説明

チャイルドシート用監視及び/又は娯楽システム

【課題】チャイルドシートのシートシェルが進行方向と反対方向に位置調整された場合に、該チャイルドシートに座る子供に適した監視及び/又は娯楽システム(以下監視/娯楽システムと称す)を提供する。
【解決手段】チャイルドシートのシートシェルが進行方向と逆向きに位置調整されているときのチャイルドシートに監視及び/又は娯楽システムを使用するために、成形体2は、チャイルドシートの基枠11と力学的に連結するように配設された少なくとも一つの固定部3dを有し、成形体2がチャイルドシートの基枠11に固定された状態にある時に、成形体2の前面と成形体2に組み付けられた電子組立品4aとは、チャイルドシートのシートシェルと向かい合っている。さらに、電子組立品4aは、カメラシステム4aを有し、監視及び/又は娯楽システムは、このカメラシステム4aで記録した画像またはフィルム映像を表示する監視モニタを更に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、チャイルドシート用の、チャイルドシートに座る子供を監視したり楽しませたりたりするための監視及び/又は娯楽システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において一体型画像表示装置を有する車両用の座席が知られている。例えば、ドイツ実用新案U1第20119410号の明細書は、画像表示装置がヘッドレストに一体的に設けられ、背もたれに着脱自在に固定できるヘッドレストを有する車両用座席を開示している。その配置構成では、ヘッドレストには取り付け空間があり、この取り付け空間に装着された画像表示装置は、ヘッドレストと背もたれとの間でインターロック式かつ力学的に連結させる方法で固定される。この従来技術で知られる解決策は、例えば比較的長いドライブの間、自動車の同乗者が気晴らしや娯楽、情報収集等をするのに適している。
【0003】
しかし、この既知の解決方法では、一体型画像表示装置を有するヘッドレストを設置するためには、まず、標準装備のヘッドレストを座席から取り外す必要がある。ヘッドレストの固定が着脱自在でない座席の場合、たとえ一体型画像表示装置を有するヘッドレストへの交換を行えるとしても、その交換には多大な労力を伴うこととなる。更に、既知の娯楽システムは、車両の後部座席に座る同乗者のみが利用できるように設計されている。
【0004】
もし既知の娯楽システムをチャイルドシートに座る子供を楽しませる目的で用いることができるとしても、制限付きでのみ可能である。すなわち、チャイルドシートのシートシェルが車両の進行方向と反対方向に位置調整されている場合であり、この場合には、チャイルドシートに座る子供は、ヘッドレストに組み込まれた画像表示装置に背を向けているからである。
【0005】
ドイツ実用新案U1第29518369号の明細書からも同様な解決方法が知られている。その従来技術に開示された娯楽システムは、座席に標準的に装備されているヘッドレストの上から被せるように作られた成形体に組み込まれている。座席から取り外すことが出来ない各種の標準ヘッドレストでも、この既知の方法を用いて娯楽システムを後付けで装備することもできる。しかし、この先行技術では娯楽システムをチャイルドシートに座る子供を楽しませるために用いることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ実用新案公開第DE20119410号
【特許文献2】ドイツ実用新案公開第DE29518369号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の基本的な課題は、チャイルドシートのシートシェルが進行方向と反対方向に位置調整された場合に、該チャイルドシートに座る子供に適した監視及び/又は娯楽システム(以下監視/娯楽システムと称す)を提供することにある。
【0008】
