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チラミンオキシダーゼの安定化方法およびその組成物
説明

チラミンオキシダーゼの安定化方法およびその組成物

【課題】本発明は、チラミンオキシダーゼの安定化方法およびその組成物に関するものである。
【解決手段】
チラミンオキシダーゼを含む溶液にピリドキサール5’−リン酸、または、ピリドキサミン5’−リン酸を共存させる、チラミンオキシダーゼを溶液中で安定化させる方法。さらに、特定のアニリン系水素供与体を共存させる、チラミンオキシダーゼを溶液中で安定化させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チラミンオキシダーゼの溶液中での安定化方法および該方法により安定化された組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チラミンオキシダーゼは、これまで生体アミンの測定や、食品分野におけるチラミン測定、およびBTR(Branched chain amino acids and Tyrosin Ratio)測定におけるチロシン測定試薬に使用されてきている。
例えば、特許文献1にはチラミンオキシダーゼを用いた生体アミンの測定方法が開示されている。また、特許文献2においては、チラミンオキシダーゼを用いたチラミンの測定方法が開示されており、食品の品質管理用途としての利用が記載されている。特許文献3には電気化学的手法を用いたチラミンとヒスタミンの分別定量方法が開示されている。
【特許文献1】特開2006−280201号公報
【特許文献2】特公平07−50069号公報
【特許文献3】特開2006−38612号公報
【0003】
また、特許文献4および5には、電極を用いない酵素法を用いたチロシン測定法が開示されており、臨床診断用途としての利用が記載されている。
特許文献4には、チロシンにチロシンデカルボキシラーゼを作用させ、生成したチラミンにチラミンオキシダーゼを作用させることにより過酸化水素を発生させ、この過酸化水素を利用し、ペルオキシダーゼの存在下、TOOS(N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン。別名N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン)と4−アミノアンチピリンを反応させ、発色に導く過酸化水素検出系にてチロシンを測定する方法が開示されている。
特許文献5には、上記のチロシン測定方法において、チロシンデカルボキシラーゼ(ビタミンB6酵素)の活性発現を安定化させることにより、チロシン測定試薬の安定性を向上させる方法が開示されている。
【特許文献4】特公平06−98036号公報
【特許文献5】特開2006−75111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまで、病院の検査室や検査センターで使用されている臨床検査薬のうち、不安定な酵素などを使用している試薬は、安定化のため凍結乾燥品の形態で流通し、使用時に溶解液で溶解して使用するのが主流となっている。慢性肝炎から肝硬変への移行診断に用いられる、BTR測定用試薬(総分岐鎖アミノ酸/チロシンモル比測定試薬)は、BCAA(総分岐鎖アミノ酸)測定試薬とTYR(チロシン)測定試薬がセットになっており、BTR測定用試薬も各々酵素、色素などが不安定であり凍結乾燥品の形態で流通している。なお、総分岐鎖アミノ酸とはL−ロイシン、L−イソロイシン、L−バリンのことを指す。
一方、臨床検査施設では、多項目を測定し検体数も多いため、凍結乾燥品の溶解作業が負担になることが多く、使用時に試薬の調製が不要な溶液状態で長期間安定な測定用試薬の開発が望まれている。BTR測定用試薬に関しても同様であり溶液状態で長期間安定な測定用試薬の開発が望まれている。
【0005】
また、上記以外の新たな問題点として、本発明者らは、試薬中のチラミンオキシダーゼが光照射の影響により失活することを見出した。特に、JIS照度基準が定める一般的な生活環境下における照度範囲である75〜750ルクスにおいても、光照射の影響により失活が見られた。特に、300ルクス以上の光照射条件下においては、失活がより顕著であった。すなわち、製造中、輸送中、使用先での保存中など日常考えうる範囲内での光照射条件下において、チラミンオキシダーゼが光により失活することを見出した。
【0006】
上記の様に、チラミンオキシダーゼを用いる試薬においては、液状化および自動化のニーズに合致した形態をとることが課題である。すなわち、本発明が解決しようとする課題は、自動分析機での測定において、他の測定項目に影響を及ぼさない形態であり、かつ(試薬中で長期に渡って冷蔵条件、加温条件、光照射条件において安定であるチラミンオキシダーゼ組成物を提供することにある。
【0007】
上記特許文献1ないし5には、チラミンオキシダーゼの溶液中での安定化方法に関して特に記載はなく、また、そのような方法を示唆するような記載もない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明者らは、鋭意検討した結果、チラミンオキシダーゼを含む溶液に、キレート剤を共存させることにより、長期(冷蔵)保存安定性、熱安定性、および光に対する安定性を向上させることに成功し本発明の完成に至った。すなわち、本発明は以下の構成からなる。
[項1]
チラミンオキシダーゼを含む溶液に、ピリドキサール5’−リン酸(PLP)、または、ピリドキサミン5’−リン酸(PMP)を共存させることを特徴とする、チラミンオキシダーゼの溶液中での安定化方法。
[項2]
一般式(1)または、一般式(2)で表されるアニリン系水素供与体を共存させる、項1に記載のチラミンオキシダーゼの溶液中での安定化方法。
【化1】

