チップ部品の整列供給装置
【課題】 チップ部品(ワーク)をダメージやストレスを生じさせず、ワーク同士の重なりをなくし、大量供給して高速に搬送して、検査し易いように所定間隔に揃えることが可能なチップ部品の整列供給装置を提供する。
【解決手段】 第1の搬送路4によって搬送されたワークをX方向に移動させて第2の搬送路5の入口に移載する移載手段3と、移載されたワークをY方向に搬送する第2の搬送路5とを備え、前記移載手段3がワークをエア吸着してX方向に移動させた後エア脱着して第2の搬送路5の入口に移載し、第2の搬送路5の搬送面に形成された微細孔からY方向に向けて斜め上方にエアを噴出させてワークを浮上させながら搬送し、次工程に供給する。
【解決手段】 第1の搬送路4によって搬送されたワークをX方向に移動させて第2の搬送路5の入口に移載する移載手段3と、移載されたワークをY方向に搬送する第2の搬送路5とを備え、前記移載手段3がワークをエア吸着してX方向に移動させた後エア脱着して第2の搬送路5の入口に移載し、第2の搬送路5の搬送面に形成された微細孔からY方向に向けて斜め上方にエアを噴出させてワークを浮上させながら搬送し、次工程に供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ部品の整列供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯情報端末やデジタルカメラなどの電子機器は、多面体形状のチップ部品を多数高密度実装することで、小型・薄型化を実現している。高密度実装にともない、チップ部品(ワークとも呼ばれる)の寸法はさらに小型・薄型化が進み、チップ部品に対する取り扱いが非常に難しくなってきている。例えば、半導体素子の場合には、内部回路の静電破壊等を避けるために静電気の影響を受けないように配慮しなければならず、衝撃・振動等も極力与えないようにしなければならない。チップ部品の小型・薄型化に伴って、その部品質量が非常に小さくなり、撓み易く、ワレカケ等が生じ易くなってきている。なお、本明細書では、半導体素子、水晶振動子、水晶素子(SMD水晶素子)、SAWフィルタ素子、チップコンデンサ、抵抗、コイル、端子、基板、シート、フィルム等の多面体形状の実装部品をチップ部品(又はワーク)と表現している。
【0003】
ワークは、一旦、バルクケースにまとめてバラ状に包装される場合が多く、バルクケースからランダムな状態で取り出されたワークは、整列供給装置によって、次工程まで整列搬送される。次工程としては、ワークの外観検査工程や電気検査工程、ワークの基板実装工程、ワークをテーピングやマガジン詰め等を行う包装工程がある。従来、整列供給装置としては、いわゆる振動型パーツフィーダが用いられているが、ワークの小型・薄型化に伴って、静電気、振動・衝撃、変形、ワレカケ等の問題があり、それに加えて、搬送の際の摩擦熱によるワークへのダメージやストレスが生じる問題や、ワークが上に重なって搬送されてしまうことで部品不良が次工程に流出してしまうこと等の種々の不具合が生じている。このため、例えば半導体素子では、そのハンドリングに際して、帯電防止トレイから帯電防止トレイに移し替える等の煩雑な処理が行われているのが実情である。
【0004】
上述の問題を回避する方法としては、搬送路に多数の孔を形成し、下側から上方又は斜め上方に噴出させたエアによって半導体チップを浮上させながら搬送する搬送装置が提案されている(特許文献1)。また、本願とは被搬送物の種類が異なるが、搬送路に多数の孔を形成し、下側から進行方向の斜め上方に噴出させたエアによってボトルキャップを浮上させながら搬送し、搬送路の途中に立設した棒によってボトルキャップの姿勢を正す搬送装置が提案されている(特許文献2)。また、本願とは被搬送物の大きさ等が異なるが、半導体ウエハを平行に浮上させるために、ポーラスカーボン板を使用した浮上装置が提案されている(特許文献3)。そして、チップ部品が上に重なって搬送されることを解消するために搬送方向を異ならせて下方に傾斜させた搬送路を断続的に設けたワークの整列供給装置が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−250841号公報
【特許文献2】特開2006−111363号公報
【特許文献3】特開2008−140953号公報
【特許文献4】特開2006−225137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のワークの整列供給装置では、上述の問題を解消しつつワークを高速搬送することが困難である。つまり、特許文献1−3記載の装置では、その構造上、ワークを大量供給して高速搬送することができないため、装置の入口に1つずつワークを供給している。特許文献4記載の装置では、搬送路との摩擦が生じることで高速搬送し難い構成である。特に、長さが数mm以下、厚みが100μm以下及び微小質量のワークにおいては、従来の振動方式では、有効な整列搬送ができていないのが実情である。
【0007】
上述した従来技術の問題点に鑑みて、本発明の目的は、小型・薄型化が進むチップ部品を静電気、振動・衝撃、変形、ワレカケ等の問題や、搬送の際の摩擦熱がワークへのダメージやストレスを生じさせること等の不具合を解消しつつ、ワークを大量供給して高速に搬送することで検査し易いように所定間隔に揃えることが可能なチップ部品の整列供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のチップ部品の整列供給装置は、チップ部品をY方向に搬送する搬送路を備え、前記チップ部品をX方向に移動させて前記搬送路の入口にチップ部品を移載し、前記搬送路の搬送面に形成された微細孔からY方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら整列搬送することを特徴とする。
ここで、X方向とY方向との関係は、上から装置を見た場合にX方向を左右方向としたとき、Y方向が前後方向となる関係であり、また、上から装置を見た場合にX方向を前後方向としたとき、Y方向が左右方向となる関係である。
【0009】
本発明では、ワークは前記搬送路の搬送面に形成された微細孔から搬送方向に向けて斜め上方に噴出させたエアによって浮上させられながら前記搬送路を搬送され、前記搬送路の出口から次工程に供給される。本発明によれば、ワークを浮上させながらワーク同士の間隔をあけて搬送するため、静電気、振動・衝撃、変形、ワレカケ等の問題や、搬送の際の摩擦熱によるワークへのダメージやストレス等の問題が解消される。特に、長さが数mm以下、厚みが100μm以下及び微小質量の平板状ワークにおいて、ワークをまとめて供給することでワーク同士が重なっても、高速に搬送しながら検査し易いように所定間隔に揃えることで、効果的な整列搬送ができる。
【0010】
本発明は、前記搬送路を第2の搬送路とし、当該第2の搬送路の入口にその出口が近接するように前記チップ部品をX方向に搬送する第1の搬送路を備え、前記第1の搬送路の搬送面に形成された微細孔から第2の搬送路の入口方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら搬送して第2の搬送路に移載することを特徴とする。
【0011】
本発明では、ワークは第1の搬送路の搬送面に形成された微細孔から搬送方向に向けて斜め上方に噴出させたエアによって浮上させられながら第1の搬送路を搬送され、搬送面に多数形成された微細孔から噴出するエアの作用によってワーク同士の間隔が拡がった状態でワークの搬送方向が切り替わり、第2の搬送路の搬送面に形成された微細孔から搬送方向に向けて斜め上方に噴出させたエアによって浮上させられながら第2の搬送路を整列搬送され、第2の搬送路の出口から排出される。本発明によれば、第1の搬送路によってワークをほぼ横一列に搬送した後、第2の搬送路で搬送方向を前後一列に切り替えることで、一つ一つ外観検査できる状態にして搬送することができる。そして、ワーク同士が重なり合って重くなったワークがあったとしても、エアによって浮上し難くエアによる押出し力も弱くなることを利用してスピードダウンさせて、第1の搬送路や第2の搬送路から離脱させるので、ワーク同士が重なり合って搬送される部品不良が次工程に流出してしまう不具合が生じ難い。
【0012】
本発明は、前記第1の搬送路の出口と前記第2の搬送路の入口とが上から見て接しており、前記第1の搬送路のエア噴出力と前記第2の搬送路のエア噴出力をそれぞれ調整して前記チップ部品の搬送速度を制御することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、前記第1の搬送路の出口と前記第2の搬送路の入口とが上から見て接していることで、前記第1の搬送路の出口と前記第2の搬送路の入口との間に隙間がなく、万が一、ワーク同士が重なり合って搬送された場合においても、前記第1の搬送路の出口と前記第2の搬送路の入口との間にワークが引っ掛かる虞がない。そして、前記第1の搬送路のエア噴出力と前記第2の搬送路のエア噴出力をそれぞれ調整して前記チップ部品(ワーク)の搬送速度を制御することで、前記第2の搬送路にて搬送されるワークを一つ一つ外観検査できる間隔を広げた状態とすることが容易である。つまり、例えば、前記第2の搬送路のエア噴出力を前記第1の搬送路のエア噴出力よりも大きい値とすれば、搬送方向の切り替えの際に、ワーク同士の間隔をさらに広げることができる。また、例えば、前記第2の搬送路のエア噴出力を前記第1の搬送路のエア噴出力と同じか小さい値とすれば、搬送方向の切り替えの際に、ワーク同士の間隔を同じとするか、外観検査に適切な範囲内でワーク同士の間隔を縮めることも可能である。
【0014】
本発明では、前記第1の搬送路と前記第2の搬送路との切り替え角度は、上から見てほぼ直角が好ましいが、鋭角であってもよく、鈍角であってもよい。上記切り替え角度は、鈍角でも先頭となるワークの搬送距離を短くするなどして搬送速度を速くすることで、一つ一つ外観検査できる間隔を広げた状態になるが、上記直角又は鋭角で搬送方向を変えることが省スペースで高速搬送するための効率的な角度変更である。
【0015】
本発明では、前記チップ部品(ワーク)を前記搬送路(第1の搬送路、第2の搬送路)に移載する移載手段を備えることで、ワークの厚みや質量等の種別に限定されず、適用可能なワークの種別範囲を拡大することが容易である。
本発明の構成としては、例えば、チップ部品をX方向に移動させて搬送路の入口に移載する移載手段と、移載されたチップ部品をY方向に搬送する搬送路とを備え、前記移載手段が前記チップ部品をエア吸着してX方向に移動させた後エア脱着して前記搬送路の入口に移載し、前記搬送路の搬送面に形成された微細孔からY方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら搬送し、前記搬送路の出口から次工程に供給する構成がある。また例えば、チップ部品を移載手段が配された方向に搬送する第1の搬送路と、第1の搬送路によって搬送されたチップ部品をX方向に移動させて第2の搬送路の入口に移載する移載手段と、移載されたチップ部品をY方向に搬送する第2の搬送路とを備え、前記第1の搬送路の搬送面に形成された微細孔から前記移載手段が配された方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら搬送し、前記移載手段が前記チップ部品をエア吸着してX方向に移動させた後エア脱着して前記第2の搬送路の入口に移載し、前記第2の搬送路の搬送面に形成された微細孔からY方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら搬送し、前記第2の搬送路の出口から次工程に供給する構成がある。そして例えば、チップ部品をX方向に移動させて第1の搬送路の入口に移載する移載手段と、移載されたチップ部品をさらにX方向に搬送し第2の搬送路の入口まで搬送する第1の搬送路と、搬送されたチップ部品をY方向に搬送する第2の搬送路とを備え、第1の搬送路の出口と第2の搬送路の入口が近接配置されており、前記移載手段が前記チップ部品をエア吸着してX方向に移動させた後エア脱着して前記第1の搬送路の入口に移載し、前記第1の搬送路の搬送面に形成された微細孔からX方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら搬送し、前記第2の搬送路の搬送面に形成された微細孔からY方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら搬送し、前記第2の搬送路の出口から次工程に供給する構成がある。
【0016】
本発明では、前記第1の搬送路や第2の搬送路でのエアの噴出力を調整することで、ワークの搬送速度を調節できる。本発明によれば、例えば第2の搬送路のエアの噴出力を第1の搬送路のエアの噴出力よりも強く設定することによって、第2の搬送路でワークとワークの間隔を広げ、ワーク同士の連続性を遮断するとともに、高速に搬送することが可能となる。
【0017】
本発明では、次工程に供給する手前側の前記搬送路(第2の搬送路)の出口の幅がワークの幅の2倍未満に設定することで、ワークを確実に前後一列とする。また、前記搬送路(第2の搬送路)がその出口側から見て断面R加工が施されていることで、前記搬送路(第2の搬送路)でのエアの噴出による圧空が等圧となろうとして、エアがワークの両側に回りこむので、ワークの位置が前記搬送路(第2の搬送路)のセンターラインに収まって前後一列となり、正確な位置で次工程へのワークの受け渡しができる。