本発明は以上の課題を基礎として適切な監視/娯楽システムを提供する他、更に監視/娯楽システムをチャイルドシートに簡単に後付けすることも可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その課題は請求項1の特徴により解決される。詳しくは、本発明による監視/娯楽システムは、画像、フィルムまたはフィルム映像を表示及び/又は記録する少なくとも一つの電子組立品を有し、該電子組立品は監視/娯楽システムの中核部を成すものである。また、少なくとも一つの電子組立品が取り付けられ保持されている成形体が設けられる。成形体は、好ましくは成形体と一体的に形成された少なくとも一つの固定部を有し、固定部はチャイルドシートの基枠と力学的に連結できるように配設されることにより、監視/娯楽システムをチャイルドシートの基枠に固定する。チャイルドシートのシートシェルの向きを進行方向と反対方向に位置調整したときにチャイルドシートに座る子供を監視したり、楽しませたりできるようにするために、チャイルドシートの基枠に固定された状態の成形体において、その前面および成形体に組み込まれた少なくとも一つの電子組立品と、チャイルドシートのシートシェルとは向かい合っている。
また、少なくとも一つの電子組立品は、チャイルドシートに座る子供を監視するためのカメラシステムを有している。
また、本発明による監視/娯楽システムは、カメラシステムで記録した画像またはフィルム映像を表示する監視モニタを更に備えている。
【0010】
本発明による解決策の利点は明白である。すなわち、まず、例えばフラットディスプレイ画面等を有することができる電子組立品と成形体を一体的に形成し、該成形体をチャイルドシートの基枠に固定するだけでよい。この点において、適切な基枠を有する任意のチャイルドシートへの後付けを常時実施することが可能となり、チャイルドシートに監視/娯楽システムを装備することができる。
【0011】
また、本発明に記載の監視/娯楽システムは、チャイルドシートに座る子供を楽しませるために、チャイルドシートのシートシェルの向きが進行方向とは反対の方向に調整されている場合でも子供を楽しませることができるように、成形体の前面と、例えば、成形体に組み付けたフラットディスプレイ画面とをチャイルドシートの基枠に取り付けることができるように、成形体をチャイルドシートに固定できることを特徴とする。
【0012】
また、監視/娯楽システムの成形体にカメラシステムを一体的に設けることで、例えばチャイルドシートの中で眠っている幼児を見守ることが可能になる。これが特に効果的なのは、例えばチャイルドシートをその中が見えないように車内に配置したとき、つまり、例えば、チャイルドシートを車両の後部座席に設置し、チャイルドシートのシートシェルの向きを進行方向とは反対方向に調整したときのような場合である。
カメラシステムに関して言及すると、カメラシステムは有線接続または無線等により、運転手または同乗者からよく見える位置に配設されたモニタと通信する。使用可能な監視用モニタとしては、ナビゲーションシステムのディスプレイや車両のバックミラー等を利用することができる。
【0013】
本発明による解決の好適な展開は、従属請求項に記載される。
【0014】
たとえば、電子組立品の特に好適な実施態様は、少なくとも一つのカメラシステム、DVDプレイヤー、ビデオ再生システム、MP4プレイヤー、インターネットへの直接アクセス等、メディア再生記録システムであり、該電子組立品は単一の構成部品または上記構成部品を組み合わせたものでありうる。
【0015】
他方、カメラシステムに加え、またはカメラシステムに代えて、ドライブの間チャイルドシートに座る幼児をあやしたり笑わせたりできるようにメディア再生システムを電子組立品として備えることも考えられる。この目的に最適なのは、例えばテレビ、ビデオプレイヤ、DVDプレイヤーまたはコンピュータ等画像表示装置である。
【0016】
好適には、電子組立品の電気供給には車載電源を用いる。このために必要な供給ラインには、標準装備されているシガーライターの接続用アダプタプラグ等を備えることができる。
【0017】
特に好適には、本発明による成形体の実施に際し、特にインターロック連結により、チャイルドシートの基枠内または基枠上に組み付けができるように成形体を造る。これは一方では美観上の理由により好ましく、他方においては、チャイルドシートの基部支持部に監視/娯楽システムをインターロック連結で組み付けることにより安全性を確保できる。なぜならば、子供や同乗者に怪我をさせる恐れのあるエッジや突起がないからである。これにより、同乗者の十分な保護が保証される。この点に関し、特に監視/娯楽システムの前に座る幼児を衝撃から全面的に保護することもできる。
【0018】
