説明

テトラサイクリン化合物の経口製剤および注射可能な製剤

テトラサイクリン化合物の注射可能な製剤および経口製剤を記載する。一態様において、本発明は、錠剤形態またはカプセル剤の、9-アミノメチルテトラサイクリン化合物またはその塩の経口製剤に関する。該製剤は、例えば感染症を処置するために使用可能である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2008年3月28日に出願された係属中の米国特許仮出願第61/040,398号に対して、米国特許法第119条(e)項の下で優先権の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
テトラサイクリン系抗生物質の開発は、殺菌性および/または静菌性の組成物を産生できる微生物の痕跡に対する、世界各地から採取した土壌試料の系統的スクリーニングがもたらした直接の結果であった。これらの新規化合物の第一番目は、1948年にクロルテトラサイクリンという名称で発表された。2年後、オキシテトラサイクリンが利用可能となった。これらの化合物の化学構造の解明によってこれらの類似性が確認され、1952年に、この群の第三番目であるテトラサイクリンの産生に関する解析的基礎がもたられた。初期のテトラサイクリン類において存在した環付着メチル基を有さない新たなファミリーのテトラサイクリン系化合物が1957年に調製され、1967年には公に利用可能となり;ミノサイクリンが1972年までには使用されていた。
【0003】
近年は、様々な治療条件および投与経路の下で効果的である新規テトラサイクリン系抗生物質組成物を開発することに研究努力が注がれている。元々発表されたテトラサイクリン系化合物と同等またはそれ以上の効果を有することが証明され得る新規テトラサイクリンアナログも、研究されている。例としては、米国特許第2,980,584号;同第2,990,331号;同第3,062,717号;同第3,165,531号;同第3,454,697号;同第3,557,280号;同第3,674,859号;同第3,957,980号;同第4,018,889号;同第4,024,272号;および同第4,126,680号(特許文献1〜11)が挙げられる。これらの特許は、多岐にわたる薬学的に活性なテトラサイクリンおよびテトラサイクリンアナログの組成物の代表例である。
【0004】
歴史的には、最初の開発および発表の直後に、テトラサイクリンが、リケッチア;数種のグラム陽性細菌およびグラム陰性細菌;ならびに、性病性リンパ肉芽腫、封入体結膜炎、およびオウム病の原因となる病原体に対して薬理学的に極めて有効であることが判明した。こうしてテトラサイクリンは「広スペクトル」の抗生物質として認められるに至った。続いて、そのインビトロにおける抗菌活性、実験的感染症における有効性、および薬理学的特性の確立により、一つのクラスとしてのテトラサイクリンは急速に、治療目的で広く使用されるようになった。しかし、重篤なおよび軽微な病気および疾患のいずれに対してもこのようにテトラサイクリンが広範に使用されたことが、共生性および病原性両方の高感受性細菌種(例えば肺炎球菌およびサルモネラ菌)においてまでも、これらの抗生物質に対する耐性の出現に直結した。テトラサイクリン耐性菌の発生により、最適な抗生物質としてのテトラサイクリンおよびテトラサイクリンアナログ組成物の使用は全体的に落ち込んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第2,980,584号
【特許文献2】米国特許第2,990,331号
【特許文献3】米国特許第3,062,717号
【特許文献4】米国特許第3,165,531号
【特許文献5】米国特許第3,454,697号
【特許文献6】米国特許第3,557,280号
【特許文献7】米国特許第3,674,859号
【特許文献8】米国特許第3,957,980号
【特許文献9】米国特許第4,018,889号
【特許文献10】米国特許第4,024,272号
【特許文献11】米国特許第4,126,680号
【発明の概要】
【0006】
一態様において、本発明は少なくとも部分的に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンなどの9-アミノメチルテトラサイクリン化合物またはその塩の経口製剤に関する。本組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態であってよい。
【0007】
さらなる態様において、本発明はまた、約15重量%〜約30重量%、約16重量%〜約28重量%、約18重量%〜約25重量%、約 19重量%〜約22重量%、約19.5重量%〜約21.5重量%、または約20重量%の有効成分、例えば9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩(例えばトシレート塩)を含む経口製剤にも関する。
【0008】
さらに別の態様において、本発明はまた、重量約450 mg〜約550 mg、約480 mg〜約520 mg、約490 mg〜約510 mg、約495 mg〜約505 mg、または約500 mgである核を有する錠剤を含む経口製剤にも関する。