【0018】
本発明では、前記第2の搬送路の入口を第1の搬送路の出口との接続側に向かって下向きに傾斜させることによって、横一列で搬送されるワークを前記第2の搬送路の入口で効果的にスピードダウンさせるので、前後一列への搬送方向の切り替えが、効率よくスムーズにできる。また、前記第2の搬送路の入口をその搬送方向の後側となるにしたがって徐々にその搬送路の幅を拡大させることによって、ワークの搬送方向の前後一列への切り替えの際に前後一列の後ろ側となるにしたがい、第1の搬送路のエアによってワークが遠くまで行くので、前後一列のワーク同士の間隔が開き易くなる。そして、前記第2の搬送路がその入口側から見て断面R加工が施されていることで、第2の搬送路でのエアの噴出による圧空が等圧となろうとして、エアがワークの両側に回りこむので、ワークの位置が第2の搬送路のセンターラインに収まり、正確な位置で第1の搬送路からのワークの受け取りができる。
【0019】
本発明では、前記第1の搬送路や第2の搬送路を所定の傾斜角度で下向きに傾斜させることで、ワークにかかる重力の作用でワークの搬送速度を増加させてワークをより高速に搬送できる他、第1の搬送路や第2の搬送路のエアの噴出力を抑えることもできる。また、前記第1の搬送路の搬送面や第2の搬送路の搬送面に形成する微細孔として、厚み方向に多数の微細孔が形成されたポーラスプレートを前記搬送面に用いて前記搬送路を傾斜させることによって、当該微細孔の下側から搬送方向に向けて斜め上方にエアを噴出させることが簡便にできるので、装置の製造コストが抑えられる。
【0020】
本発明では、ワークが上下に重なっている場合に下側のワークに接触しその搬送速度を下げるためのテープが、前記第1の搬送路や第2の搬送路をその上面側からみて搬送方向と直交する方向に貼り付けられている構成とすることで、ワークが上下に重なって搬送される不具合の心配がない。テープの材質としては、金属テープやステンレスプレートやセラミックスプレートが耐摩耗性の観点から好ましいが、フッ素樹脂、ガラス繊維入りPTFE、ポリスチレン、ポリエステル、セロハン、不織布、紙等や、これらに帯電防止剤が塗布されたテープであっても良い。
【0021】
本発明では、ワークが搬送方向の前後に連なっている場合に前側のワークを先に降下させ前記チップ部品の搬送速度を上げるためのウエーブが、前記第1の搬送路や第2の搬送路をその側面側からみて搬送方向と同じ方向に前記ウエーブ加工が施されている構成とすることで、ワーク同士の前後の間隔を確実にあけることができ、ワーク同士の衝突が回避され、ワークの外観検査も正確にできる。ここで、ウエーブ加工とは、搬送方向の斜面に対して最初に滑らかに凹ませてから次に滑らかに凸ませる波形のうねり形状を指しており、最初に滑らかに凹ませることで位置エネルギーを速度に変換して前方のワークの速度を増大させて後方のワークから引き離し、次に滑らかに凸ませたときには慣性速度で後方のワークが前方のワークに追いつけないようにすることによって、ワーク同士の前後の間隔を確実にあけることができる搬送路の形状加工である。
【0022】
本発明では、前記エアノズルが付設された円筒部材が下向きとして最上段のワークをエア吸着し、その後、前記円筒部材を回動させて前記エアノズルを前向きとし、ワークをエア脱着して直後に配された前記搬送路の入口に移載する構成とすることによって、ワークが重ならないようにして上から1枚ずつ吸着して、次に、エア脱着して移載することができる。
【0023】
本発明では、前記エアノズルが付設された円筒部材が下向きとして前記供給エリアにて複数積み重なったワークのうち最上段のワークをエア吸着し、その後前記円筒部材を回動させて前記エアノズルを前向きとし、前記エアノズルが吸着したワークをエア脱着して前記第1の搬送路の入口に移載する構成とすることで、ワークが重ならないようにして上から1段ずつ吸着して、次に、エア脱着して移載することができることに加えて、ベルトコンベヤでワークを供給エリアに搬送するので、ベルトコンベヤの下流側でワークをほぼ横一列にすることが容易であり、ベルトコンベヤの搬送方向の幅を大きくすることによって、ワークの横一列の長さも長くでき、ワークの処理量を増大させることが容易である。
【0024】
本発明は、前記供給エリアでのチップ部品の有無を検知するセンサと、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段を制御する第1の制御回路を備え、前記センサからの検知信号を受けて前記第1の制御回路が前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段の動作開始時期をタイミング制御する構成としてもよい。
【0025】
本発明によれば、前記センサが前記供給エリアでのワークの有無を検知し、ワークがなくなったところで第1の制御回路に信号を送出し、前記センサからの信号を受けて第1の制御回路が前記第2の駆動手段の動作を一旦停止させ、第1の駆動手段を動作させて前記ベルトコンベヤの下流側の供給エリアに次のワークを搬送し、第1の駆動手段の動作を一旦停止させてから、第2の駆動手段を動作させて前記エアノズルにてワークが重ならないようにして重なりの上段から1段ずつ順次移載させる作業を再開する。よって、ワークの移載作業を効率的に行うことができる。前記センサとしては、在荷センサ(光センサ)、赤外線センサ、超音波センサ等が挙げられる。
【0026】
本発明は、前記搬送路にて搬送される前記チップ部品を上方から撮像する撮像カメラと、前記チップ部品の良否を判定する第2の制御回路と、不良判定された前記チップ部品を前記搬送路から不良ゾーンに排出する不良排出手段を備え、前記撮像カメラからの撮像信号を受けて前記第2の制御回路が撮像された前記チップ部品の良否を判断し、前記チップ部品が不良判定された場合に、前記不良排出手段が不良判定された前記チップ部品を不良ゾーンに排出する構成としてもよい。
【0027】
本発明によれば、前記搬送路(第2の搬送路)にてワークを搬送しながら撮像カメラが上方から撮像し、ワークの良否を第2の制御回路が判定し、不良判定されたワークを不良排出手段が前記搬送路(第2の搬送路)から不良ゾーンに排出するので、ワークを搬送することに加えて、同時にワークの外観検査と層別排出ができる。
【0028】
本発明は、前記チップ部品の表裏を判定する第3の制御回路と、裏向きと判定された前記チップ部品を反転させる反転機構を備え、前記撮像カメラからの撮像信号を受けて前記第3の制御回路が撮像された前記チップ部品の表裏を判断し、前記チップ部品が裏向き判定された場合に、前記反転機構が裏向き判定された前記チップ部品を反転させる構成としてもよい。
【0029】
本発明によれば、前記搬送路(第2の搬送路)にてワークを搬送しながら撮像カメラが上方から撮像し、ワークの表裏を第3の制御回路が判定し、裏向きと判定されたワークを前記反転機構が反転させるので、ワークを搬送しながらワークを表向き(又は裏向き)に揃えて次工程に送ることができる。
【0030】
本発明は、前記反転機構が、内部中空の円筒形状の第3の搬送路と、当該第3の搬送路の一方の側面に接続されて前記チップ部品の上部にエアを噴出させる第1の圧空管と、その反対側面に接続されて前記チップ部品の下部にエアを噴出させる第2の圧空管を備え、前記チップ部品が裏向き判定された場合に、前記第1の圧空管からのエア噴出と前記第2の圧空管からのエア噴出とによって裏向き判定された前記チップ部品を反転させる構成としてもよい。
【0031】
本発明によれば、内部中空の円筒形状の第3の搬送路と、当該第3の搬送路の一方の側面に接続されて前記チップ部品の上部にエアを噴出させる第1の圧空管と、その反対側面に接続されて前記チップ部品の下部にエアを噴出させる第2の圧空管を備えた前記反転機構が、前記チップ部品が裏向き判定された場合に、前記第1の圧空管からのエア噴出と前記第2の圧空管からのエア噴出とによって裏向き判定された前記チップ部品を反転させることによって、非接触でワークを反転させることができ、多量のワークを高速処理することが容易である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、搬送面に形成された微細孔から搬送方向に向けて斜め上方に噴出させたエアの作用によってワークを浮上させながらワーク同士の間隔をあけて搬送するため、静電気、振動・衝撃、変形、ワレカケ等の問題や、搬送の際の摩擦熱によるワークへのダメージ等の問題が解消される。そしてワークをほぼ横一列に搬送し、搬送方向を切り替えて、前後一列として搬送することによって、他のワークが上に重なることで重くなったワークがエアによって浮上し難くエアによる押出し力も弱くなることを利用してスピードダウンさせて、搬送路(第1の搬送路や第2の搬送路)から離脱させるので、ワークが上に重なって搬送され部品不良が次工程に流出してしまう不具合が生じ難く、正確な位置でのワークの受け渡しができ、その結果、ワークを大量に供給して高速搬送することが可能になる。特に、長さが数mm以下、厚みが100μm以下及び微小質量のワークにおいて、有効な整列搬送ができる。
本発明によれば、前記搬送路を所定の傾斜角度で下向きに傾斜させることで、ワークにかかる重力の作用でワークの搬送速度が増加し、ワークをより高速に搬送できる他、前記搬送路のエアの噴出力を抑えることもできる。例えば第2の搬送路のエアの噴出力を第1の搬送路のエアの噴出力よりも強く設定することによって、第2の搬送路でワークとワークの間隔を広げ、ワーク同士の連続性を遮断するとともに、高速に搬送することが可能となる。本発明によれば、例えば横一列から前後一列への搬送方向の切り替えが効率よくスムーズにできる。
【0033】
したがって、本発明によれば、静電気、振動・衝撃、変形、ワレカケ等の問題や、搬送の際の摩擦熱によるワークへのダメージや、ワークが上に重なって搬送され部品不良が次工程に流出してしまうこと等の不具合を解消しつつ、ワークを高速に搬送することが可能なチップ部品の整列供給装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態のチップ部品の整列供給装置の平面図である。
【図2】上記第1の実施形態の整列供給装置の正面図である。
【図3】上記第1の実施形態の整列供給装置の右側面図である。
【図4】上記実施形態の整列供給装置の移載機を示す図であり、(a)はその側面図であり、(b)はその底面図であり、(c)はその背面図である。
【図5】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその側面図である。
【図6】本発明を適用した第2の実施形態のチップ部品の整列供給装置の平面図である。
【図7】上記第2の実施形態の整列供給装置の正面図である。
【図8】上記第2の実施形態の整列供給装置の右側面図である。
【図9】上記実施形態の整列供給装置のコンベヤを示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその右側面図である。
【図10】上記実施形態の整列供給装置の移載機を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその右側面図である。
【図11】上記移載機の正面図を拡大して示す拡大図である。
【図12】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図である。
【図13】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路を示す図であり、(a)はその右側面図であり、(b)は上記第2の搬送路の他の例を示す右側面図である。
【図14】上記実施形態の整列供給装置の第1の搬送路の出口と第2の搬送路の入口の接続個所を正面側からみた断面図である。
【図15】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路を右側面側からみた断面図である。
【図16】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路の出口の正面図である。
【図17】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路のワーク方向調整機構の平面図である。
【図18】上記ワーク方向調整機構が取り付けられた第2の搬送路を正面側からみた断面図である。
【図19】上記実施形態の整列供給装置の第1の搬送路を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその右側面図である。
【図20】上記実施形態の整列供給装置の第1の搬送路を正面側からみた断面図である。
【図21】上記実施形態の整列供給装置の第1の搬送路を正面側からみた断面図である。
【図22】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路を右側面側からみた断面図である。
【図23】上記実施形態の整列供給装置の撮像カメラを示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその右側面図である。
【図24】上記実施形態の整列供給装置の不良排出手段を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその右側面図である。
