ティシュペーパー製品の製造方法
【課題】薬液塗布タイプのティシュペーパー製品を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】一次原反ロールJRから巻きだした坪量10〜25g/m2のクレープ紙からなる一次連続シートを積層し、その積層された積層連続シートS2に対して水系薬液を塗布し、その薬液を塗布した積層連続シートをロールに加工することなく連続シートのまま連続的にロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部85に供給し、その折り畳み機構部85にて、積層連続シートS2を幅方向に裁断し、その裁断したシートを折り畳み、ティシュペーパー束とするティシュペーパー製品の製造方法により解決される。
【解決手段】一次原反ロールJRから巻きだした坪量10〜25g/m2のクレープ紙からなる一次連続シートを積層し、その積層された積層連続シートS2に対して水系薬液を塗布し、その薬液を塗布した積層連続シートをロールに加工することなく連続シートのまま連続的にロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部85に供給し、その折り畳み機構部85にて、積層連続シートS2を幅方向に裁断し、その裁断したシートを折り畳み、ティシュペーパー束とするティシュペーパー製品の製造方法により解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパー製品の製造方法、特に薬液が塗布されたティシュペーパーが収納箱に収納されたティシュペーパー製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
<ティシュペーパー製品>
複数枚のティシュペーパーからなる束が収納箱内に収納され、その収納箱(カートン箱或いはティシュカートンとも称される)の一面に設けられた取り出し口からティシュペーパーを順次一枚ずつ引き出して使用するティシュペーパー製品はよく知られる。その取り出し方法は、一般的に一枚を取り出すとそれに連続して次ぎの一枚が取出し口から引き出されるポップアップ式となっている。
【0003】
このティシュペーパー製品においては、収納されるティシュペーパーに保湿剤、柔軟剤、などの薬液(通常「ローション薬液」とも呼ばれる)を塗布した薬液塗布タイプのものと、薬液等が塗布されていない汎用品或いは汎用タイプのものがある。
【0004】
薬液が塗布されたティシュペーパーは、表面の滑らかさや柔らかさにおいて汎用品のものよりも優れる。
【0005】
薬液塗布タイプの製品は、花粉症やインフルエンザが流行する時期など洟をかむ機会が増える時期に需要が増加する傾向にあったが、近年では、表面の滑らかさや柔らかさ等の使用感における利点が評価され、季節、時期を問わずに使用されるようになってきており、その需要は拡大している。
【0006】
<薬液塗布タイプの製品に用いられる薬液>
薬液塗布タイプの製品に用いられる薬液は種々存在するが、大きくは、水及びポリオールを含む水系薬液、主に非水溶性のワックス等を含む常温で半固形の油系薬液に大別される。
【0007】
また、水系薬液はシートに塗布した場合にシートを構成するパルプ繊維との親和性に優れ、シートの厚み方向(Z方向とも称される)、平面方向に含浸し、シート全体及びその表面性を改質するように作用する。これに対して油系薬液は主にその基材表面をコーティングし、人が肌で触れた時に表面の滑らかさを感じるように作用する。
【0008】
そして、水系薬液は、シートに含浸することから塗布後にシートに塗布されたクレープを伸ばす作用が大きいが、油系薬液ではそのような作用が小さい。
【0009】
この両者の特質によって製造上の問題点等の課題において異なるところがある。
【0010】
<ティシュペーパー製品の従来の製造方法の概要>
ティシュペーパー製品の製造の流れは次のとおりである。
まず、抄紙設備においてクレープを有する薄葉紙(クレープ紙とも称される)を抄造し、これを巻き取って一次原反ロール(一般にジャンボロールとも称される)を製造する。
【0011】
次いで、この一次原反ロールをプライマシンに必要数セットし、セットされた各一次原反ロールから一次連続シートを繰り出すとともに、適宜重ね合わせて積層一体化し、巻き取って複数のプライ(積層された)からなる二次原反ロールを製造する。
【0012】
次いで、二次原反ロールから順次二次連続シートを繰り出し、この二次連続シートをインターフォルダと呼ばれる折り畳み設備に供給し、二次連続シートを折畳むとともに順次積層してティシュペーパー束を製造し、このティシュペーパー束を収納箱内に収納してティシュペーパー製品とする。
【0013】
<ティシュペーパー製品の製造に用いられるインターフォルダの種類>
ここで、ティシュペーパー製品に用いるティシュペーパー束を製造するにあたっては、マルチスタンド式(多連式)インターフォルダ(下記特許文献4、5)とロータリー式インターフォルダ(特許文献6、7)の2種のインターフォルダが使用されている。
【0014】
前者のマルチスタンド式インターフォルダは、特許文献4、5にも示されるように、折り板を有する折り畳み機構部がライン流れ方向に多数(通常80〜120機)並設されており、各折り畳み機構部に対して同時にティシュペーパーの幅と同幅にスリットした二次連続シートを2シート並べて連続的に供給すると、各折り畳み機構部で二枚の二次連続シートを折り畳みが行なわれるとともに、ライン上流側の折り畳み機構で折り畳まれた二次連続シートの上にそれよりもライン下流側の折り畳み機構部で折り畳まれた二次連続シートが順次積層され、最下流において必要枚数が積層された連続積層シート束が形成される。ここで折り畳み機構部の1機とは、二次連続シートを2シート並べ各シートを互いに内側に折り込むように折り畳む設備の単位であり、マルチスタンド式インターフォルダの基本となる機構部の単位である。
【0015】
一方、ロータリー式インターフォルダは、図30に示すように、フォールディングロールと呼ばれる一対の折ロール571,571と必要に応じて配される他のロールとからなる折り畳み機構部を有し、通常一対の二次原反ロールから繰り出された各二次連続シートS’, S’がそれぞれロールに保持されて搬送されるとともに先端側から裁断され、最終的に一対のフォールディングロール571,571にて折り畳まれるとともに順次重ね合わせられて積層シート束を形成する。このロータリー式インターフォルダX5は比較的小型でロールの切り替えが容易であり、またシートの揃いなどの折り品質が良いことから、小ロットの高付加価値商品の生産に向いている。
【0016】
さらに、このロータリー式インターフォルダX5は、加工速度が通常80〜100m/分程度であり、この加工速度から、広幅(幅1〜3m程度)で折り工程の前段において水及びポリオールを含む水系薬液をグラビア方式やフレキソ方式等でオンライン塗布することが可能であるという利点がある。
【0017】
<ティシュペーパー製品とインターフィルダとの関係>
マルチスタンド式インターフォルダは多くの生産量が必要とされる汎用タイプの製品の製造に用いられ、ロータリー式インターフォルダはその利点から、汎用タイプに比して生産量が少ない薬液塗布タイプの製造に用いられるのが一般的であった(例えば、下記特許文献1)。
【0018】
ここで、薬液塗布タイプの製品を製造するにあたっては、インターフォルダとは別途の例えばプリンタ設備などによって予め一次又は二次原反ロールから一度連続シートを巻きだして薬液を塗布し、再度巻取って薬液塗布原反ロールを製造し、この薬液塗布原反ロールから繰り出した薬液塗布シートをロータリー式インターフォルダにより折り畳む製造方法もあるが、上述のようにロータリー式インターフォルダで薬液塗布しつつ折り畳む方法も用いられている。ロータリー式インターフォルダの方がマルチスタンド式インターフォルダに比べ折り畳み品質が良く、また、マルチスタンド式インターフォルダを用いる場合には薬液を含有した変形しやすい薬液塗布ロールを多数管理しつつ折り畳むことが困難であるという理由等によりほとんどロータリー式インターフォルダが用いられる。
【0019】
しかしながら、ロータリー式インターフォルダは、マルチスタンド式インターフォルダと比較すると、生産性に劣る欠点がある。具体例を例示すれば、ロータリー式インターフォルダでは、ティシュペーパーの幅の5倍幅の原反ロールを用いて、加工速度を100m/分でティシュペーパー束を生産すると、約25束/分要しているのに対して、マルチスタンド式インターフォルダでは、加工速度を100m/分で435束/分を生産することが可能である。
【0020】
<改良ロータリー式インターフォルダ>
このように、旧来のロータリー式インターフォルダX5では、生産性が低く、上述の薬液塗布タイプの製品の需要拡大を満たすのが困難となってきている。
【0021】
その一方、近年、折り品質に優れるといったロータリー式インターフォルダ特有の効果はそのままに、高速化が期待されるロータリー式インターフォルダが開発されている。ここでは、このロータリー式インターフォルダを改良ロータリー式インターフォルダと称する。この改良ロータリー式インターフォルダX6は、例えば、米国特許 US 7,452,321 B2に開示される。
【0022】
かかる改良ロータリー式インターフォルダは、図31に示すように、先に図30に示した旧来のロータリー式インターフォルダと比較し、ロール数が多くシートランの長い複雑な構造をしている。
【0023】
図30に示す旧来のロータリー式インターフォルダX5はフォールディングロール571,571上でバキューム孔579,579を介して吸引しながらカットし、直後にフォールディングバー573,573にて折り畳むものであり、コンパクトであるという利点がある。しかし、加工速度が上がってくると、連続シートの張力は増し、ロール周辺でシートの受ける空気抵抗は増加する。バキューム孔579がシートの前端部分、後端部分、それらの中間部分に一つしかないうえに、ロールを貫通する一つの貫通孔に対しシート中央部と後端部、及び後続するシートの前端部の各バキューム孔に吸引機能を与えるように構成されているため、例えば、バキューム能力を増強し、ブレード572,572の材質を換えてカット適性を維持したとしても、カット後に張力から開放されたシートが流れ方向寸法の縮みを生じるため、シート先端部を掴む部分のタイミングがずれて折り不良が発生しやすくなる。従って、高速化が難しい。
【0024】
これに対し、図31に示す改良ロータリー式インターフォルダX6は、シートのカットとシートの折り畳みの工程が分離されている。この分離によって、カットされたシートの縮みは瞬間的に安定しロール表面上に保持されるため、これに続く折り畳みでのシート端部の掴みのずれを防止することができ、安定した折り畳み加工を可能としている。
【0025】
また、改良ロータリー式インターフォルダX6は、シートを運ぶすべてのロールがシートを介して接しており、シートをフリーな状態にすることなく、ロール上でシートのリード端部を爪で掴んだまま、もしくはシートをバキュームによりロール表面に保持したまま、各機能を持ったロールからロールへと受け渡し、最後にフォールディングロールにより連続的に折り畳み製品とすることである。
【0026】
これによりシートをフォールディングロール上の折り畳みのための正しい位置に調整し載置することができ、シートの折り畳みがずれることがなく、高速に運転しつつも製品でのシートの揃いをきれいにすることができる。
【0027】
また、製品仕様をZ折りのポップアップ式にする場合には、片側のみからシートを供給させ、ラップロール681,681と、これに対して減速させたフォールディングロール682,682そしてやや小さなテールロール683,683を利用して、ラップロール681とテールロール683との間でたるみ部(バブルとも称される)680とも称する、いわれるシートの膨れた形状を形成し、これを利用してフォールディングロール682上においてシートの一部分を重ね合わせつつ移行させ、最終的にそのシートが一部重ねられた状態のシート群を折り畳んで製品化することも可能となっている。
【0028】
このように改良ロータリー式インターフォルダX6では、シートの保持性が高められており、薬液塗布タイプのティシュペーパーの高速な製造が期待される。従って、かかる改良ロータリー式インターフォルダX6などの技術と合わせて薬液塗布タイプの製品を製造することが望まれる。しかしである。この改良されたロータリー式インターフォルダX6にて薬液塗布タイプの製品、特に水系薬液を用いて製造するには高速化の他、以下の問題点がある。
【0029】
<改良ロータリー式インターフォルダにおける問題点(課題)>
まず、水系薬液をティシュペーパー製品の原料シートであるクレープ紙に塗布すると、塗布直後から時間とともにシート内部に浸透していく。そして、十分な浸透によってシートからの紙粉の離脱が抑制されるとともに、ロール表面に薬液が付着しないため紙粉は堆積しない。このため、薬液塗布後に十分な浸透時間を取ることができる旧来の比較的低速なロータリー式インターフォルダを運転する場合、紙粉堆積の問題は小さい。
【0030】
しかし、加工速度が速くなるとそれだけシートにかかるテンションが強くなり、さらに薬液の浸透時間が短くなるためMD方向に沿ったスリットやCD方向のカットにおいて離脱する紙粉の発生が顕著になる。紙粉の一部はシートに付着したままロールからロールへ移動し、また一部は空中に飛散し、その一部は設備表面に付着する。
【0031】
粘性の高い油系ローション薬液の場合は、高速で加工する場合であっても、シート表面を薬液が覆うため紙粉は油系ローション薬液に粘着しシートから脱離しない。しかし水系薬液を塗布する場合には、シートのスリットやカットにより発生した紙粉は、水系薬液の粘性が低いためにシートから離脱する。
【0032】
さらに、ロータリー式インターフォルダを高速にした場合、薬液塗布後に十分な浸透時間を取ることが困難なために、シートへの薬液の浸透が十分でなくシート表面に部分的に薬液が残り、ロール表面にシート表面の薬液が転移し付着する。このためロール表面に付着した薬液の部分に紙粉が付着し堆積する。すなわち、紙面に薬液が残った部分が存在したまま、多くのロール間をバキューム或いは把持されつつ高速に受け渡されるために、二次連続シートから持ち込んだ、あるいはスリット、カットにより発生した紙粉が各ロールの薬液が付着した部分に付着し堆積することになる。
【0033】
そして、特に、改良ロータリー式インターフォルダX6のように、複雑なロール構成であるとともに、各ロール間の回転速度や、ロールからロールへの受け渡しのタイミングがシビアであると、紙粉堆積は、その操業性に大きな影響を与える。また紙粉が堆積した場合ロール表面からはがれ落ち、製品に入り込むこともある。もっとも顕著に紙粉の付着、堆積するのはカットシートが折り畳まれるフォールディングロールの表面である。
【0034】
このように、ロータリー式インターフォルダを高速化すると、水系薬液塗布との関係によって問題が生ずる。特に、高速化が期待される改良ロータリー式インターフォルダX6においては、その問題が顕著となる。
【0035】
ここで、上記問題を回避する方法として、ロータリー式インターフォルダの前段設備のプライマシンやプリンタ設備において、水系薬液量を塗布した原反ロールを用意し、これを高速ロータリー式インターフォルダで加工することである。しかし、この方法には大きく三つの欠点がある。
【0036】
この方法の第一の欠点は、必要量の水系薬液を塗布した原反ロールは、力に対して変形しやすく、また側面からの力に対しシートがずれやすくなるため、設備間の移動や倉庫からの出し入れの際に、原反ロールを搬送するクランプリフトのロール把持力によって変形してしまうことである。原反ロールが変形するとロータリー式インターフォルダにて加工する際にシートの張力が不安定になり、しわ入りや最悪断紙につながる。また、シートが左右にずれるとスリット位置がずれ、製品歩留の低下となる。
【0037】
また、この方法の第二の欠点は、原反ロールの状態で最低でも4〜8時間の保管或いはシーズニングを行なうため、その時間で吸湿が起き、クレープが伸ばされシートの紙厚が低くなり厚み感が失われる。すなわち、品質が損なわれる可能性が高いため、実際の操業上では難しい。
【0038】
そしてこの方法の第三の欠点は、高速ロータリー式インターフォルダの持つ長所である操業時間当たりの生産数量が高いということに起因するもので、原反替えや加工機調整等で加工機を止めている時間が従来と同じであれば、その分の生産できたはずの生産量つまり減産量が大きくなり、加えて加工歩留や薬液歩留の低下をもたらし、高速ロータリー式インターフォルダの長所を十分に活かしきれないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】特開2004−322034号公報
【特許文献2】特表2008−525103号公報
【特許文献3】特開2008−264564号公報
【特許文献4】米国特許4052048号公報(特公昭55−1215号公報)
【特許文献5】特開2006−240750号公報
【特許文献6】特開昭61−37668号公報
【特許文献7】特開平5−124770号公報
【特許文献8】特開2008−245780号公報
【特許文献9】特開2008−183411号公報
【特許文献10】米国特許US 7452321B2
【特許文献11】特開2003−325372号公報
【特許文献12】特開2007−260161
【特許文献13】特開2004−281151
【特許文献14】特開2007−6395
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
そこで、本発明の課題は、高速ロータリー式インターフォルダの加工能力を最大限に生かしつつ、かつ薬液塗布タイプのティシュペーパーを製造する際の問題を解決し、ティシュペーパー製品を効率よく高い生産性で製造する方法、さらに薬液塗布した後工程でのロールへの薬液付着、紙粉付着を抑制し、ティシュペーパー製品への紙粉混入を防止する技術を提供することである。また、大幅な設備改造を要することなく、既設備の小改良で足り、生産性に極めて優れた製造方法を提供する。
【0041】
さらに、合わせて、本発明に特に好適な高速に運転可能なロータリー式インターフォルダの構成についても提供する。
【課題を解決するための手段】
【0042】
上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
連続シートからティシュペーパー束を形成するティシュペーパー束形成工程を有するティシュペーパー製品の製造方法であって、
一次原反ロールから巻きだした坪量10〜25g/m2のクレープ紙からなる一次連続シートを積層し、
その積層された積層連続シートに対して水系薬液を塗布し、
その薬液を塗布した積層連続シートをロールに加工することなく連続シートのまま連続的にロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部に供給し、
その折り畳み機構部にて、前記積層連続シートを幅方向に裁断し、その裁断したシートを折り畳み、ティシュペーパー束とする、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【0043】
〔請求項2記載の発明〕
積層連続シートに対する水系薬液の塗布量を1.5〜5.0g/m2とする請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【0044】
〔請求項3記載の発明〕
積層連続シートに対して水系薬液をフレキソ印制方式で塗布する請求項1又は2記載のティシュペーパーの製造方法。
【0045】
〔請求項4記載の発明〕
積層連続シートに対して水系薬液を非接触式薬液塗布方式で塗布する請求項1又は2記載のティシュペーパーの製造方法。
【0046】
〔請求項5記載の発明〕
前記水系薬液を、ポリオールを主成分とし、水を1〜15質量%含むものとする請求項1〜4記載の何れか1項に記載のティシュペーパーの製造方法。
【0047】
〔請求項6記載の発明〕
前記水系薬液の塗布からから折り畳み完了までの間を1.0〜4.0秒とする請求項1〜5の何れか1項に記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【発明の効果】
【0048】
本発明は、一次原反ロールから巻きだした一次連続シートを積層加工して連続的に積層連続シートを形成し、さらにその積層連続シートに連続的に水系薬液を塗布し、さらにその薬液が塗布された積層連続シートを連続的に、ロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部にて、一次連続シートのCD方向が折り返し縁となるようにして折り畳みを行なう。
【0049】
本発明においては、一次原反ロールから巻きだした連続シートを一度の巻き取り工程を経ることなく、ティシュペーパー束に加工する。従って、薬液塗布された原反ロールを載置、保管するという工程がなく、薬液が塗布された原反ロールの移動、吸湿による変形等による操業上の問題が発生しない。
【0050】
そして、二次原反ロールの芯際、加工始動時の時間的な生産ロスを無くすことができ、加工ロス、薬液ロスを低減することが可能である。この製造方法には、オンラインの薬液測定装置をつけ塗布開始時のロスを更に低減することも可能である。また、プライマシン側にかける一次原反ロールを必要数の倍数用意しオートスプライス装置を取り付け、連続運転させることも可能である。これらの設備設置により加工ロスをより低減できる。
【0051】
また、本発明では加工速度を150m/分以上とするので、生産性の問題も改善される。
【0052】
さらに、折り畳みをロータリー式インターフォルダと同様の方式で行なうので折り品質がよいものとなる。
【0053】
ここで、本発明では特に、積層連続シートに対する水系薬液の塗布量を1.5〜5.0g/m2とすると、高速での折り畳み機構部の運転を可能とし、しかも製品としては薬液による柔らかさ、表面の滑らかさが十分な高品質な製品を得ることができる。すなわち、操業上の問題なく、高い生産性と高品質とを両立しやすい。
【0054】
さらに、前記水系薬液の塗布からから折り畳み完了までの間を1.0〜4.0秒とすると、折り畳み機構部を構成するロール群に積層連続シートが接するまでに、積層連続シート内に水系薬液が紙粉発生を抑えるために十分に浸透し、折り畳み機構部を構成するロール群に紙粉が付着・堆積することがない。ただし4.0秒を超えると水系薬品の浸透によりシートの剛性がなくなり、シートの折り不良となる。
【0055】
他方、本発明では、薬液塗布のために、プライマシンやインターフォルダとは別に大きな塗布設備のためのスペースを必要としないという利点もある。
【0056】
本発明では二次原反ロールの保管をしないため、加工ロス、薬液ロスを低減することができ、また紙厚や嵩、厚み感を失うことがない。そして、そのためには塗布時に連続積層シートの表裏、そして全幅に亘り均一な塗布が必要となることから、二次積層シートの両外面に対して等量の、かつ平面的に均一な塗布量が可能となるフレキソ転写方式による塗布方式、もしくは非接触方式のローターダンプニング方式やインクジェット方式による塗布方式が採用される。
【0057】
薬液塗布をフレキソ印刷方式とすれば、加工速度150m/分以上の高速運転を行なっても、均一な薬液塗布を確実に行うことができる。
【0058】
また、薬液塗布を非接触式塗布方式とすれば、加工速度150m/分以上の運転においても、両外面への薬液塗布量を調整し表裏差のない均質なシート品質を得られるという利点がある。さらに非接触式塗布であるためさらに紙厚を維持し易いという品質上の長所がある。
【0059】
なお、本発明における薬液とは保湿剤、柔軟剤などのティシュペーパーに柔軟性、柔らかさ、表面の滑らかさを塗布する薬液を意味し、単なる香料のみは含まない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明にかかるティシュペーパー製品の斜視図である。
【図2】本発明にかかるティシュペーパー製品の使用状態の斜視図である。
【図3】そのIII- III断面図である。
【図4】本発明にかかる一次原反ロールの製造設備及び製造方法を示す概略図である。
【図5】本発明にかかるティシュペーパー束の製造設備例及び製造方法を示す概略図である。
【図6】本発明にかかるプライ加工部例を示す概略図である。
【図7】本発明にかかる折り畳み加工部例を示す概略図である。
【図8】本発明にかかる薬液塗布をフレキソ印刷方式とした形態の説明図である。
【図9】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図10】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図11】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図12】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図13】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図14】本発明にかかる2ロール転写方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図15】本発明にかかる二流体噴霧方式のスプレー塗布装置のノズルユニット例を示す図である。
【図16】本発明にかかるスプレー塗布装置のノズルユニット例を示す図である。
【図17】本発明にかかるローターダンプニング方式のスプレー塗布装置例を示す図である。
【図18】そのノズルユニット例を示す図である。
【図19】本発明にかかるインクジェット印刷機の要部拡大図である。
【図20】インクジェット印刷機のインクジェットヘッドを示す図である。
【図21】本発明にかかる折り畳み機構部例1を示す図である。
【図22】本発明にかかる折り畳み機構部例1を示す他の図である。
【図23】本発明にかかる折り畳み機構部例2を示す図である。
【図24】本発明にかかる折り畳み機構部例3を示す図である。
【図25】本発明にかかる折り畳み機構部例4を示す図である。
【図26】本発明にかかる折り畳み機構部例4を示す他の図である。
【図27】本発明にかかる折り畳み機構部例5を示す図である。
【図28】本発明にかかる折り畳み機構部例5の他の例を示す図である。
【図29】収納工程の説明図である。
【図30】旧来ロータリー式インターフォルダの説明図である。
【図31】改良ロータリー式インターフォルダの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳説する。
『ティシュペーパー製品』
図1〜3に、本発明にかかるティシュペーパー製品X1を例示する。本発明にかかるティシュペーパー製品X1は、複数枚のティシュペーパー1が、折り畳まれ重層されてなるティシュペーパーの束10が、上面2Uに取出口又は取出口形成部21が形成された収納箱2に収納され、使用時に当該取出口からティシュペーパー1の一組を取り出すと、隣接して積層されている下層の一組の一部が取出口から露出されるように構成されたものである。ここでいう一組とは、ティシュペーパーのカットシート単位をいい、単層もしくは複層のクレープ紙からなる。
【0062】
[収納箱]
ティシュペーパー1の束10が収納される収納箱2は、カートン箱とも呼ばれる直六面体形状の箱体である。この収納箱2は、製品外観をなすものであり、ティシュペーパー製品X1を示す図1及び図2にも示されているとおり、上面20Uに取出口形成部21である環状のミシン目線21を有する紙箱20と、前記ミシン目線21により囲まれる範囲21aを紙箱内側から覆う樹脂製フィルム22とを有する。
【0063】
紙箱20は、収納箱の外郭をなす紙製の箱体であり、その大きさ、形状、展開形状等は既知の収納箱の紙箱の構成が採用される。
その形状としては、図示例の一対の平行な長手縁20L,20Lとこれらよりも短い一対の平行な短手縁20S,20Sとで構成される長方形の上面2Uを有する直六面体形状が例示でき、その構造としては、上面2U、底面(図示されず)及びこれらを連接する側面2Sと、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uとを有し、前記側面端面片23Sを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片23Uと底面側端面片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着剤等により接着して構成される構造が例示できる。
【0064】
収納箱2の大きさは、ティシュペーパー1の束10より若干大きく、概ね束10の外形よりも1〜20mm程度大きい内形とされる。一般的な収納箱2の大きさを例示すると、概ね長手縁が110〜320mm、短手縁が70〜200mm、高さが40〜150mm程度である。少なくとも本発明においてもこの大きさの収納箱1が採用できる。
【0065】
紙箱20の素材としては、例えば、バージンパルプ、古紙パルプ等の各種のパルプを主原料とする既知の紙素材が採用できる。好適には、紙箱の素材は、坪量250〜500g/m2、好適には350〜400g/m2のコートボール紙である。
【0066】
なお、紙箱は、図示はしないが、花柄、螺旋模様、波模様、ドット模様、亀甲模様、星模様、十字模様、幾何学模様など適宜の文字・図形・絵・記号の単体又はこれらの組み合わせにより構成される適宜の模様を採用することができる。紙箱外面に対する模様の付与は、グラビア印刷等の既知の印刷方法により行うことができる。
【0067】
