説明

チコリ酸および/またはその代謝産物の1つを含有する抗糖尿病組成物

本発明は、被験体においてインスリン抵抗性もしくは低インスリン血症および/または関連病変を予防または治療するための組成物を製造するための、チコリ酸、ならびに/またはモノカフェオイル−酒石酸および/もしくはm−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、および/もしくは4−ビニルカテコールおよび/もしくは4−エチルカテコールの中から選択されたこれらの代謝産物の少なくとも1つの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、インスリン分泌を刺激することができ、よって2型(インスリン非依存性)糖尿病の治療に用いることができる抗糖尿病組成物に関する。
【0002】
糖尿病は現在世界中の何百万人もの個体に発症していることが知られている。2025年には、糖尿病患者数は3億人に達するであろう(1)。それゆえ、糖尿病は主要な公衆衛生問題となる。
【0003】
数種類の真性糖尿病があり、それらには:
1型糖尿病、別名インスリン依存性糖尿病;
2型糖尿病、別名インスリン非依存性糖尿病
が含まれる。
【0004】
2型(インスリン非依存性)糖尿病は最も一般的である(患者のおよそ90%)。かつては成人発症型糖尿病として知られていたこの種類の糖尿病は、主に40歳を超えた成人に生じ、患者の80%は肥満または少なくとも過剰体重を呈している。この疾患の発症時には、膵臓インスリン生産は異常に高いか、または低い可能性がある。
【0005】
2型糖尿病を有する患者では、血糖増加(高血糖)の主要原因は2つの代謝性変化である:
1.グルコースに対する内分泌応答におけるインスリンの(従って膵臓の)不全;
2.末梢組織、主として筋肉および脂肪組織におけるインスリンの作用不全(インスリン抵抗性)(膵外作用)。
【0006】
従って、グルコースに対するインスリン応答におけるこの変化は、病期に応じて2つの原因:グルコースの影響下でのインスリン分泌不足、または標的組織におけるその作用の減少を補うためのインスリン分泌過剰のいずれかによって起こり得る。
【0007】
2型糖尿病は、まず、過剰体重を減少させるという特定の目的を持って、健康および食生活を改善する手段によって治療される。次のステップは、経口抗糖尿病薬での薬物治療であり、この経口抗糖尿病薬は、インスリン欠乏を補うためにインスリン分泌を刺激することによって作用する物質(インスリン刺激薬)である。主なインスリン刺激薬は、スルホニル尿素およびグリニド(主としてATP依存性カリウムチャネルに作用する)である。
【0008】
他の治療選択肢は、インスリンの作用を改善することである(インスリン増感薬)。この目的には2つの物質群、すなわちビグアニド(メトホルミン)およびチアゾリジンジオン、別名グリタゾン(ロシグリタゾン、トログリタゾン、ピオグリタゾン)が知られている。
【0009】
これら総てが役に立たないときには、正常な血糖を維持するのにインスリン補充療法が必要であることが分かるであろう。
【0010】
インスリン分泌を刺激することができる主要物質(インスリン刺激薬)は、血糖降下薬スルファミド(スルホニル尿素)または関連物質(グリニド)である。しかしながら、これらの物質は、主として膵臓β細胞のATP依存性カリウムチャネルに作用し、いくらかの不都合がある。
【0011】
例えば、投薬および患者の感受性に応じて、特に高齢者において、インスリン分泌過剰による低血糖が起こり得る。これはインスリンショックをもたらす可能性がある。
【0012】
これらの不都合を改善するために、研究者らは、ATP依存性カリウムチャネル以外の標的に作用することによってインスリンを刺激する他の薬理学的選択肢、すなわち循環グルコースレベルによってインスリン分泌を調節し、そうすることによって治療後の低血糖などの合併症を回避するものに目を向けた。特に、新規薬理学的活性分子の研究は、以前にも増して、天然物質、すなわち植物抽出物に向けて進められている(2)。
【0013】
こうして、このような天然化合物の研究では、カフェイン酸から誘導されたフェノール化合物、例えば種々の植物から精製されたクロロゲン酸が示された。
【0014】
肝臓(従って膵外)レベルに作用するクロロゲン酸は、肝臓の糖生成に作用すると考えられている。実際に、クロロゲン酸は、グルコース−6−ホスファターゼに対して、主として肝臓で抑制作用を有し(3)、そのため、より良好な肝臓でのグルコース取り込みを可能にし、その結果、より優れた糖耐性を可能にする。クロロゲン酸は、膵臓内分泌部に対して直接作用しないため、インスリン刺激薬ではなく、むしろ末梢組織におけるインスリン抵抗性に対して作用するインスリン増感薬である。
【0015】
インスリン抵抗性は、インスリンの生物学的血糖低下作用に対する体の抵抗性である。結果として、これらのインスリン増感性化合物は、かかるインスリン抵抗性に罹患している患者に用いられる。
【0016】
しかしながら、カフェイン酸から誘導された天然フェノール性物質も、合成フェノール性物質も、膵臓β細胞によるインスリン分泌の刺激薬として未だ報告されていない。
【0017】
本発明の発明者らは、次式:
【化1】

のチコリ酸(chicoric acid)(ジカフェオイル−酒石酸)を植物から抽出し、精製した。
【0018】
酒石酸のカフェイン酸ジエステルであるチコリ酸は、抗酸化活性、抗ウイルス活性または抗癌活性などの多くの薬効を有するヒドロキシ桂皮酸の天然組合せのカテゴリーに属する(4,5,6)。最初はコーヒーノキから精製された、特に桂皮誘導体が多く含まれるこれらの組合せは、広く研究されてきた。チコリ酸は、酒石酸の異性により3つの異性体形態で存在し得る:ジカフェオイル−(2S,3S)−(+)酒石酸、ジカフェオイル−(2R,3R)−(−)−酒石酸およびジカフェオイル−メソ−酒石酸(7)。