【図25】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路の出口側の吸着手段を示す正面図である。
【図26】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路の出口側の他の例を示す正面図である。
【図27】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路の他の例を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその右側側面図である。
【図28】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路に付設可能なワーク反転機構を示す図であり、(a)は上からみた断面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその左側側面図である。
【図29】上記ワーク反転機構の正面図を拡大して示す拡大図である。
【図30】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路に付設可能なワーク反転機構を示す他の図であり、(a)は上からみた断面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその左側側面図である。
【図31】チップ部品(ワーク)を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(ワークの形態)
図31は、本発明に係るチップ部品の整列供給装置にて整列搬送する多面体形状のワーク20を例示する斜視図である。符号20Hはワーク20の高さを表し、符号20Wはワーク20の巾を表し、符号20Lはワーク20の全長を表す。また、符号20aはワーク20の上面を表し、符号20cはワーク20の下面(実装面)を表す。図31(a)に示すワーク20は、実装型LEDに代表される長方形状の部品に凸状部が形成された形状を呈する。実装型LED20の寸法としては、例えば、20Hが0.2mm、20Wが0.8mm、20Lが1.6mmの部品が知られている。図31(b)に示すワーク20は、チップICに代表される直方体の両側に複数の凹みを有する形状である。図31(c)に示すワーク20は、チップキャパシタに代表される直方体形状である。チップキャパシタ20の寸法としては、例えば、20Hが0.5mm、20Wが0.5mm、20Lが1.0mmの部品が知られている。図31(d)に示すワーク24は、半導体素子に代表される四角形の薄板形状である。半導体素子20の寸法としては、例えば、20Hが0.05mm、20Wが1.0mm、20Lが2.0mmの部品が知られている。ワーク20としては、実装型LED、チップIC、チップキャパシタ、半導体素子、水晶素子、SAWフィルタ素子、チップ抵抗、チップコイル、パッド、端子、スペーサ、シート、フィルム等の多面体形状の実装部品が挙げられる。
【0036】
半導体素子20は、その厚み20Hが0.05mmと薄く、脆くて撓み易いこと等から実装前に電気検査を行なうことが困難である.しかし、不良のワークを実装すると基板不良となることから、実装前での外観検査が必要となる。また、電子部品全般としても、実装後の歩留りを高めるためには、実装前での外観検査を行うことが好ましい。
【0037】
(第1の実施形態)
本発明を適用した第1の実施形態のチップ部品(ワーク)の整列供給装置1を上から見た平面図を図1に示す。図2は整列供給装置1の正面図であり、図3は整列供給装置1の右側面図である。本実施形態のワークの整列供給装置1は、半導体チップ等のワーク20を搬送方向Xの方向に搬送する第1の搬送路4と、第1の搬送路4の出口付近で第1の搬送路4に跨って配されてワーク20を第2の搬送路5の入口5cに移載する移載機3と、移載機3から受取ったワーク20を搬送方向Yの方向に搬送する第2の搬送路5とを備える(図1から図3)。
【0038】
本実施形態の整列供給装置1は、第1の搬送路4がワーク20をX方向に搬送し、移載機3がワーク20を第2の搬送路5の入り口5cに移載し、第2の搬送路5にてワーク20の搬送方向を約90度切り替えて、ワーク20をY方向に搬送する構成となっている(図1)。本実施形態によれば、第1の搬送路4と第2の搬送路5とが上から見て直角又は鋭角で近接していることで、例えば横一列から前後一列への搬送方向の切り替えが効率よくスムーズにできる構成となっている。本実施形態では、切り替え角度K2を60度から100度の範囲に設定するものであり、図1では、K2が約90度となっており、整列供給装置1を上から見たときに、L字形状となっている。
【0039】
本実施形態では、第1の搬送路4の搬送面4aは第2の搬送路5の入口5cに向かって下向きに傾斜しており、その傾斜角度K1が5度から45度の範囲に設定されている(図2)。ここで、図2にて傾斜角度K1を説明すると、基台2が地面E1と平行に設置されているとして、側面視での接地線E1に平行な線分E2と、第1の搬送路4の搬送面4aの延長線4eとが交わる角度を傾斜角度K1としている。
【0040】
第1の搬送路4のワーク搬送面4aには、多数の微細孔4Pが形成されており(図20を参照)、第1の搬送路4の下側に取り付けられた圧空管81から圧空を送出して、これら微細孔4Pから搬送方向であるX方向に向けて斜め上方にエアを噴出させてワーク20を浮上させながら移載機3へと送り出して搬送する構成となっている。これら微細孔4Pは、その孔の直径が25μmから200μmの範囲で設定されており、ワーク20の自重が重くなるにしたがって、微細孔4Pの孔径を大きく設定している。微細孔4Pは後加工にて孔あけ加工することができるが、本実施形態では、市販のポーラスプレートを搬送面に用いている。ワーク20の搬送速度は、第1の搬送路4の傾斜角度K1の大きさとエア噴出力の強さによって設定され、第1の搬送路4のエア噴出力の強さは精密レギュレータ811によって調節される。
【0041】
本実施形態のワーク移載機3は、エアノズルとなる孔3PがY方向に一列に付設された円筒部材31を用いており(図4)、円筒部材31が水平移動用のエアシリンダ85によりX方向に前後動作する構成であり、円筒部材3が第1の搬送路4の出口付近で第1の搬送路4に跨って配されてワーク20を第2の搬送路5の入口5cに移載する構成である(図1)。ワーク移載機3は、制御回路6からの制御信号によって、エアノズル3を下向きとした状態で円筒部材31をX方向に第1の搬送路4の出口付近まで後退動作させて、真空機83からの吸引力によって第1の搬送路4の出口付近のワーク20をエア吸着し、エアノズル3を下向きとした状態で円筒部材31をX方向に第2の搬送路5の入口5cの上部まで前進動作させ、そして、圧空管84から圧空を送出することによって真空破壊をして、吸着したワーク20をエア脱着して第2の搬送路5の入口5cに移載する構成となっている。
【0042】
本実施形態の第2の搬送路5は、上記第1の搬送路4と同様に、第2の搬送路5のワーク搬送面には多数の微細孔5Pが形成されており(図5を参照)、第2の搬送路5の側面側に取り付けられた圧空管82から圧空を送出して、これら微細孔5Pから搬送方向であるY方向に向けて斜め上方にエアを噴出させてワーク20を浮上させながら第2の搬送路5の出口5dへと送り出して搬送する構成となっている。これら微細孔5Pは、その孔の直径が25μmから200μmの範囲で設定されており、ワーク20の自重が重くなるにしたがって、微細孔5Pの孔径を大きく設定している。微細孔5Pは後加工にて孔あけ加工するか、市販のポーラスプレートを搬送面に用いる。ワーク20の搬送速度は、第2の搬送路5の傾斜角度K3の大きさとエア噴出力の強さによって設定され(図22を参照)、第2の搬送路5のエア噴出力の強さは精密レギュレータ821によって調節される。
【0043】
本実施形態では、第2の搬送路5の下側がその出口側から見て断面R加工(符号R5)が施されているとともに、ワーク20が浮上する高さでの第2の搬送路5の出口5dの幅がワーク20の幅の2倍未満に設定されており、そして、ワーク20が浮上する高さから第2の搬送路5の上面側に向かって第2の搬送路5の出口5dの幅が広がっている(図5(b))。本実施形態によれば、ワーク20を受け取って搬送しやすい形状であるとともに、ワーク20を確実に前後一列とし、また、第2の搬送路5がその出口側から見て断面R加工が施されていることで、第2の搬送路5でのエアの噴出による圧空が等圧となろうとして、エアがワークの両側に回り込む作用によって、ワーク20の位置が第2の搬送路5のセンターラインに収まり(前後一列となり)、正確な位置で次工程へのワークの受け渡しができる。
【0044】
本実施形態では、第1の搬送路4の搬送面4aに形成された微細孔4PからX方向に向けて斜め上方に噴出させたエアによってワーク20を浮上させながら第1の搬送路4を搬送する。そして、第1の搬送路4の出口付近にて、円筒部材31が、ワーク20を重なりの上段から1段ずつ順次エア吸着し、エアノズル3を下向きとした状態で円筒部材31をX方向に第2の搬送路5の入口5cの上部まで前進動作させ、そして、吸着したワーク20をエア脱着して第2の搬送路5の入口5cに移載し、第2の搬送路5でワーク20の搬送方向をY方向に切り替えて、第2の搬送路5の搬送面に形成された微細孔5PからY方向に向けて斜め上方に噴出させたエアによってワーク20を浮上させながら搬送し、第2の搬送路5の出口5dから前後一列に整列して排出する。
【0045】
本実施形態によれば、ワーク20を浮上させながら搬送するため、静電気、振動・衝撃、変形、ワレカケ等の問題や、搬送の際の摩擦熱によるワーク20へのダメージやストレス等の問題が解消される。そして、ワーク移載機3によって第1の搬送路4の出口付近でワーク20をほぼ横一列に搬送し、第2の搬送路5で搬送方向を前後一列に切り替えることができるので、下流側に撮像カメラを配することで一つ一つ外観検査できる状態にして搬送することができる。そして、他のワークが上に重なることで重くなったワークがあったとしても、エアによって浮上し難くエアによる押出し力も弱くなることを利用してスピードダウンさせて、第1の搬送路4や第2の搬送路5から離脱させる。また、本実施形態では、動力源として駆動モータを使用していないので、省電力かつ静音設計が容易となる。
【0046】
(第2の実施形態)
本発明を適用した第2の実施形態のチップ部品(ワーク)の整列供給装置1を上から見た平面図を図6に示す。図7は整列供給装置1の正面図であり、図8は整列供給装置1の右側面図である。本実施形態のワークの整列供給装置1は、半導体チップ等のワーク20を載置して搬送方向Xの方向の供給エリア51dに搬送するベルトコンベヤ51と、ワーク20を第1の搬送路4の入口4cに移載する移載機3と、ワーク20を搬送方向Yの方向に搬送する第1の搬送路4と、第1の搬送路4の出口4dとその入口5cを近接させて受取ったワーク20を搬送方向Yの方向に搬送する第2の搬送路5とを備える(図6から図8)。そして、第2の搬送路5の下流側には撮像カメラ9が配されている。
【0047】
本実施形態の整列供給装置1は、ベルトコンベヤ51がワーク20をX方向に動かして供給エリア51dに搬送し、移載機3がワーク20をX方向に動かして第1の搬送路4の入り口4cに移載し、第1の搬送路4がワーク20をX方向に動かして出口4dに搬送し、第1の搬送路4と第2の搬送路5とが上から見て直角又は鋭角で近接していることによってワークを第1の搬送路4から第2の搬送路5に移して、第2の搬送路5にてワーク20の搬送方向を約90度切り替えて、ワーク20をY方向に搬送する構成となっている(図6)。本実施形態によれば、第1の搬送路4と第2の搬送路5とが上から見て直角又は鋭角で近接していることで、例えば横一列から前後一列への搬送方向の切り替えが効率よくスムーズにできる構成となっている。本実施形態では、切り替え角度K2を60度から100度の範囲に設定するものであり、図6では、K2が約90度となっており、整列供給装置1を上から見たときに、L字形状となっている。
【0048】
本実施形態では、第1の駆動モータM1によりワーク20を下流側の供給エリア51dに搬送するベルトコンベヤ51を備えており(図9)、ワーク移載機3として、エアノズル3Nが付設された円筒部材3が第2の駆動モータM2により回動自在にベルトコンベヤ51の下流側でその上方にベルトコンベヤ51に跨って配置されており(図10)、エアノズル3Nを下向き3N1として供給エリア51のワーク20をエア吸着し、エアノズル3Nを前向き3N2として吸着したワーク20をエア脱着して第1の搬送路4の入口4cに移載する構成となっている(図11)。
【0049】
ベルトコンベヤ51の下流側の供給エリア51dに搬送されたワーク20は、複数のワーク20が積み重なったランダムな状態となっているが、本実施形態によれば、ワーク20が上に重なっていても上から1段ずつ吸着して、次に、エア脱着して移載することができる。なお、ベルトコンベヤ51でワークを供給エリア51dに搬送するので、ベルトコンベヤ51の下流側でワーク20をほぼ横一列にすることが容易であり、ベルトコンベヤ51の搬送方向の幅を大きくすることで、ワーク20の横一列の長さも長くでき、ワーク20の処理量を増大させることが容易である。
【0050】