他方、紙箱20の上面2Uに形成されるミシン目線21は環状をなし、既知の方法及びカットタイ比で形成され、これにより囲まれる範囲の具体的形状については必ずしも限定されない。ただし、収納箱2においては、図示例の如く、紙箱上面の長手方向に沿う方向を長辺とする略楕円形状又は矩形が代表的であり、取出し性、利便性が高いことから、本発明においても多くの既存の製造ラインで製造可能なこの形状が好適である。
【0068】
他方、前記樹脂製フィルム22は、前記ミシン目線により囲まれる範囲のサイズより大きく、例えば、矩形や楕円形であり、紙箱上面の内面側において、特に環状ミシン目線21の切り剥がしに影響がないように、環状ミシン目線21の外側で接着されている。この樹脂性フィルム22の好適な素材は、ポリエチレンフィルムであるが、ポリプロピレン、ポリエステルなども例示できる。
【0069】
樹脂製フィルム22の厚みは、10〜200μmが適する。10μm未満では、強度的に不足し、ティシュペーパー1の取り出し時において裂けあるいは破断の確率が高くなる。逆に、200μmを超えると、強度の問題はないものの、取り出し難くなり、またコスト高となる。
【0070】
他方、この樹脂製フィルム22には、スリット24が形成されており、このスリット24はミシン目線21により囲まれる範囲に位置されている。
【0071】
従って、図1及び2に示されるとおり、前記環状ミシン目線に沿ってそのミシン目線21により囲まれる範囲21aを切り剥がすことにより、紙箱上面2Uに取り出口が形成されるとともに、前記樹脂製フィルム22及びそれに形成されたスリット24が取出口25を介して露出される。なお、前記スリット24の長さは、適宜の長さとすることができ、既知の環状ミシン目線21との大きさの関係で適するとされる長さが採用できる。
【0072】
収納箱2に束として収納されているティシュペーパー1は、前記スリット24を介して取出口25から一枚ずつ取り出される。そして、当該スリット24によって、取出口25から露出されるティシュペーパーの一部が支持されてカートン箱内部に落ち込むことが防止されるようになっている。
【0073】
[ティシュペーパー束の基本構成]
本発明のティシュペーパー1の束10は、ティシュペーパー1が折り畳まれ、積層されてなるものである。より具体的な例は、図3からも理解されるように、方形のティシュペーパー1が実質的に二つ折りされ、その折り返し片の縁1eが上下に隣接するティシュペーパーの折り返し内面に位置するようにして、互い違いに重なり合いつつ積層されている。なお、ここで実質的にとは、製造上の形成される縁部の若干の折り返しを許容する意味である。
【0074】
本積層構造のティシュペーパー1の束10は、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片が、摩擦により上方に引きずられて持ち上げられる。そして、かかる構造のティシュペーパー1の束10は、その最上面が上述の上面2Uに取出口25等を有する収納箱2の当該上面に向かいあって収納され、前記取出口25、特にスリット24から最初の一組(最上面に位置する一組)が引き出されたときに、その直近下方に位置する他の一組の一部が露出される。なお、本発明のおけるティシュペーパー1の積層枚数が限定されないが、この種の製品の一般的な積層枚数を例示すれば、120〜240組である。
【0075】
『ティシュペーパー製品の製造方法』
次に、上記ティシュペーパー製品X1の本発明にかかる特徴的な製造方法について説明する。
[抄紙工程〔一次原反ロールの製造方法及び製造設備〕]
本発明にかかる連続シートの製造方法について説明する。
まず、図4に示す抄紙設備例X2により、一次原反ロールJR(ジャンボロールとも称される)を以下のようにして製造する。
【0076】
ヘッドボックス31からパルプスラリーに適宜の薬品を添加して予め調整した紙料をワイヤーパート32のワイヤ32w上に供給して湿紙Wを形成し(フォーミング工程)、次にこの湿紙Wをプレスパート33のフェルト34に移送したにのち対をなす脱水ロール34,35によって挟持して脱水する(脱水工程)。
【0077】
次いで、脱水された湿紙をヤンキードライヤー36の表面に付着させて乾燥させた後にドクターブレード37によって掻き剥がしてクレープを有する乾燥原紙S1(後述の一次連続シートに相当)とする(乾燥工程)。
【0078】
そして、この乾燥原紙S1をワインディングドラム39を有する巻取り手段38によって、前記乾燥原紙S1の裏面が一次原反ロールJRの軸側に対向するようして(巻き取り内面となるようにして)巻き取り、一次原反ロールJRとする(一次原反巻取り工程)。
【0079】
この一次原反ロールJRは、抄紙設備X2の性能によっても相違するが、概ね直径が1000〜5000mm、長さ(幅)が1500〜9200mm、巻き長さが5000〜80000mである。
【0080】
なお、一次原反巻き取り工程の前段にドクターブレード37により掻き剥がした乾燥原紙S1に対してカレンダー工程(図示せず)を設け表裏面の平滑化処理をしてもよい。
【0081】
ここで、乾燥原紙S1の裏面とは、ヤンキードライヤー36のシリンダと接していた面の反対側の面のことを意味する。なお、カレンダー工程の有無にもよるが一般には鏡面のヤンキードライヤーに接していた表面のほうが滑らかで表面性に優れる。
【0082】
ここで、一次原反ロールJRを構成する一次連続シートS1は、後にティシュペーパー1に加工されるものであり、最終製品を構成するティシュペーパー1の薬液塗布前の原紙坪量と同等の坪量(後に積層する場合には1/積層数の坪量)となる。従って、これを考慮して一次原反シートS1は具体的にはJIS P 8124による坪量が、10〜25g/m2、好ましくは12〜20g/m2、より好ましくは13〜16g/m2とする。坪量が10g/m2未満であると、ティシュペーパー1の柔らかさの点においては好ましいが、適正な強度を確保することができなくなる。他方、坪量が25g/m2を超えると、ティシュペーパー1が硬くなりすぎて、肌触りが悪化する。また、紙厚(尾崎製作所製ピーコックにより測定)は80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとするのが望ましい。
【0083】
紙厚の測定方法としては、JIS P 8111(1998)の条件下で、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて測定するものとする。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。プランジャーの端子は金属製で直径10mmの平面が紙平面に対し垂直に当たるようにし、この紙厚測定時の荷重は、約70gfである。なお、紙厚は測定を10回行って得られる平均値とする。
【0084】
また、一次連続シートS1は、クレープ率が10〜30%、好ましくは12〜25%、より好ましくは13〜20%である。クレープ率は次のように定義する。
クレープ率:((製紙時のドライヤーの周速)−(リール周速))/(製紙時のドライヤーの周速)×100。
【0085】
クレープ率が10%未満であると、後段の加工時に断紙しやすいとともに伸びの少ないコシのないティシュペーパー1となる。他方、クレープ率が30%超過であると、加工時のシートの張力コントロールが難しく断紙しやすくなり、また、製造後にはシワが発生して見栄えの悪いティシュペーパー1となりやすくなる。 すなわち本発明のロータリー式インターフォルダにおける折り畳みを困難ならしめる。
【0086】
また、一次連続シートS1は、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmとされる。原紙の乾燥引張強度が低すぎると、製造時及び使用時の断紙や伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
【0087】
これらの紙力は公知の方法により調整でき、例えば、乾燥紙力増強剤を紙料或いは湿紙に内添する、紙料のフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、原料パルプのNBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の既知の手法を適宜組み合わせることができる。
【0088】
なお、乾燥紙力剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性付与PAM等を用いることができる。
【0089】
湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。また、乾燥紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度とすることができる。
【0090】
(紙料)
ここで、一次原反ロール(一次連続シート)の原料となる紙料について説明すると、紙料は繊維原料としてパルプを主原料とするスラリー(パルプスラリー)に適宜の薬品を添加したものである。
【0091】
本発明においては、原料パルプは特に限定されず、この種のティシュペーパーに用いられる適宜の原料パルプを選択して使用することができる。具体例としては、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドウッドパルプ(SGP)、リファイナーグランドウッドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチドケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0092】
なかでも原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。水系薬液との相性がよく、塗布後に折り畳む本発明の製造方法において望ましく、また得られるティシュペーパーの風合いの点でも望ましいことから、バージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。また、適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、その配合量はティシューが硬くならない程度に抑えておく必要がある。
【0093】
紙料に添加する薬品例としては、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、柔軟剤、剥離剤、接着剤、苛性ソーダ等のpH調整剤、粘剤、消泡剤、防腐剤、スライムコントロール剤、染料、などが挙げられる、なお、これらの薬品は、適宜の工程で湿紙に付与してもよい。
【0094】
[プライ工程から折り畳み工程までの概要(ティシュペーパー束の製造設備の概要)]
【0095】
抄紙設備X2で製造された一次原反ロールJRは、図5に示す本発明にかかるティシュペーパー束の製造設備Xにおいてティシュペーパー束とされる。
【0096】
この本発明にかかるティシュペーパー束の製造設備Xは、特徴的に、プライ加工部X3,X3と折り畳み加工部X4と薬液塗布部81,81とを有する。
【0097】
前記プライ加工部X3,X3は、一次原反ロールJRから繰り出した単層のクレープ紙からなる一次連続シートS1を積層連続シートS2に加工するプライ加工を行なう。
【0098】
他方、折り畳み加工部X4は、ロータリー式インターフォルダの原反ロール支持部を廃し、上記プライ加工部にて形成された積層連続シートS2を連続的に受け入れられるように構成したものであり、ロータリー式インターフォルダの折り畳み機構部と同様の構成の折り畳み機構部85を有する。なお、本発明、本明細書においてはこの折り畳み機構部85をロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部85と称し、その折り畳み機構をロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構と称することがある。
【0099】
但し、本発明は、ロータリー式インターフォルダの高品質な折り畳み品質を有しつつ高い生産性を達成することを課題の一つとしていることから、本発明にかかる折り畳み加工部は、この課題を解決可能な150m/分以上の加工速度が可能な折り畳み加工部X4に限定される。かかる折り畳み加工部X4を構成可能な折り畳み機構部例については後述する。
【0100】
薬液塗布部81は、プライ加工部X3の、複数の一次連続シートS1,S1の重ね合わせを行なう重ね合わせ部51の後段に位置され、積層連続シートS2に薬液を塗布する。
【0101】
ここで、図5においては説明の便宜上、プライ加工部X3と折り畳み加工部X4との領域を分けて図示しているが、本発明にかかるティシュペーパーの製造設備例Xでは、積層連続シートS2の形成後、その連続積層シートS2が連続的に折り畳まれるため、実際にはプライ加工部X3と折り畳み加工部X4との明確な境界はなく、その境界は特に限定されない。少なくとも一次連続シートS1の積層が行なわれる重ね合わせ部は本発明にいうプライ加工部に属し、折り畳みを行なう折り畳み機構部は本発明の折り畳み加工部に属するのであり、その間に境界がある。従って、薬液塗布部81は、図5におけるプライ加工部X3側ではなく、図5における折り畳み加工部X4側にあってもよい。
【0102】
また、図5に示すティシュペーパー束の製造設備例は、4本の一次原反ロールからシートが供給され、二つのプライ加工部と一つの折り畳み機構部、さらにプライ加工部のそれぞれに薬液塗布部を有する構成となっているがこれに限定されない。例えば、2本の一次原反ロールからシートが供給され、これらを中央でスリットして4つの連続シートとなし、さらにプライ加工により2つの積層シートとして折り畳み機構部へ供給してもよい。あるいは、一つの積層連続シートからティシュペーパー束を形成可能な折り畳み機構部であれば、プライ加工部は一つとすることができる。この場合、薬液塗布部も一つとすることができる。
【0103】
本発明でいうプライ加工から折り畳みまでの各工程の加工速度は、一次原反の繰り出しからロータリー式インターフォルダでの折り畳みまでほぼ同速で行われる。したがって本発明の上限加工速度はロータリー式インターフォルダの加工速度と同じ300m/分となる。
【0104】
(プライ加工部)
次いで、プライ加工部X3について特に図5及び図6を参照しながら説明する。図示例のプライ加工部X3(ティシュペーパー束の製造設備X)は、一次原反ロールJRを2つ以上セット可能であり、各一次原反ロールJR,JRから繰り出した一次連続シート(図示例ではS11、S12)は、その連続方向に沿って積層して積層連続シートとする重ね合わせ部(積層手段)51に供給されるように構成されている。ここで重ね合わせ部51は一対のニップロールで構成され、各一次連続シートS11,S12を積層するとともにニップして各一次連続シートを積層一体化ならしめる。
【0105】
なお、図示例では、各一次原反ロールJR,JRから繰り出される一次連続シートS11,S12の表面が、それぞれ積層連続シートS2の表面(ここで積層連続シートの「表面」とは積層外面である表裏面のことである)となるようして重ね合わせ部51に供給されるようになっている。一次連続シートS11,S12の裏面がそれぞれ積層連続シートS2の表面となるよう構成してもよいし、一次連続シートS11,S12のどちらか一方の裏面が積層連続シートS2の表面となり、他方の表面が積層連続シートS2の表面となるようしてもよいが、一次原反シートS11,S12の表面は、乾燥時にヤンキードライヤーの表面に接していることから裏面と比較して毛羽立ちが少なく滑らかで肌触りが良いので、一次連続シート(乾燥原紙S1)の表面が積層連続シートS2の表裏面を構成するようにするのが望ましい。
【0106】
また、本実施例では一次原反ロールJRを2つセットしていわゆる2プライの積層連続シートを巻取る例であるが、3セット、4セットとして3プライ、4プライの積層連続シートとすることも可能である。
【0107】
また、図示例のプライ加工部(ティシュペーパー束の製造設備例)では、一次原反ロールを複数セットして、各一次原反ロールから巻き出された一次連続シートを積層するように構成しているが、例えば、一つの一次原反ロールから巻きだした一次連続シートをその連続方向にスリットして、複数のスリットされた一次連続シートを形成し、そのスリットされた一次連続シートの一つを別のスリットされた一次連続シートに重ね合わせるようにして積層連続シートを形成してもよい。すなわち、一つの一次原反ロールから巻きだした一次連続シートから積層連続シートを形成するように構成してもよい。
【0108】
他方、図示の本形態のティシュペーパー束の製造設備では各プライ加工部X3,X3の重ね合わせ部51の後段にそれぞれ薬液塗手段81を有し、この薬液塗布手段81にて、積層連続シートS2に対して連続的に薬液を塗布する。
【0109】
この薬液塗布手段81においては、好ましく積層連続シートS2の表裏両面に薬液を塗布するのが望ましいが、一方面のみであってもよい。
【0110】
薬液塗布手段81にて薬液が塗布された積層連続シートS2は、本発明においてはロールに巻取られることなく、後段の折り畳み加工部X4へ連続的に供給される。
【0111】
なお、上述のとおり薬液塗布部81はこの位置に限定されない。
【0112】
(カレンダー加工)
他方、プライ加工部X3においては、重ね合わせ部51から折り畳み機構部85までの間にカレンダー部52を一つ以上設けて積層連続シートS2をカレンダー加工することができる。カレンダー部52は薬液塗布手段81の前段に設けても後段に設けてもよい。また、薬液塗布手段81の前段及び後段の双方に設けてもよい。図示例では、双方に設けている。なお、図示例のプライ加工部では、前段のカレンダー部から後段のカレンダー部へシート搬送路を構成することで薬液塗布手段81をバイパスすることができるように構成されている。このようにすると、薬液塗布タイプの製品以外の製品を製造する場合にも本発明にかかるティシュペーパー束の製造設備を利用することができる。すなわち、汎用タイプの製品用のティシュペーパー束の製造と薬液塗布タイプ用のティシュペーパー束の製造を上記シート搬送路の切り替えより容易に達成できる。
【0113】
カレンダー部52におけるカレンダーの種別は、特に限定されないが、表面の平滑性向上と紙厚の調整の理由からソフトカレンダー又はチルドカレンダーとすることが好ましい。ソフトカレンダーとは、ウレタンゴム等の弾性材を被覆したロールを用いたカレンダーであり、チルドカレンダーとは金属ロールからなるカレンダーのことである。
【0114】
カレンダー部52の数は、適宜変更することができる。複数設置すれば加工速度が速くとも十分に平滑化できるという利点を有する一方、一つであるとスペースが狭くとも設置可能であるという利点を有する。
【0115】
二つ以上のカレンダー部を設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設することができ、また、これらの設置方向を組み合わせて配置することができる。水平方向に並設すると、抱き角度を小さくなるため加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。なお、ここで言う抱き角度とはロールの軸中心から見てシートが接している間(軸と直行する断面の円弧の一部)の角度を意味する(以下同じ)。
【0116】
カレンダー加工におけるカレンダー種別、ニップ線圧、ニップ数なども制御要因として抄紙を行うようにし、これらの制御要因は、求めるティシュペーパーの品質すなわち紙厚や表面性によって適宜変更することが好ましい。
【0117】
(折り畳み加工部)
次いで、折り畳み加工部X4について特に図5及び図7を参照しながら説明する。本形態では上記プライ加工部X3の薬液塗布部81にて薬液が塗布された積層連続シートS2は、連続的に折り畳み加工部X4に供給され、この折り畳み加工部X4における折り畳み機構部85へ導かれ、そこで積層連続シートが適宜の間隔で幅方向に裁断され、その裁断されたシートが折り畳まれてティシュペーパー束が形成される。
【0118】
なお、図7に示す本発明にかかる折り畳み加工部X4には、折り畳み機構部85の前段に好ましくトリム手段86を有し、このトリム手段86にて積層連続シートS2の両側縁部をカット除去し積層連続シートS2の幅を適当幅に調整している。
【0119】
このトリム手段86は、トリムスリッター87とその前段にエキスパンダーロール或いは幅方向中央から両側縁部に向かって湾曲的に又は非湾曲的に下り傾斜するロールからなる皺取りロール88を具備する。
【0120】
このようにトリム手段86を設ける場合には、薬液塗布手段81との関係をいえば、薬液塗布手段81は、このトリム手段86よりも前段に位置させるのが望ましい。薬液塗布手段81の後段で積層連続シートS2の両側縁部をトリムすることで、水分が低くなりやすく、しわや傷入りの発生しやすい積層連続シートS2の端部をカットすることで折り畳み加工が安定するという効果を奏する。
【0121】
ここで、本発明にいう高速とは、少なくとも150m/分以上の速度で連続シートが搬送されることを意味する。ティシュペーパーの生産性と本発明の効果との関係で定めれば、より好ましくは250m/分以上、もっとも好ましくは280m/分以上である。150m/分以上とすることで旧来の低速なロータリー式インターフォルダと比較して生産性の面でのアドバンテージがある。但し、300m/分を超えると薬液塗布されたシートを安定して折り畳むことが難しくなる。
【0122】
ここで、加工速度を150m/分以上とした場合には、上述の二次薬液塗布工程82から、フォールディングロールによる折り畳み完了までは、1.0〜4.0秒間とするのが望ましい。この秒数であれば一次薬液塗布の効果によって紙粉発生が確実に防止される。1.0秒未満であれば紙粉発生を抑える効果が十分でなく、4.0秒超であればシートの剛性が失われ逆に折り不良を発生させる。
【0123】
(コンタクトエンボス)
本発明のティシュペーパー製品X1の製造方法においては、シート(プライ)の剥離をし難くするコンタクトエンボス加工を施すことができる。
【0124】
このコンタクトエンボスは、プライ加工部X3、折り畳み加工部X4のいずれかの適宜の位置、好ましくは折り畳み機構部85にて積層連続シートS2を裁断する直前においてエンボス凸部を有するエンボスロールと対をなすゴムロール等のエンボス受けロールを設けて付与する。
【0125】
このコンタクトエンボスにおける具体的なエンボスパターンは特に限定されない。例えば、点状、正方形、長方形、円形、楕円形等の形状の単位エンボス群からなるエンボスを、適宜連続シートの幅方向(カット後はこれに対応する方向)に線状に配置すればよい。
【0126】
単位エンボス群の配列としては等間隔が考えられるが、千鳥状としたり、等間隔としなくとも良く、また、コンタクトエンボスは1列に配置してもよいし、2列以上の複数列配置することも考えられる。なお、コンタクトエンボスは、かかるエンボスロールによる機械的に圧力を加えて接合する他に、超音波等の他の手段により接合してもよい。
【0127】
(スリット工程)
本発明のティシュペーパー製品X1の製造方法においては、折り畳み機構部85の前段でかつ薬液塗布部81の後段にスリット手段(図示しない)を設けて、折り畳み機構部85での積層連続シートS2を幅方向に裁断するに先立って、ティシュペーパー製品X1の幅となるように積層連続シートS2を流れ方向にスリットしてもよい。スリット工程を行なうスリット手段は、積層連続シートS2の幅方向にティシュペーパー幅の間隔を開けて並設された複数のロールカッター及び受け部からなるスリット手段とすることができる。スリットされた各積層連続シートS2は折り畳み機構部85に供給して折り畳みを行なえば、後述する裁断工程が不要になり生産性は向上する。
【0128】
(裁断工程)
折り畳み機構部85にて形成された二次原反ロール幅或いは幅方向縁部がトリムされた積層連続シートS2の幅等の水系薬液含有の長尺ティシュペーパー束10Cは、適宜の裁断工程(図示されない)によりティシュペーパー製品に適した長さ、例えば収納箱の長手方向より若干短い長さに裁断(切断)されてティシュペーパー束10とされる。
【0129】
[薬液塗布部]
上記薬液塗布部81における薬液塗布は、それぞれ、フレキソ印刷、グラビア印刷、カーテン塗布、スプレー塗布、インクジェット印刷等の既知の薬液塗布方法・塗布手段を採用できる。特に高速運転において良好に薬液塗布が行えることから、運転速度を速める場合、特に500m/分以上とする場合にはフレキソ印刷方式であるのが特に適する。
【0130】
また、150〜250m/分程度とする場合、紙面に刷版ロール等を接触させないことから紙粉の発生が極めて少ない、直接的に薬液を紙面に付与する非接触方式であるのが特に適する。この場合、特に好ましく採用できるのは、設備設置コスト、設備設置面積を小面積にすることが可能なスプレー塗布、特にローラーダンプニング噴霧方式によるスプレー塗布、薬剤塗布量や塗布面積、塗布パターンの管理精度が高くムラが発生し難いインクジェット印刷方式である。
【0131】
また、薬液塗布部81においては、塗布中の薬液の飛散防止等のために、例えば積層連続シートS2に対する薬液塗布手段部分近傍をフードなどで覆うのが望ましい。特に、スプレー塗布、インクジェット印刷を採用する場合、これらの手段では、噴霧された薬液の飛散、噴霧方向の安定性において周囲の気流の関係を受けやすいことからかかるフード等を設けるのが特に望ましい。
【0132】
なお、本発明の薬液塗布手段81における具体的手段であるフレキソ印刷、スプレー塗布、インクジェット印刷の具体例は後述する。
【0133】
ここで、薬液塗布工程における水系薬液の塗布量は、両面の合計の薬液塗布量で、1.5〜5.0g/m2とされ、好ましくは2.0〜4.0g/m2とされる。5.0g/m2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙など操業性に支障をきたしたり、品質的に紙厚やウエブ嵩が低下したり、べたつき感が過ぎる場合も出てくる。1.5g/m2未満であると滑らかさやしっとり感など未塗布品との品質差を感じられなくなってしまう。
【0134】
なお、本発明においては、表裏面にほぼ同等量の薬液を塗布するのが基本であるが、積層連続シートの表裏差やその他の操業、品質上の事情により、表裏面において薬液塗布量が異なるようにしてもよい。
【0135】
(水系薬液)
次いで、本発明に用いる水系薬液について説明する。本発明における水系薬液とは水及びポリオールを含むものであり、特にポリオールを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬品を0.01〜22%含むものが望ましい。
【0136】
また、本発明の水系薬液塗布方法において上記水系薬液を使用する場合、水系薬液塗布時の水系薬液温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
【0137】
このため、水系薬液としては、40℃での粘度が1〜700mPa・sであるのが望ましい。より好ましくは50〜400mPa・s(40℃)である。1mPa・sより小さいと水系薬液が飛散しやすくなり、逆に700mPa・sより大きいと安定した塗布量とするコントロールがしにくくなる。
【0138】
上記ポリオールとしては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類が例示できる。
【0139】
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、水系薬液の粘度、塗布量を安定させる上で好ましい。
【0140】
前記機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシュペーパーに柔軟性を与えたり表面を滑らかにしたりする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
【0141】
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
【0142】
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、水系薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
【0143】
[薬液塗布手段の具体例]
次いで、薬液塗布工程において採用される好適な薬液塗布方法・手段について説明する。
(フレキソ印刷)
薬液塗布工程における薬液塗布手段81としてはフレキソ印刷方式が採用できる。特に、フレキソ印刷方式は、高速かつ安定した薬液塗布が可能であり、速い加工速度に対応しつつ、しかも安定的な薬液塗布が可能である。本発明にかかるフレキソ印刷機の例は図8〜14に示す。
【0144】
このフレキソ印刷は樹脂性の弾力性がある刷版を用いるため積層連続シートS2の表面にクレープの多少の凹凸があっても印圧で調整可でありムラのない塗布が可能で、積層連続シートS2にシワが入り難くなる。また、一つのロールで幅広い薬液の粘度に対応でき、管理、設備メンテナンスの点で利点がある。
【0145】
ここで、本発明における積層連続シートS2に薬液を塗布する場合、十分な薬液塗布量としつつ高速運転における操業性を悪化させないことを考慮すると、フレキソ刷版ロールの線数は10〜60線、好ましくは15〜40線、特に好ましくは20〜35線とする。線数が10線未満であると塗布ムラが多く生じてしまい、他方、線数が60線超過であると紙粉が詰まり易くなる。
【0146】