【0019】
チコリ酸は、数多くの植物種、より特定的には次の科:マメ科(Fabaceae)、キク科(Asteraceae)、シソ科(Lamiaceae)、トクサ科(Equisetaceae)またはヒルムシロ科(Potamogetonaceae)に属するもの、あるいは他のもの、例えばチコリー(Cichorium intybus)、エキナセア(Echinacea purpurea)、落花生(Arachis hypogaea)、馬の尾(Equisetum arvense)、タンポポ(Taraxacum officinalis)、レタス(Lactuca sativa)または地中海沿岸海草(Posidonia oceanica)などに存在する。チコリ酸は上記の総ての種および植物科の主要な化合物であることが多く、そのため、それらの種および植物科をこの物質の抽出および精製に用いることができる。
【0020】
従って、チコリ酸は、上記の植物から単離し、精製することができる。野生チコリー(Cichorium pumilum、C. endiviaまたはC. intybus)から天然チコリ酸を生産し、単離するための方法の一例を以下に示す。
【0021】
乾燥し、粉砕した後、そのチコリー粉末を沸騰水により20分間抽出する。冷却後、その抽出物を30℃〜40℃間の温度で真空濃縮する。この新たな抽出物を、洗浄し、事前に活性化した吸着カラム(Duolite S 761もしくはXAD 761または同じタイプの他の吸着体)上に置く。弱酸性水(pH4)での最初の溶出では、フェノール官能基またはカルボニル官能基を有する芳香族有機分子を吸着したまま、有機酸および他の非芳香族小分子を分離する。フェノール官能基またはカルボニル官能基を有する芳香族有機分子を、エタノールと水の80:20混合物を用いて脱離する。得られたチコリ酸濃縮抽出物を濃縮し、凍結乾燥する。
【0022】
この凍結乾燥粉末から、セルロースカラムでの中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)によってこの分子を精製する。溶出溶媒は水中0.10%または0.15%酢酸である。チコリ酸が最も多く含まれる画分を合わせ、濃縮し、この抽出物をFractogel TSK RW 40(F)カラムでのクロマトグラフィーにより精製する。次いで、水、続いて、水中エタノールの勾配によって溶出を行う。純粋チコリ酸を含んでいる画分を凍結乾燥する。
【0023】
チコリ酸を得るための他の方法は、天然チコリ酸を得ることについてはScarpati et al(8)、"Chicoric acid (dicaffeyltartaric acid): Its isolation from chicory and synthesis" Tetrahedron、1958、vol. 4、pp. 43-48に、または合成チコリ酸を得ることについては出願WO03/029183に記載されている。
【発明の開示】
【0024】
驚くべきことに、そして思いがけず、本発明者らは、植物からのチコリ酸抽出物が、ATP依存性カリウムチャネルとは関係しない、インスリン刺激特性を有することを示し、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病の予防および治療において大きな成果を得た。実際には、チコリ酸のインスリン刺激効果は、INS−IE細胞系統での、およびラット膵臓から単離したランゲルハンス島でのin vitro試験により、そして正常ラットにおけるin vivo試験により報告されている。INS−IE細胞系統で得られた結果では、チコリ酸の効果は最大刺激に極めて迅速に到達するが、その最大刺激は、膵臓β細胞のATP依存性カリウムチャネルに対して作用することで知られているトルブタミドなどのスルホニル尿素薬を用いて得られる刺激値よりも低いことが示されている。この結果により、チコリ酸はこのチャネルに対して作用しない可能性が示唆される。さらに、ラット膵臓から単離されたランゲルハンス島での本発明者らによる最近の試験では、チコリ酸のインスリン刺激効果がグルコースの濃度に依存していることが示されている。よって、チコリ酸は、スルホニル尿素での治療を受けた患者において起こることがあるような、患者において、とりわけ高齢者において危険であり得る状態である低血糖を起こさずにインスリン分泌を刺激することができることから、特に糖尿病に関連した、低インスリン血症の予防および治療において優れた革新的な選択肢であり得る。
【0025】
加えて、本発明者らは、2型糖尿病を誘発する主要な危険因子の1つが、先進工業国の憂慮すべき新たな社会的関心である、座ることの多いライフスタイルおよび/またはアンバランスな食事に関係していることが多い過剰体重増加であることを指摘している。実際に、肥満はインスリン抵抗性の発現の一因となっており、すなわち膵外標的組織(筋肉、肝臓)におけるインスリンの作用が低下すると、これらの組織によるグルコース取り込みは高度に変更される。インスリン抵抗性に続いて、代償性高インスリン血症が起こることが非常に多い。これは、原形質膜が、筋肉および脂肪組織にグルコース輸送細胞、とりわけGLUT4を補充する能力を相対的に有さないことから起こる。肥満と2型糖尿病とのこの因果関係は、公衆衛生分野における重要な現象として現われている。一連の証拠によれば、高インスリン血症は卒中の危険性と関連付けられ、メタボリック症候群またはReavenの症候群X(インスリン抵抗性、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、動脈性高血圧症)およびそれに関連した罹患危険率を理解するのに役立つ。
【0026】
