説明

チューインガムの包装構造

【課題】チューインガムの使用に際しチューインガム片を1枚づつ外装箱から容易に取出せると共に残りのチューインガム片がポケットやバッグ内で散逸することのないチューインガムの包装構造を提供する。
【解決手段】チューインガムの包装構造において、外装箱は、本体部分(12)、キャップ部分(11)、及びキャップ部分を本体部分から少なくとも部分的に切り離すための帯封(13)を備える。銀紙(32)は、チューインガム片の全表面を覆うと共にキャップ部分に収容されるチューインガム片上に折返し部分(33)を有する。個装紙(22)は銀紙に包まれたチューインガム片を少なくとも折返し部分を除いて包むと共に外装箱本体部分本体部分内面に固着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取出し易く散逸しないチューインガムの包装構造に関する。より詳しくは、本発明は、銀紙に包まれた薄板状のチューインガム片(一般に「板ガム」と呼ばれるもの。)を複数枚積重ねて外装箱内に収容し、チューインガムの使用に際しチューインガム片を1枚づつ外外装箱から容易に取出せると共に残りのチューインガム片がポケットやバッグ内で散逸することのないチューインガムの包装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
市販のチューインガムの形態のうち最も一般的なものは、銀紙に包まれた薄板状のチューインガム片を複数枚積重ねて外装箱内に収容し、チューインガムの使用に際しチューインガム片を1枚づつ外装箱から取出せるようにしたものである。このようなチューインガムは、一般的にバッグや着衣のポケットに収容され携帯されて、使用時に外装箱から取出される。
【0003】
特許文献1は、銀紙18に包まれた薄板状のチューインガム片16をハウジング14内に複数枚収容し、バネ34を用いて最上部のチューインガム片をハウジング上方の開口24付近へ押し上げ、開口24を介し親指で移動させハウジング前部の出口50を介して取出すことができるようにしたチューインガム分与器を開示する。特許文献2及び特許文献3は、薄板状のチューインガム片が外装の封を切った後に一枚一枚ばらばらになることなく、一束の形で所持できるようにしたチューインガムの包装帯を開示する。特許文献2、3のチューインガムは、開封後最初の1枚のチューインガム片を取出した後の残りのチューインガム片が散逸し易い問題を解決するが、帯で束ねられたチューインガム片が外装箱本体部分からまとまって出てきてしまう問題を有する。チューインガム片は、本体部分に収容していないと、銀紙の折り目がほころび衛生面が損なわれ、また製品としての美観が損われる。
【特許文献1】米国特許第4465208号明細書
【特許文献2】実開平2−138584号公報
【特許文献3】米国特許第2380367号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、銀紙に包まれた薄板状のチューインガム片を複数枚積重ねて外装箱内に収容し、チューインガムの使用に際しチューインガム片を1枚づつ外装箱本体部分から容易に取出せると共に残りのチューインガム片がポケットやバッグ内で散逸することのないチューインガムの包装構造を提供することにあり、そのようなチューインガムの包装構造を簡単化し安価に提供することにある。本発明の別の目的は、積層状態の多数のチューインガム片から最上部のチューインガム片を片手により押出した状態とすることができるチューインガムの包装構造を提供することにある。本発明のその他の目的及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を参照することにより明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のチューインガムの包装構造は、外装箱内に銀紙及び個装紙に包まれた薄板状のチューインガム片を複数枚積重ねた状態で収容する。本発明のチューインガムの包装構造において、外装箱は、本体部分(12)、キャップ部分(11)、及びキャップ部分を本体部分から少なくとも部分的に切り離すための帯封(13)を備える。銀紙(32)は、チューインガム片の全表面を覆うと共にキャップ部分に収容されるチューインガム片上に折返し部分(33)を有する。個装紙(22)は、銀紙に包まれたチューインガム片を少なくとも折返し部分を除いて包み、外装箱本体部分に対し移動しない構成を備え、個装紙に対しチューインガム片を包む銀紙を摺動させるとき両者の間に所定値以上の摩擦力が生じるようにされ、銀紙に包まれた各チューインガム片は外装箱本体部分から1000g重未満の引張力では引出されない。
