説明

チューブ状自由成形製品およびその製造方法

【課題】本発明の目的は、低いグリーン強度を有する材料から作られた自由成形のホースを作るための製造方法を提供すること。
【解決手段】押出しダイと少なくとも2つの押出し機バレル/ヘッドとを含む押出し装置において、少なくとも2つの異なったポリマーを共押出しすることにより、内側ポリマー層および外側ポリマー層を持つチューブ状の自由成形製品を製造する。押出し装置は、チューブ状の押出し製品を形成するために適用される推出しダイ、および内側ポリマー層(A)および外側ポリマー層(B)を含むチューブ状のポリマー押出し製品を形成するために、前記押出しダイを通してポリマーを押出すように適用される少なくとも2つの押出し機バレル/ヘッドを含む。押出しダイは、圧力ホース、好適には加熱圧力ホースを通って押出しバレルに連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出しダイおよび少なくとも2つの押出し機バレル/ヘッドを含む押出し機装置において、少なくとも2つの異なったポリマーを共押出しをすることによって、内側ポリマー層と外側ポリマー層とを持つチューブ状の自由成形製品に関する。本発明はさらに、少なくとも2層の異なったポリマーを含み、本発明に従ったプロセスによって得られるチューブ状の自由成形製品に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンおよび車体を組立てた後で、水、燃料、空気および圧力系統により、異なった集合体間の導体連結を達成しなければならない。自動車ボンネット下の狭い空間のために、エンジン、クーラー、ラジエターおよび燃料タンクなどの連結に使われるホースは、色々なエンジンや車体に個々に適応しなければならない。自動車ボンネット下の利用可能な空間に依存して、ホースの形状は非常に複雑になるかも知れない。
【0003】
その結果、特に冷却液および/または燃料系統において、ボンネット下に適用して過酷な環境条件に対して充分な耐性と複雑な形状とを持つホースの強いニーズがある。
【0004】
自動車ホースは、過度に厳しい環境にさらされる。ホースの異なる場所における色々な圧力および温度や特別の回路における色々な直径の異なったホースを含む因子は、化学的暴露と同様に高度に厳格なホースのニーズになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、幾つかの燃料系統および冷却液ホースは、ナイロン/TPV構造において、従来からの直接押出しまたは共押出しによって作られている。チューブ形成は熱成形または熱固定化技術を使うオフラインで行われる。形成されるグリーンチュ−ブは成形装置にマニュアルで合わされ、その後に、成形されたチューブは手で取り出さなければならないから、オフライン形成は費用のかかる労働集約的プロセスである。開放空気中において、熱処理のために、製品の表面においてある種の劣化が発生する可能性もある。
【0006】
商業的に利用可能な燃料系統および冷却液ホースは部分的に波形形状である。しかし、これらの波型形状部分は、内側表面上でなめらかなチューブよりも流れに対してより大きな抵抗を生じる可能性もある。さらに、そのような部分には堆積物を形成する可能性もある。
【0007】
US-A-5,336,349は、押出し機および加熱圧力ホースを経由して加熱押出しダイへ熱可塑性エラストマーを供給することにより、製品の表面に造形ガスケットを提供するための装置に関するものである。押出しダイはロボットにより運ばれ、またエラストマーは、その表面上に押出しダイを用いて押し出され置かれる。その結果、得られるプロファイル形状は、主に支持している表面の形状に依存している。
【0008】
幾つかの重要なポリマーの低いグリーン強度のおかげで、車燃料系統の製造に用いられるポリアミドの例に関して、支持構造の表面と独立した押出し製品の自由成形を開示された方法によっては作ることができないから、3次元成形の自立構造製品を望む時に、US-A-5,336,349によって開示されたプロセスを適用することはできない。不十分なグリーン強度を持つそのようなポリマーの場合には、チューブ状押出し製品は、ダイオリフィスを離した後に即座に壊れるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
それゆえ、低いグリーン強度を有する材料から作られた自由成形のホースを作るための製造方法を提供することが、本発明の基本的な目的である。
【0010】
適切なグリーン強度を持つ第二の近接した支持層によって、不十分なグリーン強度を有するポリマーから得られる高分子層を支持することにより、この目的を達成できるということが驚くべきことに発見された。たとえば、不十分なグリーン強度を有するポリマーの押出されたチューブ状製品の内側および/または外側に、適切なグリーン強度を有するポリマー層は、ダイオリフィスを離した後においても支持される層の崩壊を防ぐ。両方の層(支持する層および支持される層)は、複雑な形状の望ましいチューブ状製品を得るために、ポリマーを共押出しすることにより、また同時形成操作により、1ショットで形成できる。
【0011】
(本発明の要約)
第1の実施形態において、本発明はチューブ状の形状をした共押出し製品を製造するための方法に関する。以下を含む押出し装置において、少なくとも2つの異なるポリマー(A)および(B)を処理することを含む。
【0012】
・チューブ状の押出し製品を形成するために適用される押出しダイ、および
・内側ポリマー層(A)および外側ポリマー層(B)を含むチューブ状のポリマー押出し製品を形成するために、前記押出しダイを通してポリマーを押出すために適用される少なくとも2つの押出しバレル/ヘッド
ここで、前記押出しバレルは、ロボットハンドリングユニットに、制御できるように連結される前記押出しダイを通して送り出す。
【0013】
本発明の好適な実施形態において、押出しダイは、圧力ホース、好適には加熱圧力ホースを通って押出しバレルに連結される。
【0014】