チコリ酸のインスリン刺激特性に加えて、本発明者らは、特に筋肉組織(体内での主要なグルコース取り込み組織)における、インスリンを刺激する用量でのグルコース取り込みに対するチコリ酸の刺激効果、その結果としてのチコリ酸のインスリン増感効果を示した。
【0027】
よって、チコリ酸は、インスリン抵抗性の予防および治療において優れた革新的な選択肢であり得る。
【0028】
従って、本明細書には、活性物質として、少なくともチコリ酸および/またはその代謝産物を含んでなることを特徴とするインスリン刺激組成物が開示される。
【0029】
有利には、前記チコリ酸またはその代謝産物は、ジカフェオイル−酒石酸の(+)、(−)またはメソ異性体形態である。
【0030】
有利には、前記チコリ酸代謝産物は、モノカフェオイル−酒石酸、カフェイン酸、酒石酸、フェルラ酸、ジヒドロカフェイン酸、m−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、ジヒドロキシフェニル酢酸、4−ビニルカテコールまたは4−エチルカテコールである。
【0031】
本発明の1つの目的は、被験体においてインスリン抵抗性もしくは低インスリン血症および/または関連病変を予防または治療するための組成物を製造するための、チコリ酸、ならびに/またはモノカフェオイル-酒石酸および/もしくはm−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、および/もしくは4−ビニルカテコール(4-vinylcathecol)および/もしくは4−エチルカテコールの中から選択された少なくとも1つのその代謝産物の使用に関する。
【0032】
好ましくは、本発明の使用は、前記組成物がインスリン刺激性であり、かつ、それが低インスリン血症を予防または治療するためのものであることを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、「低インスリン血症」とは、罹患被験体におけるインスリン欠乏、すなわち、被験体の血液中の異常に低い濃度のインスリンを意味する。低インスリン血症は罹患被験体において高血糖を引き起こし得る。
【0034】
好ましくは、本発明による、インスリン抵抗性または低インスリン血症に関連したこれらの病変は、糖尿病、脂質異常症、特に高脂血症および高トリグリセリド血症、メタボリック症候群、動脈性高血圧症ならびに肥満からなる群から選択される。
【0035】
本発明によれば、「メタボリック症候群」とは、症候群XまたはReavenの症候群Xとも呼ばれる病変を意味する。
【0036】
メタボリック症候群は、脂質異常症(低HDL−Cレベル、高トリグリセリドレベル)、腹囲の増加/肥満、またインスリン抵抗性(空腹時高血糖)および動脈性高血圧症をも含む一連の危険因子によって定義される病変である。この症候群は、世界中で何百万人もの人々が発症し、それらの人々の、腎不全および網膜症の併発を伴う糖尿病を発症する危険性はより増大し、または心血管疾患(冠動脈疾患、冠動脈不全、心筋梗塞、アンギナ、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、脳血管障害、血栓症、アテローム血栓症もしくは緑内障など)、または肝臓疾患(脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎もしくは非アルコール性脂肪肝疾患など)を引き起こす。
【0037】
危険な状態にある患者におけるメタボリック症候群を予防および治療することで、心血管疾患、2型糖尿病または肝臓疾患の発現を減少させることができる。
【0038】
成人治療パネルIII(Adult treatment Panel III)によって定められたように、米国コレステロール教育プログラム(the National Cholesterol Education Program)(NCEP, USA)によって提供され、本発明について選択されたメタボリック症候群の定義は、普遍的な基準ではなく、以下の表1に記載する判定基準が含まれる。患者は、示した5つの判定基準:腹囲の増加、肥満、脂質異常症、動脈性高血圧症、および高血糖のうちの少なくとも3つを満たすときに、メタボリック症候群に罹患している。
【0039】
【表1】

【0040】
脂質異常症は、トリグリセリドおよび低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)の上昇、低濃度の高密度リポタンパク質−コレステロール(HDL−C)、総コレステロール/HDL−C比の上昇ならびにLDL小粒子の存在によって定義される。肥満被験体に多く認められる脂質異常症は、アテローム発生プロフィール(すなわちアテローム症の危険性を高めるもの)を有することも知られている。
【0041】
好ましくは、本発明は、糖尿病、特にインスリン依存性糖尿病またはインスリン非依存性糖尿病、より好ましくはインスリン非依存性糖尿病の治療または予防に関する。
【0042】
さらに、上述のとおり、本発明者らは、チコリ酸のインスリン刺激効果がグルコース濃度に依存していることを示している。
【0043】
よって、本発明の組成物のインスリン刺激活性は、被験体の血液中のグルコース濃度に依存している。
【0044】
好ましくは、本発明の組成物は、血糖濃度が1g/lより高い被験体においてインスリン刺激性である。
【0045】
有利には、本発明の組成物は、インスリン増感性である。
【0046】
本発明によれば、「インスリン増感性」とは、とりわけ脂肪および筋肉細胞における核のインスリン受容体を活性化することによって、インスリン抵抗性を予防または治療するチコリ酸およびその代謝産物の特性を意味する。かかる受容体は、なかでもPPAR(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)である。
【0047】