[一般式(1)]
【化2】

[一般式(2)]
(式中、R1はCまたはHのいずれか、R2はOCH3、CH3、またはHのいずれか、R3はOCH3、CH3、またはHのいずれかである。)
[項3]
ピリドキサール5’−リン酸(PLP)、または、ピリドキサミン5’−リン酸(PMP)が、その水和物、またはそのエステル化合物から選択される少なくとも一つの物質である、項1または2に記載のチラミンオキシダーゼの溶液中での安定化方法。
[項4]
チラミンオキシダーゼを含む溶液が、チロシン測定試薬に含まれるものである、項1〜3のいずれかに記載のチラミンオキシダーゼの溶液中での安定化方法。
[項5]
チロシン測定試薬が、チラミンオキシダーゼ、アニリン系水素供与体、ピリドキサール5’−リン酸(PLP)、または、ピリドキサミン5’−リン酸(PMP)を第一試液に含み、チロシンデカルボキシラーゼおよびカップラーを第二試液に含む構成を有する、項1〜4のいずれかに記載のチラミンオキシダーゼの溶液中での安定化方法。
[項6]
カップラーが4−アミノアンチピリンである、項5に記載のチラミンオキシダーゼの溶液中での安定化方法。
[項7]
項1〜6のいずれかに記載の方法により安定化された、チラミンオキシダーゼを含有する溶液。
[項8]
項7に記載の溶液を含む、チロシン測定試薬。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、チラミンオキシダーゼを含む溶液において、チラミンオキシダーゼの冷蔵安定性、熱安定性、および光に対する安定性を著しく向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において「安定」とは以下の3種の保存状態において、未処理の試薬と比較した場合のチラミンオキシダーゼの残存活性が、以下(1)〜(3)の条件をすべて満たすことを指す。
(1)冷蔵安定性;10℃保存における安定性。具体的には、10℃で14日間保存後の安定性が未処理の試薬と比較し85%以上であること。
(2)熱安定性;加温処理後の安定性。具体的には、37℃で14日間加温処理後の安定性が未処理の試薬と比較し60%以上であること。
(3)光安定性;光照射後の安定性。具体的には、10℃の保存条件で、褐色容器内に試薬を保管し、試薬を含有する該容器を500ルクスで14日間処理した後の安定性が、未処理の試薬と比較し60%以上であること。容器の材質としては、臨床化学分野で診断薬に用いられものであれば特に限定されないが、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0011】
本発明の安定化方法の対象は、チラミンオキシダーゼを含む溶液である。
そのような溶液の一形態としては、下記の[1]に例示するチロシン測定方法を実施するためのチロシン測定試薬に含まれるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0012】
[1]チロシンにチロシンデカルボキシラーゼを作用させ、生成したチラミンにチラミンオキシダーゼを作用させることにより過酸化水素を発生させる。この発生した過酸化水素を利用し、ペルオキシダーゼの存在下、水素供与体とカップラーを反応させ、発色に導く過酸化水素検出系にて測定する、チロシン測定方法。
【0013】
特に、下記の式(1)で表される反応を用いることが好ましい。
【数1】

