説明

テストプラグ及び止水栓用スピンドル

【課題】配管内の水の抜き取り作業に際し、水の噴きこぼれや浸水などの事故を未然に防ぎ、近隣の他の部材にも悪影響を与えずに、排水する水の量を適宜調節することが可能なテストプラグを提供する。
【解決手段】 スピンドル13の基底部14と中空管状部15は、筒状本体部12の中空部12bに軸方向へ回動進退可能に収納される。スピンドル13の中空管状部15は、基底部14から先端部15aまで軸方向へ延びてその先端部15aが開口されるとともに筒状本体部12の中空部12bに連通するための小径孔15dが形成されている。配管から給水される水は、小径孔15dを通過することにより流勢を大幅に弱めてスピンドル13の先端部15aの開口端15bから緩やかに吐水する。また、筒状本体部12を有するプラグ本体10は、器具取付口の口径に対応した外径を有する縦長筒状の形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道の配管・器具設置工事等に用いられるテストプラグ及び止水栓用スピンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築施工時における水道の配管・器具設置工事では、給水本管から分岐される配管の敷設を完了した後、配管にアングル止水栓や水洗便器など種々の器具を取り付ける前に、配管の漏水の有無を確認するための漏水テストが行われる(例えば特許文献1及び特許文献2を参照)。
【0003】
この種の漏水テストにおいては、配管に設けられた個々の器具取付端部にそれぞれテストプラグを仮に取り付けて、これら個々の器具取付端部を一時的に液密状態で閉塞する。さらに、配管の所定の器具取付端部に給水ポンプも取り付けておく。その後、水道本管の給水ゲートバルブを開けて上記配管内に水を張った後、給水ゲートバルブを閉じ、続いてテスト用の給水ポンプを作動して配管内を所定の水圧まで高め、この状態を一定時間保持して水圧計により漏水の有無を確認する。
【0004】
このような漏水テストにより配管に漏水がないことが確認されると、配管からテストプラグ及びテスト用の給水ポンプを取り外し、その後に、これらテスト機材が取り付けられていた個々の器具取付端部にそれぞれ種々の器具を取り付けて、水道の配管・器具設置工事が終了する。
【0005】
図8(a),(b),(c)は、従来のテストプラグの一例を示す図であり、同図(a)はその外観図、及び同図(b),(c)は、テストプラグの取付状態を示す斜視図である。
同図(a)に示すように、従来のテストプラグ100は、内部が閉塞状態に構成された円筒状のプラグ本体101を有し、その一端にはねじ込み端部102、他端には挟持部103がそれぞれプラグ本体101と一体的に形成されている。ねじ込み端部102は、雄ねじを外周に備えており、この雄ねじが配管の器具取付端部の雌ねじに螺合して、テストプラグ100が配管に取り付けられる。挟持部103は、モンキーレンチ等の工具を挟持させるために断面視六角形状で構成されている。
【0006】
このような構成のテストプラグ100の取り付けは、同図(b)に示すように、テストプラグ100のねじ込み端部102の雄ねじにシールテープなどのシール材を巻き付けておき、モンキーレンチ等の工具を用いて、この雄ねじを配管200の器具取付端部201の雌ねじに螺合させてねじ込み固定する。これによって、器具取付端部201が液密状態で閉塞される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−325283号公報
【特許文献2】特開平11−237301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常の建築施工では、水道配管の設置が終了した後に、クロス仕上げ用の内装壁の設置工事が行われている。かかる内装壁の設置工事においては、壁用ボードに対して釘打ち作業などが実施されるが、この釘打ち作業などにより、既に設置されている水道配管を毀損する恐れがあった。
【0009】
そこで、水道の配管・器具設置工事の業者は、内装壁の設置工事中に水道配管を毀損する事故が発生した場合にその毀損箇所を発見できるように次のような手法を採ることが一般的である。すなわち、上述の漏水テストにより配管に漏水がないことが確認された直後に、まず、給水ポンプの水抜き用バルブを開けて配管内の水抜きを行い、給水ポンプを配管の器具取付端部から取り外す。そして、給水ポンプが取り付けられていた器具取付端部に従来のテストプラグをねじ込み固定した後、給水ゲートバルブを開けて配管内に水を張り、その状態を内装壁の設置工事が終了するまで保持する。これにより、内装壁の設置工事中に水道配管を毀損する事故が発生した場合には、その配管の毀損箇所から漏水が生ずるので、目視で漏水を確認し、適切な処置を施すことができる。