アニロックスロールの線数は、10〜300線とし、好ましくは25〜200線、特に好ましくは50〜100線とする。線数が10線未満であると塗布ムラが多く生じてしまい、他方、線数が300線超過であると紙粉が詰まり易くなる。アニロックスロールのセル容量は、10〜100ccとし、好ましくは15〜70cc、特に好ましくは30〜60ccとする。セル容量が10cc未満であると所望の塗布量が得られず、他方、セル容量が100cc超過であると薬液の飛散量が多くなってしまう。
【0147】
ここで、本発明では、薬液塗布工程において安定的に薬液が塗布できることが重要であり、操業安定性に関わる上記刷版ロール及びアニロックロールの線数は重要である。従って、上記操業性を悪化させない各ロールの線数は、薬液塗布量以外にも重要な意義を有する。
【0148】
なお、貯留タンクに貯留した薬液をアニロックスロールへ薬液を移行させる方式としては、ドクターチャンバー形式、タッチロール形式など適宜の方法が採られる。これらのフレキソ印刷の各方式を採用した形態例を以下、さらに詳述する。
【0149】
≪ドクターチャンバー方式の実施形態例≫
フキレソ印刷におけるドクターチャンバー形式を本発明に適用した形態例を図8〜図13を参照しながら説明する。本形態例では、積層連続シートS2の表裏面に薬液を塗布すべく二つのフレキソ印刷機91A,91Bを用いている。各印刷機91A,91Bにおいては、薬液の入っているドクターチャンバー92A,92Bが回転可能なアニロックスロール93A,93Bと対向して配置されおり、ドクターチャンバー92A,92Bからアニロックスロール93A,93Bに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール93A,93Bと接し且つ積層連続シートS2の一面とも接する刷版ロール94A,94Bが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール93A,93Bから刷版ロール94A,94Bに薬液を受け渡すようになっている。そして、積層連続シートS2を挟んでこの刷版ロール94A,94Bと対向する弾性ロール95A,95Bとで積層連続シートS2に圧力を付与しつつ、刷版ロール95A,95Bから積層連続シートS2に薬液を塗布する。
【0150】
各ドクターチャンバー92A,92Bは、供給ホース96及び返送ホース97を介して薬液Lを貯留する貯留タンク98と連結されており、薬液循環経路の一部を構成する(以下、各印刷機91A,91Bについて同様の構成を説明するについては、ドクターチャンバー91A(91B)のように一方を括弧書きで表記する場合がある)。なお、貯留タンク98は、各ドクターチャンバーで92A,92B共有することができる。図示はしないが、薬液循環経路を循環する薬液中に含まれる紙粉やエアーのろ過装置、ドクターチャンバー92A、92B等の塗布装置内で薬液の温度を監視・コントロールし、薬液粘度を安定させるための中間タンクや配管ヒーター、積層連続シートS2の幅方向の水分率で塗布量を管理するための赤外線の検査機等を用いた紙幅方向の水分量とバラツキを監視するセンサ等を設置することができる。
【0151】
貯留タンク98からドクターチャンバー91A(91B)への薬液供給は、供給ポンプ99によって供給ホース96を介して加圧供給で行われ、薬液の押出量(流量)は、調整弁100の開閉により調整される。また、ドクターチャンバー91A(91B)から、貯留タンク98への薬液の返送は、吸引ポンプ101によって返送ホース97を介して行なわれる。
【0152】
また、ドクターチャンバー91A(91B)は、薬液が貯留されるチャンバー部102及びブレード103,104を具備する。チャンバー部102はアニロックスロール93A(93B)側の端部が開口しているとともに供給ホース96及び返送ホース97とが接続部105,106を介して連結されており、各ホース96,97を介して行なわれる薬液循環の際に薬液Lを貯留してアニロックスロール93A(93B)に供給する。他方、ブレード103,104は、アニロックスロール93A(93B)と当接するように設けられ、アニロックスロール93A(93B)に押しつけた状態で薬液Lの絞りを行い、アニロックスロール93A(93B)への薬液の供給量を一定とする。
【0153】
他方、図10に示すように、薬液Lの返送路となる返送ホース97とチャンバー部102との接続部106の上面には、所定径の開口部分である孔部106aが形成されており、この孔部106aにより接続部内の薬液Lが外気接触し、吸引ポンプ101による薬液Lの吸引を行っても、薬液Lが外気接触して、チャンバー部102内の内圧を外気圧に近づけることができるように構成されている。これによってドクターチャンバー内の内圧変動が抑えられている。なお、当該孔部106aは、チャンバー部102の内圧変動が抑えられればよいため、例えば、チャンバー部102の上面に連通するように形成してもよい。孔部106aは、チャンバー部102の薬液Lの液面より上方であれば、側面に設けてもよい。
【0154】
また、孔部106aにはチャンバー部102への薬液供給過多を判別するための判別手段が設けられる。判別手段は、例えば、孔部106a側を下端として、上方に延伸した透明又は半透明のチューブ状の部材106bが例示でき、薬液Lを循環する過程で、薬液Lが孔部を介して当該チューブ106b内に流入するか否かを目視により確認することができる。チューブ106b内への流入が確認された場合は、チャンバー部102に貯留される薬液量が過多になっている(アニロックスロール91A(91B)に対して薬液Lが過供給状態となっている)ことが把握できる。したがって、上記過多の状態を目視で確認した使用者は、例えば、調整弁100操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することができる。なお、チューブ106bは、内部が空洞で上端側が外気に接触しているため、上記孔部106aの作用を相殺してしまうことはない。
【0155】
なお、チューブ106bの上端(自由端)を下向きにして設けることで、孔部106bへの紙粉等の異物の混入を防止することができる。また、チューブ106bの上端或いは孔部にエアーフィルタを設置して紙粉等の異物の混入を防止するように構成してもよい。
【0156】
なお、薬液Lのチャンバー部102への過供給状態は、これを自動的に判別し、使用者に判別結果を報知するように構成してもよい。
【0157】
この自動判別するのならば、図11に示すように孔部106aの周縁を上方向に延出させた円筒状部106cにセンサ106dを取付け、このセンサ106dからの信号を受けて報知部から判別結果を報知する。
【0158】
センサ106dは、例えば、被検知体に向けて発光する発光素子(図示省略)と、被検知体からの反射光を受光する受光素子(図示省略)と、を含み、受光素子からの反射光の受光量に基づいて、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、当該センサ06dの設けられた高さ位置(図11に示すy1)に達したか否かを検知する。
【0159】
報知部106eは、例えば、スピーカ等であり、センサ106dにより、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、上記センサ106dの設けられた高さ位置に達したと検知された場合に、音声により使用者への報知を行う。
【0160】
本例では、過多の状態に至った場合には、使用者は報知部106eによりその旨を知ることができ、調整弁100を操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することが可能となる。
【0161】
さらに、図12に示すように、薬液Lのチャンバー部102への過供給状態の判別は、自動判別機能に加えて、円筒状部106cにニードルバルブ及びオリフィスを備えるニードルバルブ構造の調整部106fを設けて、孔部106bの外気と接触する部分の開口の量を調整するように構成することができる。このように調整部106fにより、孔部106bの実質的な開口量を調整することにで、チャンバー部102内の内圧変動量に応じて、孔部106bの開口量を適宜に調整することができる。従って、センサ103eにより、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、検出位置に達したときに、薬液Lの押出量の調整で対処するだけでなく、調整部106fによる孔部106bの実質的な開口量の調整によって、孔部106bのエアー抜きの能力を高めて(外気との接触面積を拡張して)、チャンバー部102内の内圧変動を抑える対処が可能となる。これにより、内圧変動によるチャンバー部102内からの薬液Lの噴出や、アニロックスロール93A(93B)上の薬液Lのドクターチャンバー92A(92B)側への吸込み等も好適に防止され、薬液Lの循環が促進される。
【0162】
他方、ドクターチャンバー方式のフレキソ印刷機は、アニロックスロール93A(93B)は、ドクターチャンバー92A(92B)のブレード103,104と当接するように設けられ、ドクターチャンバー92A(92B)のチャンバー部102の開口より供給される薬液Lが周面に吸着されるように構成されている。
【0163】
刷版ロール94A(94B)は、周面がゴム材などの樹脂製材からなる円柱状をなし、左右端部の周面(図9に示す点P1,点P2)がアニロックスロール93A(93B)及び弾性ロール95A(95B)(に巻きつけられる積層連続シートS2の周面に当接するように設けられ、回動可能に構成されている。
【0164】
刷版ロール94A(94B)は、弾性ロール95A(95B)がr1方向に回動することでr2方向に回動するとともに、右端で当接するアニロックスロール93A(93B)をr1方向に回動させる。刷版ロール94A(94B)は、アニロックスロール93A(93B)の周面に吸着された薬液Lを点P2にて取得し、r2方向への回動により点P1まで搬送して積層連続シートS2に転写する。アニロックスロール93A(93B)により吸着された薬液Lがアニロックスロール93A(93B)の周面上に層状に不均一に残ってしまう場合でも、刷版ロール94A(94B)の周面に移送させることで、積層連続シートS2に薬液Lを均一に転写することができる。
【0165】
弾性ロール95A(95B)は、刷版ロール94A(94B)に隣接して設けられ、図示しないモータ等より駆動力が付与されることで回動する円柱状の部材であり、周面で積層連続シートS2を把持できるように構成されている。そのため、弾性ロール95A(95B)は、r1方向に回動することにより、供給される積層連続シートS2を周面に巻き付けるとともに、刷版ロール94A(94B)及びアニロックスロール93A(93B)を回動させ、点P1位置まで搬送した時点で刷版ロール94A(94B)より薬液Lを転写させることができる。
【0166】
なお、弾性ロール95A(95B)の回動の向きは、図9においてr1方向としたが、r2方向に回動するように構成しても勿論良い。この場合、アニロックスロール93A(93B)及び刷版ロール94A(94B)は図9とは逆方向(つまり、アニロックスロール93A(93B):r2方向、刷版ロール94A(94B):r1方向)に回動する。
【0167】
ここで、図9に示す例では、チャンバー部102に供給ホース96及び返送ホース97が各一つのみ繋がる構成であるが、チャンバー部102内における幅方向の薬液Lを均質にすべく、好ましく図13(A)〜(C)に示す構造を例示できる。その図13(A)は、幅広に形成されて回転軸R0廻りに回転するアニロックスロール93A(93B)に沿って幅広の長方形状に外枠が形成されたドクターチャンバー92A(92B)の幅方向Dの左右端付近の箇所に、それぞれ供給ホース96が連結され、中央部に返送ホース97に繋がる構造例である。図13(B)は、幅方向Dに3つの供給ホース96と2つの返送ホース97とが交互に等間隔で繋がる構造例である。図13(C)は、チャンバー部102の上側寄りの複数箇所にそれぞれ供給ホース96が繋がり、下側寄りの複数箇所にそれぞれ返送ホース97繋がる構造例である。
【0168】
≪2ロール転写方式の実施形態例≫
次いで、フキレソ印刷における2ロール転写形式を適用した形態例を図14を参照しながら説明する。本形態例でも、積層連続シートS2の表裏面に薬液Lを塗布すべく二つのフレキソ印刷機91C,91Dを用いている。各印刷機91C,91Dにおいては、薬液Lの入っている薬液タンク98C,98Dに回転可能な絞りロールでもあるディップロール92C,92Dが浸され、このディップロール92C,92Dが薬液タンク98C,98D外で回転可能なアニロックスロール93C,93Dに接しており、適当に薬液量が調整され量の薬液をアニロックスロール93C,93Dに受け渡す。薬液Lをアニロックスロール93C,93Dに受け渡すに、ディップロール92C,92Dを介することから2ロール転写方式と称される。ここで、ディップロール92C,92Dは薬液タンク98C,98Dから薬液Lを取り上げるとともに過剰な薬液をそのままアニロックスロール93C,93Dに受け渡さないようにする調整する役割を果たす。
【0169】
アニロックスロール93C,93Dは刷版ロール94C,94Dに接しており、ディップロール92C,92Dから転写された薬液Lを刷版ロール94C,94Dに受け渡す。刷版ロール94C,94Dは回転可能に設置され、アニロックスロール93C,93Dと接しているとともに、積層連続シートS2の一面とも接しており、積層連続シートS2を挟んで対向する弾性ロール95C,95Dとで積層連続シートS2に圧力を付与しつつ積層連続シートS2に薬液Lを塗布する。
【0170】
この2ロール転写方式においては、アニロックスロール93C、93Dに対してドクターブレードを設けても良く、この場合、薬液Lを均一に塗布できる、アニロックスロール93C、93Dから薬液Lが飛散してしまうことを防止できるなどのメリットを享受できるが、この反面、ドクターブレードを手入れしたり交換したりしなければならないというデメリットが有る。
【0171】
なお、薬液タンク98C,98Dには、図示はしないが、薬液中に含まれる紙粉やエアーのろ過装置、薬液の温度を監視・コントロールし、薬液粘度を安定させるための配管ヒーター、積層連続シートS2の幅方向の水分率で塗布量を管理するための赤外線の検査機等を用いた紙幅方向の水分量とバラツキを監視するセンサ等を設置することができる。
【0172】
≪1ロール転写形式の実施形態≫
【0173】
次いで、フキレソ印刷における1ロール転写形式を本発明に適用した形態例を説明する。この例は、前述のフ2ロール転写形式からディップロールを省略したものである(図面は省略する)。この場合、アニロックスロールが、それぞれ薬液タンクに浸されつつ回転可能に設置される。また、これらのアニロックスロールに対しては、アニロックスロール表面の薬液を掻き取るドクターブレードを設置する。このようなフレキソ1ロール転写形式は、メンテナンスが比較的容易であるという利点や、ブレードの摩耗や薬液中の紙粉等の異物の混入状態を容易に目視できるという利点を有している。
【0174】
(スプレー塗布方式)
次に、本発明にかかる薬液塗布手段81として、スプレー塗布装置を用いる場合の例を図15〜18を参照しながら説明する。スプレー塗布は、設備設置コスト、設備設置面積を小面積にすることができる利点がある。本発明では、積層加工を行なうプライ加工部と折り畳みを行なう折り畳み機構部が一体の装置となるため、設備コスト、設備面積を小さくできるスプレー塗布は、この点で好ましく採用される。
【0175】
スプレー塗布は、ノズル式噴霧方式、ローターダンプニング噴霧方式等を採用することができる。好ましくは、後述するローターダンプニング噴霧方式である。
【0176】
スプレー塗布装置は、その方式によりノズルユニット或いはローターダンプニングユニット等を有する塗布ユニットを、その噴霧口が積層連続シートS2に対して対面するようにして、複数を積層連続シートS2の幅方向に並列し、各ユニットから水系薬液をいっせいに噴霧することで積層連続シートS2に水系薬液を塗布するものである。
【0177】
ノズル式噴霧方式における噴霧用ノズルの型式としては、環状に噴霧する空円錐型ノズル、円形状に噴霧する充円錐型ノズル、正方形状に噴霧する充角錐型、充矩型ノズル、扇型ノズル等が挙げられ、水系薬液が積層連続シートS2の幅方向に対して均一に噴霧されるように、ノズル径、ノズル数、ノズル配列パターン、ノズル配置数、あるいは噴霧距離、噴霧圧力、噴霧角度、および噴霧液の濃度、粘度などを適宜選択して使用することができる。
【0178】
また、ノズル式噴霧装置において霧化する方法については、一流体方式、または二流体方式の2種類の方式を選択して使用することができる。このうち一流体噴霧方式は、噴霧する水系薬液に対して圧搾空気を用いて直接圧力をかけてノズルから霧滴噴射する、または噴出口付近のノズル側面に開けた微細な穴からノズル内に空気を吸引して霧滴噴射する方式である。また、二流体噴霧方式は、ノズル内部で圧搾空気を噴霧する液体と混合、微粒化する内部混合型、ノズル外部で圧搾空気を噴霧する液体と混合、微粒化する外部混合型、微霧化した霧滴粒子を相互に衝突させて、霧滴粒子をさらに均質化・微粒子化する衝突型等の方式が挙げられる。好ましい、ノズル式噴霧装置は、二流体噴霧方式である。
【0179】
その二流体噴霧方式のノズルユニット例は図15に示すとおりであり、これを参照しながらさらに説明する。このノズルユニット110は、中心に水系薬液通路110Aが、その周囲にエアー通路110Bが形成され、水系薬液通路110A先端から噴出された水系薬液Lを、エアー通路110Bから吐出されたエアーにより微霧化するものであり、ほぼ円錐形状に水系薬液Lを噴霧するようにしたものである。110Cは外部の保護ケーシングであり、紙粉などからノズルを保護すると共に、必要によりパージエアー通路110Dを通すエアーによりノズルの清掃を行なうことができるようにしたものである。
【0180】
ここでスプレー塗布での水系薬液塗布では、噴霧した水系薬液の跳ね返りや積層連続シートS2表面に随伴する空気などによって液滴が押し流され、液滴が積層連続シートS2の表面に付着しにくくなることがあるため、例えば、ノズル式であれば図16に示すように、ノズルユニット110の周囲から、ケーシング110Eに形成したエアー供給路110Fから噴出させるエアー110Gにより、ノズルユニット110からの噴霧水系薬液を取り囲むようにして水系薬液を積層連続シートS2に塗布するのが望ましい。
【0181】
次に、スプレー塗布のなかでも本発明に好適なローターダンプニング噴霧方式を説明する。ローターダンプニング噴霧方式は、特に図17〜18に装置例140を示すように、複数のローターダンプニングユニット141が積層連続シートS2の幅方向に並列されている。
【0182】
各ローダーダンプニングユニット141は、噴射部142を有する流体室143が高速に回転され、その流体室143内に薬液を送り出して、遠心力によって流体室内の薬液を噴射部142から放出させて微霧滴化する。前記流体室143の回転数変更によって霧滴粒子径の制御を行い、流体室への送液量変更によって噴霧液量(塗布量)の制御を行なう。ローターダンプニング噴霧方式は、少ない量の噴霧液量を霧滴の飛散を抑えつつ、積層連続シートS2表面に均一に塗布することができ、かつ噴霧速度や霧の粒子径等の調整が容易である利点がある。
【0183】
図示例の本形態体のローターダンプニングユニット141では、好ましく噴霧口144の開閉を行なうシャッター145が設けられており、このシャッター145の開閉により噴霧の有無の制御をすることが可能となっている。
【0184】
ここで、ローターダンプニングユニットを、積層連続シートS2の流れ方向に直行するように複数並べ、走行する積層連続シートS2に対して垂直に設置する場合、噴射孔の間隔は好ましくは50〜150mmである。
【0185】
他方、水系薬液を積層連続シートS2表面に均一に噴霧塗布するためには、霧化された水系薬液の霧滴粒子径はできる限り微小であることが好ましい。しかしながら、霧滴が細かくなりすぎると噴霧した空気の跳ね返りや積層連続シートS2表面に随伴する空気などによって霧滴が押し流され、霧滴が積層連続シートS2表面に付着しにくくなる。このため、噴霧塗布方式においては噴霧距離、噴霧圧力、噴霧角度、噴霧速度を、加えて二流体方式の場合には、噴霧用の水系薬液と圧搾空気の混合比、および水系薬液の濃度や粘度等を適宜調節し、塗布条件に適した粒子径に調節することができ、さらに噴霧時に随伴空気の影響が大きい場合は、随伴空気を除去するための吸引装置や邪魔板(整流板)、上述のフード等の設置、および噴霧ノズル先端に高電圧を加えて霧滴粒子を帯電させて、顔料塗被紙への霧適の付着性を向上させる荷電電極(静電噴霧方式)などを追加してもよい。
【0186】
なお、スプレー塗布方式を採用する場合の好ましい霧滴粒子の重量平均粒径を例示すれば、20〜150μmである。
【0187】
また、積層連続シートS2表面に塗布されずにミストとして浮遊している霧滴粒子は、吸引・回収して再度噴霧することができる。
【0188】
(インクジェット印刷方式)
次に、本発明にかかる薬液塗布手段81として、インクジェット印刷機130を用いる場合の例を説明する。インクジェット印刷機130は既知のものが使用できる。
なお、インクジェット印刷方式は、薬剤塗布量や塗布面積、塗布パターンの管理精度が高くムラが発生し難いという利点があり、折り畳み機構部における折り畳み精度を高めるとともに、より一層の高品質な製品を製造することができる利点がある。
【0189】
本実形態のインクジェット印刷機130を、図19〜20を参照して説明すれば、水系薬液Lの入っているタンク(図示されない)が供給路131を介してインクジェットヘッド132に接続された構造とされ、前記タンクから供給ポンプ(図示しない)によりインクジェットヘッド132に水系薬液が供給されるようになっている。
【0190】
前記インクジェットヘッド132の被塗布材である積層連続シートS2と対向する部分には、この積層連続シートS2の幅分に少なくとも対応する形で、複数のノズル孔134を直線的に並んで設けているノズル板133が配置されている。
【0191】
ここで前記ノズル孔134から積層連続シートS2までの間隔は1〜10mm、より好ましくは1〜3mmとするのが望ましい。インクジェット印刷方式では、各ノズル孔134から噴射される液滴が極少量であるため周辺気流の環境を受けやすいが、1〜10mm、より好ましくは1〜3mmとすれば、その影響は格段に小さい。一般的なフルカラープリンターの紙とノズルの間隔は1〜1.5mmである。人の目は輝度の差異やグラディエーションの表現に敏感であるため、4〜6色の減色混合による十分な色彩表現を得るのにはドット位置の精度は数μm以内を求められている。これに対し本発明の水系薬液塗布ではドット位置の精度は100μm以内で十分均一な塗布品質が得られる。
【0192】
そして、このインクジェットヘッド132内には、噴射ユニット135が各ノズル孔に対応して複数配置され、各噴射ユニット135は、ノズル孔134から射出するための水系薬液を一時的に貯める流体室136と、この流体室136を挟んでノズル板133と対向する部分に配置された振動板137とを有し、振動板137に当接して流体室136外に配置され且つピエゾ素子等により形成される圧電素子(図示されない)とを有している。
【0193】
前記圧電素子には、配線を介して制御装置138が接続されていて、この制御装置138から所定の間隔で圧電素子に電圧が付与されるようになっている。
【0194】
かかる構造により、タンクからインクジェットヘッド132に供給された水系薬液は、各ノズル孔134に対応して存在する流体室136内に送り込まれるようになっていて、必要に応じて制御装置138が圧電素子に電圧を加えることで、各ノズル孔134から一斉に水系薬液が噴射されることになり、これに伴い、積層連続シートS2の一方の面における幅分全体に亘って水系薬液が塗布されことになる。
【0195】
また、本発明のインクジェットヘッド132内に圧空135が送気するように構成され、前記噴射ユニット135から噴射された液滴がノズル孔134から圧空にのって積層連続シートS2に向かうように構成され、紙粉がノズル孔に詰まるのを防止するように構成されている。
【0196】
尚、上記実施形態では、インクジェットの形式として、オンデマンド方式でピエゾ素子を採用した構造を説明したが、サーマルジェット型を採用しても良い。更に、オンデマンド方式の替りに連続して噴射可能なコンティニュアス方式の噴射装置を採用しても良い。
【0197】
ただし、好ましいのは、電子制御によるオンデマンド方式であり、これによって幅方向、流れ方向における塗布量変更が容易となる。
【0198】
ここで、本発明においてインクジェット印刷方式を採用して水系薬液塗布する場合のより好ましい条件は、ノズル孔からのインク液滴の粒子速度は5〜20m/秒程度、一つのインク液滴の容量は5〜50pl/個である。
【0199】
さらに、インク液滴は流れ方向、幅方向に20〜200μm間隔で液滴を塗布するのが望ましい。これにより塗布量が増減しても実質的に均一な塗布が可能である。幅方向のノズル間隔は128〜1080dpi(5〜42ライン/mm、128dpi×1段〜360dpi×3段式)とする。
【0200】
一例を示せば、加工速度が分速250mの場合、インク液滴の粒子速度10m/秒、一つのインク液滴容量10pl/個、幅方向のノズル間隔1080dpiとして、インクジェット噴射頻度は5×104ドット/秒/ライン程度である。
【0201】
[折り畳み機構部の具体的構成について]
以上、本発明にかかる薬液塗布について説明したが、本発明は150m/分以上の速度で運転するロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部においてティシュぺーパー製品を製造する際に顕著な効果を奏するのであり、折り畳み機構部の高速化達成技術自体は限定されるものではないが、本発明者らは、本発明の薬液塗布との関係で顕著な効果を奏する、折り畳み機構部の高速化技術についても新たに知見したので、かかる高速化ロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部の構成についても説明する。
【0202】
なお、折り畳み機構部85の高速化は、主にロール群の構成によりシートにロール上でたるみを形成しないようにする、バキューム機構によりロールへのシートの吸引性を高める、サーボ技術により複数のロールの速度を調整することにより達成される。
【0203】
下記に本発明において好適に採用できる高速化に適するロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部例1〜4を示す。
【0204】
なお、折り畳み機構部85は折り畳み加工部X4の一部であり、本発明においては上述のとおり薬液塗布工程を経た積層連続シートS2がこの折り畳み機構部85に連続的に供給される。
【0205】
《折り畳み機構部例1》
本発明にかかるロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部例1を図21及び22を参照しながら説明する。
【0206】
この機構部例1は、ベッドロール71、ナイフロール72、ラップロール73、フォールディングロール75、プレッシャーロール76の各ロールを一対具備し、さらに好ましく テールロール74を具備する(図においてフォールディングロール以外のロールについては一方のみを図示する)。
【0207】
また、各ロールはサーボモータにより駆動され、各サーボモータの回転速度、周速を各々電子制御により調整して、シートの張力等に合わせ周速を調整可能となっている。これによりロール間でのシートの受け渡しのタイミングを一定に保つことが可能となっている。
【0208】
前記ベッドロール71は、積層連続シートS2を、積層連続シートS2のリード端部を爪で掴んだまま、或いは積層連続シートS2をバキューム孔78を介して自身の中心方向に吸引するバキューム機能によって(図示例はバキューム機能による)ロール表面に保持しつつ搬送し、後段のロールへと受け渡すものである。
【0209】
ナイフロール72は、表面にカッター刃72Cを具備し、前記ベッドロール71と対をなして回転して、その刃72Cを適当間隔でベッドロール71上を搬送されてくる積層連続シートS2に接触させて、積層連続シートS2をシート幅方向に裁断する。この裁断幅は、ティシュペーパー製品の幅(長さ)である。従って、ベッドロール71上を搬送されてくる積層連続シートS2はこのナイフロール72のカッター刃72Cとの接触によって上流の積層連続シートS2から切り離される。
【0210】
カットされたシートS4は、ベッドロール71上に保持されつつ搬送され後段のラップロール73に受け渡される。受け渡しはロータリー式インターフォルダで採用されるロールからロールへの既知の受け渡し技術が採用される。例えば、ベッドロール72とラップロール73との近接時にベッドロール72のバキュームを停止し、ラップロール73において自身の内部方向への吸引が開始される技術等である。
【0211】
プレッシャーロール76は、ベッドロールとともにベッドロール上に保持されるシートを挟持するものであり、このプレッシャーロール76の存在によりベッドロール71における吸引能力を上げつつシートをカットしてもシートがばたつかず、順次前端から後端にむかってシートがベッドロール71上に吸引された確実に保持されるようになる。また、プレッシャーロール76とベッドロール71とによって積層連続シートの先端部が挟持された状態でナイフロール72によるカットが行なわれるため、カット時のシートが後方(原反ロール方向)に引っ張られることが防止されるとともに張力変動を効果的に吸収でき、カット時におけるシートのばたつきも防止される。