好適には、成形体に設けた少なくとも一つの固定部は、監視/娯楽システムをチャイルドシートの基枠に力学的に固定し、かつチャイルドシートの基枠上で成形体の高さが調整できるように設けられる。特に、少なくとも一つの固定部は、チャイルドシートの基枠に対して力学的に連結するとともにインターロック連結がなされるように形成する。このことは、監視/娯楽システムを適当な高さに調整しなければならない場合でも同様である。その結果、特にチャイルドシートに座る子供を充分に保護することが基本的に保証されるとともに、成形体内に組み付けられた電子組立品を、成形体の前面において、チャイルドシートのシートシェルに座る幼児にとって最適な高さに位置調整することも保証される。こうしたことは、電子組立品がカメラシステムを有し、チャイルドシートに座る子供を監視する場合には特に必要である。
【0019】
監視/娯楽システムを装着することによってチャイルドシートの操作性および安全性が脅かされないために、好適な展開において、成形体がチャイルドシートの基枠に固定された状態にあるときに、チャイルドシートの締結ベルトがガイドされるベルトガイド領域を成形体の後面部とチャイルドシートの基枠との間に形成するように成形体を形成する。その結果、基本的に、締結ベルトはスムーズにガイドされるので、チャイルドシートまたはチャイルドシートの基枠を車両用座席に従来通りに固定することができる。
【0020】
成形体に設けた少なくとも一つの固定部に関して、該固定部は、好ましくは、成形体の上面部に設けられてチャイルドシートの基枠の略水平に延びる縁部と係合する、及び/又は、成形体の片側の側部に設けられてチャイルドシートの基枠の略垂直に延びる縁部と係合する固定部である。好ましくは、このように成形体の周囲に複数の固定部を設置することより、監視/娯楽システムは、複数の位置で力学的に連結し、チャイルドシートの基枠に接合することができる。従って、監視/娯楽システムはチャイルドシートへ確実に固定される。
【0021】
ここで言う「基枠の縁部」という表現は、例えば、チャイルドシートの基枠に標準装備され、成形体に配置された固定部との係合を可能にする任意の構成部品を意味するとして理解すべきである。例えば、基枠に設けた補強部を基枠の縁部とすることが考えられる。他方で、基枠の周辺部に設けた球状突起を基枠の縁部とすることも可能である。このような球状突起は、特にチャイルドシートの基枠がシェル状成形部である場合には一般的に設けられる。
【0022】
監視/娯楽システムの成形体に設けた固定部が係合できるようにするために、該固定部は、チャイルドシートの基枠上に固定部を補助するように形成された対応するアンカー部に係合できるような適切な輪郭を有する。可能な輪郭として様々な方法が考えられる。例えば、クランプ状領域を設けること、つまり、対応する角度に形成された連結部を設けることが考えられる。
【0023】
また、他の可能性としては、成形体に設けた固定部の材料の弾性を利用して、チャイルドシートの基枠上で固定部を補助するように形成されたアンカー部と連結するスナップ連結がある。そのようなスナップ連結の場合、固定部をウィング部材として弾性的にしてもよい。また、チャイルドシートの基枠に設けたアンカー部を弾性ウィング部材として用いることもできる。
【0024】
更に、固定部/アンカー部の構成は、例えば、鳩尾継ぎ(dovetail joint)等の形態のようなピン/テイル(pin/tail)配列構成の形態でもよい。
【0025】
しかし、基本的には、成形体の少なくとも一つの固定部はチャイルドシートの基枠と力学的に連結するように形成される。そのような力学的連結は、適切なミニマムフォースを加えることにより成立する。力学的連結は静止摩擦によって保持されるだけである。他方で、固定部はチャイルドシートの基枠に対してインターロック連結を形成するようにも配設される。インターロック連結は、例えば、成形体に設けた固定部とチャイルドシートの基枠に設けたアンカー溝のように少なくとも2つの連結パートナ部を互いに係合させることにより形成される。インターロック連結の場合、使用荷重により生じる力は、垂直に、つまり、2つの連結パートナ部の面に対して直角に伝わる。この機械的な連結の結果、力伝達がなくとも、または、力伝達が遮断されたときでも、連結パートナ部に緩みが生じることはない。適切な固定部は従来技術で知られているので、ここでは詳細に説明しない。
【0026】
本発明による監視/娯楽システムを、出来る限り多くの異なる種類のチャイルドシートに使用できるように、したがってチャイルドシートの基枠にその都度適合させる必要がないようにするために、監視/娯楽システムの成形体に設けた少なくとも一つの固定部は、基枠のヘッド領域すなわち上部を、好ましくは、少なくとも部分的に囲むように配設される。これにより、チャルドシートの基枠に対する監視/娯楽システムの確実な固定が保証され、チャイルドシートの種類にほとんど関係なくどんな場合でも保証される。
【0027】