【0010】
このように、上述した漏水テストの直後で器具設置工事前に、配管の全ての器具取付端部をテストプラグで閉塞した状態にして配管内に水を張ることが行われ、内装壁の設置工事後に、給水ゲートバルブを閉め、所定のテストプラグの配管に対するねじ固定を緩めたり、或いは取り外したりして配管内の水抜きをしてから、種々の器具を取り付けていた。
【0011】
しかしながら、上述の所定のテストプラグとして従来のテストプラグを用いた場合には、水抜きの排水量を適宜に調節することができないため、排水を容器で受けても噴きこぼれが生じ、図8(c)に示すような設置済みの内装壁300を排水で濡らしてしまうという不具合があった。また、このとき、給水ゲートバルブを閉め忘れて所定のテストプラグから水抜きをした場合は、配管の器具取付端部から多量の水が噴き出し、甚大な浸水事故を引き起こす可能性もあった。
【0012】
このような事故を未然に防ぐためには、所定のテストプラグが取り付けられていた配管の器具取付端部に、従来のテストプラグに代えて既存の止水栓を取り付け、止水栓のハンドルを回して水の排出量を適宜に調節するという方法が考えられる。
【0013】
しかし、このような方法では次のような問題がある。漏水テスト後に行われる内装壁の設置工事の完了時においては、上述したように配管内に水が張られ、配管の器具取付端部に取り付けられているテストプラグは、図8(c)に示すように壁用ボード300に形成された穴部301から突出することになる。仮に、従来のテストプラグに代えて既存の止水栓を用いた場合では、止水栓のハンドルの大きさや吐水ポートの長さを考慮しなければならず、その分、上記の穴部301の径が大きくなる。穴部301が大きくなると、壁用ボード300の面上に施されるクロス仕上げ作業に支障を来すため、穴部301を小さくする補修作業が必要になるという問題が生ずる。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、配管内の水の抜き取り作業に際し、水の噴きこぼれや浸水などの事故を未然に防ぎ、近隣の他の部材にも悪影響を与えずに、排水する水の量を適宜調節することが可能なテストプラグ及び止水栓用スピンドルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、第1の発明であるテストプラグは、水道の配管に設けられた器具取付口に取り外し自在に取り付けられ、前記器具取付口の口径に対応した外径を有する縦長筒状のプラグ本体を備えたテストプラグであって、前記プラグ本体(10)は、軸方向に流通孔(11a)が貫設され、該流通孔が前記配管内に連通するように前記器具取付口に取り付けられる管状取付部(11)と、前記流通孔に連通して軸方向へ開口端(12d)まで延び、前記流通孔よりも大径の中空部(12b)を有する筒状本体部(12)とを備える構成にし、前記流通孔が前記筒状本体部の底壁に開口して成る弁口を開閉するための弁体(14a)が末端に取り付けられ前記筒状本体部の内径よりも小径の基底部(14)、及び該基底部と一体的に形成され該基底部から先端部(15a)まで軸方向へ延びるとともに、一端が該先端部で開口され、軸方向に形成された中空部(12c)の他端と前記筒状本体部の中空部(15b)とが連通するための小径孔が形成された中空管状部(15)を有し、前記筒状本体部の中空部に前記基底部が軸方向へ回動進退可能に収納されるスピンドル(13)と、前記スピンドルの筒状本体部への収納時に、該筒状本体部の開口端を封止するためのキャップ(20)とを備え、前記スピンドルにおける前記中空管状部の先端部が前記キャップの開口端より突出露呈したことを特徴とする。
【0016】
上記第1の発明であるテストプラグによれば、スピンドルを回動して弁口を開くことにより流通孔から流入された水は、筒状本体部と中空管状部との間に形成されている中空部に入る。この中空部がキャップにより封止されているため、流水の出口は小径孔だけとなり、小径孔を通過した流水は、流勢を大幅に弱めてスピンドルの中空管状部内を流れてスピンドルの先端部の開口から吐水する。これにより、配管内の水の抜き取り作業に際し、水の噴きこぼれや浸水などの事故を未然に防ぐことができ、テストプラグ近隣の他の部材にも悪影響を与えずに、排水する水の量を適宜調節することが可能になる。
【0017】