本実施形態では、供給エリア51でのワーク20の有無を検知する在荷センサ71と、第1の駆動モータM1と第2の駆動モータM2を制御する第1の制御回路61を備え(図6)、前記センサ71からの検知信号を受けて第1の制御回路61が第1の駆動モータM1と第2の駆動モータM2をタイミング制御する構成である。本実施形態では、エアノズル3Nにて、ワーク20を上から1段ずつ吸着しエア脱着して移載することから、在荷センサ71が供給エリア51dでのワークの有無を検知し、ワークがなくなったところで制御回路61に信号を送出し、在荷センサ71からの信号を受けて制御回路61が第2の駆動モータM2の動作を一旦停止させ、第1の駆動モータM1を動作させてベルトコンベヤ51の下流側の供給エリア51dに次のワークを搬送し、第1の駆動モータM1の動作を一旦停止させ、第2の駆動モータM2を動作させてエアノズル3Nにてワーク20をその重なりの上段から1段ずつ順次移載させる作業を再開する。よって、ワーク20の移載作業を効率的に行うことができる。本実施形態では、第2の駆動モータM2によって、円筒部材3が90度回動してワーク20を移載し元の位置に戻る揺動運動を行っているが、エアノズル3Nの配置を円筒部材3の周囲に所定間隔で配置する等することで、円筒部材3が90度ないしは180度ずつ回動して、ワーク20を移載する動作とする構成とすることもできる。
【0051】
本実施形態では、第1の搬送路4の搬送面4aは第2の搬送路5の入口5cに向かって下向きに傾斜しており、その傾斜角度K1は、5度から45度の範囲に設定されている(図7)。第1の搬送路4のワーク搬送面4aには、多数の微細孔4Pが形成されており(図20を参照)、第1の搬送路4の下側に取り付けられた圧空管81から圧空を送出して、これら微細孔4Pから搬送方向であるX方向に向けて斜め上方にエアを噴出させてワーク20を浮上させながら第2の搬送路5へと送り出して搬送する構成となっている。これら微細孔4Pは、その孔の直径が25μmから200μmの範囲で設定されており、ワーク20の自重が重くなるにしたがって、微細孔4Pの孔径を大きく設定している。微細孔4Pは後加工にて孔あけ加工することができるが、本実施形態では、市販のポーラスプレートを搬送面に用いており、ワーク20の搬送速度は、第1の搬送路4の傾斜角度K1と、エア噴出力によって、調節される。
上記第1の搬送路4と同様に、第2の搬送路5のワーク搬送面には、多数の微細孔5Pが形成されており(図15を参照)、第2の搬送路5の側面側に取り付けられた圧空管82から圧空を送出して、これら微細孔5Pから搬送方向Yに向けて斜め上方にエアを噴出させてワーク20を浮上させながら第2の搬送路5の出口5dへと送り出して搬送する構成となっている。
【0052】
本実施形態では、第2の搬送路5のエアの噴出力を第1の搬送路4のエアの噴出力よりも強くする設定とし、第2の搬送路5でワークとワークの間隔を広げる(連続性を遮断する)とともに、高速に搬送する構成となっている。つまり、本実施形態では、ワーク20を第1の搬送路4の搬送面4aに形成された微細孔4PからX方向に向けて斜め上方に噴出させたエアによって浮上させながら第1の搬送路4を搬送し、そして、第1の搬送路4の出口4dとその入口5cが近接した第2の搬送路5でワーク20の搬送方向を切り替えて、第2の搬送路5の搬送面に形成された微細孔5PからY方向に向けて斜め上方に噴出させたエアによって浮上させながら第2の搬送路5を搬送し、第2の搬送路5の出口5dから排出する。
【0053】
本実施形態では、第2の搬送路5の入口5cを第1の搬送路4の出口4dとの接続側に向かって下向きに傾斜させており(図14)、第2の搬送路5の入口5cをその搬送方向の後側となるにしたがって徐々にその搬送路の幅を拡大させている(図6)。これは、第1の搬送路4から搬送されたワーク20が、その自重によって第2の搬送路5の入口5cにてオーバランすることを想定し、ストレスを与えずに、ワーク20を浮かせた状態で第2の搬送路5の入口5cにて受取るための構成である。この他、図27に示すように、第2の搬送路5がその入口側から見て断面R加工が施されている構成としても、同様にストレスを与えずに、ワーク20を浮かせた状態で第2の搬送路5の入口5cにて受取ることができる。
【0054】
本実施形態では、X方向に搬送中のワーク20が重なり合っている場合を想定して重なりの下側のワークに接触しワーク20の搬送速度を下げるためのテープ41が配されており、これらのテープ41は、第1の搬送路4をその上面側からみて搬送方向と直交する方向に間隔をあけて2つ貼り付けられている(図19)。また、万が一に備えて、Y方向についても、ワーク20が上下に重なっている場合に下側のワークに接触しワーク20の搬送速度を下げるためのテープ42が配されており、これらのテープ42は、第2の搬送路5をその上面側からみて搬送方向と直交する方向に間隔をあけて2つ貼り付けられている(図6)。本実施形態では、テープ41,42は、耐磨耗性の高い金属製テープを使用しているが、フッ素樹脂製テープ、ガラス繊維入りPTFE製テープ、ポリスチレン、ポリエステル、セロハン、不織布、紙等や、これらに帯電防止剤が塗布されたテープであっても良い。
【0055】
本実施形態では、第1の搬送路4をその側面側からみて搬送方向Xと同じ方向にウエーブ加工4Wが施されている(図21)。ウエーブ4Wは、ワーク20が搬送方向の前後に連なっている場合に、前側のワークを先に降下させワーク20の搬送速度を上げる作用をする。また、本実施形態では、第2の搬送路5を傾斜角度K3が2度から30度の範囲で下向きに傾斜させる設定とし、第2の搬送路5をその側面側からみて搬送方向にウエーブ加工5Wが施されている(図22)。ここで、ウエーブ加工4W,5Wとは、搬送方向の斜面に対して最初に滑らかに凹ませてから次に滑らかに凸ませる波形のうねり形状を指しており、最初に滑らかに凹ませることで位置エネルギーを速度に変換して前方のワークの速度を増大させて後方のワークから引き離し、次に滑らかに凸ませたときには慣性速度で後方のワークが前方のワークに追いつけないようにすることによって、ワーク同士の前後の間隔を確実にあけることができる搬送路の形状加工である。本実施形態によれば、ウエーブ加工4Wや5Wが施されているので、ワーク20同士の前後の間隔を確実にあけることができ、ワーク20同士の衝突が回避され、ワーク20の外観検査も正確に行うことができる。
【0056】
本実施形態では、第2の搬送路5の下流側にワーク20を撮像する撮像カメラ9が配され、撮像カメラ9の上流側には、ワーク20を前向きにその方向を揃えるためのワーク方向調整機構7が配されている(図6)。ワーク方向調整機構7は、第2の搬送路5上にスリットP72を設けて、スリットP72を通して第2の搬送路5上にピン72を立設させる構成となっている(図17)。ワーク方向調整機構7は、ワーク20が横向きで搬送された場合に、ピン72にてワーク20を回動させて、ワーク20の姿勢を前向きとする仕組みである。ワーク20の寸法に合わせて、ピン72の立設位置を調節し、例えばワーク20の寸法が大きいときは、ピン72の立設位置を第2の搬送路5の外側に近い位置に調節する。
【0057】
本実施形態では、第2の搬送路5の下側がその出口側から見て断面R加工(符号R5)が施されているとともに、ワーク20が浮上する高さでの第2の搬送路5の出口5dの幅がワーク20の幅の2倍未満に設定されている(図18)。本実施形態によれば、ワーク20を受け取って搬送しやすい形状であるとともに、ワーク20を確実に前後一列とし、また、第2の搬送路5がその出口側から見て断面R加工が施されていることで、第2の搬送路5でのエアの噴出による圧空が等圧となろうとして、エアがワークの両側に回り込む作用によって、ワーク20の位置が第2の搬送路5のセンターラインに収まり(前後一列となり)、正確な位置で次工程へのワークの受け渡しができる。
【0058】
本実施形態では、第2の搬送路5にて搬送されるワーク20を上方から撮像する撮像カメラ9と、ワーク20の良否を判定する第2の制御回路62(パソコン)と、ワレカケやキズ等の外観不良と判定されたワークをエア吸引して第2の搬送路5から不良ゾーンに排出する不良排出手段(不良吸引パイプ)12を備える(図6)そして、撮像カメラ9の配された位置で第2の搬送路5上のワーク20の有無を非接触で検知するセンサ91が、配されており(図23)、センサ91がワーク20を検知したタイミングで、撮像カメラ9がワーク20を上方から撮像する構成となっている。また、不良吸引パイプ12の配された位置で第2の搬送路5上のワーク20の有無を非接触で検知するセンサ121が、配されており(図24)、センサ121がワーク20を検知したタイミングで、制御回路62からの不良吸引信号によって、不良吸引パイプ12がワークをエア吸引して第2の搬送路5から不良ゾーンに排出する構成となっている。
【0059】
さらに、本実施形態では、制御回路62によって、ワーク20の方向不良(表裏が反対、向きが90度異なる)と判定されたワークをエア吸引して第2の搬送路5からベルトコンベヤ51にリターンするリターン手段13を備えている(図6)。本実施形態によれば、ワーク20を搬送しながらワーク20の外観検査に加えて、ワーク20の層別排出(良品排出)ができる。
【0060】
上記ワーク20の外観検査機構や、ワーク20の層別排出機構は、第2の実施形態のみならず、第1の実施形態にも適用できる。そして、さらなる実施形態として、第2の搬送路5にて搬送されるワーク20を上方から撮像する撮像カメラ9の下流側に、裏向きと判定されたワークを反転させる反転機構15を備えることができる(図28)。
【0061】
本実施形態の反転機構15は、内部中空の円筒形状の第3の搬送路15と、当該第3の搬送路15の一方の側面に接続されてワーク20の上部にエアを噴出させる第1の圧空管N3と、その反対側面に接続されてワーク20の下部にエアを噴出させる第2の圧空管N4を備え、ワーク20が裏向き判定された場合に、第1の圧空管N3からのエア噴出と第2の圧空管N4からのエア噴出とによって、裏向き判定されたワークを反転させる構成である。
【0062】
例えば、図28と図29に示す構成の反転機構15が挙げられ、この構成では、円筒形状の搬送路15の下流側(符号15dの側)に配された圧空管N1,N2からエア吐出することで、エア引き込み現象によって、上流側(符号15cの側)のワークが吸い込まれ、裏向きと判定されたワークのみに対して、圧空管N3,N4からエア吐出することで、ワークが45度区間の圧空管N3部を通過する時、エアにて上部を押されたワークが90度回転し、次にワークが45度区間の圧空管N4部を通過する時、エアにて下部を押されたワークが90度回転し、非接触でワークを裏向きから表向きに反転させることができる。本実施形態によれば、非接触でワーク20を反転させることができ、多量のワークを高速処理することも容易である。
【0063】
また例えば、図30に示す構成の反転機構15が挙げられ、この構成では、円筒形状の搬送路15の下流側(符号15dの側)に配された圧空管N6からエア吐出することで、エア引き込み現象によって、上流側(符号15cの側)のワークが吸い込まれ、円筒形状の搬送路15の上流側(符号15cの側)に配されたワーク上昇用ノズルN7からエア吐出することで、裏向きと判定されたワークのみに対して、ノズルN7からのエア吐出によってワークを浮かして上部溝15sを通過させ、螺旋状の溝15sを通過することでワークが180度回転し、非接触でワークを裏向きから表向きに反転させることができる。そして、表向きと判定されたワークは下部溝15rを通過させる。本実施形態によれば、非接触でワーク20を反転させることができ、多量のワークを高速処理することも容易である。
【0064】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、移載機3がワーク20の供給を兼ねてワーク20を第2の搬送路5の入り口5cに移載し、第2の搬送路5にてワーク20の搬送方向を約90度切り替えて、ワーク20をY方向に搬送する構成とすることもできる。例えばベルトコンベヤ51を下流側に向かって斜め下向きのテーパーゾーンとしてワークを自然落下させてもよいし、第2の搬送路でワークを斜めに受けた状態のまま、次工程に高速搬送することもできる。移載機3や反転機構15は、既知のパーツフィーダに組み合わせて使用しても優れた作用効果を発揮する。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0065】
1 チップ部品の整列供給装置、
2 基台、
3 移載機、
4 第1の搬送路、
5 第2の搬送路、
6 制御回路、
7 センサ、
81、82 圧空管、
9 撮像カメラ、
4P、5P 微細孔、
X、Y 搬送方向、
M1、M2 駆動モータ、
20 チップ部品(ワーク)
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ部品の整列供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯情報端末やデジタルカメラなどの電子機器は、多面体形状のチップ部品を多数高密度実装することで、小型・薄型化を実現している。高密度実装にともない、チップ部品(ワークとも呼ばれる)の寸法はさらに小型・薄型化が進み、チップ部品に対する取り扱いが非常に難しくなってきている。例えば、半導体素子の場合には、内部回路の静電破壊等を避けるために静電気の影響を受けないように配慮しなければならず、衝撃・振動等も極力与えないようにしなければならない。チップ部品の小型・薄型化に伴って、その部品質量が非常に小さくなり、撓み易く、ワレカケ等が生じ易くなってきている。なお、本明細書では、半導体素子、水晶振動子、水晶素子(SMD水晶素子)、SAWフィルタ素子、チップコンデンサ、抵抗、コイル、端子、基板、シート、フィルム等の多面体形状の実装部品をチップ部品(又はワーク)と表現している。