【0212】
ラップロール73は、ベッドロール72から受け渡されたシートS4を表面に保持しつつ搬送し、その搬送するシートS4の回転方向前縁部を、ラップロール73より減速して回転する対応するフォールディングロール75に移行させる。この受け渡しは所定位置においてシートの回転方向前縁部のバキュームの停止、或いは気体の噴射、機械的なシート把持機構などの既知の技術が採用される。
【0213】
図示例のラップロール73では、シートの回転方向前縁部、回転方向後縁部とこれらの間の2点以上を保持するようにバキューム孔710,710が形成されており、シートを確実にラップロール73上の保持することが可能となっている。
【0214】
なお、図には表れないがロータリー式インターフォルダのロールにおけるバキューム孔は周知のとおりロールの軸心方向に沿って、その表面に点在的に配置されるものであり、本発明及び本明細書における折り畳み加工部X4における折り畳み機構部85のバキューム孔もそのように構成されている。したがって、回転方向前端部、回転方向後端部とこれらの間の2点以上を保持するようにバキューム孔が形成されているとは、シートの回転方向前端部等を保持する位置に、ロールの軸心方向に沿ってバキューム孔が複数配されていることを意味する。この孔の数は適宜の設計事項である。
【0215】
必要に応じて具備されるテールロール74は、ラップロール73に近設され、ラップロール73及び後段のフォールディングロール75より小径である。テールロール74は、ラップロール73から前記回転方向前縁部がフォールディングロール75に移行されたシートの回転方向後縁部(テール)が移行され、当該シートの回転方向後縁部を自身の表面に保持する。保持機構は上述のベッドロール等と同様である。
【0216】
上述のラップロール73とフォールディングロールか75の回転速度の差と、シートS4の回転方向前縁部をフォールディングロールに移行した後、回転方向後縁部(テール)をテールロールに移行させることにより、ラップロール73、テールロール74及びフォールディングロール75によってシートS4にたるみ部(バブルとも称される)Stを一次的に形成する。
【0217】
また、ラップロール73からフォールディングロール75へのシートS4の回転方向先端側部分の移行は、先のシートの回転方向後縁部がラップロール73からたるみ部を形成しつつテールロール74上に移行されている際に行なわれる。
【0218】
そして、先のシートの回転方向後縁部がテールロール74からフォールディングロール75上に移行される際には、その部位には後のシートの回転方向前縁部が存在している。
【0219】
従って、テールロール74からフォールディングロール75に完全にシートが移行されると、フォールディングロール75上では、先のシートの回転方向後縁部の下方(フォールディングロール側)に、後のシートの回転方向前縁部が位置して重なり合った(ラップされた)状態となる。
【0220】
フォールディングロール75は、一部が重なりあったシート群を折畳むものである。一対のフォールディングロール75,75は互いに近接され、同様に対となるフォールディングロール上を移行してくる一部が重なりあいつつ送られてくるシート群とを自身のシート群とを重ね合わせ、その重ね合わせ部で各シートの縁部を相互に押し合う(引き合う)ようにしてシート群を折り畳む。
【0221】
このように本例にかかる折り畳み機構部85は、シートをカットするナイフロール72及びベッドロール71とラップロール73とを分離することで、ラップロール73におけるバキューム能力の向上させることができ、さらに各ロールをサーボによって個別にその速度を管理することで高速化が達成されている。
【0222】
その上、ラップロール73、フォールディングロール75及びテールロール74によりたるみ部を一時的に形成することで、先のシートと後のシートの一部を重ね合わせるようにしつる移行させ、かかる一部が重ね合わされたシート群をフォールディングロールで折り畳むようにすることで、きわめて高速な操業を可能となっている。
【0223】
《折り畳み機構部例2》
高速化に適するロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部例2を図23に示す。このロータリー式インターフォルダは、ベッドロール71、ナイフロール72、第1プルロール78A、第2プルロール78B、遅延ロール79A、ニップロール79B、ラップロール73A、カウントロール73Bを各一つ有し、さらに一対のフォールディングロール75,75を有する。必要に応じて適宜の抑えロールRを有する。
【0224】
この折り畳み機構部例2は、その初段に、積層連続シートS2を受ける第1プルロール78A及び第2プルロール78Bを有する。第1プルロール78A及び第2プルロール78Bによるニップされつつ積層連続シートS2がこれらのロール間を通過し、第2プルロール78Bとベッドロール71間にニップされつつベッドロール上に供給される。
【0225】
ベッドロール71及びナイフロール72の関係は、上記折り畳み機構部例1と同様であるが、本形態では、上記折り畳み機構部例1と異なり、ナイフロール72とベッドロール71とによる積層連続シートS2のカット時に、積層連続シートS2の後方(原反ロール側)が第2プルロール78Aとベッドロール71とのニップ、さらに第1プルロール78Aと第2プルロール78Bとのニップにより保持される。これにより、カット時のシートが前方に引っ張られることが防止されるとともに張力変動を効果的に吸収でき、カット時におけるシートのばたつきが防止される。
【0226】
さらに、ナイフロール72によりカットされたシートS4はベッドロールの吸引機構により保持されつつ搬送され、さらにベッドロールによって後段のロールへと搬送される。
【0227】
本機構部例2におけるベッドロールの直近後段のロールは、ベッドロール71より遅い速度で回転する遅延ロール79Aである。
【0228】
ここで、本機構部例2では、ベッドロール71と遅延ロール79Aのニップ位置よりも、ベッドロール71の進行方向側で所定間隔離れた位置にニップロール79Bが存在し、これらニップロール71と遅延ロール79Aとニップロール79BとによってシートS4を挟持可能に位置構成されている。かかる構成のうえ、ベッドロール71から遅延ロール79Aにシートを受け渡す際に、まずシートS4の回転方向前縁部がベッドロール71から遅延ロールに受け渡され、回転方向後縁部は一旦ニップロール79Bに移動されたのち、順次遅延ロール79Aとでニップするように構成されている。
【0229】
そして、前記回転方向後縁部がベッドロール71からニップロール79B経由で遅延ロール79Aに受け渡される際その位置には、後続のシートS4の回転方向前縁部がすでにベッドロール71から遅延ロール79Aに受け渡されており、これによって遅延ロール79A上において、先のシートの回転方向後縁部の下方に、後のシートの回転方向先端側縁部が位置して重なり合った(ラップされた)状態となる。
【0230】
遅延ロール79Aの後段には、ラップされたシートが搬送されるラップロール73Aが存在し、重ね合わされたシートを進行させ、カウントロール73Bとともに後段のフォールディングロール75,75へと移送する。図示例においては、ラップロール73Aとフォールディングロール75,75の途中には一対の抑えロールR,Rが位置し、これらの間を通過するように構成されている。
【0231】
フォールディングロール75,75は同様の構成のものが近接して一対二つ配され、前記一部重ね合わされたシート群はこの近接部分に上方から移送される。本例のフォールディングロール75,75は、各ロール75,75にシートを保持するグリップ機構(摘み機構)とタッカー機構と具備するシート保持機構を有し、一部重ね合わされて送られてくるシートS4のシート前縁部及びシート後縁部を当該近接位置において一枚おきに、対となるドールディングロールが交互にそのシート保持機構により保持し開放しつつ下方に移送する。
【0232】
この各ロールのシートの搬送と所定位置における当該縁部の挟持・開放により、各フォールディングロール間の下方にティシュペーパー束10cが形成される。
【0233】
以上の本機構部例2においては、遅延ロールとニップロールとベッドロールによるシートの一部重ね合わせにより高速化が達成できる。また、第1の機構部例と同様に、カットと折り畳み、シートの重ね合わせが別工程となるためシートのばたつきが防止されるとともに、確実にシートをロール表面に保持することができる。
【0234】
もちろん、本機構部例2においても、各ロールはサーボ機構により制御し、ラップロール、ベッドロールにおける吸引力をも強くすることができる。また、各ロールにおけるバキューム孔の位置についても第1の機構部例と同様に、適宜シートの前端部分、後端部分、それらの中間部分に設けることができるし、望ましい。
以上より本機構部例2も高速化が可能である。
【0235】
《折り畳み機構部例3》
高速化に適するロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部例3を図24に示す。
この機構部例3は、折り畳み機構部例1と同様に別々の積層連続シートS2を互に折り畳むように構成される。本例では各ロール群は左右一対あるので共通する点については一方のみについて説明する(図においてはフォールディングロール25以外のロールについては一方のみを図示する)。
【0236】
まず、本折り畳み機構部例3においては、積層連続シートS2は、第1プルロール78Aに搬送され、さらに第2プルロール78Bへと引き込まれ、さらに第2プルロール78Bからナイフロール72に受け渡される。
【0237】
次に、ナイフロール72では、積層連続シートS2がバキュームによって吸引保持され、さらに後段の移送ロール71Aに受け渡される。
【0238】
ナイフロール72には適宜の間隔でカッター刃が設けられ、移送ロール71Aには当該カッター刃に対応する位置にそのカッター刃を受ける受け機構71aが設けられている。
【0239】
そして、前記ナイフロール71から移送ロール71Aへの積層連続シートS2の受け渡し時にカッター刃72Cによって切断される。
【0240】
また、ナイフロール72から移送ロール71Aへの受け渡しは、バキュームの吸引差により行われる。さらに、移送ロール71AにおいてはシートS4の回転方向前縁部を保持する溝部71bが設けられており、シートS4の回転方向前縁部は、この溝部に位置されて確実に保持される。また、前記積層連続シートS2の切断は、前記ナイフロール72のカッター刃72Cが受け機構71aに入り込むようにして行われる。これにより、シートS4の切断と保持が行われる。
【0241】
さらに、本例の折り畳み機構部例3では、ナイフロール72に設けられた複数のカッター刃間に溝部72aが形成されているとともに、前記移送ロール71Aに突起部71cが形成されており、前記溝部72aに突起部71cが入りこむことでシートS4に折筋を形成するように構成されている。
【0242】
次に、シートS4は移送ロール71Aからフォールディングロール75へと移送される。この移送は、バキュームによって行われる。移送ロール71Aからフォールディングロールへ75のシートの移送については、移送ロール71Aの溝71cに位置されているシートSの縁部がタッカー機構及びバキュームによってフォールディングロール75に移送される。
【0243】
また、フォールディングロール75には周縁に溝部75aを有し、そこにグリップ機構(摘み機構)が形成されている。そして、移送ロール71Aの突起部71cはフォールディングロール75の溝部75cに入りこむようにロールの大きさ位置関係に形成されている。これにより、移送ロール71Aの突起部71c上に位置するシート部位(ナイフロールの溝部とで折り筋が形成されている部分)がフォールディングロール75の溝部75aに入りこみ、そのときにグリップ機構によって当該部位が保持される。
【0244】
そしてフォールディングロール75は、その部位を保持しつつ回転し、所定位置でシート縁部の解放と当該部位の解放を行う。この所定位置は、対となるフォールディングロール75,75との関係で定まる。例えば、対となるフォールディングロールと最近接位置においてグリップ機構を解放する。そのとき、対となるフォールディングロールはシート縁部の解放を行う。このような対となるフォールディングロールの近接位置における折り部と縁部との解放を交互に行うことで、対となるフォールディングロール75,75の近接位置の下方にティシュペーパー束が形成される。
【0245】
本機構部例3では、折り筋の形成及びシート縁部の把持・開放、さらに折りと連続シートの切断の非連続性、フォールディングロール、移送ロールにおける吸引能力の強化の達成により高速化が可能である。もちろん、本機構部例においても各ロールをサーボ機構によりその周速を調整する。また、ロールにおけるバキューム孔の位置についても第1の機構部例と同様に、適宜シートの前端部分、後端部分、それらの中間部分に設ける。
【0246】
なお、加工速度など他の点については第1及び第2の機構部例と同様である。
【0247】
《折り畳み機構部例4》
次いで、高速化に適するロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部例4を図25及び図26を参照しながら説明する。
【0248】
この機構部例4は、前記バキューム孔271Aがシートの前端部分、後端部分、バキューム孔271Bがそれらの中間部分に設けられている。そしてこれらのバキューム孔271A,271Bの回転に伴って吸引(負圧)を付与するバキューム領域270A、270Bが2つあり、それらバキューム領域の一つ270AはカットシートS4の前後端部の吸引孔271Aに、もう一つ270BはカットシートS4の前後端部の中間のバキューム孔に連通している。これら各バキューム領域間の吸引力制御と各ロールのサーボ機構による周速調整により、フォールディングロール上におけるシートの吸引保持を制御でき、カット時、移送時のシートズレが防止され、さらにシートの折り精度が高められている。
【0249】
なお、各バキューム領域270A,270Bとバキューム孔271A,271Bとの関係は、特に図26に示すとりであり、各バキューム孔271A,271Bがフォールディングロール75内のバキューム路272A,272Bを介して、フォールディングロール75の端面部分に設けられたバキューム領域270A,270Bに連通するように構成され、さらに各バキューム領域270A,270Bが真空ポンプなどの真空源に連結されている。
【0250】
すなわち、高速化達成のためにバキューム制御を精密にすべくバキューム路272A,272Bを増加させる(図示例では図30の旧式3路に対して6路に増加)。なお、これにともなって内部空洞容積が増加し、また、高速運転ではシートの遠心力や風の煽りによりシートがずれる心配があるため、真空ポンプの能力は従来よりも強くする必要があるが、本発明では、バキューム制御を精密に行えるため十分に対応できる。
【0251】
制御を精密にするためには、例えば、真空源を各フォールディングロール毎に設ければ、吸引力の調整、吸引力の向上が達成できる。さらに、真空源をバキューム領域毎に設ければより一層吸引操作を精密に操作することが可能となる。
【0252】
なお、フォールディングロール75の端面に回転に対応するバキューム領域271A,271Bを形成するにあたっては、既知のメカニカルバルブ機構を採用できる。
【0253】
なお、本機構部例4を採用することで、旧式の速度の遅いロータリー式インターフォルダに対する明確な有利な点となる真空度については、具体的には、マイナス10〜20kPaであり、真空ポンプ能力は、旧来の8.5m3/分×200Hg×1910RPM×80Aの1.5〜2倍程度に引き上げることが可能である。これによりシートの保持性が高められる。
【0254】
なお、バキューム孔の配置は適宜の設計事項であるが、直径5mm程度、フォールディングロールの幅方向に15〜20mm間隔で設ければよい。
【0255】
また。メカニカルバルブ機構は、耐磨耗性のよい樹脂、セラミック製でオンジナオイル等の潤滑剤を使用するのが望ましい。
【0256】
さらに、メカニカルバルブ(バキューム領域形成部)をフォールディングロール両端部毎に複数個として、バキューム制御を精密に制御すればより高速化が達成できる。
【0257】
以上の構成の機構部例4によっても高速稼働が可能となり、本発明の2段階塗布を有利なものとすることができる。
【0258】
《折り畳み機構部例5》
高速化に適するロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部例5を図27及び図28を参照しながら説明する。本機構部例は、本機構部例5もフォールディングロール上でシートをカットする例である。本機構部例5では、機構部例5に対して第1プルロール78Aと第2プルロール78Bとを設けて、シートカット時のテンションコントロールを精密にしたものである。なお、図示例では、フォールディングバーを具備する形態ではなく、第1から第4の機構部例と同様に掴み機構によるシート縁部の把持・開放による折り畳みを行なう形態となっている。もちろんフォールディングバーを採用することもできる。
【0259】
本機構部例5のその他の構成は、機構部例4と同様である。本機構部例5は、機構部例5の構造によってバキューム制御が精密となりまたバキューム力を向上させることが可能であることからプルロール78A,78Bによってシートカット時のテンションコントロールをより精密に行えるようにしたものである。
【0260】
なお、本機構部例5においては、図28に示すように、さらにフォールディングロール75,75とカッター刃72C,72Cによってシートをカットする際に積層連続シートS2の進行方向前端をフォールディングロール75とプレッシャーロール76とで挟持する。本機構部例5では、シートカット時における安定性が高まり高速化がより達成しやすくなる。
【0261】
《折り畳み機構部の高速化》
以上、高速化に適するロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部例を述べたが、本発明の折り畳み機構部85はこの例に限定されない。もちろん、本発明の範囲において上記各例において相互に構成を変更してもよい。例えば、折り畳み機構部例4においてグリップ機構、カッター機構を採用することもできるし、折り畳み機構部例2や3において真空源、バキューム領域を適当数設けてそれらを制御してもよい。
【0262】
すなわち、本発明において、折り畳み機構部を高速化するには、折り畳み機構部85を以下のように構成するのが望ましい。
【0263】
まず、ナイフロール等でシートがカットされる時点およびそれ以降、シートを各ロール表面に備わっているバキューム孔(真空吸引口)により保持しつつ、各ロールを回転させるにあたって、各ロールの駆動をサーボモータにより行い、その速度を調整制御する。
【0264】
例えば、増減速時のナイフロール等でのカット時のシートテンションコントロールを各シートの伸び易さや引張り強度に合わせを行う。
【0265】
このように、サーボモータなどにより各ロールの周速を各々電子制御により調整することにより、シートの張力に合わせ周速差を変更することができ、これによりシートを保持、受け渡しタイミング等を常に一定に保つことが可能となり高速化することが可能となる。
これは、ロール数が多い構成を採る折り畳み機構部の場合に特に有効である。
【0266】
次に、ナイフロールやカッター刃を用いてシートのカットをするように構成するとともに、プレッシャーロールやプルロールを設置し、シートカット時に積層連続シートの一部を保持するように構成する。これにより、シートカット時のシートズレが防止され高速化することが可能となる。さらに、サーボモータと組み合わせ、ナイフロールでシートがカットされる時点で、サーボモータにより各ロールとの周速差を的確に調整すればより一層の高速化が可能となる。また、バキューム孔によるシート保持と併用すればよりシートテンションを的確にコントロールでき高速運転が可能になる。
【0267】
次に、ナイフロール等でシートがカットされた時点以降、折り畳まれる直前まで、バキューム等によりカットされたシートをロール上に貼りつくようにロールからロールへ搬送することで、シートのずれがなく、高速にきれいに折り畳むことが可能となる。(シートをオーバーラップさせる場合でも、カットシートの前後端部は保持され、その他のほとんどの部分はロールに接しシートの形成は一定である。)
【0268】
次に、ニップ間隔の長い中間ロール(移送ロール、遅延ロール、ラップロールや機構部例4、5のフォールディングロール)はバキューム孔を複数設け、さらにバキューム領域や真空源を2つ以上とし、カットシートの前後端部、カットシートの前後端部の間の吸引力を制御する。例えば、均等にMD方向3点で、CD方向に径数mmのバキューム孔(真空吸引口)を均等に5〜30個/100〜200mm間隔配置すると、遠心力や回転による風で位置ずれが生じず、また、ロール間のカットシートの受け渡し精度が高まり高速化が可能となる。
【0269】
合わせて、機構部例1、2のように前後シートの一部を重ね合わせる構成を採用することでも高速化が可能となる。
【0270】
『収納工程』
次いで、ティシュペーパー束10の収納箱への収納例について説明する。なお、ティシュぺーパー束10の収納箱2への収納方法は、この例に限定されず既知の方法を採用することができる。
【0271】
折り畳み機構部にて形成されたティシュペーパー束10は、図29に示すように、後段の収納設備において収納箱2に収納される。ティシュペーパー束10の収納設備への供給はオンラインであってもオフラインであってもよい。好ましくは、コンベアなどの搬送設備によって連続的に供給するのが生産性向上の点で望ましい。
【0272】
収納工程は、具体的には、上述の上面2U、底面及びこれらを連接する側面2Sと、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uとを有する収納箱を、底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uが開いた状態、すなわち端面が開口された状態に半完成の状態に組立てるとともに、その開口部に対面するように折り畳み機構部85から裁断工程を経て送られてくるティシュペーパー束10の裁断面を付き合わせる。
【0273】
そして付き合わせたならば、ティシュペーパー束10をプッシュロッド等によって収納箱内へ押し込む。ティシュペーパー束10が収納箱内に押し込まれたら、前記側面端面片23Sを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片23Uと底面側端面片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着材等により接着する。
【0274】
この接着によって本発明のティシュペーパー製品X1の製造は完了する。
【0275】
なお、本発明にかかるロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部により製造したティシュペーパー束10を構成するティシュペーパー1の紙の方向は、図示のとおり、ティシュペーパー1の折り畳み部の延在方向に沿って横方向(CD方向)となり、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って縦方向(MD方向)となる。
【0276】
したがって、上述のように収納箱2に収納された本発明によって製造されるティシュペーパー製品X1は、図2に示すように、ティシュペーパー1を収納箱2から引き出す際には、その引き出し方向がティシュペーパーの縦方向(MD方向)と沿うようになっている。
【実施例】
【0277】
次いで、本発明の実施例及び比較例を下記表1〜5に示す。表1〜表5の下二欄に示されるとおり、二次原反ロールを形成することなくプライ加工部から連続的に折り畳み加工部に積層連続シートを供給するとともに、その過程で薬液塗布する本発明の実施例にかかる方法は、かかる方法を採らない比較例と比べて、操業性及び製品品質において優位性が認められる。
【0278】
【表1】
【0279】
【表2】
【0280】
【表3】
【0281】
【表4】
【0282】
【表5】
【符号の説明】
【0283】
X…ティシュペーパーの製造設備、
X1…ティシュペーパー製品、1…ティシュペーパー、1e…ティシュペーパーの折り返し辺の縁、10…ティシュペーパー束、2…収納箱、2U…収納箱(紙箱)上面、2S…収納箱(紙箱)の側面、20L…収納箱(紙箱)の長手縁、20S…収納箱(紙箱)の短手縁、21…取出口形成部(ミシン目線)、22…フィルム、23B…底面側端面片、23S…側面端面片、23U…上面側端面片、24…スリット、25…取出口、
X2…抄紙設備、JR…一次原反ロール(ジャンボロール)、W…湿紙、S1…乾燥原紙(一次連続シート)、31…ヘッドボックス、32…ワイヤーパート、32w…ワイヤ、333…プレスパート、33F…フェルト、34,35…脱水ロール、36…ヤンキードライヤー、36C…ヤンキードライヤーフード、37…ドクターブレード、38…巻き取り手段、39…ワインディングドラム。
X3…プライ加工部、S11,S12…一次連続シート、S2…積層連続シート、51…重ね合わせ部、56…巻き取り手段、56A…ワインディングドラム、52…カレンダー部、81…一次薬液塗布手段、
X4…折り畳み加工部、S2…積層連続シート、S4…裁断されたシート、80…原反ロール支持部、81…二次薬液塗布手段、85…折り畳み機構部、86…トリム手段、87…トリムスリッター、88…皺取りロール、
91A〜91F…フレキソ印刷機、92A,92B…ドクターチャンバー、92C,92D…ディップロール(絞りロール)、93A,93B,93C,93D…アニロックスロール、94A,94B,94C,94D…刷版ロール、95A,95B,95C,95D…弾性ロール、96…供給ホース、97…返送ホース、98…貯留タンク、98C,98D…薬液タンク、99…供給ポンプ、100…調整弁、101…吸引ポンプ、102…チャンバー部、103,104…ブレード、105…供給ホースとチャンバー部との接続部、106…返送ホースとチャンバー部との接続部、106a…孔部、106b…判別手段(チューブ)、106c…円筒状部、106d…センサ、106e…報知部、106…調整部、
110…二流体方式のノズル式水系薬液噴霧装置、110A…水系薬液通路、110B、110F…エアー通路、110C、110E…保護ケーシング、110D…パージエアー通路、110G…圧空、140…ローダーダンプニング噴霧装置、141…ローターダンプニングユニット、142…噴射部、143…流体室、144…噴射口、145…シャッター。
130…インクジェット、132…インクジェットヘッド、133…ノズル板、134…ノズル孔、135…噴射ユニット、136…流体室、137…振動板、138…制御装置、L…水系薬液、
71…ベッドロール、71A…移送ロール、71a…受け部、71b…溝部、71c…突起部、72…ナイフロール、72C…カッター刃、72a…溝部、73,73A…ラップロール、73B…カウントロール、74…テールロール、75…フォールディングロール、75a…溝部、76…プレッシャーロール、77…スリット手段、78A…第1プルロール、78B…第2プルロール、79A…遅延ロール、79B…ニップロール、R…抑えロール、270…バキューム孔、271…真空源。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパー製品の製造方法、特に薬液が塗布されたティシュペーパーが収納箱に収納されたティシュペーパー製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
<ティシュペーパー製品>
複数枚のティシュペーパーからなる束が収納箱内に収納され、その収納箱(カートン箱或いはティシュカートンとも称される)の一面に設けられた取り出し口からティシュペーパーを順次一枚ずつ引き出して使用するティシュペーパー製品はよく知られる。その取り出し方法は、一般的に一枚を取り出すとそれに連続して次ぎの一枚が取出し口から引き出されるポップアップ式となっている。
【0003】
このティシュペーパー製品においては、収納されるティシュペーパーに保湿剤、柔軟剤、などの薬液(通常「ローション薬液」とも呼ばれる)を塗布した薬液塗布タイプのものと、薬液等が塗布されていない汎用品或いは汎用タイプのものがある。
【0004】
薬液が塗布されたティシュペーパーは、表面の滑らかさや柔らかさにおいて汎用品のものよりも優れる。
【0005】
薬液塗布タイプの製品は、花粉症やインフルエンザが流行する時期など洟をかむ機会が増える時期に需要が増加する傾向にあったが、近年では、表面の滑らかさや柔らかさ等の使用感における利点が評価され、季節、時期を問わずに使用されるようになってきており、その需要は拡大している。
【0006】
<薬液塗布タイプの製品に用いられる薬液>
薬液塗布タイプの製品に用いられる薬液は種々存在するが、大きくは、水及びポリオールを含む水系薬液、主に非水溶性のワックス等を含む常温で半固形の油系薬液に大別される。
【0007】
また、水系薬液はシートに塗布した場合にシートを構成するパルプ繊維との親和性に優れ、シートの厚み方向(Z方向とも称される)、平面方向に含浸し、シート全体及びその表面性を改質するように作用する。これに対して油系薬液は主にその基材表面をコーティングし、人が肌で触れた時に表面の滑らかさを感じるように作用する。
【0008】
そして、水系薬液は、シートに含浸することから塗布後にシートに塗布されたクレープを伸ばす作用が大きいが、油系薬液ではそのような作用が小さい。
