チップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置
【課題】作業効率、および製造歩留まりが高く、製品の品質安定性が高いチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置を提供する。
【解決手段】シリコンゴム2を備えたプレート3に複数のチップ7の第1端面7a側を保持させて配列する。プレート3と塗布用ベッド10とを接近させて、チップ7の第2端面7bを塗布用ベッド10に押し付けて導体ペースト層9に浸漬し電極ペーストを塗布し、乾燥工程を経て第1電極11を形成する。プレート3を反転してシート17と接近させ、チップ7を熱発泡剥離粘着剤16に圧接させて保持させた後、プレート3を離間し、チップ7をシート17に受け渡す。第1電極11と同様の方法で第1端面7b側に第2電極21を形成する。形成後、熱発泡剥離粘着剤16を加熱すると、発泡により粘着力が低下し電極を損傷せずにチップ30が自重によりシート17から剥離する。
【解決手段】シリコンゴム2を備えたプレート3に複数のチップ7の第1端面7a側を保持させて配列する。プレート3と塗布用ベッド10とを接近させて、チップ7の第2端面7bを塗布用ベッド10に押し付けて導体ペースト層9に浸漬し電極ペーストを塗布し、乾燥工程を経て第1電極11を形成する。プレート3を反転してシート17と接近させ、チップ7を熱発泡剥離粘着剤16に圧接させて保持させた後、プレート3を離間し、チップ7をシート17に受け渡す。第1電極11と同様の方法で第1端面7b側に第2電極21を形成する。形成後、熱発泡剥離粘着剤16を加熱すると、発泡により粘着力が低下し電極を損傷せずにチップ30が自重によりシート17から剥離する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、積層セラミックコンデンサ等のチップ状電子部品には、その本体部分の互いに対向する両端部分に外部電極が形成されている。この外部電極は、導電性ペーストを塗布、乾燥して形成することができる。
【0003】
従来、このようなチップ状電子部品に外部電極を形成する際には、まず、貫通孔を形成した第1粘着材にて電子部品の一端側を保持した状態で、他端部分に第1外部電極を形成する。その後、第1外部電極側を、貫通孔を形成した第2粘着材に接した状態で第1粘着材の貫通孔に押圧部材を挿入し、押圧部材により電子部品を第2粘着材側に押圧して、第1粘着材から剥離するとともに第2粘着材に保持させる。さらに、他端側を第2粘着材で保持した状態で、一端部分に第2外部電極を形成する。
【0004】
また、第1粘着材または第2粘着材に電子部品が保持されている間、上記貫通孔に負圧を与えることにより電子部品を保持する保持力を高めている。よって第2電極形成後、第2粘着材の貫通孔に正圧を与えることで保持力を低減し、電子部品を第2粘着材から剥離することができる。剥離が困難な場合には、第2粘着材の貫通孔に押圧部材を挿入して電子部品を押圧してもよいし、掻き取り用の治具を用いて剥がすようにしてもよい。このとき、粘着剤としては例えばシリコンゴムなどが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−118755号公報(第6−7頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記方法においては上述のように、外部電極の形成が完了した際に電子部品を第2粘着材から剥離するために、治具を用いて電子部品に外力を加え、押圧または掻き出すようにして剥離する必要が生ずることがある。この際、第2粘着材の一部や第2粘着材に接着されていた電極の一部分が破壊され、粘着材が使用不能になったり、電子部品が損傷を受けたりすることがある。さらに、破壊された残部が第2粘着材上に残り、粘着力が低下する、洗浄が必要になるなど、作業に支障をきたす場合がある。
【0006】
そこで本発明は、機械的な外力を加えることなく電子部品を粘着材から剥離することができ、作業効率が高く、製造歩留まりのよいチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、互いに対向する第1端面と第2端面とを有するチップ状素子を、第1端面を接着面として第1粘着材に貼付する第1貼付工程と、チップ状素子を第1粘着材に貼付した状態で、第2端面側端部に電極材を塗布する第1電極塗布工程と、第1電極塗布工程において塗布された電極材を乾燥させ、第1外部電極を生成する第1乾燥工程と、第1粘着材に貼付されたチップ状素子を、第1外部電極側を接着面として、第1粘着材よりも耐熱温度が低く且つ第1粘着材よりも粘着力が強い第2粘着材に貼付するとともに、第2粘着材によって該チップ状素子を第1粘着材から引張ることにより第1粘着材からチップ状素子を剥離する第2貼付工程と、チップ状素子を第2粘着材に貼付した状態で、第1端面側端部に電極材を塗布する第2電極塗布工程と、第2電極塗布工程において塗布された電極材を乾燥させ、第2外部電極を生成する第2乾燥工程と、チップ状素子に機械的な外力を加えずに非接触剥離により第2粘着材からチップ状素子を剥離する剥離工程とを有するチップ状電子部品の外部電極形成方法を提供している。
【0008】
上記構成によれば、第1粘着材は第2粘着材よりも耐熱性が高いので、第1乾燥工程における乾燥温度を第2乾燥工程における乾燥温度よりも高くすることができ、第1乾燥工程の乾燥時間を短縮することができる。また、第1粘着材は第2粘着材よりも粘着力が低いので、第1外部電極側を第2粘着材に貼付して電子部品を第1粘着材から離間させると、第1粘着剤からの剥離を容易かつ確実に行うことができる。第2粘着材は非接触剥離機能を有しているので、剥離の際に電子部品を損傷したり、製造治具を傷つけたりすることがない。また、第1粘着材として再利用可能な粘着材を利用することができるので、チップ状電子部品を製造するための副資材を極力削減することができる。
【0009】
ここで、第2粘着材は、熱発泡性粘着剤を含むことが好ましい。このような構成によれば、第2粘着材を加熱して第2粘着材の粘着性を低下させることにより、機械的外力を与えることなく電子部品を第2粘着材から剥離することが可能である。
【0010】
また、第2粘着材は、塑性変形可能な粘着剤を含むことが好ましい。このような構成によれば、第2粘着材に第1外部電極を接着する際、第1外部電極に凹凸が生じても第2粘着材が塑性変形して保持するので、チップ状素子を保持する位置精度が低下することを防止できる。
【0011】
また本発明は、第1粘着材を有する第1搬送装置と、互いに対向する第1端面と第2端面とを有するチップ状素子を、第1端面を接着面として第1粘着材に貼付する第1貼付部と、チップ状素子を第1粘着材に貼付した状態で、第2端面側端部に電極材を塗布する第1電極塗布部と、第1電極塗布部において塗布された電極材を乾燥させ、第1外部電極を生成する第1乾燥部と、第1粘着材よりも耐熱温度が低く且つ該第1粘着材よりも粘着力が強い第2粘着材を有する第2搬送装置と、第1粘着材に貼付されたチップ状素子を、第1外部電極側を接着面として第2粘着材に貼付するとともに、第2粘着材によってチップ状素子を第1粘着材から引張ることによりチップ状素子を第1粘着材から剥離する第2貼付部と、チップ状素子を第2粘着材に貼付した状態で、第1端面側端部に電極材を塗布する第2電極塗布部と、第2電極塗布部において塗布された電極材を乾燥させ、第2外部電極を生成する第2乾燥部と、チップ状素子に外力を加えることなく、第2粘着材からチップ状素子を非接触剥離する剥離部とを有するチップ状電子部品の外部電極形成装置を提供している。
【0012】
上記構成によれば、第1粘着材から第2粘着材へのチップ状素子の受け渡し、および第2粘着材からのチップ状電子部品の剥離が容易で、チップ状部品および粘着材を傷つけることなく、精度および効率よくチップ状電子部品に外部電極を形成することができる。また、チップ状電子部品を製造するための副資材を極力削減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置によれば、作業効率、および製造歩留まりが高く、製品の品質安定性が高いチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1〜図14は本発明の第1の実施の形態によるチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置を説明する図である。図中、実質的に同一の部分には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0015】
第1の実施の形態による外部電極形成方法および外部電極形成装置は、例えば積層セラミックコンデンサ等、互いに対向する2端面を有するチップ状電子部品における外部電極形成方法および外部電極形成装置である。図1に示すように、第1の実施の形態によるチップ7は、チップ状電子部品の電極形成前のチップ状素子であり、互いに対向する第1端面7aおよび第2端面7bを有した略直方体形状となっている。本実施の形態においては、これらの第2端面7b部分に第1電極11を、第1端面7a部分に第2電極21を形成する。
【0016】
図1に示すように、外部電極形成装置1は、プレート供給マガジン5、塗布用ベッド10、乾燥装置13、プレート回収マガジン15、シート供給マガジン19、塗布用ベッド22、乾燥装置25、加熱装置27、排出箱29、回収マガジン31等を有し、外部電極形成装置1に供給されたチップ7に順次所定の処理を行って外部電極を形成し、チップ状電子部品30(以下、単に電子部品30という)を製造する装置である。
【0017】