前述したように、成形体に設けた少なくとも一つの固定部は、チャイルドシートの基枠に対して解除可能に連結、特に手動で解除可能に連結するように構成したので、監視/娯楽システムはチャイルドシートの基枠から容易に取り外すことができる。これは、監視/娯楽システムをチャイルドシートにほんの一時的に取り付けたい場合には特に効果的である。他方、監視/娯楽システムの成形体とチャイルドシートを解除可能に連結すると、該システムを後付けするのに特別な道具を使用しなくても、楽に簡便に該システムをチャイルドシートに取り付けることができるという利点がある。解除可能に連結する機能を有する固定用エレメントの実施態様としては、先に簡単に述べたように従来技術によって基本的に既知であるが、ここでは特にスナップ連結が適している。
【0028】
本発明による監視/娯楽システムの使用が、チャイルドシートのシートシェルが進行方向と反対方向に向いているときに、チャイルドシートに座る子供を監視したり楽しませたりする使い方に限定されないためには、本発明によるシステムの特に好適な展開において、成形体に設けた少なくとも一つの固定部は、監視/娯楽システムが車両用座席のヘッドレストに装着できるようにも配設される。この場合には、成形体が車両用座席のヘッドレストに固定され、成形体の前面側と成形体に組み付けられた少なくとも一つの電子組立品は、チャイルドシートのシートシェルに面しており、該シートシェルは進行方向を向いている。
【0029】
本発明による解決の好適な展開では、応用的な方法によって、監視/娯楽システムの使用範囲を拡大することができる。該システムはチャイルドシートの基枠への固定に適しているので、チャイルドシートのシートシェルが進行方向と反対方向に位置調整されているときでもチャイルドシートに座る子供を監視したり楽しませたりすることができる一方で、チャイルドシートのシートシェルの向きが進行方向に位置調整されているときにも、その同じシステムを用いてその子供を監視したり楽しませたりすることができる。そのためには、チャイルドシートの基枠に好ましくは解除可能に固定される監視/娯楽システムの成形体が、チャイルドシートの基枠から取り外されて、車両用座席のヘッドレストに装着できればよい。そうした場合、成形体の同じ固定部を用いることによって、チャイルドシート基枠への固定と、車両用座席のヘッドレストへの固定の両方を可能にすることが考えられる。
【0030】
そのための連結エレメントとしては、特にクランプ状またはクリップ状の連結部材が考えられる。該連結部材はその第1端部を成形体に連結し、湾曲または傾斜形状に形成されるので、その第2端部を当該支持構造(チャイルドシートの基枠または車両用座席のヘッドレスト)と解除可能に係合できる。
【0031】
チャイルドシートの基枠にも、車両用座席のヘッドレストにも係合させることができる連結部の特に好適な実施態様において、連結部はクランプ状またはクリップ状の連結部材を有し、この連結部材は弾性ウィング部材の形態であり、ウィング部材の第2端部は特にフック状に作られているので、当該支持構造への解除可能なスナップ連結を形成することができる。
【0032】
これに代え、または、これに加えて、車両用座席のヘッドレストへ固定する際、成形体を少なくとも部分的にヘッドレストの上から被せることができるように、成形体がヘッドレストを囲むように、少なくとも一つの固定部を形成することが考えられる。いずれにしろ結果として、本発明による監視/娯楽システムを使用すれば、時間をかけてヘッドレストの全交換を行う必要もなく、ヘッドレストの殆ど全てのタイプに対して取り付け可能である。本発明の適用は、ヘッドレストと座席が別個に組み立てられた車両用座席に限られない。むしろ、本発明のシステムは、ヘッドレストが座席全体と一体的に形成された車両用座席での使用に適している。
【0033】
上述した実施形態の好適な実施態様において、監視/娯楽システムの成形体に設けた少なくとも一つの固定部に加えて、更に、特に、異なるタイプのヘッドレストやチャイルドシートの基部支持部に調整可能な固定手段を備える。実現可能な固定手段は、マジックテープ式ファスナーを使った増設固定手段が考えられる。マジックテープ式ファスナーとは、随意に何度でも解除可能な繊維製締結手段であり、例えば、一方が小さなとげのような複数の突起を有し、他方が網目状ループを有する2つのナイロン製帯から成る。固定エレメントによる固定に加えて、そのようなマジックテープ式ファスナーが圧接されて確実な固定を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下に、発明による監視/娯楽システムの好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【図1】図1は、チャイルドシートの基部支持部に固定された状態の本発明による監視/娯楽システムの好適な第1実施形態の斜視図である。
