説明

チップレットを備えるフレキシブルOLEDディスプレイ

フレキシブル放射が、粗い基板表面を有し、表示エリアを画定する粗いフレキシブル基板と、粗い基板表面上に形成される有機低温接着層であって、該有機低温接着層の少なくとも一部は5ミクロン以上の厚みを有する、有機低温接着層と、表示エリア内に分散され、有機低温接着層に接着する複数のチップレットであって、各チップレットは1つ又は複数の接続パッドを有する、複数のチップレットと、表示エリア内の有機低温接着層上に形成される複数のパターニングされたボトム電極であって、各ボトム電極は、対応するチップレットの1つの接続パッドにのみ電気的に接続される、ボトム電極;該ボトム電極上に形成される発光材料の1つ又は複数の層;及び該発光材料の1つ又は複数の層上に形成されるトップ電極と、トップ電極上に配置され、粗い基板表面に接着されるフレキシブル封入層と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粗いフレキシブル基板上に分散配置される別々の基板を有する独立した制御素子を用いるフレキシブル発光ディスプレイデバイスに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
いずれも同じ譲受人に譲渡された、Cok他によって2008年8月14日に出願された「Display Device With Chiplets」と題する米国特許出願公開第12/191,462号;Cok他によって2008年11月17日に出願された「Emissive Device With Chiplets」と題する米国特許出願公開第12/271,952号、及びCok他によって2009年2月11日に出願された「Display Device With Chiplets and Light Shields」と題する米国特許出願公開第12/369,163号が参照され、それらの開示は本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
フラットパネルディスプレイデバイスは、コンピューティングデバイスと共に、そしてポータブルデバイスにおいて、そしてテレビのような娯楽デバイス用に広く用いられている。そのようなディスプレイは通常、基板上に分散配置される複数のピクセルを用いて画像を表示する。各ピクセルは、各画素を表すために、通常赤色光、緑色光、及び青色光を放射する、一般的にサブピクセルと呼ばれるいくつかの異なる色の発光素子を組み込んでいる。種々のフラットパネルディスプレイ技術、たとえば、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、及び発光ダイオードディスプレイが知られている。近年では、フレキシブルフラットパネルディスプレイデバイスに益々の関心が寄せられている。
【0004】
発光素子(ピクセル)を形成する発光材料の薄膜を組み込んだ発光ダイオード(LED)は、フラットパネルディスプレイデバイスにおいて数多くの利点を有し、光学システムにおいて有用である。Tang他に対する特許文献1は、有機LED(OLED)発光素子のアレイを含む有機LEDカラーディスプレイを示している。代替的には、無機材料を用いることができ、無機材料は多結晶半導体マトリックス内に燐光性結晶又は量子ドットを含むことができる。有機材料又は無機材料の他の薄膜を用いて、発光薄膜材料への電荷の注入、輸送、又は遮断を制御することもでき、そのような薄膜が当該技術分野において知られている。それらの材料は基板上において電極間に配置され、封入カバー層又はプレートを備える。発光材料に電流が通電するときに、サブピクセルから光が放射される。放射される光の周波数は、用いられる材料の特性に依存する。そのようなディスプレイでは、基板を通じて(ボトムエミッター)、又は封入カバーを通じて(トップエミッター)、又はその両方を通じて光を放射することができる。
【0005】
フラットパネルディスプレイデバイス内のピクセルを制御するための2つの異なる方法、すなわち、アクティブマトリックス制御及びパッシブマトリックス制御が一般的に知られている。アクティブマトリックスでは、制御素子はフラットパネル基板の上に分散配置される。通常、各サブピクセルは1つの制御素子によって制御され、各制御素子は少なくとも1つのトランジスタを含む。たとえば、簡単な従来技術のアクティブマトリックス有機発光(OLED)ディスプレイでは、各制御素子は2つのトランジスタ(選択トランジスタ及びパワートランジスタ)と、サブピクセルの輝度を指定する電荷を蓄えるための1つのキャパシタとを含む。各発光素子は通常、独立した制御電極及び共通電極を用いる。
【0006】
アクティブマトリックス制御素子を形成する1つの一般的な従来技術の方法は通常、シリコン等の半導体材料の薄膜をガラス基板上に堆積させ、次いでフォトリソグラフィ工程を通じて半導体材料をトランジスタ及びキャパシタに形成する。薄膜シリコンは、アモルファス又は多結晶のいずれかとすることができる。アモルファスシリコン又は多結晶シリコンから作製される薄膜トランジスタ(TFT)は、結晶シリコンウェハーにおいて作製される従来のトランジスタと比較して相対的に大きく、かつ性能が低い。さらに、そのような薄膜デバイスは、高い温度(たとえば、アモルファスシリコンの場合に>300℃、及び大粒径ポリシリコンの場合に>500℃)において形成され、通常、ガラス基板にわたって局所的又は広域的な不均一性を示し、その結果として、そのような材料を用いるディスプレイの電気的性能及び外観が不均一になる。有機材料から作製される薄膜トランジスタ(OTFT)は、シリコンTFTよりも低い性能を有し、水分の影響を受けやすいが、低い温度(たとえば、<200℃)において処理される(たとえば、特許文献2)。しかしながら、全てのTFTは、動作不能な素子又は機能障害を起こす素子を形成しないようにするために、非常に滑らかな基板を必要とする。