【0006】
本発明のチューインガムの包装構造は、次の構成を含むことができる。(1)前記個装紙(22)は、帯状部材により束ねられ、帯状部材は外装箱本体部分に接着される。(2)前記個装紙(22)は、帯状部材により束ねられ、前記外装箱本体部分の内面又は前記帯状部材の外面はすべり摩擦を増加するための凹凸又はコーティングを有する。(3)前記外装箱本体部分の内面又は前記個装紙の外面は、すべり摩擦を増加するための凹凸又はコーティングを有する。(4)隣接する個装紙が互いに固着される。(5)個装紙(22)はキャップ部分を切離したとき外装箱本体部分から露出されるチューインガム片の部分を覆わないように設けられる。(6)前記折返し部分(33)は指によって摘むことが容易な寸法である。(7)前記帯状部材の外面は外装箱本体部分の内面に接着される。(8)前記個装紙(22)は、帯状部材内面に接着される。(9)前記外装箱本体部分の内面又は前記帯状部材の外面はすべり摩擦を増加するためのコーティングは、シリコーンやゴムなどの高分子材料により形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は薄板状のチューインガム片2を複数枚積重ねて外装箱10内に収容した本発明の実施例のチューインガム包装構造1の外観斜視図であり、図2は図1のチューインガム包装構造の平面B−Bにおける断面図である。図3は、本発明によるチューインガム包装構造の多数のチューインガム片から最上部のチューインガム片を片手により押出した状態を示す概略図であり、図4は、図3により押出された最上部のチューインガム片をチューインガム包装構造から引離す状態を示す概略図である。図1及び図2に示すチューインガム包装構造1は、外装箱10内に銀紙32及び個装紙22に包まれた薄板状のチューインガム片2を複数枚積重ねた状態で収容する。外装箱10は、本体部分12、キャップ部分11、及びキャップ部分11を本体部分12から少なくとも部分的に切り離すための帯封13を備える。
【0008】
図5は、外装箱のキャップ部分を切り離した状態のチューインガム包装構造の側面図であり、図6は、1枚のチューインガム片2の平面図、図7は、図6のチューインガム片の側面図である。図8は、他の形態の1枚のチューインガム片2の平面図、図9は、図8のチューインガム片の側面図である。図11は、図1の外装箱の切り離されたキャップ部分及び帯封13の概略斜視図である。
【0009】
図6乃至図9に示すように、銀紙32は、チューインガム片2の全表面を覆うと共にキャップ部分に収容されるチューインガム片上に折返し部分33を有する。個装紙22は銀紙32に包まれたチューインガム片2を少なくとも折返し部分33を除いて包む。外装箱本体部分から1000g重未満の引張力では引出されない性質を備えるように、外装箱本体部分の内面は、滑り摩擦力が増大するように、表面エンボスかけ、滑り難い樹脂コーティング等の表面処理を施すことができる。また外装箱本体部分から1000g重未満の引張力では引出されない性質を備えるように、隣接する個装紙は、例えば、その外面がすべり摩擦を増加するための凹凸又は滑り難い樹脂コーティングを有する。図6及び図7は、個装紙22が凹部25及び凸部26を備えたチューインガム片2を示す。
【0010】
図8及び図9に示すように、銀紙32は、チューインガム片2の全表面を覆うと共にキャップ部分に収容されるチューインガム片上に折返し部分33を有する。個装紙22は銀紙32に包まれたチューインガム片2を少なくとも折返し部分33を除いて包む。外装箱本体部分から1000g重未満の引張力では引出されない性質を備えるように、外装箱本体部分の内面は、滑り摩擦力が増大するように、表面エンボスかけ、滑り難い樹脂コーティング等の表面処理を施すことができる。また外装箱本体部分から1000g重未満の引張力では引出されない性質を備えるように、隣接する個装紙は、例えば、外装箱本体部分内面と個装紙外面の間及び隣接する個装紙外面の間を接着剤23により固着することができる。
【0011】
外装箱10において、キャップ部分11を本体部分12から部分的に切り離すための帯封13は、図1に示すように、その一端14が外装箱1の側壁から突出され指により容易に摘み引くことにより帯封13を外装箱1から引離し、外装箱のキャップ部分11を本体部分12から切り離すことができる構造とされる。図11は、図1の外装箱の切り離されたキャップ部分11及び帯封13の概略斜視図である。
【0012】
