説明

ツイストドリルの研削方法とこれに用いる研削装置

【課題】本発明は平面から成り且つ外端において広幅な第一,第二開先面を軸対称に形成する作業を容易に且つ高精度に実行できるドリルの研削方法とこれに用いる研削装置を提供する。
【解決手段】ドリルホルダーに保持されたドリル28の先方に下方への傾き角を有する傾斜直線A3上において進退する定規材34を設け、該定規材34の先端に該定規材34の進退により平行シフトされる水平定規面37を設け、該定規材34を前進して水平定規面37の平行シフトレベルを設定し、該水平定規面37に刃先すくい面5,6が角当たりした状態を形成し、該角当たりにより上記刃先1,2が回転円盤形砥石24の傾斜研削面31の母線A5に対し下方へ傾斜せる状態を形成し、該傾斜状態でドリルホルダー及びドリル28を前進することにより刃先逃げ面3,4に外端において幅広Wな開先面9,10を研削するツイストドリルの研削方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は孔穿け工具として周知なツイストドリルの研削方法とこれに用いる研削装置、特にツイストドリルの刃先逃げ面に開先面を研削する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1A,図2Aに示すように、ツイストドリル28は先端面のドリル軸線A1上の中心Oに対し軸対称に配した第一刃先1と第二刃先2を有し、該第一刃先1と第二刃先2は軸対称に配した略デルタ形の第一刃先逃げ面3及び第二刃先逃げ面4と、軸方向に延びる第一刃先すくい面5及び第二刃先すくい面6とによって図3に示す開先角度α2が設定され、第一,第二刃先逃げ面3,4と面して切り屑排出用の軸方向に延びる第一,第二螺旋溝7,8が形成されている。
【0003】
又上記第一,第二刃先1,2の第一,第二刃先逃げ面3,4には平面から成る第一,第二開先面9,10を軸対称に研削すると共に、第一,第二刃先1,2と第一,第二開先面9,10の内端にはR形刃先部分13,14とR形開先面部分17,18を軸対称に研削し、該R形刃先部分13,14の内端を上記中心Oにおいて互いに点結合した形状を有する。
【0004】
よって上記第一,第二刃先1,2は内端にR形刃先部分13,14を有し、該R形刃先部分13,14から外端に向かって延びる直線刃先部分15,16を有する。
【0005】
同様に上記第一,第二開先面9,10は内端に上記R形刃先部分13,14に同調する形状のR形開先面部分17,18を夫々有し、上記直線刃先部分15,16に同調する形状の方形開先面部分19,20を夫々有する。
【0006】
図4に示すように、上記第一,第二刃先1,2はドリル軸線A1に対し等傾斜角度α1を以って下り傾斜し、同様に上記第一,第二開先面9,10はドリルの軸線A1に対し等傾斜角度α1を以って下り傾斜している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記図1A,図2Aに示すツイストドリル28の第一,第二開先面9,10の加工を目的とする方法と装置を提供するものである。
【0008】
尚第一,第二刃先1,2の内端の上記R形刃先部分13,14と、上記第一,第二開先面9,10の内端のR形開先面部分17,18は特公昭63−25905号公報に示された方法と装置によって形成する。
【0009】
図3に示すように、上記第一,第二刃先1,2の開先角度α2は第一,第二開先面9,10と刃先逃げ面3,4とにより決定されるが、本発明はこの第一,第二開先面9,10と開先角度α2を高精度に研削することができるドリルの研削方法とこれに用いる研削装置を提供する。
【0010】
又本発明は図4に示すように、上記第一,第二刃先1,2と第一,第二開先面9,10の内端(中心O)から外端へ向けての下り傾斜角度α1を高精度に研削できるドリルの研削方法とこれに用いる研削装置を提供する。
【0011】
又本発明は図1Aに示すように、内端から外端において等幅な第一,第二開先面9,10を高精度に研削できるドリルの研削方法とこれに用いる研削装置を提供する。
【0012】
特に本発明は図2Aに示すように、内端から外端へ向けて漸次幅広Wとなる第一,第二開先面9,10を高精度に研削できるドリルの研削方法とこれに用いる研削装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一,第二の発明は、ツイストドリルを装着したドリルホルダーの前進により同ドリルを軸線方向へ前進せしめ、該前進により上記ドリルの刃先逃げ面を回転円盤形砥石の傾斜研削面に押し付けて開先面を研削するようにしたドリルの研削方法を前提技術とする。
