説明

ツール用連結部材

【課題】識別しやすく、脱落しにくいめっき層を有するツール用連結部材を提供する。
【解決手段】筒状の本体(10)を有し、該本体(10)は、外縁の表面(15)を有し、該表面(15)に少なくとも1つの目印ユニット(20)が設けられ、該本体(10)の表面に該目印ユニット(20)と対応する凹溝(21)が形成され、該凹溝(21)の周縁に着色層(22)が塗布され、該着色層(22)が所定の色を有し、該本体(10)の表面に該着色層(22)に付着しないめっき層(25)が設けられ、該めっき層(25)の色と着色層(22)の色とは、明らかに差別を有することにより、着色層(22)が脱落しにくい、識別しやすいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツール用連結部材に係り、特に識別しやすく、脱落しにくいめっき層を有すると共に、使用者が簡単に正確なツールを選ぶことができ、ツールの使用寿命も延長することができるツール用連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般のボルトやナットの着脱は、コンビネーションレンチや可動レンチを用いる場合が多いが、レンチロッドと連結筒との配合使用も多い。レンチロッドと連結筒との配合使用は、一本のレンチロッドと複数の異なるサイズの連結筒を使用できる特徴を有するので、使用者が携帯するツールの数量やツールの重量を降下する特長を有する。更に、大量のツールを購入する必要が無いため、ツールコストを降下する効果を有する。故に、最近では、連結筒のような連結部材の開発は、進んでいる。
【0003】
又、連結筒のサイズは、異なるサイズのボルトやナットに対応する必要があるため、様々なサイズを有する連結筒を有する。これらの異なるサイズを有する連結筒をツールボックスに収容する場合、使用者が簡単に必要なツールを識別するために、該連結筒の表面にロール加工やプリント加工によって目印が設けられるが、このやり方は、加工設備のコストが高いと、設けられた目印が識別しにくいという欠点があるため、使用上非常に不便である。
【0004】
又、台湾特許公告第555626号「ツール連結筒の表面処理方法とその製品」と、台湾実用新案公告第566272号「ツール連結筒構造」と、台湾登録実用新案第M242206号「ツール連結筒の識別リング装置」と、米国特許第6,393,950号には、異なる識別システムが開示されたが、全てモールド加工又はロール加工によって該ツール連結筒の表面に凸凹な目印が設けられ、しかし、加工機具が制限されるので、簡単な目印を形成できるが、商標などの複雑なパターンを形成することができず、更に、形成された目印の色と連結筒の色とが等しいため、簡単に識別することができないという問題があった。
【0005】
又、台湾特許公告第555626号「ツール連結筒の表面処理方法とその製品」と台湾登録実用新案第M250756号「識別しやすい目印を有するツール連結筒」は、連結筒における外縁の所定位置に滑り止め溝と目印凹部が形成され、該目印凹部にめっき層が設けられ、最後に該めっき層に着色層が設けられることにより、連結筒における外表面のめっき層と着色層との色が明らかに差別となり、故に目印の識別性を向上することができる。
【特許文献1】台湾特許公告第555626号公報
【特許文献2】台湾実用新案公告第566272号公報
【特許文献3】台湾登録実用新案第M242206号公報
【特許文献4】米国特許第6,393,950号公報
【特許文献5】台湾登録実用新案第M250756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記めっき層が形成された後、連結層の表面が滑りやすいため、着色層がめっき層にうまく付着することができず、該着色層が脱落しやすいという問題があって、故に、後の識別効果や使用寿命に悪影響を与える。
【0007】
そこで、出願されたのが本発明であって、識別しやすいと共に、脱落しにくいめっき層を有するツール用連結部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の発明は、下記の技術により、前記目的を達成することができる。
本願の発明は、筒状の本体と、該本体の表面に設けられる目印ユニットとを有するツール連結部材であって、該本体における表面の所定の位置に目印ユニットと対応する凹溝が形成され、該凹溝の内に所定の色を有する着色層が被覆され、該本体の表面に該着色層に付着しないめっき層が被覆され、該めっき層の色と着色層の色が明らかに差別を有することを特徴とする。
【0009】
又、前記着色層にリン酸マンガンを添加することができ、該凹溝のざらざら表面によって着色層の付着力を向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、前記の課題を解決するものであり、本体の表面と、本体における目印ユニットの凹溝に、夫々異なる色を有するめっき層と着色層が設けられることにより、目印ユニットにフィルムのような効果を形成し、故に、目印ユニットとする文字や商標やパターンを明らかに識別することができ、着色層の脱落も防止することができる。そして、使用寿命の延長も達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明に係るツール用連結部材の斜視図であり、図2は本発明に係るツール用連結部材の目印ユニットに着色する前状態の一部断面図であり、図3は本発明に係るツール用連結部材の目印ユニットから着色層を除去する前状態の一部断面図であり、図4は本発明に係るツール用連結部材の目印ユニットの形成状態を示す一部断面図である。
【0013】