図3乃至図5に示すように、外装箱10のキャップ部分11を切り離した状態のチューインガム包装構造において、チューインガム片2の折返し部分33がチューインガム片の長手方向に寸法Fだけ露出された状態となり、図3に示すように、外装箱の本体12を掌46、中指43、薬指44で掴み、チューインガム片2の銀紙の寸法F部分を親指41で押出すことにより、積層状態の多数のチューインガム片から最上部のチューインガム片を片手のみで押出した状態とすることができる。この状態から最上部のチューインガム片2の折返し部分33を図4に示すように指で掴み、チューインガム片2を残りの他のチューインガム片2から離すことができ、その後、銀紙を除いて口へ入れることができる。
【0013】
図3及び第5図に示すように、キャップ部分11の縦寸法Fは、親指で押出すことが可能な寸法、例えば1cm以上とされる。外装箱の本体12の縦寸法Eは、掌46、中指43、薬指44で掴むことができるように3cm以上とされる。キャップ部分11を切り離した状態において、個装紙22の外装箱の本体12端部より露出する縦寸法Gは、数mm以下とすることができる。図8及び図9に示す隣接する個装紙22を互いに結合する接着剤23は、個装紙22上の適宜の個所に適宜の形状で設けることができる。
【0014】
図10は、外装箱を除いた状態の更に別の形態のチューインガム片の束を示す斜視図である。図10において、それぞれ銀紙32に包まれ個装紙22を巻き付けられた複数のチューインガム片2(この場合10個)は、帯状部材36により束にされ図示しない外装箱内に収容される。外装箱の内面と帯状部材36との間、帯状部材36と各個装紙22の間は、接着剤等により固着され、キャップ部分を除いた外装箱の開封状態において、チューインガム片の束は、外装箱本体部分から出ないようにされる。個装紙22と銀紙の間は、銀紙に包まれたチューインガム片が外装箱本体部分から1000g重未満の引張力では引出されないように、比較的大きな摩擦力が作用するようにされる。例えば、個装紙22は銀紙に包まれたチューインガム片を締め付ける。図11に示す帯封13は、外装箱22の外面に貼着した高強度のテープとすることができる。
【0015】
次に、チューインガム片の散逸性に関する実験結果を説明する。(a)従来の外装箱内に銀紙及び個装紙に包まれた薄板状のチューインガム片を9枚積重ねた状態で収容するチューインガム(キャドバリー・ジャパン製、クロレッツXP9枚入り)について、キャップ部分を除いて外装箱を開封し、チューインガム片1枚を取出した後で外装箱の開放部を垂直に下向きにすると、残りのチューインガム片は、重力により外装箱本体部分から落下し散逸した。(b)市販の外装箱内に銀紙及び個装紙に包まれた薄板状のチューインガム片を18枚積重ね且つ帯で束ねた状態で収容するチューインガムについて、外装箱を開封し、チューインガム片1枚を取出した後で外装箱の開放部を垂直に下向きにした。残りのチューインガム片は、外装箱から落下しなかった。(c)本発明の上記実施例の包装構造の薄板状のチューインガム片を9枚積重ねた状態で収容するチューインガムについて、外装箱を開封し、チューインガム片1枚を取出した後で外装箱の開放部を垂直に下向きにした。残りのチューインガム片は、外装箱から落下しなかった。
【0016】
次に、チューインガム片の取出し引張力に関する実験結果を説明する。この実験では、上記(a)乃至(c)の3種類のキャップ部分を除いて外装箱を開封したチューインガムを、開封部の反対端において引張り試験機のステージ上に固定し、露出した銀紙又は個装紙をクリップで把持すると共にそのクリップを引張り試験機の測定部位に連結した。試験条件は、次の通り。温度は室温、湿度40−60%、測定機器はStable Micro Systems社製(英国)Texture Analyser TA-XT2i、引張速度は、初速1.0mm/秒、中間速度30.0mm/秒、後速度10.0mm/秒、距離60.0mm、トリガーは1g。解析方法は、解析ソフトとしてTexture Expert for Windows(登録商標)を使用し、時間(秒)に対して引張力(g重)をプロットしてその最大値を評価した。
【0017】
この状態で、引張り試験機を作動させ、クリップを所定速度で引張り上げて9枚又は18枚のチューインガム片を一度に引張り上げるのに必要な引張り力を測定した。その結果、上記(a)のチューインガムについては、254.5g重(3回の測定値の平均)、(b)のチューインガムについては、925.8g重(3回の測定値の平均)であり、(c)本発明の上記実施例の包装構造の薄板状のチューインガム片を9枚積重ねた状態で収容するチューインガムについては、1000g重、1200g重、1250g重、1500g重、1750g重、2000g重、2500g重のいずれの場合も個装紙は、外装箱本体部分の外へ引出されなかった。