プレート供給マガジン5は、粘着剤として粘着シリコンゴムを備えた略矩形の板状形状の第1粘着材であるプレート3を、多数積層して収納する略直方体の容器である。プレート3は、より具体的には図3に示すように、例えばステンレス製のベースプレート4の表面に粘着性のあるシリコンゴム2が形成され、平面形状が矩形の板形状をなす。プレート3はプレート供給マガジン5から1枚ずつ順次、電極形成工程を行うため外部電極形成装置1の第1位置(図1)に第1搬送装置(図示せず)により供給される。プレート3の供給は、各処理時間を考慮して予め決められた所定時間毎に行う。
【0018】
塗布用ベッド10は、高精度な平面度を有し、その表面に一定層圧の導体ペースト層9が設けられており、平面視がプレート3と略同形をなす。チップ7を保持したプレート3と塗布用ベッド10の導体ペースト層9の表面とを互いに平行な状態で相対的に近づけ、チップ7を塗布用ベッド10に押し付けることで、チップ7の第2端面7b側の所定部分を導体ペースト層9に浸漬し、電極ペーストを塗布する。乾燥装置13は、チップ7に塗布した電極ペーストを乾燥させて、第1電極11を生成する装置である。プレート回収マガジン15は、第1電極11が形成されたチップ7がプレート3から剥離された後にプレート3を回収し、積層して収納する略直方体の容器である。
【0019】
シート供給マガジン19は、粘着剤として発泡性剥離粘着剤を備えた第2粘着材であるシート17を多数積層して収納する略直方体の容器である。シート17は、より具体的には図9、図11に示すように、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム18に発泡性剥離粘着剤16が塗布された平面形状が略矩形のシートであり、図示しないホルダに固定されている。シート17は、鉛直方向下方側に発泡性剥離粘着剤16が配置されており、シート供給マガジン15から1枚ずつ順次、第2搬送装置(図示せず)によって外部電極形成装置1の電極形成工程を行うための第7位置に供給される。シート17の供給は、各処理時間を考慮して予め決められた所定時間毎に行う。
【0020】
なお、シート17に設けられた発泡性剥離粘着剤は、熱剥離粘着剤とも呼ばれ、常温では通常の粘着力を発揮でき、所定温度以上に加熱すると粘着剤が発泡して接着面積が低下することで粘着力を失い、被着体が剥離可能となるものである。発泡性剥離粘着剤の粘着力および発泡温度は調整が可能である。ここでは粘着力はシリコンゴム2よりも高く、発泡温度はシリコンゴムの粘着性の耐熱温度よりも低く調整されている。シート17としては例えば、日東電工株式会社製の商品名「リバアルファー」を使用することができる。
【0021】
塗布用ベッド22は、高精度な平面度を有し、その表面に一定層圧の導体ペースト層23が設けられており、平面視がシート17と略同形をなす。チップ7を保持した状態のシート17と塗布用ベッド22の導体ペースト層23の表面とを互いに平行な状態で相対的に近づけ、チップ7を塗布用ベッド10に押し付けることで、チップ7の第1端面7a側の所定部分を導体ペースト層23に浸漬し、電極ペーストを塗布する。乾燥装置25は、チップ7に塗布した電極ペーストを乾燥させて、第2電極21を生成する装置である。
【0022】
加熱装置27は、電極形成が終了した電子部品30をシート17から剥離するために、シート17の発泡性粘着剤を加熱する装置である。排出箱29は、電極形成が終了し、加熱されて粘着性を喪失したシート17から自重により落下した電子部品30を回収する容器である。回収マガジン31は、電子部品30が剥離された後シート17を回収し、積層して収納する略直方体の容器である。
【0023】
また、図示はしないが、外部電極製造装置1は、プレート3を所定時間毎に間欠的に各処理位置に搬送する第1搬送機、シート17を所定時間毎に間欠的に各処理位置に搬送する第2搬送機、プレート3またはシート17にチップ7を所定数、所定位置に配置させるための機構、プレート3またはシート17に保持されたチップ7を導体ペースト層9、23に浸漬させるための機構、各供給マガジンの搬送機構等を有している。
【0024】
以下、上記外部電極形成装置1によって外部電極を形成する方法について説明する。図2に示すように、まず、外部電極形成装置1の第1位置(図1)にプレート3を供給する(ステップ101)。プレート3は、プレート供給マガジン5から供給されてホルダ47に保持される。このとき、プレート3は、シリコンゴム2が鉛直方向下方に位置するように配置されることが好ましい。
【0025】
続いて第1位置に配置されたプレート3にチップ7を供給し、貼付する(ステップ102)。このとき、図3〜図5に示すように、平面形状が矩形の板状で高精度な平面度のベッド41に、例えばシリコンゴムで形成されたチップ整列用の案内板43が形成された整列用ブロック40を用意する。案内板43には、複数の円柱状開口部45が形成されている。図4の例では、1つの案内板43に16個の開口部45が2次元的に配列されて形成されている。開口部45の直径は、チップ7の第1端面7aおよび第2端面7bの最大径よりも大きく形成されている。例えば、開口部45の側壁45aに沿ってチップ7を挿入したとき、抵抗なく開口部45に対して挿入、引抜きできる程度のあそびをもった寸法であることが好ましい。
【0026】
図4および図5に示されるように、チップ7を開口部45の側壁45aに沿って滑らせるようにして、16箇所の開口部45の全てにチップ7を収納した後、図3および図5に示すように、ベッド41にプレート3を、互いに平行な状態を保ちつつ接近させ、シリコンゴム2をチップ7の第1端面7aに押圧する。シリコンゴム2がチップ7の第1端面7aを保持した後、図5に示すようにベッド41とプレート3とを相対的に離間させる。このとき、第1粘着材のシリコンゴム2の粘着力により、チップ7はプレート3に保持された状態を維持する。すなわち、プレート3には16個のチップ7が2次元的に配列されて保持される状態となる。なお、第1端面7aはほぼ平面状であり、チップ7のサイズは全てほぼ同一であり、かつベッド41の表面は高精度な平面度であるので、ベッド41上に配列された16個のチップ7の第1端面7aは、ほぼ同一平面上に配置される。また、ベッド41を固定した状態で、プレート3がベッド41に対して平行な状態を保ちつつ接近するので、全てのチップ7はほぼ均一の圧力でシリコンゴム2に押圧される。よって16個のチップ7の第2端面7bはほぼ同一平面上に配置される。なお、説明の都合上、図1、図5等では1つのチップ7のみの状態を示している。
【0027】
次に、チップ7の第2端面7b側に、第1電極11を塗布する(ステップ103)。このとき、図1に示すようにチップ7を保持したプレート3は、第2位置まで搬送される。チップ7の鉛直方向下側には、塗布用ベッド10が配置されている。図6に示すように、プレート3に保持された状態のチップ7と導体ペースト層9とを相対的に接近させ、塗布用ベッド10にチップ7の第2端面7bを押圧することにより、第2端面7b側の所定の深さまでチップ7を導体ペースト層9に浸漬させる。その後、プレート3と塗布ベッド10とを相対的に離間して導体ペースト層9からチップ7を引き離すことで、第1電極11となる電極ペーストが塗布される。このとき、プレート3に保持された全てのチップ7の第2端面7bは、上述したようにほぼ同一平面上にあるため、全てのチップ7はほぼ同一の深さまで導体ペースト層9に浸漬されて、ほぼ同一の範囲に電極ペーストが塗布されることになる。
【0028】
続いて、塗布した第1電極11となる電極ペーストを乾燥する(ステップ104)。この第1乾燥は、プレート3が第3位置から第5位置まで搬送される間に行われる。図1に示すように、乾燥にはハロゲンヒータによる直接加熱または雰囲気加熱を行う。図7に示すように、直接加熱の場合には、乾燥炉14の中にハロゲンランプ13を配置し、ハロゲンランプ13からの発光を特殊なフィルタにより遠赤外線へと変換し、輻射式で乾燥を行う。乾燥炉14は、チップ7が配列されている側が開口部14aとなっており、開口部14aの外部にチップ7を保持したプレート3が配置されている。ハロゲンランプ13は、乾燥炉14の開口部14aと対向する底面近くに備えられており、チップ7の搬送方向に長く形成されて、加熱温度を均一に保ちかつ所定の加熱時間が確保できるような構成となっている。
【0029】
雰囲気加熱の場合には、図8に示すように、チップ7を保持しプレート3の出入口のみが開口した乾燥炉54内にヒータ53を配置し、乾燥炉内54全体の温度を昇温させ、対流式にて乾燥を行う。
【0030】
乾燥温度は、いずれの乾燥方法においても例えば200℃弱程度である。また、上記いずれの乾燥方法の場合も、チップ7はプレート3に保持されて、所定時間毎に第3位置から第5位置まで間欠的に移動する。
【0031】
ステップ104の第1乾燥が終了し、チップ7に第1電極11が形成されると、チップの受け渡しを行う(ステップ105)。まず、図1、図9に示すように、第6位置において、チップ7を保持したプレート3の天地を逆転するとともに、第7位置に移動する(図10のステップ131)。このとき、シート17は、図示しない第2搬送機によりシート供給マガジン19から第7位置に供給される。
【0032】
第7位置において、シート17と、チップ7を保持したプレート3とが互いに平行な状態で相対的に接近し、シート17とチップ7の第1電極11側との間に圧力をかけ、発泡性剥離粘着剤16にチップ7を保持させる(ステップ132)。その後に、プレート3とシート17とを相対的に離間する(ステップ133)。このとき、発泡性剥離粘着剤16は、シリコンゴム2よりも粘着性が高いので、プレート3に保持されていたチップ7はシート17に保持されて引張られ、シリコンゴム2から剥離する。また、発泡性剥離粘着剤16は、ゼリー状の物性を示すため多少の弾力性を有するが、必要以上の変位が加わると塑性変形し、その形状を保つ。よって、第1電極11の平面性が各チップ7で異なっていても、プレート3とシート17とが圧接される際に、第1電極11の平面性の差異を相殺し、第1端面7aがほぼ同一平面上に配置される。