【0014】
第一の発明は上記前提技術において、上記ドリルの先方にドリル軸線と直交する水平線に対し下方への傾き角を有する傾斜直線上において進退する定規材を設け、該定規材の先端に該定規材の上記傾斜直線上における進退により平行シフトされる水平定規面を設け、該定規材をドリルのウェブの厚みに応じた位置に前進することにより水平定規面の平行シフトレベルを設定し且つ上記ドリルを回動することにより上記水平定規面に刃先すくい面が平行当たりした状態を形成し、該平行当たりにより上記刃先と上記回転円盤形砥石の傾斜研削面の母線との対向状態を形成し、該対向状態でドリルホルダー及びドリルを前進することにより上記刃先逃げ面に等幅な開先面を高精度に研削できるドリルの研削方法を提供するものである。
【0015】
又第二の発明は上記前提技術において、上記定規材をドリルのウェブの厚みに応じた位置より僅かに後退した位置に前進することにより水平定規面の平行シフトレベルを設定し且つ上記ドリルを回動することにより上記水平定規面に刃先すくい面が角当たりした状態を形成し、該角当たりにより上記刃先が上記回転円盤形砥石の傾斜研削面の母線に対し下方へ傾斜せる状態を形成し、該傾斜状態でドリルホルダー及びドリルを前進することにより上記刃先逃げ面に内端から外端へ向け漸次幅広となる開先面を高精度に研削できるドリルの研削方法を提供するものである。
【0016】
又第三の発明は上記主軸を回転可能に保持するドリルホルダーを備え、該ドリルホルダーを主軸の軸線方向へ水平に進退するように支持し、上記主軸の先方に配した周面に環状傾斜研削面を有する回転円盤形砥石を備え、該回転円盤形砥石を主軸の軸線と直交する水平線の上位において平行な回転軸線を中心に回転するように支持し、該主軸の先端にチャック又はコレットを介して主軸と同一軸線にドリルを装着し、上記ドリルホルダーの前進により上記ドリルを軸線方向へ前進せしめ、該前進により上記ドリルの刃先逃げ面を上記回転円盤形砥石の傾斜研削面に押し付けて開先面を研削するようにしたドリルの研削装置を前提技術とする。
【0017】
第三の発明は上記前提技術において、上記ドリルの先方に配した定規材を備え、該定規材をドリル軸線と直交する水平線に対し下方への傾き角を有する傾斜直線上において進退するように支持し、該定規材の先端に該定規材の上記傾斜直線上における進退により平行シフトされる水平定規面を設け、該定規材の進退により水平定規面の平行シフトレベルを設定し且つ上記ドリルを回動することにより上記水平定規面に刃先すくい面が当接した状態を形成し上記開先面の研削に供する構成としたドリルの研削装置を提供するものである。
【0018】
又上記ドリルの研削装置は上記ドリルホルダーの上記前進時における終端位置を設定する終端位置設定装置を設け、該終端位置設定装置には上記終端位置を調整(開先面の研削しろを調整)する研削しろ調整螺子を具備せしめ、該終端位置設定装置によりドリルホルダーのそれ以上の前進を阻止して研削を終了するようにしたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、図3に示す第一,第二開先面9,10の第一,第二刃先逃げ面3,4に対する角度α2を互いに等角度となるように高精度に且つ容易に研削することができる。
【0020】
又本発明によれば、図4に示す第一,第二刃先1,2と第一,第二開先面9,10の内端(中心O)から外端へ向けての下り傾斜角度α1を互いに等角度になるように高精度に且つ容易に研削することができる。
【0021】
又本発明によれば、図1Aに示す方形開先面部分19,20が内端から外端において等幅となるように高精度に且つ容易に研削できる。
【0022】
又本発明によれば、図2Aに示す方形開先面部分19,20が内端から外端に向け漸次幅広となるように高精度に且つ容易に研削し、周速の速い刃先外端部における欠損を有効に防止できる。
【0023】
又本発明によれば、太さの異なるドリルに適合する幅を有する第一,第二開先面9,10を容易に且つ高精度に加工できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図8に基づき説明する。
【0025】
図5乃至図7に示すように、機台21の一端側にドリルホルダー22を備え、他端側にモーター23によって回転駆動される円盤形砥石24を備える。
【0026】