図1に示すように、本発明に係るツール用連結部材は、筒状の本体(10)を有し、該本体(10)は、外縁の表面(15)を有し、該表面(15)に少なくとも1つの目印ユニット(20)が設けられ、該目印ユニット(20)は使用者に識別できる文字や商標やパターンとすることができる。
【0014】
又、図1と図2に示すように、該本体(10)の両端に夫々開口を有する連結部(11)と取付部(12)が設けられ、該連結部(11)の内径は、着脱しようとするボルト又はナットの形状やサイズと対応することにより、該本体(10)が着脱しようとするボルト又はナットを着脱することができる。又、該取付部(12)の内径は、取付しようとするレンチロッドにおける取付ロッド(符号なし)の形状やサイズと対応することにより、該本体(10)をレンチロッドに取り付けることができる。
【0015】
前記目印ユニット(20)は、該本体(10)の表面(15)に形成されるものであり、該本体(10)の表面に該目印ユニット(20)と対応する凹溝(21)が形成され、該凹溝(21)の周縁に着色層(22)が塗布され(図2に参照する)、該着色層(22)が所定の色を有し、該凹溝(21)から本体(10)の表面(15)に溢れる着色層(22)を研磨して除去することにより(図3に参照する)、凹溝(21)の内における着色層(22)だけを保留し、該本体(10)の表面(15)を研磨した後、該本体(10)の表面(15)に更に黒染め又はリン酸マンガンを含有するめっき層(25)が設けられ(図4に参照する)、該めっき層(25)の色と着色層の色とは、明らかに差別を有し、且つめっき層(25)に含まれるリン酸マンガンが着色層(22)までに浸透することにより、フィルム処理のような効果を達成することができ、又、めっき層(25)が導電しないから、着色層(22)の表面に付着せず、故に、該目印ユニット(20)は、本体(10)の表面(15)におけるめっき層(25)と、該凹溝(21)における着色層(22)との色差別により、識別性を向上することができる。こうすることにより、本発明は、着色層の脱落しにくい、識別しやすいツール連結部材を提供することができる。
【0016】
図1乃至図4に示すように、本発明に係るツール用連結部材は、該本体(10)の表面(15)に所定の目印ユニット(20)が設けられ、該目印ユニット(20)の着色層(22)が該凹溝(21)に設けられ、且つ該着色層(22)にリン酸マンガンが浸透されるので、該着色層(22)が凹溝(21)のざらざら表面に完全に付着することができ、故に、該着色層(22)が脱落しにくい特徴を有する。更に、該着色層(22)が所定の色を有し、該本体(10)の表面(15)に黒染めのめっき層(25)が設けられるので、着色層(22)とめっき層(25)との識別性を大幅に向上することができる。故に、文字や数字やパターンである目印ユニット(20)の識別性を大幅に向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、上記の構成を有するので、本体の表面と、本体における目印ユニットの凹溝に、夫々異なる色を有するめっき層と着色層が設けられることにより、目印ユニットにフィルムのような効果を形成し、故に、目印ユニットとする文字や商標やパターンを明らかに識別することができ、着色層の脱落も防止することができる。そして、使用寿命の延長も達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るツール用連結部材の斜視図
【図2】ツール用連結部材の目印ユニットに着色する前状態の一部断面図
【図3】ツール用連結部材の目印ユニットから着色層を除去する前状態の一部断面図
【図4】ツール用連結部材の目印ユニットの形成状態を示す一部断面図
【符号の説明】
【0019】
10 筒状の本体
11 連結部
12 取付部
15 表面
20 目印ユニット
21 凹溝
22 着色層
25 めっき層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本体を有し、該本体は、外縁の表面を有し、該表面に少なくとも1つの目印ユニットが設けられ、該本体の表面に該目印ユニットと対応する凹溝が形成され、該凹溝の周縁に着色層が塗布され、該着色層が所定の色を有し、該本体の表面に該着色層に付着しないめっき層が設けられ、該めっき層の色と着色層の色とは、明らかに差別を有することにより、着色層が脱落しにくく、識別しやすいことを特徴とするツール用連結部材。
【請求項2】
前記本体の両端には、夫々開口を有する連結部と取付部が設けられ、該連結部の内径は、着脱しようとするボルト又はナットの形状やサイズと対応することにより、該本体が着脱しようとするボルト又はナットを着脱することができ、又、該取付部の内径は、取付しようとするレンチロッドにおける取付ロッドの形状やサイズと対応することにより、該本体をレンチロッドに取り付けることができることを特徴とする請求項1に記載のツール用連結部材。
【請求項3】
前記目印ユニットは、文字、数字又はパターンであることを特徴とする請求項1に記載のツール用連結部材。
【請求項4】
前記目印ユニットにおける着色層にリン酸マンガンが浸透されることにより、フィルムのような効果を形成すると共に、着色層が脱落しにくい効果を達成できることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のツール用連結部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−89231(P2010−89231A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263502(P2008−263502)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(508306679)
【Fターム(参考)】