【0009】
さらなる態様において、本発明はまた、約70 mg〜約200 mg、約80 mg〜約180 mg、約90 mg〜約160 mg、約100 mg〜約140 mg、約120 mg〜135 mg、または約132.8 mg当量の有効成分、例えば9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩を含む経口製剤にも関する。
【0010】
別の態様において、本発明はまた、平均硬度約2 Kp〜約20 Kp、約3 Kp〜約18 Kp、約4 Kp〜約16 Kp、約5 Kp〜約15 Kp、約6 Kp〜約15 Kp、約6.3 Kp〜約14.5 Kp、約6.3 Kp〜約10 Kp、約6.3 Kp〜約8 Kp、約6.3 Kp〜約7 Kp、または約6.3 Kp〜約6.8 Kpである錠剤製剤にも関する。さらなる態様において、本発明はまた、平均硬度約6.5 Kpの錠剤製剤にも関する。
【0011】
さらに別の態様において、本発明はまた、崩壊時間約5分間〜約30分間、約7分間〜約28分間、約8分間〜約25分間、約9分間〜約23分間、約10分間〜約22分間、または約11分間〜約21分間である錠剤製剤にも関する。さらなる態様において、本発明はまた、崩壊時間が30分間を上回る錠剤製剤にも関する。
【0012】
さらなる態様において、本発明はまた、以下を含む錠剤にも関する:約5〜40重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩(例えばトシレート塩);約50〜90重量%の希釈剤;約0.01〜0.5重量%の安定剤;約0.2〜2.0重量%の流動化剤(glidant);約3〜10重量%の崩壊剤;約3〜10重量%の滑沢剤;任意で約0.5〜3.0重量%の緩衝剤;任意で約0.1〜2.0重量%の接着防止剤;および任意で約1〜6重量%のコーティング成分、例えばコーティング着色剤。賦形剤およびその他の添加剤の文脈において、「1つの」や「ある」という用語(例えば「1つの希釈剤」または「ある接着防止剤」)の使用は、同じ機能を発揮させるために複数の異なる化合物が用いられる例を含めることも意味することを、認識されたい。したがって、例えば「1つの希釈剤」を50〜90%の量で有する製剤には、単一の化合物が希釈剤としてはたらきかつ該量で存在する例、および、2、3、またはそれ以上の異なる化合物が希釈剤としてはたらきかつ該量で一緒に存在する例が含まれる。
【0013】
また別のさらなる態様において、本発明は、以下を含む錠剤を含む:約13〜30重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約10〜60重量%のラクトース;約10〜50重量%の微結晶セルロース;約0.05〜0.25重量%の亜硫酸水素ナトリウム;約0.4〜1.6重量%の二酸化ケイ素;約4.5〜6.5重量%のステアリン酸マグネシウムまたはナトリウムステアリルフマラート;約4〜6重量%のクロスポビドン;任意で約1.0〜2.0重量%のクエン酸;任意で約0.7〜1.2重量%のタルク;任意で約3〜5重量%のEudragit E100、および約1〜10重量%のOPADRY(登録商標)AMB Red。9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンが塩として存在する場合、重量パーセント範囲には、遊離塩基および塩対イオンの重量が(表1に例示されるようにそのような重量パーセントが別々に記載されていない限り)含まれることを認識されたい。
【0014】
また別のさらなる態様において、本発明はまた、以下からなる錠剤も含む:約13〜30重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約15〜25重量%のラクトース;約35〜45重量%の微結晶セルロース;約0.17〜0.22重量%の亜硫酸水素ナトリウム;約0.9〜1.1重量%の二酸化ケイ素;約4.5〜5.5重量%のステアリン酸マグネシウムまたはナトリウムステアリルフマラート;約4.5〜5.5重量%のクロスポビドン;クエン酸無し;タルク無し;Eudragit E100無し、および約3〜4.5重量%のOPADRY(登録商標)AMB Red。さらなる態様において、本発明の錠剤は上記で列挙した成分から本質的になる。
【0015】
また別のさらなる態様において、本発明はまた、以下からなる錠剤も含む:約15〜30重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約15〜25重量%のラクトース;約35〜45重量%の微結晶セルロース;約0.17〜0.22重量%の亜硫酸水素ナトリウム;約0.4〜0.6重量%の二酸化ケイ素;約4.5〜5.5重量%のステアリン酸マグネシウム;約4.5〜5.5重量%のクロスポビドン;および約0.9〜1.1重量%のタルク。さらなる態様において、本発明の錠剤は上記で列挙した成分から本質的になる。
【0016】