【0009】
この両者の特質によって製造上の問題点等の課題において異なるところがある。
【0010】
<ティシュペーパー製品の従来の製造方法の概要>
ティシュペーパー製品の製造の流れは次のとおりである。
まず、抄紙設備においてクレープを有する薄葉紙(クレープ紙とも称される)を抄造し、これを巻き取って一次原反ロール(一般にジャンボロールとも称される)を製造する。
【0011】
次いで、この一次原反ロールをプライマシンに必要数セットし、セットされた各一次原反ロールから一次連続シートを繰り出すとともに、適宜重ね合わせて積層一体化し、巻き取って複数のプライ(積層された)からなる二次原反ロールを製造する。
【0012】
次いで、二次原反ロールから順次二次連続シートを繰り出し、この二次連続シートをインターフォルダと呼ばれる折り畳み設備に供給し、二次連続シートを折畳むとともに順次積層してティシュペーパー束を製造し、このティシュペーパー束を収納箱内に収納してティシュペーパー製品とする。
【0013】
<ティシュペーパー製品の製造に用いられるインターフォルダの種類>
ここで、ティシュペーパー製品に用いるティシュペーパー束を製造するにあたっては、マルチスタンド式(多連式)インターフォルダ(下記特許文献4、5)とロータリー式インターフォルダ(特許文献6、7)の2種のインターフォルダが使用されている。
【0014】
前者のマルチスタンド式インターフォルダは、特許文献4、5にも示されるように、折り板を有する折り畳み機構部がライン流れ方向に多数(通常80〜120機)並設されており、各折り畳み機構部に対して同時にティシュペーパーの幅と同幅にスリットした二次連続シートを2シート並べて連続的に供給すると、各折り畳み機構部で二枚の二次連続シートを折り畳みが行なわれるとともに、ライン上流側の折り畳み機構で折り畳まれた二次連続シートの上にそれよりもライン下流側の折り畳み機構部で折り畳まれた二次連続シートが順次積層され、最下流において必要枚数が積層された連続積層シート束が形成される。ここで折り畳み機構部の1機とは、二次連続シートを2シート並べ各シートを互いに内側に折り込むように折り畳む設備の単位であり、マルチスタンド式インターフォルダの基本となる機構部の単位である。
【0015】
一方、ロータリー式インターフォルダは、図30に示すように、フォールディングロールと呼ばれる一対の折ロール571,571と必要に応じて配される他のロールとからなる折り畳み機構部を有し、通常一対の二次原反ロールから繰り出された各二次連続シートS’, S’がそれぞれロールに保持されて搬送されるとともに先端側から裁断され、最終的に一対のフォールディングロール571,571にて折り畳まれるとともに順次重ね合わせられて積層シート束を形成する。このロータリー式インターフォルダX5は比較的小型でロールの切り替えが容易であり、またシートの揃いなどの折り品質が良いことから、小ロットの高付加価値商品の生産に向いている。
【0016】
さらに、このロータリー式インターフォルダX5は、加工速度が通常80〜100m/分程度であり、この加工速度から、広幅(幅1〜3m程度)で折り工程の前段において水及びポリオールを含む水系薬液をグラビア方式やフレキソ方式等でオンライン塗布することが可能であるという利点がある。
【0017】
<ティシュペーパー製品とインターフィルダとの関係>
マルチスタンド式インターフォルダは多くの生産量が必要とされる汎用タイプの製品の製造に用いられ、ロータリー式インターフォルダはその利点から、汎用タイプに比して生産量が少ない薬液塗布タイプの製造に用いられるのが一般的であった(例えば、下記特許文献1)。
【0018】
ここで、薬液塗布タイプの製品を製造するにあたっては、インターフォルダとは別途の例えばプリンタ設備などによって予め一次又は二次原反ロールから一度連続シートを巻きだして薬液を塗布し、再度巻取って薬液塗布原反ロールを製造し、この薬液塗布原反ロールから繰り出した薬液塗布シートをロータリー式インターフォルダにより折り畳む製造方法もあるが、上述のようにロータリー式インターフォルダで薬液塗布しつつ折り畳む方法も用いられている。ロータリー式インターフォルダの方がマルチスタンド式インターフォルダに比べ折り畳み品質が良く、また、マルチスタンド式インターフォルダを用いる場合には薬液を含有した変形しやすい薬液塗布ロールを多数管理しつつ折り畳むことが困難であるという理由等によりほとんどロータリー式インターフォルダが用いられる。
【0019】
しかしながら、ロータリー式インターフォルダは、マルチスタンド式インターフォルダと比較すると、生産性に劣る欠点がある。具体例を例示すれば、ロータリー式インターフォルダでは、ティシュペーパーの幅の5倍幅の原反ロールを用いて、加工速度を100m/分でティシュペーパー束を生産すると、約25束/分要しているのに対して、マルチスタンド式インターフォルダでは、加工速度を100m/分で435束/分を生産することが可能である。
【0020】
<改良ロータリー式インターフォルダ>
このように、旧来のロータリー式インターフォルダX5では、生産性が低く、上述の薬液塗布タイプの製品の需要拡大を満たすのが困難となってきている。
【0021】
その一方、近年、折り品質に優れるといったロータリー式インターフォルダ特有の効果はそのままに、高速化が期待されるロータリー式インターフォルダが開発されている。ここでは、このロータリー式インターフォルダを改良ロータリー式インターフォルダと称する。この改良ロータリー式インターフォルダX6は、例えば、米国特許 US 7,452,321 B2に開示される。
【0022】
かかる改良ロータリー式インターフォルダは、図31に示すように、先に図30に示した旧来のロータリー式インターフォルダと比較し、ロール数が多くシートランの長い複雑な構造をしている。
【0023】
図30に示す旧来のロータリー式インターフォルダX5はフォールディングロール571,571上でバキューム孔579,579を介して吸引しながらカットし、直後にフォールディングバー573,573にて折り畳むものであり、コンパクトであるという利点がある。しかし、加工速度が上がってくると、連続シートの張力は増し、ロール周辺でシートの受ける空気抵抗は増加する。バキューム孔579がシートの前端部分、後端部分、それらの中間部分に一つしかないうえに、ロールを貫通する一つの貫通孔に対しシート中央部と後端部、及び後続するシートの前端部の各バキューム孔に吸引機能を与えるように構成されているため、例えば、バキューム能力を増強し、ブレード572,572の材質を換えてカット適性を維持したとしても、カット後に張力から開放されたシートが流れ方向寸法の縮みを生じるため、シート先端部を掴む部分のタイミングがずれて折り不良が発生しやすくなる。従って、高速化が難しい。
【0024】
これに対し、図31に示す改良ロータリー式インターフォルダX6は、シートのカットとシートの折り畳みの工程が分離されている。この分離によって、カットされたシートの縮みは瞬間的に安定しロール表面上に保持されるため、これに続く折り畳みでのシート端部の掴みのずれを防止することができ、安定した折り畳み加工を可能としている。
【0025】
また、改良ロータリー式インターフォルダX6は、シートを運ぶすべてのロールがシートを介して接しており、シートをフリーな状態にすることなく、ロール上でシートのリード端部を爪で掴んだまま、もしくはシートをバキュームによりロール表面に保持したまま、各機能を持ったロールからロールへと受け渡し、最後にフォールディングロールにより連続的に折り畳み製品とすることである。
【0026】
これによりシートをフォールディングロール上の折り畳みのための正しい位置に調整し載置することができ、シートの折り畳みがずれることがなく、高速に運転しつつも製品でのシートの揃いをきれいにすることができる。
【0027】
また、製品仕様をZ折りのポップアップ式にする場合には、片側のみからシートを供給させ、ラップロール681,681と、これに対して減速させたフォールディングロール682,682そしてやや小さなテールロール683,683を利用して、ラップロール681とテールロール683との間でたるみ部(バブルとも称される)680とも称する、いわれるシートの膨れた形状を形成し、これを利用してフォールディングロール682上においてシートの一部分を重ね合わせつつ移行させ、最終的にそのシートが一部重ねられた状態のシート群を折り畳んで製品化することも可能となっている。
【0028】
このように改良ロータリー式インターフォルダX6では、シートの保持性が高められており、薬液塗布タイプのティシュペーパーの高速な製造が期待される。従って、かかる改良ロータリー式インターフォルダX6などの技術と合わせて薬液塗布タイプの製品を製造することが望まれる。しかしである。この改良されたロータリー式インターフォルダX6にて薬液塗布タイプの製品、特に水系薬液を用いて製造するには高速化の他、以下の問題点がある。
【0029】
<改良ロータリー式インターフォルダにおける問題点(課題)>
まず、水系薬液をティシュペーパー製品の原料シートであるクレープ紙に塗布すると、塗布直後から時間とともにシート内部に浸透していく。そして、十分な浸透によってシートからの紙粉の離脱が抑制されるとともに、ロール表面に薬液が付着しないため紙粉は堆積しない。このため、薬液塗布後に十分な浸透時間を取ることができる旧来の比較的低速なロータリー式インターフォルダを運転する場合、紙粉堆積の問題は小さい。
【0030】
しかし、加工速度が速くなるとそれだけシートにかかるテンションが強くなり、さらに薬液の浸透時間が短くなるためMD方向に沿ったスリットやCD方向のカットにおいて離脱する紙粉の発生が顕著になる。紙粉の一部はシートに付着したままロールからロールへ移動し、また一部は空中に飛散し、その一部は設備表面に付着する。
【0031】
粘性の高い油系ローション薬液の場合は、高速で加工する場合であっても、シート表面を薬液が覆うため紙粉は油系ローション薬液に粘着しシートから脱離しない。しかし水系薬液を塗布する場合には、シートのスリットやカットにより発生した紙粉は、水系薬液の粘性が低いためにシートから離脱する。
【0032】
さらに、ロータリー式インターフォルダを高速にした場合、薬液塗布後に十分な浸透時間を取ることが困難なために、シートへの薬液の浸透が十分でなくシート表面に部分的に薬液が残り、ロール表面にシート表面の薬液が転移し付着する。このためロール表面に付着した薬液の部分に紙粉が付着し堆積する。すなわち、紙面に薬液が残った部分が存在したまま、多くのロール間をバキューム或いは把持されつつ高速に受け渡されるために、二次連続シートから持ち込んだ、あるいはスリット、カットにより発生した紙粉が各ロールの薬液が付着した部分に付着し堆積することになる。
【0033】
そして、特に、改良ロータリー式インターフォルダX6のように、複雑なロール構成であるとともに、各ロール間の回転速度や、ロールからロールへの受け渡しのタイミングがシビアであると、紙粉堆積は、その操業性に大きな影響を与える。また紙粉が堆積した場合ロール表面からはがれ落ち、製品に入り込むこともある。もっとも顕著に紙粉の付着、堆積するのはカットシートが折り畳まれるフォールディングロールの表面である。
【0034】
このように、ロータリー式インターフォルダを高速化すると、水系薬液塗布との関係によって問題が生ずる。特に、高速化が期待される改良ロータリー式インターフォルダX6においては、その問題が顕著となる。
【0035】
ここで、上記問題を回避する方法として、ロータリー式インターフォルダの前段設備のプライマシンやプリンタ設備において、水系薬液量を塗布した原反ロールを用意し、これを高速ロータリー式インターフォルダで加工することである。しかし、この方法には大きく三つの欠点がある。
【0036】
この方法の第一の欠点は、必要量の水系薬液を塗布した原反ロールは、力に対して変形しやすく、また側面からの力に対しシートがずれやすくなるため、設備間の移動や倉庫からの出し入れの際に、原反ロールを搬送するクランプリフトのロール把持力によって変形してしまうことである。原反ロールが変形するとロータリー式インターフォルダにて加工する際にシートの張力が不安定になり、しわ入りや最悪断紙につながる。また、シートが左右にずれるとスリット位置がずれ、製品歩留の低下となる。
【0037】
また、この方法の第二の欠点は、原反ロールの状態で最低でも4〜8時間の保管或いはシーズニングを行なうため、その時間で吸湿が起き、クレープが伸ばされシートの紙厚が低くなり厚み感が失われる。すなわち、品質が損なわれる可能性が高いため、実際の操業上では難しい。
【0038】
そしてこの方法の第三の欠点は、高速ロータリー式インターフォルダの持つ長所である操業時間当たりの生産数量が高いということに起因するもので、原反替えや加工機調整等で加工機を止めている時間が従来と同じであれば、その分の生産できたはずの生産量つまり減産量が大きくなり、加えて加工歩留や薬液歩留の低下をもたらし、高速ロータリー式インターフォルダの長所を十分に活かしきれないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】特開2004−322034号公報
【特許文献2】特表2008−525103号公報
【特許文献3】特開2008−264564号公報
【特許文献4】米国特許4052048号公報(特公昭55−1215号公報)
【特許文献5】特開2006−240750号公報
【特許文献6】特開昭61−37668号公報
【特許文献7】特開平5−124770号公報
【特許文献8】特開2008−245780号公報
【特許文献9】特開2008−183411号公報
【特許文献10】米国特許US 7452321B2
【特許文献11】特開2003−325372号公報
【特許文献12】特開2007−260161
【特許文献13】特開2004−281151
【特許文献14】特開2007−6395
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
そこで、本発明の課題は、高速ロータリー式インターフォルダの加工能力を最大限に生かしつつ、かつ薬液塗布タイプのティシュペーパーを製造する際の問題を解決し、ティシュペーパー製品を効率よく高い生産性で製造する方法、さらに薬液塗布した後工程でのロールへの薬液付着、紙粉付着を抑制し、ティシュペーパー製品への紙粉混入を防止する技術を提供することである。また、大幅な設備改造を要することなく、既設備の小改良で足り、生産性に極めて優れた製造方法を提供する。
【0041】
さらに、合わせて、本発明に特に好適な高速に運転可能なロータリー式インターフォルダの構成についても提供する。
【課題を解決するための手段】
【0042】
上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
連続シートからティシュペーパー束を形成するティシュペーパー束形成工程を有するティシュペーパー製品の製造方法であって、
一次原反ロールから巻きだした坪量10〜25g/m2のクレープ紙からなる一次連続シートを積層し、
その積層された積層連続シートに対して水系薬液を塗布し、
その薬液を塗布した積層連続シートをロールに加工することなく連続シートのまま連続的にロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部に供給し、
その折り畳み機構部にて、前記積層連続シートを幅方向に裁断し、その裁断したシートを折り畳み、ティシュペーパー束とする、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【0043】
〔請求項2記載の発明〕
積層連続シートに対する水系薬液の塗布量を1.5〜5.0g/m2とする請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【0044】
〔請求項3記載の発明〕
積層連続シートに対して水系薬液をフレキソ印制方式で塗布する請求項1又は2記載のティシュペーパーの製造方法。
【0045】
〔請求項4記載の発明〕
積層連続シートに対して水系薬液を非接触式薬液塗布方式で塗布する請求項1又は2記載のティシュペーパーの製造方法。
【0046】
〔請求項5記載の発明〕
前記水系薬液を、ポリオールを主成分とし、水を1〜15質量%含むものとする請求項1〜4記載の何れか1項に記載のティシュペーパーの製造方法。
【0047】
〔請求項6記載の発明〕
前記水系薬液の塗布からから折り畳み完了までの間を1.0〜4.0秒とする請求項1〜5の何れか1項に記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【発明の効果】
【0048】
本発明は、一次原反ロールから巻きだした一次連続シートを積層加工して連続的に積層連続シートを形成し、さらにその積層連続シートに連続的に水系薬液を塗布し、さらにその薬液が塗布された積層連続シートを連続的に、ロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部にて、一次連続シートのCD方向が折り返し縁となるようにして折り畳みを行なう。
【0049】
本発明においては、一次原反ロールから巻きだした連続シートを一度の巻き取り工程を経ることなく、ティシュペーパー束に加工する。従って、薬液塗布された原反ロールを載置、保管するという工程がなく、薬液が塗布された原反ロールの移動、吸湿による変形等による操業上の問題が発生しない。
【0050】
そして、二次原反ロールの芯際、加工始動時の時間的な生産ロスを無くすことができ、加工ロス、薬液ロスを低減することが可能である。この製造方法には、オンラインの薬液測定装置をつけ塗布開始時のロスを更に低減することも可能である。また、プライマシン側にかける一次原反ロールを必要数の倍数用意しオートスプライス装置を取り付け、連続運転させることも可能である。これらの設備設置により加工ロスをより低減できる。
【0051】
また、本発明では加工速度を150m/分以上とするので、生産性の問題も改善される。
【0052】
さらに、折り畳みをロータリー式インターフォルダと同様の方式で行なうので折り品質がよいものとなる。
【0053】
ここで、本発明では特に、積層連続シートに対する水系薬液の塗布量を1.5〜5.0g/m2とすると、高速での折り畳み機構部の運転を可能とし、しかも製品としては薬液による柔らかさ、表面の滑らかさが十分な高品質な製品を得ることができる。すなわち、操業上の問題なく、高い生産性と高品質とを両立しやすい。
【0054】
さらに、前記水系薬液の塗布からから折り畳み完了までの間を1.0〜4.0秒とすると、折り畳み機構部を構成するロール群に積層連続シートが接するまでに、積層連続シート内に水系薬液が紙粉発生を抑えるために十分に浸透し、折り畳み機構部を構成するロール群に紙粉が付着・堆積することがない。ただし4.0秒を超えると水系薬品の浸透によりシートの剛性がなくなり、シートの折り不良となる。
【0055】
他方、本発明では、薬液塗布のために、プライマシンやインターフォルダとは別に大きな塗布設備のためのスペースを必要としないという利点もある。
【0056】
本発明では二次原反ロールの保管をしないため、加工ロス、薬液ロスを低減することができ、また紙厚や嵩、厚み感を失うことがない。そして、そのためには塗布時に連続積層シートの表裏、そして全幅に亘り均一な塗布が必要となることから、二次積層シートの両外面に対して等量の、かつ平面的に均一な塗布量が可能となるフレキソ転写方式による塗布方式、もしくは非接触方式のローターダンプニング方式やインクジェット方式による塗布方式が採用される。
【0057】
薬液塗布をフレキソ印刷方式とすれば、加工速度150m/分以上の高速運転を行なっても、均一な薬液塗布を確実に行うことができる。
【0058】
また、薬液塗布を非接触式塗布方式とすれば、加工速度150m/分以上の運転においても、両外面への薬液塗布量を調整し表裏差のない均質なシート品質を得られるという利点がある。さらに非接触式塗布であるためさらに紙厚を維持し易いという品質上の長所がある。
【0059】
なお、本発明における薬液とは保湿剤、柔軟剤などのティシュペーパーに柔軟性、柔らかさ、表面の滑らかさを塗布する薬液を意味し、単なる香料のみは含まない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明にかかるティシュペーパー製品の斜視図である。
【図2】本発明にかかるティシュペーパー製品の使用状態の斜視図である。
【図3】そのIII- III断面図である。
【図4】本発明にかかる一次原反ロールの製造設備及び製造方法を示す概略図である。
【図5】本発明にかかるティシュペーパー束の製造設備例及び製造方法を示す概略図である。
【図6】本発明にかかるプライ加工部例を示す概略図である。
【図7】本発明にかかる折り畳み加工部例を示す概略図である。
【図8】本発明にかかる薬液塗布をフレキソ印刷方式とした形態の説明図である。
【図9】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図10】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図11】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図12】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図13】本発明にかかるチャンバー方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図14】本発明にかかる2ロール転写方式のフレキソ印刷の説明図である。
【図15】本発明にかかる二流体噴霧方式のスプレー塗布装置のノズルユニット例を示す図である。
【図16】本発明にかかるスプレー塗布装置のノズルユニット例を示す図である。
【図17】本発明にかかるローターダンプニング方式のスプレー塗布装置例を示す図である。
【図18】そのノズルユニット例を示す図である。
【図19】本発明にかかるインクジェット印刷機の要部拡大図である。
【図20】インクジェット印刷機のインクジェットヘッドを示す図である。
【図21】本発明にかかる折り畳み機構部例1を示す図である。
【図22】本発明にかかる折り畳み機構部例1を示す他の図である。
【図23】本発明にかかる折り畳み機構部例2を示す図である。
【図24】本発明にかかる折り畳み機構部例3を示す図である。
【図25】本発明にかかる折り畳み機構部例4を示す図である。
【図26】本発明にかかる折り畳み機構部例4を示す他の図である。
【図27】本発明にかかる折り畳み機構部例5を示す図である。
【図28】本発明にかかる折り畳み機構部例5の他の例を示す図である。
【図29】収納工程の説明図である。
【図30】旧来ロータリー式インターフォルダの説明図である。
【図31】改良ロータリー式インターフォルダの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳説する。
『ティシュペーパー製品』
図1〜3に、本発明にかかるティシュペーパー製品X1を例示する。本発明にかかるティシュペーパー製品X1は、複数枚のティシュペーパー1が、折り畳まれ重層されてなるティシュペーパーの束10が、上面2Uに取出口又は取出口形成部21が形成された収納箱2に収納され、使用時に当該取出口からティシュペーパー1の一組を取り出すと、隣接して積層されている下層の一組の一部が取出口から露出されるように構成されたものである。ここでいう一組とは、ティシュペーパーのカットシート単位をいい、単層もしくは複層のクレープ紙からなる。
【0062】
[収納箱]
ティシュペーパー1の束10が収納される収納箱2は、カートン箱とも呼ばれる直六面体形状の箱体である。この収納箱2は、製品外観をなすものであり、ティシュペーパー製品X1を示す図1及び図2にも示されているとおり、上面20Uに取出口形成部21である環状のミシン目線21を有する紙箱20と、前記ミシン目線21により囲まれる範囲21aを紙箱内側から覆う樹脂製フィルム22とを有する。
【0063】
紙箱20は、収納箱の外郭をなす紙製の箱体であり、その大きさ、形状、展開形状等は既知の収納箱の紙箱の構成が採用される。
その形状としては、図示例の一対の平行な長手縁20L,20Lとこれらよりも短い一対の平行な短手縁20S,20Sとで構成される長方形の上面2Uを有する直六面体形状が例示でき、その構造としては、上面2U、底面(図示されず)及びこれらを連接する側面2Sと、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uとを有し、前記側面端面片23Sを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片23Uと底面側端面片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着剤等により接着して構成される構造が例示できる。
【0064】
収納箱2の大きさは、ティシュペーパー1の束10より若干大きく、概ね束10の外形よりも1〜20mm程度大きい内形とされる。一般的な収納箱2の大きさを例示すると、概ね長手縁が110〜320mm、短手縁が70〜200mm、高さが40〜150mm程度である。少なくとも本発明においてもこの大きさの収納箱1が採用できる。
【0065】
紙箱20の素材としては、例えば、バージンパルプ、古紙パルプ等の各種のパルプを主原料とする既知の紙素材が採用できる。好適には、紙箱の素材は、坪量250〜500g/m2、好適には350〜400g/m2のコートボール紙である。
【0066】
なお、紙箱は、図示はしないが、花柄、螺旋模様、波模様、ドット模様、亀甲模様、星模様、十字模様、幾何学模様など適宜の文字・図形・絵・記号の単体又はこれらの組み合わせにより構成される適宜の模様を採用することができる。紙箱外面に対する模様の付与は、グラビア印刷等の既知の印刷方法により行うことができる。
【0067】
他方、紙箱20の上面2Uに形成されるミシン目線21は環状をなし、既知の方法及びカットタイ比で形成され、これにより囲まれる範囲の具体的形状については必ずしも限定されない。ただし、収納箱2においては、図示例の如く、紙箱上面の長手方向に沿う方向を長辺とする略楕円形状又は矩形が代表的であり、取出し性、利便性が高いことから、本発明においても多くの既存の製造ラインで製造可能なこの形状が好適である。
【0068】
他方、前記樹脂製フィルム22は、前記ミシン目線により囲まれる範囲のサイズより大きく、例えば、矩形や楕円形であり、紙箱上面の内面側において、特に環状ミシン目線21の切り剥がしに影響がないように、環状ミシン目線21の外側で接着されている。この樹脂性フィルム22の好適な素材は、ポリエチレンフィルムであるが、ポリプロピレン、ポリエステルなども例示できる。
【0069】
樹脂製フィルム22の厚みは、10〜200μmが適する。10μm未満では、強度的に不足し、ティシュペーパー1の取り出し時において裂けあるいは破断の確率が高くなる。逆に、200μmを超えると、強度の問題はないものの、取り出し難くなり、またコスト高となる。
【0070】
他方、この樹脂製フィルム22には、スリット24が形成されており、このスリット24はミシン目線21により囲まれる範囲に位置されている。
【0071】
従って、図1及び2に示されるとおり、前記環状ミシン目線に沿ってそのミシン目線21により囲まれる範囲21aを切り剥がすことにより、紙箱上面2Uに取り出口が形成されるとともに、前記樹脂製フィルム22及びそれに形成されたスリット24が取出口25を介して露出される。なお、前記スリット24の長さは、適宜の長さとすることができ、既知の環状ミシン目線21との大きさの関係で適するとされる長さが採用できる。
【0072】
収納箱2に束として収納されているティシュペーパー1は、前記スリット24を介して取出口25から一枚ずつ取り出される。そして、当該スリット24によって、取出口25から露出されるティシュペーパーの一部が支持されてカートン箱内部に落ち込むことが防止されるようになっている。
【0073】
[ティシュペーパー束の基本構成]
本発明のティシュペーパー1の束10は、ティシュペーパー1が折り畳まれ、積層されてなるものである。より具体的な例は、図3からも理解されるように、方形のティシュペーパー1が実質的に二つ折りされ、その折り返し片の縁1eが上下に隣接するティシュペーパーの折り返し内面に位置するようにして、互い違いに重なり合いつつ積層されている。なお、ここで実質的にとは、製造上の形成される縁部の若干の折り返しを許容する意味である。
【0074】
本積層構造のティシュペーパー1の束10は、最上位に位置する一枚の折り返し片を上方に引き上げると、その直下で隣接する他の一枚の折り返し片が、摩擦により上方に引きずられて持ち上げられる。そして、かかる構造のティシュペーパー1の束10は、その最上面が上述の上面2Uに取出口25等を有する収納箱2の当該上面に向かいあって収納され、前記取出口25、特にスリット24から最初の一組(最上面に位置する一組)が引き出されたときに、その直近下方に位置する他の一組の一部が露出される。なお、本発明のおけるティシュペーパー1の積層枚数が限定されないが、この種の製品の一般的な積層枚数を例示すれば、120〜240組である。
【0075】
『ティシュペーパー製品の製造方法』
次に、上記ティシュペーパー製品X1の本発明にかかる特徴的な製造方法について説明する。
[抄紙工程〔一次原反ロールの製造方法及び製造設備〕]
本発明にかかる連続シートの製造方法について説明する。
まず、図4に示す抄紙設備例X2により、一次原反ロールJR(ジャンボロールとも称される)を以下のようにして製造する。