【0007】
プラスチックから作製されるフレキシブル基板は比較的透明であるが、数多くの制約を有する。そのような基板は通常、300℃より高い温度において、又はさらには250℃若しくは200℃であっても物理的に劣化する。それゆえ、その基板を、又はその基板上に堆積された材料を処理することは非常に難しい。たとえば、従来のPENは約150℃の処理温度を有し、PETは約120℃の処理温度を有する。さらに、プラスチックは、従来のフォトリソグラフィーにおいて用いられる化学薬品及び処理に対する耐性が限られている場合があり、それにより、基板で用いられる材料及び処理の種類が制限される。そのような基板は処理温度、応力及び相対湿度が変化するときの寸法安定性が悪いことも知られており、それにより、基板上に形成される構造の分解能が制限される。プラスチック基板は酸素及び水蒸気も浸透しやすく、OLED材料のような有機材料を劣化させる可能性がある。さらに、特許文献3において言及されるように、フラットパネルディスプレイのために一般的に用いられる素子、たとえば、薄膜シリコントランジスタのような、薄膜電子素子を形成するための基板としての役割を果たすほど十分に滑らかで、かつ傷がないプラスチックを形成するのは難しい。ポリマー内の触媒副生成物及び無機微粒子、並びに不十分な処理条件が全て表面粗さに影響を及ぼす。ポリマーのような軟質の材料の場合、掻き傷又は異物のようなアーティファクトが問題となる可能性がある。
【0008】
現在、多層障壁を有し、水分浸透の影響を極めて受けにくくしている、プラスチックを組み込む市販のフレキシブル基板及びカバー製品を、たとえば、3Mから購入することができる。そのような多層は通常、有機層及び無機層の交互層を用いる。プラスチックは、寸法安定性及び温度範囲を改善するために耐熱化することもできる(たとえば、米国特許第7,449,135号)。しかしながら、そのような製品は依然として比較的粗く、上記に挙げた難点のうちの多くに直面し、付加的な安定化及び表面処理を用いなければ、薄膜トランジスタを用いる薄膜ディスプレイデバイスには不十分である。
【0009】
フレキシブル基板を提供する代替の手法は金属箔を用いることである。金属箔は、水分不浸透性であり、熱膨張係数が低いという利点を有し、比較的安価であり、たとえば、900℃の高い処理温度に適合する。しかしながら、金属箔、たとえば、鋼又はアルミニウム箔は不透明であり、それゆえ、フラットパネルディスプレイデバイス内の基板及びカバーいずれとしての役割も果たすことができない(フラットパネルディスプレイから光が脱出しなければならないため)。金属箔も非常に粗く、薄膜電子部品の形成をサポートするだけの十分に滑らかな表面を設けるために、平滑化処理、又は平坦化層の使用、又は焼きなまし処理を必要とする(たとえば、特許文献4に記述される)。たとえば、通常の鋼箔は>600オングストロームのrms(二乗平均平方根)粗さを有する。鋼箔表面上にPECVDによって二酸化シリコンの無機層を形成することによって、rms粗さを半分に、たとえば、>300オングストロームまで小さくすることができる。他の技法、たとえば、化学又は機械研磨によって、rms粗さを一桁以上、たとえば、>20オングストロームまで小さくすることができる。さらに処理することによって、rms粗さを>10オングストロームまで小さくすることができ、市販の基板ガラス、たとえば、Corning Eagle 2000と同程度に滑らかにすることができる。10オングストローム未満のrms表面粗さは、薄膜トランジスタを形成するのに十分である。鋼箔は、おそらくいくつかの層及びポリイミドのような材料を利用する、スピンオンガラス技法を用いることによって平坦化することもできる。それゆえ、金属箔基板は、従来の薄膜トランジスタ処理及び性能をサポートするほど十分に滑らかにすることができる。
【0010】
一般的に、プラスチック基板及び金属基板のいずれの場合も、平坦化用コーティングの厚みは1ミクロン未満である。しかしながら、そのような平滑化処理は費用及び時間を要する。さらに、基板材料を安定させるためにさらに別の処理が必要な場合には、基板のコストが増加する。
【0011】
特許文献5において、Matsumura他は、LCDディスプレイを駆動するために用いられる結晶シリコン基板を記述する。その特許出願は、第1の半導体基板から作製されるピクセル制御デバイスを、第2の平坦なディスプレイ基板上に選択的に移動し、固定するための方法を記述する。ピクセル制御デバイス内の配線相互接続、並びにバス及び制御電極からピクセル制御デバイスまでの接続が示される。しかしながら、これらの基板は比較的厚く、フレキシブルデバイスに適合しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,384,529号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0163559号明細書
【特許文献3】米国特許第7,466,390号明細書
【特許文献4】米国特許第7,037,352号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0055864号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