さらに好適には、本発明は上述の方法によって得られるチューブ状の成形製品に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(本発明の詳細な説明)
本発明と関連して、用語「グリーン強度」とは、押出しダイオリフィスを除去した後に押出し製品を固化する前に形状のゆがみを最小化するために必要な構造的完全性を言う。不十分なグリーン強度を有するポリマーは、押出しダイのダイオリフィスを除去した後に構造的完全性を即座に失う。対照的に、適切なグリーン強度を有するポリマーは、ダイを離れた後もその形状を維持する。
【0016】
共押出し製品の構造的完全性を評価するために使われる用語「適切な」および「不十分な」グリーン強度とは、お互いに対して押出された層の構造的完全性を説明する。
【0017】
本発明と関連した用語「チューブ状」とは、プロファイル、チューブ、パイプまたはホースを含む押出し製品/パリソン、および、外内唇または外内鼻で提供されるホースまたはプロファイルのような複雑な形状製品の一般的チューブ様形状を意味する。
【0018】
本発明に従って使われる共押出し装置は、コーニルズ(Cornils)らのUS特許5,336,349において述べられているようにロボット押出し組立品に類似する。その開示は、参照することにより本発明に完全に含まれる。共押出し技術および共押出しダイは従来技術であり、当業者に周知である。
【0019】
本発明に従って、少なくとも2つの異なったポリマーが別個の押出し機を通して送られる。
【0020】
本発明の好適な実施形態において、押出しバレルは、フレキシブルな圧力ホースを用いて加熱押出しダイに連結される。代替の実施形態において、少なくとも一つの押出し機がダイにストレートにつながり、それと一緒に動く。
【0021】
押出しダイはロボットハンドリング(操作)ユニットに、制御できるように連結される。ロボットハンドリングユニットによって導かれ、少なくとも2つのポリマーは、共押出しされ、ハンドリングユニットの動作によって3次元的方法で同時に成形される。この結合において、語句「制御できるように連結される」は、ダイが少なくとも2次元的に、好適には3次元的に動くということを意味する。
【0022】
本発明のさらに好適な実施形態において、本発明の方法によって得られた成形品は、製品をそれが後で取り外しできる室温まで冷却させるために、好適に前もって成形された補助品表面上に横たえることができる。
【0023】
本発明に従った方法において、必要なプロセス温度および粘性になるまで、ポリマー材料を可塑化する外部シリンダーヒーターを含む共通のスクリュー押出し機を使っても良い。溶融ポリマーが別個のフレキシブル高圧ホースを経由して、各々の押出し機の送り出しゾーンから押出しダイへ供給される。これらの圧力ホースの各々は適切な加熱装置を持っている。そのホースは、溶融した粘性ポリマーを処理するために必要な高圧に耐えることができなければならない。
【0024】
押出しダイは、ポリマーを処理するために充分に高められた温度まで適当な加熱装置を用いて加熱される。そのダイはロボットによって運ばれる。必要に応じて、圧力ホースは約20cmから約6.0mまでの長さ、および5mmから50mmまでの直径を有していても良い。
【0025】
ロボット押出し機についてさらに特別な場合として、コーニルズらのUS特許5,336,349にレファレンスがあり、その開示は、参照することにより全体的に本発明に含まれる。
【0026】
成形された押出し製品を生産するために、乾燥ポリマー類/ポリマーブレンドは、約24:1から約60:1の範囲のバレルの長さ/直径(L/D)比を持つ細長バレル押出し装置において、典型的に処理される。押出し機は、約2.5:1より大きな圧縮比で、また、バレル内の融液上で、好適には溝つきバレル部分の入り口帯において、実質的に定圧で、、提供するスクリューを備えている。一つの実施形態において、前記バレルの直径は約2.54cmから約15.24cmの範囲にある。押出し製品は、タンデム型または2軸スクリュー型押出し機において生産しても良い。技術的に従来から周知のゴムを処理する場合には、ゴム押出し機を使うこともできる。
【0027】
典型的な押出し温度は一般に約80℃から約300℃の範囲であり、好適には約100℃から約250℃の範囲である。ゴムの押出し機は約80℃から約100℃、好適には約80℃から約100℃の範囲の温度で処理される。
【0028】
本発明に従ったプロセスで使われる共押出しダイは、特定種類の押出しダイのいずれにも限定されない。
【0029】
もし繊維強化ポリマーが本発明の一つの実施形態に従って使われるなら、押出し製品内の繊維方向の制御を容易にする押出しダイが好適に使われる。好適な実施形態において、心棒拡張ダイまたはダム型ダイを使うこともできる。そのようなダイはUS-A-4,057,610およびUS-A-4,057,617において開示され、その開示は、参照することにより本発明に完全に含まれる。その繊維方向はダイタイプにより決定することができる。
【0030】
さらに好適な実施形態において、L.A.Goettler、A.J.Lambright、R.I.LeibおよびP.J.DiMauroがミシガン州デトロイトにおいて1980年10月10日にアメリカ化学協会のゴム部会会合で開示したように、押出しダイは、お互いに対して動作/オフセットし、その結果、溝付きダイ通路における偏心を生じさせることができる、内部ダイ部材(心棒)および外部ダイ部材を含む、移動心棒拡張ダイである。この組立てに関して、心棒拡張押出しダイの内側および外側部分をオフセットすることによって鋭い曲げが形成され、ロボットハンドリングユニットの動作によってより広い曲げを形成しても良い。さらに、本発明に従って使われるダイは、少なくとも異なったポリマーの共押出しを容易にするために適用される。
【0031】
さらに、曲げ部の内側および外側に一定の壁の厚さを持つ押出し製品を得るために、内側または外側ダイ部品をオフセットして、ロボットハンドリングユニットの動作を調整しても良い。
【0032】
ロボット押出し機と移動ダイ技術との結合は次の利点につながる。
【0033】