[式(1)]
【0014】
また、そのようにして安定化された、チラミンオキシダーゼを含む溶液、または、該溶液を含むチロシン測定試薬も、本発明に包含される。
【0015】
本発明のチロシン測定試薬における試薬構成としては、チラミンオキシダーゼ、アニリン系水素供与体、キレート剤を第一試液に含み、チロシンデカルボキシラーゼおよびカップラーを第二試液に含むことを特徴とするチロシン測定液状試薬が考えられる。なお、ペルオキシダーゼは第一試薬、および第二試薬のどちらに配置されても良いが、第一試薬に配置されることがチラミンオキシダーゼの安定性向上の観点からより好ましい。
【0016】
本発明のチロシン測定試薬に含まれるチラミンオキシダーゼを含む溶液は、凍結乾燥試薬(液状で不安定な酵素などを凍結乾燥しておき、使用時に溶解液と混合し、液状にして用いる試薬)、ドライケミストリー試薬(分析に必要な全ての試薬が乾燥状態で用意されており、使用時に試料から持ち込まれる水分を利用して反応させる試薬)、液状試薬、のいずれの形態であってもよいが、特に液状試薬であることが好ましい。
本発明のチロシン測定試薬は、汎用自動分析装置で取り扱える試薬構成であれば、特に限定されないが、2ないし4のパーツで構成されることが望ましい。(好ましくは2つのパーツで構成される2試薬系がよい。)
すなわち、2ないし4のパーツで構成される液状試薬であることが好ましい。(好ましくは2つのパーツで構成される液状試薬がよい。)
【0017】
本発明のチロシン測定試薬の測定対象物である生体試料としては、特に限定されないが、血清あるいは血漿もしくは、全血あるいは、尿であることが好ましい。
【0018】
本発明に用いるチラミンオキシダーゼは、EC1.4.3.4に分類されるアミンオキシダーゼであり、例えば、Arthrobacter sp由来のものが、東洋紡社、旭化成ファーマ社から入手できるが、起源および入手先は特に限定されない。
本発明試薬における、チラミンオキシダーゼの添加配置としては、第一試液および第二試液のどちらでも良いが、第一試液に添加することがより好ましい。
本発明で用いられるチラミンオキシダーゼ濃度の好ましい下限としては、試薬中に0.01U/L、さらに好ましくは0.05U/Lである。好ましい上限としては、試薬中に20U/L、さらに好ましくは10U/L、さらに好ましくは5U/Lである。
また、チラミンオキシダーゼを含有する試薬のpHの好ましい下限としては、pH5.5、さらに好ましくは、pH6.0である。好ましい上限としては、pH9.0、さらに好ましくはpH8.0、さらに好ましくはpH7.5である。
【0019】
本発明で用いるチロシンデカルボキシラーゼの補酵素としては、ピリドキサール5’−リン酸(PLP)、ピリドキサミン5’−リン酸(PMP)が挙げられる。添加配置は、チロシンデカルボキシラーゼを含有しない試薬、すなわちチロシンデカルボキシラーゼと別配置にすることがチロシンデカルボキシラーゼの安定性を向上させるうえで好ましい。濃度としては、好ましい下限は試薬中で0.001mmol/L、さらに好ましくは0.01mmol/Lである。好ましい上限は試薬中で10mmol/L、さらに好ましくは5.0mmol/L、さらに好ましくは2.0mmol/L、である。
【0020】
本発明で用いられるキレート剤としては、グルコン酸、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン二プロピオン酸、ビス(アミノフェニル)エチレングリコール四酢酸、クエン酸、酒石酸、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸、ピルビン酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、または、それらの塩が挙げられる。
本発明の構成は、これらの群より選ばれる少なくとも1種以上のキレート剤をチラミンオキシダーゼとアニリン系水素供与体を含む試薬に含むことからなる。
チラミンオキシダーゼとアニリン系水素供与体を含む試薬中への、キレート剤の添加濃度の好ましい下限としては、0.01mM、さらに好ましくは0.05mM、さらに好ましくは0.075mMである。好ましい上限としては、200mM、より好ましくは50mM、さらに好ましくは10mMである。
【0021】
本発明に用いる、一般式(1)で表されるアニリン系水素供与体としては、例えば表1のものが好ましく、N−エチル−N−スルホプロピル−3−メトキシアニリン、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3−メチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン、N−スルホプロピルアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−2,5−ジメチルアニリン等が挙げられる。
本発明で用いられるアニリン系水素供与体の濃度の好ましい下限としては、試薬中に0.01mmol/L、さらに好ましくは0.05mmol/Lである。好ましい上限としては、試薬中に50mmol/L、好ましくは10mmol/Lである。
また、アニリン系水素供与体は、チラミンオキシダーゼを含む試薬に添加されることが好ましい。本発明におけるアニリン系水素供与体の本来の使用用途は、カップラーと組み合わせて発色定量させることであるが、チラミンオキシダーゼをさらに安定化させる効果も有している点で好ましい。特に、発色定量用途にロイコ色素を用いる場合、好ましい安定化効果を有する。
【0022】
【表1】