【0033】
より詳細には、図11に示すように、チップ7の受け渡し前には、プレート3のベースプレート4上に設けられたシリコンゴム2に、第1電極11が形成された複数のチップ7が保持されており、その鉛直方向上方にシート17が供給される。プレート3とシート17とを相対的に接近させて互いに圧力をかけ、チップ7をシート17に接着させた後、プレート3とシート17とを相対的に離間することで、プレート3に保持されていたチップ7はより高い粘着度の熱発泡剥離粘着剤16に引張られて剥離され、シート17に保持される。
【0034】
続いて、シート17は第8位置に移動し、チップ7の第1端面7a側に第2電極塗布を行う(ステップ106)。図1、図12に示すように、チップ7の鉛直方向下方には、塗布用ベッド22が配置されている。図12に示すように、シート17に保持された状態のチップ7と塗布用ベッド22の導体ペースト層23とを相対的に接近させ、高精度の平面度の塗布用ベッド22にチップ7の第1端面7aを押圧することにより、第1端面7a側の所定の深さまでチップ7を導体ペースト層23に浸漬させる。その後、シート17と塗布用ベッド22を相対的に離間して導体ペースト23からチップ7を引き離すことで、第2電極21となる電極ペーストが塗布される。このとき、シート17に保持された全てのチップ7の第1端面7aは、上述したようにほぼ同一平面上にあるため、全てのチップ7はほぼ同一の深さまで導体ペースト層23に浸漬されて、ほぼ同一の範囲に電極ペーストが塗布されることになる。
【0035】
続いて、塗布した第2電極21となる電極ペーストを乾燥する(ステップ107)。この第2乾燥は、シート17が第9位置から第11位置まで搬送される間に行われる。図1に示すように、乾燥にはハロゲンヒータによる直接加熱または雰囲気加熱により行う。ハロゲンヒータによる加熱装置は、図6に示した直接加熱の場合と同様である。雰囲気加熱の場合には、図7に示した輻射加熱の場合と同様である。なお、発泡性剥離粘着剤16は、上述のように耐熱温度を調整することが可能であり、この第2乾燥の間、粘着性が低下しないように耐熱温度調整および乾燥温度制御を行うか、あるいは電極ペーストのみへの局所加熱を行うことが好ましい。
【0036】
第2電極21が形成されると、シート17は第12位置に搬送され、チップ7が排出される(ステップ108)。図1に示すように、第12位置には、シート17の鉛直方向上側にホットプレート27が備えられている。図13に示すように、ホットプレート27は、平面形状がシート17と略同形の直方体形状であり、内部にヒータ28を備えている。シート17は、PETフィルム18側がホットプレート27に接するように真空吸着されている。このとき、シート17には、図14に示すように、第1電極11および第2電極21を形成された電子部品30が保持されている。
【0037】
ヒータ28によって、ホットプレート27を加熱し、シート17の熱発泡剥離粘着剤16を例えば170℃程度に加熱すると、図14に示すように、熱発泡剥離粘着剤16の表面16aが発泡して接着面積が低下することで粘着力を失い、電子部品30は自重によりシート17から剥離して落下する。第12位置のシート17の鉛直方向下方には、上方が開口された排出箱29が備えられており、電子部品30が回収される。電子部品30がシート17から剥離すると、シート17はシート回収マガジン31に回収される。以上の工程により、電子部品30が製造される。
【0038】
以上詳細に説明したように、第1の実施の形態およびその変形例によるチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置によれば、シリコンゴム2を備えたプレート3にチップ7を保持した状態で、第1電極11を電極ペースト塗布および乾燥により形成する。その後シリコンゴム2よりも高い粘着性を有する熱発泡剥離粘着剤16を備えたシート17に、第1電極11が形成されたチップ7を押圧し接着させてシート17により引張ることで、シリコンゴム2からチップ7を剥離する。シート17にチップ7を保持した状態で第1電極11と同様に第2電極21を形成する。第1電極11および第2電極21が形成された電子部品30は、熱発泡剥離粘着剤16を加熱し、発泡により接着面積が増大して粘着力が低下することで、自重によりシート17から剥離され落下する。よって、電子部品30およびシート17を傷つけずにシート17から電子部品30を剥離することが可能である。
【0039】
上記のようなチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置において、プレート3にチップ7を供給する際には、まず整列用ブロック40にチップ7を整列させ、整列用ブロック40にプレート3を平行な状態を保ちつつ接近させてチップ7をシリコンゴム2に押圧し、保持させる。このとき、整列用ブロック40は固定しており、複数のチップ7の姿勢が崩れることなくプレート3に保持される。さらに、第1電極11および第2電極21の形成時、高精度の平面度を有する塗布用ベッド10、22にチップ7の端面を押しつけて電極ペーストを塗布するので、電極形成領域のばらつきが抑制される。
【0040】
また、第2電極21の形成時には、シート17に保持される側の第1電極11の凹凸を、熱発泡剥離粘着剤16が塑性変形することで相殺でき、電極形成される各第1端面7aが、ほぼ同一平面上に配置されるように調整することが可能である。よって、シート17に保持された複数のチップ7の電極形成領域がさらに一定になり、品質が安定した電子部品30を製造することが可能になる。
【0041】
シリコンゴム2は、耐熱温度が充分高く、電極形成時の乾燥工程において、電極のみが加熱されるように局所加熱しなくても問題ないため、装置の小型化が可能になっている。
【0042】
チップ7をプレート3からシート17に受け渡す際には、まずプレート3の天地を逆転させてから受け渡す。よって、プレート3の搬送方向とシート17の搬送方向とを逆に設定することができ、装置を小型化することができる。
【0043】
電子部品30がシート17から剥離する際には、外力を加える必要がないので、第2電極21が破損することがない。また、シート17は使い捨てなので洗浄の必要もないため、効率よく電子部品30を製造することができる。また、第1粘着材であるプレート3は再利用可能であるため、このプレート3を使用することにより、使い捨てされるシート17が使用される量を極力抑えることができる。このため、チップ状電子部品を製造するための副資材を極力削減することができる。
【0044】
次に、第2の実施の形態によるチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置について、図16を参照しながら説明する。第1の実施の形態によるチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置と実質的に同一の構成動作については説明を省略する。
【0045】
図16に示すように、第2の実施の形態による外部電極形成装置200は、第2粘着材の構成および搬送方法が異なっている。第2粘着材は、片面に熱発泡剥離粘着剤116をコーティングした粘着テープ117となっており、繰り出しロール115、駆動ロール129、巻き取りロール131を有するテープ走行機構によって所定距離毎に間欠的に搬送される。粘着テープ117は、繰り出しロール115に巻回されており、外部電極形成装置200の第7位置から第12位置までに亘って配設され、巻き取りロール131に巻き取られる。駆動ロール129は、粘着テープ17の粘着剤のない面を真空吸着し、一定時間毎に一定回転角ずつ間欠的に回転して、粘着テープ117を一定量毎に走行させる。なお、各ロールの配置の関係で、繰り出しロール115と駆動ロール129との間にはガイドロール119が設けられ、粘着テープ117の走行方向を調整している。なお、粘着テープ117としては、例えば、日東電工株式会社製の商品名「リバアルファー」を使用することができる。粘着力は、シリコンゴム2よりも高く設定することが好ましい。
【0046】
上記外部電極形成装置200の動作を第1の実施の形態による外部電極形成装置1と異なる部分について説明する。第1位置から第6位置までの処理は第1の実施の形態と同様である。なお、図16においては、説明の都合上、1つのチップ7のみを示しているが、第1の実施の形態と同様、1枚のプレート3には複数のチップ7が2次元的に配列されている。
【0047】
第6位置において天地が逆転されたプレート3には、第2端面7bに第1電極11が形成されたチップ7が複数保持されている。第7位置において、このプレート3と粘着テープ117とを互いに平行な状態で相対的に近づけ、チップ7と粘着テープ117との間に圧力をかける。熱発泡剥離粘着剤116がプレート3に保持されているチップ7を保持した後にプレート3と粘着テープ117とを離間させると、チップ7は粘着力のより強い粘着テープ117側に保持されて引張られ、プレート3から剥離される。
【0048】