(i)押出し機/押出しダイと押出し製品との立体的相互作用をハンドリングユニットの個々の動作により回避することができる。押出し機、押出しダイまたはハンドリングユニットとの接触から押出し製品を守るために、ハンドリングユニットで調整されているダイの出口オリフィスは、押出し機/ハンドリングユニットから離れた方向へ向けられている。
【0034】
(ii) ロボットハンドリングユニットを経由して成形により生じる押出し製品の壁の厚さの違いを、結合した移動ダイ技術により補正することができる。たとえば、ロボットハンドリングユニットの過度の動作は、一般に外側に伸びて(大きな半径)内側に縮んだ(小さな半径)曲げになる。この結果、曲げ部における内側の壁の厚みは、曲げ部における外側の壁の厚みに比較して厚くなるだろう。たとえ溝付きダイ通路が曲げ部で内側に狭く外側に広いとしても、ダイの内側または外側部分をオフセットすることにより、異なった壁の厚さの形成を是正する。
【0035】
本発明のさらなる実施形態において、得られる製品はその後の吹き込み工程にて処理することができる。こうして、その製品を直接ダイに押出すことができ、最終の形状および大きさまでそれを吹き込むことができる。
【0036】
一般に、本発明に従って、熱可塑性物質、熱可塑性エラストマー(TPE)または加硫化ゴムのような、加熱や加圧をすることによりダイを通して押出すことが可能な、どんなポリマーまたはポリマーブレンドも使うことができる。
【0037】
内側層(A)および外側層(B)に使われるポリマーの選択は主に、得られるチューブ製品の目的とする使い方に依存する。
【0038】
チューブ状製品が燃料系統として使われる場合には、内側層に燃料耐性ポリマーを使う必要がある。そのような燃料耐性ポリマーは、たとえば、不十分なグリーン強度に一般に苦しむ熱可塑性ポリアミドにより代表される。その結果、押出し後に、しかし空気中でまたは水中で冷却する前に、即座に押出し製品の形状を維持するために、適切なグリーン強度を持つ外側層のポリマーによって、内側ポリアミド層を補強しなければならない。好適には、熱可塑性エラストマー(TPE)または加硫化ゴムのような熱可塑性ポリマーおよびエラストマー系ポリマーから、そのような補強するポリマーを選ばなければならない。
【0039】
外側層が装飾目的に意図されている場合、たとえば、内側層が、ホースの貧弱な外見につながる強化繊維を含む場合には、より良好な表面外観を示すポリマー、たとえば非繊維強化TPVまたはポリオレフィンから外側層が作られる。
【0040】
熱可塑性ポリマー(熱可塑性物質)は本発明の目的に特に適切である。その例は、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステルポリマー、たとえばポリ(エチレンテレフタレート)など、ABSコポリマー、およびポリアミド、たとえばナイロン(Nylon)6,4.6,6.6、11またはナイロン(Nylon)12である。
【0041】
一般に、両方のポリマーの結合が適切なグリーン強度を持つ共押出し製品につながる方法で、ポリマーがお互いに選ばれる。すなわち、構造的完全性を失わずに、または形状変形に苦しまずにそれを自由成形することができる。
【0042】
押出し可能なポリマーの好適な種類は、エラストマー系ポリマーによって代表される。本発明に従って、用語「加硫化エラストマー」および「加硫化ゴム」は同義的に用いることができる。
【0043】
加硫化エラストマー/ゴムは一種類の押出し可能な弾性重合体、特に加硫化ジエン含有エラストマーを含む。天然または合成ゴムまたはその混合物のいずれでも申し分がない。しかし、シリコンゴムまたはフッ化ゴムのような非ジエンゴムも申し分がない。適切な合成ゴムの説明に役立つ実例は、シス-4-ポリブタジエン、ブチルゴム、ネオプレン、エチレン/プロピレン/非共役ジエン(EPDM)コポリマー、1,3-ブタジエンのポリマー、イソプレンのポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマーおよび他のモノマー(たとえば、スチレン、アクリロニトリル、イソブチレンおよびアクリル酸メチル(メタン))を有する1,3-ブタジエンのコポリマーである。加硫化ゴムから得られた成形品は共押出し後に加硫処理されなければならない。そのようなゴムの加硫処理は、加硫化物質の存在下で成形品を加熱処理することにより一般に行われる。当業者は、適切な、分量、硬化システムの種類およびゴムの部分的または全体的加硫化を行うために必要な加硫化条件を理解するであろう。本発明の好適な実施形態において、少なくとも1層の押出し製品、好適には支持する層、は硫化処理を必要としない熱可塑性エラストマー(TPE)から作られ、軟化温度以上で成形され、冷却でゴム状弾性を向上させる。
【0044】
適切なTPEは、ポリウレタン-ポリエステル・エラストマー(商業的には商標品テキシン(Texin)で利用できる)、セグメント化ポリエ−テルおよびポリエステル(商業的には商標品ハイテル(Hytel)で
利用できる)、芳香族化合物、セミ芳香族化合物またはハードセグメント化および脂肪族ポリエステルに関する脂肪族アミドのようなナイロンブロックポリマー、ポリエーテルまたはポリカーボネート、スチレン化ブロック熱可塑性エラストマー、飽和スチレン化熱可塑性エラストマー(SEBS)およびポリオレフィン樹脂とモノオレフィンゴムとの動的に硬化されたブレンドである。US特許3,806,558、3,023,192、3,651,014、3,763,109、3,775,373、3,784,520および3,533,172、は適切な熱可塑性エラストマーを示し、その開示は参照することにより本発明に完全に含まれる。
【0045】
本発明の熱可塑性エラストマーは、熱可塑性およびエラストマー(高分子弾性体)の両方組合せた特性を持つ。それは、アモルファス領域を形成する傾向のある領域、およびより多くの結晶性領域または、言い換えると、ポリマー体で70℃以上のガラス転移温度を持つ領域を形成する傾向のある領域を同時に存在させることによって、特徴付けられる。アモルファス領域はポリマーにエラストマー(ゴム弾性的)特性を提供し、一方もっと多くの結晶性領域はポリマーに熱可塑性特性を提供する。