【0023】
本発明で用いられる、チロシンデカルボキシラーゼは、EC4.1.1.25に分類され、Eschscholtzia California Cham、Streptococcus faecalis、Syringa vulgaris、Hordeum vulgare、Thalictrum rugosum由来のものが挙げられるが、特に起源は特に限定されない。
添加配置としては、チラミンオキシダーゼとアニリン系水素供与体およびキレート剤を含む試薬と別配置であることが好ましい。
濃度としては、好ましい下限としては試薬中0.01U/L、さらに好ましくは0.05U/L、さらに好ましくは0.1U/Lである。好ましい上限としては試薬中100U/L、さらに好ましくは50U/L、さらに好ましくは10U/Lである。
また、チロシンデカルボキシラーゼを含有する試薬のpHとしては、チロシンデカルボキシラーゼの長期冷蔵安定性を鑑み、好ましい下限はpH5.5、さらに好ましくはpH6.0である。好ましい上限はpH9.0、さらに好ましくはpH8.0、さらに好ましくはpH7.5である。
【0024】
本発明で用いられるペルオキシダーゼは、いずれの由来のものも使用でき、例えば、ヒト若しくはウシなどの動物由来のもの、西洋ワサビなどの植物由来のもの、細菌若しくは、カビなどの微生物由来のものが挙げられる。なお、微生物等のペルオキシダーゼの遺伝子を大腸菌等の微生物に組み込む遺伝子組み換え技術により調製したもの、又は、遺伝子の改変等により性質を改良した微生物等から調製したペルオキシダーゼ等も含まれる。
添加配置としては、二試薬系で構成される試薬の場合、第一試薬または第二試薬のいずれでも良いが、チラミンオキシダーゼを含有する試薬に添加することがチラミンオキシダーゼの安定性をより向上させるため好ましい。
濃度としては、好ましい下限は試薬中0.01U/L、さらに好ましくは0.05U/L、さらに好ましくは0.1U/Lである。好ましい上限は試薬中100U/L、さらに好ましくは50U/L、さらに好ましくは30U/Lである。
【0025】
本発明で用いられるカップラーとしては、4−アミノアンチピリン、MBTH、NCP等が挙げられるが、4−アミノアンチピリンを用いることがより好適である。カップラーの濃度としては、好ましい下限は試薬中に0.01mmol/L、より好ましくは0.05mmol/Lである。好ましい上限は試薬中に50mmol/L、より好ましくは10mmol/Lである。
添加配置は、チラミンオキシダーゼを含まない試薬に処方することが好ましい。すなわち、チロシンデカルボキシラーゼを含有する試薬に配置することが好ましい。
【0026】
本発明に用いることができる金属化合物としては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオンと硫酸、硝酸、炭酸などの無機酸との塩、ヨウ素、臭素、塩素等のハロゲン原子との塩、または酢酸、グルコン酸、プロピオン酸、パンテント酸、エチレンジアミン四酢酸などの有機酸との塩、が挙げられる。特に、チラミンオキシダーゼの安定化に顕著な効果が見られるものとして、塩素原子の金属塩が挙げられ、中でも塩化ナトリウムを用いることが好ましく、チラミンオキシダーゼ、アニリン系水素供与体、およびキレート剤が含まれる試薬に配置することでチラミンオキシダーゼの安定性がさらに向上する。濃度としては、好ましい下限として試薬中0.001重量%、より好ましくは0.01重量%、さらに好ましくは0.1%重量%である。好ましい上限は、試薬中10重量%、より好ましくは5.0重量%、さらに好ましくは2.0%重量%である。
また、生体試料中の還元物質の影響回避剤としては、上記金属化合物のうち、鉄イオンが好ましく、エチレンジアミン四酢酸鉄(III)、塩化第一鉄(III)、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化ナトリウム等が挙げられる。金属化合物の濃度としては、好ましい下限として試薬中に0.05mmol/L、より好ましくは0.1mmol/Lである。好ましい上限は、試薬中に5mmol/L、より好ましくは0.5mmol/Lである。
またこれらの金属化合物は複数組み合わせて用いることができる。

【0027】
本発明に用いられる緩衝剤としては、(アニリン系水素供与体の非特異発色の要因となりうるアミン類などが不純物として含まないものであれば)特に限定はなく、トリス緩衝剤、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、フタル酸緩衝剤、マレイン酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、ジメチルグリシン緩衝剤、グッド緩衝剤などが挙げられる。また、自動分析機への適応を考慮した場合は、トリス緩衝剤、クエン酸緩衝剤、フタル酸緩衝剤、マレイン酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、ジメチルグリシン緩衝剤、グッド緩衝剤が好適であり、さらに好ましくは、緩衝能力に優れることから、グッド緩衝剤を用いることがより好ましい。
グッド緩衝剤としてはN−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPS)、2−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕エタンスルホン酸(HEPES)、2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノメタンスルホン酸(TES)、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPS)、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPSO)、3−〔N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、3−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕プロパンスルホン酸(EPPS)、2−ヒドロキシ−3−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕プロパンスルホン酸(HEPPSO)、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPSO)、ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)(POPSO)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N−(2−アセトアミド)イミノニ酢酸(ADA)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕グリシン(Tricine)、などが例示される。中でもN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕グリシン(Tricine)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPS)、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPSO)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)が挙げられる。
pHはpH5〜10の範囲で調整されるが、チラミンオキシダーゼおよびチロシンデカルボキシラーゼを含有する試薬のpHの、該酵素の安定化のため好ましい下限はpH5.5、さらに好ましくは、pH6.0である。好ましい上限はpH9.0、より好ましくはpH8.0、さらに好ましくはpH7.5である。
【0028】
また、チラミンオキシダーゼを用いた、上記特許文献4および5においては、液状試薬の緩衝液としてマックルバイン緩衝液を用いることが開示されている。このマックルバイン緩衝液は、クエン酸とリン酸を含む緩衝液であるが、近年の測定自動化においては、自動分析機でリン酸を含むバッファーの使用は好ましくない。これは、測定対象となる無機リン酸等にバッファー中のリン酸が影響を及ぼすからである。
【0029】
本発明で用いられる界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルファスルホ脂肪酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸トリエタノールアミン、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルベタインであることが好適である。