第7位置の処理後、駆動ローラ129が所定角度回転することにより、粘着テープ117が所定距離移動し、チップ7は第8位置に移動する。第8位置のチップ7の鉛直方向下方には、導体ペースト層23を有する塗布用ベッド22が配置されている。粘着テープ117に保持された状態のチップ7と導体ペースト層23とを相対的に接近させ、高精度の平面度の塗布用ベッド22にチップ7の第1端面7aを押圧することにより、第1端面7a側の所定の深さまでチップ7を導体ペースト層23に浸漬させる。その後、粘着テープ117と塗布用ベッド22を相対的に離間して導体ペースト23からチップ7を引き離すことで、第2電極21となる電極ペーストが塗布される。このとき、粘着テープ117に保持された全てのチップ7の第1端面7aは、熱発泡剥離粘着剤116が塑性変形することで第1の実施の形態と同様ほぼ同一平面上に配置されるため、全てのチップ7はほぼ同一の深さまで導体ペースト層23に浸漬されて、ほぼ同一の範囲に電極ペーストが塗布されることになる。
【0049】
続いて、塗布した第2電極21となる電極ペーストを乾燥する(第2乾燥)。この第2乾燥は、粘着テープ117が第9位置から第11位置まで間欠的に移動する間に行われる。ここでは、ハロゲンヒータによる直接加熱を行う。この第2乾燥の間、熱発泡剥離粘着剤116の粘着性が低下しないよう乾燥温度制御や電極ペーストのみへの局所加熱を行うことが好ましい。
【0050】
第2電極21が形成されると、再び駆動ローラ129が所定角度回転することにより粘着テープ117は第12位置に搬送される。第12位置には、粘着テープ117の鉛直方向上側にホットプレート27が備えられている。このとき、粘着テープ117の粘着剤のない側がホットプレート27に接するように真空吸着されて加熱される。ホットプレート27を加熱し、粘着テープ117の熱発泡剥離粘着剤116を例えば170℃程度に加熱すると、熱発泡剥離粘着剤116の表面が発泡して接着面積が低下することで粘着力を失い、電子部品30は自重により粘着テープ117から剥離して落下する。第12位置の粘着テープ117の鉛直方向下方には、上方が開口された排出箱29が備えられており、電子部品30が回収される。この間、駆動ローラ129が所定角度回転する毎に、繰り出しローラ115から所定の長さの粘着テープ117が送り出され、巻き取りローラ131に所定の長さの粘着テープ117が巻き取られる。よって、常に粘着テープ117はほぼ一定の張力を保っており、チップ7を安定して保持している。以上の工程により、第2の実施の形態による外部電極形成装置200において電子部品30が製造される。
【0051】
上記第2の実施の形態による外部電極形成装置200によれば、まずシリコンゴム2にチップ7を保持した状態で第1電極11を形成し、粘着テープ117を用いて第2電極21を形成する。粘着テープ117はシリコンゴム2よりも粘着強度が高いので、プレート3から粘着テープ117へのチップ7の受け渡しを確実に行うことができる。また、第1電極および第2電極はほぼ同一の範囲に作成されるので、製造される電子部品の性能を安定させることが可能である。
【0052】
第1電極11および第2電極21の形成後は、粘着テープ117を加熱することで、熱発泡剥離粘着剤116の粘着度を低下させて、外力を加えることなく電子部品30を剥離することができる。
【0053】
尚、本発明によるチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0054】
例えば、第1の実施の形態において、シート17は、PETフィルム18に熱発泡剥離粘着剤16を塗布したシートであったが、図15に示すように、例えばステンレス製のベースプレート51にシート17が備えられるようにしてもよい。このような構成によれば、シートの強度を確保することができる。その他の外部電極形成装置の構成および外部電極形成方法は第1の実施の形態と同様である。
【0055】
また、上記実施の形態においては、直方体形状のチップ7に外部電極を作成する方法であったが、チップ7の形状は例えば円柱状、多角柱状など互いに対向する2つの端面を有する形状であれば適用が可能である。
【0056】
シート17および粘着テープ117には粘着剤として熱発泡剥離粘着剤を用いたが、非接触剥離機能を有するものであれば、他の材料でもよい。例えば、紫外線照射により粘着力が低下する紫外線剥離粘着剤、水によって粘着力が低下する水剥離粘着剤などを利用することができる。
【0057】
プレート3にチップ7を配列する方法については上記整列ブロック40を使用する例に限定されない。また、チップ7の配列についても他の形態でもよい。
【0058】
熱発泡剥離粘着剤16、116を発泡させるための加熱手段として、上記実施の形態においてはホットプレートを使用していたが、所定の範囲に集中して熱を供給する局所ハロゲンランプなど、他の手段を用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置は、積層セラミック電子部品の製造などに利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるチップ状電子部品の外部電極形成装置の構成を示す概念図。
【図2】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法を示すフローチャート。
【図3】本発明の第1の実施の形態によるチップ状電子部品の外部電極形成装置の整列ブロック40にチップ7が配置された状態を示す断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態によるチップ状電子部品の外部電極形成装置の整列ブロック40の平面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法のチップ供給貼付工程を説明する断面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法の第1電極塗布工程を示す図。
【図7】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法の輻射式による乾燥方法を説明する図。
【図8】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法の対流式による乾燥方法を説明する図。
【図9】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法のチップ受け渡し工程を説明する図。
【図10】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法のチップ受け渡し工程の詳細を示すフローチャート。
【図11】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法のチップ受け渡し工程を説明する図
【図12】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法の第2電極塗布工程を説明する図。
【図13】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法のチップ排出工程を説明する図。
【図14】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法の熱発泡剥離粘着剤の発泡の様子を示す図。
【図15】本発明の第1の実施の形態の変形例による外部電極形成方法のチップ受け渡し工程を説明する図。
【図16】本発明の第2の実施の形態による外部電極形成装置の構成を示す概念図。
【符号の説明】
【0061】
1、200 外部電極形成装置
2 シリコンゴム
3 プレート
7 チップ
7a 第1端面
7b 第2端面
9 導体ペースト層
11 第1電極
16 熱発泡剥離粘着剤
17 シート
21 第2電極
30 電子部品
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、積層セラミックコンデンサ等のチップ状電子部品には、その本体部分の互いに対向する両端部分に外部電極が形成されている。この外部電極は、導電性ペーストを塗布、乾燥して形成することができる。
【0003】
従来、このようなチップ状電子部品に外部電極を形成する際には、まず、貫通孔を形成した第1粘着材にて電子部品の一端側を保持した状態で、他端部分に第1外部電極を形成する。その後、第1外部電極側を、貫通孔を形成した第2粘着材に接した状態で第1粘着材の貫通孔に押圧部材を挿入し、押圧部材により電子部品を第2粘着材側に押圧して、第1粘着材から剥離するとともに第2粘着材に保持させる。さらに、他端側を第2粘着材で保持した状態で、一端部分に第2外部電極を形成する。
【0004】
また、第1粘着材または第2粘着材に電子部品が保持されている間、上記貫通孔に負圧を与えることにより電子部品を保持する保持力を高めている。よって第2電極形成後、第2粘着材の貫通孔に正圧を与えることで保持力を低減し、電子部品を第2粘着材から剥離することができる。剥離が困難な場合には、第2粘着材の貫通孔に押圧部材を挿入して電子部品を押圧してもよいし、掻き取り用の治具を用いて剥がすようにしてもよい。このとき、粘着剤としては例えばシリコンゴムなどが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−118755号公報(第6−7頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記方法においては上述のように、外部電極の形成が完了した際に電子部品を第2粘着材から剥離するために、治具を用いて電子部品に外力を加え、押圧または掻き出すようにして剥離する必要が生ずることがある。この際、第2粘着材の一部や第2粘着材に接着されていた電極の一部分が破壊され、粘着材が使用不能になったり、電子部品が損傷を受けたりすることがある。さらに、破壊された残部が第2粘着材上に残り、粘着力が低下する、洗浄が必要になるなど、作業に支障をきたす場合がある。
【0006】