【図2a】図2aは、図1で示した監視/娯楽システムがチャイルドシートの基部支持部へ装着される方法を説明するために、チャイルドシートの基部支持部の上側ヘッド領域における監視/娯楽システムを詳細に示した説明図である。
【図2b】図2bは、図1で示した監視/娯楽システムがチャイルドシートの基部支持部へ装着される方法を説明するために、チャイルドシートの基部支持部の上側ヘッド領域における監視/娯楽システムを詳細に示した説明図である。
【図3】図3は、チャイルドシートの基部支持部に固定するための本発明による監視/娯楽システムの好適な第2実施形態を示す。
【図4】図4は、図3に示した好適な第2実施形態による監視/娯楽システムについて、チャイルドシートの基部支持部に固定された状態と、その縦断面を示す。
【図5a】図5aは、図3および図4に示した第2実施形態による監視/娯楽システムについて可能な変形例を示す。
【図5b】図5bは、図3および図4に示した第2実施形態による監視/娯楽システムについて可能な変形例を示す。
【図5c】図5cは、図3および図4に示した第2実施形態による監視/娯楽システムについて可能な変形例を示す。
【図5d】図5dは、図3および図4に示した第2実施形態による監視/娯楽システムについて可能な変形例を示す。
【図6】図6は、図4による監視/娯楽システムを基枠の上側ヘッド領域に取り付けたチャイルドシートの斜視図である。
【図7】図7は、図3から図6に示した監視/娯楽システムを車両用座席のヘッドレストに取り付けた状態の監視/娯楽システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
チャイルドシート10の基枠11に固定された状態の本発明による監視/娯楽システム1の好適な第1実施形態を図1に示す。図示の実施形態では、監視/娯楽システム1は、電子組立品としてのDVD/ビデオ再生システム4b、4cを有し、そのフラットディスプレイ画面は、特に図1において示される。DVD/ビデオ再生システム4b、4cは成形体2内に組み込まれている。成形体2自体に固定部(図1には明示していない)を有し、これら固定部は成形体2とチャイルドシート10の基枠11との間に力学的連結を形成するように配設され、これにより、チャイルドシート10の基枠11に監視/娯楽システム1を固定する。
【0036】
図1は、チャイルドシート10のシートシェル12が車両の進行方向とは反対に向いている状態を示す。詳しくは、成形体2がチャイルドシート10の基枠11に固定された状態にあるとき、成形体2の前面2aと成形体2に組み込まれたDVD/ビデオ再生システム4b、4cは、チャイルドシート10のシートシェル12側に面している。
【0037】
図2aおよび図2bは、図1に示した基枠11のヘッド領域の詳細な説明図を示す。特に、監視/娯楽システム1が、本発明の好適な第1実施形態によってチャイルドシート10の基枠11に固定できる仕組みが明らかとなる。
【0038】
図示のように、成形体には固定部3が成形体2と一体的に形成されており、この固定部は、チャイルドシート10の基枠11上に固定部を補助するように形成されたアンカー溝17と係合させることより、成形体2をチャイルドシート10の基枠11にインターロック連結および力学的に連結させる。固定部3とアンカー溝17とは、チャイルドシートの基枠11のヘッド領域に監視/娯楽システム1を固定するために、相互に係合するように形成されている。図2aは、このために適宜な形状で構成されたさね継ぎ(tongue and groove)配列構成または鳩尾継ぎ(dovetail)配列構成等が可能であることを示す。
【0039】
監視/娯楽システム1がチャイルドシートの基枠11のヘッド領域から取り外され、監視/娯楽システム1の代わりに被覆パネル(fascia)30が挿入された状態を図2bに示す。被覆パネル30のケースには設けられていない電子組立品(DVD/ビデオ再生システム4b、4c)を除いて、被覆パネル30は図1および図2aに示すシステムに相当する。このことは、特に、成形体および対応する固定部の構造に関しても同様である。
【0040】