また別のさらなる態様において、本発明はまた、以下からなる錠剤も含む:約26.56重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約20.00重量%のラクトース;約41.74重量%の微結晶セルロース;約0.20重量%の亜硫酸水素ナトリウム;約0.50重量%の二酸化ケイ素;約5.00重量%のステアリン酸マグネシウム;約5.00重量%のクロスポビドン;および約1.00重量%のタルク。さらなる態様において、本発明の錠剤は上記で列挙した成分から本質的になる。
【0017】
また別のさらなる態様において、本発明はまた、以下からなる錠剤も含む:約13〜14重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約45〜55重量%のラクトース;約15〜25重量%の微結晶セルロース;約0.07〜0.12重量%の亜硫酸水素ナトリウム;約0.4〜0.55重量%の二酸化ケイ素;約5.5〜6.0重量%のステアリン酸マグネシウムまたはナトリウムステアリルフマラート;約4.5〜5重量%のクロスポビドン;約1.25〜1.75重量%のクエン酸;約0.7〜1.2重量%のタルク;および約3〜5重量%のEudragit E100。さらなる態様において、本発明の錠剤は上記で列挙した成分から本質的になる。
【0018】
また別のさらなる態様において、本発明はまた、以下からなる錠剤も含む:約195〜205 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約155〜165 mgのラクトース;約295〜310 mgの微結晶セルロース;約1.0〜2.0 mgの亜硫酸水素ナトリウム;約30〜50 mgのクロスポビドン;約6〜8 mgの二酸化ケイ素;約30〜50 mgのステアリン酸マグネシウムまたはナトリウムステアリルフマラート;任意で約12.5〜17.5 mgのクエン酸;任意で約7.5〜12.5 mgのタルク;任意で約30〜50 mgのEudragit E100、および約20〜40 mgのOPADRY(登録商標)AMB Red。
【0019】
本発明はまた、以下からなる錠剤にも、少なくとも部分的に関する:約202 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約161 mgのラクトース;約303 mgの微結晶セルロース;約1.5 mgの亜硫酸水素ナトリウム;約37.5 mgのクロスポビドン;約7.5 mgの二酸化ケイ素;約37.5 mgのナトリウムステアリルフマラート;および約30 mgのOPADRY(登録商標)AMB Red。
【0020】
また別のさらなる態様において、本発明はまた、以下からなる錠剤も含む:約120〜135 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約90〜110 mgのラクトース;約190〜220 mgの微結晶セルロース;約0.8〜1.2 mgの亜硫酸水素ナトリウム;約20〜30 mgのクロスポビドン;約2〜3 mgの二酸化ケイ素;約20〜30 mgのステアリン酸マグネシウム;および約4〜6 mgのタルク。
【0021】
本発明はまた、以下からなる錠剤にも、少なくとも部分的に関する:約132.80 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約100.00 mgのラクトース;約208.70 mgの微結晶セルロース;約1.00 mgの亜硫酸水素ナトリウム;約25.00 mgのクロスポビドン;約2.50 mgの二酸化ケイ素;約25.00 mgのステアリン酸マグネシウム;および約5.00 mgのタルク。
【0022】
また別のさらなる態様において、本発明はまた、以下からなる錠剤も含む:約135〜140 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約500〜525 mgのラクトース;約200〜210 mgの微結晶セルロース;約0.5〜1.5 mgの亜硫酸水素ナトリウム;約40〜60 mgのクロスポビドン;約4〜5 mgの二酸化ケイ素;約50〜70 mgのステアリン酸マグネシウム;約12.5〜17.5 mgのクエン酸;約7.5〜12.5 mgのタルク;および約30〜50 mgのEudragit E100。
【0023】
本発明はまた、以下からなる錠剤にも、少なくとも部分的に関する:約138.5 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約515 mgのラクトース;約205.5 mgの微結晶セルロース;約1.0 mgの亜硫酸水素ナトリウム;約50 mgのクロスポビドン;約5.0 mgの二酸化ケイ素;約60 mgのステアリン酸マグネシウム;約15 mgのクエン酸;約10 mgのタルク;および約40 mgのEudragit E100。
【0024】
別の態様において、本発明はまた、90〜120 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基および薬学的に許容される担体を含む、経口製剤も特徴とする。