それゆえ、性能及び可撓性が改善され、製造工程及び材料の要件が緩和される放射ディスプレイデバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、フレキシブル放射デバイスが、
(a)粗い基板表面を有し、表示エリアを画定する粗いフレキシブル基板と、
(b)前記粗い基板表面上に形成される有機低温接着層であって、該有機低温接着層の少なくとも一部は5ミクロン以上の厚みを有する、有機低温接着層と、
(c)前記表示エリア内に分散され、前記有機低温接着層に接着する複数のチップレットであって、各チップレットは1つ又は複数の接続パッドを有する、複数のチップレットと、
(d)前記表示エリア内の前記有機低温接着層上に形成される複数のパターニングされたボトム電極であって、各ボトム電極は、対応するチップレットの1つの接続パッドにのみ電気的に接続される、ボトム電極;該ボトム電極上に形成される発光材料の1つ又は複数の層;及び該発光材料の1つ又は複数の層上に形成されるトップ電極と、
(e)前記トップ電極上に配置され、前記粗い基板表面に接着されるフレキシブル封入層と、
を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、より高い性能を有し、可撓性が改善されたフレキシブル発光ダイオードデバイスのための簡略化された構造を提供する。本発明によれば、粗い表面を有する基板を使用できるようになり、滑らかな基板表面を与える基板処理の必要性が小さくなるので、製造工程要件が緩和され、より広範な材料を利用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態によるデバイスの部分断面図である。
【図2a】本発明の代替の実施形態による、封入層を有するデバイスのさらに詳細な部分断面図である。
【図2b】本発明の代替の実施形態による、封入層を有するデバイスのさらに詳細な部分断面図である。
【図2c】本発明の代替の実施形態による、封入層を有するデバイスのさらに詳細な部分断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態によるデバイスの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面内の種々の層及び素子は大きく異なるサイズを有するので、図面は縮尺通りではない。
【0018】
図1を参照すると、フレキシブル放射デバイス1は、粗い基板表面11を有する粗いフレキシブル基板10を含む。粗いフレキシブル基板10上に表示エリア21が画定される(図3)。粗い基板表面11上に有機低温接着層30が形成され、有機低温接着層30の少なくとも一部は5ミクロン以上の厚みD2を有する。粗い基板表面11に複数のチップレット20が接着され、各チップレット20は1つ又は複数の接続パッド24を有し、複数のチップレット20は表示エリア21内に分散される。表示エリア21内の有機低温接着層30上に、複数のパターニングされたボトム電極12が形成され、各ボトム電極12は1つのチップレット20の接続パッド24に電気的に接続される。ボトム電極12上に発光材料の1つ又は複数の層14が形成され、発光材料の1つ又は複数の層14上にトップ電極16が形成される。電極12、16及び発光材料の層14は、発光ダイオード15を形成する。
【0019】
トップ電極16上にフレキシブル封入層50が配置され、粗い基板表面11に接着される。フレキシブル封入層50は、トップ電極16上に(又はトップ電極16上に形成される層上に)直に形成することもできるし、別の基板(たとえば、カバー)とすることもできる。トップ電極16上に(又はトップ電極16上に形成される層上に)オプションのポリマーバッファー層40を形成することができ、ポリマーバッファー層40上にフレキシブル封入層50を形成して、完全に固体のフレキシブル放射デバイス1を形成することができる。
【0020】
本明細書において用いられるときに、粗い基板表面11は、たとえば、シリコンのような無機材料又はペンタセンのような有機材料を含む、薄膜トランジスタを実効的に形成するのを妨げるほど十分に大きな粗さを有する基板表面である。粗いフレキシブル基板10は金属(たとえば、ステンレス鋼箔)又はポリマー(たとえば、PEN又はPET)とすることができ、おそらくポリマー層間に無機層が入り込んでいる構造とすることができる。金属箔は、300オングストローム〜600オングストロームのrms粗さを有することができる。さらに処理することによって、50オングストローム〜300オングストローム以上のrms粗さを得ることができる。本発明によれば、フレキシブル基板の表面が100オングストローム以上のrms粗さを有する場合には、実効的な薄膜トランジスタの形成が妨げられることがわかった。
【0021】
本発明の有機低温接着層は、200℃未満で堆積され、200℃より高い温度において劣化する有機材料から作製される低温接着層である。さらに、有機低温接着層30は、同様の低い温度、たとえば、200℃において堆積及び硬化することができ、フレキシブル放射デバイス1の性能を劣化させることなく、たとえば、200℃より高い温度において同様に劣化する材料を含むことができる。本発明の他の実施形態では、有機低温接着層30は、室温、たとえば、20℃〜40℃の温度において形成することができる。
【0022】