【0046】
アモルファス領域および高いTgを持つ領域の同時存在は、2つ以上の異なるモノマーをブロック共重合化することにより達成可能である。たとえホモポリマー化したとしても、少なくともそのうちの一つはアモルファス、ゴム状ポリマーを形成する傾向がある。スチレン-ブタジエン-スチレン・ブロックコポリマー上でこれを達成することができる。スチレンは、Tgが70℃以上、すなわち熱可塑性ブロックを持つ領域を形成する傾向があり、一方ブタジエンはアモルファスのゴム状ブロックを形成する傾向がある。さらなる典型的な例は、スチレン-エチレン-ブテン-スチレン・ブロックコポリマー(SEBS)である。
【0047】
たとえ用語「熱可塑性エラストマー」および「熱可塑性加硫化物質」は技術的に同義的にしばしば用いられるとしても、別のタイプの熱可塑性エラストマーは熱可塑性加硫化物質によって代表される。
【0048】
ここで使われる用語「熱可塑性エラストマー」は、ポリオレフィン化熱可塑性物質において分散した架橋されたゴム泉の小さな粒子を含む混合物を意味する。たとえば、エチレンまたは、C〜C18のモノオレフィン、好適にはC〜Cのモノオレフィンから選ばれたコモノマーを有するポリエチレン・ホモおよび/またはコポリマーであるコモノマー、を持つポリプロピレン・ホモおよび/またはコポリマーまたはランダムまたはブロックコポリマーである。熱可塑性加硫化物質は動的な加硫化処理によって普通に得られる。用語「熱可塑性加硫化」は、ゴム相を少なくとも部分的に加硫化(架橋化)するということを示す。
【0049】
用語「架橋化」および「加硫化」は、この発明と関連して同義的に使われる。
【0050】
同様に、用語「熱可塑性加硫化組成」は用語「熱可塑性加硫化」と同義的に使われる。
【0051】
用語「ゴム」および「エラストマー」はこの適用に関して同義的に使われ、エラストマー特性を持ち硬化できるポリマーを指す。
【0052】
用語「ブレンド」は、ポリプロピレン・ホモおよび/またはコポリマーまたはポリエチレンおよび/またはコポリマーと非加硫化ゴムとの混合物を示す。
【0053】
この発明において使われる熱可塑性加硫化物質の動的に加硫化したゴム成分と関連して、用語「完全に加硫化した」とは、従来の加硫化状態におけるゴムと一般に結びついたゴムへエラストマー特性を与えるように、ゴムの物理的特性が進化された状態へゴム成分が硬化されるということを示す。加硫化ゴムの硬化程度は、ゲル量または逆に抽出可能成分によって説明することができる。代替として、硬化程度は架橋密度によって表現することもできる。
【0054】
一般に、硬化されたゴム成分が抽出可能成分を少なく含むほど、その特性はもっと良くなる。その結果、その組成は、本質的にどんなゴムも抽出できない硬化したゴム相を含む。用語「本質的に全く抽出不可能なゴム」とは、硬化することが可能な、約5重量%、好適には3重量%、さらに好適には1重量%以下のゴムを抽出することができるということを意味する。
【0055】
硬化される組成における可溶性ゴムの割合は、キシレンを2時間煮沸する際に薄膜材料を還流し、乾燥された残留物を秤量し、組成の知識に基づいて可溶性および非可溶性成分に関して適切な補正を行うことによって決定される。この結果、補正された最初および最後の重量が、最初の重量、可溶性成分の重量から、たとえば、エキステンダー油、可塑材料および有機溶媒中における可溶性組成の成分のような加硫化処理されるゴム以外の他のものを、硬化することを目的としない熱可塑性エラストマーのゴム成分と同様に、差し引くことによって得られる。どんな非可溶性色素、フィラーなど、も最初および最後の重量から差し引かれる。
【0056】
熱可塑性加硫化組成を特徴づける硬化状態の測定として架橋密度を使うために、そのブレンドは、ブレンド中のものと同じ硬化剤の量を持つモールド中の圧力下で、1ミリリッターゴム当り約3*10−5モルより大きな、好適には約5*10−5モル、或いはもっと好適には1ミリリッターゴム当り約1*10−4モルより大きな有効架橋密度を与えるような、時間と温度との条件下で、静的に硬化されたブレンドにおけるものと同じゴムの加硫化に相当する程度まで加硫処理される。そのブレンドはその後で、ゴム単独で必要とされたブレンドのゴム量に基づく同じ量の硬化剤と同様の条件下で動的に加硫処理される。そのように決定された架橋密度は、改良された熱可塑性物質を与える加硫物質の量の測定値とみなすこともできる。
【0057】
そのゴムの架橋密度は、ジャーナル(J)・ゴムの化学と技術、30, 929ページに開示されているように、フローリー-レーナー(Flory-Rehner)式を使って膨張する平衡溶媒によって決定され、その開示はここに完全に含まれる。その計算において使われるゴム・溶媒ペアに関する適切なハギンズ溶解度パラメーターは、シーハン(Sheehan)およびビシオ(Bisio)によるジャーナル・ゴムの化学と技術、39,149による総論から得られ、その開示はここに完全に含まれる。もし、加硫化処理されたゴムの抽出されるゲル量が少ないならば、ゲル分率(%ゲル/100)に項「v」を乗ずるブエチェ(Bueche)の補正を使う必要がある。架橋密度は、樹脂がない場合に決定される有効ネットワーク・チェーン密度の半分である。加硫処理されたブレンドの架橋密度は、それゆえ、上述の方法で、そのブレンド中のものと同じゴムに関して決定された値を示すと理解すべきである。それでも、さらに好適な組成は、すなわち、架橋密度および抽出可能なゴムの割合を見積もることにより、硬化状態の前述した測定値の両方に適合する。
【0058】
本明細書および請求の範囲において使われる用語「完全に加硫」、「完全に硬化」または「完全に架橋」とは、架橋されたゴムのエラストマー特性が、熱可塑性エラストマー組成とは別に、従来の加硫処理された状態におけるゴムのものと同様となる状態まで、加硫処理されたゴム成分が硬化されるか又は架橋される、ということを意味する。硬化することができるゴムのうちの約5%以下、好適には約4%以下、さらに好適には約3%以下、および最も好適には約2%以下が、キシレンを還流することにより熱可塑性エラストマー生産物から抽出可能である時に、ゴム成分が完全に硬化されると記述できる。
