を加えても2層を形成することはない。
【0050】
なお、得られた3−ブチル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
【0051】
H−NMR(400MHz,溶媒:CDCl):0.99(t,J=7.3Hz,3H), 1.48(q,J=7.6Hz,2H),1.92(t,J=7.7Hz,2H),2.53(s,3H),2.57(s,3H),4.74(t,J=7.6Hz,2H),9.58(s,1H)
元素分析:C 29.3;H 3.7;F 25.4;N 6.2;S 21.3(計算値 C 29.3;H 3.6;F 25.3;N 6.2;S 21.4)
【0052】
実施例3
撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および冷却器を備えた300mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、4,5−ジメチルチアゾール11.3g(0.10モル)およびブロモヘキサン20.3g(0.12モル)を仕込み、100℃で10時間撹拌した。反応終了後、メチルイソブチルケトン100gおよび超純水100mLを加えて、室温まで冷却した後、分液してオレンジ色の4,5−ジメチル−3−ヘキシルチアゾリウム=ブロマイド水溶液125g(4,5−ジメチル−3−ヘキシルチアゾリウム=ブロマイドとして0.09モル)を得た。次に、得られた4,5−ジメチル−3−ヘキシルチアゾリウム=ブロマイド水溶液の全量およびビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム28.7g(0.10モル)を、撹拌機、温度計および冷却器を備えた500mL容の四つ口フラスコに仕込み、室温で1時間撹拌した。その後、ジクロロメタン50mLを加えて10分撹拌した後、ジクロロメタン層を分取し、さらに超純水50mLで5回洗浄した。分取したジクロロメタン層をロータリーエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥器を用いて100℃で10時間乾燥することにより、式(1)で表されるチアゾリウム塩のうち、Rがヘキシル基であり、RおよびRが共にメチル基であり、RおよびRが共にトリフルオロメチル基である、黄色液体の4,5−ジメチル−3−ヘキシルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド38.6g(収率81%)を得た。
【0053】
得られた4,5−ジメチル−3−ヘキシルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの含有水分量を実施例1と同様にして測定したところ、59ppmであった。また、粘度および導電率を実施例1と同様にして測定したところ、それぞれ、121cP(25℃)および1.1mS/cm(25℃)であった。
【0054】
得られた4,5−ジメチル−3−ヘキシルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに適当量の水を加えると2層を形成することから、当該チアゾリウム塩が疎水性に優れていることを確認した。なお、当該チアゾリウム塩を得るために用いた前記4,5−ジメチル−3−ヘキシルチアゾリウム=ブロマイドは水に完全に溶解するため、水を加えても2層を形成することはない。
【0055】
なお、得られた4,5−ジメチル−3−ヘキシルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
【0056】
融点:3℃
H−NMR(400MHz,溶媒:CDCl):0.89(t,J=7.0Hz,3H),1.32−1.40(m,6H),1.86−1.94(m,2H),2.48(s,3H),2.55(s,3H),4.74(t,J=7.7Hz,2H),9.68(s,1H)
元素分析:C 32.7;H 4.3;F 23.8;N 5.9;S 20.0(計算値 C 32.6;H 4.2;F 23.8;N 5.9;S 20.1)
【0057】
実施例4
撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および冷却器を備えた300mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、4,5−ジメチルチアゾール11.3g(0.10モル)およびヨードオクタン29.4g(0.12モル)を仕込み、100℃で10時間撹拌した。反応終了後、メチルイソブチルケトン100gおよび超純水100mLを加えて、室温まで冷却した後、分液してオレンジ色の4,5−ジメチル−3−オクチルチアゾリウム=ヨーダイド水溶液120g(4,5−ジメチル−3−オクチルチアゾリウム=ヨーダイドとして0.06モル)を得た。次に、得られた4,5−ジメチル−3−オクチルチアゾリウム=ヨーダイド水溶液の全量およびビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム19.3g(0.07モル)を、撹拌機、温度計および冷却器を備えた500mL容の四つ口フラスコに仕込み、室温で1時間撹拌した。その後、ジクロロメタン50mLを加え10分撹拌した後、ジクロロメタン層を分取し、さらに超純水50mLで5回洗浄した。分取したジクロロメタン層をロータリーエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥器を用いて100℃で10時間乾燥することにより、式(1)で表されるチアゾリウム塩のうち、Rがオクチル基であり、RおよびRが共にメチル基であり、RおよびRが共にトリフルオロメチル基である、オレンジ色液体の4,5−ジメチル−3−オクチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド26.7g(収率53%)を得た。