有機低温接着層30は、たとえば、放射又は低温熱、たとえば、200℃未満の温度において硬化することができる接着ポリマーを含むことができる。硬化性ポリマーによっては100℃の温度において硬化できるものもあり、本発明にとって有用である。有機低温接着層30は可撓性にすることができる。有機低温接着層30は、同じ材料の少なくとも2つの副層、すなわち、チップレット20が最初に接着される表面としての役割を果たすことができる第1の副層30a、及びチップレット20を埋め、チップレット20の少なくとも一部を覆う、低温接着層30の少なくとも一部30cを有する埋込用副層30bを有する多層を含むことができる。接着副層30aは、チップレット20に対して十分な接着を与えるのに十分な厚みのみを有する必要がある。チップレット20は、粗いフレキシブル基板表面11の粗さに比べて相対的に大きいので(たとえば、20ミクロン×100ミクロン〜40ミクロン×250ミクロン)、チップレット20は概ね平坦に接着されるであろう。基板表面粗さは、粗い基板表面11に対するチップレット20の接着を妨げない。二層の副層はいずれも、同時に硬化して、単一の材料から形成される1つの区別できない構造を形成することができる。
【0023】
チップレット20は結晶シリコン内に形成され、発光ダイオード15を駆動するために接続パッド24に接続される回路22を含むことができ、薄膜トランジスタの性能よりもはるかに高い性能を有する。本発明は、薄膜トランジスタとは違って、粗いフレキシブル基板10上に形成されないチップレット20を用いるので、従来技術において教示されるようなアクティブマトリックスデバイス内の滑らかな基板表面は不要である。しかしながら、有機低温接着層30は、チップレット20を接着し、かつ発光材料の層14を機能的に堆積することができる表面を提供できるだけの十分な厚みを有しなければならない。チップレット20は一般的に5ミクロン〜20ミクロン以上の厚みを有する。50ミクロン又は100ミクロンの厚みを有するさらに大きなチップレットを用いることもでき、結果として有機低温接着層の厚みが増す。その際、有機低温接着層30は、5ミクロン〜100ミクロンの相補的な厚みを有しなくてはならない。本発明の一実施形態では、有機低温接着層30の少なくとも一部30cが、チップレット20の少なくとも一部の上に延在し、チップレットを所定の位置に確実に固定する。図1の例示は、厚みがあり、平坦化する表面を有する有機低温接着層30を示すが、有機低温接着層表面は完全に滑らかである必要はなく、その表面は、トップ電極16及びボトム電極12を短絡する場合がある厚みの急激な変化がないほど十分に滑らかであることのみが必要とされる。
【0024】
本発明は、粗いフレキシブル基板10が、たとえば、シリコン薄膜トランジスタフォトリソグラフィー工程において見られるような高い処理温度を受ける必要がないという利点も提供する。たとえば、低温ポリシリコン薄膜トランジスタフォトリソグラフィー工程は通常800℃を超える温度を利用する。たとえば、アモルファスシリコン薄膜トランジスタフォトリソグラフィー工程は、300℃を超える温度を利用する。チップレット20がLED15を駆動するための回路部22を提供するので、粗いフレキシブル基板10は、そのような高い温度は受けることなく、それでも、フレキシブル放射デバイス1は非常に高い性能を有する。それゆえ、粗いフレキシブル基板10は、相対的に低い温度、たとえば、150℃、200℃、又は250℃において形成することができる安価な材料を含むことができる。また、粗いフレキシブル基板10は、相対的に低い温度、たとえば、150℃、200℃、又は250℃において劣化する安価な材料を含むこともできる。たとえば、材料が劣化すると、寸法安定性が影響を及ぼされ、透明性が低下するか、機械的な完全性を失うか、又は水分に対する浸透性が高くなる。
【0025】
図2a及び図2bを参照すると、本発明のさらに別の実施形態では、ボトム封入層60及びトップ封入層62を用いて、LED15への水分又は酸素の浸透性を低減することができる。本発明の一実施形態では、有機材料(たとえば、有機LED又はOLEDを形成する)を用いることができ、そのような有機材料は、環境内にそのような異物が存在すると劣化するので、封入層は、フレキシブル放射ディスプレイ1の寿命を改善することができる。封入層は、基板及びカバーのために用いられる製品において知られている。しかしながら、そのような製品は、OLEDの用途によっては不十分である可能性があり、さらに、曲げによって応力を受ける際に破損しやすい。それゆえ、付加的な保護層が役に立つことがある。1つ又は複数のボトム封入層60は、有機低温接着層30内に、かつチップレット20の少なくとも一部の上に配置される無機材料を含むことができる。たとえば、ボトム封入層60は、図2aに示されるように、有機低温接着層30の部分30aの上に、及びチップレット20の一部の上に形成することができる。
【0026】
図2bに示される代替の実施形態では、ボトム封入層60は、有機低温接着層30全体の上に、かつチップレット20の少なくとも一部の上に形成される。トップ封入層62はトップ電極16の上に形成することができる。トップ封入層62及びボトム封入層60は、たとえば、酸化シリコン、窒化シリコン及び金属を含むことができる。複数の層を用いることができる。トップ封入層62及びボトム封入層60は、種々の方法、たとえば、スパッタリング、化学気相成長(CVD)又は原子層堆積(ALD)を用いて堆積することができる。
【0027】