【0025】
さらなる態様において、本発明は、約95〜115 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基、0.95〜1.15 mgの亜硫酸水素ナトリウム、約0.09〜0.115 mgのコロイド状無水シリカ、およびカプセルからなる、経口カプセル製剤を特徴とする。
【0026】
さらに別の態様において、本発明はまた、約90〜110 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基および薬学的に許容される担体(例えば水性担体)を含む注射可能な製剤にも、少なくとも部分的に関する。
【0027】
本発明はまた、約90〜110 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基、リオプロテクタント(lyoprotectant)、抗酸化剤、および担体を含む注射製剤にも、少なくとも部分的に関する。
【0028】
さらなる態様において、本発明は、約90〜110 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基、90〜110 mgのショ糖、0.9〜1.1 mgの亜硫酸水素ナトリウム、および水性担体を含む注射可能な製剤に、少なくとも部分的に関する。
【0029】
別のさらなる態様において、本発明はまた、約100 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基、100 mgのショ糖、1 mgの亜硫酸水素ナトリウム、pH調整化合物、および水性担体からなる、注射可能な製剤も特徴とする。
【0030】
本発明はまた、本発明の製剤を用いて対象を治療するための方法も、少なくとも部分的に特徴とする。特定の態様において、対象は細菌感染症に関して治療される。本発明は、以下を含む経口製剤に関する:約5〜40重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリントシレート塩;約50〜90重量%の希釈剤;約0.01〜0.5重量%の安定剤;約0.2〜2.0重量%の流動化剤;約1〜11重量%の滑沢剤;約0.5〜10重量%の崩壊剤;および任意で0.5〜1.5%の接着防止剤。例えば、希釈剤にはラクトース、微結晶セルロース、またはこれらの組み合わせを含めることができる。
【0031】
一部の態様では、上記経口製剤はまた、緩衝剤、接着防止剤、コーティング成分、またはこれらの組み合わせも含む。
【0032】
例えば、本発明の経口製剤は以下を含む:約10〜30重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩;約50〜90重量%の希釈剤;約0.01〜0.5重量%の安定剤;約0.2〜2.0重量%の流動化剤;約3〜10重量%の滑沢剤;約3〜10重量%の崩壊剤;および約0.01〜0.5重量%の接着防止剤。
【0033】
上記経口製剤の一例は以下を含む:約26〜28重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリントシレート塩;約10〜30重量%のラクトース;約30〜50重量%の微結晶セルロース;約0.05〜0.35重量%の亜硫酸水素ナトリウム;約0.5〜1.5重量%の二酸化ケイ素;約4.5〜6.0重量%のナトリウムステアリルフマラートまたはステアリン酸マグネシウム;約4〜6重量%のクロスポビドン;および約0.5〜1.5重量%のタルク。
【0034】
上記経口製剤の一例は以下を含む:約26〜28重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約15〜25重量%のラクトース;約35〜45重量%の微結晶セルロース;約0.15〜0.25重量%の亜硫酸水素ナトリウム;約0.8〜1.2重量%の二酸化ケイ素;約4.8〜5.2重量%のナトリウムステアリルフマラートまたはステアリン酸マグネシウム;約4.8〜5.2重量%のクロスポビドン;約0.15〜0.25重量%のタルク、および約3〜5%のOPADRY(登録商標)AMB Red。
【0035】
一態様において、上記経口製剤は、約90〜250 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩を含む。
【0036】
例えば上記経口製剤は、以下を含む錠剤の形態である:約125〜140 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約90〜110 mgのラクトース;約200〜220 mgの微結晶セルロース;約0.75〜1.5 mgの亜硫酸水素ナトリウム;約20〜30 mgのクロスポビドン;約2〜3 mgの二酸化ケイ素;約20〜30 mgのステアリン酸マグネシウム;約4.5〜5.5 mgのタルク、および約20〜40 mgのOPADRY(登録商標)AMB Red。
【0037】