【0058】
得られた4,5−ジメチル−3−オクチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの含有水分量を実施例1と同様にして測定したところ、48ppmであった。また、粘度および導電率を実施例1と同様にして測定したところ、それぞれ、156cP(25℃)および0.7mS/cm(25℃)であった。
【0059】
得られた4,5−ジメチル−3−オクチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに適当量の水を加えると2層を形成することから、当該チアゾリウム塩が疎水性に優れていることを確認した。なお、当該チアゾリウム塩を得るために用いた前記4,5−ジメチル−3−オクチルチアゾリウム=ヨーダイドは水に完全に溶解するため、水を加えても2層を形成することはない。
【0060】
なお、得られた4,5−ジメチル−3−オクチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
【0061】
融点:10℃
H−NMR(400MHz,溶媒:CDCl):0.88(t,J=6.8Hz,3H),1.27−1.39(m,8H),1.86−1.93(m,2H),2.48(s,3H),2.55(s,3H),4.74(t,J=7.7Hz,2H),9.67(s,1H)
元素分析:C 35.6;H 4.8;F 22.7;N 5.5;S 18.9(計算値 C 35.6;H 4.8;F 22.5;N 5.5;S 19.0)
【0062】
実施例5
撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および冷却器を備えた300mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、4,5−ジメチルチアゾール11.3g(0.10モル)およびアリルブロマイド18.5g(0.15モル)を仕込み、70℃で10時間撹拌した。反応終了後、メチルイソブチルケトン100gおよび超純水100mLを加えて、室温まで冷却した後、分液してオレンジ色の3−アリル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ブロマイド水溶液121g(3−アリル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ブロマイドとして0.09モル)を得た。次に、得られた3−アリル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ブロマイド水溶液の全量およびビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム30.2g(0.10モル)を、撹拌機、温度計および冷却器を備えた500mL容の四つ口フラスコに仕込み、室温で1時間撹拌した。その後、ジクロロメタン50mLを加えて10分撹拌した後、ジクロロメタン層を分取し、さらに超純水50mLで5回洗浄した。分取したジクロロメタン層をロータリーエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥器を用いて100℃で10時間乾燥することにより、式(1)で表されるチアゾリウム塩のうち、Rがアリル基であり、RおよびRが共にメチル基であり、RおよびRが共にトリフルオロメチル基である、褐色液体の3−アリル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド36.8g(収率85%)を得た。
【0063】
得られた3−アリル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの含有水分量を実施例1と同様にして測定したところ、55ppmであった。また、粘度および導電率を実施例1と同様にして測定したところ、それぞれ、70cP(25℃)および3.0mS/cm(25℃)であった。
【0064】
得られた3−アリル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに適当量の水を加えると2層を形成することから、当該チアゾリウム塩が疎水性に優れていることを確認した。なお、当該チアゾリウム塩を得るために用いた前記3−アリル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ブロマイドは水に完全に溶解するため、水を加えても2層を形成することはない。
【0065】
なお、得られた3−アリル−4,5−ジメチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
【0066】
融点:29℃
H−NMR(400MHz,溶媒:CDCl):2.47(s,3H),2.55(s,3H),5.02(d,J=6.1Hz,2H),5.36(dt,J=17.0,1.5Hz,1H),5.56(dt,J=10.2,1.2Hz,1H),5.97−6.07(m,1H),9.61(s,1H)
元素分析:C 27.7;H 2.8;F 26.0;N 6.6;S 22.1(計算値 C 27.7;H 2.8;F 26.2;N 6.5;S22.1)