このインスリン増感作用には、特に、インスリン抵抗性に関与する様々な分子(遊離脂肪酸、レプチンおよびTNF−α、細胞においてインスリンに拮抗的に作用する分子など)の減少を含むいくつかの機構が関与している。
【0048】
好ましくは、本発明によれば、前記チコリ酸またはその代謝産物は天然または合成起源のものである。
【0049】
より好ましくは、本発明によれば、前記チコリ酸またはその代謝産物は植物起源のものである。有利には、前記チコリ酸またはその代謝産物は、キク科、シソ科、マメ科、トクサ科またはヒルムシロ科に属する植物、有利には野生チコリー(例えば、Cichorium intybus)または栽培チコリー(例えば、チコリーまたはエンダイブ)から得られる。
【0050】
本発明によれば、「キク科」とは、双子葉植物の科であるキク科(AsteraceaeまたはCompositae)という科を指す。それらは主として草本植物であるが、高木、低木またはつる植物はこの科の一員であり得る。
【0051】
好ましくは、本発明のチコリ酸を得るのに好ましいこの科の属は:
アキノノゲシ属(Lactuca):レタス;
キクニガナ属(Cichorium):チコリー(またはエンダイブ);
チョウセンアザミ属(Cynara):チョウセンアザミ;
タンポポ属(Taraxacum):タンポポ;
バラモンジン属(Tragopogon):サルシフィ;
エキナセア:エキナセア;
ヤブタビラコ属(Lapsana)
である。
【0052】
本発明によれば、「シソ科」とは、双子葉植物の科であるシソ科(LamiaceaeまたはLabiatae)という科を指す。
【0053】
好ましくは、本発明のチコリ酸を得るのに好ましいこの科の属は:
ラバンジュラ属(Lavendula):ラベンダー;
Orthosiphon aristus:オルトシフォン(orthosiphon);
タツナミソウ属(Scutelleria):タツナミソウ;
テウクリウム属(Teucrium)
である。
【0054】
本発明によれば、「マメ科」とは、双子葉植物の科であるマメ科(FabaceaeまたはLeguminosae)という科を指す。これらは草本植物、低木、高木またはつる植物である。
【0055】
好ましくは、本発明のチコリ酸を得るのに好ましいこの科の属は:
マメ亜科(PapilionoideaeまたはFaboideae);
ジャケツイバラ亜科(Caesalpinioideae);
ネムノキ亜科(Mimosoideae);
Arachis hypogaea:落花生
である。
【0056】
本発明によれば、「ヒルムシロ科」とは、単子葉水生植物の科であるヒルムシロ科という科を指す。
【0057】
好ましくは、本発明のチコリ酸を得るのに好ましいこの科の属は:
ポシドニア属(Posidonia):海草
である。
【0058】
本発明によれば、「トクサ科」とは、シダ植物の科であるトクサ科という科を指す。好ましくは、本発明のチコリ酸を得るのに好ましいこの科の属は:
Equisetum arvense:馬の尾
である。
【0059】
本明細書によれば、糖尿病被験体においてインスリン分泌を刺激するための組成物を調製するための、チコリ酸および/またはその代謝産物の使用も開示される。
【0060】
インスリン分泌の刺激は糖耐性の改善につながる。
【0061】
よって、本明細書によれば、糖耐性を改善するための前記組成物の使用も開示される。
【0062】
さらに、インスリン分泌を刺激すること、そして糖耐性を改善することで、とりわけ、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病を予防または治療することが可能になる。
【0063】
本発明によれば、糖尿病を予防および/または治療するために、インスリン分泌を刺激するための、そして糖耐性を改善するための組成物を調製するのに使用される前記チコリ酸またはその代謝産物は、ジカフェオイル−酒石酸の(+)、(−)またはメソ異性体形態である。
【0064】
本発明によれば、糖尿病を予防および/または治療するために、インスリン分泌を刺激するための、そして糖耐性を改善するための組成物を調製するのに使用される前記チコリ酸またはその代謝産物は、天然または合成起源のものとされる。
【0065】
本発明によれば、糖尿病を予防または治療するために、インスリン分泌を刺激するための、そして糖耐性を改善するための組成物を調製するのに使用される前記チコリ酸またはその代謝産物は、植物または合成起源のものとされる。有利には、前記チコリ酸またはその代謝産物は、キク科、シソ科、マメ科、トクサ科またはヒルムシロ科から、有利には野生チコリー(例えば、Cichorium intybus)または栽培チコリーから得られる。
【0066】
好ましくは、本発明の組成物の使用は、一回用量当たり、5〜30mg/kgのチコリ酸、ならびに/または5〜30mg/kg未満のモノカフェオイル−酒石酸および/もしくはm−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、および/もしくは4−ビニルカテコール(4-vinylcathecol)および/もしくは4−エチルカテコールおよび/もしくはカフェイン酸、および/もしくは酒石酸、および/もしくはフェルラ酸および/もしくはジヒドロカフェイン酸の、前記被験体における投与を含む。
【0067】
本発明の別の目的は、少なくともチコリ酸および/またはその代謝産物を含んでなることを特徴とする食品組成物を提供することである。
【0068】
本発明によれば、前記食品組成物のチコリ酸および/またはその代謝産物は、天然または合成起源のものとされる。
【0069】
本発明によれば、前記食品組成物のチコリ酸および/またはその代謝産物は、植物起源のものとされる。有利には、前記食品組成物のチコリ酸および/またはその代謝産物は、キク科、シソ科またはマメ科から、有利には野生または栽培チコリーから得られる。