そこで本発明は、機械的な外力を加えることなく電子部品を粘着材から剥離することができ、作業効率が高く、製造歩留まりのよいチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、互いに対向する第1端面と第2端面とを有するチップ状素子を、第1端面を接着面として第1粘着材に貼付する第1貼付工程と、チップ状素子を第1粘着材に貼付した状態で、第2端面側端部に電極材を塗布する第1電極塗布工程と、第1電極塗布工程において塗布された電極材を乾燥させ、第1外部電極を生成する第1乾燥工程と、第1粘着材に貼付されたチップ状素子を、第1外部電極側を接着面として、第1粘着材よりも耐熱温度が低く且つ第1粘着材よりも粘着力が強い第2粘着材に貼付するとともに、第2粘着材によって該チップ状素子を第1粘着材から引張ることにより第1粘着材からチップ状素子を剥離する第2貼付工程と、チップ状素子を第2粘着材に貼付した状態で、第1端面側端部に電極材を塗布する第2電極塗布工程と、第2電極塗布工程において塗布された電極材を乾燥させ、第2外部電極を生成する第2乾燥工程と、チップ状素子に機械的な外力を加えずに非接触剥離により第2粘着材からチップ状素子を剥離する剥離工程とを有するチップ状電子部品の外部電極形成方法を提供している。
【0008】
上記構成によれば、第1粘着材は第2粘着材よりも耐熱性が高いので、第1乾燥工程における乾燥温度を第2乾燥工程における乾燥温度よりも高くすることができ、第1乾燥工程の乾燥時間を短縮することができる。また、第1粘着材は第2粘着材よりも粘着力が低いので、第1外部電極側を第2粘着材に貼付して電子部品を第1粘着材から離間させると、第1粘着剤からの剥離を容易かつ確実に行うことができる。第2粘着材は非接触剥離機能を有しているので、剥離の際に電子部品を損傷したり、製造治具を傷つけたりすることがない。また、第1粘着材として再利用可能な粘着材を利用することができるので、チップ状電子部品を製造するための副資材を極力削減することができる。
【0009】
ここで、第2粘着材は、熱発泡性粘着剤を含むことが好ましい。このような構成によれば、第2粘着材を加熱して第2粘着材の粘着性を低下させることにより、機械的外力を与えることなく電子部品を第2粘着材から剥離することが可能である。
【0010】
また、第2粘着材は、塑性変形可能な粘着剤を含むことが好ましい。このような構成によれば、第2粘着材に第1外部電極を接着する際、第1外部電極に凹凸が生じても第2粘着材が塑性変形して保持するので、チップ状素子を保持する位置精度が低下することを防止できる。
【0011】
また本発明は、第1粘着材を有する第1搬送装置と、互いに対向する第1端面と第2端面とを有するチップ状素子を、第1端面を接着面として第1粘着材に貼付する第1貼付部と、チップ状素子を第1粘着材に貼付した状態で、第2端面側端部に電極材を塗布する第1電極塗布部と、第1電極塗布部において塗布された電極材を乾燥させ、第1外部電極を生成する第1乾燥部と、第1粘着材よりも耐熱温度が低く且つ該第1粘着材よりも粘着力が強い第2粘着材を有する第2搬送装置と、第1粘着材に貼付されたチップ状素子を、第1外部電極側を接着面として第2粘着材に貼付するとともに、第2粘着材によってチップ状素子を第1粘着材から引張ることによりチップ状素子を第1粘着材から剥離する第2貼付部と、チップ状素子を第2粘着材に貼付した状態で、第1端面側端部に電極材を塗布する第2電極塗布部と、第2電極塗布部において塗布された電極材を乾燥させ、第2外部電極を生成する第2乾燥部と、チップ状素子に外力を加えることなく、第2粘着材からチップ状素子を非接触剥離する剥離部とを有するチップ状電子部品の外部電極形成装置を提供している。
【0012】
上記構成によれば、第1粘着材から第2粘着材へのチップ状素子の受け渡し、および第2粘着材からのチップ状電子部品の剥離が容易で、チップ状部品および粘着材を傷つけることなく、精度および効率よくチップ状電子部品に外部電極を形成することができる。また、チップ状電子部品を製造するための副資材を極力削減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置によれば、作業効率、および製造歩留まりが高く、製品の品質安定性が高いチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1〜図14は本発明の第1の実施の形態によるチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置を説明する図である。図中、実質的に同一の部分には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0015】
第1の実施の形態による外部電極形成方法および外部電極形成装置は、例えば積層セラミックコンデンサ等、互いに対向する2端面を有するチップ状電子部品における外部電極形成方法および外部電極形成装置である。図1に示すように、第1の実施の形態によるチップ7は、チップ状電子部品の電極形成前のチップ状素子であり、互いに対向する第1端面7aおよび第2端面7bを有した略直方体形状となっている。本実施の形態においては、これらの第2端面7b部分に第1電極11を、第1端面7a部分に第2電極21を形成する。
【0016】
図1に示すように、外部電極形成装置1は、プレート供給マガジン5、塗布用ベッド10、乾燥装置13、プレート回収マガジン15、シート供給マガジン19、塗布用ベッド22、乾燥装置25、加熱装置27、排出箱29、回収マガジン31等を有し、外部電極形成装置1に供給されたチップ7に順次所定の処理を行って外部電極を形成し、チップ状電子部品30(以下、単に電子部品30という)を製造する装置である。
【0017】
プレート供給マガジン5は、粘着剤として粘着シリコンゴムを備えた略矩形の板状形状の第1粘着材であるプレート3を、多数積層して収納する略直方体の容器である。プレート3は、より具体的には図3に示すように、例えばステンレス製のベースプレート4の表面に粘着性のあるシリコンゴム2が形成され、平面形状が矩形の板形状をなす。プレート3はプレート供給マガジン5から1枚ずつ順次、電極形成工程を行うため外部電極形成装置1の第1位置(図1)に第1搬送装置(図示せず)により供給される。プレート3の供給は、各処理時間を考慮して予め決められた所定時間毎に行う。
【0018】
塗布用ベッド10は、高精度な平面度を有し、その表面に一定層圧の導体ペースト層9が設けられており、平面視がプレート3と略同形をなす。チップ7を保持したプレート3と塗布用ベッド10の導体ペースト層9の表面とを互いに平行な状態で相対的に近づけ、チップ7を塗布用ベッド10に押し付けることで、チップ7の第2端面7b側の所定部分を導体ペースト層9に浸漬し、電極ペーストを塗布する。乾燥装置13は、チップ7に塗布した電極ペーストを乾燥させて、第1電極11を生成する装置である。プレート回収マガジン15は、第1電極11が形成されたチップ7がプレート3から剥離された後にプレート3を回収し、積層して収納する略直方体の容器である。
【0019】
シート供給マガジン19は、粘着剤として発泡性剥離粘着剤を備えた第2粘着材であるシート17を多数積層して収納する略直方体の容器である。シート17は、より具体的には図9、図11に示すように、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム18に発泡性剥離粘着剤16が塗布された平面形状が略矩形のシートであり、図示しないホルダに固定されている。シート17は、鉛直方向下方側に発泡性剥離粘着剤16が配置されており、シート供給マガジン15から1枚ずつ順次、第2搬送装置(図示せず)によって外部電極形成装置1の電極形成工程を行うための第7位置に供給される。シート17の供給は、各処理時間を考慮して予め決められた所定時間毎に行う。
【0020】
なお、シート17に設けられた発泡性剥離粘着剤は、熱剥離粘着剤とも呼ばれ、常温では通常の粘着力を発揮でき、所定温度以上に加熱すると粘着剤が発泡して接着面積が低下することで粘着力を失い、被着体が剥離可能となるものである。発泡性剥離粘着剤の粘着力および発泡温度は調整が可能である。ここでは粘着力はシリコンゴム2よりも高く、発泡温度はシリコンゴムの粘着性の耐熱温度よりも低く調整されている。シート17としては例えば、日東電工株式会社製の商品名「リバアルファー」を使用することができる。
【0021】
塗布用ベッド22は、高精度な平面度を有し、その表面に一定層圧の導体ペースト層23が設けられており、平面視がシート17と略同形をなす。チップ7を保持した状態のシート17と塗布用ベッド22の導体ペースト層23の表面とを互いに平行な状態で相対的に近づけ、チップ7を塗布用ベッド10に押し付けることで、チップ7の第1端面7a側の所定部分を導体ペースト層23に浸漬し、電極ペーストを塗布する。乾燥装置25は、チップ7に塗布した電極ペーストを乾燥させて、第2電極21を生成する装置である。
【0022】
加熱装置27は、電極形成が終了した電子部品30をシート17から剥離するために、シート17の発泡性粘着剤を加熱する装置である。排出箱29は、電極形成が終了し、加熱されて粘着性を喪失したシート17から自重により落下した電子部品30を回収する容器である。回収マガジン31は、電子部品30が剥離された後シート17を回収し、積層して収納する略直方体の容器である。
【0023】
また、図示はしないが、外部電極製造装置1は、プレート3を所定時間毎に間欠的に各処理位置に搬送する第1搬送機、シート17を所定時間毎に間欠的に各処理位置に搬送する第2搬送機、プレート3またはシート17にチップ7を所定数、所定位置に配置させるための機構、プレート3またはシート17に保持されたチップ7を導体ペースト層9、23に浸漬させるための機構、各供給マガジンの搬送機構等を有している。