【0003】
ワークは、一旦、バルクケースにまとめてバラ状に包装される場合が多く、バルクケースからランダムな状態で取り出されたワークは、整列供給装置によって、次工程まで整列搬送される。次工程としては、ワークの外観検査工程や電気検査工程、ワークの基板実装工程、ワークをテーピングやマガジン詰め等を行う包装工程がある。従来、整列供給装置としては、いわゆる振動型パーツフィーダが用いられているが、ワークの小型・薄型化に伴って、静電気、振動・衝撃、変形、ワレカケ等の問題があり、それに加えて、搬送の際の摩擦熱によるワークへのダメージやストレスが生じる問題や、ワークが上に重なって搬送されてしまうことで部品不良が次工程に流出してしまうこと等の種々の不具合が生じている。このため、例えば半導体素子では、そのハンドリングに際して、帯電防止トレイから帯電防止トレイに移し替える等の煩雑な処理が行われているのが実情である。
【0004】
上述の問題を回避する方法としては、搬送路に多数の孔を形成し、下側から上方又は斜め上方に噴出させたエアによって半導体チップを浮上させながら搬送する搬送装置が提案されている(特許文献1)。また、本願とは被搬送物の種類が異なるが、搬送路に多数の孔を形成し、下側から進行方向の斜め上方に噴出させたエアによってボトルキャップを浮上させながら搬送し、搬送路の途中に立設した棒によってボトルキャップの姿勢を正す搬送装置が提案されている(特許文献2)。また、本願とは被搬送物の大きさ等が異なるが、半導体ウエハを平行に浮上させるために、ポーラスカーボン板を使用した浮上装置が提案されている(特許文献3)。そして、チップ部品が上に重なって搬送されることを解消するために搬送方向を異ならせて下方に傾斜させた搬送路を断続的に設けたワークの整列供給装置が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−250841号公報
【特許文献2】特開2006−111363号公報
【特許文献3】特開2008−140953号公報
【特許文献4】特開2006−225137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のワークの整列供給装置では、上述の問題を解消しつつワークを高速搬送することが困難である。つまり、特許文献1−3記載の装置では、その構造上、ワークを大量供給して高速搬送することができないため、装置の入口に1つずつワークを供給している。特許文献4記載の装置では、搬送路との摩擦が生じることで高速搬送し難い構成である。特に、長さが数mm以下、厚みが100μm以下及び微小質量のワークにおいては、従来の振動方式では、有効な整列搬送ができていないのが実情である。
【0007】
上述した従来技術の問題点に鑑みて、本発明の目的は、小型・薄型化が進むチップ部品を静電気、振動・衝撃、変形、ワレカケ等の問題や、搬送の際の摩擦熱がワークへのダメージやストレスを生じさせること等の不具合を解消しつつ、ワークを大量供給して高速に搬送することで検査し易いように所定間隔に揃えることが可能なチップ部品の整列供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のチップ部品の整列供給装置は、チップ部品をY方向に搬送する搬送路を備え、前記チップ部品をX方向に移動させて前記搬送路の入口にチップ部品を移載し、前記搬送路の搬送面に形成された微細孔からY方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら整列搬送することを特徴とする。
ここで、X方向とY方向との関係は、上から装置を見た場合にX方向を左右方向としたとき、Y方向が前後方向となる関係であり、また、上から装置を見た場合にX方向を前後方向としたとき、Y方向が左右方向となる関係である。
【0009】
本発明では、ワークは前記搬送路の搬送面に形成された微細孔から搬送方向に向けて斜め上方に噴出させたエアによって浮上させられながら前記搬送路を搬送され、前記搬送路の出口から次工程に供給される。本発明によれば、ワークを浮上させながらワーク同士の間隔をあけて搬送するため、静電気、振動・衝撃、変形、ワレカケ等の問題や、搬送の際の摩擦熱によるワークへのダメージやストレス等の問題が解消される。特に、長さが数mm以下、厚みが100μm以下及び微小質量の平板状ワークにおいて、ワークをまとめて供給することでワーク同士が重なっても、高速に搬送しながら検査し易いように所定間隔に揃えることで、効果的な整列搬送ができる。
【0010】
本発明は、前記搬送路を第2の搬送路とし、当該第2の搬送路の入口にその出口が近接するように前記チップ部品をX方向に搬送する第1の搬送路を備え、前記第1の搬送路の搬送面に形成された微細孔から第2の搬送路の入口方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら搬送して第2の搬送路に移載することを特徴とする。
【0011】
本発明では、ワークは第1の搬送路の搬送面に形成された微細孔から搬送方向に向けて斜め上方に噴出させたエアによって浮上させられながら第1の搬送路を搬送され、搬送面に多数形成された微細孔から噴出するエアの作用によってワーク同士の間隔が拡がった状態でワークの搬送方向が切り替わり、第2の搬送路の搬送面に形成された微細孔から搬送方向に向けて斜め上方に噴出させたエアによって浮上させられながら第2の搬送路を整列搬送され、第2の搬送路の出口から排出される。本発明によれば、第1の搬送路によってワークをほぼ横一列に搬送した後、第2の搬送路で搬送方向を前後一列に切り替えることで、一つ一つ外観検査できる状態にして搬送することができる。そして、ワーク同士が重なり合って重くなったワークがあったとしても、エアによって浮上し難くエアによる押出し力も弱くなることを利用してスピードダウンさせて、第1の搬送路や第2の搬送路から離脱させるので、ワーク同士が重なり合って搬送される部品不良が次工程に流出してしまう不具合が生じ難い。
【0012】
本発明は、前記第1の搬送路の出口と前記第2の搬送路の入口とが上から見て接しており、前記第1の搬送路のエア噴出力と前記第2の搬送路のエア噴出力をそれぞれ調整して前記チップ部品の搬送速度を制御することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、前記第1の搬送路の出口と前記第2の搬送路の入口とが上から見て接していることで、前記第1の搬送路の出口と前記第2の搬送路の入口との間に隙間がなく、万が一、ワーク同士が重なり合って搬送された場合においても、前記第1の搬送路の出口と前記第2の搬送路の入口との間にワークが引っ掛かる虞がない。そして、前記第1の搬送路のエア噴出力と前記第2の搬送路のエア噴出力をそれぞれ調整して前記チップ部品(ワーク)の搬送速度を制御することで、前記第2の搬送路にて搬送されるワークを一つ一つ外観検査できる間隔を広げた状態とすることが容易である。つまり、例えば、前記第2の搬送路のエア噴出力を前記第1の搬送路のエア噴出力よりも大きい値とすれば、搬送方向の切り替えの際に、ワーク同士の間隔をさらに広げることができる。また、例えば、前記第2の搬送路のエア噴出力を前記第1の搬送路のエア噴出力と同じか小さい値とすれば、搬送方向の切り替えの際に、ワーク同士の間隔を同じとするか、外観検査に適切な範囲内でワーク同士の間隔を縮めることも可能である。
【0014】
本発明では、前記第1の搬送路と前記第2の搬送路との切り替え角度は、上から見てほぼ直角が好ましいが、鋭角であってもよく、鈍角であってもよい。上記切り替え角度は、鈍角でも先頭となるワークの搬送距離を短くするなどして搬送速度を速くすることで、一つ一つ外観検査できる間隔を広げた状態になるが、上記直角又は鋭角で搬送方向を変えることが省スペースで高速搬送するための効率的な角度変更である。
【0015】
本発明では、前記チップ部品(ワーク)を前記搬送路(第1の搬送路、第2の搬送路)に移載する移載手段を備えることで、ワークの厚みや質量等の種別に限定されず、適用可能なワークの種別範囲を拡大することが容易である。
本発明の構成としては、例えば、チップ部品をX方向に移動させて搬送路の入口に移載する移載手段と、移載されたチップ部品をY方向に搬送する搬送路とを備え、前記移載手段が前記チップ部品をエア吸着してX方向に移動させた後エア脱着して前記搬送路の入口に移載し、前記搬送路の搬送面に形成された微細孔からY方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら搬送し、前記搬送路の出口から次工程に供給する構成がある。また例えば、チップ部品を移載手段が配された方向に搬送する第1の搬送路と、第1の搬送路によって搬送されたチップ部品をX方向に移動させて第2の搬送路の入口に移載する移載手段と、移載されたチップ部品をY方向に搬送する第2の搬送路とを備え、前記第1の搬送路の搬送面に形成された微細孔から前記移載手段が配された方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら搬送し、前記移載手段が前記チップ部品をエア吸着してX方向に移動させた後エア脱着して前記第2の搬送路の入口に移載し、前記第2の搬送路の搬送面に形成された微細孔からY方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら搬送し、前記第2の搬送路の出口から次工程に供給する構成がある。そして例えば、チップ部品をX方向に移動させて第1の搬送路の入口に移載する移載手段と、移載されたチップ部品をさらにX方向に搬送し第2の搬送路の入口まで搬送する第1の搬送路と、搬送されたチップ部品をY方向に搬送する第2の搬送路とを備え、第1の搬送路の出口と第2の搬送路の入口が近接配置されており、前記移載手段が前記チップ部品をエア吸着してX方向に移動させた後エア脱着して前記第1の搬送路の入口に移載し、前記第1の搬送路の搬送面に形成された微細孔からX方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら搬送し、前記第2の搬送路の搬送面に形成された微細孔からY方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら搬送し、前記第2の搬送路の出口から次工程に供給する構成がある。
【0016】
本発明では、前記第1の搬送路や第2の搬送路でのエアの噴出力を調整することで、ワークの搬送速度を調節できる。本発明によれば、例えば第2の搬送路のエアの噴出力を第1の搬送路のエアの噴出力よりも強く設定することによって、第2の搬送路でワークとワークの間隔を広げ、ワーク同士の連続性を遮断するとともに、高速に搬送することが可能となる。
【0017】
本発明では、次工程に供給する手前側の前記搬送路(第2の搬送路)の出口の幅がワークの幅の2倍未満に設定することで、ワークを確実に前後一列とする。また、前記搬送路(第2の搬送路)がその出口側から見て断面R加工が施されていることで、前記搬送路(第2の搬送路)でのエアの噴出による圧空が等圧となろうとして、エアがワークの両側に回りこむので、ワークの位置が前記搬送路(第2の搬送路)のセンターラインに収まって前後一列となり、正確な位置で次工程へのワークの受け渡しができる。
【0018】
本発明では、前記第2の搬送路の入口を第1の搬送路の出口との接続側に向かって下向きに傾斜させることによって、横一列で搬送されるワークを前記第2の搬送路の入口で効果的にスピードダウンさせるので、前後一列への搬送方向の切り替えが、効率よくスムーズにできる。また、前記第2の搬送路の入口をその搬送方向の後側となるにしたがって徐々にその搬送路の幅を拡大させることによって、ワークの搬送方向の前後一列への切り替えの際に前後一列の後ろ側となるにしたがい、第1の搬送路のエアによってワークが遠くまで行くので、前後一列のワーク同士の間隔が開き易くなる。そして、前記第2の搬送路がその入口側から見て断面R加工が施されていることで、第2の搬送路でのエアの噴出による圧空が等圧となろうとして、エアがワークの両側に回りこむので、ワークの位置が第2の搬送路のセンターラインに収まり、正確な位置で第1の搬送路からのワークの受け取りができる。
【0019】
本発明では、前記第1の搬送路や第2の搬送路を所定の傾斜角度で下向きに傾斜させることで、ワークにかかる重力の作用でワークの搬送速度を増加させてワークをより高速に搬送できる他、第1の搬送路や第2の搬送路のエアの噴出力を抑えることもできる。また、前記第1の搬送路の搬送面や第2の搬送路の搬送面に形成する微細孔として、厚み方向に多数の微細孔が形成されたポーラスプレートを前記搬送面に用いて前記搬送路を傾斜させることによって、当該微細孔の下側から搬送方向に向けて斜め上方にエアを噴出させることが簡便にできるので、装置の製造コストが抑えられる。
【0020】
本発明では、ワークが上下に重なっている場合に下側のワークに接触しその搬送速度を下げるためのテープが、前記第1の搬送路や第2の搬送路をその上面側からみて搬送方向と直交する方向に貼り付けられている構成とすることで、ワークが上下に重なって搬送される不具合の心配がない。テープの材質としては、金属テープやステンレスプレートやセラミックスプレートが耐摩耗性の観点から好ましいが、フッ素樹脂、ガラス繊維入りPTFE、ポリスチレン、ポリエステル、セロハン、不織布、紙等や、これらに帯電防止剤が塗布されたテープであっても良い。