第2の発明であるテストプラグは、上記第1の発明において、前記スピンドルにおける前記中空管状部の先端部に、継手金具が係合するための係合部(15f)を形成したことを特徴する。
上記第2の発明であるテストプラグによれば、スピンドルの先端部に、継手金具が係合するための係合部を形成したので、継手金具を介してテストプラグにテスト用ポンプなどを簡単に着脱することができる。
【0018】
第3の発明であるテストプラグは、上記第1の発明において、前記スピンドルにおける前記中空管状部の先端部に、工具で挟持するための挟持部(15g)を形成したことを特徴とする。
上記第3の発明であるテストプラグによれば、スピンドルの先端部に、工具で挟持するための挟持部を形成したので、工具によりスピンドルを確実に回動して進退移動させることができる。
【0019】
第4の発明である止水栓用スピンドルは、水を給入する給水ポート(52)及び水を吐出する吐水ポート(53)が形成されるとともに、前記給水ポートに対して軸方向に開口部が対向形成された止水栓のボディ部(51)に、前記給水ポートを開閉するために前記開口部から軸方向へ回動進退可能に挿入される止水栓用スピンドルであって、前記給水ポートを開閉するための弁体(14a)が末端に取り付けられた基底部(14)と、前記基底部と一体的に形成され該基底部から先端部まで軸方向へ延びるとともに、一端が該先端部で開口され、軸方向に形成され中空部(12c)の他端と前記ボディ部の中空部とが連通するための小径孔が形成された中空管状部(15)と、継手金具を係合するために前記中空管状部の先端部に形成された係合部(15f)とを有し、前記ボディ部に、前記基底部が軸方向へ回動進退可能に収納され、前記中空管状部の先端部(15a)が、前記ボディ部の開口部を封止するためのキャップ(54)の開口端より突出露呈したことを特徴とする。
【0020】
上記第4の発明である止水栓用スピンドルによれば、配管に既に取り付け済みの止水栓のボディ部に、既存のスピンドルに代えて本発明の止水栓用スピンドルを組み込み、スピンドルの先端部に係合させた継手金具を介してテスト用の給水ポンプを連結することにより、配管の全ての器具取付口に各種器具が取り付けられた状態で配管系の漏水テストを行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のテストプラグによれば、スピンドルを回動して弁口を開くことにより流通孔から流入された水は、筒状本体部と中空管状部との間に形成されている中空部からスピンドルの中空管状部内を流れてスピンドルの先端部の開口から吐水する。これにより、配管内の水の抜き取り作業に際し、水の噴きこぼれや浸水などの事故を未然に防ぐことができ、テストプラグ近隣の他の部材にも悪影響を与えずに、排水する水の量を適宜調節することが可能になる。
【0022】
本発明の止水栓用スピンドルによれば、配管内の水の抜き取り作業に際し、配管の全ての器具取付口に各種器具が取り付けられた状態で、水の噴きこぼれや浸水などの事故を未然に防ぎ、近隣の他の部材にも悪影響を与えずに、排水する水の量を適宜調節することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態に係るテストプラグの構成例を示す外観全体図である。
【図2】図1のテストプラグに組み込まれるスピンドルの外観図である。
【図3】第1の実施形態に係るテストプラグの主要構成部品を示す図である。
【図4】図1のテストプラグを配管漏水テストに使用する場合の接続例の図である。
【図5】第2の実施形態に係る止水栓用スピンドルの構成を示す外観斜視図である。
【図6】図5の止水栓用スピンドルの接続例を示す平面図である。
【図7】図5の止水栓用スピンドルの接続例を示す平面図である。
【図8】従来のテストプラグの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
<テストプラグの構成及び作用>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るテストプラグの構成例を示す外観全体図であり、図2は、本実施形態に係るテストプラグに組み込まれるスピンドルの外観図である。また、図3は、本実施形態に係るテストプラグの主要構成部品を示す図であり、同図(a)は筒状本体部とスピンドルの分解透視図、同図(b)は筒状本体部の開口端からの内部目視図である。
【0025】
本実施形態におけるテストプラグは、図1及び図2に示すように、主要な構成部材として、プラグ本体10とスピンドル13とキャップ20とを備えている。プラグ本体10は、水道の配管に設けられた器具取付口に取り外し自在に取り付けられ、器具取付口の管口径に対応した外径(本例では30mm程度)の縦長筒状体である。