【0070】
本発明の一態様によれば、前記組成物は、少なくともチコリ酸、ならびに/またはモノカフェオイル−酒石酸および/もしくはm−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、および/もしくは4−ビニルカテコール(4-vinylcathecol)および/もしくは4−エチルカテコールの中から選択された少なくとも1つのその代謝産物を含んでなること、そして補助食品であることを特徴とする食品組成物として提供される。
【0071】
本発明によれば、そして2002年6月10日の欧州議会・理事会指令2002/46/ECの定義によれば、「補助食品」とは、通常の食事を補うことを目的とした食品であり、カプセル剤、香錠、錠剤、丸剤ならびに他の類似形態、粉末小袋、液体アンプル、滴下瓶、ならびに測定小単位量で投与されるように設計された液体および粉末の他の類似形態などの形態の投与形で市販されている、栄養学的または生理学的効果を有する栄養素または他の物質の単独でのまたは組み合わせての濃縮源である食品を意味する。本発明は、世界市場を目的としており、「食事を補うことを目的とした、その1日の消費量を増やすように1以上の特定食品成分(ビタミン、ハーブティー、植物、アミノ酸、濃縮液、抽出物、代謝産物または前記成分の任意の組合せ)を含有するいずれもの製品」を包含する補助食品の米国定義も含むことに注目すべきである。
【0072】
本発明の別の態様によれば、本発明の食品組成物は栄養補助食品形態である。
【0073】
「栄養補助食品」とは、健康に対して有益な効果をもたらす食品中に自然状態で存在する有効成分を指す。例えば、アリシンはニンニク中に自然に存在する物質であり、心血管疾患および癌に対して保護する抗酸化作用を有する。そのため、アリシンはその自然状態で栄養補助食品であるだけでなく、散剤または錠剤形態で市販される場合も栄養補助食品である。栄養補助食品の別の例は、濃縮ブロッコリー錠剤である。
【0074】
本発明の食品組成物は、散剤、カプセル剤、錠剤、液剤、濃縮液、シロップ剤、懸濁液または分散液の形態である。好ましくは、本発明の食品組成物は、錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤または飲料の形態である。
【0075】
有利には、本発明によれば、前記食品組成物は食品に添加される。
【0076】
有利には、前記食品組成物は、前記食品の調製中に、または前記食品の消費直前に添加される。例えば、前記食品組成物は、インスタント食品に振り掛ける粉末として提供される。
【0077】
好ましくは、本発明によれば、前記食品組成物は、一回用量当たり、60kg個体に対して、200〜600mg/1のチコリ酸、ならびに/または少なくとも200〜600mgのその代謝産物、特にモノカフェオイル−酒石酸および/もしくはm−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、および/もしくは4−ビニルカテコール(4-vinylcathecol)および/もしくは4−エチルカテコールを含んでなる。
【0078】
有利には、前記食品組成物は、グルコースを含んでなることを特徴とする。
【0079】
本明細書には、糖尿病、有利にはインスリン非依存性糖尿病を予防するための、および/または糖耐性を改善するための上記の食品組成物の使用も開示される。
【0080】
本発明の別の目的は、糖尿病、肥満、メタボリック症候群もしくは加齢に伴うインスリン抵抗性を予防するための、および/または糖耐性を改善するための、前記食品組成物の非治療的使用を提供することである。
【0081】
有利には、本発明の食品組成物はグルコースを含んでなり、例えば、エネルギー飲料などのエネルギー食品として非治療的に使用される。
【0082】
チコリ酸、ならびに/または少なくとも1つのその代謝産物、特にモノカフェオイル−酒石酸および/もしくはm−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、および/もしくは4−ビニルカテコール(4-vinylcathecol)および/もしくは4−エチルカテコールと、グルコースとを組み合わせて存在させることにより、消費者の体、特に消費者の筋肉への前記グルコースのアベイラビリティーが改善される。
【実施例】
【0083】
上述の方法によって得られたチコリ酸(本発明者らの実施例ではSAT2と呼ぶ)を薬理学的試験に使用して、抗糖尿病性をもたらす可能性を有するインスリン刺激活性を具体化する。これらの試験は、in vitroではラット膵臓から培養した膵臓β細胞においておよびラット膵臓から単離したランゲルハンス島において実施し、さらにin vivoではそのラットにおいて実施した。
【0084】
以下に示す試験では、分泌されたインスリンの濃度を、FRET原理を用いてCis Bio International社および本発明者らによって開発された定量システム(9):インスリンキットによって評価した。
【0085】
血糖は、市販のキット(Boehringer, Mannheim、Germany)を用いて酵素法により分析した。それらの結果を、分散分析、続いて多重比較検定に供した。
【0086】
実施例1:培養β細胞における調査(図1)
培養β細胞は、完全RPMI 1640培地で培養したラットインスリノーマ由来のINS−IE細胞である。INS−IE細胞の意義は、たとえINS−IE細胞がその生理環境から完全に分離されているとしても、前記培地中のグルコース濃度に応じてINS−IE細胞のインスリン分泌が増加する(10)ということである。
【0087】
前記細胞を10%子ウシ胎児血清(FCS)および11mMグルコースを含有するRPMI培地(各100μgペニシリンおよびストレプトマイシン(抗生物質)、50μM β−メルカプトエタノールおよび1mMピルビン酸ナトリウムを補給したもの)で培養する。