【0021】
本発明では、ワークが搬送方向の前後に連なっている場合に前側のワークを先に降下させ前記チップ部品の搬送速度を上げるためのウエーブが、前記第1の搬送路や第2の搬送路をその側面側からみて搬送方向と同じ方向に前記ウエーブ加工が施されている構成とすることで、ワーク同士の前後の間隔を確実にあけることができ、ワーク同士の衝突が回避され、ワークの外観検査も正確にできる。ここで、ウエーブ加工とは、搬送方向の斜面に対して最初に滑らかに凹ませてから次に滑らかに凸ませる波形のうねり形状を指しており、最初に滑らかに凹ませることで位置エネルギーを速度に変換して前方のワークの速度を増大させて後方のワークから引き離し、次に滑らかに凸ませたときには慣性速度で後方のワークが前方のワークに追いつけないようにすることによって、ワーク同士の前後の間隔を確実にあけることができる搬送路の形状加工である。
【0022】
本発明では、前記エアノズルが付設された円筒部材が下向きとして最上段のワークをエア吸着し、その後、前記円筒部材を回動させて前記エアノズルを前向きとし、ワークをエア脱着して直後に配された前記搬送路の入口に移載する構成とすることによって、ワークが重ならないようにして上から1枚ずつ吸着して、次に、エア脱着して移載することができる。
【0023】
本発明では、前記エアノズルが付設された円筒部材が下向きとして前記供給エリアにて複数積み重なったワークのうち最上段のワークをエア吸着し、その後前記円筒部材を回動させて前記エアノズルを前向きとし、前記エアノズルが吸着したワークをエア脱着して前記第1の搬送路の入口に移載する構成とすることで、ワークが重ならないようにして上から1段ずつ吸着して、次に、エア脱着して移載することができることに加えて、ベルトコンベヤでワークを供給エリアに搬送するので、ベルトコンベヤの下流側でワークをほぼ横一列にすることが容易であり、ベルトコンベヤの搬送方向の幅を大きくすることによって、ワークの横一列の長さも長くでき、ワークの処理量を増大させることが容易である。
【0024】
本発明は、前記供給エリアでのチップ部品の有無を検知するセンサと、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段を制御する第1の制御回路を備え、前記センサからの検知信号を受けて前記第1の制御回路が前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段の動作開始時期をタイミング制御する構成としてもよい。
【0025】
本発明によれば、前記センサが前記供給エリアでのワークの有無を検知し、ワークがなくなったところで第1の制御回路に信号を送出し、前記センサからの信号を受けて第1の制御回路が前記第2の駆動手段の動作を一旦停止させ、第1の駆動手段を動作させて前記ベルトコンベヤの下流側の供給エリアに次のワークを搬送し、第1の駆動手段の動作を一旦停止させてから、第2の駆動手段を動作させて前記エアノズルにてワークが重ならないようにして重なりの上段から1段ずつ順次移載させる作業を再開する。よって、ワークの移載作業を効率的に行うことができる。前記センサとしては、在荷センサ(光センサ)、赤外線センサ、超音波センサ等が挙げられる。
【0026】
本発明は、前記搬送路にて搬送される前記チップ部品を上方から撮像する撮像カメラと、前記チップ部品の良否を判定する第2の制御回路と、不良判定された前記チップ部品を前記搬送路から不良ゾーンに排出する不良排出手段を備え、前記撮像カメラからの撮像信号を受けて前記第2の制御回路が撮像された前記チップ部品の良否を判断し、前記チップ部品が不良判定された場合に、前記不良排出手段が不良判定された前記チップ部品を不良ゾーンに排出する構成としてもよい。
【0027】
本発明によれば、前記搬送路(第2の搬送路)にてワークを搬送しながら撮像カメラが上方から撮像し、ワークの良否を第2の制御回路が判定し、不良判定されたワークを不良排出手段が前記搬送路(第2の搬送路)から不良ゾーンに排出するので、ワークを搬送することに加えて、同時にワークの外観検査と層別排出ができる。
【0028】
本発明は、前記チップ部品の表裏を判定する第3の制御回路と、裏向きと判定された前記チップ部品を反転させる反転機構を備え、前記撮像カメラからの撮像信号を受けて前記第3の制御回路が撮像された前記チップ部品の表裏を判断し、前記チップ部品が裏向き判定された場合に、前記反転機構が裏向き判定された前記チップ部品を反転させる構成としてもよい。
【0029】
本発明によれば、前記搬送路(第2の搬送路)にてワークを搬送しながら撮像カメラが上方から撮像し、ワークの表裏を第3の制御回路が判定し、裏向きと判定されたワークを前記反転機構が反転させるので、ワークを搬送しながらワークを表向き(又は裏向き)に揃えて次工程に送ることができる。
【0030】
本発明は、前記反転機構が、内部中空の円筒形状の第3の搬送路と、当該第3の搬送路の一方の側面に接続されて前記チップ部品の上部にエアを噴出させる第1の圧空管と、その反対側面に接続されて前記チップ部品の下部にエアを噴出させる第2の圧空管を備え、前記チップ部品が裏向き判定された場合に、前記第1の圧空管からのエア噴出と前記第2の圧空管からのエア噴出とによって裏向き判定された前記チップ部品を反転させる構成としてもよい。
【0031】
本発明によれば、内部中空の円筒形状の第3の搬送路と、当該第3の搬送路の一方の側面に接続されて前記チップ部品の上部にエアを噴出させる第1の圧空管と、その反対側面に接続されて前記チップ部品の下部にエアを噴出させる第2の圧空管を備えた前記反転機構が、前記チップ部品が裏向き判定された場合に、前記第1の圧空管からのエア噴出と前記第2の圧空管からのエア噴出とによって裏向き判定された前記チップ部品を反転させることによって、非接触でワークを反転させることができ、多量のワークを高速処理することが容易である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、搬送面に形成された微細孔から搬送方向に向けて斜め上方に噴出させたエアの作用によってワークを浮上させながらワーク同士の間隔をあけて搬送するため、静電気、振動・衝撃、変形、ワレカケ等の問題や、搬送の際の摩擦熱によるワークへのダメージ等の問題が解消される。そしてワークをほぼ横一列に搬送し、搬送方向を切り替えて、前後一列として搬送することによって、他のワークが上に重なることで重くなったワークがエアによって浮上し難くエアによる押出し力も弱くなることを利用してスピードダウンさせて、搬送路(第1の搬送路や第2の搬送路)から離脱させるので、ワークが上に重なって搬送され部品不良が次工程に流出してしまう不具合が生じ難く、正確な位置でのワークの受け渡しができ、その結果、ワークを大量に供給して高速搬送することが可能になる。特に、長さが数mm以下、厚みが100μm以下及び微小質量のワークにおいて、有効な整列搬送ができる。
本発明によれば、前記搬送路を所定の傾斜角度で下向きに傾斜させることで、ワークにかかる重力の作用でワークの搬送速度が増加し、ワークをより高速に搬送できる他、前記搬送路のエアの噴出力を抑えることもできる。例えば第2の搬送路のエアの噴出力を第1の搬送路のエアの噴出力よりも強く設定することによって、第2の搬送路でワークとワークの間隔を広げ、ワーク同士の連続性を遮断するとともに、高速に搬送することが可能となる。本発明によれば、例えば横一列から前後一列への搬送方向の切り替えが効率よくスムーズにできる。
【0033】
したがって、本発明によれば、静電気、振動・衝撃、変形、ワレカケ等の問題や、搬送の際の摩擦熱によるワークへのダメージや、ワークが上に重なって搬送され部品不良が次工程に流出してしまうこと等の不具合を解消しつつ、ワークを高速に搬送することが可能なチップ部品の整列供給装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態のチップ部品の整列供給装置の平面図である。
【図2】上記第1の実施形態の整列供給装置の正面図である。
【図3】上記第1の実施形態の整列供給装置の右側面図である。
【図4】上記実施形態の整列供給装置の移載機を示す図であり、(a)はその側面図であり、(b)はその底面図であり、(c)はその背面図である。
【図5】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその側面図である。
【図6】本発明を適用した第2の実施形態のチップ部品の整列供給装置の平面図である。
【図7】上記第2の実施形態の整列供給装置の正面図である。
【図8】上記第2の実施形態の整列供給装置の右側面図である。
【図9】上記実施形態の整列供給装置のコンベヤを示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその右側面図である。
【図10】上記実施形態の整列供給装置の移載機を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその右側面図である。
【図11】上記移載機の正面図を拡大して示す拡大図である。
【図12】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図である。
【図13】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路を示す図であり、(a)はその右側面図であり、(b)は上記第2の搬送路の他の例を示す右側面図である。
【図14】上記実施形態の整列供給装置の第1の搬送路の出口と第2の搬送路の入口の接続個所を正面側からみた断面図である。
【図15】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路を右側面側からみた断面図である。
【図16】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路の出口の正面図である。
【図17】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路のワーク方向調整機構の平面図である。
【図18】上記ワーク方向調整機構が取り付けられた第2の搬送路を正面側からみた断面図である。
【図19】上記実施形態の整列供給装置の第1の搬送路を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその右側面図である。
【図20】上記実施形態の整列供給装置の第1の搬送路を正面側からみた断面図である。
【図21】上記実施形態の整列供給装置の第1の搬送路を正面側からみた断面図である。
【図22】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路を右側面側からみた断面図である。
【図23】上記実施形態の整列供給装置の撮像カメラを示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその右側面図である。
【図24】上記実施形態の整列供給装置の不良排出手段を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその右側面図である。
【図25】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路の出口側の吸着手段を示す正面図である。
【図26】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路の出口側の他の例を示す正面図である。
【図27】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路の他の例を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその右側側面図である。
【図28】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路に付設可能なワーク反転機構を示す図であり、(a)は上からみた断面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその左側側面図である。
【図29】上記ワーク反転機構の正面図を拡大して示す拡大図である。
【図30】上記実施形態の整列供給装置の第2の搬送路に付設可能なワーク反転機構を示す他の図であり、(a)は上からみた断面図であり、(b)はその正面図であり、(c)はその左側側面図である。
【図31】チップ部品(ワーク)を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(ワークの形態)
図31は、本発明に係るチップ部品の整列供給装置にて整列搬送する多面体形状のワーク20を例示する斜視図である。符号20Hはワーク20の高さを表し、符号20Wはワーク20の巾を表し、符号20Lはワーク20の全長を表す。また、符号20aはワーク20の上面を表し、符号20cはワーク20の下面(実装面)を表す。図31(a)に示すワーク20は、実装型LEDに代表される長方形状の部品に凸状部が形成された形状を呈する。実装型LED20の寸法としては、例えば、20Hが0.2mm、20Wが0.8mm、20Lが1.6mmの部品が知られている。図31(b)に示すワーク20は、チップICに代表される直方体の両側に複数の凹みを有する形状である。図31(c)に示すワーク20は、チップキャパシタに代表される直方体形状である。チップキャパシタ20の寸法としては、例えば、20Hが0.5mm、20Wが0.5mm、20Lが1.0mmの部品が知られている。図31(d)に示すワーク24は、半導体素子に代表される四角形の薄板形状である。半導体素子20の寸法としては、例えば、20Hが0.05mm、20Wが1.0mm、20Lが2.0mmの部品が知られている。ワーク20としては、実装型LED、チップIC、チップキャパシタ、半導体素子、水晶素子、SAWフィルタ素子、チップ抵抗、チップコイル、パッド、端子、スペーサ、シート、フィルム等の多面体形状の実装部品が挙げられる。