また本発明は、製剤の総重量に基づき10重量%を上回る量で存在する9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩の経口製剤にも関する。例えば、上記製剤は総重量約500 mgの錠剤である。
【0038】
また本発明は、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩および少なくとも1つの薬学的に許容される希釈剤を含む、打錠された固形剤形にも関し、ここで該9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩は、打錠された固形剤形の総重量に基づき約20重量%である量で存在する。例えば、上記打錠された固形剤形は総重量約500 mgの錠剤である。
【0039】
また本発明は、対象における感染症を治療するための医薬の製造における、本明細書に記載の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩の製剤の使用にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】造粒の前に様々なサイズの篩によって保持された粒子のパーセンテージを示す。
【図2】造粒の後に様々なサイズの篩によって保持された粒子のパーセンテージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
発明の詳細な説明
本発明は少なくとも部分的に、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンなどの9-アミノメチルテトラサイクリン化合物またはその塩の経口製剤および注射可能な製剤に関する。本発明の製剤は、ヒトなどの対象における細菌感染症を治療するのに有用であることが認められた。
【0042】
「9-アミノメチルテトラサイクリン化合物」という用語には、9位においてアミノメチル部分(例えば-CH2-NR'R''、式中、R'およびR''はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールアルキルであるか、連結して環などを形成する)で置換された、テトラサイクリンおよびそのアナログ(例えばミノサイクリン、サンサイクリン、ドキシサイクリン、メタサイクリンなど)のものと類似した4環の核構造を有する化合物が含まれる。好ましくは、上記テトラサイクリン化合物は9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩である。9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンの構造は

である。
【0043】
さらなる態様において、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンを、遊離塩基としてもしくはトシレート塩として経口投与するか、または遊離塩基として注射する。
【0044】
さらなる態様において、本明細書記載の製剤を、該製剤による治療を必要とする患者に投与する。例えば、治療を必要とする患者としては、細菌感染症などの感染症を有する患者、有することが疑われる患者、その感染リスクを有する患者、または以前感染したことがある患者が挙げられる。
【0045】
本明細書で使用する「患者」(同じく「対象」)という用語は、本明細書記載の製剤による治療を必要とする任意の動物を含む。例としては、ウシ、ヒツジ、ヤギなどの家畜、およびヒトが挙げられる。
【0046】
「治療する」または「治療」という用語は、治療対象となる障害、例えば細菌感染症の症状のうち1つまたは複数の寛解、根絶、または減少を指す。特定の態様において、上記障害には、治療対象となる感染症に関連する細菌の大部分の根絶または除去が含まれる。一部の例において、感染前に、すなわち予防的処置として、本発明の組成物を投与する。
【0047】
さらなる態様において、上記感染症とは、グラム陽性病原菌(例えば黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MSSA)、黄色ブドウ球菌(MRSA)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・フェシウム(VRE)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、肺炎連鎖球菌(PRSP)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)など)、グラム陰性病原菌(例えばインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、大腸菌(Escherichia coli)、赤痢菌種(Shigella spp.)、サルモネラ菌種(Salmonella spp.)、肺炎杆菌(Klebsiella pneumoniae)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、霊菌(Serratia marcescens)、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)など)、嫌気性病原菌(例えばバクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)など)、および/または非定型病原菌(例えばクラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)など)により引き起こされる感染症であり得る。