【0088】
前記細胞の24ウェルプレートへの接種から4日後、培養培地を廃棄し、グルコースを含まないRPMI培地+10%FCSに交換する。それらの細胞を戻して37℃で12時間インキュベートする。グルコースを含まないクレブス−リンゲル液1mlで2回洗浄し、それらの細胞を、SAT2を(10〜50μg/mlの濃度において)加えたまたは加えないグルコース濃縮クレブス−リンゲル液に90分間入れる。
【0089】
図1では、用いたINS−IE細胞は、培養培地中でのグルコース濃度の3mMから5mMまでの増加によってこれらの細胞におけるインスリン分泌が+89%(p<0.01)刺激されることから、完全に機能することが示されている。
【0090】
本発明によれば、この試験では、3mMグルコース含有培地中に10μg/ml(24.5μM)のSAT2を加えること(90分のインキュベーション)によってインスリン分泌が大きく増加する(+81%、p<0.01)ことが示されている。INS−IE細胞では、3mMグルコースの存在下でSAT2によって誘導されたかかるインスリン分泌刺激は、3mMから5mMまでのグルコースの増加中にこれらの細胞において得られるものに相当する。同等のインスリン分泌刺激は、3mMグルコース含有培地において50μg/ml(122μM)のSAT2(前述の試験より5倍高い濃度である)の存在下で得られ;このことは、SAT2は最大刺激に極めて迅速に到達するが、その最大刺激は、一般に用いられる濃度である200μMのトルブタミド(スルホニル尿素)の存在下で得られる刺激よりはるかに低いことを示唆している。
【0091】
SAT2によるこのインスリン分泌刺激によって、スルホニル尿素での治療中にしばしば認められる副作用である低血糖が回避されるはずである。
【0092】
実施例2:ラット膵臓から単離したランゲルハンス島における調査(図2)
ランゲルハンス島は、膵臓内分泌部を構成し、インスリンを分泌するβ細胞を主として含む。Lacy et al(11)の方法から適合させた方法に従ってコラゲナーゼを用いた膵臓の消化によってラット膵臓のランゲルハンス島を単離する。
【0093】
前記消化産物(the digestate)の他の要素からランゲルハンス島を分離し、双眼拡大鏡下で撮影し、その後、インキュベーションチューブに入れた。クレブス−リンゲルバッファー中、SAT2を加えてまたは加えないで8.3mMグルコースの存在下で1時間インキュベートした正常Wistarラット島において、インスリン分泌に対する種々の濃度のチコリ酸の効果を調査した。
【0094】
得られた島は、グルコース濃度の(8.3mMから16.7mMまで)の増加によってインスリン分泌刺激がもたらされた(+58%、p<0.05)ことから、機能していることが確認された。その島を8.3mMグルコースの存在下でインキュベートするときに10μ/ml濃度のチコリ酸(SAT2)を加えることによって、インスリン分泌の増加がもたらされる(+21%)。
【0095】
同じ濃度のグルコース(8.3mM)について、SAT2を50μg/mlの濃度で加えるときにはより大きな刺激が認められる(+68%、p<0.01)。
【0096】
チコリ酸をこのように加えることによって、グルコース単独(〜16.7mM)を増加させる間に得られるものとよく似たインスリン分泌の増加がもたらされる。
【0097】
実施例3:正常覚醒Wistarラットにおける試験(図3)
高血糖誘発試験中にラットにおけるチコリ酸の投与効果を試験した(1gグルコース/kg生体重)。それらの動物に、5mg/kg生体重の濃度のグルコース単独またはグルコースプラスチコリ酸のいずれかの単回腹膜内注射を行った。
【0098】
本発明者らの結果は、グルコースにチコリ酸を加えることによって、グルコースに対する動物のインスリン応答が改善されることを示している。糖に起因する高インスリン血症の増加は、注射後の最初の30分間に現われる。これらの30分間の曲線下面積(AUC)の計算結果によって、チコリ酸(SAT2)の存在下でのインスリン分泌のはっきりとより大きな刺激が明らかになる(p<0.01)。
【0099】
実施例4:ラット膵臓から単離したランゲルハンス島におけるグルコース濃度に応じたSAT2のインスリン刺激効果の調査(図4)
コラゲナーゼを用いた酵素法による膵臓の消化後、前記消化産物の他の要素からランゲルハンス島を分離し、双眼拡大鏡下で撮影し、その後、インキュベーションチューブに入れた。クレブス−リンゲルバッファー中、2.8mM、8.3mMおよび16.7mM濃度のグルコースの存在下で1時間インキュベートした正常Wistarラット島において、2.8mMおよび8.3mMのグルコースによって刺激される島によるインスリン分泌に対する50μg/mlチコリ酸の効果を調査した。
【0100】
種々の濃度のグルコース(Gl)の存在下で50μg/ml濃度のSAT2を加えてまたは加えないで3つの単離ランゲルハンス島を1時間インキュベートした後、それらのサンプルを分析した。
【0101】
得られた結果を図4および以下の表2に示している。
【0102】
示した結果は6箇所/試験、3つの独立した試験の平均である(,P<0.05)。
【0103】
【表2】

【0104】
この表および図4から考えると、低濃度のグルコース(2.8mM)下では、SAT2はランゲルハンス島におけるインスリン分泌を刺激しないと見ることできる。グルコース濃度が高い(8.3mM)ときには、インスリン分泌の増加が認められる(+52%、p<0.05、スチューデントt−検定)。8.3mMグルコースとともにSAT2が存在することによって、インスリン分泌が非常に大きく刺激される(+56%、p<0.05、スチューデントt−検定)。従って、これらの結果から、チコリ酸(SAT2)がランゲルハンス島によるインスリン分泌に対するグルコース依存性調節効果を有することが示される。