【0030】
ポリオキシエチレンラウリルエーテル類として例えばエマルゲン(登録商標)104P、エマルゲン(登録商標)105、エマルゲン(登録商標)106、エマルゲン(登録商標)108、エマルゲン(登録商標)109P、エマルゲン(登録商標)120、エマルゲン(登録商標)123P、エマルゲン(登録商標)147、エマルゲン(登録商標)130K、ノニオン(登録商標)K−204、ノニオン(登録商標)K−215、ノニオン(登録商標)K−220、ノニオン(登録商標)K−230、NIKKOL(登録商標) BL−2、NIKKOL(登録商標) BL−4.2、NIKKOL(登録商標) BL−9EX、NIKKOL(登録商標) BL−21、NIKKOL(登録商標) BL−25、ポリオキシエチレンセチルエーテル類として、エマルゲン(登録商標)210、エマルゲン(登録商標)220、NIKKOL(登録商標) BC−2、NIKKOL(登録商標) BC−5.5、NIKKOL(登録商標) BC−7、NIKKOL(登録商標) BC−10TX、NIKKOL(登録商標) BC−15TX、NIKKOL(登録商標) BC−20TX、NIKKOL(登録商標) BC−23、NIKKOL(登録商標) BC−25TX、NIKKOL(登録商標) BC−30TX、NIKKOL(登録商標) BC−40TX、ノニオン(登録商標)P−208、ノニオン(登録商標)P−210、ノニオン(登録商標)P−213、ポリオキシエチレンステアリルエーテル類として、エマルゲン(登録商標)306P、エマルゲン(登録商標)320P、NIKKOL(登録商標) BS−2、NIKKOL(登録商標) BS−4、NIKKOL(登録商標) BS−20、ノニオン(登録商標)S−206、ノニオン(登録商標)S−207、ノニオン(登録商標)S−215、ノニオン(登録商標)S−220、ポリオキシエチレンオレイルエーテル類としては、エマルゲン(登録商標)404、エマルゲン(登録商標)408、エマルゲン(登録商標)409P、エマルゲン(登録商標)420、エマルゲン(登録商標)430、NIKKOL(登録商標) BO−2、NIKKOL(登録商標) BO−7、NIKKOL(登録商標) BO−10TX、NIKKOL(登録商標) BO−20、NIKKOL(登録商標) BO−50、ノニオン(登録商標)E−206、ノニオン(登録商標)E−215、ノニオン(登録商標)E−230、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル類としては、NIKKOL(登録商標) BB−5、NIKKOL(登録商標) BB−10、NIKKOL(登録商標) BB−20、NIKKOL(登録商標) BB−30等が挙げられる。
【0031】
また、ポリオキシエチレン2級アルキルエーテル類としては、エマルゲン(登録商標)707、NIKKOL(登録商標) BT−5、NIKKOL(登録商標) BT−7、NIKKOL(登録商標) BT−9、アデカトール(登録商標)SO−80、アデカトール(登録商標)SO−105、アデカトール(登録商標)SO−120、アデカトール(登録商標)SO−135、アデカトール(登録商標)SO−145、アデカトール(登録商標)SO−160、エマルゲン(登録商標)705、エマルゲン(登録商標)707、エマルゲン(登録商標)709等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類としては、エマルゲン(登録商標)810、エマルゲン(登録商標)840S、エマルゲン(登録商標)909、エマルゲン(登録商標)910、エマルゲン(登録商標)930、エマルゲン(登録商標)950、トリトンX−100、トリトンX−114、NIKKOL(登録商標) NP−5、NIKKOL(登録商標) NP−7.5、NIKKOL(登録商標) NP−10、NIKKOL(登録商標) NP−15、NIKKOL(登録商標) NP−20、NIKKOL(登録商標) OP−10、NIKKOL(登録商標) OP−30、等が挙げられる。ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル類としてはエマルゲン(登録商標)A60、エマルゲン(登録商標)A90、エマルゲン(登録商標)B66等が挙げられる。オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー類としては、エマルゲン(登録商標)PP−150、エマルゲン(登録商標)PP−230、エマルゲン(登録商標)PP−250、エマルゲン(登録商標)PP−290、NIKKOL(登録商標) PBC−34、NIKKOL(登録商標) PBC−44、等が挙げられる。ポリオキシプロピレン(2)ポリオキシエチレンデシルエーテル類としては、エマレックス(登録商標)DAPE0207、エマレックス(登録商標)DAPE0210、エマレックス(登録商標)DAPE0212、エマレックス(登録商標)DAPE0215、エマレックス(登録商標)DAPE0220、エマレックス(登録商標)DAPE0220等が挙げられる。脂肪酸エステル類としては、レオドール(登録商標)(登録商標)TW−L120、レオドール(登録商標)TW−L106、レオドール(登録商標)TW−P120、レオドール(登録商標)TW−S120、レオドール(登録商標)TW−O120、レオドール(登録商標)460、エマノーン(登録商標)1112、エマノーン(登録商標)3115、エマノーン(登録商標)3170、エマノーン(登録商標)3299、エマノーン(登録商標)3130
【0032】
ポリオキシエチレンステロール類としては、NIKKOL(登録商標) BPS−10、NIKKOL(登録商標) BPS−20、NIKKOL(登録商標) BPS−30、NIKKOL(登録商標) PSH−25、NIKKOL(登録商標) DHC−30等が挙げられる。その他には、n−オクチル−β−D−グルコシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、N,N−ビス(3−D−グルコノアミドプロピル)コラミド、N,N−ビス(3−D−グルコノアミドプロピル)デオキシコラミド、n−オクタノイル−N−メチルグルコアミド、n−ノナノイル−N−メチルグルコアミド、n−デカノイル−N−メチルグルコアミド、シュークロースモノカプレート、シュークロースモノラウレート、シュークロースモノコレート、ジギトニン等が挙げられる。
【0033】
さらにアルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルアラニン、アルキルアミンオキサイド、これらの誘導体等が挙げられる。これらのアンヒトール(登録商標)(登録商標)20BS、アンヒトール(登録商標)24B、アンヒトール(登録商標)86B、アンヒトール(登録商標)20Z、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、等が挙げられる。