【0024】
以下、上記外部電極形成装置1によって外部電極を形成する方法について説明する。図2に示すように、まず、外部電極形成装置1の第1位置(図1)にプレート3を供給する(ステップ101)。プレート3は、プレート供給マガジン5から供給されてホルダ47に保持される。このとき、プレート3は、シリコンゴム2が鉛直方向下方に位置するように配置されることが好ましい。
【0025】
続いて第1位置に配置されたプレート3にチップ7を供給し、貼付する(ステップ102)。このとき、図3〜図5に示すように、平面形状が矩形の板状で高精度な平面度のベッド41に、例えばシリコンゴムで形成されたチップ整列用の案内板43が形成された整列用ブロック40を用意する。案内板43には、複数の円柱状開口部45が形成されている。図4の例では、1つの案内板43に16個の開口部45が2次元的に配列されて形成されている。開口部45の直径は、チップ7の第1端面7aおよび第2端面7bの最大径よりも大きく形成されている。例えば、開口部45の側壁45aに沿ってチップ7を挿入したとき、抵抗なく開口部45に対して挿入、引抜きできる程度のあそびをもった寸法であることが好ましい。
【0026】
図4および図5に示されるように、チップ7を開口部45の側壁45aに沿って滑らせるようにして、16箇所の開口部45の全てにチップ7を収納した後、図3および図5に示すように、ベッド41にプレート3を、互いに平行な状態を保ちつつ接近させ、シリコンゴム2をチップ7の第1端面7aに押圧する。シリコンゴム2がチップ7の第1端面7aを保持した後、図5に示すようにベッド41とプレート3とを相対的に離間させる。このとき、第1粘着材のシリコンゴム2の粘着力により、チップ7はプレート3に保持された状態を維持する。すなわち、プレート3には16個のチップ7が2次元的に配列されて保持される状態となる。なお、第1端面7aはほぼ平面状であり、チップ7のサイズは全てほぼ同一であり、かつベッド41の表面は高精度な平面度であるので、ベッド41上に配列された16個のチップ7の第1端面7aは、ほぼ同一平面上に配置される。また、ベッド41を固定した状態で、プレート3がベッド41に対して平行な状態を保ちつつ接近するので、全てのチップ7はほぼ均一の圧力でシリコンゴム2に押圧される。よって16個のチップ7の第2端面7bはほぼ同一平面上に配置される。なお、説明の都合上、図1、図5等では1つのチップ7のみの状態を示している。
【0027】
次に、チップ7の第2端面7b側に、第1電極11を塗布する(ステップ103)。このとき、図1に示すようにチップ7を保持したプレート3は、第2位置まで搬送される。チップ7の鉛直方向下側には、塗布用ベッド10が配置されている。図6に示すように、プレート3に保持された状態のチップ7と導体ペースト層9とを相対的に接近させ、塗布用ベッド10にチップ7の第2端面7bを押圧することにより、第2端面7b側の所定の深さまでチップ7を導体ペースト層9に浸漬させる。その後、プレート3と塗布ベッド10とを相対的に離間して導体ペースト層9からチップ7を引き離すことで、第1電極11となる電極ペーストが塗布される。このとき、プレート3に保持された全てのチップ7の第2端面7bは、上述したようにほぼ同一平面上にあるため、全てのチップ7はほぼ同一の深さまで導体ペースト層9に浸漬されて、ほぼ同一の範囲に電極ペーストが塗布されることになる。
【0028】
続いて、塗布した第1電極11となる電極ペーストを乾燥する(ステップ104)。この第1乾燥は、プレート3が第3位置から第5位置まで搬送される間に行われる。図1に示すように、乾燥にはハロゲンヒータによる直接加熱または雰囲気加熱を行う。図7に示すように、直接加熱の場合には、乾燥炉14の中にハロゲンランプ13を配置し、ハロゲンランプ13からの発光を特殊なフィルタにより遠赤外線へと変換し、輻射式で乾燥を行う。乾燥炉14は、チップ7が配列されている側が開口部14aとなっており、開口部14aの外部にチップ7を保持したプレート3が配置されている。ハロゲンランプ13は、乾燥炉14の開口部14aと対向する底面近くに備えられており、チップ7の搬送方向に長く形成されて、加熱温度を均一に保ちかつ所定の加熱時間が確保できるような構成となっている。
【0029】
雰囲気加熱の場合には、図8に示すように、チップ7を保持しプレート3の出入口のみが開口した乾燥炉54内にヒータ53を配置し、乾燥炉内54全体の温度を昇温させ、対流式にて乾燥を行う。
【0030】
乾燥温度は、いずれの乾燥方法においても例えば200℃弱程度である。また、上記いずれの乾燥方法の場合も、チップ7はプレート3に保持されて、所定時間毎に第3位置から第5位置まで間欠的に移動する。
【0031】
ステップ104の第1乾燥が終了し、チップ7に第1電極11が形成されると、チップの受け渡しを行う(ステップ105)。まず、図1、図9に示すように、第6位置において、チップ7を保持したプレート3の天地を逆転するとともに、第7位置に移動する(図10のステップ131)。このとき、シート17は、図示しない第2搬送機によりシート供給マガジン19から第7位置に供給される。
【0032】
第7位置において、シート17と、チップ7を保持したプレート3とが互いに平行な状態で相対的に接近し、シート17とチップ7の第1電極11側との間に圧力をかけ、発泡性剥離粘着剤16にチップ7を保持させる(ステップ132)。その後に、プレート3とシート17とを相対的に離間する(ステップ133)。このとき、発泡性剥離粘着剤16は、シリコンゴム2よりも粘着性が高いので、プレート3に保持されていたチップ7はシート17に保持されて引張られ、シリコンゴム2から剥離する。また、発泡性剥離粘着剤16は、ゼリー状の物性を示すため多少の弾力性を有するが、必要以上の変位が加わると塑性変形し、その形状を保つ。よって、第1電極11の平面性が各チップ7で異なっていても、プレート3とシート17とが圧接される際に、第1電極11の平面性の差異を相殺し、第1端面7aがほぼ同一平面上に配置される。
【0033】
より詳細には、図11に示すように、チップ7の受け渡し前には、プレート3のベースプレート4上に設けられたシリコンゴム2に、第1電極11が形成された複数のチップ7が保持されており、その鉛直方向上方にシート17が供給される。プレート3とシート17とを相対的に接近させて互いに圧力をかけ、チップ7をシート17に接着させた後、プレート3とシート17とを相対的に離間することで、プレート3に保持されていたチップ7はより高い粘着度の熱発泡剥離粘着剤16に引張られて剥離され、シート17に保持される。
【0034】
続いて、シート17は第8位置に移動し、チップ7の第1端面7a側に第2電極塗布を行う(ステップ106)。図1、図12に示すように、チップ7の鉛直方向下方には、塗布用ベッド22が配置されている。図12に示すように、シート17に保持された状態のチップ7と塗布用ベッド22の導体ペースト層23とを相対的に接近させ、高精度の平面度の塗布用ベッド22にチップ7の第1端面7aを押圧することにより、第1端面7a側の所定の深さまでチップ7を導体ペースト層23に浸漬させる。その後、シート17と塗布用ベッド22を相対的に離間して導体ペースト23からチップ7を引き離すことで、第2電極21となる電極ペーストが塗布される。このとき、シート17に保持された全てのチップ7の第1端面7aは、上述したようにほぼ同一平面上にあるため、全てのチップ7はほぼ同一の深さまで導体ペースト層23に浸漬されて、ほぼ同一の範囲に電極ペーストが塗布されることになる。
【0035】
続いて、塗布した第2電極21となる電極ペーストを乾燥する(ステップ107)。この第2乾燥は、シート17が第9位置から第11位置まで搬送される間に行われる。図1に示すように、乾燥にはハロゲンヒータによる直接加熱または雰囲気加熱により行う。ハロゲンヒータによる加熱装置は、図6に示した直接加熱の場合と同様である。雰囲気加熱の場合には、図7に示した輻射加熱の場合と同様である。なお、発泡性剥離粘着剤16は、上述のように耐熱温度を調整することが可能であり、この第2乾燥の間、粘着性が低下しないように耐熱温度調整および乾燥温度制御を行うか、あるいは電極ペーストのみへの局所加熱を行うことが好ましい。
【0036】
第2電極21が形成されると、シート17は第12位置に搬送され、チップ7が排出される(ステップ108)。図1に示すように、第12位置には、シート17の鉛直方向上側にホットプレート27が備えられている。図13に示すように、ホットプレート27は、平面形状がシート17と略同形の直方体形状であり、内部にヒータ28を備えている。シート17は、PETフィルム18側がホットプレート27に接するように真空吸着されている。このとき、シート17には、図14に示すように、第1電極11および第2電極21を形成された電子部品30が保持されている。
【0037】
ヒータ28によって、ホットプレート27を加熱し、シート17の熱発泡剥離粘着剤16を例えば170℃程度に加熱すると、図14に示すように、熱発泡剥離粘着剤16の表面16aが発泡して接着面積が低下することで粘着力を失い、電子部品30は自重によりシート17から剥離して落下する。第12位置のシート17の鉛直方向下方には、上方が開口された排出箱29が備えられており、電子部品30が回収される。電子部品30がシート17から剥離すると、シート17はシート回収マガジン31に回収される。以上の工程により、電子部品30が製造される。
【0038】