【0026】
このプラグ本体10は、図1に示すように管状取付部11と筒状本体部12から成り、管状取付部11は、図3(a)に示すように軸方向に流通孔11a(本例では孔径9mm程度)が貫設されている。流通孔11aは、水道の配管からの給水を受けるため、水道の配管内に連通するように器具取付口に取り付けられる。この取り付けは、管状取付部11の外周面に形成された雄ねじ11bを、配管の器具取付口の内周面に形成された雌ねじに係合させて締め付け固定する。シールは、本実施形態ではOリング(図示せず)を使用して行うが、シールテープなどのシール材を巻き付けて締め付け固定することもできる。
【0027】
筒状本体部12は、その首部12aが断面視六角形状の挟持手段であり、上記した管状取付部11の器具取付口への取り付けには、この首部12aにモンキーレンチなどの工具を挟んで締め付けが行われる。筒状本体部12内には、図3(a)に示すように、側壁周面と底壁面で定められる円筒形状の中空部12bが形成され、この中空部12bは、弁口12cを介して流通孔11aに連通して軸方向へ開口端12dまで延びる、流通孔11aよりも大径(本例では16.5mm程度)の空間である。そして、筒状本体部12の首部12aの上部が首部12aよりも小径に形成された挿入部を形成し、この挿入部の内周面には、後述するスピンドル13の雄ねじ15eに螺合する雌ねじ12eが刻設され、挿入部の外周面には、キャップ20と係合するためのねじ山12fが設けられている。このように構成される筒状本体部12では、図3(a),(b)に示すように、径が異なる流通孔11aと中空部12bとの段差部分12gが、後述するスピンドル13の弁体14aが着座する弁座となる。
【0028】
スピンドル13は、図2及び図3(a)に示すように、基底部14と、この基底部14と一体的に形成された中空管状部15とから成り、上述の筒状本体部12の中空部12bに軸方向へ回動進退可能に収納される。基底部14は、筒状本体部12の内径よりも小径の外径(本例では15.8mm程度)を有する略円柱形状であり、その末端には、流通孔11aが筒状本体部12の底壁に開口して成る弁口12cを開閉するための弁体14a(パッキン)が固着されている。弁体14aは、基底部14の末端部に形成された台座14bに置かれ、基底部14のねじ穴14cにねじ込み固定される。
【0029】
中空管状部15は、基底部14から先端部15aまで軸方向へ延び、先端部15aの開口端15bで中空部15cが開口される。さらに、中空管状部15には、基底部14側で中空管状部15の管壁を貫通して中空部15cに連通する小径孔15dが穿設されている。この小径孔15dの孔径は、本例では中空部15cの内径と略同一であり、例えば5mmと設定してある。
【0030】
また、中空管状部15の中途部外周には、筒状本体部12の挿入部内周に刻設された雌ねじ12eに螺合する雄ねじ15eが設けられている。さらに、中空管状部15の先端部15aの外周面には、図2に示すように、クイックカプラなどの継手金具が係合するための係合部15fが形成されるとともに、モンキーレンチ等の工具を挟持するための挟持部15gが形成されている。この挟持部15gとして、本例では中空管状部15における先端部15aの外周面を削り出して形成される削り出し面で構成したが、例えば、摩擦係数の高い部材を巻着したり、外周面に微細な凹凸を形成したりしてもよい。
【0031】
キャップ20は、スピンドル13を筒状本体部12に収納する際に、筒状本体部12の開口端12dを液密に封止するためのパッキンが内装された部材であり、開口端20aと挟持部20bとを有し、開口端20aから下方に垂下するスカート形状を成している。挟持部20bの内面には、筒状本体部12が組み付けられたときに、筒状本体部12の挿入部の外面上のねじ山12fと係合するねじ山を有する。
【0032】
上述したプラグ本体10とスピンドル13とキャップ20を組み付けて、本実施形態のテストプラグを構成するには、まず、スピンドル13を、その基底部14側からプラグ本体10の筒状本体部12における中空部12bに挿入して、スピンドル13の雄ねじ15を筒状本体部12の雌ねじ12eに螺合させる。続いて、キャップ20を、スピンドル13の先端部15aから挿通して、キャップ20の内面のねじ山に筒状本体部12の挿入部のねじ山12fを係合して締め付け固定する。これにより、筒状本体部12の開口端12dが液密に封止され、スピンドル13における中空管状部15の先端部15aがキャップ20の開口端20aより突出露呈した、図1に示すような外観の本実施形態に係るテストプラグが完成する。