【0059】
本明細書および請求の範囲において使われる用語「部分的に加硫」、「部分的に硬化」または「部分的に架橋」とは、硬化することができるゴムのうち重量で約5%より多くが、キシレンを煮沸する際に熱可塑性エラストマーから抽出可能となる状態、たとえば、重量で5%より多く50%まで、好適には重量で5%より多く30%まで、さらに好適には重量で5%より多く15%まで、加硫処理されたゴム成分が硬化されるかまたは架橋される、ということを意味する。
【0060】
ゴムは、その繰返し構造またはサイドグループのランダム性のために、結晶化する傾向がないポリオレフィンゴムでも良い。しかし、技術的に周知の硬化システムによってゴムを加硫化することができるということは必須条件である。本発明と関連して有用な他のゴムの例は、ブチルゴム、ハロブチルゴム、p-アルキルスチレンおよび4〜7炭素原子のイソオレフィン(たとえば、イソブチレン)のハロゲン化(たとえば、臭素化)コポリマー、天然ゴム、イソプレンのような少なくとも一つの共役ジエンモノマーのホモ及びコポリマー、ブタジエン、またはそれらの組合せを含む。別の種類のゴムは、スチレン-ブタジエン-スチレン・コポリマー、スチレン-イソプレン-スチレン・コポリマーおよびスチレン共役ジエン・コポリマーおよびSEBS、SEPSのような上記の水素化形式から選ばれる。別の仲間のゴムは、通常SBRと呼ばれるスチレン-ブタジエン・コポリマーによって代表される。
【0061】
別の仲間のゴムは、長鎖分岐有り無しで、また0.900gram/cm3以下の密度を持つシングル・サイトまたはメタロセン触媒系を使って製造される、4〜10個の炭素原子を含むエチレン-アルファ・オレフィンによって代表される。
【0062】
望ましくは、ゴムはEPDM型ゴムのようなオレフィンゴムである。EPDM型ゴムは一般には、約2〜約10個の炭素原子、好適には約2〜約4個の炭素原子を含む少なくとも2つの異なったモノ-オレフィン・モノマー、および約5〜約20個の炭素原子を含む少なくとも1個のポリ不飽和オレフィンの重合から生ずるターポリマーである。望ましくは、前記モノ-オレフィンは化学式CH2=CH-Rを持つ。ここで、Rは、Hまたは約1〜約12個の炭素原子を含むアルキル群を表す。エチレンおよびプロピレンは好適である。望ましくは、少なくとも2個のモノオレフィンから(および好適にはエチレンとプロピレンとから)の繰り返し単位が、重量比で約25:75〜約75:25(エチレン:プロピレン)であるポリマー中に存在し、約90〜99.6重量%のポリマーを構成する。ポリ不飽和オレフィンは、直鎖で、分岐した、環状の、架橋した環二重環式化合物、縮合環二重環式化合物、および類似物から選ばれる。また好適には非共役ジエンによって代表される。非共役ジエンの典型的例は、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、5-メチリデン-2-ノルボルネン(MNB)、1,4-ヘキサジエン(HD)、ジクロペンタジエン(DCPD)、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、およびその類似物である。望ましくは、非共役ポリ不飽和オレフィンからの繰り返し単位の量は、ゴム量を基準として約0.4〜10重量%のゴムである。
【0063】
さらに適切なゴムは、アクリルゴム、エチル・アクリレートゴムのようなアルキル・アクリレートゴム、および水素化ニトリルゴムおよび、US-A-4,654,402、US-A-5,397,839、US-A-5,300,573、US-A-5,591,798、US-A-5,523,350、US-A-5,783,631、US-A-5,777,033、US-A-5,777,029、US-A-5,942,577、US-A-5,656,693、US-A-5,589,544、US-A-5,910,543、US-A-6,140,424、US-A-6,069,202、US-A-6,084,031、US-A-6,329,463、US-A-6,020,427、US-A-6,020,431、において開示されているものから選ばれたゴムからなる群から選んでも良い。その各々の開示は参照によりここに完全に含まれている。
【0064】
本発明に使われる熱可塑性加硫化物質は、動的な加硫化技術を使って製造される。動的な加硫化処理は、少なくとも1個のゴムがゴムおよび少なくとも1個の非加硫化ポリマー、すなわち熱可塑性ポリマーを含むブレンド内で架橋される。一方、両方のポリマーはある昇温過程でミキシングまたは咀嚼を受け、ミキシングまたは咀嚼は好適な加硫化がなされるまで続く。熱可塑性加硫化物質およびそれらを製造するプロセスは技術的には周知である。たとえば、US特許4,130,535、4,311,628、4,594,390、および5,672,660を参照。また、「ゴムの化学と技術」Vol.69、No.3、July-August 1996におけるアブド・サベット(S.Abdou-Sabet)らの「動的に加硫処理した熱可塑性エラストマー」およびそこのレファレンスを参照。
【0065】
さらに特別に、上で定義した熱可塑性ポリオレフィン、非硬化ゴム、およびそのオプションとしての添加物は、熱可塑性ポリオレフィンの溶融温度以上まで熱せられたミキサー中で溶融混合される。熱可塑性成分の一部とともにオプションの添加物はこの段階または後で添加することができる(たとえば、押出し機を使う場合は、サイドフィーダーを用いて)。良好な混合ブレンドを形成するのに充分な状態のミキシングの後で、有効な量の加硫処理システムが一般に添加される。ある実施形態において、液体、たとえば、ゴムプロセスオイルを有する溶液中に、或いは、他の成分と相性の良い固体のマスター・バッチ中に、加硫処理システムを添加することは好適である。たとえば、加硫処理システムを用いて前もって化合したポリプロピレン・マスターバッチ・ペレットである。
【0066】
ゴムプロセスオイルは色々な処理段階(ゴム相の硬化処理の後も含む)でスプリットでき、また付加できる。
【0067】