上記ドリルホルダー22は主軸25を回転可能に保持し、同ホルダー22を該主軸25の軸線A1方向に進退可能に支持する。26は機台21の上面に設けられたドリルホルダー22の案内レールであり、該レール26にドリルホルダー22を滑合し上記軸線A1方向への進退を可能とする。
【0027】
上記主軸25の先端にチャック又はコレット27を介して研削対象であるツイストドリル28を主軸軸線A1と同一軸線となるように着脱可能に装着する。従って上記ドリルホルダー22は主軸25及びドリル28と一緒に上記軸線A1方向へ進退可能である。
【0028】
他方、上記回転円盤形砥石24は軸線A2の一端側に大径の円形側面29を有し、他端側に小径の円形側面30を有し、該大径円形側面29から小径円形側面30へ向け収斂せる周面、即ち環状の傾斜研削面31を有する。
【0029】
換言すると、大径円形側面29から小径円形側面30に向け下り勾配となる環状の傾斜研削面31を有する。
【0030】
上記回転円盤形砥石24を上記主軸25の先方において主軸軸線A1と直交する水平線A4の上位において平行な回転軸線A2を中心に回転し且つ該回転円盤形砥石24の傾斜研削面31とドリル28の第一刃先1又は第二刃先2とが対向した状態に配置する。
【0031】
上記主軸25の後端には半円回転盤32を一体に取り付け、該半円回転板32を操作ハンドル33により半円回転してドリル28を主軸25と一緒に半円回転できるようにし、一方への半円回転により第一刃先1を傾斜研削面31と対向させ第一開先面9を形成した後、他方への半円回転により第二刃先2を傾斜研削面31と対向させ第二開先面10を形成できるようにする。
【0032】
図1C,図2Cに示すように、上記ドリル28の先方に配した定規材34を備え、該定規材34をドリル軸線A1と直交する水平線A4に対し下方への傾き角α3を有する傾斜直線A3上において進退するように支持する。
【0033】
具体例として、定規材34を細長板材にて形成し、該細長板材の上辺と下辺をガイド部材11,12にて傾斜直線A3上における進退を案内し、更に該細長板材に上記傾斜直線A3方向に延びる固定用長溝35を設け、該固定用長溝35内に固定ピン36を挿入して機台21側に螺合し、固定ピン36を締結することにより上記定規材34を固定する。
【0034】
上記定規材34は固定ピン36を以って機台21上に搭載されたモーター23及び回転円盤形砥石24の取り付け台38に取り付ける。
【0035】
上記定規材34は先端に水平定規面37を有する。該水平定規面37は上記傾斜直線A3上における定規材34の進退により平行シフトされる。
【0036】
上記定規材34を目盛りに従い進退することにより水平定規面37の平行シフトレベルを設定する。該平行シフトレベルは固定ピン36を螺子にて形成し、該螺子を締め付けることにより取り付け台38に移動不可に固定し機台21に固定する。
【0037】
次に上記ドリル28を軸線A1(中心O)を中心に回動することにより上記水平定規面37に第一刃先すくい面5が当接した状態を形成し、該当接状態から定規材34を後退した後、ドリルホルダー22及びドリル28を前進することにより上記第一刃先1の第一刃先逃げ面3に第一開先面9を研削する。
【0038】
次に操作ハンドル33により主軸25及びドリル28を半円回転し、上記水平定規面37に第二刃先すくい面6が当接した状態を形成し、該当接状態から定規材34を後退した後、ドリルホルダー22及びドリル28を前進することにより上記第二刃先2背後の第二刃先逃げ面4に第二開先面10を研削する。
【0039】
図8に示すように、更に機台21にドリルホルダー22の上記前進時における終端位置を設定する終端位置設定装置39を設ける。
【0040】
上記終端位置設定装置39は上記終端位置を調整する研削しろ調整螺子40を有し、該研削しろ調整螺子40を螺進又は螺退することにより、研削しろ調整螺子40先端の突出量を調整し且つ上記終端位置を調整する。該終端位置設定装置39によりドリルホルダー22及びドリル28のそれ以上の前進を阻止して研削を終了する。
【0041】
図4に示すGはドリル28の刃先逃げ面3,4の研削しろGを示し、該研削しろGが上記終端位置設定装置39の調整螺子40によって設定される。
【0042】
上記ドリルホルダー22にはストッパー42を設け、該ストッパー42を上記研削しろ調整螺子40の先端に衝合し、上記終端位置を設定する。
【0043】
上記研削しろ調整螺子40の基端に設けたダイヤル41を目盛りに従い回動することにより同調整螺子40の突出量を調整し且つドリルホルダー22の前進終端位置を調整することができる。
【0044】