図2cを参照すると、有機低温接着層30は、複数のボトム封入層60と交互になった複数の層を有する多層を含むことができる。たとえば、第1の接着層30aを形成することができ、第1の接着層にチップレット20を接着することができ、第1のボトム封入層60aを堆積することができ、第1のボトム封入層60a上に第2の接着層30dを形成することができ、第2のボトム封入層60bを堆積することができ、第2のボトム封入層60b上に第3の接着層30bを形成することができ、それ以降も同様である。ボトム封入層60は通常非常に薄く(1ミクロン未満)、有機低温接着層30全体は相対的に厚い(たとえば、10ミクロン以上)ので、ボトム封入層及び有機低温接着層のいくつかの交互層が、基板10上に容易に形成される。
【0028】
フォトリソグラフィー法を用いて、有機低温接着層30及びボトム封入層(存在する場合)を貫通するバイアを形成することによって、チップレット20の接続パッド24に接触することができる。
【0029】
本発明のボトムエミッタ実施形態では、ボトム電極12及び粗いフレキシブル基板10が透明である。本発明のトップエミッタ実施形態では、トップ電極16及びフレキシブル封入層50が透明である。トップ電極16又はボトム電極12のいずれかが透明である場合、該電極は、スパッタリングによって堆積されるITOのような透明な導電性酸化物を含むことができる。トップ電極16、ボトム電極12のいずれかが必ずしも透明でない場合には、該電極は、蒸着又はスパッタリングによって堆積されるアルミニウムのような金属を含むことができる。いずれの場合でも、接続パッド24をボトム電極12に電気的に接続するために金属ワイヤ13を用いることができるが、必ずしも用いられるとは限らない。
【0030】
本発明のさらに別の実施形態では、粗いフレキシブル基板10に機械的に応力をかけながら、チップレット20のうちの1つ又は複数、トップ電極16又はボトム電極12、1つ又は複数の発光層14、及びトップ封入層62又はボトム封入層60(存在する場合)の形成を行なうことができる。本発明の一実施形態では、基板の機械的応力は引っ張り応力である。これらの構成要素に機械的な応力をかけることによって、フレキシブル放射デバイス1が、元の応力に対して相補的な適切な方向において機械的に応力を受けるときに、それらの構成要素は応力緩和することができ、それにより、より大きな機械的応力下にあっても動作し続けることができる。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態では、フレキシブル放射デバイスの種々の層が類似の材料又は厚みを有することができる。そのような類似性は、材料及び工程のコスト及びばらつきを低減することができ、LED15及びチップレット20素子に近接して、又はおそらくボトム封入層又はトップ封入層に近接してフレキシブル放射デバイス1の中立応力面を配置することによって、さらに高い耐応力性を与えることができる。たとえば、一実施形態では、ポリマーバッファー層40(存在する場合)は、厚みD2を有する有機低温接着層30に類似の材料を含むことができるか、又は類似の厚みD4を有することができる。代替的には、別の実施形態では、粗いフレキシブル基板10及びフレキシブル封入層50は、類似の材料を含むか、又は類似の厚みD1、D5を有する。さらに、機械的なモデリングによれば、LED15及びチップレット20素子内における改善された耐応力性は、粗いフレキシブル基板10が有機低温接着層30よりも可撓性が高い実施形態によって得ることができることが示される。
【0032】
本発明の実施形態によれば、機械的にロバストであり、かつ可撓性の実施態様を提供するために、粗いフレキシブル基板10及びフレキシブル封入層50は、有機低温接着層30及びオプションのバッファー層40(D4、D2)よりも著しく厚い(D1、D5)。同様に、有機低温接着層30及びオプションのバッファー層40は、電極12、16及び材料層14(D3)よりも著しく厚い(D4、D2)。「著しく厚い」は、その厚みが少なくとも2倍厚く、好ましくは5倍厚いことを意味する。いくつかの実施形態では、「著しく厚い」は、10倍以上厚いことを意味することができる。たとえば、本発明の種々の実施形態において、粗いフレキシブル基板10及びフレキシブル封入層50は、100ミクロン厚〜2mm厚とすることができる。有機低温接着層30及びバッファー層40は2ミクロン厚、10ミクロン厚、20ミクロン厚、又は50ミクロン厚以上とすることができる。電極及び発光層12、16、14は通常、2ミクロン厚未満であり、1ミクロン厚未満であることが好ましい。
【0033】
フレキシブル基板上の無機素子は、クラック、スリップ又は層間剥離による破損を被る。有機低温接着層30の少なくとも一部30cがチップレット20の一部の上方に延在するようにして、有機低温接着層30内にチップレット20を配置することによって、スリップ及び層間剥離の問題が緩和される。詳細には、有機低温接着層30内にチップレット20を有することによって(すなわち、30b)、スリップの問題が緩和され、チップレット20が有機低温接着層30aの表面に沿って滑らないようになる。チップレット20の少なくとも一部の上方に延在する有機低温接着層30の一部30cを有することによって、層間剥離の問題が緩和され、有機低温接着層30からチップレット20を容易に剥離できないようになる。
【0034】