ミキシング中に、ミキシングトルクまたは必要なミキシングエネルギーをモニターすることにより、加硫化処理を進行することは便利である。ミキシングトルクまたはミキシングエネルギー曲線は一般に、ブレンド生産物を改良するためにミキシングが少し長く継続できる最大値を通って進む。必要なら、動的な加硫処理が終わった後で、いくらかの成分を付加することができる。
【0068】
もしフィラーが付加さたら、ゴム相が加硫化される前に、ゴムの内部または熱可塑性相中にフィラーおよびどんな可塑剤の一部でも分配させることは通常望ましい。ゴムの加硫化はミックス温度、せん断速度、硬化剤用の活性剤に依存して数分以下で生じさせることができる。適切な硬化温度は約140℃または約150から約260℃までを含む。もっと好適な温度は、約150℃または約170℃から約225℃または約240℃までである。ミキシング装置は、バンブリ(Banbury )ミキサー、ブラベンダー(Brabender )ミキサー、および、バス(Buss) 粉練機(kneader)のような共粉練機(co-kneader)と同様に、共回転でカウンター回転の2軸押出し機のようなミキシング押出し装置を含むこともできる。
【0069】
ミキサーから送り出しした後に、加硫化されたゴムおよび熱可塑性材を含むブレンドを圧延し、切削し、押出し、ペレット化し、射出成形し、または他のどんな望ましい技術によっても処理することができる。
【0070】
興味ある付加的なTPV組成は、過酸化遊離基開始剤の有効量とUS公開特許出願20040115450において開示されたもののような有機ジエン共物質とを結合して、15〜60重量%のポリアルキレン・フタル酸ポリエステル・ポリマーまたはコポリマー、および40〜85重量%のポリアクリル酸またはポリエチレン/アクリル酸ゴムを含む。尚、その開示は参照することによりここに完全に含まれる。
【0071】
本発明と関連して使うこともできる熱可塑性加硫化物質は、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートのような熱可塑性エンジニアリング樹脂をさらに含んでも良い。それらの熱可塑性エンジニアリング樹脂を、熱可塑性加硫化物質への添加物として、または唯一の熱可塑性相として使うこともできる。
【0072】
本発明の好適な実施形態において、外側層(B)は上述のように熱可塑性エラストマーから形成され、内側層(A)はポリアミドまたはPVDFのような熱可塑性物質から形成される。この場合において、外側層(B)は、不十分なグリーン強度に苦しむ内側層(A)を支持する。
【0073】
本発明のさらなる好適な実施形態において、外側層(B)は支持されるべき熱可塑性物質から形成され、一方内側層(A)は支持する熱可塑性エラストマー層である。
【0074】
さらなる実施形態において、支持する層は加硫化ゴムから作られ、一方支持される層はポリアミドから作られる。
【0075】
さらに別の実施形態において、支持する層は熱可塑性エラストマーから作られ、一方支持される層は加硫化ゴムから作られる。
【0076】
本発明に従って、少なくとも一つのポリマー層は繊維強化型であっても良い。そのような繊維強化材は、その繊維が適切に配向した場合に、グリーン強度を高め、より高い破裂強度などのような機械的性質を改善したポリマーとなる。
【0077】
本発明は、どんな特殊な種類の強化繊維にも限定されない。従って、どんな種類の有機の、無機の、合成のまたは非合成の繊維でも強化繊維として使うことができる。たとえば、ポリエステル、ポリアラミド、ポリエチレン・ナフタレート(PEN)、ポリエステル・ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリフェニレン・サルファイド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリイミドまたはセルロース・ファイバーから成る群から選ばれた繊維が使われる。ガラス、スチール、ボロン、炭素または珪灰石ファイバー、粘土、ナノ粘土、滑石または化学式Mg4Si6O15(OH)2・6H2Oの繊維状水酸化ケイ酸マグネシウムのような無機繊維も代替に使うことができる。
【0078】
好適な実施形態において、ポリアミド繊維、ポリエステル-ポリアリレート繊維が使われる。両方の種類の繊維は、繊維長を減少させずに強化熱可塑性エラストマー組成の再生を容易にする高い機械的安定性によって特徴づけられる。適切なポリアミド繊維は、商標Twaronでテイジン・ツワロン社(Teijin Twaron B.V.)から商業的に利用可能である。ポリエステル-ポリアリレート繊維は、中国から商標Vectranで利用可能である。本発明に従って、強化繊維は、約0.3mm〜20mm、好適には約1mm〜15mm又は6mm、最適には約2mm〜4mmの繊維長を持つ。
【0079】
もっと好適な実施形態において、前記繊維直径は約1μm〜100μm、好適には約5μm〜75μm、最適には約10μm〜30μmの範囲である。
【0080】
本発明に従って使われる繊維強化ポリマーにおいて、強化繊維量は、ポリマー(ゴム、熱可塑性物質または熱可塑性エラストマー)および強化繊維の全量を基準として、約1〜約60重量%、好適には約2〜約30重量%、最適には約2.5〜約20重量%である。
【0081】
典型的に、上述のたいていの強化繊維は、その周囲のエラストマー組織に対して良い接着性を達成するために表面処理を必要とする。
【0082】
たとえば、とりわけ本発明において使用できるTwaron繊維は、公開のヨーロッパ特許出願0107887において開示されているように、硬化されたエポキシ含有仕上げを含む。その開示は参照することにより完全にここに含まれる。
【0083】
本発明の好適な実施形態において、繊維表面と埋め込み熱可塑性エラストマー組成組織との間の接着性を改良するために、強化繊維は接着性が活性化される。それゆえ、そのファイバーは、それらのエラストマー組成組織への埋め込みに先立ち、表面処理される。その表面処理は、その繊維表面上に接着性活性化材料(接着性促進材)の薄層を形成することにより、接着性を促進する。