図3は、本発明による監視/娯楽システム1の好適な第2実施形態について、システム1がチャイルドシート10(図3には明示せず)の基枠11に装着される直前の状態を示す。第2実施形態による監視/娯楽システム1も、成形体2と、画像、フィルムまたはフィルム映像を再生/記録するための電子組立品とを有する。図1および図2による第1実施形態の場合と同様に、電子組立品は成形体2に組み込まれ保持される。更に、固定部3が成形体2に一体的に設けられ、成形体2とチャイルドシートの基枠11をインターロック連結や力学的に連結するよう配設されることが好ましい。詳しくは、この目的のために、成形体2の上面2cに、チャイルドシート10の基枠11の略水平に延びる縁部15と係合するための固定部3cが設けられ、そして、成形体2の側面2dのそれぞれには、チャイルドシート10の基枠11の略垂直に延びる縁部16と係合するための固定部3dが設けられている。当該固定部3c、3dはチャイルドシート10の基枠11のそれぞれの縁部15,16へ係合するよう対応した輪郭を有し、装着状態でそれぞれの固定部3c、3dが係合する対応する球状突起(図示せず)を基枠11が有するということも考えられる。
【0041】
固定部を一体的に設けた成形体2は僅かに湾曲した外面を有することが特に図3から分かる。その結果、特に衝突安全性に有利となる。他方、僅かに湾曲させることによって、成形体2の周辺領域2c、2dに設けたそれぞれの固定部3c、3dが、チャイルドシート10の基枠11のヘッド領域を少なくとも部分的に囲むことができ、特に監視/娯楽システム1が確実に基枠11へ固定される。
【0042】
また、図3が示すように、成形体2がチャイルドシート10の基枠11に固定される場合に、成形体2に、成形体2の後面2dとチャイルドシート10の基枠11との間にベルトガイド領域13を形成し、チャイルドシート10の締結ベルト14がガイドされるようにしてもよい。このようにベルトガイド領域13を設けることにより、チャイルドシート10の安全性と機能性が監視/娯楽システム1の設置によって影響を受けることがなくなる。
【0043】
図4は、図3の第2実施形態における別の実施態様、すなわち電子組立品としてDVDプレイヤー(DVDシステム4b)が使用されている場合を示す。図示のように、DVDは成形体2の上面2cから電子組立品に挿入することができる。また、画像、フィルムまたはフィルム映像を表示するフラットディスプレイ画面が示されている。
【0044】
図4は、更に、監視/娯楽システム1が基枠11に固定される場合の、本発明の第2実施形態による基枠11のヘッド領域の縦断面を示す。成形体2の後面2bとチャイルドシート10の基枠11との間に設けられているベルトガイド領域13は特にこの縦断面において明示されている。更に、この縦断面には、成形体2の上面2cに設けられた固定部3cと、連結状態にあるチャイルドシート10の基枠11の略水平に延びる縁部15との係合のあり方が示されている。
【0045】
図5aから図5dは、図3および図4による本発明による監視/娯楽システム1の好適な第2実施形態における別の構成を示しており、以下に簡単に説明する。
【0046】
図5aが示す実施形態では、カメラシステム4aだけが電子組立品として用いられる。カメラシステム4aには、特に、チャイルドシート(図示せず)に座る子供を監視する役割がある。優れていることは、成形体内部に、カメラシステム4aで記録した画像またはフィルム映像を、有線接続または無線で、監視モニタ(図示せず)に送信する電子部品(同様に図示せず)を備え、例えば、車両の前部座席に座る同乗者は、監視モニタを使ってチャイルドシートに座る子供を見守ることができる。
【0047】
図5bは、カメラシステム4aを電子組立品として用いる図5aに示した実施形態の側面斜視図を示し、カメラシステム4aで記録した画像またはフィルム映像を表示する監視モニタ4eを更に示す。カメラシステム4aと監視モニタ4e間のデータ送信は有線または無線で行うことができる。そのような送信方法は従来技術で知られているようなものであり、ここでは詳細に説明を行わない。
【0048】
図5cに示す実施形態では、リモートコントローラ4dにより制御可能なDVD/ビデオ再生システム4b、4cを電子組立品として用いており、DVD/ビデオ再生システム4b、4cとしては、例えば、テレビとDVDプレイヤーとを複合化したシステムが考えられる。図5bに示した実施形態には、リモートコントローラ4dを用いて表示されるプログラムを選択できるという利点がある。
【0049】