本発明の一実施形態では、粗いフレキシブル基板10は、有機低温接着層30よりも可撓性が高い。「可撓性が高い」は、弾性係数が小さいことを意味する。本発明の別の実施形態では、フレキシブル封入層50は、ポリマーバッファー層40(存在する場合)よりも可撓性が高い。本発明のさらに別の実施形態では、有機低温接着層30は、チップレット20よりも可撓性が高い。フレキシブル基板10及びフレキシブル封入層50が、有機低温接着層30及びオプションのポリマーバッファー層40よりも可撓性が高いことを要求することによって、接着層30及びオプションのポリマーバッファー層40内の応力がそれぞれ緩和される。有機低温接着層30がチップレット20よりも可撓性が高く、さらには、フレキシブル基板10が有機低温接着層30よりも可撓性が高いことを要求することによって、チップレット20における応力及びクラック、並びにスリップ及び層間剥離が緩和される。チップレット20は光エミッターを制御する際に重要な素子であるので、チップレット20(及び接続パッド24からチップレットへの接続)内の応力を緩和することによって、応力下のフレキシブル放射ディスプレイデバイス1の性能が改善されるであろう。同様に、オプションのポリマーバッファー層40がフレキシブル封入層50よりも可撓性が低いことを要求することによって、薄い電極12、16及び1つ又は複数の材料層14内の応力が緩和される。これらの層における破損は、ピクセル、又はフレキシブル放射ディスプレイデバイス1全体における破損を引き起こす可能性があるので、ポリマーバッファー層40内の応力を緩和することによって、応力下のフレキシブル放射ディスプレイデバイス1の性能が改善されるであろう。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、ワイヤ13の1つ又は複数の層がバス28を形成することができる。バス28は、外部コントローラー26からチップレットに信号(たとえば、電源信号、グラウンド信号、データ信号及び選択信号)を与えるためにチップレット接続パッド24に接続され、有機低温接着層30上に形成される。好ましい実施形態では、ワイヤ13の単一の層が用いられる。ワイヤ13の導電率は応力によって影響を及ぼされる可能性があるので、有機低温接着層30の上にワイヤ13を設けることによって、フレキシブル放射ディスプレイデバイス1が曲げられるときに、ワイヤが受ける応力を低減する。ワイヤ13上にオプションの封入層60を形成することができる。
【0036】
トップエミッター又はボトムエミッターのいずれの構成でも、オプションのカラーフィルターを用いて、1つ又は複数の材料層14によって放射される光をフィルタリングすることができる。粗いフレキシブル基板10の少なくとも一部とボトム電極12との間にカラーフィルターを形成することができる。カラーフィルターはフレキシブル基板10の一部の上に直に、又は粗いフレキシブル基板10上に形成される他の層の部分の上に形成することができる。トップエミッター実施形態では、カラーフィルターはフレキシブルカバー上に、又はトップ電極上に直に配置することができる。ディスプレイデバイスでは、複数のチップレット、及び独立して制御される複数のボトム電極12と共に、複数のカラーフィルターを用いて、異なる色のサブピクセルを有する複数のピクセル構成要素を形成することができる。カラーフィルターは、フレキシブル基板上で発光材料がパターニングされない場合に特に有用である。代替的には、ボトム電極に合わせて、フレキシブル基板上で異なる発光材料をパターニングすることができ、各発光材料が異なる色の光を放射して多色ディスプレイを形成する。
【0037】
本発明の種々の実施形態において、ボトム電極12はバス28又はボトム電極接続を含むワイヤ13と共通のステップにおいて形成することができ、それにより、製造コストを削減する。1つ又は複数のバス28を粗いフレキシブル基板10上に形成することができ、バス28は、ボトム電極12と共通のステップにおいて形成することができる。1つ又は複数のバス28とボトム電極12との間にバス絶縁層を形成することができる。絶縁層はバス絶縁層の上若しくは下又はバス絶縁層内に位置することができる。チップレット及び接続パッド上に、かつ1つ若しくは複数の発光層14又はトップ電極16下にチップレット絶縁層を形成することができる。バス絶縁層は、チップレット絶縁層と共通のステップにおいて形成することができる。本発明の構成要素を共通のステップにおいて形成することによって、処理ステップ及びコストが削減される。同様に、チップレット上の接続パッドとボトム電極との間に形成されるワイヤ13は、ボトム電極12の前に、又はボトム電極12の後に、又は最も望ましくは、処理ステップ及びコストを削減するためにボトム電極12と同じステップにおいて形成することができる。
【0038】
フレキシブル基板10はガラスを含むことができる。ワイヤ及びトップ電極16又はボトム電極12は、蒸着又はスパッタリングされた金属、たとえば、アルミニウム、銀又は合金から作製することができる。チップレット20は、集積回路産業において十分に確立されている従来の技法を用いて形成することができ、同時係属で、本発明と同じ譲受人に譲渡される米国特許出願公開第12/191,478号において記述される方法を用いて基板10上に配置することができる。
【0039】