【0048】
経口錠剤製剤
一態様において、本発明は少なくとも部分的に、錠剤形態である9-アミノメチルテトラサイクリン化合物またはその塩の経口製剤に関する。好都合には、9-アミノメチルテトラサイクリン化合物とは9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンであり、塩とはトシレート塩である。
【0049】
さらなる態様において、上記製剤は、約5重量%〜約40重量%、約10重量%〜約30重量%、約10重量%〜約27重量%、約12重量%〜約25重量%、約13重量%〜約25重量%、約14重量%〜約25重量%、約15重量%〜約24重量%、約16重量%〜約24重量%、約16重量%〜約23重量%、約16重量%〜約22重量%、約18重量%〜約22重量%、約19重量%〜約21重量%、または約20.0重量%の有効成分、例えば9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基を含む。
【0050】
さらなる態様において、上記製剤は約50%〜約90%の希釈剤または不活性成分を含む。そのような希釈剤の例にはラクトースおよび微結晶セルロースが含まれるが、これらに限定されない。さらなる態様において、上記製剤は、約10%〜約60%、約10%〜約30%、約11%〜約29%、約12%〜約28%、約13%〜約27%、約14%〜約26%、約15%〜約25%、約16%〜約24%、約17%〜約23%、約18%〜約22%、約19%〜約22%、約20%〜約22%、または好ましくは約21.5%のラクトースを含む。
【0051】
別のさらなる態様において、上記製剤は、約10重量%〜約50重量%、約30重量%〜約50重量%、約31重量%〜約49重量%、約32重量%〜約48重量%、約33重量%〜約47重量%、約34重量%〜約46重量%、約35重量%〜約45重量%、約36重量%〜約44重量%、約37重量%〜約43重量%、約38重量%〜約42重量%、約39重量%〜約41重量%、約40重量%〜約41重量%、または好ましくは約40.4重量%の微結晶セルロースを含む。
【0052】
別のさらなる態様において、上記製剤は安定剤を含む。安定剤は抗酸化剤であってもよい。安定剤の例としては、亜硫酸水素ナトリウムが挙げられる。一態様において、上記製剤は、約0.01重量%〜約0.5重量%、約0.02重量%〜約0.45重量%、約0.04重量%〜約0.4重量%、約0.05重量%〜約0.35重量%、約0.10重量%〜約0.3重量%、約0.15重量%〜約0.25重量%、約0.16重量%〜約0.24重量%、約0.17重量%〜約0.23重量%、約0.18重量%〜約0.22重量%、約0.19重量%〜約0.21重量%、または約0.2重量%の亜硫酸水素ナトリウムを含む。
【0053】
別のさらなる態様において、上記製剤はコロイド状二酸化ケイ素などの流動化剤を含む。一態様において、上記製剤は、約0.1重量%〜約2.0重量%、約0.3重量%〜約1.9重量%、約0.5重量%〜約1.5重量%、約0.7重量%〜約1.4重量%、約0.8重量%〜約1.2重量%、または約1.0重量%のコロイド状二酸化ケイ素を含む。
【0054】
また別のさらなる態様において、上記製剤はまた、ステアリン酸マグネシウムまたはナトリウムステアリルフマラートなどの滑沢剤も含む。一態様において、上記製剤は、約1重量%〜約11重量%、約2重量%〜約10重量%、約3重量%〜約9重量%、約4重量%〜約8重量%、約4重量%〜約7重量%、約4.5重量%〜約6重量%、または約5.0重量%のステアリン酸マグネシウムまたはナトリウムステアリルフマラートを含む。
【0055】
また別のさらなる態様において、上記製剤はまた、クロスポビドンなどの崩壊剤も含む。一態様において、上記製剤は、約0.5重量%〜約10重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約9重量%、約3重量%〜約8重量%、約4重量%〜約7重量%、約4重量%〜約6重量%、または約5.0重量%のクロスポビドンを含む。
【0056】
また別のさらなる態様において、上記錠剤製剤はまた、クエン酸などの緩衝剤も含みうる。存在する場合、上記クエン酸は、約0.9重量%〜約2.0重量%、約1.0重量%〜約1.9重量%、約1.1重量%〜約1.8重量%、約1.2重量%〜約1.7重量%、約1.3重量%〜約1.6重量%、約1.4重量%〜約1.5重量%、または約1.44重量%で存在しうる。
【0057】