【0105】
この実施例では、チコリ酸のインスリン刺激効果はグルコース濃度に依存することを示している。このことにより、SAT2(チコリ酸)は、スルホニル尿素による治療を受けた患者において起こることがあるように、患者において、特に高齢者において危険であり得る状態である低血糖を起こさずにインスリン分泌を刺激することができることが示されることから、このことは重要な結果である。
【0106】
実施例5:L6ラット筋細胞系統におけるインスリンの存在下または不在下でのグルコース取り込みに対するSAT2の効果(図5)
インスリンの刺激濃度においてグルコース取り込みに対するチコリ酸の刺激効果を証明するために、筋細胞系統モデルを選んだ。L6系統(ATCC-LCC Promochemによって提供されたドブネズミ(Rattus norvegicus)の骨格筋由来の系統)を用いた。インスリンの存在下でSAT2を加えてまたは加えないグルコース取り込みを[H]−デオキシグルコースを用いて定量した。
【0107】
L6細胞系統を、10%子ウシ胎児血清(FCS)を補給したDMEM(4.5g/lグルコース)中で培養する。グルコース取り込み試験では、前記細胞を12ウェルプレートへ10細胞/ウェルの密度で接種する。培養から3日後、それらの細胞を2%FCS含有DMEM中で1週間分化させる。試験当日、FCSを含まない0.1%BSA含有DMEM中で4時間細胞を枯渇させた後、それらの細胞を、1g/lグルコースを含有し、0.100nMおよび500nMインスリンを含有するクレブス−リンゲルバッファー中、50μg/mlまたは100μg/mlの濃度でSAT2を加えてまたは加えないで1時間インキュベートする。次いで、それらの細胞をクレブス−リンゲルで洗浄した後、各ウェルあたり1mlクレブス−リンゲル中0.5μCi[H]デオキシグルコースの存在下でインキュベートする。L6細胞によるグルコース取り込みを、冷PBSで3回洗浄することにより停止させ、その後、それらの細胞を1mlの0.1N NaOH溶液に溶解する。Bradford法により総タンパク質量中の濃度を推定し、βカウンターを用いて放射能を測定する。最終結果はcpm/mg/分で表している。スチューデントt−検定を用いて、統計的有意性を解析した。
【0108】
1週間の分化後、前記細胞を、漸増濃度のSAT2(50μg/mlおよび100μg/ml)と組み合わせて100nMインスリンの不在下(I0)および存在下(I100)で1時間刺激する。グルコース取り込みに対する効果を[H]−デオキシグルコースの存在下で5分間測定する。(,p<0.05;***,p<0.001;NS,有意性なし)。
【0109】
結果:この実施例では、SAT2は培養L6系統に対して有意なインスリン増感効果を有することを示している。インスリンの不在下では、SAT2は最高濃度100μg/mlにおいてのみグルコース取り込みを大きく刺激する(+12.7%、p<0.05)。100Nmのインスリンはグルコース捕捉を30.4%増加させる(p<0.001)。100μg/mlのSAT2を加えることによって、グルコース取り込みは16.3%拡大される(p<0.001)。よって、このSAT2分子はラット筋細胞系統においてグルコース取り込みを刺激することができる。この効果の大部分はインスリンの存在と無関係である(およそ12%)。それでも、おおよそ4%の効果はインスリンおよびそのシグナル伝達経路に依存している。
【0110】
参照文献
【表3】


【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】単離INS−IEβ細胞に対するチコリ酸(SAT2)の直接インスリン刺激効果の実証。
【図2】インキュベートした単離ラットランゲルハンス島に対するチコリ酸(SAT2)のインスリン刺激効果。
【図3】正常覚醒ラットにおける高血糖誘発試験中のチコリ酸(SAT2)腹膜内(IP)注射(1g/kg IP)の効果。 A−注射後のインスリン血症動態。 B−注射後の最初の30分間のインスリン血症に関する曲線下面積(AUC)。 各動態グラフは8動物の平均である。
【図4】ラット膵臓から単離したランゲルハンス島におけるインスリン分泌に対するSAT2の効果。
【図5】L6ラット筋細胞系統におけるインスリン存在下または不在下でのグルコース捕捉に対するSAT2の効果。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体においてインスリン抵抗性もしくは低インスリン血症および/または関連病変を予防または治療するための組成物を製造するための、チコリ酸、ならびに/またはモノカフェオイル-酒石酸および/もしくはm−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、および/もしくは4−ビニルカテコールおよび/もしくは4−エチルカテコールの中から選択された少なくとも1つのその代謝産物の使用。
【請求項2】
前記組成物がインスリン刺激性であり、かつ、それが低インスリン血症を予防または治療するためのものである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
インスリン抵抗性または低インスリン血症に関連した前記病変が、糖尿病、脂質異常症、特に高脂血症および高トリグリセリド血症、メタボリック症候群、動脈性高血圧症ならびに肥満からなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記病変が糖尿病である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記糖尿病がインスリン非依存性糖尿病である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記糖尿病がインスリン依存性糖尿病である、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