図5dは、監視/娯楽システム1がチャイルドシートの基枠11のヘッド領域から取り外され、監視/娯楽システムの代わりに被覆パネル(fascia)30が挿入された状態を示す。被覆パネル30のケースには設けられていない電子組立品(4a、4b、4c)を除けば、被覆パネル30は図5aと図3および図4とに示すシステムと同一である。このことは、特に、成形体の構造や対応する固定部の構造に関しても同様である。
【0050】
図6は、図3から図5を参照して上述した第2実施形態による監視/娯楽システム1を用いたチャイルドシートの斜視図を示す。特に、監視/娯楽システム1の成形体2に設けられた固定部3がチャイルドシート10の基枠のヘッド領域を部分的に囲んでいることが図6から分かる。
【0051】
本発明による監視/娯楽システム1は、上述した実施形態およびその他の選択可能な構成の全てにおいて、固定部3がチャイルドシート10の基枠11に対して解除可能な連結、特に、手動で解除できるように連結しているので、監視/娯楽システム1は、特殊な工具を用いることなく、チャイルドシート10の基枠11から簡単に取り外すことができる。
【0052】
図7は、図3から図6を参照して上述した好適な第2実施形態による監視/娯楽システム1をチャイルドシート10の基枠11から取り外し、車両用座席20のヘッドレスト21に組み付けた状態を示す。この構成において、成形体2を車両用座席20のヘッドレスト21に固定する場合、成形体2の前面2aと成形体2に組み込まれた少なくとも一つの電子組立品(ここではDVD/ビデオ再生システム4b、4c)とは、チャイルドシート10のシートシェル12と向き合っており、このとき、チャイルドシート10のシートシェル12は進行方向に向いている。特に、成形体2に設けた固定部3によって、監視/娯楽システム1は車両用座席20のヘッドレスト21へ固定され、監視/娯楽システム1とヘッドレスト21つまり車両用座席20との間に力学的連結を成立させる。
【0053】
図7には暗示するのみであるが、固定部3に加えて、更に固定手段(図示せず)を設けることも可能である。これらの増設固定手段は、特に、車両用ヘッドレストの様々なタイプに対して調整可能であり、マジックテープ式ファスナシステムを用いることにより、車両用座席20のヘッドレスト21への監視/娯楽システムの固定をより一層補強することも考えられる。また、チャイルドシート10の基枠11に成形体2を固定する場合に、増設固定手段を用いることも無論可能である。
【0054】
本発明の実現は図1から図7で説明した例示的な実施形態に限られず、多数の変形も可能であることを指摘しておく必要がある。特に、成形体2に設けられる固定部3の性質と構成は、図示した構成と異なってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 監視/娯楽システム
2 成形体
2a 成形体の前面
2b 成形体の後面
2c 成形体の上面
2d 成形体の側面
3,3c,3d 固定部
4a カメラシステム(電子組立品)
4b DVDシステム(電子組立品)
4c ビデオ再生システム(電子組立品)
4d リモートコントローラ
4e 監視モニタ
10 チャイルドシート
11 基枠
12 シートシェル
13 ベルトガイド領域
14 締結ベルト
15,16 縁部
17 アンカー溝
20 車両用座席
21 ヘッドレスト
30 被覆パネル(fascia)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャイルドシート(10)に座る子供を監視及び/又は楽しませたりするためのチャイルドシート用の監視及び/又は娯楽システム(1)であって、
画像、フィルムまたはフィルム映像を表示及び/又は記録する少なくとも一つの電子組立品(4a、4b、4c)と、
少なくとも一つの該電子組立品(4a、4b、4c)が取り付けられ保持される成形体(2)と、を備え、
前記成形体(2)は、前記成形体(2)と一体的に形成された少なくとも一つの固定部(3)を有し、該固定部(3)は前記チャイルドシート(10)の基枠(11)と力学的に連結できるように配設されることにより、前記監視及び/又は娯楽システム(1)を前記チャイルドシート(10)の該基枠(11)に固定し、前記成形体(2)の前面(2a)および前記成形体(2)が前記チャイルドシート(10)の基枠(11)に組み付けられた状態における成形体(2)に組み付けられた少なくとも一つの前記電子組立品(4a、4b、4c)は、前記チャイルドシート(10)のシートシェル(12)の向きが進行方向と反対方向に位置調整されているとき、前記チャイルドシート(10)の該シートシェル(12)と向かい合っており、