【0034】
界面活性剤の濃度としては、特に規定はしないが、好ましい下限は0.01重量%、より好ましくは0.05重量%、さらに好ましくは0.1重量%添加することが好ましい。好ましい上限は10重量%、さらに好ましくは5.0重量%添加することが好ましい。
【0035】
また、界面活性剤のHLB値は、好ましい下限として8.8、さらに好ましくは11.0である。好ましい上限は19.1である。
【0036】
本発明に用いられる防腐剤としては、アジ化物、キレート剤、抗生物質、抗菌剤、プロクリン(登録商標)各種などが挙げられる。濃度としては、好ましい下限として試薬中0.001重量%、より好ましくは0.01重量%である。好ましい上限は試薬中1.0重量%、より好ましくは0.1重量%である。
【0037】
本発明に用いられる安定化剤としては、シクロデキストリンおよびその修飾体、クラスターデキストリン、カリックスアレン誘導体、アミノスルホン酸化合物、スメクタイトなどの膨潤性層状粘土鉱物、ホウ酸塩、カタラーゼなどがある。濃度としては、好ましい下限として試薬中で0.01mmol/L、より好ましくは0.05mmol/Lである。好ましい上限は、試薬中で10mmol/L、より好ましくは2mmol/Lである。
【0038】
また、生体試料中のアスコルビン酸の影響回避のために、アスコルビン酸オキシダーゼを使用することができ、本発明で使用するアスコルビン酸オキシダーゼの起源としては、Cucumis sp.やCucurbita sp.およびAcremonium sp.が挙げられる。濃度としては、好ましい下限として試薬中0.01U/L、より好ましくは0.05U/Lである。好ましい上限は、試薬中100U/L、より好ましくは50U/Lである。
また、アスコルビン酸オキシダーゼを含む試薬のpHとしては、酵素の安定性、活性を考慮し、好ましい下限はpH6.0、好ましい上限はpH8.0である。また、添加配置としては、第一試薬に含有させることが好ましい。
【0039】
本発明において、液状試薬の形態で提供する場合、試薬は、ガラスビン、プラスチック容器等への充填の形態で提供することができるが、これらの容器を遮光することがより望ましい。
【0040】
本発明におけるチロシン測定試薬において、検量線での校正方法(キャリブレーション方法)は特に限定されないが、
[1]精製水あるいは、生理食塩水と、
[2]1水準以上の濃度の標準物質または、標準溶液により行うのが好ましい。
【0041】
キャリブレーション方法としては、直線法、スプライン法などいずにも限定されないが、特に直線法が好ましい。
【0042】
また、分析方法としては、以下の方法に限定されるものではないが、以下の[1]、[2]、[3]、のいずれかであることが好ましい。
[1]1ポイント法;試薬を添加し、一定時間後の吸光度を測定するエンドポイント法
[2]2ポイント法;測光ポイントを変えて2回測定し、差の吸光度を求めるエンドポイント法
[3]レート法;指定された測光ポイント間の単位時間あたりの吸光度変化を求める方法
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は実施例により特に限定されるものではない。
【0044】
[実施例1〜8、および、比較例1〜8]チラミンオキシダーゼと各色素、またはカップラー、共存条件におけるチラミンオキシダーゼの安定性(表2(実施例)、表3(比較例))
本発明の実施形態の1つとしてチロシン測定用試薬が考えられる。特に、自動分析機への適応などを考えた場合、過酸化水素の発生量に基づく発色量を検出できる測定系が望ましい。よってまず、チラミンオキシダーゼと各色素、カップラーとの共存条件におけるチラミンオキシダーゼの安定性について検討した。
【0045】
(試薬の調製)
下記組成からなる試薬を調製した。
PIPES(同仁化学社製) 15.1g/L pH6.5
チラミンオキシダーゼ(東洋紡社製) 0.4KU/L pH7.0
各発色体または、カップラー 0.5g/L
【0046】
(保存条件)
(1)冷蔵安定性;試薬を1℃〜10℃に保存。
(2)熱安定性;試薬を37℃に保存。
(3)光安定性;10℃以下の保存条件で、褐色容器内に試薬を保管し、試薬を含有する該容器を500ルクスで照射し保存。容器の材質としては、ポリエチレンテレフタレートのものを使用した。
【0047】
(チラミンオキシダーゼ活性測定法)
チラミンオキシダーゼの活性測定は以下の測定条件で行った。以下、残存活性の測定には、本方法を用いた。
(1)基質液
10mM チラミン水溶液
(2)発色液
70mM リン酸緩衝液(pH7.0)
0.071g/L 4−アミノアンチピリン
1.16mM TOOS(同仁化学社製)
2.3u/mL ペルオキシダーゼ
(3)測定条件
日立7070形自動分析機を用いた。
基質液:発色液=1:9で混合し測定試薬とした。試料15μLに測定試薬285μLを添加し37℃にて5分間インキュベーションし第一反応とした。第一反応の単位時間あたりの570nmにおける吸高度変化をレート法にて測定し活性を求めた。
(4)キャリブレーション法
精製水、0.2U/mLチラミンオキシダーゼ溶液を2重測定し、0.2U/mLチラミンオキシダーゼ溶液測定吸光度から精製水測定吸光度を差引いた吸光度(感度)を算出し、補正を行った。
【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
チラミンオキシダーゼと各色素、またはカップラー共存条件におけるチラミンオキシダーゼの各保存条件での安定性を表2(実施例)、表3(比較例)に示す。
実施例では、未処理の試料と比較し、いずれも冷蔵安定性≧85%、熱安定性≧60%、光安定性≧60%であるのに対し、比較例1〜8では、著しい残存活性の低下が見られた。
よって、本発明の実施形態として考えられるチロシン測定試薬においては、以下の反応系がより好ましいが、チラミンオキシダーゼとカップラーを別配置にし、水素供与体を同配置にすることが好ましい。特に水素供与体としては、一般式(1)または(2)および表1で表される化合物が良い。
[反応系]
チロシンにチロシンデカルボキシラーゼを作用させ、生成したチラミンにチラミンオキシダーゼを作用させることにより過酸化水素を発生させる。この発生した過酸化水素を利用し、ペルオキシダーゼの存在下、水素供与体とカップラーを反応させ、発色に導く過酸化水素検出系にて測定する方法。
【0051】
[実施例9〜11]チラミンオキシダーゼを含む試薬に水素供与体および/またはピリドキサール5’−リン酸(PLP)を添加することによるチラミンオキシダーゼの安定化(表4)
実施例3の試薬に、さらにピリドキサール5’−リン酸を添加しチラミンオキシダーゼの残存活性を検討した(実施例9、10)。また、実施例3の組成からTOOS 0.5g/Lを除いた試薬に、ピリドキサール5’−リン酸を添加し、チラミンオキシダーゼの残存活性を検討した(実施例11)。
【0052】
【表4】