【0076】
ヘッドボックス31からパルプスラリーに適宜の薬品を添加して予め調整した紙料をワイヤーパート32のワイヤ32w上に供給して湿紙Wを形成し(フォーミング工程)、次にこの湿紙Wをプレスパート33のフェルト34に移送したにのち対をなす脱水ロール34,35によって挟持して脱水する(脱水工程)。
【0077】
次いで、脱水された湿紙をヤンキードライヤー36の表面に付着させて乾燥させた後にドクターブレード37によって掻き剥がしてクレープを有する乾燥原紙S1(後述の一次連続シートに相当)とする(乾燥工程)。
【0078】
そして、この乾燥原紙S1をワインディングドラム39を有する巻取り手段38によって、前記乾燥原紙S1の裏面が一次原反ロールJRの軸側に対向するようして(巻き取り内面となるようにして)巻き取り、一次原反ロールJRとする(一次原反巻取り工程)。
【0079】
この一次原反ロールJRは、抄紙設備X2の性能によっても相違するが、概ね直径が1000〜5000mm、長さ(幅)が1500〜9200mm、巻き長さが5000〜80000mである。
【0080】
なお、一次原反巻き取り工程の前段にドクターブレード37により掻き剥がした乾燥原紙S1に対してカレンダー工程(図示せず)を設け表裏面の平滑化処理をしてもよい。
【0081】
ここで、乾燥原紙S1の裏面とは、ヤンキードライヤー36のシリンダと接していた面の反対側の面のことを意味する。なお、カレンダー工程の有無にもよるが一般には鏡面のヤンキードライヤーに接していた表面のほうが滑らかで表面性に優れる。
【0082】
ここで、一次原反ロールJRを構成する一次連続シートS1は、後にティシュペーパー1に加工されるものであり、最終製品を構成するティシュペーパー1の薬液塗布前の原紙坪量と同等の坪量(後に積層する場合には1/積層数の坪量)となる。従って、これを考慮して一次原反シートS1は具体的にはJIS P 8124による坪量が、10〜25g/m2、好ましくは12〜20g/m2、より好ましくは13〜16g/m2とする。坪量が10g/m2未満であると、ティシュペーパー1の柔らかさの点においては好ましいが、適正な強度を確保することができなくなる。他方、坪量が25g/m2を超えると、ティシュペーパー1が硬くなりすぎて、肌触りが悪化する。また、紙厚(尾崎製作所製ピーコックにより測定)は80〜250μm、好ましくは100〜200μm、より好ましくは130〜180μmとするのが望ましい。
【0083】
紙厚の測定方法としては、JIS P 8111(1998)の条件下で、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて測定するものとする。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。プランジャーの端子は金属製で直径10mmの平面が紙平面に対し垂直に当たるようにし、この紙厚測定時の荷重は、約70gfである。なお、紙厚は測定を10回行って得られる平均値とする。
【0084】
また、一次連続シートS1は、クレープ率が10〜30%、好ましくは12〜25%、より好ましくは13〜20%である。クレープ率は次のように定義する。
クレープ率:((製紙時のドライヤーの周速)−(リール周速))/(製紙時のドライヤーの周速)×100。
【0085】
クレープ率が10%未満であると、後段の加工時に断紙しやすいとともに伸びの少ないコシのないティシュペーパー1となる。他方、クレープ率が30%超過であると、加工時のシートの張力コントロールが難しく断紙しやすくなり、また、製造後にはシワが発生して見栄えの悪いティシュペーパー1となりやすくなる。 すなわち本発明のロータリー式インターフォルダにおける折り畳みを困難ならしめる。
【0086】
また、一次連続シートS1は、JIS P 8113に規定される乾燥引張強度(以下、乾燥紙力ともいう)の縦方向が、2プライで200〜700cN/25mm、好ましくは250〜600cN/25mm、特に好ましくは300〜600cN/25mmとされ、他方、横方向が、2プライで100〜300cN/25mm、好ましくは130〜270cN/25mm、特に好ましくは150〜250cN/25mmとされる。原紙の乾燥引張強度が低すぎると、製造時及び使用時の断紙や伸び等のトラブルが発生し易くなり、高過ぎると使用時にごわごわした肌触りとなる。
【0087】
これらの紙力は公知の方法により調整でき、例えば、乾燥紙力増強剤を紙料或いは湿紙に内添する、紙料のフリーネスを低下(例えば30〜40ml程度低下)させる、原料パルプのNBKP配合率を増加(例えば50%以上に)する等の既知の手法を適宜組み合わせることができる。
【0088】
なお、乾燥紙力剤としては、澱粉、ポリアクリルアミド、CMC(カルボキシメチルセルロース)若しくはその塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース亜鉛等を用いることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性付与PAM等を用いることができる。
【0089】
湿潤紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で5〜20kg/t程度とすることができる。また、乾燥紙力剤を内添する場合、その添加量はパルプスラリーに対する重量比で0.5〜1.0kg/t程度とすることができる。
【0090】
(紙料)
ここで、一次原反ロール(一次連続シート)の原料となる紙料について説明すると、紙料は繊維原料としてパルプを主原料とするスラリー(パルプスラリー)に適宜の薬品を添加したものである。
【0091】
本発明においては、原料パルプは特に限定されず、この種のティシュペーパーに用いられる適宜の原料パルプを選択して使用することができる。具体例としては、木材パルプ、非木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどから、より具体的には、砕木パルプ(GP)、ストーングランドウッドパルプ(SGP)、リファイナーグランドウッドパルプ(RGP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ブリーチドケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ(MP)、化学的機械パルプ(CGP)、半化学的パルプ(SCP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)等のクラフトパルプ(KP)、ソーダパルプ(AP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)等の化学的パルプ(CP)、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)等を原料とする合成パルプ、脱墨パルプ(DIP)、ウエストパルプ(WP)等の古紙パルプ、かすパルプ(TP)、木綿、アマ、麻、黄麻、マニラ麻、ラミー等を原料とするぼろパルプ、わらパルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、ケナフパルプ等の茎稈パルプ、靭皮パルプ等の補助パルプなどから、一種又は数種を適宜選択して使用することができる。
【0092】
なかでも原料パルプは、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。水系薬液との相性がよく、塗布後に折り畳む本発明の製造方法において望ましく、また得られるティシュペーパーの風合いの点でも望ましいことから、バージンパルプのNBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合の配合割合(JIS P 8120)としては、NBKP:LBKP=20:80〜80:20がよく、特に、NBKP:LBKP=30:70〜60:40が望ましい。また、適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、その配合量はティシューが硬くならない程度に抑えておく必要がある。
【0093】
紙料に添加する薬品例としては、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、柔軟剤、剥離剤、接着剤、苛性ソーダ等のpH調整剤、粘剤、消泡剤、防腐剤、スライムコントロール剤、染料、などが挙げられる、なお、これらの薬品は、適宜の工程で湿紙に付与してもよい。
【0094】
[プライ工程から折り畳み工程までの概要(ティシュペーパー束の製造設備の概要)]
【0095】
抄紙設備X2で製造された一次原反ロールJRは、図5に示す本発明にかかるティシュペーパー束の製造設備Xにおいてティシュペーパー束とされる。
【0096】
この本発明にかかるティシュペーパー束の製造設備Xは、特徴的に、プライ加工部X3,X3と折り畳み加工部X4と薬液塗布部81,81とを有する。
【0097】
前記プライ加工部X3,X3は、一次原反ロールJRから繰り出した単層のクレープ紙からなる一次連続シートS1を積層連続シートS2に加工するプライ加工を行なう。
【0098】
他方、折り畳み加工部X4は、ロータリー式インターフォルダの原反ロール支持部を廃し、上記プライ加工部にて形成された積層連続シートS2を連続的に受け入れられるように構成したものであり、ロータリー式インターフォルダの折り畳み機構部と同様の構成の折り畳み機構部85を有する。なお、本発明、本明細書においてはこの折り畳み機構部85をロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部85と称し、その折り畳み機構をロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構と称することがある。
【0099】
但し、本発明は、ロータリー式インターフォルダの高品質な折り畳み品質を有しつつ高い生産性を達成することを課題の一つとしていることから、本発明にかかる折り畳み加工部は、この課題を解決可能な150m/分以上の加工速度が可能な折り畳み加工部X4に限定される。かかる折り畳み加工部X4を構成可能な折り畳み機構部例については後述する。
【0100】
薬液塗布部81は、プライ加工部X3の、複数の一次連続シートS1,S1の重ね合わせを行なう重ね合わせ部51の後段に位置され、積層連続シートS2に薬液を塗布する。
【0101】
ここで、図5においては説明の便宜上、プライ加工部X3と折り畳み加工部X4との領域を分けて図示しているが、本発明にかかるティシュペーパーの製造設備例Xでは、積層連続シートS2の形成後、その連続積層シートS2が連続的に折り畳まれるため、実際にはプライ加工部X3と折り畳み加工部X4との明確な境界はなく、その境界は特に限定されない。少なくとも一次連続シートS1の積層が行なわれる重ね合わせ部は本発明にいうプライ加工部に属し、折り畳みを行なう折り畳み機構部は本発明の折り畳み加工部に属するのであり、その間に境界がある。従って、薬液塗布部81は、図5におけるプライ加工部X3側ではなく、図5における折り畳み加工部X4側にあってもよい。
【0102】
また、図5に示すティシュペーパー束の製造設備例は、4本の一次原反ロールからシートが供給され、二つのプライ加工部と一つの折り畳み機構部、さらにプライ加工部のそれぞれに薬液塗布部を有する構成となっているがこれに限定されない。例えば、2本の一次原反ロールからシートが供給され、これらを中央でスリットして4つの連続シートとなし、さらにプライ加工により2つの積層シートとして折り畳み機構部へ供給してもよい。あるいは、一つの積層連続シートからティシュペーパー束を形成可能な折り畳み機構部であれば、プライ加工部は一つとすることができる。この場合、薬液塗布部も一つとすることができる。
【0103】
本発明でいうプライ加工から折り畳みまでの各工程の加工速度は、一次原反の繰り出しからロータリー式インターフォルダでの折り畳みまでほぼ同速で行われる。したがって本発明の上限加工速度はロータリー式インターフォルダの加工速度と同じ300m/分となる。
【0104】
(プライ加工部)
次いで、プライ加工部X3について特に図5及び図6を参照しながら説明する。図示例のプライ加工部X3(ティシュペーパー束の製造設備X)は、一次原反ロールJRを2つ以上セット可能であり、各一次原反ロールJR,JRから繰り出した一次連続シート(図示例ではS11、S12)は、その連続方向に沿って積層して積層連続シートとする重ね合わせ部(積層手段)51に供給されるように構成されている。ここで重ね合わせ部51は一対のニップロールで構成され、各一次連続シートS11,S12を積層するとともにニップして各一次連続シートを積層一体化ならしめる。
【0105】
なお、図示例では、各一次原反ロールJR,JRから繰り出される一次連続シートS11,S12の表面が、それぞれ積層連続シートS2の表面(ここで積層連続シートの「表面」とは積層外面である表裏面のことである)となるようして重ね合わせ部51に供給されるようになっている。一次連続シートS11,S12の裏面がそれぞれ積層連続シートS2の表面となるよう構成してもよいし、一次連続シートS11,S12のどちらか一方の裏面が積層連続シートS2の表面となり、他方の表面が積層連続シートS2の表面となるようしてもよいが、一次原反シートS11,S12の表面は、乾燥時にヤンキードライヤーの表面に接していることから裏面と比較して毛羽立ちが少なく滑らかで肌触りが良いので、一次連続シート(乾燥原紙S1)の表面が積層連続シートS2の表裏面を構成するようにするのが望ましい。
【0106】
また、本実施例では一次原反ロールJRを2つセットしていわゆる2プライの積層連続シートを巻取る例であるが、3セット、4セットとして3プライ、4プライの積層連続シートとすることも可能である。
【0107】
また、図示例のプライ加工部(ティシュペーパー束の製造設備例)では、一次原反ロールを複数セットして、各一次原反ロールから巻き出された一次連続シートを積層するように構成しているが、例えば、一つの一次原反ロールから巻きだした一次連続シートをその連続方向にスリットして、複数のスリットされた一次連続シートを形成し、そのスリットされた一次連続シートの一つを別のスリットされた一次連続シートに重ね合わせるようにして積層連続シートを形成してもよい。すなわち、一つの一次原反ロールから巻きだした一次連続シートから積層連続シートを形成するように構成してもよい。
【0108】
他方、図示の本形態のティシュペーパー束の製造設備では各プライ加工部X3,X3の重ね合わせ部51の後段にそれぞれ薬液塗手段81を有し、この薬液塗布手段81にて、積層連続シートS2に対して連続的に薬液を塗布する。
【0109】
この薬液塗布手段81においては、好ましく積層連続シートS2の表裏両面に薬液を塗布するのが望ましいが、一方面のみであってもよい。
【0110】
薬液塗布手段81にて薬液が塗布された積層連続シートS2は、本発明においてはロールに巻取られることなく、後段の折り畳み加工部X4へ連続的に供給される。
【0111】
なお、上述のとおり薬液塗布部81はこの位置に限定されない。
【0112】
(カレンダー加工)
他方、プライ加工部X3においては、重ね合わせ部51から折り畳み機構部85までの間にカレンダー部52を一つ以上設けて積層連続シートS2をカレンダー加工することができる。カレンダー部52は薬液塗布手段81の前段に設けても後段に設けてもよい。また、薬液塗布手段81の前段及び後段の双方に設けてもよい。図示例では、双方に設けている。なお、図示例のプライ加工部では、前段のカレンダー部から後段のカレンダー部へシート搬送路を構成することで薬液塗布手段81をバイパスすることができるように構成されている。このようにすると、薬液塗布タイプの製品以外の製品を製造する場合にも本発明にかかるティシュペーパー束の製造設備を利用することができる。すなわち、汎用タイプの製品用のティシュペーパー束の製造と薬液塗布タイプ用のティシュペーパー束の製造を上記シート搬送路の切り替えより容易に達成できる。
【0113】
カレンダー部52におけるカレンダーの種別は、特に限定されないが、表面の平滑性向上と紙厚の調整の理由からソフトカレンダー又はチルドカレンダーとすることが好ましい。ソフトカレンダーとは、ウレタンゴム等の弾性材を被覆したロールを用いたカレンダーであり、チルドカレンダーとは金属ロールからなるカレンダーのことである。
【0114】
カレンダー部52の数は、適宜変更することができる。複数設置すれば加工速度が速くとも十分に平滑化できるという利点を有する一方、一つであるとスペースが狭くとも設置可能であるという利点を有する。
【0115】
二つ以上のカレンダー部を設置する場合、水平方向、上下方向、或いは斜め方向に並設することができ、また、これらの設置方向を組み合わせて配置することができる。水平方向に並設すると、抱き角度を小さくなるため加工速度が高速とすることができ、上下方向に並設すると設置スペースを小さくすることができる。なお、ここで言う抱き角度とはロールの軸中心から見てシートが接している間(軸と直行する断面の円弧の一部)の角度を意味する(以下同じ)。
【0116】
カレンダー加工におけるカレンダー種別、ニップ線圧、ニップ数なども制御要因として抄紙を行うようにし、これらの制御要因は、求めるティシュペーパーの品質すなわち紙厚や表面性によって適宜変更することが好ましい。
【0117】
(折り畳み加工部)
次いで、折り畳み加工部X4について特に図5及び図7を参照しながら説明する。本形態では上記プライ加工部X3の薬液塗布部81にて薬液が塗布された積層連続シートS2は、連続的に折り畳み加工部X4に供給され、この折り畳み加工部X4における折り畳み機構部85へ導かれ、そこで積層連続シートが適宜の間隔で幅方向に裁断され、その裁断されたシートが折り畳まれてティシュペーパー束が形成される。
【0118】
なお、図7に示す本発明にかかる折り畳み加工部X4には、折り畳み機構部85の前段に好ましくトリム手段86を有し、このトリム手段86にて積層連続シートS2の両側縁部をカット除去し積層連続シートS2の幅を適当幅に調整している。
【0119】
このトリム手段86は、トリムスリッター87とその前段にエキスパンダーロール或いは幅方向中央から両側縁部に向かって湾曲的に又は非湾曲的に下り傾斜するロールからなる皺取りロール88を具備する。
【0120】
このようにトリム手段86を設ける場合には、薬液塗布手段81との関係をいえば、薬液塗布手段81は、このトリム手段86よりも前段に位置させるのが望ましい。薬液塗布手段81の後段で積層連続シートS2の両側縁部をトリムすることで、水分が低くなりやすく、しわや傷入りの発生しやすい積層連続シートS2の端部をカットすることで折り畳み加工が安定するという効果を奏する。
【0121】
ここで、本発明にいう高速とは、少なくとも150m/分以上の速度で連続シートが搬送されることを意味する。ティシュペーパーの生産性と本発明の効果との関係で定めれば、より好ましくは250m/分以上、もっとも好ましくは280m/分以上である。150m/分以上とすることで旧来の低速なロータリー式インターフォルダと比較して生産性の面でのアドバンテージがある。但し、300m/分を超えると薬液塗布されたシートを安定して折り畳むことが難しくなる。
【0122】
ここで、加工速度を150m/分以上とした場合には、上述の二次薬液塗布工程82から、フォールディングロールによる折り畳み完了までは、1.0〜4.0秒間とするのが望ましい。この秒数であれば一次薬液塗布の効果によって紙粉発生が確実に防止される。1.0秒未満であれば紙粉発生を抑える効果が十分でなく、4.0秒超であればシートの剛性が失われ逆に折り不良を発生させる。
【0123】
(コンタクトエンボス)
本発明のティシュペーパー製品X1の製造方法においては、シート(プライ)の剥離をし難くするコンタクトエンボス加工を施すことができる。
【0124】
このコンタクトエンボスは、プライ加工部X3、折り畳み加工部X4のいずれかの適宜の位置、好ましくは折り畳み機構部85にて積層連続シートS2を裁断する直前においてエンボス凸部を有するエンボスロールと対をなすゴムロール等のエンボス受けロールを設けて付与する。
【0125】
このコンタクトエンボスにおける具体的なエンボスパターンは特に限定されない。例えば、点状、正方形、長方形、円形、楕円形等の形状の単位エンボス群からなるエンボスを、適宜連続シートの幅方向(カット後はこれに対応する方向)に線状に配置すればよい。
【0126】
単位エンボス群の配列としては等間隔が考えられるが、千鳥状としたり、等間隔としなくとも良く、また、コンタクトエンボスは1列に配置してもよいし、2列以上の複数列配置することも考えられる。なお、コンタクトエンボスは、かかるエンボスロールによる機械的に圧力を加えて接合する他に、超音波等の他の手段により接合してもよい。
【0127】
(スリット工程)
本発明のティシュペーパー製品X1の製造方法においては、折り畳み機構部85の前段でかつ薬液塗布部81の後段にスリット手段(図示しない)を設けて、折り畳み機構部85での積層連続シートS2を幅方向に裁断するに先立って、ティシュペーパー製品X1の幅となるように積層連続シートS2を流れ方向にスリットしてもよい。スリット工程を行なうスリット手段は、積層連続シートS2の幅方向にティシュペーパー幅の間隔を開けて並設された複数のロールカッター及び受け部からなるスリット手段とすることができる。スリットされた各積層連続シートS2は折り畳み機構部85に供給して折り畳みを行なえば、後述する裁断工程が不要になり生産性は向上する。
【0128】
(裁断工程)
折り畳み機構部85にて形成された二次原反ロール幅或いは幅方向縁部がトリムされた積層連続シートS2の幅等の水系薬液含有の長尺ティシュペーパー束10Cは、適宜の裁断工程(図示されない)によりティシュペーパー製品に適した長さ、例えば収納箱の長手方向より若干短い長さに裁断(切断)されてティシュペーパー束10とされる。
【0129】
[薬液塗布部]
上記薬液塗布部81における薬液塗布は、それぞれ、フレキソ印刷、グラビア印刷、カーテン塗布、スプレー塗布、インクジェット印刷等の既知の薬液塗布方法・塗布手段を採用できる。特に高速運転において良好に薬液塗布が行えることから、運転速度を速める場合、特に500m/分以上とする場合にはフレキソ印刷方式であるのが特に適する。
【0130】
また、150〜250m/分程度とする場合、紙面に刷版ロール等を接触させないことから紙粉の発生が極めて少ない、直接的に薬液を紙面に付与する非接触方式であるのが特に適する。この場合、特に好ましく採用できるのは、設備設置コスト、設備設置面積を小面積にすることが可能なスプレー塗布、特にローラーダンプニング噴霧方式によるスプレー塗布、薬剤塗布量や塗布面積、塗布パターンの管理精度が高くムラが発生し難いインクジェット印刷方式である。
【0131】
また、薬液塗布部81においては、塗布中の薬液の飛散防止等のために、例えば積層連続シートS2に対する薬液塗布手段部分近傍をフードなどで覆うのが望ましい。特に、スプレー塗布、インクジェット印刷を採用する場合、これらの手段では、噴霧された薬液の飛散、噴霧方向の安定性において周囲の気流の関係を受けやすいことからかかるフード等を設けるのが特に望ましい。
【0132】
なお、本発明の薬液塗布手段81における具体的手段であるフレキソ印刷、スプレー塗布、インクジェット印刷の具体例は後述する。
【0133】
ここで、薬液塗布工程における水系薬液の塗布量は、両面の合計の薬液塗布量で、1.5〜5.0g/m2とされ、好ましくは2.0〜4.0g/m2とされる。5.0g/m2超過であると、紙力低下や伸びなどにより断紙など操業性に支障をきたしたり、品質的に紙厚やウエブ嵩が低下したり、べたつき感が過ぎる場合も出てくる。1.5g/m2未満であると滑らかさやしっとり感など未塗布品との品質差を感じられなくなってしまう。
【0134】
なお、本発明においては、表裏面にほぼ同等量の薬液を塗布するのが基本であるが、積層連続シートの表裏差やその他の操業、品質上の事情により、表裏面において薬液塗布量が異なるようにしてもよい。
【0135】
(水系薬液)
次いで、本発明に用いる水系薬液について説明する。本発明における水系薬液とは水及びポリオールを含むものであり、特にポリオールを70〜90%、水分を1〜15%、機能性薬品を0.01〜22%含むものが望ましい。
【0136】
また、本発明の水系薬液塗布方法において上記水系薬液を使用する場合、水系薬液塗布時の水系薬液温度は30℃〜60℃、好ましくは35℃〜55℃とすることが好ましい。
【0137】
このため、水系薬液としては、40℃での粘度が1〜700mPa・sであるのが望ましい。より好ましくは50〜400mPa・s(40℃)である。1mPa・sより小さいと水系薬液が飛散しやすくなり、逆に700mPa・sより大きいと安定した塗布量とするコントロールがしにくくなる。
【0138】
上記ポリオールとしては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその誘導体等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類が例示できる。
【0139】
上記成分のうち、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールを主成分とすることが、水系薬液の粘度、塗布量を安定させる上で好ましい。
【0140】
前記機能性薬剤としては、柔軟剤、界面活性剤、無機および有機の微粒子粉体、油性成分などがある。柔軟剤、界面活性剤はティシュペーパーに柔軟性を与えたり表面を滑らかにしたりする効果があり、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤を適用する。無機および有機の微粒子粉体は表面を滑らかな肌触りとする。油性成分は滑性を高める働きがあり、流動パラフィン、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールを用いることができる。
【0141】
また機能性薬剤としてポリオールの保湿性を維持させる薬剤として親水性高分子ゲル化剤、コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せ等の保湿剤を加えることができる。
【0142】
また機能性薬剤として香料、各種天然エキス等のエモリエント剤、ビタミン類、配合成分を安定させる乳化剤、水系薬液の発泡を抑え塗布を安定させるための消泡剤、防黴剤、有機酸などの消臭剤を適宜配合することができる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。
【0143】
[薬液塗布手段の具体例]
次いで、薬液塗布工程において採用される好適な薬液塗布方法・手段について説明する。
(フレキソ印刷)
薬液塗布工程における薬液塗布手段81としてはフレキソ印刷方式が採用できる。特に、フレキソ印刷方式は、高速かつ安定した薬液塗布が可能であり、速い加工速度に対応しつつ、しかも安定的な薬液塗布が可能である。本発明にかかるフレキソ印刷機の例は図8〜14に示す。
【0144】
このフレキソ印刷は樹脂性の弾力性がある刷版を用いるため積層連続シートS2の表面にクレープの多少の凹凸があっても印圧で調整可でありムラのない塗布が可能で、積層連続シートS2にシワが入り難くなる。また、一つのロールで幅広い薬液の粘度に対応でき、管理、設備メンテナンスの点で利点がある。
【0145】
ここで、本発明における積層連続シートS2に薬液を塗布する場合、十分な薬液塗布量としつつ高速運転における操業性を悪化させないことを考慮すると、フレキソ刷版ロールの線数は10〜60線、好ましくは15〜40線、特に好ましくは20〜35線とする。線数が10線未満であると塗布ムラが多く生じてしまい、他方、線数が60線超過であると紙粉が詰まり易くなる。
【0146】
アニロックスロールの線数は、10〜300線とし、好ましくは25〜200線、特に好ましくは50〜100線とする。線数が10線未満であると塗布ムラが多く生じてしまい、他方、線数が300線超過であると紙粉が詰まり易くなる。アニロックスロールのセル容量は、10〜100ccとし、好ましくは15〜70cc、特に好ましくは30〜60ccとする。セル容量が10cc未満であると所望の塗布量が得られず、他方、セル容量が100cc超過であると薬液の飛散量が多くなってしまう。
【0147】
ここで、本発明では、薬液塗布工程において安定的に薬液が塗布できることが重要であり、操業安定性に関わる上記刷版ロール及びアニロックロールの線数は重要である。従って、上記操業性を悪化させない各ロールの線数は、薬液塗布量以外にも重要な意義を有する。
【0148】
なお、貯留タンクに貯留した薬液をアニロックスロールへ薬液を移行させる方式としては、ドクターチャンバー形式、タッチロール形式など適宜の方法が採られる。これらのフレキソ印刷の各方式を採用した形態例を以下、さらに詳述する。
【0149】
≪ドクターチャンバー方式の実施形態例≫
フキレソ印刷におけるドクターチャンバー形式を本発明に適用した形態例を図8〜図13を参照しながら説明する。本形態例では、積層連続シートS2の表裏面に薬液を塗布すべく二つのフレキソ印刷機91A,91Bを用いている。各印刷機91A,91Bにおいては、薬液の入っているドクターチャンバー92A,92Bが回転可能なアニロックスロール93A,93Bと対向して配置されおり、ドクターチャンバー92A,92Bからアニロックスロール93A,93Bに薬液を受け渡すようになっている。また、このアニロックスロール93A,93Bと接し且つ積層連続シートS2の一面とも接する刷版ロール94A,94Bが回転可能に設置されていて、このアニロックスロール93A,93Bから刷版ロール94A,94Bに薬液を受け渡すようになっている。そして、積層連続シートS2を挟んでこの刷版ロール94A,94Bと対向する弾性ロール95A,95Bとで積層連続シートS2に圧力を付与しつつ、刷版ロール95A,95Bから積層連続シートS2に薬液を塗布する。