【0018】
本発明のチューインガムの包装構造は、銀紙及び個装紙に包まれた薄板状のチューインガム片を複数枚積重ねて外装箱内に収容し、個装紙は相互に接着されるので、チューインガムの使用に際し使用するチューインガム片を取出した後の残りのチューインガム片はポケットやバッグ内で散逸することがない。また使用するチューインガム片は、キャップ部分11を切り離した状態のチューインガム包装構造から、片手により押出すことができ、便利である。更に本発明のチューインガムの包装構造は、構造が簡単であるため機能の追加による製造費用の増加は、僅かである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】薄板状のチューインガム片を外装箱に収容したチューインガム包装構造の斜視図。
【図2】図1のチューインガム包装構造の平面B−Bにおける断面図。
【図3】本発明によるチューインガム包装構造の多数のチューインガム片から最上部のチューインガム片を片手により押出した状態を示す概略図。
【図4】図3により押出された最上部のチューインガム片をチューインガム包装構造から引離す状態を示す概略図。
【図5】外箱のキャップ部分を切り離した状態のチューインガム包装構造の側面図。
【図6】1枚のチューインガム片の平面図。
【図7】図8のチューインガム片の側面図。
【図8】他の形態の1枚のチューインガム片の平面図。
【図9】図8のチューインガム片の側面図。
【図10】外装箱を除いた状態の更に別の形態のチューインガム片の束を示す斜視図。
【図11】図1の外装箱の切り離されたキャップ部分の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1:チューインガム包装構造、2:チューインガム片、10:外装箱、11:キャップ部分、12:本体部分、13:帯封、14:耳片、22:個装紙、23:接着剤、25:個装紙の凹部、26:個装紙の凸部、32:銀紙、33:折返し部分、36:帯状部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装箱内に銀紙及び個装紙に包まれた薄板状のチューインガム片を複数枚積重ねた状態で収容するチューインガムの包装構造であって、
外装箱は、本体部分(12)、キャップ部分(11)、及びキャップ部分を本体部分から少なくとも部分的に切り離すための帯封(13)を備え、
銀紙(32)はチューインガム片の全表面を覆うと共にキャップ部分に収容されるチューインガム片上に折返し部分(33)を有し、
個装紙(22)は、銀紙に包まれたチューインガム片を少なくとも折返し部分を除いて包むと共に、外装箱本体部分に対し移動しない構成を備え、
個装紙に対しチューインガム片を包む銀紙を摺動させるとき両者の間に所定値以上の摩擦力が生じるようにされ、銀紙に包まれた各チューインガム片は外装箱本体部分から1000g重未満の引張力では引出されないことを特徴とするチューインガムの包装構造。
【請求項2】
前記個装紙(22)は、帯状部材により束ねられ、該帯状部材は外装箱本体部分に接着されることを特徴とするチューインガムの包装構造。
【請求項3】
前記個装紙(22)は、帯状部材により束ねられ、前記外装箱本体部分の内面又は前記帯状部材の外面はすべり摩擦を増加するための凹凸又はコーティングを有する請求項1のチューインガムの包装構造。
【請求項4】
前記外装箱本体部分の内面又は前記個装紙の外面はすべり摩擦を増加するための凹凸又はコーティングを有する請求項1のチューインガムの包装構造。
【請求項5】
前記個装紙が外装箱本体部分の内面に接着され且つ隣接する個装紙が互いに固着される請求項1のチューインガムの包装構造。
【請求項6】
前記個装紙(22)はキャップ部分を切離したとき外装箱本体部分から露出されるチューインガム片の部分を覆わないように設けられる請求項1乃至4のいずれか1項のチューインガムの包装構造。
【請求項7】
前記折返し部分(33)は指によって摘むことが容易な寸法である請求項1乃至4のいずれか1項のチューインガムの包装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−75098(P2006−75098A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263562(P2004−263562)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(503203649)キャドバリー・ジャパン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】