次に図1Aに示す等幅な第一,第二開先面9,10を形成する方法について説明する。
【0045】
ドリル28のウェブの厚みT(ドリル28の太さによって異なる)を測定し、上記定規材34を上記ウェブの厚みTに応じた位置に前進して固定ピン36を回動して定規材34を該前進位置に固定すると共に、前記終端位置設定装置39の研削しろ調整螺子40の突出量を設定する。
【0046】
次に図1Cに示すように、チャック又はコレット27を弛めてドリル28を回動して上記第一刃先1の第一刃先すくい面5と水平定規面37との平行当たり状態を形成し、該平行当たり状態により図1Bに示す第一刃先1と傾斜研削面31の母線A5との対向状態を形成し、チャック又はコレット27を緊締しドリル28を固定する。
【0047】
次に固定ピン36を弛めて定規材34を後退した後、上記ドリルホルダー22及びドリル28を、研削しろ調整螺子40の先端にストッパー42が衝合するまで前進して研削を続行し、両者40と42が衝合した位置で等幅な第一開先面9の研削(研削しろGの研削)を終了する。
【0048】
次いで上記定規材34を再び上記平行当たり位置に前進させると共に、操作ハンドル33により主軸25及びドリル28を半円回転して上記水平定規面37に第二刃先すくい面6が平行当たりした状態を形成し、該平行当たりにより図1Bに示す上記第二刃先2と傾斜研削面31の母線A5との対向状態を形成し、該対向状態でドリルホルダー22及びドリル28を前進することにより上記第二刃先2背後の第二刃先逃げ面4に略等幅な第二開先面10を研削する。
【0049】
次に図2Aに示す外端において幅広な第一,第二開先面9,10を形成する方法について説明する。
【0050】
研削前にドリル28のウェブの厚みT(ドリルの太さによって異なる)を測定し、上記定規材34を上記ウェブの厚みTに応じた位置に前進して固定ピン36を回動して定規材34を該前進位置に固定すると共に、前記終端位置設定装置39の研削しろ調整螺子40の突出量を設定する。
【0051】
即ち上記定規材34を図1Cに示す平行当たり位置より定量後退した位置に移動して固定する。
【0052】
次に図2Cに示すように、チャック又はコレット27を弛めてドリル28を回動して上記第一刃先1の第一刃先すくい面5が水平定規面37に角当たりした状態を形成し、該角当たり状態でチャック又はコレット27を緊締しドリル28を固定する。
【0053】
次に固定ピン36を弛めて定規材34を後退した後、上記ドリルホルダー22及びドリル28を、研削しろ調整螺子40の先端にドリルホルダー22の側面から突設したストッパー42が衝合するまで前進して研削を続行し、両者40と42が衝合した位置で外端において広幅な第一開先面9の研削(研削しろGの研削)を終了する。
【0054】
次いで上記定規材34を再び上記角当たり位置に前進させると共に、操作ハンドル33により主軸25及びドリル28を半円回転して上記水平定規面37に第二刃先すくい面6が角当たりした状態を形成し、該角当たりにより図2Bに示す上記第二刃先2が上記回転円盤形砥石24の傾斜研削面31の母線A5に対し下方へ傾斜せる状態を形成し、該傾斜状態でドリルホルダー22及びドリル28を前進することにより上記第二刃先逃げ面4に内端から外端へ向け漸次幅広Wとなる第二開先面10を研削する。
【0055】
本発明によれば、図1Aに示す平面から成る等幅な第一,第二開先面9,10を軸対称に形成する作業を容易に且つ高精度に実行できる。
【0056】
殊に図2Aに示す平面から成り且つ外端において幅広Wとなる第一,第二開先面9,10を軸対称に形成する作業を容易に且つ高精度に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】Aは本発明によって研削されるツイストドリルの等幅開先面をドリル先端側から視た正面図、Bは上記等幅開先面を研削する場合における、回転円盤形砥石の傾斜研削面の母線とドリルの刃先の対向状態を示す正面図、Cは上記等幅開先面を研削する場合における、定規材の水平定規面と刃先の平行当たり状態を示す正面図。
【図2】Aは本発明によって研削されるドリルの外端が幅広な開先面をドリル先端側から視た正面図、Bは上記外端が幅広な開先面を研削する場合における、回転円盤形砥石の傾斜研削面の母線に対し上記刃先が下方へ傾斜せる状態に設定した状態を示す正面図、Cは上記外端が幅広な開先面を研削する場合における、定規材の水平定規面と刃先の角当たり状態を示す正面図。
【図3】ドリルの刃先の開先面と開先角度を示す断面図。
【図4】ドリルの刃先と開先面の傾斜角度を示す側面図。
【図5】ドリルの研削装置の側面図。