チップレットは、粗いフレキシブル基板10とは別に製造され、その後、粗いフレキシブル基板10に取り付けられる。チップレット20は、半導体デバイスを製造するための既知の工程を用いて、シリコン又はシリコン・オン・インシュレーター(SOI)ウェハーを用いて製造されることが好ましい。各チップレット20は、その後、粗いフレキシブル基板10に取り付けられる前に分離される。それゆえ、各チップレット20の結晶性基部は、チップレットの回路部22がその形成される粗いフレキシブル基板10とは別の基板と見なすことができる。詳細には、独立した基板は、その上にピクセルが形成される粗いフレキシブル基板10とは別であり、マルチチップレットデバイスの独立したチップレット基板の面積は、合わせても、粗いフレキシブル基板10より小さい。チップレット20は、たとえば、薄膜アモルファスシリコンデバイス又は多結晶シリコンデバイスにおいて見られる能動構成要素よりも、高い性能の能動構成要素を提供する結晶基板を有することができる。チップレット20は100μm以下の厚みを有することができることが好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。これにより、チップレット20の一部30cの上に有機低温接着層30を形成することが容易になる。
【0040】
チップレット20は半導体基板内に形成されるので、チップレットの回路部22は、最新のリソグラフィツールを用いて形成することができる。そのようなツールによれば、0.5ミクロン以下の機構サイズを容易に手に入れることができる。たとえば、最新の半導体製造ラインは、90nm又は45nmの線幅を達成することができ、本発明のチップレットを作製する際に用いることができる。それゆえ、各ピクセルにつき2つのトランジスタのような、ピクセルを駆動するチップレットの回路部を小さく作製することができる。しかしながら、チップレットは、ディスプレイ基板上に組み付けられると、チップレット上に設けられた配線層への電気的接続を作製するための接続パッドも必要とする。接続パッドのサイズは、粗いフレキシブル基板上で用いられるリソグラフィツールの機構サイズ(たとえば、5μm)、及び配線層に対するチップレットの位置合わせ(たとえば、±5μm)に基づいて決められなくてはならない。それゆえ、接続パッド24は、たとえば、15μm幅にすることができ、パッド24間に5μmの間隔をあけることができる。これは、パッドが一般的には、チップレット内に形成されるトランジスタ回路部よりも著しく大きくなることを意味する。
【0041】
接続パッド24は一般的に、トランジスタを覆う、チップレット20上のメタライゼーション層内に形成することができる。製造コストを下げることができるように、できる限り小さな表面積を有するチップレットを作製することが望ましい。それゆえ、一般的には、トランジスタではなく、接続パッド24のサイズ及び数が、チップレット20のサイズを制限する可能性がある。
【0042】
図3に示すように、本発明はマルチピクセルインフラストラクチャ又はマルチチップレットインフラストラクチャを有するデバイスにおいて用いることができ、チップレットが、各ピクセルをアクティブマトリックス素子として制御する回路部を有するアクティブマトリックス構成で、又はパッシブマトリックスコントローラーとして用いることができる。本発明は、コスト削減及び性能改善が重要であるときに利点を提供する。特に、本発明は、有機又は無機いずれかのアクティブマトリックスLEDデバイスで実施することができ、情報表示デバイスにおいて特に有用である。好ましい実施形態では、本発明は、限定はしないが、Tang他に対する米国特許第4,769,292号及びVan Slyke他に対する米国特許第5,061,569号において開示されるような小分子又はポリマーOLEDから構成されるフラットパネルOLEDデバイスにおいて用いられる。たとえば、多結晶半導体マトリックス内に形成される量子ドットを用いる無機デバイス(たとえば、Kahenによる米国特許出願公開第2007/0057263号において教示される)、及び有機若しくは無機電荷制御層を用いるデバイス、又はハイブリッド有機/無機デバイスを用いることができる。有機又は無機発光ディスプレイの数多くの組み合わせ及び変形を用いて、トップエミッターアーキテクチャ又はボトムエミッターアーキテクチャのいずれかを有するアクティブマトリックスディスプレイを含む、そのようなデバイスを製造することができる。
【0043】
本発明は、特定の好ましい実施形態を特に参照しながら詳細に説明されてきたが、本発明の精神及び範囲内で変形及び変更を実施できることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0044】
D1、D2、D3、D4、D5 層の厚み
1 フレキシブル放射デバイス
10 粗いフレキシブル基板
11 粗い基板
12 ボトム電極
13 金属ワイヤ
14 1つ又は複数の発光材料層
15 発光ダイオード
16 トップ電極
20 チップレット
21 表示エリア
22 回路部
24 接続パッド
26 コントローラー
28 バス
30 有機低温接着層
30a、30b、30c、30d 多層有機低温接着層の副層部分
40 ポリマーバッファー層
50 フレキシブル封入層
60、60a、60b 封入層
62 封入層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル放射デバイスであって、
(a)粗い基板表面を有し、表示エリアを画定する粗いフレキシブル基板と、
(b)前記粗い基板表面上に形成される有機低温接着層であって、該有機低温接着層の少なくとも一部は5ミクロン以上の厚みを有する、有機低温接着層と、
(c)前記表示エリア内に分散され、前記有機低温接着層に接着する複数のチップレットであって、各チップレットは1つ又は複数の接続パッドを有する、複数のチップレットと、
(d)前記表示エリア内の前記有機低温接着層上に形成される複数のパターニングされたボトム電極であって、各ボトム電極は、対応するチップレットの1つの接続パッドにのみ電気的に接続される、ボトム電極;該ボトム電極上に形成される発光材料の1つ又は複数の層;及び該発光材料の1つ又は複数の層上に形成されるトップ電極と、