【0053】
結果を表4に示す。水素供与体とピリドキサール5’−リン酸の両方をチラミンオキシダーゼを含む試薬に添加した場合(実施例9、10)、水素供与体を含まず、ピリドキサール5’−リン酸を単独で添加した場合(実施例11)のいずれにおいても、ピリドキサール5’−リン酸を添加することでチラミンオキシダーゼの安定化効果が確認された。ピリドキサール5’−リン酸を0.001mmol/L〜10mmol/Lの範囲で添加することで同様のチラミンオキシダーゼの安定化効果を確認している。
【0054】
[実施例12〜14、比較例9]水素供与体とチラミンオキシダーゼおよびピリドキサール5’−リン酸を含む試薬に、添加剤を加えることによるチラミンンオキシダーゼの安定化検討(表5)
実施例10の試薬に、測定上添加の可能性のあるEDTA・2Na、NaCl、POD(ペルオキシダーゼ)、FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)を添加し残存活性を検討した。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA・2Na)を用いているが、これに限定されるものではない。FADはチラミンオキシダーゼや、その他アミンオキシダーゼの安定化剤としての利用が考えられる。
また、EDTA・2Na、NaCl、POD、FADの添加量については、以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
(試薬の調製)
下記組成からなる試薬を調製した。
PIPES(同仁化学社製) 15.1g/L pH6.5
チラミンオキシダーゼ(東洋紡社製) 0.4KU/L pH7.0
TOOS(同仁化学社製) 0.5g/L
EDTA・2Na 0.4g/L
NaClまたは、ペルオキシダーゼ(POD)または、PLPまたは、FAD
(EDTA・2Na・・・0.04%、PLP(東京化成社製)・・・10mg/L、POD(東洋紡社製)・・・5KU/L、FAD(ナカライテスク社製)・・・7.5mg/L)
【0056】
【表5】