【0036】
半導体素子20は、その厚み20Hが0.05mmと薄く、脆くて撓み易いこと等から実装前に電気検査を行なうことが困難である.しかし、不良のワークを実装すると基板不良となることから、実装前での外観検査が必要となる。また、電子部品全般としても、実装後の歩留りを高めるためには、実装前での外観検査を行うことが好ましい。
【0037】
(第1の実施形態)
本発明を適用した第1の実施形態のチップ部品(ワーク)の整列供給装置1を上から見た平面図を図1に示す。図2は整列供給装置1の正面図であり、図3は整列供給装置1の右側面図である。本実施形態のワークの整列供給装置1は、半導体チップ等のワーク20を搬送方向Xの方向に搬送する第1の搬送路4と、第1の搬送路4の出口付近で第1の搬送路4に跨って配されてワーク20を第2の搬送路5の入口5cに移載する移載機3と、移載機3から受取ったワーク20を搬送方向Yの方向に搬送する第2の搬送路5とを備える(図1から図3)。
【0038】
本実施形態の整列供給装置1は、第1の搬送路4がワーク20をX方向に搬送し、移載機3がワーク20を第2の搬送路5の入り口5cに移載し、第2の搬送路5にてワーク20の搬送方向を約90度切り替えて、ワーク20をY方向に搬送する構成となっている(図1)。本実施形態によれば、第1の搬送路4と第2の搬送路5とが上から見て直角又は鋭角で近接していることで、例えば横一列から前後一列への搬送方向の切り替えが効率よくスムーズにできる構成となっている。本実施形態では、切り替え角度K2を60度から100度の範囲に設定するものであり、図1では、K2が約90度となっており、整列供給装置1を上から見たときに、L字形状となっている。
【0039】
本実施形態では、第1の搬送路4の搬送面4aは第2の搬送路5の入口5cに向かって下向きに傾斜しており、その傾斜角度K1が5度から45度の範囲に設定されている(図2)。ここで、図2にて傾斜角度K1を説明すると、基台2が地面E1と平行に設置されているとして、側面視での接地線E1に平行な線分E2と、第1の搬送路4の搬送面4aの延長線4eとが交わる角度を傾斜角度K1としている。
【0040】
第1の搬送路4のワーク搬送面4aには、多数の微細孔4Pが形成されており(図20を参照)、第1の搬送路4の下側に取り付けられた圧空管81から圧空を送出して、これら微細孔4Pから搬送方向であるX方向に向けて斜め上方にエアを噴出させてワーク20を浮上させながら移載機3へと送り出して搬送する構成となっている。これら微細孔4Pは、その孔の直径が25μmから200μmの範囲で設定されており、ワーク20の自重が重くなるにしたがって、微細孔4Pの孔径を大きく設定している。微細孔4Pは後加工にて孔あけ加工することができるが、本実施形態では、市販のポーラスプレートを搬送面に用いている。ワーク20の搬送速度は、第1の搬送路4の傾斜角度K1の大きさとエア噴出力の強さによって設定され、第1の搬送路4のエア噴出力の強さは精密レギュレータ811によって調節される。
【0041】
本実施形態のワーク移載機3は、エアノズルとなる孔3PがY方向に一列に付設された円筒部材31を用いており(図4)、円筒部材31が水平移動用のエアシリンダ85によりX方向に前後動作する構成であり、円筒部材3が第1の搬送路4の出口付近で第1の搬送路4に跨って配されてワーク20を第2の搬送路5の入口5cに移載する構成である(図1)。ワーク移載機3は、制御回路6からの制御信号によって、エアノズル3を下向きとした状態で円筒部材31をX方向に第1の搬送路4の出口付近まで後退動作させて、真空機83からの吸引力によって第1の搬送路4の出口付近のワーク20をエア吸着し、エアノズル3を下向きとした状態で円筒部材31をX方向に第2の搬送路5の入口5cの上部まで前進動作させ、そして、圧空管84から圧空を送出することによって真空破壊をして、吸着したワーク20をエア脱着して第2の搬送路5の入口5cに移載する構成となっている。
【0042】
本実施形態の第2の搬送路5は、上記第1の搬送路4と同様に、第2の搬送路5のワーク搬送面には多数の微細孔5Pが形成されており(図5を参照)、第2の搬送路5の側面側に取り付けられた圧空管82から圧空を送出して、これら微細孔5Pから搬送方向であるY方向に向けて斜め上方にエアを噴出させてワーク20を浮上させながら第2の搬送路5の出口5dへと送り出して搬送する構成となっている。これら微細孔5Pは、その孔の直径が25μmから200μmの範囲で設定されており、ワーク20の自重が重くなるにしたがって、微細孔5Pの孔径を大きく設定している。微細孔5Pは後加工にて孔あけ加工するか、市販のポーラスプレートを搬送面に用いる。ワーク20の搬送速度は、第2の搬送路5の傾斜角度K3の大きさとエア噴出力の強さによって設定され(図22を参照)、第2の搬送路5のエア噴出力の強さは精密レギュレータ821によって調節される。
【0043】
本実施形態では、第2の搬送路5の下側がその出口側から見て断面R加工(符号R5)が施されているとともに、ワーク20が浮上する高さでの第2の搬送路5の出口5dの幅がワーク20の幅の2倍未満に設定されており、そして、ワーク20が浮上する高さから第2の搬送路5の上面側に向かって第2の搬送路5の出口5dの幅が広がっている(図5(b))。本実施形態によれば、ワーク20を受け取って搬送しやすい形状であるとともに、ワーク20を確実に前後一列とし、また、第2の搬送路5がその出口側から見て断面R加工が施されていることで、第2の搬送路5でのエアの噴出による圧空が等圧となろうとして、エアがワークの両側に回り込む作用によって、ワーク20の位置が第2の搬送路5のセンターラインに収まり(前後一列となり)、正確な位置で次工程へのワークの受け渡しができる。
【0044】
本実施形態では、第1の搬送路4の搬送面4aに形成された微細孔4PからX方向に向けて斜め上方に噴出させたエアによってワーク20を浮上させながら第1の搬送路4を搬送する。そして、第1の搬送路4の出口付近にて、円筒部材31が、ワーク20を重なりの上段から1段ずつ順次エア吸着し、エアノズル3を下向きとした状態で円筒部材31をX方向に第2の搬送路5の入口5cの上部まで前進動作させ、そして、吸着したワーク20をエア脱着して第2の搬送路5の入口5cに移載し、第2の搬送路5でワーク20の搬送方向をY方向に切り替えて、第2の搬送路5の搬送面に形成された微細孔5PからY方向に向けて斜め上方に噴出させたエアによってワーク20を浮上させながら搬送し、第2の搬送路5の出口5dから前後一列に整列して排出する。
【0045】
本実施形態によれば、ワーク20を浮上させながら搬送するため、静電気、振動・衝撃、変形、ワレカケ等の問題や、搬送の際の摩擦熱によるワーク20へのダメージやストレス等の問題が解消される。そして、ワーク移載機3によって第1の搬送路4の出口付近でワーク20をほぼ横一列に搬送し、第2の搬送路5で搬送方向を前後一列に切り替えることができるので、下流側に撮像カメラを配することで一つ一つ外観検査できる状態にして搬送することができる。そして、他のワークが上に重なることで重くなったワークがあったとしても、エアによって浮上し難くエアによる押出し力も弱くなることを利用してスピードダウンさせて、第1の搬送路4や第2の搬送路5から離脱させる。また、本実施形態では、動力源として駆動モータを使用していないので、省電力かつ静音設計が容易となる。
【0046】
(第2の実施形態)
本発明を適用した第2の実施形態のチップ部品(ワーク)の整列供給装置1を上から見た平面図を図6に示す。図7は整列供給装置1の正面図であり、図8は整列供給装置1の右側面図である。本実施形態のワークの整列供給装置1は、半導体チップ等のワーク20を載置して搬送方向Xの方向の供給エリア51dに搬送するベルトコンベヤ51と、ワーク20を第1の搬送路4の入口4cに移載する移載機3と、ワーク20を搬送方向Yの方向に搬送する第1の搬送路4と、第1の搬送路4の出口4dとその入口5cを近接させて受取ったワーク20を搬送方向Yの方向に搬送する第2の搬送路5とを備える(図6から図8)。そして、第2の搬送路5の下流側には撮像カメラ9が配されている。
【0047】
本実施形態の整列供給装置1は、ベルトコンベヤ51がワーク20をX方向に動かして供給エリア51dに搬送し、移載機3がワーク20をX方向に動かして第1の搬送路4の入り口4cに移載し、第1の搬送路4がワーク20をX方向に動かして出口4dに搬送し、第1の搬送路4と第2の搬送路5とが上から見て直角又は鋭角で近接していることによってワークを第1の搬送路4から第2の搬送路5に移して、第2の搬送路5にてワーク20の搬送方向を約90度切り替えて、ワーク20をY方向に搬送する構成となっている(図6)。本実施形態によれば、第1の搬送路4と第2の搬送路5とが上から見て直角又は鋭角で近接していることで、例えば横一列から前後一列への搬送方向の切り替えが効率よくスムーズにできる構成となっている。本実施形態では、切り替え角度K2を60度から100度の範囲に設定するものであり、図6では、K2が約90度となっており、整列供給装置1を上から見たときに、L字形状となっている。
【0048】
本実施形態では、第1の駆動モータM1によりワーク20を下流側の供給エリア51dに搬送するベルトコンベヤ51を備えており(図9)、ワーク移載機3として、エアノズル3Nが付設された円筒部材3が第2の駆動モータM2により回動自在にベルトコンベヤ51の下流側でその上方にベルトコンベヤ51に跨って配置されており(図10)、エアノズル3Nを下向き3N1として供給エリア51のワーク20をエア吸着し、エアノズル3Nを前向き3N2として吸着したワーク20をエア脱着して第1の搬送路4の入口4cに移載する構成となっている(図11)。
【0049】
ベルトコンベヤ51の下流側の供給エリア51dに搬送されたワーク20は、複数のワーク20が積み重なったランダムな状態となっているが、本実施形態によれば、ワーク20が上に重なっていても上から1段ずつ吸着して、次に、エア脱着して移載することができる。なお、ベルトコンベヤ51でワークを供給エリア51dに搬送するので、ベルトコンベヤ51の下流側でワーク20をほぼ横一列にすることが容易であり、ベルトコンベヤ51の搬送方向の幅を大きくすることで、ワーク20の横一列の長さも長くでき、ワーク20の処理量を増大させることが容易である。
【0050】
本実施形態では、供給エリア51でのワーク20の有無を検知する在荷センサ71と、第1の駆動モータM1と第2の駆動モータM2を制御する第1の制御回路61を備え(図6)、前記センサ71からの検知信号を受けて第1の制御回路61が第1の駆動モータM1と第2の駆動モータM2をタイミング制御する構成である。本実施形態では、エアノズル3Nにて、ワーク20を上から1段ずつ吸着しエア脱着して移載することから、在荷センサ71が供給エリア51dでのワークの有無を検知し、ワークがなくなったところで制御回路61に信号を送出し、在荷センサ71からの信号を受けて制御回路61が第2の駆動モータM2の動作を一旦停止させ、第1の駆動モータM1を動作させてベルトコンベヤ51の下流側の供給エリア51dに次のワークを搬送し、第1の駆動モータM1の動作を一旦停止させ、第2の駆動モータM2を動作させてエアノズル3Nにてワーク20をその重なりの上段から1段ずつ順次移載させる作業を再開する。よって、ワーク20の移載作業を効率的に行うことができる。本実施形態では、第2の駆動モータM2によって、円筒部材3が90度回動してワーク20を移載し元の位置に戻る揺動運動を行っているが、エアノズル3Nの配置を円筒部材3の周囲に所定間隔で配置する等することで、円筒部材3が90度ないしは180度ずつ回動して、ワーク20を移載する動作とする構成とすることもできる。
【0051】
本実施形態では、第1の搬送路4の搬送面4aは第2の搬送路5の入口5cに向かって下向きに傾斜しており、その傾斜角度K1は、5度から45度の範囲に設定されている(図7)。第1の搬送路4のワーク搬送面4aには、多数の微細孔4Pが形成されており(図20を参照)、第1の搬送路4の下側に取り付けられた圧空管81から圧空を送出して、これら微細孔4Pから搬送方向であるX方向に向けて斜め上方にエアを噴出させてワーク20を浮上させながら第2の搬送路5へと送り出して搬送する構成となっている。これら微細孔4Pは、その孔の直径が25μmから200μmの範囲で設定されており、ワーク20の自重が重くなるにしたがって、微細孔4Pの孔径を大きく設定している。微細孔4Pは後加工にて孔あけ加工することができるが、本実施形態では、市販のポーラスプレートを搬送面に用いており、ワーク20の搬送速度は、第1の搬送路4の傾斜角度K1と、エア噴出力によって、調節される。