以上詳細に説明したように、第1の実施の形態およびその変形例によるチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置によれば、シリコンゴム2を備えたプレート3にチップ7を保持した状態で、第1電極11を電極ペースト塗布および乾燥により形成する。その後シリコンゴム2よりも高い粘着性を有する熱発泡剥離粘着剤16を備えたシート17に、第1電極11が形成されたチップ7を押圧し接着させてシート17により引張ることで、シリコンゴム2からチップ7を剥離する。シート17にチップ7を保持した状態で第1電極11と同様に第2電極21を形成する。第1電極11および第2電極21が形成された電子部品30は、熱発泡剥離粘着剤16を加熱し、発泡により接着面積が増大して粘着力が低下することで、自重によりシート17から剥離され落下する。よって、電子部品30およびシート17を傷つけずにシート17から電子部品30を剥離することが可能である。
【0039】
上記のようなチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置において、プレート3にチップ7を供給する際には、まず整列用ブロック40にチップ7を整列させ、整列用ブロック40にプレート3を平行な状態を保ちつつ接近させてチップ7をシリコンゴム2に押圧し、保持させる。このとき、整列用ブロック40は固定しており、複数のチップ7の姿勢が崩れることなくプレート3に保持される。さらに、第1電極11および第2電極21の形成時、高精度の平面度を有する塗布用ベッド10、22にチップ7の端面を押しつけて電極ペーストを塗布するので、電極形成領域のばらつきが抑制される。
【0040】
また、第2電極21の形成時には、シート17に保持される側の第1電極11の凹凸を、熱発泡剥離粘着剤16が塑性変形することで相殺でき、電極形成される各第1端面7aが、ほぼ同一平面上に配置されるように調整することが可能である。よって、シート17に保持された複数のチップ7の電極形成領域がさらに一定になり、品質が安定した電子部品30を製造することが可能になる。
【0041】
シリコンゴム2は、耐熱温度が充分高く、電極形成時の乾燥工程において、電極のみが加熱されるように局所加熱しなくても問題ないため、装置の小型化が可能になっている。
【0042】
チップ7をプレート3からシート17に受け渡す際には、まずプレート3の天地を逆転させてから受け渡す。よって、プレート3の搬送方向とシート17の搬送方向とを逆に設定することができ、装置を小型化することができる。
【0043】
電子部品30がシート17から剥離する際には、外力を加える必要がないので、第2電極21が破損することがない。また、シート17は使い捨てなので洗浄の必要もないため、効率よく電子部品30を製造することができる。また、第1粘着材であるプレート3は再利用可能であるため、このプレート3を使用することにより、使い捨てされるシート17が使用される量を極力抑えることができる。このため、チップ状電子部品を製造するための副資材を極力削減することができる。
【0044】
次に、第2の実施の形態によるチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置について、図16を参照しながら説明する。第1の実施の形態によるチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置と実質的に同一の構成動作については説明を省略する。
【0045】
図16に示すように、第2の実施の形態による外部電極形成装置200は、第2粘着材の構成および搬送方法が異なっている。第2粘着材は、片面に熱発泡剥離粘着剤116をコーティングした粘着テープ117となっており、繰り出しロール115、駆動ロール129、巻き取りロール131を有するテープ走行機構によって所定距離毎に間欠的に搬送される。粘着テープ117は、繰り出しロール115に巻回されており、外部電極形成装置200の第7位置から第12位置までに亘って配設され、巻き取りロール131に巻き取られる。駆動ロール129は、粘着テープ17の粘着剤のない面を真空吸着し、一定時間毎に一定回転角ずつ間欠的に回転して、粘着テープ117を一定量毎に走行させる。なお、各ロールの配置の関係で、繰り出しロール115と駆動ロール129との間にはガイドロール119が設けられ、粘着テープ117の走行方向を調整している。なお、粘着テープ117としては、例えば、日東電工株式会社製の商品名「リバアルファー」を使用することができる。粘着力は、シリコンゴム2よりも高く設定することが好ましい。
【0046】
上記外部電極形成装置200の動作を第1の実施の形態による外部電極形成装置1と異なる部分について説明する。第1位置から第6位置までの処理は第1の実施の形態と同様である。なお、図16においては、説明の都合上、1つのチップ7のみを示しているが、第1の実施の形態と同様、1枚のプレート3には複数のチップ7が2次元的に配列されている。
【0047】
第6位置において天地が逆転されたプレート3には、第2端面7bに第1電極11が形成されたチップ7が複数保持されている。第7位置において、このプレート3と粘着テープ117とを互いに平行な状態で相対的に近づけ、チップ7と粘着テープ117との間に圧力をかける。熱発泡剥離粘着剤116がプレート3に保持されているチップ7を保持した後にプレート3と粘着テープ117とを離間させると、チップ7は粘着力のより強い粘着テープ117側に保持されて引張られ、プレート3から剥離される。
【0048】
第7位置の処理後、駆動ローラ129が所定角度回転することにより、粘着テープ117が所定距離移動し、チップ7は第8位置に移動する。第8位置のチップ7の鉛直方向下方には、導体ペースト層23を有する塗布用ベッド22が配置されている。粘着テープ117に保持された状態のチップ7と導体ペースト層23とを相対的に接近させ、高精度の平面度の塗布用ベッド22にチップ7の第1端面7aを押圧することにより、第1端面7a側の所定の深さまでチップ7を導体ペースト層23に浸漬させる。その後、粘着テープ117と塗布用ベッド22を相対的に離間して導体ペースト23からチップ7を引き離すことで、第2電極21となる電極ペーストが塗布される。このとき、粘着テープ117に保持された全てのチップ7の第1端面7aは、熱発泡剥離粘着剤116が塑性変形することで第1の実施の形態と同様ほぼ同一平面上に配置されるため、全てのチップ7はほぼ同一の深さまで導体ペースト層23に浸漬されて、ほぼ同一の範囲に電極ペーストが塗布されることになる。
【0049】
続いて、塗布した第2電極21となる電極ペーストを乾燥する(第2乾燥)。この第2乾燥は、粘着テープ117が第9位置から第11位置まで間欠的に移動する間に行われる。ここでは、ハロゲンヒータによる直接加熱を行う。この第2乾燥の間、熱発泡剥離粘着剤116の粘着性が低下しないよう乾燥温度制御や電極ペーストのみへの局所加熱を行うことが好ましい。
【0050】
第2電極21が形成されると、再び駆動ローラ129が所定角度回転することにより粘着テープ117は第12位置に搬送される。第12位置には、粘着テープ117の鉛直方向上側にホットプレート27が備えられている。このとき、粘着テープ117の粘着剤のない側がホットプレート27に接するように真空吸着されて加熱される。ホットプレート27を加熱し、粘着テープ117の熱発泡剥離粘着剤116を例えば170℃程度に加熱すると、熱発泡剥離粘着剤116の表面が発泡して接着面積が低下することで粘着力を失い、電子部品30は自重により粘着テープ117から剥離して落下する。第12位置の粘着テープ117の鉛直方向下方には、上方が開口された排出箱29が備えられており、電子部品30が回収される。この間、駆動ローラ129が所定角度回転する毎に、繰り出しローラ115から所定の長さの粘着テープ117が送り出され、巻き取りローラ131に所定の長さの粘着テープ117が巻き取られる。よって、常に粘着テープ117はほぼ一定の張力を保っており、チップ7を安定して保持している。以上の工程により、第2の実施の形態による外部電極形成装置200において電子部品30が製造される。
【0051】
上記第2の実施の形態による外部電極形成装置200によれば、まずシリコンゴム2にチップ7を保持した状態で第1電極11を形成し、粘着テープ117を用いて第2電極21を形成する。粘着テープ117はシリコンゴム2よりも粘着強度が高いので、プレート3から粘着テープ117へのチップ7の受け渡しを確実に行うことができる。また、第1電極および第2電極はほぼ同一の範囲に作成されるので、製造される電子部品の性能を安定させることが可能である。
【0052】
第1電極11および第2電極21の形成後は、粘着テープ117を加熱することで、熱発泡剥離粘着剤116の粘着度を低下させて、外力を加えることなく電子部品30を剥離することができる。
【0053】
尚、本発明によるチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0054】
例えば、第1の実施の形態において、シート17は、PETフィルム18に熱発泡剥離粘着剤16を塗布したシートであったが、図15に示すように、例えばステンレス製のベースプレート51にシート17が備えられるようにしてもよい。このような構成によれば、シートの強度を確保することができる。その他の外部電極形成装置の構成および外部電極形成方法は第1の実施の形態と同様である。
【0055】
また、上記実施の形態においては、直方体形状のチップ7に外部電極を作成する方法であったが、チップ7の形状は例えば円柱状、多角柱状など互いに対向する2つの端面を有する形状であれば適用が可能である。
【0056】
シート17および粘着テープ117には粘着剤として熱発泡剥離粘着剤を用いたが、非接触剥離機能を有するものであれば、他の材料でもよい。例えば、紫外線照射により粘着力が低下する紫外線剥離粘着剤、水によって粘着力が低下する水剥離粘着剤などを利用することができる。