また別のさらなる態様において、上記錠剤製剤はまた、タルクなどの接着防止剤も含みうる。存在する場合、上記タルクは、約0.1重量%〜約2.0重量%、約0.2重量%〜約1.9重量%、約0.3重量%〜約1.8重量%、約0.4重量%〜約1.7重量%、約0.4重量%〜約1.6重量%、約0.5重量%〜約1.5重量%、約0.6重量%〜約1.4重量%、約0.7重量%〜約1.3重量%、約0.8重量%〜約1.2重量%、約0.9重量%〜約1.1重量%、または約0.96重量%で存在しうる。
【0058】
上記経口製剤はまた、コーティングも含みうる。存在する場合、上記コーティングは、任意でEudragit El00を含んでもよく、かつ任意で微量の溶媒(好ましくは約0.1%未満のエタノール)を含んでもよい。一態様において、上記製剤は、約1重量%〜約8重量%、約2重量%〜約7重量%、約2重量%〜約6重量%、約2重量%〜約5重量%、約3重量%〜約4重量%、または約3.4重量%のEudragit E100を含む。
【0059】
上記経口製剤はまた、OPADRY(登録商標)AMB Redなどのコーティング着色剤も含みうる。一態様において、上記製剤は、約1重量%〜約8重量%、約2重量%〜約7重量%、約2重量%〜約6重量%、約2重量%〜約5重量%、約3重量%〜約4重量%、または約3.85重量%のOPADRY(登録商標)AMB Redを含む。
【0060】
別の態様において、本発明は、約190〜約205 mgの9-アミノメチルテトラサイクリン化合物、例えば9-[(2,2-ジメチルプロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩を含む錠剤に関する。好ましくは、上記錠剤は、約201.6 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩(すなわち150 mgの9-[(2,2-ジメチルプロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンおよび51.6 mgのトシレート対イオン)を含む。
【0061】
別のさらなる態様において、上記錠剤は、約140 mg〜約180 mg、約145 mg〜約175 mg、約150 mg〜約170 mg、155 mg〜約165 mg、または約161.1 mgの希釈剤、例えばラクトースを含む。
【0062】
別のさらなる態様において、上記錠剤は、約290 mg〜約315 mg、約295 mg〜約310 mg、約295 mg〜約305 mg、約300 mg〜約305 mg、または約303.3 mgの追加の希釈剤、例えば微結晶セルロースを含む。
【0063】
上記錠剤組成物はまた、安定剤をさらに含んでもよい。上記安定剤は亜硫酸水素ナトリウムであってよく、これはまた抗酸化剤でもある。一態様において、上記組成物は、1錠あたり約0.1 mg〜約2 mg、約0.2 mg〜約2 mg、約0.3 mg〜約2 mg、約0.4 mg〜約2 mg、約0.5 mg〜約1.9 mg、約0.6 mg〜約1.8 mg、約0.7 mg〜約1.7 mg、約0.8 mg〜約1.6 mg、約0.9 mg〜約1.5 mg、約1.0 mg〜約1.5 mg、約1.0 mg〜約2.0、約1.1 mg〜約1.9 mg、約1.2 mg〜約1.8 mg、約1.3 mg〜約1.7 mg、約1.4 mg〜約1.6 mg、または約1.5 mgの亜硫酸水素ナトリウムを含む。
【0064】
また別のさらなる態様において、上記錠剤は、約10 mg〜約100 mg、約20 mg〜約80 mg、約30 mg〜約60 mg、約30 mg〜約50 mg、約35 mg〜約45 mg、約35 mg〜約40 mg、または約37.5 mgの崩壊剤、例えばクロスポビドンを含む。
【0065】
また別のさらなる態様において、上記錠剤は、コロイド状二酸化ケイ素などの流動化剤を含む。上記錠剤は、約1.0 mg〜約12.0 mg、約2.0 mg〜約11.0 mg、約3.0 mg〜約10.0 mg、約4.0 mg〜約9.0 mg、約5.0 mg〜約8.0 mg、約6.0 mg〜約8.0 mg、約7.0 mg〜約8.0 mg、または約7.5 mgの流動化剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素を含みうる。
【0066】
また別のさらなる態様において、上記錠剤は、約10 mg〜約110 mg、約20 mg〜約90 mg、約25 mg〜約70 mg、約30 mg〜約50 mg、約35 mg〜約40 mg、または約37.5 mgの滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムまたはナトリウムステアリルフマラートを含む。
【0067】
また別のさらなる態様において、上記錠剤は、クエン酸などの緩衝剤を含んでもよいが、他の酸も使用可能である。存在する場合、上記緩衝剤は、約10 mg〜約20 mg、約11 mg〜約19 mg、約12 mg〜約18 mg、約13 mg〜約17 mg、約14 mg〜約16 mg、または約15 mgの量の緩衝剤、例えばクエン酸で存在しうる。
【0068】