【0150】
各ドクターチャンバー92A,92Bは、供給ホース96及び返送ホース97を介して薬液Lを貯留する貯留タンク98と連結されており、薬液循環経路の一部を構成する(以下、各印刷機91A,91Bについて同様の構成を説明するについては、ドクターチャンバー91A(91B)のように一方を括弧書きで表記する場合がある)。なお、貯留タンク98は、各ドクターチャンバーで92A,92B共有することができる。図示はしないが、薬液循環経路を循環する薬液中に含まれる紙粉やエアーのろ過装置、ドクターチャンバー92A、92B等の塗布装置内で薬液の温度を監視・コントロールし、薬液粘度を安定させるための中間タンクや配管ヒーター、積層連続シートS2の幅方向の水分率で塗布量を管理するための赤外線の検査機等を用いた紙幅方向の水分量とバラツキを監視するセンサ等を設置することができる。
【0151】
貯留タンク98からドクターチャンバー91A(91B)への薬液供給は、供給ポンプ99によって供給ホース96を介して加圧供給で行われ、薬液の押出量(流量)は、調整弁100の開閉により調整される。また、ドクターチャンバー91A(91B)から、貯留タンク98への薬液の返送は、吸引ポンプ101によって返送ホース97を介して行なわれる。
【0152】
また、ドクターチャンバー91A(91B)は、薬液が貯留されるチャンバー部102及びブレード103,104を具備する。チャンバー部102はアニロックスロール93A(93B)側の端部が開口しているとともに供給ホース96及び返送ホース97とが接続部105,106を介して連結されており、各ホース96,97を介して行なわれる薬液循環の際に薬液Lを貯留してアニロックスロール93A(93B)に供給する。他方、ブレード103,104は、アニロックスロール93A(93B)と当接するように設けられ、アニロックスロール93A(93B)に押しつけた状態で薬液Lの絞りを行い、アニロックスロール93A(93B)への薬液の供給量を一定とする。
【0153】
他方、図10に示すように、薬液Lの返送路となる返送ホース97とチャンバー部102との接続部106の上面には、所定径の開口部分である孔部106aが形成されており、この孔部106aにより接続部内の薬液Lが外気接触し、吸引ポンプ101による薬液Lの吸引を行っても、薬液Lが外気接触して、チャンバー部102内の内圧を外気圧に近づけることができるように構成されている。これによってドクターチャンバー内の内圧変動が抑えられている。なお、当該孔部106aは、チャンバー部102の内圧変動が抑えられればよいため、例えば、チャンバー部102の上面に連通するように形成してもよい。孔部106aは、チャンバー部102の薬液Lの液面より上方であれば、側面に設けてもよい。
【0154】
また、孔部106aにはチャンバー部102への薬液供給過多を判別するための判別手段が設けられる。判別手段は、例えば、孔部106a側を下端として、上方に延伸した透明又は半透明のチューブ状の部材106bが例示でき、薬液Lを循環する過程で、薬液Lが孔部を介して当該チューブ106b内に流入するか否かを目視により確認することができる。チューブ106b内への流入が確認された場合は、チャンバー部102に貯留される薬液量が過多になっている(アニロックスロール91A(91B)に対して薬液Lが過供給状態となっている)ことが把握できる。したがって、上記過多の状態を目視で確認した使用者は、例えば、調整弁100操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することができる。なお、チューブ106bは、内部が空洞で上端側が外気に接触しているため、上記孔部106aの作用を相殺してしまうことはない。
【0155】
なお、チューブ106bの上端(自由端)を下向きにして設けることで、孔部106bへの紙粉等の異物の混入を防止することができる。また、チューブ106bの上端或いは孔部にエアーフィルタを設置して紙粉等の異物の混入を防止するように構成してもよい。
【0156】
なお、薬液Lのチャンバー部102への過供給状態は、これを自動的に判別し、使用者に判別結果を報知するように構成してもよい。
【0157】
この自動判別するのならば、図11に示すように孔部106aの周縁を上方向に延出させた円筒状部106cにセンサ106dを取付け、このセンサ106dからの信号を受けて報知部から判別結果を報知する。
【0158】
センサ106dは、例えば、被検知体に向けて発光する発光素子(図示省略)と、被検知体からの反射光を受光する受光素子(図示省略)と、を含み、受光素子からの反射光の受光量に基づいて、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、当該センサ06dの設けられた高さ位置(図11に示すy1)に達したか否かを検知する。
【0159】
報知部106eは、例えば、スピーカ等であり、センサ106dにより、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、上記センサ106dの設けられた高さ位置に達したと検知された場合に、音声により使用者への報知を行う。
【0160】
本例では、過多の状態に至った場合には、使用者は報知部106eによりその旨を知ることができ、調整弁100を操作して薬液Lの押出量(流量)を調整することにより、当該過多の状態を解消することが可能となる。
【0161】
さらに、図12に示すように、薬液Lのチャンバー部102への過供給状態の判別は、自動判別機能に加えて、円筒状部106cにニードルバルブ及びオリフィスを備えるニードルバルブ構造の調整部106fを設けて、孔部106bの外気と接触する部分の開口の量を調整するように構成することができる。このように調整部106fにより、孔部106bの実質的な開口量を調整することにで、チャンバー部102内の内圧変動量に応じて、孔部106bの開口量を適宜に調整することができる。従って、センサ103eにより、円筒状部106cに流入する薬液Lの高さが、検出位置に達したときに、薬液Lの押出量の調整で対処するだけでなく、調整部106fによる孔部106bの実質的な開口量の調整によって、孔部106bのエアー抜きの能力を高めて(外気との接触面積を拡張して)、チャンバー部102内の内圧変動を抑える対処が可能となる。これにより、内圧変動によるチャンバー部102内からの薬液Lの噴出や、アニロックスロール93A(93B)上の薬液Lのドクターチャンバー92A(92B)側への吸込み等も好適に防止され、薬液Lの循環が促進される。
【0162】
他方、ドクターチャンバー方式のフレキソ印刷機は、アニロックスロール93A(93B)は、ドクターチャンバー92A(92B)のブレード103,104と当接するように設けられ、ドクターチャンバー92A(92B)のチャンバー部102の開口より供給される薬液Lが周面に吸着されるように構成されている。
【0163】
刷版ロール94A(94B)は、周面がゴム材などの樹脂製材からなる円柱状をなし、左右端部の周面(図9に示す点P1,点P2)がアニロックスロール93A(93B)及び弾性ロール95A(95B)(に巻きつけられる積層連続シートS2の周面に当接するように設けられ、回動可能に構成されている。
【0164】
刷版ロール94A(94B)は、弾性ロール95A(95B)がr1方向に回動することでr2方向に回動するとともに、右端で当接するアニロックスロール93A(93B)をr1方向に回動させる。刷版ロール94A(94B)は、アニロックスロール93A(93B)の周面に吸着された薬液Lを点P2にて取得し、r2方向への回動により点P1まで搬送して積層連続シートS2に転写する。アニロックスロール93A(93B)により吸着された薬液Lがアニロックスロール93A(93B)の周面上に層状に不均一に残ってしまう場合でも、刷版ロール94A(94B)の周面に移送させることで、積層連続シートS2に薬液Lを均一に転写することができる。
【0165】
弾性ロール95A(95B)は、刷版ロール94A(94B)に隣接して設けられ、図示しないモータ等より駆動力が付与されることで回動する円柱状の部材であり、周面で積層連続シートS2を把持できるように構成されている。そのため、弾性ロール95A(95B)は、r1方向に回動することにより、供給される積層連続シートS2を周面に巻き付けるとともに、刷版ロール94A(94B)及びアニロックスロール93A(93B)を回動させ、点P1位置まで搬送した時点で刷版ロール94A(94B)より薬液Lを転写させることができる。
【0166】
なお、弾性ロール95A(95B)の回動の向きは、図9においてr1方向としたが、r2方向に回動するように構成しても勿論良い。この場合、アニロックスロール93A(93B)及び刷版ロール94A(94B)は図9とは逆方向(つまり、アニロックスロール93A(93B):r2方向、刷版ロール94A(94B):r1方向)に回動する。
【0167】
ここで、図9に示す例では、チャンバー部102に供給ホース96及び返送ホース97が各一つのみ繋がる構成であるが、チャンバー部102内における幅方向の薬液Lを均質にすべく、好ましく図13(A)〜(C)に示す構造を例示できる。その図13(A)は、幅広に形成されて回転軸R0廻りに回転するアニロックスロール93A(93B)に沿って幅広の長方形状に外枠が形成されたドクターチャンバー92A(92B)の幅方向Dの左右端付近の箇所に、それぞれ供給ホース96が連結され、中央部に返送ホース97に繋がる構造例である。図13(B)は、幅方向Dに3つの供給ホース96と2つの返送ホース97とが交互に等間隔で繋がる構造例である。図13(C)は、チャンバー部102の上側寄りの複数箇所にそれぞれ供給ホース96が繋がり、下側寄りの複数箇所にそれぞれ返送ホース97繋がる構造例である。
【0168】
≪2ロール転写方式の実施形態例≫
次いで、フキレソ印刷における2ロール転写形式を適用した形態例を図14を参照しながら説明する。本形態例でも、積層連続シートS2の表裏面に薬液Lを塗布すべく二つのフレキソ印刷機91C,91Dを用いている。各印刷機91C,91Dにおいては、薬液Lの入っている薬液タンク98C,98Dに回転可能な絞りロールでもあるディップロール92C,92Dが浸され、このディップロール92C,92Dが薬液タンク98C,98D外で回転可能なアニロックスロール93C,93Dに接しており、適当に薬液量が調整され量の薬液をアニロックスロール93C,93Dに受け渡す。薬液Lをアニロックスロール93C,93Dに受け渡すに、ディップロール92C,92Dを介することから2ロール転写方式と称される。ここで、ディップロール92C,92Dは薬液タンク98C,98Dから薬液Lを取り上げるとともに過剰な薬液をそのままアニロックスロール93C,93Dに受け渡さないようにする調整する役割を果たす。
【0169】
アニロックスロール93C,93Dは刷版ロール94C,94Dに接しており、ディップロール92C,92Dから転写された薬液Lを刷版ロール94C,94Dに受け渡す。刷版ロール94C,94Dは回転可能に設置され、アニロックスロール93C,93Dと接しているとともに、積層連続シートS2の一面とも接しており、積層連続シートS2を挟んで対向する弾性ロール95C,95Dとで積層連続シートS2に圧力を付与しつつ積層連続シートS2に薬液Lを塗布する。
【0170】
この2ロール転写方式においては、アニロックスロール93C、93Dに対してドクターブレードを設けても良く、この場合、薬液Lを均一に塗布できる、アニロックスロール93C、93Dから薬液Lが飛散してしまうことを防止できるなどのメリットを享受できるが、この反面、ドクターブレードを手入れしたり交換したりしなければならないというデメリットが有る。
【0171】
なお、薬液タンク98C,98Dには、図示はしないが、薬液中に含まれる紙粉やエアーのろ過装置、薬液の温度を監視・コントロールし、薬液粘度を安定させるための配管ヒーター、積層連続シートS2の幅方向の水分率で塗布量を管理するための赤外線の検査機等を用いた紙幅方向の水分量とバラツキを監視するセンサ等を設置することができる。
【0172】
≪1ロール転写形式の実施形態≫
【0173】
次いで、フキレソ印刷における1ロール転写形式を本発明に適用した形態例を説明する。この例は、前述のフ2ロール転写形式からディップロールを省略したものである(図面は省略する)。この場合、アニロックスロールが、それぞれ薬液タンクに浸されつつ回転可能に設置される。また、これらのアニロックスロールに対しては、アニロックスロール表面の薬液を掻き取るドクターブレードを設置する。このようなフレキソ1ロール転写形式は、メンテナンスが比較的容易であるという利点や、ブレードの摩耗や薬液中の紙粉等の異物の混入状態を容易に目視できるという利点を有している。
【0174】
(スプレー塗布方式)
次に、本発明にかかる薬液塗布手段81として、スプレー塗布装置を用いる場合の例を図15〜18を参照しながら説明する。スプレー塗布は、設備設置コスト、設備設置面積を小面積にすることができる利点がある。本発明では、積層加工を行なうプライ加工部と折り畳みを行なう折り畳み機構部が一体の装置となるため、設備コスト、設備面積を小さくできるスプレー塗布は、この点で好ましく採用される。
【0175】
スプレー塗布は、ノズル式噴霧方式、ローターダンプニング噴霧方式等を採用することができる。好ましくは、後述するローターダンプニング噴霧方式である。
【0176】
スプレー塗布装置は、その方式によりノズルユニット或いはローターダンプニングユニット等を有する塗布ユニットを、その噴霧口が積層連続シートS2に対して対面するようにして、複数を積層連続シートS2の幅方向に並列し、各ユニットから水系薬液をいっせいに噴霧することで積層連続シートS2に水系薬液を塗布するものである。
【0177】
ノズル式噴霧方式における噴霧用ノズルの型式としては、環状に噴霧する空円錐型ノズル、円形状に噴霧する充円錐型ノズル、正方形状に噴霧する充角錐型、充矩型ノズル、扇型ノズル等が挙げられ、水系薬液が積層連続シートS2の幅方向に対して均一に噴霧されるように、ノズル径、ノズル数、ノズル配列パターン、ノズル配置数、あるいは噴霧距離、噴霧圧力、噴霧角度、および噴霧液の濃度、粘度などを適宜選択して使用することができる。
【0178】
また、ノズル式噴霧装置において霧化する方法については、一流体方式、または二流体方式の2種類の方式を選択して使用することができる。このうち一流体噴霧方式は、噴霧する水系薬液に対して圧搾空気を用いて直接圧力をかけてノズルから霧滴噴射する、または噴出口付近のノズル側面に開けた微細な穴からノズル内に空気を吸引して霧滴噴射する方式である。また、二流体噴霧方式は、ノズル内部で圧搾空気を噴霧する液体と混合、微粒化する内部混合型、ノズル外部で圧搾空気を噴霧する液体と混合、微粒化する外部混合型、微霧化した霧滴粒子を相互に衝突させて、霧滴粒子をさらに均質化・微粒子化する衝突型等の方式が挙げられる。好ましい、ノズル式噴霧装置は、二流体噴霧方式である。
【0179】
その二流体噴霧方式のノズルユニット例は図15に示すとおりであり、これを参照しながらさらに説明する。このノズルユニット110は、中心に水系薬液通路110Aが、その周囲にエアー通路110Bが形成され、水系薬液通路110A先端から噴出された水系薬液Lを、エアー通路110Bから吐出されたエアーにより微霧化するものであり、ほぼ円錐形状に水系薬液Lを噴霧するようにしたものである。110Cは外部の保護ケーシングであり、紙粉などからノズルを保護すると共に、必要によりパージエアー通路110Dを通すエアーによりノズルの清掃を行なうことができるようにしたものである。
【0180】
ここでスプレー塗布での水系薬液塗布では、噴霧した水系薬液の跳ね返りや積層連続シートS2表面に随伴する空気などによって液滴が押し流され、液滴が積層連続シートS2の表面に付着しにくくなることがあるため、例えば、ノズル式であれば図16に示すように、ノズルユニット110の周囲から、ケーシング110Eに形成したエアー供給路110Fから噴出させるエアー110Gにより、ノズルユニット110からの噴霧水系薬液を取り囲むようにして水系薬液を積層連続シートS2に塗布するのが望ましい。
【0181】
次に、スプレー塗布のなかでも本発明に好適なローターダンプニング噴霧方式を説明する。ローターダンプニング噴霧方式は、特に図17〜18に装置例140を示すように、複数のローターダンプニングユニット141が積層連続シートS2の幅方向に並列されている。
【0182】
各ローダーダンプニングユニット141は、噴射部142を有する流体室143が高速に回転され、その流体室143内に薬液を送り出して、遠心力によって流体室内の薬液を噴射部142から放出させて微霧滴化する。前記流体室143の回転数変更によって霧滴粒子径の制御を行い、流体室への送液量変更によって噴霧液量(塗布量)の制御を行なう。ローターダンプニング噴霧方式は、少ない量の噴霧液量を霧滴の飛散を抑えつつ、積層連続シートS2表面に均一に塗布することができ、かつ噴霧速度や霧の粒子径等の調整が容易である利点がある。
【0183】
図示例の本形態体のローターダンプニングユニット141では、好ましく噴霧口144の開閉を行なうシャッター145が設けられており、このシャッター145の開閉により噴霧の有無の制御をすることが可能となっている。
【0184】
ここで、ローターダンプニングユニットを、積層連続シートS2の流れ方向に直行するように複数並べ、走行する積層連続シートS2に対して垂直に設置する場合、噴射孔の間隔は好ましくは50〜150mmである。
【0185】
他方、水系薬液を積層連続シートS2表面に均一に噴霧塗布するためには、霧化された水系薬液の霧滴粒子径はできる限り微小であることが好ましい。しかしながら、霧滴が細かくなりすぎると噴霧した空気の跳ね返りや積層連続シートS2表面に随伴する空気などによって霧滴が押し流され、霧滴が積層連続シートS2表面に付着しにくくなる。このため、噴霧塗布方式においては噴霧距離、噴霧圧力、噴霧角度、噴霧速度を、加えて二流体方式の場合には、噴霧用の水系薬液と圧搾空気の混合比、および水系薬液の濃度や粘度等を適宜調節し、塗布条件に適した粒子径に調節することができ、さらに噴霧時に随伴空気の影響が大きい場合は、随伴空気を除去するための吸引装置や邪魔板(整流板)、上述のフード等の設置、および噴霧ノズル先端に高電圧を加えて霧滴粒子を帯電させて、顔料塗被紙への霧適の付着性を向上させる荷電電極(静電噴霧方式)などを追加してもよい。
【0186】
なお、スプレー塗布方式を採用する場合の好ましい霧滴粒子の重量平均粒径を例示すれば、20〜150μmである。
【0187】
また、積層連続シートS2表面に塗布されずにミストとして浮遊している霧滴粒子は、吸引・回収して再度噴霧することができる。
【0188】
(インクジェット印刷方式)
次に、本発明にかかる薬液塗布手段81として、インクジェット印刷機130を用いる場合の例を説明する。インクジェット印刷機130は既知のものが使用できる。
なお、インクジェット印刷方式は、薬剤塗布量や塗布面積、塗布パターンの管理精度が高くムラが発生し難いという利点があり、折り畳み機構部における折り畳み精度を高めるとともに、より一層の高品質な製品を製造することができる利点がある。
【0189】
本実形態のインクジェット印刷機130を、図19〜20を参照して説明すれば、水系薬液Lの入っているタンク(図示されない)が供給路131を介してインクジェットヘッド132に接続された構造とされ、前記タンクから供給ポンプ(図示しない)によりインクジェットヘッド132に水系薬液が供給されるようになっている。
【0190】
前記インクジェットヘッド132の被塗布材である積層連続シートS2と対向する部分には、この積層連続シートS2の幅分に少なくとも対応する形で、複数のノズル孔134を直線的に並んで設けているノズル板133が配置されている。
【0191】
ここで前記ノズル孔134から積層連続シートS2までの間隔は1〜10mm、より好ましくは1〜3mmとするのが望ましい。インクジェット印刷方式では、各ノズル孔134から噴射される液滴が極少量であるため周辺気流の環境を受けやすいが、1〜10mm、より好ましくは1〜3mmとすれば、その影響は格段に小さい。一般的なフルカラープリンターの紙とノズルの間隔は1〜1.5mmである。人の目は輝度の差異やグラディエーションの表現に敏感であるため、4〜6色の減色混合による十分な色彩表現を得るのにはドット位置の精度は数μm以内を求められている。これに対し本発明の水系薬液塗布ではドット位置の精度は100μm以内で十分均一な塗布品質が得られる。
【0192】
そして、このインクジェットヘッド132内には、噴射ユニット135が各ノズル孔に対応して複数配置され、各噴射ユニット135は、ノズル孔134から射出するための水系薬液を一時的に貯める流体室136と、この流体室136を挟んでノズル板133と対向する部分に配置された振動板137とを有し、振動板137に当接して流体室136外に配置され且つピエゾ素子等により形成される圧電素子(図示されない)とを有している。
【0193】
前記圧電素子には、配線を介して制御装置138が接続されていて、この制御装置138から所定の間隔で圧電素子に電圧が付与されるようになっている。
【0194】
かかる構造により、タンクからインクジェットヘッド132に供給された水系薬液は、各ノズル孔134に対応して存在する流体室136内に送り込まれるようになっていて、必要に応じて制御装置138が圧電素子に電圧を加えることで、各ノズル孔134から一斉に水系薬液が噴射されることになり、これに伴い、積層連続シートS2の一方の面における幅分全体に亘って水系薬液が塗布されことになる。
【0195】
また、本発明のインクジェットヘッド132内に圧空135が送気するように構成され、前記噴射ユニット135から噴射された液滴がノズル孔134から圧空にのって積層連続シートS2に向かうように構成され、紙粉がノズル孔に詰まるのを防止するように構成されている。
【0196】
尚、上記実施形態では、インクジェットの形式として、オンデマンド方式でピエゾ素子を採用した構造を説明したが、サーマルジェット型を採用しても良い。更に、オンデマンド方式の替りに連続して噴射可能なコンティニュアス方式の噴射装置を採用しても良い。
【0197】
ただし、好ましいのは、電子制御によるオンデマンド方式であり、これによって幅方向、流れ方向における塗布量変更が容易となる。
【0198】
ここで、本発明においてインクジェット印刷方式を採用して水系薬液塗布する場合のより好ましい条件は、ノズル孔からのインク液滴の粒子速度は5〜20m/秒程度、一つのインク液滴の容量は5〜50pl/個である。
【0199】
さらに、インク液滴は流れ方向、幅方向に20〜200μm間隔で液滴を塗布するのが望ましい。これにより塗布量が増減しても実質的に均一な塗布が可能である。幅方向のノズル間隔は128〜1080dpi(5〜42ライン/mm、128dpi×1段〜360dpi×3段式)とする。
【0200】
一例を示せば、加工速度が分速250mの場合、インク液滴の粒子速度10m/秒、一つのインク液滴容量10pl/個、幅方向のノズル間隔1080dpiとして、インクジェット噴射頻度は5×104ドット/秒/ライン程度である。
【0201】
[折り畳み機構部の具体的構成について]
以上、本発明にかかる薬液塗布について説明したが、本発明は150m/分以上の速度で運転するロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部においてティシュぺーパー製品を製造する際に顕著な効果を奏するのであり、折り畳み機構部の高速化達成技術自体は限定されるものではないが、本発明者らは、本発明の薬液塗布との関係で顕著な効果を奏する、折り畳み機構部の高速化技術についても新たに知見したので、かかる高速化ロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部の構成についても説明する。
【0202】
なお、折り畳み機構部85の高速化は、主にロール群の構成によりシートにロール上でたるみを形成しないようにする、バキューム機構によりロールへのシートの吸引性を高める、サーボ技術により複数のロールの速度を調整することにより達成される。
【0203】
下記に本発明において好適に採用できる高速化に適するロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部例1〜4を示す。
【0204】
なお、折り畳み機構部85は折り畳み加工部X4の一部であり、本発明においては上述のとおり薬液塗布工程を経た積層連続シートS2がこの折り畳み機構部85に連続的に供給される。
【0205】
《折り畳み機構部例1》
本発明にかかるロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部例1を図21及び22を参照しながら説明する。
【0206】
この機構部例1は、ベッドロール71、ナイフロール72、ラップロール73、フォールディングロール75、プレッシャーロール76の各ロールを一対具備し、さらに好ましく テールロール74を具備する(図においてフォールディングロール以外のロールについては一方のみを図示する)。
【0207】
また、各ロールはサーボモータにより駆動され、各サーボモータの回転速度、周速を各々電子制御により調整して、シートの張力等に合わせ周速を調整可能となっている。これによりロール間でのシートの受け渡しのタイミングを一定に保つことが可能となっている。
【0208】
前記ベッドロール71は、積層連続シートS2を、積層連続シートS2のリード端部を爪で掴んだまま、或いは積層連続シートS2をバキューム孔78を介して自身の中心方向に吸引するバキューム機能によって(図示例はバキューム機能による)ロール表面に保持しつつ搬送し、後段のロールへと受け渡すものである。
【0209】
ナイフロール72は、表面にカッター刃72Cを具備し、前記ベッドロール71と対をなして回転して、その刃72Cを適当間隔でベッドロール71上を搬送されてくる積層連続シートS2に接触させて、積層連続シートS2をシート幅方向に裁断する。この裁断幅は、ティシュペーパー製品の幅(長さ)である。従って、ベッドロール71上を搬送されてくる積層連続シートS2はこのナイフロール72のカッター刃72Cとの接触によって上流の積層連続シートS2から切り離される。
【0210】
カットされたシートS4は、ベッドロール71上に保持されつつ搬送され後段のラップロール73に受け渡される。受け渡しはロータリー式インターフォルダで採用されるロールからロールへの既知の受け渡し技術が採用される。例えば、ベッドロール72とラップロール73との近接時にベッドロール72のバキュームを停止し、ラップロール73において自身の内部方向への吸引が開始される技術等である。
【0211】
プレッシャーロール76は、ベッドロールとともにベッドロール上に保持されるシートを挟持するものであり、このプレッシャーロール76の存在によりベッドロール71における吸引能力を上げつつシートをカットしてもシートがばたつかず、順次前端から後端にむかってシートがベッドロール71上に吸引された確実に保持されるようになる。また、プレッシャーロール76とベッドロール71とによって積層連続シートの先端部が挟持された状態でナイフロール72によるカットが行なわれるため、カット時のシートが後方(原反ロール方向)に引っ張られることが防止されるとともに張力変動を効果的に吸収でき、カット時におけるシートのばたつきも防止される。
【0212】
ラップロール73は、ベッドロール72から受け渡されたシートS4を表面に保持しつつ搬送し、その搬送するシートS4の回転方向前縁部を、ラップロール73より減速して回転する対応するフォールディングロール75に移行させる。この受け渡しは所定位置においてシートの回転方向前縁部のバキュームの停止、或いは気体の噴射、機械的なシート把持機構などの既知の技術が採用される。
【0213】
図示例のラップロール73では、シートの回転方向前縁部、回転方向後縁部とこれらの間の2点以上を保持するようにバキューム孔710,710が形成されており、シートを確実にラップロール73上の保持することが可能となっている。
【0214】
なお、図には表れないがロータリー式インターフォルダのロールにおけるバキューム孔は周知のとおりロールの軸心方向に沿って、その表面に点在的に配置されるものであり、本発明及び本明細書における折り畳み加工部X4における折り畳み機構部85のバキューム孔もそのように構成されている。したがって、回転方向前端部、回転方向後端部とこれらの間の2点以上を保持するようにバキューム孔が形成されているとは、シートの回転方向前端部等を保持する位置に、ロールの軸心方向に沿ってバキューム孔が複数配されていることを意味する。この孔の数は適宜の設計事項である。
【0215】
必要に応じて具備されるテールロール74は、ラップロール73に近設され、ラップロール73及び後段のフォールディングロール75より小径である。テールロール74は、ラップロール73から前記回転方向前縁部がフォールディングロール75に移行されたシートの回転方向後縁部(テール)が移行され、当該シートの回転方向後縁部を自身の表面に保持する。保持機構は上述のベッドロール等と同様である。
【0216】