【0084】
本発明の好適な実施形態において、ポリエステル、ポリエステル-ポリアリレート-またはポリアミド繊維は、US特許5,609,962のcol.2、10行〜col.8、47行に記載された方法によって処理され、その開示は参照することにより完全にここに含まれる。前記方法に従って、その繊維はオプションとして、ポリエステルは、1-クロロ-2,3-エポキシプロパン(エピクロロヒドリン)のようなエポキシ誘導体を用いて処理されるということを意味する、エポキシ活性化を行うこともできる。
【0085】
第一の工程において、その繊維は、水分散液中で水分散性のブロック化ジイソシアネートを用いて処理することができる。そのブロック化ジイソシアネートは、カプロラクタムブロック化メチレン-ビス-(4-フェニルイソシアネート)または4,4’-メチレン-ビス-(フェニルカルバニレート)から選択される。
【0086】
その処理は、ブロック化ジイソシアネートを含む分散液中にその繊維を浸すことにより、行っても良い。その浸漬時間は通常天然繊維に依存し、1秒から1時間まで変化できる。浸漬後、水分を効果的に蒸発するために、その繊維は適切な温度で乾燥される。100℃〜240℃の温度に1分〜60分暴露する(その繊維の特性に依存する)ことにより、乾燥処理を達成することができる。
【0087】
第二の工程において、処理され乾燥された繊維は、その後で水性乳剤中で水性エポキシ樹脂エマルジョンを用いて処理される。そのエポキシ樹脂は、グリセロール-ポリ-グリシジル・エーテル(たとえば、グリシド・エーテル100、ドイツのラシヒ社より供給される)、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応から生じ、エピコート(Epikote)DX258のような、それを水に乳化するために改良したエポキシ樹脂、シェル化学の製品またはウィツコ(Witco)社のユーレポクス(Eurepox)756/67Wから選択される。その処理に関して、その処理およびその後の乾燥工程の条件に関して、ブロック化ジイソシアネートの分散化を用いてその繊維を処理することについて上で並べられたものが参照される。その繊維を乳剤/分散(emulsions/dispersions)中に浸漬する代わりに、その乳剤/分散をその繊維の表面上に吹きつけ、その後で乾燥することができる。
【0088】
その繊維の処理に関する第一および第二の工程は、逆にすることができるということを留意すべきである。すなわち、エポキシ樹脂を用いたその繊維の処理は、ブロック化ジイソシアネートを用いたその繊維の処理に先立って行うことができる。ブロック化ジイソシアネートおよびエポキシ樹脂を用いたその繊維の処理は1回の工程で、すなわち、同時に行うこともできる。この例においては、ただ1回の乾燥工程が必要とされる。
【0089】
その繊維の処理は、ブロック化ジイソシアネート単独の分散処理を用いたり、上述したようにそれを適用したりして、行うこともできる。その処理された繊維上でその処理材料(ブロック化ジイソシアネートおよびエポキシ樹脂またはブロック化ジイソシアネート単独)の最終量は、1m2の繊維表面あたり約5〜約500グラム、好適には約20〜約100グラムである。
【0090】
乾燥した繊維は、その後で、以下に述べるように熱および圧力の影響の下で、改良熱可塑性エラストマーをその上に結合することにより、さらに処理される。
【0091】
本発明に従って、スイスのEMS化学社により商標グリルボンド(Grillbond)で提供されるカプロラクタム-ブロック化ジイソシアネートが好適に使われる。
【0092】
一般に、繊維強化ゴムの複合材料を形成する時に、ポリエステル、ポリアラミドおよびポリアミドの繊維/長繊維のようなゴムに対する長繊維の接着性を改良し、および/または与えるために、たとえば、US特許3,956,566、3964,950、3,968,304、3,991,027、4,009,134、4,026,744、4,134,869、4,251,409および4,409,055に開示されているものなどのように、技術的に周知のどんな接着性活性化システムでも利用することができる。その完全な開示は参照することによりここに含まれている。
【0093】
一般に、ポリマーは、ロールミル、バンブリミキサー、ブラベンダーミキサー、連続ミキサー、ミキシング押出し機、およびその類似製品のような従来のミキシング装置を使用することにより、熱および圧力への暴露下で、その繊維へ適用される。
【0094】
さらに、または繊維強化層に対する代替として、本発明に従って押出されたチューブ状製品は発泡層を含んでも良い。そのような発泡層は化学的または機械的発泡処理により達成される。化学的発泡は、押出し中にポリマーへ発泡剤を付加することによって生じる。適切な組成および発泡剤は、先行技術から周知である。たとえば、US-A-5,009,809、US-A-5,045,570、US-A-5,728,744、US-A-5,611,962、EP-A-02731418で、その開示は参照することにより完全にここに含まれる。
【0095】
外側層に対する内側層の割合は主に、これらの層を形成するポリマー類の特性およびその物理的性質、特にその個々のグリーン強度、に依存する。
【0096】
本発明の一つの実施形態において、内側層(A)または外側層(B)は、内側層(A)の保護層を構成する外側層(B)上に薄い塗布膜を形成する。別の実施形態において、内側層(A)または外側層(B)はその他の層の支持層を構成する。その結果として、外側層(B)に対する内側層(A)の厚さの割合は、広い範囲を超えて変化しても良い。一般に、外側層(B)に対する内側層(A)の厚さの割合は、約1:100〜約100:1、好適には約1:10〜約10:1、最も好適には約1:5〜約5:1の範囲である。
【0097】
本発明のさらなる実施形態において、少なくとも一つの中間層(I)を内側層(A)と外側層(B)との間に適用することができる。この中間層(I)は、たとえば、相互に両層を結合する接着剤によって代表することもできる。中間連結層は相溶性層によって代表しても良く、それは両極性のような異なった性質を持つ2つのポリマーの共押出しを促進する。