【図6】同背面図。
【図7】同平面図。
【図8】上記研削装置における終端位置設定装置の側面図。
【符号の説明】
【0058】
1…第一刃先、2…第二刃先、3…第一刃先逃げ面、4…第二刃先逃げ面、5…第一刃先すくい面、6…第二刃先すくい面、9…第一開先面、10…第二開先面、22…ドリルホルダー、24…回転円盤形砥石、25…主軸、28…ツイストドリル、31…傾斜研削面、34…定規材、37…水平定規面、39…終端位置設定装置、40…研削しろ調整螺子、α1…傾斜角度、α2…開先角度、A1…主軸とドリルの軸線、A2…回転円盤形砥石の回転軸線、A3…定規材が進退する傾斜直線、A4…軸線A1と直交する水平線、A5…傾斜研削面の母線、G…研削しろ、O…ドリルの先端面の中心、T…ウェブの厚み。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツイストドリルを装着したドリルホルダーの前進により同ドリルを軸線方向へ前進せしめ、該前進により上記ドリルの刃先逃げ面を回転円盤形砥石の傾斜研削面に押し付けて開先面を研削するようにしたツイストドリルの研削方法において、上記ドリルの先方にドリル軸線と直交する水平線に対し下方への傾き角を有する傾斜直線上において進退する定規材を設け、該定規材の先端に該定規材の上記傾斜直線上における進退により平行シフトされる水平定規面を設け、該定規材をドリルのウェブの厚みに応じた位置に前進することにより水平定規面の平行シフトレベルを設定し且つ上記ドリルを回動することにより上記水平定規面に刃先すくい面が平行当たりした状態を形成し、該平行当たりにより上記刃先と上記回転円盤形砥石の傾斜研削面の母線との対向状態を形成し、該対向状態でドリルホルダー及びドリルを前進することにより上記刃先逃げ面に略等幅な開先面を研削することを特徴とするツイストドリルの研削方法。
【請求項2】
ツイストドリルを装着したドリルホルダーの前進により同ドリルを軸線方向へ前進せしめ、該前進により上記ドリルの刃先逃げ面を回転円盤形砥石の傾斜研削面に押し付けて開先面を研削するようにしたツイストドリルの研削方法において、上記ドリルの先方にドリル軸線と直交する水平線に対し下方への傾き角を有する傾斜直線上において進退する定規材を設け、該定規材の先端に該定規材の上記傾斜直線上における進退により平行シフトされる水平定規面を設け、該定規材をドリルのウェブの厚みに応じた位置より僅かに後退した位置に前進することにより水平定規面の平行シフトレベルを設定し且つ上記ドリルを回動することにより上記水平定規面に刃先すくい面が角当たりした状態を形成し、該角当たりにより上記刃先が上記回転円盤形砥石の傾斜研削面の母線に対し下方へ傾斜せる状態を形成し、該傾斜状態でドリルホルダー及びドリルを前進することにより上記刃先逃げ面に外端において幅広な開先面を研削することを特徴とするツイストドリルの研削方法。
【請求項3】
主軸を回転可能に保持するドリルホルダーを備え、該ドリルホルダーを主軸の軸線方向へ水平に進退するように支持し、上記主軸の先方に配した周面に環状傾斜研削面を有する回転円盤形砥石を備え、該回転円盤形砥石を主軸の軸線と直交する水平線との上位において平行な回転軸線を中心に回転するように支持し、該主軸の先端にチャック又はコレットを介して主軸と同一軸線にツイストドリルを装着し、上記ドリルホルダーの前進により上記ドリルを軸線方向へ前進せしめ、該前進により上記ドリルの刃先逃げ面を上記回転円盤形砥石の傾斜研削面に押し付けて開先面を研削するようにしたツイストドリルの研削装置において、上記ドリルの先方に配した定規材を備え、該定規材をドリル軸線と直交する水平線に対し下方への傾き角を有する傾斜直線上において進退するように支持し、該定規材の先端に該定規材の上記傾斜直線上における進退により平行シフトされる水平定規面を設け、該定規材の進退により水平定規面の平行シフトレベルを設定し且つ上記ドリルを回動することにより上記水平定規面に刃先すくい面が当接した状態を形成し上記開先面の研削に供する構成としたことを特徴とするツイストドリルの研削装置。
【請求項4】
上記ドリルホルダーの上記前進時における終端位置を設定する終端位置設定装置を有し、該終端位置設定装置は上記終端位置を調整する研削しろ調整螺子を有することを特徴とする請求項3記載のツイストドリルの研削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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