上記第1の搬送路4と同様に、第2の搬送路5のワーク搬送面には、多数の微細孔5Pが形成されており(図15を参照)、第2の搬送路5の側面側に取り付けられた圧空管82から圧空を送出して、これら微細孔5Pから搬送方向Yに向けて斜め上方にエアを噴出させてワーク20を浮上させながら第2の搬送路5の出口5dへと送り出して搬送する構成となっている。
【0052】
本実施形態では、第2の搬送路5のエアの噴出力を第1の搬送路4のエアの噴出力よりも強くする設定とし、第2の搬送路5でワークとワークの間隔を広げる(連続性を遮断する)とともに、高速に搬送する構成となっている。つまり、本実施形態では、ワーク20を第1の搬送路4の搬送面4aに形成された微細孔4PからX方向に向けて斜め上方に噴出させたエアによって浮上させながら第1の搬送路4を搬送し、そして、第1の搬送路4の出口4dとその入口5cが近接した第2の搬送路5でワーク20の搬送方向を切り替えて、第2の搬送路5の搬送面に形成された微細孔5PからY方向に向けて斜め上方に噴出させたエアによって浮上させながら第2の搬送路5を搬送し、第2の搬送路5の出口5dから排出する。
【0053】
本実施形態では、第2の搬送路5の入口5cを第1の搬送路4の出口4dとの接続側に向かって下向きに傾斜させており(図14)、第2の搬送路5の入口5cをその搬送方向の後側となるにしたがって徐々にその搬送路の幅を拡大させている(図6)。これは、第1の搬送路4から搬送されたワーク20が、その自重によって第2の搬送路5の入口5cにてオーバランすることを想定し、ストレスを与えずに、ワーク20を浮かせた状態で第2の搬送路5の入口5cにて受取るための構成である。この他、図27に示すように、第2の搬送路5がその入口側から見て断面R加工が施されている構成としても、同様にストレスを与えずに、ワーク20を浮かせた状態で第2の搬送路5の入口5cにて受取ることができる。
【0054】
本実施形態では、X方向に搬送中のワーク20が重なり合っている場合を想定して重なりの下側のワークに接触しワーク20の搬送速度を下げるためのテープ41が配されており、これらのテープ41は、第1の搬送路4をその上面側からみて搬送方向と直交する方向に間隔をあけて2つ貼り付けられている(図19)。また、万が一に備えて、Y方向についても、ワーク20が上下に重なっている場合に下側のワークに接触しワーク20の搬送速度を下げるためのテープ42が配されており、これらのテープ42は、第2の搬送路5をその上面側からみて搬送方向と直交する方向に間隔をあけて2つ貼り付けられている(図6)。本実施形態では、テープ41,42は、耐磨耗性の高い金属製テープを使用しているが、フッ素樹脂製テープ、ガラス繊維入りPTFE製テープ、ポリスチレン、ポリエステル、セロハン、不織布、紙等や、これらに帯電防止剤が塗布されたテープであっても良い。
【0055】
本実施形態では、第1の搬送路4をその側面側からみて搬送方向Xと同じ方向にウエーブ加工4Wが施されている(図21)。ウエーブ4Wは、ワーク20が搬送方向の前後に連なっている場合に、前側のワークを先に降下させワーク20の搬送速度を上げる作用をする。また、本実施形態では、第2の搬送路5を傾斜角度K3が2度から30度の範囲で下向きに傾斜させる設定とし、第2の搬送路5をその側面側からみて搬送方向にウエーブ加工5Wが施されている(図22)。ここで、ウエーブ加工4W,5Wとは、搬送方向の斜面に対して最初に滑らかに凹ませてから次に滑らかに凸ませる波形のうねり形状を指しており、最初に滑らかに凹ませることで位置エネルギーを速度に変換して前方のワークの速度を増大させて後方のワークから引き離し、次に滑らかに凸ませたときには慣性速度で後方のワークが前方のワークに追いつけないようにすることによって、ワーク同士の前後の間隔を確実にあけることができる搬送路の形状加工である。本実施形態によれば、ウエーブ加工4Wや5Wが施されているので、ワーク20同士の前後の間隔を確実にあけることができ、ワーク20同士の衝突が回避され、ワーク20の外観検査も正確に行うことができる。
【0056】
本実施形態では、第2の搬送路5の下流側にワーク20を撮像する撮像カメラ9が配され、撮像カメラ9の上流側には、ワーク20を前向きにその方向を揃えるためのワーク方向調整機構7が配されている(図6)。ワーク方向調整機構7は、第2の搬送路5上にスリットP72を設けて、スリットP72を通して第2の搬送路5上にピン72を立設させる構成となっている(図17)。ワーク方向調整機構7は、ワーク20が横向きで搬送された場合に、ピン72にてワーク20を回動させて、ワーク20の姿勢を前向きとする仕組みである。ワーク20の寸法に合わせて、ピン72の立設位置を調節し、例えばワーク20の寸法が大きいときは、ピン72の立設位置を第2の搬送路5の外側に近い位置に調節する。
【0057】
本実施形態では、第2の搬送路5の下側がその出口側から見て断面R加工(符号R5)が施されているとともに、ワーク20が浮上する高さでの第2の搬送路5の出口5dの幅がワーク20の幅の2倍未満に設定されている(図18)。本実施形態によれば、ワーク20を受け取って搬送しやすい形状であるとともに、ワーク20を確実に前後一列とし、また、第2の搬送路5がその出口側から見て断面R加工が施されていることで、第2の搬送路5でのエアの噴出による圧空が等圧となろうとして、エアがワークの両側に回り込む作用によって、ワーク20の位置が第2の搬送路5のセンターラインに収まり(前後一列となり)、正確な位置で次工程へのワークの受け渡しができる。
【0058】
本実施形態では、第2の搬送路5にて搬送されるワーク20を上方から撮像する撮像カメラ9と、ワーク20の良否を判定する第2の制御回路62(パソコン)と、ワレカケやキズ等の外観不良と判定されたワークをエア吸引して第2の搬送路5から不良ゾーンに排出する不良排出手段(不良吸引パイプ)12を備える(図6)そして、撮像カメラ9の配された位置で第2の搬送路5上のワーク20の有無を非接触で検知するセンサ91が、配されており(図23)、センサ91がワーク20を検知したタイミングで、撮像カメラ9がワーク20を上方から撮像する構成となっている。また、不良吸引パイプ12の配された位置で第2の搬送路5上のワーク20の有無を非接触で検知するセンサ121が、配されており(図24)、センサ121がワーク20を検知したタイミングで、制御回路62からの不良吸引信号によって、不良吸引パイプ12がワークをエア吸引して第2の搬送路5から不良ゾーンに排出する構成となっている。
【0059】
さらに、本実施形態では、制御回路62によって、ワーク20の方向不良(表裏が反対、向きが90度異なる)と判定されたワークをエア吸引して第2の搬送路5からベルトコンベヤ51にリターンするリターン手段13を備えている(図6)。本実施形態によれば、ワーク20を搬送しながらワーク20の外観検査に加えて、ワーク20の層別排出(良品排出)ができる。
【0060】
上記ワーク20の外観検査機構や、ワーク20の層別排出機構は、第2の実施形態のみならず、第1の実施形態にも適用できる。そして、さらなる実施形態として、第2の搬送路5にて搬送されるワーク20を上方から撮像する撮像カメラ9の下流側に、裏向きと判定されたワークを反転させる反転機構15を備えることができる(図28)。
【0061】
本実施形態の反転機構15は、内部中空の円筒形状の第3の搬送路15と、当該第3の搬送路15の一方の側面に接続されてワーク20の上部にエアを噴出させる第1の圧空管N3と、その反対側面に接続されてワーク20の下部にエアを噴出させる第2の圧空管N4を備え、ワーク20が裏向き判定された場合に、第1の圧空管N3からのエア噴出と第2の圧空管N4からのエア噴出とによって、裏向き判定されたワークを反転させる構成である。
【0062】
例えば、図28と図29に示す構成の反転機構15が挙げられ、この構成では、円筒形状の搬送路15の下流側(符号15dの側)に配された圧空管N1,N2からエア吐出することで、エア引き込み現象によって、上流側(符号15cの側)のワークが吸い込まれ、裏向きと判定されたワークのみに対して、圧空管N3,N4からエア吐出することで、ワークが45度区間の圧空管N3部を通過する時、エアにて上部を押されたワークが90度回転し、次にワークが45度区間の圧空管N4部を通過する時、エアにて下部を押されたワークが90度回転し、非接触でワークを裏向きから表向きに反転させることができる。本実施形態によれば、非接触でワーク20を反転させることができ、多量のワークを高速処理することも容易である。
【0063】
また例えば、図30に示す構成の反転機構15が挙げられ、この構成では、円筒形状の搬送路15の下流側(符号15dの側)に配された圧空管N6からエア吐出することで、エア引き込み現象によって、上流側(符号15cの側)のワークが吸い込まれ、円筒形状の搬送路15の上流側(符号15cの側)に配されたワーク上昇用ノズルN7からエア吐出することで、裏向きと判定されたワークのみに対して、ノズルN7からのエア吐出によってワークを浮かして上部溝15sを通過させ、螺旋状の溝15sを通過することでワークが180度回転し、非接触でワークを裏向きから表向きに反転させることができる。そして、表向きと判定されたワークは下部溝15rを通過させる。本実施形態によれば、非接触でワーク20を反転させることができ、多量のワークを高速処理することも容易である。
【0064】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、移載機3がワーク20の供給を兼ねてワーク20を第2の搬送路5の入り口5cに移載し、第2の搬送路5にてワーク20の搬送方向を約90度切り替えて、ワーク20をY方向に搬送する構成とすることもできる。例えばベルトコンベヤ51を下流側に向かって斜め下向きのテーパーゾーンとしてワークを自然落下させてもよいし、第2の搬送路でワークを斜めに受けた状態のまま、次工程に高速搬送することもできる。移載機3や反転機構15は、既知のパーツフィーダに組み合わせて使用しても優れた作用効果を発揮する。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0065】
1 チップ部品の整列供給装置、
2 基台、
3 移載機、
4 第1の搬送路、
5 第2の搬送路、
6 制御回路、
7 センサ、
81、82 圧空管、
9 撮像カメラ、
4P、5P 微細孔、
X、Y 搬送方向、
M1、M2 駆動モータ、
20 チップ部品(ワーク)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ部品をY方向に搬送する搬送路を備え、前記チップ部品をX方向に移動させて前記搬送路の入口にチップ部品を移載し、前記搬送路の搬送面に形成された微細孔からY方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら整列搬送することを特徴とするチップ部品の整列供給装置。
【請求項2】
前記搬送路を第2の搬送路とし、当該第2の搬送路の入口にその出口が近接するように前記チップ部品をX方向に搬送する第1の搬送路を備え、前記第1の搬送路の搬送面に形成された微細孔から第2の搬送路の入口方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら搬送して第2の搬送路に移載することを特徴とする請求項1記載のチップ部品の整列供給装置。
【請求項3】
前記第1の搬送路の出口と前記第2の搬送路の入口とが上から見て接しており、前記第1の搬送路のエア噴出力と前記第2の搬送路のエア噴出力をそれぞれ調整して前記チップ部品の搬送速度を制御することを特徴とする請求項2記載のチップ部品の整列供給装置。
【請求項1】
チップ部品をY方向に搬送する搬送路を備え、前記チップ部品をX方向に移動させて前記搬送路の入口にチップ部品を移載し、前記搬送路の搬送面に形成された微細孔からY方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら整列搬送することを特徴とするチップ部品の整列供給装置。
【請求項2】
前記搬送路を第2の搬送路とし、当該第2の搬送路の入口にその出口が近接するように前記チップ部品をX方向に搬送する第1の搬送路を備え、前記第1の搬送路の搬送面に形成された微細孔から第2の搬送路の入口方向に向けて斜め上方にエアを噴出させて前記チップ部品を浮上させながら搬送して第2の搬送路に移載することを特徴とする請求項1記載のチップ部品の整列供給装置。
【請求項3】
前記第1の搬送路の出口と前記第2の搬送路の入口とが上から見て接しており、前記第1の搬送路のエア噴出力と前記第2の搬送路のエア噴出力をそれぞれ調整して前記チップ部品の搬送速度を制御することを特徴とする請求項2記載のチップ部品の整列供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2011−178560(P2011−178560A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169034(P2010−169034)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(596044169)英光産業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(596044169)英光産業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】
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