【0098】
内側層(A)と外側層(B)とを比較して中間層(I)が薄い場合において、中間層ポリマー(I)用の小さな共押出し機または融液ディスペンスユニットは、押出しダイにストレートに取り付けることもできる。中間連結層ポリマー用押出し機は、ロボットハンドリングユニットを用いて動かされる。
【0099】
特許法に従って、最善方法および好適な実施形態を説明してきたが、本発明の範囲はそれらに限定されているわけではなく、また添付の請求項の範囲にも限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出し機装置において少なくとも2つの異なったポリマーを処理することを含むチューブ状形状の共押出し製品の製造方法であって、前記押出し機装置は
チューブ状押出し製品を形成するために適用される押出しダイ、および
内側ポリマー層(A)および外側ポリマー層(B)を持つチューブ状ポリマーの押出し製品を形成するために、前記押出しダイを通して前記ポリマーを押出しするために適用される少なくとも2つの押出し機バレル/ヘッド
を含み、前記押出し機バレルは、制御できるようにロボットハンドリングユニットに連結される前記押出しダイを通して送り出しすることを、特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記押出し機バレルは、フレキシブルな圧力ホースを用いて前記押出しダイに連結されることを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記押出しダイは移動ダイであることを特徴とする、請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
少なくとも1つのポリマーは熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマーまたは加硫化ゴムから選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項記載の製造方法。
【請求項5】
熱可塑性エラストマーは、ポリウレタン-ポリエステル・エラストマー、セグメント化ポリエーテルおよびポリエステル、ナイロン・ブロック・ポリマー、スチレン・ブロック・熱可塑性エラストマー、飽和スチレン熱可塑性エラストマー(SEBS)、およびポリオレフィン樹脂とモノ-オレフィン・ゴム(TPV)との動的に硬化されたブレンド、から選択されることを特徴とする、請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
加硫化ゴムは加硫化ジエン含有エラストマー、天然または合成ゴムまたはその混合物、非ジエンゴム、シス-4-ポリブタジエン、ブチルゴム、ネオプレン、エチレン/プロピレン/非共役ジエン・ターポリマー、1,3-ブタジエンのポリマー、イソプレンのポリマー、エチレン/ビニル-アセテート・コポリマー、および他のモノマーと1,3-ブタジエンとのコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項記載の製造方法。
【請求項7】
チューブ状製品は、
(i)完全に硬化されたゴム、および
(ii)熱可塑性ポリオレフィン・ホモポリマーまたはコポリマー
を含む熱可塑性加硫化物質(TPV)である少なくとも1つのポリマーの層を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項記載の製造方法。
【請求項8】
少なくとも1つのさらなる熱可塑性ポリマーはポリアミドから選択されることを特徴とする、請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
熱可塑性加硫化物質は外側層(B)を形成し、ポリアミドは内側層(A)を形成することを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
熱可塑性加硫化物質は内側層(A)を形成し、ポリアミドは外側層(B)を形成することを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの層は繊維強化ポリマーから形成されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかの項記載の方法。
【請求項12】
外側層(B)に対して内側層(A)の厚さの比は、1:100から100:1までの範囲であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかの項記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの中間層(I)は、内側層(A)と外側層(B)との間に適用されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかの項記載の方法。
【請求項14】
中間層(I)は接着剤に代表されることを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
すくなくとも1層は発泡化される、請求項1〜14のいずれかの項記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかの項に記載の製造方法によって得られることを特徴とするチューブ状成形製品

【公開番号】特開2006−231919(P2006−231919A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−43317(P2006−43317)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(591162239)アドバンスド エラストマー システムズ,エル.ピー. (14)
【住所又は居所原語表記】388 South Main Street,Akron,Ohio 44311−1059,United Stetes of America
【Fターム(参考)】