前記少なくとも一つの電子組立品(4a、4b、4c)は、チャイルドシート(10)に座る子供を監視するためのカメラシステム(4a)を有し、
当該監視及び/又は娯楽システム(1)は、前記カメラシステム(4a)で記録した画像またはフィルム映像を表示する監視モニタ(4e)を更に備えていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記成形体(2)は、前記チャイルドシート(10)の前記基枠(11)内にまたは前記基枠(11)上にインターロック連結により組み付けられるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記成形体(2)は、該成形体(2)が前記チャイルドシート(10)の前記基枠(11)に固定された状態において、該成形体(2)の後面(2b)と該チャイルドシート(10)の該基枠(11)との間に、該チャイルドシート(10)の締結ベルト(14)が案内されるベルトガイド領域(13)を形成するように構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記成形体(2)の少なくとも一つの前記固定部(3)は、該成形体(2)の上面(2c)に設けられて前記チャイルドシート(10)の前記基枠(11)の略水平に延びる縁部(15)と係合する少なくとも一つの固定部(3c)、及び/又は、前記成形体(2)の側面(2)の一方に設けられて前記チャイルドシート(10)の前記基枠(11)の略垂直に延びる縁部(16)と係合する少なくとも一つの固定部(3d)を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも一つの前記固定部(3)は、チャイルドシート(10)の基枠(11)に設けられたアンカー溝に係合する輪郭を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも一つの前記固定部(3)と前記アンカー溝は、さね継ぎ配列構成または鳩尾継ぎ配列構成に配設されていることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも一つの前記固定部(3)は、前記基枠(11)のヘッド領域を少なくとも部分的に囲むように構成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記成形体(2)に設けられた少なくとも一つの前記固定部(3)は、前記監視及び/又は娯楽システム(1)が前記チャイルドシート(10)の前記基枠(11)から離脱できるように、チャイルドシート(10)の基枠(11)と解除可能な連結を形成するように配設されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記成形体(2)に設けられた少なくとも一つの前記固定部(3)は、前記監視及び/又は娯楽システム(1)が車両用座席(20)のヘッドレスト(21)部に嵌めることができるようにも配設され、該成形体(2)が車両用座席(20)のヘッドレスト(21)部に嵌っている状態にあるとき、該成形体(2)の前面(2a)および該成形体(2)に組み付けられた少なくとも一つの前記電子組立品(4a、4b、4c)とは、前記チャイルドシート(10)の前記シートシェル(12)の向きが進行方向に位置調整されているときの前記チャイルドシート(10)のシートシェル(12)と向かい合っていることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記成形体(2)には、車両用座席用ヘッドレストの異なるタイプ、及び/又は、チャイルドシート基部支持部のタイプについて調整可能な増設固定手段を設けることを特徴とする請求項9に記載のシステム。


【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−31676(P2013−31676A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−214032(P2012−214032)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【分割の表示】特願2009−521116(P2009−521116)の分割
【原出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(508159042)サイベックス インダストリアル リミテッド (3)
【Fターム(参考)】