【0057】
結果を表5に示す。表5より水素供与体とチラミンオキシダーゼ、ピリドキサール5’−リン酸を含む試薬にEDTA・2Na、NaCl、PODを添加することで、いずれの保存条件においても安定化効果が見られた。一方、FAD添加試薬についてはチラミンオキシダーゼの安定性不良が見られ、特に光照射による影響を受け易いことが明らかになった。

【0058】
[実施例15]本発明におけるチロシン測定用試薬を用いた試料中のチロシン濃度測定(図1)
本発明における実施形態の一つであるチロシン測定用試薬を調製し、試料の希釈系列を作製し、試料中のチロシン濃度を測定した。
【0059】
(試薬の調製)
以下の組成からなるチロシン測定試薬を調製した(実施例15)。
第一試薬
PIPES(同仁化学社製) 50mM pH6.5
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メトキシアニリン
(TOOS) (同仁化学社製) 1g/L
EDTA・2Na 0.4g/L
NaCl 0.9g/L
トリトンX−100 1g/L
ペルオキシダーゼ(東洋紡社製PEO−301) 5U/mL
アスコルビン酸オキシダーゼ(東洋紡社製ASO−311) 3/mL
チラミンオキシダーゼ(東洋紡社製TYO−301) 0.4U/mL
ピリドキサール5−リン酸エステル 10mg/L
第ニ試薬
PIPES(同仁化学社製) 50mM pH6.5
EDTA・2Na 0.4g/L
トリトンX−100 1g/L
4−アミノアンチピリン 0.3g/L
チロシンデカルボキシラーゼ 5U/mL
フェロシアン化カリウム 0.15mmol/L
【0060】
試料には以下を用いた。
・試料1
・・・L−チロシン水溶液(1000umol/L)の10段階希釈系列を試料1とした。
・試料2
・・・液状ネスコールA(アルフレッサファーマ社)に濃度が200umol/LとなるようにL−チロシンを追添した血清の10段階希釈系列を試料2とした。
【0061】
(測定法)
日立7170形自動分析機を用いた。試料7.5μLに第一試薬 120μL添加し37℃にて5分間インキュベーションし第一反応とした。その後第二試薬を40μL添加し5分間インキュベーションし第二反応とした。第一反応および第二反応の吸光度を液量補正した各吸光度の差をとる2ポイントエンド法で600nmにおける吸光度を測定した。
【0062】
(キャリブレーション法)
精製水、200μmol/LのL−チロシン水溶液を2重測定し、200μmol/LのL−チロシン水溶液測定吸光度から精製水測定吸光度を差引いた吸光度(感度)を算出し、補正を行った。
【0063】
結果を図1に示す。結果より実施例15において、高濃度試料、低濃度試料のいずれの希釈系列においても良好な直線性が確認された。また、水溶性の試料、生体試料いずれも良好に測定できることが確認された。

【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、チラミンオキシダーゼの安定化方法およびその組成物に関するものである。
特に臨床診断に用いられる生体成分中のチロシン測定試薬、およびチロシン測定試薬を含むBTR測定試薬(の総分岐鎖アミノ酸/チロシンモル比測定用試薬)に用いられるチラミンオキシダーゼの安定化方法およびその組成物に関するものである。本発明は、体外診断用医薬品などの用途分野に利用することができ、産業界に寄与することが大である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明におけるチロシン測定用試薬を用いた試料中のチロシン濃度測定結果を示す(実施例15)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チラミンオキシダーゼを含む溶液に、ピリドキサール5’−リン酸(PLP)、または、ピリドキサミン5’−リン酸(PMP)を共存させることを特徴とする、チラミンオキシダーゼの溶液中での安定化方法。
【請求項2】
一般式(1)または、一般式(2)で表されるアニリン系水素供与体を共存させる、請求項1に記載のチラミンオキシダーゼの溶液中での安定化方法。
【化1】

[一般式(1)]
【化2】

[一般式(2)]
(式中、R1はCまたはHのいずれか、R2はOCH3、CH3、またはHのいずれか、R3はOCH3、CH3、またはHのいずれかである。)
【請求項3】
ピリドキサール5’−リン酸(PLP)、または、ピリドキサミン5’−リン酸(PMP)が、その水和物、またはそのエステル化合物から選択される少なくとも一つの物質である、請求項1または2に記載のチラミンオキシダーゼの溶液中での安定化方法。
【請求項4】
チラミンオキシダーゼを含む溶液が、チロシン測定試薬に含まれるものである、請求項1〜3のいずれかに記載のチラミンオキシダーゼの溶液中での安定化方法。
【請求項5】
チロシン測定試薬が、チラミンオキシダーゼ、アニリン系水素供与体、ピリドキサール5’−リン酸(PLP)、または、ピリドキサミン5’−リン酸(PMP)を第一試液に含み、チロシンデカルボキシラーゼおよびカップラーを第二試液に含む構成を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のチラミンオキシダーゼの溶液中での安定化方法。
【請求項6】
カップラーが4−アミノアンチピリンである、請求項5に記載のチラミンオキシダーゼの溶液中での安定化方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の方法により安定化された、チラミンオキシダーゼを含有する溶液。
【請求項8】
請求項7に記載の溶液を含む、チロシン測定試薬。


【図1】
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【公開番号】特開2009−247257(P2009−247257A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97878(P2008−97878)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】