(e)前記トップ電極上に配置され、前記粗い基板表面に接着されるフレキシブル封入層と、
を備える、フレキシブル放射デバイス。
【請求項2】
前記粗い基板は200℃よりも高い温度において劣化する、請求項1に記載のフレキシブル放射デバイス。
【請求項3】
前記基板の前記粗い表面は、100オングストローム以上のrms粗さを有する、請求項1に記載のフレキシブル放射デバイス。
【請求項4】
前記有機低温接着層は、前記チップレットの一部の上に延在する、請求項1に記載のフレキシブル放射デバイス。
【請求項5】
前記有機低温接着層は、2つ以上の層、すなわち、前記チップレットを前記粗い基板表面に接着する第1の層、及び前記チップレットの少なくとも一部を埋める第2の層を含む多層である、請求項1に記載のフレキシブル放射デバイス。
【請求項6】
前記第1の層の上に、かつ前記チップレットの少なくとも一部の上に、前記有機低温接着層内に配置される1つ又は複数のボトム封入層をさらに備える、請求項5に記載のフレキシブル放射デバイス。
【請求項7】
前記フレキシブル基板は金属、鋼箔であるか、又はポリマーを含む、請求項1に記載のフレキシブル放射デバイス。
【請求項8】
前記有機低温接着層の上に、かつ前記チップレットの少なくとも一部の上に配置されるボトム封入層をさらに備える、請求項1に記載のフレキシブル放射デバイス。
【請求項9】
前記有機低温接着層は硬化性ポリマーである、請求項1に記載のフレキシブル放射デバイス。
【請求項10】
前記有機低温接着層は可撓性である、請求項1に記載のフレキシブル放射デバイス。
【請求項11】
前記トップ電極と前記フレキシブル封入層との間に形成されるポリマーバッファー層をさらに備える、請求項1に記載のフレキシブル放射デバイス。
【請求項12】
前記ポリマーバッファー層は、前記有機低温接着層と類似の材料を含むか、又は類似の厚みを有する、請求項11に記載のフレキシブル放射デバイス。
【請求項13】
前記フレキシブル基板及び前記フレキシブル封入層は、類似の材料を含むか、又は類似の厚みを有する、請求項1に記載のフレキシブル放射デバイス。
【請求項14】
前記フレキシブル基板は、前記有機低温接着層よりも可撓性が高い、請求項1に記載のフレキシブル放射デバイス。
【請求項15】
フレキシブル放射デバイスを作製する方法であって、
(a)粗い基板表面を有し、表示エリアを画定する粗いフレキシブル基板を設けること、
(b)前記粗い基板表面上に有機低温接着層を堆積することであって、該有機低温接着層の少なくとも一部は5ミクロン以上の厚みを有する、堆積すること、
(c)前記表示エリア内に分散され、前記有機低温接着層に接着する複数のチップレットを設けることであって、各チップレットは1つ又は複数の接続パッドを有する、設けること、
(d)前記粗いフレキシブル基板を曲げること、
(e)前記曲げられた基板上の前記表示エリア内の前記有機低温接着層上に形成される複数のパターニングされたボトム電極であって、各ボトム電極は、対応するチップレットの1つの接続パッドにのみ電気的に接続される、ボトム電極;前記曲げられた基板上の前記ボトム電極上に形成される発光材料の1つ又は複数の層;及び前記曲げられた基板上の前記発光材料の1つ又は複数の層上に形成されるトップ電極を設けること、並びに
(f)前記トップ電極上に配置され、前記粗い基板表面に接着されるフレキシブル封入層を設けること、
を含む、方法。
【請求項16】
ステップ(b)及びステップ(c)は、前記粗いフレキシブル基板が曲げられている間に実行される、請求項15に記載のフレキシブル放射デバイスを形成する方法。
【請求項17】
前記粗いフレキシブル基板は、前記パターニングされたボトム電極が設けられる表面が引っ張られた状態にあるように曲げられる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記トップ電極上、かつ前記フレキシブル封入層下にポリマーバッファー層を設けることをさらに含み、該ポリマーバッファー層は、前記有機低温接着層と類似の材料又は厚みを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記トップ電極上、かつ前記フレキシブル封入層下にポリマーバッファー層を設ける前記ステップは、前記基板が曲げられている間に実行される、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−523667(P2012−523667A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504812(P2012−504812)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/030204
【国際公開番号】WO2010/118108
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(510048417)グローバル・オーエルイーディー・テクノロジー・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (95)
【氏名又は名称原語表記】GLOBAL OLED TECHNOLOGY LLC.
【住所又は居所原語表記】13873 Park Center Road, Suite 330, Herndon, VA 20171, United States of America
【Fターム(参考)】