【0067】
実施例6
撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および冷却器を備えた200mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、4,5−ジメチルチアゾール11.3g(0.10モル)および2−ブロモエチルメチルエーテル17.6g(0.12モル)を仕込み、100℃で10時間撹拌した。反応終了後、メチルイソブチルケトン100gを加えて、室温まで冷却した後、濾別することにより、微黄色固体の4,5−ジメチル−3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ブロマイド15.1g(0.06モル)を得た。次に、得られた4,5−ジメチル−3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ブロマイドの全量、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム17.9g(0.06モル)および超純水100mLを、撹拌機、温度計および冷却器を備えた500mL容の四つ口フラスコに仕込み、室温で1時間撹拌した。その後、ジクロロメタン50mLを加えて10分撹拌した後、ジクロロメタン層を分取し、さらに超純水50mLで5回洗浄した。分取したジクロロメタン層をロータリーエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥器を用いて100℃で10時間乾燥することにより、式(1)で表されるチアゾリウム塩のうち、Rが2−メトキシエチル基であり、RおよびRが共にメチル基であり、RおよびRが共にトリフルオロメチル基である、微黄色液体の4,5−ジメチル−3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド23.9g(収率53%)を得た。
【0068】
得られた4,5−ジメチル−3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの含有水分量を実施例1と同様にして測定したところ、70ppmであった。また、粘度および導電率を実施例1と同様にして測定したところ、それぞれ、86cP(25℃)および2.2mS/cm(25℃)であった。
【0069】
得られた4,5−ジメチル−3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに適当量の水を加えると2層を形成することから、当該チアゾリウム塩が疎水性に優れていることを確認した。なお、当該チアゾリウム塩を得るために用いた前記4,5−ジメチル−3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ブロマイドは水に完全に溶解するため、水を加えても2層を形成することはない。
【0070】
なお、得られた4,5−ジメチル−3−(2−メトキシエチル)チアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
【0071】
H−NMR(400MHz,溶媒:CDCl):2.47(s,3H),2.55(s,3H),5.02(d,J=6.1Hz,2H),5.36(dt, J=17.0,1.5Hz,1H),5.56(dt,J=10.2,1.2Hz,1H),5.97−6.07(m,1H),9.61(s,1H)
元素分析:C 26.7;H 3.2;F 25.3;N 6.1;S 21.2(計算値 C 26.6;H 3.1;F 25.2;N 6.2;S 21.3)
【0072】
実施例7
撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および冷却器を備えた200mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、チアゾール8.5g(0.10モル)およびヨードエタン47.3g(0.30モル)を仕込み、70℃で6時間撹拌した。反応終了後、メチルイソブチルケトン100gを加えて、室温まで冷却した後、濾別することにより、微黄色固体の3−エチルチアゾリウム=ヨーダイド18.4g(0.08モル)を得た。次に、得られた3−エチルチアゾリウム=ヨーダイドの全量、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム22.1g(0.08モル)および超純水100mLを、撹拌機、温度計および冷却器を備えた500mL容の四つ口フラスコに仕込み、室温で1時間撹拌した。その後、ジクロロメタン50mLを加えて10分撹拌した後、ジクロロメタン層を分取し、さらに超純水50mLで5回洗浄した。分取したジクロロメタン層をロータリーエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥器を用いて100℃で10時間乾燥することにより、式(1)で表されるチアゾリウム塩のうち、Rがエチル基であり、RおよびRが共に水素原子であり、RおよびRが共にトリフルオロメチル基である、微褐色液体の3−エチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド20.8g(収率53%)を得た。
【0073】
得られた3−エチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの含有水分量を実施例1と同様にして測定したところ、75ppmであった。また、粘度および導電率を実施例1と同様にして測定したところ、それぞれ、66cP(25℃)および4.1mS/cm(25℃)であった。