上述のラップロール73とフォールディングロールか75の回転速度の差と、シートS4の回転方向前縁部をフォールディングロールに移行した後、回転方向後縁部(テール)をテールロールに移行させることにより、ラップロール73、テールロール74及びフォールディングロール75によってシートS4にたるみ部(バブルとも称される)Stを一次的に形成する。
【0217】
また、ラップロール73からフォールディングロール75へのシートS4の回転方向先端側部分の移行は、先のシートの回転方向後縁部がラップロール73からたるみ部を形成しつつテールロール74上に移行されている際に行なわれる。
【0218】
そして、先のシートの回転方向後縁部がテールロール74からフォールディングロール75上に移行される際には、その部位には後のシートの回転方向前縁部が存在している。
【0219】
従って、テールロール74からフォールディングロール75に完全にシートが移行されると、フォールディングロール75上では、先のシートの回転方向後縁部の下方(フォールディングロール側)に、後のシートの回転方向前縁部が位置して重なり合った(ラップされた)状態となる。
【0220】
フォールディングロール75は、一部が重なりあったシート群を折畳むものである。一対のフォールディングロール75,75は互いに近接され、同様に対となるフォールディングロール上を移行してくる一部が重なりあいつつ送られてくるシート群とを自身のシート群とを重ね合わせ、その重ね合わせ部で各シートの縁部を相互に押し合う(引き合う)ようにしてシート群を折り畳む。
【0221】
このように本例にかかる折り畳み機構部85は、シートをカットするナイフロール72及びベッドロール71とラップロール73とを分離することで、ラップロール73におけるバキューム能力の向上させることができ、さらに各ロールをサーボによって個別にその速度を管理することで高速化が達成されている。
【0222】
その上、ラップロール73、フォールディングロール75及びテールロール74によりたるみ部を一時的に形成することで、先のシートと後のシートの一部を重ね合わせるようにしつる移行させ、かかる一部が重ね合わされたシート群をフォールディングロールで折り畳むようにすることで、きわめて高速な操業を可能となっている。
【0223】
《折り畳み機構部例2》
高速化に適するロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部例2を図23に示す。このロータリー式インターフォルダは、ベッドロール71、ナイフロール72、第1プルロール78A、第2プルロール78B、遅延ロール79A、ニップロール79B、ラップロール73A、カウントロール73Bを各一つ有し、さらに一対のフォールディングロール75,75を有する。必要に応じて適宜の抑えロールRを有する。
【0224】
この折り畳み機構部例2は、その初段に、積層連続シートS2を受ける第1プルロール78A及び第2プルロール78Bを有する。第1プルロール78A及び第2プルロール78Bによるニップされつつ積層連続シートS2がこれらのロール間を通過し、第2プルロール78Bとベッドロール71間にニップされつつベッドロール上に供給される。
【0225】
ベッドロール71及びナイフロール72の関係は、上記折り畳み機構部例1と同様であるが、本形態では、上記折り畳み機構部例1と異なり、ナイフロール72とベッドロール71とによる積層連続シートS2のカット時に、積層連続シートS2の後方(原反ロール側)が第2プルロール78Aとベッドロール71とのニップ、さらに第1プルロール78Aと第2プルロール78Bとのニップにより保持される。これにより、カット時のシートが前方に引っ張られることが防止されるとともに張力変動を効果的に吸収でき、カット時におけるシートのばたつきが防止される。
【0226】
さらに、ナイフロール72によりカットされたシートS4はベッドロールの吸引機構により保持されつつ搬送され、さらにベッドロールによって後段のロールへと搬送される。
【0227】
本機構部例2におけるベッドロールの直近後段のロールは、ベッドロール71より遅い速度で回転する遅延ロール79Aである。
【0228】
ここで、本機構部例2では、ベッドロール71と遅延ロール79Aのニップ位置よりも、ベッドロール71の進行方向側で所定間隔離れた位置にニップロール79Bが存在し、これらニップロール71と遅延ロール79Aとニップロール79BとによってシートS4を挟持可能に位置構成されている。かかる構成のうえ、ベッドロール71から遅延ロール79Aにシートを受け渡す際に、まずシートS4の回転方向前縁部がベッドロール71から遅延ロールに受け渡され、回転方向後縁部は一旦ニップロール79Bに移動されたのち、順次遅延ロール79Aとでニップするように構成されている。
【0229】
そして、前記回転方向後縁部がベッドロール71からニップロール79B経由で遅延ロール79Aに受け渡される際その位置には、後続のシートS4の回転方向前縁部がすでにベッドロール71から遅延ロール79Aに受け渡されており、これによって遅延ロール79A上において、先のシートの回転方向後縁部の下方に、後のシートの回転方向先端側縁部が位置して重なり合った(ラップされた)状態となる。
【0230】
遅延ロール79Aの後段には、ラップされたシートが搬送されるラップロール73Aが存在し、重ね合わされたシートを進行させ、カウントロール73Bとともに後段のフォールディングロール75,75へと移送する。図示例においては、ラップロール73Aとフォールディングロール75,75の途中には一対の抑えロールR,Rが位置し、これらの間を通過するように構成されている。
【0231】
フォールディングロール75,75は同様の構成のものが近接して一対二つ配され、前記一部重ね合わされたシート群はこの近接部分に上方から移送される。本例のフォールディングロール75,75は、各ロール75,75にシートを保持するグリップ機構(摘み機構)とタッカー機構と具備するシート保持機構を有し、一部重ね合わされて送られてくるシートS4のシート前縁部及びシート後縁部を当該近接位置において一枚おきに、対となるドールディングロールが交互にそのシート保持機構により保持し開放しつつ下方に移送する。
【0232】
この各ロールのシートの搬送と所定位置における当該縁部の挟持・開放により、各フォールディングロール間の下方にティシュペーパー束10cが形成される。
【0233】
以上の本機構部例2においては、遅延ロールとニップロールとベッドロールによるシートの一部重ね合わせにより高速化が達成できる。また、第1の機構部例と同様に、カットと折り畳み、シートの重ね合わせが別工程となるためシートのばたつきが防止されるとともに、確実にシートをロール表面に保持することができる。
【0234】
もちろん、本機構部例2においても、各ロールはサーボ機構により制御し、ラップロール、ベッドロールにおける吸引力をも強くすることができる。また、各ロールにおけるバキューム孔の位置についても第1の機構部例と同様に、適宜シートの前端部分、後端部分、それらの中間部分に設けることができるし、望ましい。
以上より本機構部例2も高速化が可能である。
【0235】
《折り畳み機構部例3》
高速化に適するロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部例3を図24に示す。
この機構部例3は、折り畳み機構部例1と同様に別々の積層連続シートS2を互に折り畳むように構成される。本例では各ロール群は左右一対あるので共通する点については一方のみについて説明する(図においてはフォールディングロール25以外のロールについては一方のみを図示する)。
【0236】
まず、本折り畳み機構部例3においては、積層連続シートS2は、第1プルロール78Aに搬送され、さらに第2プルロール78Bへと引き込まれ、さらに第2プルロール78Bからナイフロール72に受け渡される。
【0237】
次に、ナイフロール72では、積層連続シートS2がバキュームによって吸引保持され、さらに後段の移送ロール71Aに受け渡される。
【0238】
ナイフロール72には適宜の間隔でカッター刃が設けられ、移送ロール71Aには当該カッター刃に対応する位置にそのカッター刃を受ける受け機構71aが設けられている。
【0239】
そして、前記ナイフロール71から移送ロール71Aへの積層連続シートS2の受け渡し時にカッター刃72Cによって切断される。
【0240】
また、ナイフロール72から移送ロール71Aへの受け渡しは、バキュームの吸引差により行われる。さらに、移送ロール71AにおいてはシートS4の回転方向前縁部を保持する溝部71bが設けられており、シートS4の回転方向前縁部は、この溝部に位置されて確実に保持される。また、前記積層連続シートS2の切断は、前記ナイフロール72のカッター刃72Cが受け機構71aに入り込むようにして行われる。これにより、シートS4の切断と保持が行われる。
【0241】
さらに、本例の折り畳み機構部例3では、ナイフロール72に設けられた複数のカッター刃間に溝部72aが形成されているとともに、前記移送ロール71Aに突起部71cが形成されており、前記溝部72aに突起部71cが入りこむことでシートS4に折筋を形成するように構成されている。
【0242】
次に、シートS4は移送ロール71Aからフォールディングロール75へと移送される。この移送は、バキュームによって行われる。移送ロール71Aからフォールディングロールへ75のシートの移送については、移送ロール71Aの溝71cに位置されているシートSの縁部がタッカー機構及びバキュームによってフォールディングロール75に移送される。
【0243】
また、フォールディングロール75には周縁に溝部75aを有し、そこにグリップ機構(摘み機構)が形成されている。そして、移送ロール71Aの突起部71cはフォールディングロール75の溝部75cに入りこむようにロールの大きさ位置関係に形成されている。これにより、移送ロール71Aの突起部71c上に位置するシート部位(ナイフロールの溝部とで折り筋が形成されている部分)がフォールディングロール75の溝部75aに入りこみ、そのときにグリップ機構によって当該部位が保持される。
【0244】
そしてフォールディングロール75は、その部位を保持しつつ回転し、所定位置でシート縁部の解放と当該部位の解放を行う。この所定位置は、対となるフォールディングロール75,75との関係で定まる。例えば、対となるフォールディングロールと最近接位置においてグリップ機構を解放する。そのとき、対となるフォールディングロールはシート縁部の解放を行う。このような対となるフォールディングロールの近接位置における折り部と縁部との解放を交互に行うことで、対となるフォールディングロール75,75の近接位置の下方にティシュペーパー束が形成される。
【0245】
本機構部例3では、折り筋の形成及びシート縁部の把持・開放、さらに折りと連続シートの切断の非連続性、フォールディングロール、移送ロールにおける吸引能力の強化の達成により高速化が可能である。もちろん、本機構部例においても各ロールをサーボ機構によりその周速を調整する。また、ロールにおけるバキューム孔の位置についても第1の機構部例と同様に、適宜シートの前端部分、後端部分、それらの中間部分に設ける。
【0246】
なお、加工速度など他の点については第1及び第2の機構部例と同様である。
【0247】
《折り畳み機構部例4》
次いで、高速化に適するロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部例4を図25及び図26を参照しながら説明する。
【0248】
この機構部例4は、前記バキューム孔271Aがシートの前端部分、後端部分、バキューム孔271Bがそれらの中間部分に設けられている。そしてこれらのバキューム孔271A,271Bの回転に伴って吸引(負圧)を付与するバキューム領域270A、270Bが2つあり、それらバキューム領域の一つ270AはカットシートS4の前後端部の吸引孔271Aに、もう一つ270BはカットシートS4の前後端部の中間のバキューム孔に連通している。これら各バキューム領域間の吸引力制御と各ロールのサーボ機構による周速調整により、フォールディングロール上におけるシートの吸引保持を制御でき、カット時、移送時のシートズレが防止され、さらにシートの折り精度が高められている。
【0249】
なお、各バキューム領域270A,270Bとバキューム孔271A,271Bとの関係は、特に図26に示すとりであり、各バキューム孔271A,271Bがフォールディングロール75内のバキューム路272A,272Bを介して、フォールディングロール75の端面部分に設けられたバキューム領域270A,270Bに連通するように構成され、さらに各バキューム領域270A,270Bが真空ポンプなどの真空源に連結されている。
【0250】
すなわち、高速化達成のためにバキューム制御を精密にすべくバキューム路272A,272Bを増加させる(図示例では図30の旧式3路に対して6路に増加)。なお、これにともなって内部空洞容積が増加し、また、高速運転ではシートの遠心力や風の煽りによりシートがずれる心配があるため、真空ポンプの能力は従来よりも強くする必要があるが、本発明では、バキューム制御を精密に行えるため十分に対応できる。
【0251】
制御を精密にするためには、例えば、真空源を各フォールディングロール毎に設ければ、吸引力の調整、吸引力の向上が達成できる。さらに、真空源をバキューム領域毎に設ければより一層吸引操作を精密に操作することが可能となる。
【0252】
なお、フォールディングロール75の端面に回転に対応するバキューム領域271A,271Bを形成するにあたっては、既知のメカニカルバルブ機構を採用できる。
【0253】
なお、本機構部例4を採用することで、旧式の速度の遅いロータリー式インターフォルダに対する明確な有利な点となる真空度については、具体的には、マイナス10〜20kPaであり、真空ポンプ能力は、旧来の8.5m3/分×200Hg×1910RPM×80Aの1.5〜2倍程度に引き上げることが可能である。これによりシートの保持性が高められる。
【0254】
なお、バキューム孔の配置は適宜の設計事項であるが、直径5mm程度、フォールディングロールの幅方向に15〜20mm間隔で設ければよい。
【0255】
また。メカニカルバルブ機構は、耐磨耗性のよい樹脂、セラミック製でオンジナオイル等の潤滑剤を使用するのが望ましい。
【0256】
さらに、メカニカルバルブ(バキューム領域形成部)をフォールディングロール両端部毎に複数個として、バキューム制御を精密に制御すればより高速化が達成できる。
【0257】
以上の構成の機構部例4によっても高速稼働が可能となり、本発明の2段階塗布を有利なものとすることができる。
【0258】
《折り畳み機構部例5》
高速化に適するロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部例5を図27及び図28を参照しながら説明する。本機構部例は、本機構部例5もフォールディングロール上でシートをカットする例である。本機構部例5では、機構部例5に対して第1プルロール78Aと第2プルロール78Bとを設けて、シートカット時のテンションコントロールを精密にしたものである。なお、図示例では、フォールディングバーを具備する形態ではなく、第1から第4の機構部例と同様に掴み機構によるシート縁部の把持・開放による折り畳みを行なう形態となっている。もちろんフォールディングバーを採用することもできる。
【0259】
本機構部例5のその他の構成は、機構部例4と同様である。本機構部例5は、機構部例5の構造によってバキューム制御が精密となりまたバキューム力を向上させることが可能であることからプルロール78A,78Bによってシートカット時のテンションコントロールをより精密に行えるようにしたものである。
【0260】
なお、本機構部例5においては、図28に示すように、さらにフォールディングロール75,75とカッター刃72C,72Cによってシートをカットする際に積層連続シートS2の進行方向前端をフォールディングロール75とプレッシャーロール76とで挟持する。本機構部例5では、シートカット時における安定性が高まり高速化がより達成しやすくなる。
【0261】
《折り畳み機構部の高速化》
以上、高速化に適するロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部例を述べたが、本発明の折り畳み機構部85はこの例に限定されない。もちろん、本発明の範囲において上記各例において相互に構成を変更してもよい。例えば、折り畳み機構部例4においてグリップ機構、カッター機構を採用することもできるし、折り畳み機構部例2や3において真空源、バキューム領域を適当数設けてそれらを制御してもよい。
【0262】
すなわち、本発明において、折り畳み機構部を高速化するには、折り畳み機構部85を以下のように構成するのが望ましい。
【0263】
まず、ナイフロール等でシートがカットされる時点およびそれ以降、シートを各ロール表面に備わっているバキューム孔(真空吸引口)により保持しつつ、各ロールを回転させるにあたって、各ロールの駆動をサーボモータにより行い、その速度を調整制御する。
【0264】
例えば、増減速時のナイフロール等でのカット時のシートテンションコントロールを各シートの伸び易さや引張り強度に合わせを行う。
【0265】
このように、サーボモータなどにより各ロールの周速を各々電子制御により調整することにより、シートの張力に合わせ周速差を変更することができ、これによりシートを保持、受け渡しタイミング等を常に一定に保つことが可能となり高速化することが可能となる。
これは、ロール数が多い構成を採る折り畳み機構部の場合に特に有効である。
【0266】
次に、ナイフロールやカッター刃を用いてシートのカットをするように構成するとともに、プレッシャーロールやプルロールを設置し、シートカット時に積層連続シートの一部を保持するように構成する。これにより、シートカット時のシートズレが防止され高速化することが可能となる。さらに、サーボモータと組み合わせ、ナイフロールでシートがカットされる時点で、サーボモータにより各ロールとの周速差を的確に調整すればより一層の高速化が可能となる。また、バキューム孔によるシート保持と併用すればよりシートテンションを的確にコントロールでき高速運転が可能になる。
【0267】
次に、ナイフロール等でシートがカットされた時点以降、折り畳まれる直前まで、バキューム等によりカットされたシートをロール上に貼りつくようにロールからロールへ搬送することで、シートのずれがなく、高速にきれいに折り畳むことが可能となる。(シートをオーバーラップさせる場合でも、カットシートの前後端部は保持され、その他のほとんどの部分はロールに接しシートの形成は一定である。)
【0268】
次に、ニップ間隔の長い中間ロール(移送ロール、遅延ロール、ラップロールや機構部例4、5のフォールディングロール)はバキューム孔を複数設け、さらにバキューム領域や真空源を2つ以上とし、カットシートの前後端部、カットシートの前後端部の間の吸引力を制御する。例えば、均等にMD方向3点で、CD方向に径数mmのバキューム孔(真空吸引口)を均等に5〜30個/100〜200mm間隔配置すると、遠心力や回転による風で位置ずれが生じず、また、ロール間のカットシートの受け渡し精度が高まり高速化が可能となる。
【0269】
合わせて、機構部例1、2のように前後シートの一部を重ね合わせる構成を採用することでも高速化が可能となる。
【0270】
『収納工程』
次いで、ティシュペーパー束10の収納箱への収納例について説明する。なお、ティシュぺーパー束10の収納箱2への収納方法は、この例に限定されず既知の方法を採用することができる。
【0271】
折り畳み機構部にて形成されたティシュペーパー束10は、図29に示すように、後段の収納設備において収納箱2に収納される。ティシュペーパー束10の収納設備への供給はオンラインであってもオフラインであってもよい。好ましくは、コンベアなどの搬送設備によって連続的に供給するのが生産性向上の点で望ましい。
【0272】
収納工程は、具体的には、上述の上面2U、底面及びこれらを連接する側面2Sと、各面の長手方向両側縁に連接された底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uとを有する収納箱を、底面側端面片23B、側面端面片23S、上面側端面片23Uが開いた状態、すなわち端面が開口された状態に半完成の状態に組立てるとともに、その開口部に対面するように折り畳み機構部85から裁断工程を経て送られてくるティシュペーパー束10の裁断面を付き合わせる。
【0273】
そして付き合わせたならば、ティシュペーパー束10をプッシュロッド等によって収納箱内へ押し込む。ティシュペーパー束10が収納箱内に押し込まれたら、前記側面端面片23Sを箱内面側に折り返した後、これに重ねて上面側端面片23Uと底面側端面片23Bとを折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着材等により接着する。
【0274】
この接着によって本発明のティシュペーパー製品X1の製造は完了する。
【0275】
なお、本発明にかかるロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部により製造したティシュペーパー束10を構成するティシュペーパー1の紙の方向は、図示のとおり、ティシュペーパー1の折り畳み部の延在方向に沿って横方向(CD方向)となり、ティシュペーパーの折り畳み部の延在方向と直交する方向に沿って縦方向(MD方向)となる。
【0276】
したがって、上述のように収納箱2に収納された本発明によって製造されるティシュペーパー製品X1は、図2に示すように、ティシュペーパー1を収納箱2から引き出す際には、その引き出し方向がティシュペーパーの縦方向(MD方向)と沿うようになっている。
【実施例】
【0277】
次いで、本発明の実施例及び比較例を下記表1〜5に示す。表1〜表5の下二欄に示されるとおり、二次原反ロールを形成することなくプライ加工部から連続的に折り畳み加工部に積層連続シートを供給するとともに、その過程で薬液塗布する本発明の実施例にかかる方法は、かかる方法を採らない比較例と比べて、操業性及び製品品質において優位性が認められる。
【0278】
【表1】
【0279】
【表2】
【0280】
【表3】
【0281】
【表4】
【0282】
【表5】
【符号の説明】
【0283】
X…ティシュペーパーの製造設備、
X1…ティシュペーパー製品、1…ティシュペーパー、1e…ティシュペーパーの折り返し辺の縁、10…ティシュペーパー束、2…収納箱、2U…収納箱(紙箱)上面、2S…収納箱(紙箱)の側面、20L…収納箱(紙箱)の長手縁、20S…収納箱(紙箱)の短手縁、21…取出口形成部(ミシン目線)、22…フィルム、23B…底面側端面片、23S…側面端面片、23U…上面側端面片、24…スリット、25…取出口、
X2…抄紙設備、JR…一次原反ロール(ジャンボロール)、W…湿紙、S1…乾燥原紙(一次連続シート)、31…ヘッドボックス、32…ワイヤーパート、32w…ワイヤ、333…プレスパート、33F…フェルト、34,35…脱水ロール、36…ヤンキードライヤー、36C…ヤンキードライヤーフード、37…ドクターブレード、38…巻き取り手段、39…ワインディングドラム。
X3…プライ加工部、S11,S12…一次連続シート、S2…積層連続シート、51…重ね合わせ部、56…巻き取り手段、56A…ワインディングドラム、52…カレンダー部、81…一次薬液塗布手段、
X4…折り畳み加工部、S2…積層連続シート、S4…裁断されたシート、80…原反ロール支持部、81…二次薬液塗布手段、85…折り畳み機構部、86…トリム手段、87…トリムスリッター、88…皺取りロール、
91A〜91F…フレキソ印刷機、92A,92B…ドクターチャンバー、92C,92D…ディップロール(絞りロール)、93A,93B,93C,93D…アニロックスロール、94A,94B,94C,94D…刷版ロール、95A,95B,95C,95D…弾性ロール、96…供給ホース、97…返送ホース、98…貯留タンク、98C,98D…薬液タンク、99…供給ポンプ、100…調整弁、101…吸引ポンプ、102…チャンバー部、103,104…ブレード、105…供給ホースとチャンバー部との接続部、106…返送ホースとチャンバー部との接続部、106a…孔部、106b…判別手段(チューブ)、106c…円筒状部、106d…センサ、106e…報知部、106…調整部、
110…二流体方式のノズル式水系薬液噴霧装置、110A…水系薬液通路、110B、110F…エアー通路、110C、110E…保護ケーシング、110D…パージエアー通路、110G…圧空、140…ローダーダンプニング噴霧装置、141…ローターダンプニングユニット、142…噴射部、143…流体室、144…噴射口、145…シャッター。
130…インクジェット、132…インクジェットヘッド、133…ノズル板、134…ノズル孔、135…噴射ユニット、136…流体室、137…振動板、138…制御装置、L…水系薬液、
71…ベッドロール、71A…移送ロール、71a…受け部、71b…溝部、71c…突起部、72…ナイフロール、72C…カッター刃、72a…溝部、73,73A…ラップロール、73B…カウントロール、74…テールロール、75…フォールディングロール、75a…溝部、76…プレッシャーロール、77…スリット手段、78A…第1プルロール、78B…第2プルロール、79A…遅延ロール、79B…ニップロール、R…抑えロール、270…バキューム孔、271…真空源。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続シートからティシュペーパー束を形成するティシュペーパー束形成工程を有するティシュペーパー製品の製造方法であって、
一次原反ロールから巻きだした坪量10〜25g/m2のクレープ紙からなる一次連続シートを積層し、
その積層された積層連続シートに対して水系薬液を塗布し、
その薬液を塗布した積層連続シートをロールに加工することなく連続シートのまま連続的にロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部に供給し、
その折り畳み機構部にて、前記積層連続シートを幅方向に裁断し、その裁断したシートを折り畳み、ティシュペーパー束とする、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項2】
積層連続シートに対する水系薬液の塗布量を1.5〜5.0g/m2とする請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項3】
積層連続シートに対して水系薬液をフレキソ印制方式で塗布する請求項1又は2記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項4】
積層連続シートに対して水系薬液を非接触式薬液塗布方式で塗布する請求項1又は2記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項5】
前記水系薬液を、ポリオールを主成分とし、水を1〜15質量%含むものとする請求項1〜4の何れか1項に記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項6】
前記水系薬液の塗布からから折り畳み完了までの間を1.0〜4.0秒とする請求項1〜5の何れか1項に記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項1】
連続シートからティシュペーパー束を形成するティシュペーパー束形成工程を有するティシュペーパー製品の製造方法であって、
一次原反ロールから巻きだした坪量10〜25g/m2のクレープ紙からなる一次連続シートを積層し、
その積層された積層連続シートに対して水系薬液を塗布し、
その薬液を塗布した積層連続シートをロールに加工することなく連続シートのまま連続的にロータリー式インターフォルダ方式の折り畳み機構部に供給し、
その折り畳み機構部にて、前記積層連続シートを幅方向に裁断し、その裁断したシートを折り畳み、ティシュペーパー束とする、ことを特徴とするティシュペーパー製品の製造方法。
【請求項2】
積層連続シートに対する水系薬液の塗布量を1.5〜5.0g/m2とする請求項1記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項3】
積層連続シートに対して水系薬液をフレキソ印制方式で塗布する請求項1又は2記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項4】
積層連続シートに対して水系薬液を非接触式薬液塗布方式で塗布する請求項1又は2記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項5】
前記水系薬液を、ポリオールを主成分とし、水を1〜15質量%含むものとする請求項1〜4の何れか1項に記載のティシュペーパーの製造方法。
【請求項6】
前記水系薬液の塗布からから折り畳み完了までの間を1.0〜4.0秒とする請求項1〜5の何れか1項に記載のティシュペーパー製品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2012−34869(P2012−34869A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178172(P2010−178172)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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