【0033】
このテストプラグによれば、スピンドル13の先端部15aの挟持部15gをモンキーレンチ等の工具で挟んでスピンドル13を回転させることによりスピンドル3を軸方向へ移動させることができる。これによって、スピンドル13の末端の弁体14aを弁座12gに当接させることで弁口12cを閉じて流通孔11aからの流水を止水し、弁体14aを弁座12gから離反させることで弁口12cを開いて通水することができる。
【0034】
また、筒状本体部12の内壁面と、スピンドル13における基底部14及び中空管状部15の外壁面との間に環状空間つまり環状水路が形成される。通水時において、流通孔から流入された水は、上記の環状水路に入る。この環状水路がキャップ20により封止されているため、流水の出口は小径孔15dだけとなり、小径孔15dを通過した流水は、流勢を大幅に弱めてスピンドル13の中空管状部15の中空部15c内を流れてスピンドル13の先端部15aの開口端15bから緩やかに吐水する。
【0035】
<本実施形態における配管漏水テスト>
図4は、第1の実施形態におけるテストプラグを配管漏水テストに使用する場合の接続例を示す平面図である。
【0036】
上述した第1の実施形態におけるテストプラグを配管漏水テストに使用する場合には、テストプラグにテスト用の給水ポンプを連結する必要がある。そのため、図4に示すように、スピンドル13の先端部15aの係合部15fには、クイックカプラ30が連結され、そのクイックカプラ30が口径変換用のアタッチメント40を介して給水ポンプ(図示省略)に連結されるように、使用機器をセッティングする。給水ポンプは、圧力計と水抜きバルブを備えており、吐出口がアタッチメント40の取り付け部41に連結される。
【0037】
配管漏水テスト時には、まず、給水ポンプに連結された本実施形態に係るテストプラグを、テスト対象である配管系の最も低い位置にある器具取付口だけに取り付け、残りの全ての器具取付口には、従来のテストプラグ(図8(b)参照)を取り付ける。これらの取り付けは、シールテープなどを用いて液密に行われる。このとき、本実施形態に係るテストプラグのスピンドル13の開弁状態は全開とし、給水ポンプの水抜きバルブは全閉としておく。
【0038】
次に、給水ゲートバルブを開けて配管内に水を張った後、給水ゲートバルブを閉じて給水本管から配管に給水が行われないようにする。しかる状態にした後、給水ポンプを作動して貯水タンク等の水を汲み上げて配管内に給水し配管内の水圧を一定値まで高めたら給水ポンプを停止する。その状態で圧力計により、水圧が低下するか否かを確認し、水圧が低下すれば漏水有りと判定し、低下しなければ漏水無しと判定する。
【0039】
続いて、本実施形態のテストプラグに連結されている給水ポンプの水抜きバルブを開けて、配管内の水抜きを行う。そして、漏水有りと判定された場合には、漏水箇所を補修する。補修が終了した時点で再び給水ポンプを作動して漏水の有無を確認する。漏水がない配管作業が確認されたときには、クイックカプラ30の係合を解除することで本実施形態のテストプラグから給水ポンプを取り外す。
【0040】
その後、モンキーレンチ等の工具を用いて、本実施形態のテストプラグのスピンドル13の開弁状態を全閉とした後、給水ゲートバルブを開けて、再び配管内に水を張り、その状態を、クロス仕上げ用の内装壁の設置工事が終了するまで保持する。内装壁の設置工事による配管の毀損事故がないことが確認されると、配管内の水抜き作業を実施する。
【0041】
この配管内の水抜き作業では、給水ゲートバルブを閉めて、テスト対象である配管系の最も低い位置にある本実施形態に係るテストプラグから排水を行う。本実施形態に係るテストプラグのスピンドル13の開弁状態を全開とすると、スピンドル13の先端部15aの開口端15bから配管内の水が排出され始める。排出された水を容器などで受ける。その後、配管内の水位がある程度低下したら、その水位よりも高い位置に取り付けられている従来のテストプラグをねじ固定を緩めたり配管から取り外したりして、配管内にエアーを送り込む。
【0042】
その結果、負圧になっていた配管内にエアーが入ることにより、スピンドル13の開口端15bからの排水量が急速に増加する。このとき、本実施形態に係るテストプラグでは、スピンドル13の開弁状態を適宜に調節することができるので、何ら支障がない水抜き作業が可能である。しかし、従来技術では、排出用のテストプラグとして従来のテストプラグを使用しているので、排水量の調節を十分行うことができず、水の噴きこぼれや浸水事故が発生しやすい。本実施形態では、この水抜き作業時に、たとえ給水ゲートバルブを閉め忘れていても、甚大な浸水事故を引き起こすことはない。