【0074】
得られた3−エチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに適当量の水を加えると2層を形成することから、当該チアゾリウム塩が疎水性に優れていることを確認した。なお、当該チアゾリウム塩を得るために用いた前記3−エチルチアゾリウム=ヨーダイドは水に完全に溶解するため、水を加えても2層を形成することはない。
【0075】
なお、得られた3−エチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
【0076】
融点:28℃
H−NMR(400MHz,溶媒:DMSO−d6):1.52(t,J=7.3Hz,3H),4.59(q,J=7.3Hz,2H),8.35(d,J=2.4Hz,1H),8.59(d,J=2.4Hz,1H),10.20(s,1H)
元素分析:C 21.3;H 2.0;F 28.9;N 7.1;S 24.2(計算値 C 21.3;H 2.0;F 28.9;N 7.1;S 24.4)
【0077】
実施例8
撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および冷却器を備えた200mL容の四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、チアゾール8.5g(0.10モル)およびヨードブタン22.6g(0.12モル)を仕込み、100℃で10時間撹拌した。反応終了後、メチルイソブチルケトン100gを加えて、室温まで冷却した後、濾別することにより、微黄色固体の3−ブチルチアゾリウム=ヨーダイド26.8g(0.10モル)を得た。次に、得られた3−ブチルチアゾリウム=ヨーダイドの全量、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム29.6g(0.10モル)および超純水100mLを、撹拌機、温度計および冷却器を備えた500mL容の四つ口フラスコに仕込み、室温で1時間撹拌した。その後、ジクロロメタン50mLを加えて10分撹拌した後、ジクロロメタン層を分取し、さらに超純水50mLで5回洗浄した。分取したジクロロメタン層をロータリーエバポレーターで濃縮した後、真空乾燥器を用いて100℃で10時間乾燥することにより、式(1)で表されるチアゾリウム塩のうち、Rがブチル基であり、RおよびRが共に水素原子であり、RおよびRが共にトリフルオロメチル基である、黄色液体の3−ブチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド36.4g(収率81%)を得た。
【0078】
得られた3−ブチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの含有水分量を実施例1と同様にして測定したところ、67ppmであった。また、粘度および導電率を実施例1と同様にして測定したところ、それぞれ、90cP(25℃)および2.1mS/cm(25℃)であった。
【0079】
得られた3−ブチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに適当量の水を加えると2層を形成することから、当該チアゾリウム塩が疎水性に優れていることを確認した。なお、当該チアゾリウム塩を得るために用いた前記3−ブチルチアゾリウム=ヨーダイドは水に完全に溶解するため、水を加えても2層を形成することはない。
【0080】
なお、得られた3−ブチルチアゾリウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、下記の物性を有することから同定することができた。
【0081】
H−NMR(400MHz,溶媒:DMSO−d6):0.92(t,J=7.3Hz,3H),1.24−1.31(m,2H),1.85−1.92(m,2H),4.57(t,J=7.3Hz,2H),8.36(d,J=2.5Hz,1H),8.58(d,J=3.7Hz,1H),10.22(s,1H)
元素分析:C 25.6;H 2.9;F 27.2;N 6.7;S 22.7(計算値 C 25.6;H 2.9;F 27.0;N 6.6;S 22.8)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアラルキル基、炭素数2〜8のアルキニル基または炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、フッ素原子または炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。)で表されるチアゾリウム塩。
【請求項2】
式(1)において、RおよびRが共に水素原子またはメチル基である請求項1に記載のチアゾリウム塩。
【請求項3】
式(1)において、RおよびRが共にトリフルオロメチル基である請求項1または2に記載のチアゾリウム塩。

【公開番号】特開2009−84193(P2009−84193A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255179(P2007−255179)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000195661)住友精化株式会社 (352)
【Fターム(参考)】