【0057】
プレート3にチップ7を配列する方法については上記整列ブロック40を使用する例に限定されない。また、チップ7の配列についても他の形態でもよい。
【0058】
熱発泡剥離粘着剤16、116を発泡させるための加熱手段として、上記実施の形態においてはホットプレートを使用していたが、所定の範囲に集中して熱を供給する局所ハロゲンランプなど、他の手段を用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のチップ状電子部品の外部電極形成方法および外部電極形成装置は、積層セラミック電子部品の製造などに利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるチップ状電子部品の外部電極形成装置の構成を示す概念図。
【図2】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法を示すフローチャート。
【図3】本発明の第1の実施の形態によるチップ状電子部品の外部電極形成装置の整列ブロック40にチップ7が配置された状態を示す断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態によるチップ状電子部品の外部電極形成装置の整列ブロック40の平面図。
【図5】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法のチップ供給貼付工程を説明する断面図。
【図6】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法の第1電極塗布工程を示す図。
【図7】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法の輻射式による乾燥方法を説明する図。
【図8】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法の対流式による乾燥方法を説明する図。
【図9】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法のチップ受け渡し工程を説明する図。
【図10】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法のチップ受け渡し工程の詳細を示すフローチャート。
【図11】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法のチップ受け渡し工程を説明する図
【図12】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法の第2電極塗布工程を説明する図。
【図13】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法のチップ排出工程を説明する図。
【図14】本発明の第1の実施の形態による外部電極形成方法の熱発泡剥離粘着剤の発泡の様子を示す図。
【図15】本発明の第1の実施の形態の変形例による外部電極形成方法のチップ受け渡し工程を説明する図。
【図16】本発明の第2の実施の形態による外部電極形成装置の構成を示す概念図。
【符号の説明】
【0061】
1、200 外部電極形成装置
2 シリコンゴム
3 プレート
7 チップ
7a 第1端面
7b 第2端面
9 導体ペースト層
11 第1電極
16 熱発泡剥離粘着剤
17 シート
21 第2電極
30 電子部品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1端面と第2端面とを有するチップ状素子を、該第1端面を接着面として第1粘着材に貼付する第1貼付工程と、
該チップ状素子を該第1粘着材に貼付した状態で、該第2端面側端部に電極材を塗布する第1電極塗布工程と、
該第1電極塗布工程において塗布された該電極材を乾燥させ、第1外部電極を生成する第1乾燥工程と、
該第1粘着材に貼付された該チップ状素子を、該第1外部電極側を接着面として、該第1粘着材よりも耐熱温度が低く且つ該第1粘着材よりも粘着力が強い第2粘着材に貼付するとともに、該第2粘着材によって該チップ状素子を該第1粘着材から引張ることにより該第1粘着材から該チップ状素子を剥離する第2貼付工程と、
該チップ状素子を該第2粘着材に貼付した状態で、該第1端面側端部に電極材を塗布する第2電極塗布工程と、
該第2電極塗布工程において塗布された該電極材を乾燥させ、第2外部電極を生成する第2乾燥工程と、
該チップ状素子に機械的な外力を加えずに非接触剥離により該第2粘着材から該チップ状素子を剥離する剥離工程とを有することを特徴とするチップ状電子部品の外部電極形成方法。
【請求項2】
該第2粘着材は、熱発泡性粘着剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のチップ状電子部品の外部電極形成方法。
【請求項3】
該第2粘着材は、塑性変形可能な粘着剤を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチップ状電子部品の外部電極形成方法。
【請求項4】
第1粘着材を有する第1搬送装置と、
互いに対向する第1端面と第2端面とを有するチップ状素子を、該第1端面を接着面として該第1粘着材に貼付する第1貼付部と、
該チップ状素子を該第1粘着材に貼付した状態で、該第2端面側端部に電極材を塗布する第1電極塗布部と、
該第1電極塗布部において塗布された電極材を乾燥させ、第1外部電極を生成する第1乾燥部と、
該第1粘着材よりも耐熱温度が低く且つ該第1粘着材よりも粘着力が強い第2粘着材を有する第2搬送装置と、
該第1粘着材に貼付された該チップ状素子を、該第1外部電極側を接着面として該第2粘着材に貼付するとともに、該第2粘着材によって該チップ状素子を該第1粘着材から引張ることにより該チップ状素子を該第1粘着材から剥離する第2貼付部と、
該チップ状素子を該第2粘着材に貼付した状態で、該第1端面側端部に電極材を塗布する第2電極塗布部と、
該第2電極塗布部において塗布された電極材を乾燥させ、第2外部電極を生成する第2乾燥部と、
該チップ状素子に外力を加えることなく、該第2粘着材から該チップ状素子を非接触剥離する剥離部とを有することを特徴とするチップ状電子部品の外部電極形成装置。
【請求項1】
互いに対向する第1端面と第2端面とを有するチップ状素子を、該第1端面を接着面として第1粘着材に貼付する第1貼付工程と、
該チップ状素子を該第1粘着材に貼付した状態で、該第2端面側端部に電極材を塗布する第1電極塗布工程と、
該第1電極塗布工程において塗布された該電極材を乾燥させ、第1外部電極を生成する第1乾燥工程と、
該第1粘着材に貼付された該チップ状素子を、該第1外部電極側を接着面として、該第1粘着材よりも耐熱温度が低く且つ該第1粘着材よりも粘着力が強い第2粘着材に貼付するとともに、該第2粘着材によって該チップ状素子を該第1粘着材から引張ることにより該第1粘着材から該チップ状素子を剥離する第2貼付工程と、
該チップ状素子を該第2粘着材に貼付した状態で、該第1端面側端部に電極材を塗布する第2電極塗布工程と、
該第2電極塗布工程において塗布された該電極材を乾燥させ、第2外部電極を生成する第2乾燥工程と、
該チップ状素子に機械的な外力を加えずに非接触剥離により該第2粘着材から該チップ状素子を剥離する剥離工程とを有することを特徴とするチップ状電子部品の外部電極形成方法。
【請求項2】
該第2粘着材は、熱発泡性粘着剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のチップ状電子部品の外部電極形成方法。
【請求項3】
該第2粘着材は、塑性変形可能な粘着剤を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチップ状電子部品の外部電極形成方法。
【請求項4】
第1粘着材を有する第1搬送装置と、
互いに対向する第1端面と第2端面とを有するチップ状素子を、該第1端面を接着面として該第1粘着材に貼付する第1貼付部と、
該チップ状素子を該第1粘着材に貼付した状態で、該第2端面側端部に電極材を塗布する第1電極塗布部と、
該第1電極塗布部において塗布された電極材を乾燥させ、第1外部電極を生成する第1乾燥部と、
該第1粘着材よりも耐熱温度が低く且つ該第1粘着材よりも粘着力が強い第2粘着材を有する第2搬送装置と、
該第1粘着材に貼付された該チップ状素子を、該第1外部電極側を接着面として該第2粘着材に貼付するとともに、該第2粘着材によって該チップ状素子を該第1粘着材から引張ることにより該チップ状素子を該第1粘着材から剥離する第2貼付部と、
該チップ状素子を該第2粘着材に貼付した状態で、該第1端面側端部に電極材を塗布する第2電極塗布部と、
該第2電極塗布部において塗布された電極材を乾燥させ、第2外部電極を生成する第2乾燥部と、
該チップ状素子に外力を加えることなく、該第2粘着材から該チップ状素子を非接触剥離する剥離部とを有することを特徴とするチップ状電子部品の外部電極形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−266208(P2007−266208A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87758(P2006−87758)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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