【0043】
配管内の水抜き作業が完了すれば、配管の器具取付口に取り付けてあったテストプラグを全て取り払い、これら器具取付口に、アングル止水栓などを介在させて各種の器具(水洗便器など)を取り付けることになる。
【0044】
<第1の実施形態の利点>
本実施形態のテストプラグによれば、配管から給水される水は、流勢を大幅に弱めてスピンドル13の先端部15aの開口端15bから吐水するとともに、スピンドル13の回動によって吐水量を適宜調節することができるので、配管内の水の抜き取り作業に際し、水の噴きこぼれや浸水などの事故を未然に防ぐことができ、テストプラグ近隣の他の部材(例えばクロス仕上げ用の内装壁など)にも悪影響を与えずに、排水する水の量を適宜調節することが可能になる。
【0045】
また、プラグ本体10が器具取付口の口径に対応した外径を有する縦長筒状の形状であり、しかもスピンドル13の先端部15aの開口端15bから吐水するような構造であるため、テストプラグの径方向のスペースを余りとれない設置環境下において特に有効である。
【0046】
また、本実施形態のテストプラグによれば、スピンドルの先端部15aに、クイックカプラ30などの継手金具が係合する係合部15fを形成したので、簡単に着脱可能な継手金具を介してテストプラグにテスト用ポンプなどを簡単に着脱することができる。
【0047】
また、本実施形態のテストプラグによれば、スピンドルの先端部15aに、工具を使用して挟持することができるように平面部を有する挟持部15gを形成したので、モンキーレンチなどの工具で該挟持部15gを挟持して回転することによりスピンドル13を確実に回動して進退移動させることができる。
【0048】
[第2の実施形態]
<本実施形態のスピンドルの構成>
図5は、本発明の第2の実施形態に係る止水栓用スピンドルの構成を示す外観斜視図であり、図2及び図3と共通の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
この止水栓用スピンドルは、図5に示すように、配管に既に取り付け済みのアングル止水栓のボディ部に、既存のスピンドルに代えて組み込まれる。したがって、スピンドルの中空管状部15の長さ寸法がアングル止水栓のボディ部に適合するように短縮されている。その他の構成は、第1の実施形態で説明したスピンドル13と同様である。
【0050】
<本実施形態における器具取付後の配管系漏水テスト>
図6及び図7は、本発明の第2の実施形態に係る止水栓用スピンドルを器具取付後の配管系漏水テストに使用する場合の接続例を示す平面図である。
配管の各器具取付口にアングル止水栓などを介在させて各種の器具(水洗便器など)を取り付けた後に、これら器具を含む配管系の漏水テストを実施する。
【0051】
上述した第2の実施形態における止水栓用スピンドルを器具取付後の配管系漏水テストに使用する場合には、止水栓用スピンドルにテスト用の給水ポンプを連結する必要がある。そのため、図6に示すように、スピンドルの先端部15aの係合部15fには、クイックカプラ30が連結され、そのクイックカプラ30が口径変換用のアタッチメント40を介して給水ポンプ(図示省略)に連結されるように、使用機器をセッティングする。
【0052】
そして、配管の器具取付口に既に取り付け済みのアングル止水栓のキャップ54を取り外し、そのアングル止水栓専用のスピンドルを抜き取る。次いで、アングル止水栓のボディ部51に本実施形態に係る止水栓用スピンドルを螺着挿入した後、キャップ54を止水栓用スピンドルの先端部15aに挿通させてねじ固定する。その状態が図7に示してある。
【0053】
ここで、図7に示すように、アングル止水栓のボディ部51には、配管の器具取付口に連結される給水ポート52と、給水ポート52から受けた水を吐水する吐水ポート53とが形成されている。さらに、ボディ部51には、給水ポート52に対して軸方向に開口部が対向形成され、開口部からボディ部51内に、軸方向へ回動進退可能に本実施形態の止水栓用スピンドルが挿入される。これにより、本実施形態の止水栓用スピンドルによって給水ポート52の弁口が開閉される。
【0054】
図7に示すように使用機器をセッティングした後、第1の実施形態で説明した配管漏水テストと同様の漏水テストを実施した後、給水ポンプから水抜きを実施し、その後、本実施形態の止水栓用スピンドルや給水ポンプを含むテスト機材を取り外し、アングル止水栓を元の状態にすれば、全ての作業が終了する。