前記組成物のインスリン刺激活性が被験体の血液中のグルコース濃度に依存している、請求項2〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記組成物が、血糖濃度が1g/lより高い被験体においてインスリン刺激性である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記組成物がインスリン増感性である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記チコリ酸、ならびに/またはモノカフェオイル−酒石酸および/もしくはm−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、および/もしくは4−ビニルカテコールおよび/もしくは4−エチルカテコールが、天然または合成起源のものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記チコリ酸、ならびに/またはモノカフェオイル−酒石酸および/もしくはm−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、および/もしくは4−ビニルカテコールおよび/もしくは4−エチルカテコールが、植物起源のものである、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記チコリ酸、ならびに/またはモノカフェオイル−酒石酸および/もしくはm−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、および/もしくは4−ビニルカテコールおよび/もしくは4−エチルカテコールの中から選択された少なくとも1つのその代謝産物が、キク科、シソ科、マメ科、トクサ科またはヒルムシロ科に属する植物から得られるものである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記チコリ酸、ならびに/またはモノカフェオイル−酒石酸および/もしくはm−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、および/もしくは4−ビニルカテコールおよび/もしくは4−エチルカテコールが、野生チコリーまたは栽培チコリーから得られるものである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
一回用量当たり、5〜30mg/kgのチコリ酸、ならびに/または5〜30mg/kg未満のモノカフェオイル−酒石酸および/もしくはm−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、および/もしくは4−ビニルカテコールおよび/もしくは4−エチルカテコールおよび/もしくはカフェイン酸、および/もしくは酒石酸、および/もしくはフェルラ酸および/もしくはジヒドロカフェイン酸の、前記被験体における投与を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
少なくともチコリ酸、ならびに/またはモノカフェオイル−酒石酸および/もしくはm−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、および/もしくは4−ビニルカテコールおよび/もしくは4−エチルカテコールの中から選択された少なくとも1つのその代謝産物を含んでなる食品組成物であって、補助食品である、食品組成物。
【請求項16】
散剤、カプセル剤、錠剤、液剤、濃縮液、シロップ剤、懸濁液または分散液の形態である、請求項15に記載の食品組成物。
【請求項17】
食品に添加される、請求項15または16に記載の食品組成物。
【請求項18】
一回用量当たり、60kg個体に対して、200〜600mgのチコリ酸、ならびに/または200〜600mg未満のモノカフェオイル−酒石酸および/もしくはm−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、および/もしくは4−ビニルカテコールおよび/もしくは4−エチルカテコールおよび/もしくはカフェイン酸、および/もしくは酒石酸、および/もしくはフェルラ酸および/もしくはジヒドロカフェイン酸を含んでなる、請求項15〜17のいずれか一項に記載の食品組成物。
【請求項19】
グルコースを含んでなる、請求項15〜18のいずれか一項に記載の食品組成物。
【請求項20】
糖尿病、肥満、メタボリック症候群もしくは加齢に伴うインスリン抵抗性を予防するための、および/または糖耐性を改善するための、請求項15〜19のいずれか一項に記載の食品組成物の非治療的使用。
【請求項21】
エネルギー食品としての、請求項19に記載の食品組成物の非治療的使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−501023(P2010−501023A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525037(P2009−525037)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058580
【国際公開番号】WO2008/022974
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(594016872)サントル、ナショナール、ド、ラ、ルシェルシュ、シアンティフィク、(セーエヌエルエス) (83)
【Fターム(参考)】