【0055】
<第2の実施形態の利点>
第2の実施形態の止水栓用スピンドルを使用すれば、上記第1の実施形態と同様の効果を奏するほか、配管の全ての器具取付口に各種器具が取り付けられた状態で配管系の漏水テストを行うことが可能になる。
【0056】
上記の実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。すなわち、本発明は、その精神又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 プラグ本体
11 管状取付部
11a 流通孔
12 筒状本体部
12b 中空部
12c 弁口
12d 開口端
12e 雌ねじ
13 スピンドル
14 基底部
14a 弁体
15 中空管状部
15a 先端部
15b開口端
15c 中空部
15d 小径孔
15e 雄ねじ
15f 係合部
15g 挟持部
20 キャップ
20a 開口端
51 ボディ部
52 給水ポート
53 吐水ポート
54 キャップ
201 配管の器具取付口



【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道の配管に設けられた器具取付口に取り外し自在に取り付けられ、前記器具取付口の口径に対応した口径を有する縦長筒状のプラグ本体を備えたテストプラグであって、
前記プラグ本体(10)は、
軸方向に流通孔(11a)が貫設され、該流通孔が前記配管内に連通するように前記器具取付口に取り付けられる管状取付部(11)と、
前記流通孔に連通して軸方向へ開口端(12d)まで延び、前記流通孔より大径の中空部(12b)を有する筒状本体部(12)とを備える構成にし、
前記流通孔が前記筒状本体部の底壁に開口して成る弁口を開閉するための弁体(14a)が末端に取り付けられ前記筒状本体部の内径より小径の基底部(14)と、該基底部と一体的に形成され該基底部から先端部(15a)まで軸方向へ延びるとともに、一端が該先端部で開口され、軸方向に形成された中空部(15c)の他端と前記筒状本体部の中空部(12b)とが連通するための小径孔が形成された中空管状部(15)を有し、前記筒状本体部の中空部に、前記基底部が軸方向へ回動進退可能に収納されるスピンドル(13)と、
前記スピンドルの筒状本体部への収納時に、該筒状本体部の開口端を封止するためのキャップ(20)とを備え、
前記スピンドルにおける前記中空管状部の先端部が前記キャップの開口端(20a)より突出露呈したことを特徴とするテストプラグ。
【請求項2】
前記スピンドルにおける前記中空管状部の先端部に、継手金具が係合するための係合部(15f)を形成したことを特徴する請求項1に記載のテストプラグ。
【請求項3】
前記スピンドルにおける前記中空管状部の先端部に、工具で挟持するための挟持部(15g)を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のテストプラグ。
【請求項4】
水を給入する給水ポート(52)及び水を吐出する吐水ポート(53)が形成されるとともに、前記給水ポートに対して軸方向に開口部が対向形成された止水栓のボディ部(51)に、前記給水ポートを開閉するために前記開口部から軸方向へ回動進退可能に挿入される止水栓用スピンドルであって、
前記給水ポートを開閉するための弁体(14a)が末端に取り付けられた基底部(14)と、
前記基底部と一体的に形成され該記基底部から先端部まで軸方向へ延びるとともに、一端が該先端部で開口され、軸方向に形成された中空部(15c)の他端と前記ボディ部の中空部とが連通するための小径孔が形成された中空管状部(15)と、
継手金具を係合するために前記中空管状部の先端部に形成された係合部(15f)とを有し、
前記ボディ部に、前記基底部が軸方向へ回動進退可能に収納され、前記中空管状部の先端部(15a)が、前記ボディ部の開口部を封止するためのキャップ(54)の開口端より突出露呈したことを特徴とする止水栓用スピンドル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−24556(P2013−24556A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155977(P2011−155977)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(511172379)
【Fターム(参考)】