また上記錠剤は、錠剤がはりつかないようにするための接着防止剤を含んでもよい。一態様において上記接着防止剤はタルクである。存在する場合、上記組成物は、1錠あたり約1 mg〜約20 mg、約2 mg〜約19 mg、約3 mg〜約18 mg、約4 mg〜約17 mg、約5 mg〜約16 mg、約6 mg〜約15 mg、約7 mg〜約14 mg、約8 mg〜約13 mg、約9 mg〜約12 mg、約9 mg〜約11 mg、または約10 mgの接着防止剤、例えばタルクを含む。
【0069】
また別のさらなる態様において、上記錠剤はコーティング成分を含んでもよい。コーティング成分の例には、着色剤およびコーティングポリマーが含まれる。具体例としては、OPADRY(登録商標)AMB RedおよびEudragit E100が挙げられる。
【0070】
また別のさらなる態様において、上記錠剤は、OPADRY(登録商標)AMB Redなどのコーティング着色剤を含んでもよいが、他の着色剤も使用可能である。上記錠剤は、約10 mg〜約50 mg、または約15 mg〜約45 mg、または約20 mg〜約40、または約25 mg〜約35 mg、または約30 mgの着色剤を含みうる。
【0071】
上記コーティングを、エタノールなどの溶媒を用いて上記錠剤に塗布してもよい。上記組成物に、微量のエタノールを含めてもよい。さらなる態様において、上記コーティングはEudragit E100を含む。Eudragit E100は、1錠あたり約10 mg〜約90 mg、約20 mg〜約80 mg、約30 mg〜約70 mg、約30 mg〜約60 mg、約30 mg〜約50 mg、または約40 mgの量で存在しうる。
【0072】
さらなる態様において、上記製剤は、15重量%〜約30重量%、約16重量%〜約28重量%、約18重量%〜約25重量%、約 19重量%〜約22重量%、約19.5重量%〜約21.5重量%、または約20重量%の有効成分、例えば9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリントシレート塩を含む。
【0073】
さらなる態様において、上記製剤は約50%〜約90%の希釈剤または不活性成分を含む。そのような希釈剤の例にはラクトースおよび微結晶セルロースが含まれるが、これらに限定されない。さらなる態様において、上記製剤は、約10%〜約60%、約10%〜約30%、約11%〜約29%、約12%〜約28%、約13%〜約27%、約14%〜約26%、約15%〜約25%、約16%〜約24%、約17%〜約23%、約18%〜約22%、約19%〜約22%、約19.5%〜約21.5%、または好ましくは約20%のラクトースを含む。
【0074】
別のさらなる態様において、上記製剤は、約30重量%〜約50重量%、約31重量%〜約50重量%、約32重量%〜約49重量%、約33重量%〜約48重量%、約34重量%〜約47重量%、約35重量%〜約46重量%、約36重量%〜約45重量%、約37重量%〜約44重量%、約38重量%〜約43重量%、約39重量%〜約42重量%、約40重量%〜約42重量%、または好ましくは約41.74重量%の微結晶セルロースを含む。
【0075】
別のさらなる態様において、上記製剤は安定剤を含む。安定剤は抗酸化剤であってもよい。安定剤の例としては、亜硫酸水素ナトリウムが挙げられる。一態様において、上記製剤は、約0.01重量%〜約0.5重量%、約0.02重量%〜約0.45重量%、約0.04重量%〜約0.4重量%、約0.05重量%〜約0.35重量%、約0.10重量%〜約0.3重量%、約0.15重量%〜約0.25重量%、約0.16重量%〜約0.24重量%、約0.17重量%〜約0.23重量%、約0.18重量%〜約0.22重量%、約0.19重量%〜約0.21重量%、または約0.2重量%の亜硫酸水素ナトリウムを含む。
【0076】
別のさらなる態様において、上記製剤はコロイド状二酸化ケイ素などの流動化剤を含む。一態様において、上記製剤は、約0.1重量%〜約1.5重量%、約0.2重量%〜約1.0重量%、約0.3重量%〜約0.8重量%、約0.4重量%〜約0.6重量%、または約0.5重量%のコロイド状二酸化ケイ素を含む。
【0077】
また別のさらなる態様において、上記製剤はまた、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も含む。一態様において、上記製剤は、約1重量%〜約11重量%、約2重量%〜約10重量%、約3重量%〜約9重量%、約4重量%〜約8重量%、約4重量%〜約7重量%、約4.5重量%〜約6重量%、または約5.0重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0078】
また別のさらなる態様において、上記製剤はまた、クロスポビドンなどの崩壊剤も含む。一態様において、上記製剤は、約0.5重量%〜約10重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約9重量%、約3重量%〜約8重量%、約4重量%〜約7重量%、約4重量%〜約6重量%、または約5.0重量%のクロスポビドンを含む。
【0079】
また別のさらなる態様において、上記錠剤製剤はまた、タルクなどの接着防止剤も含みうる。存在する場合、上記タルクは、約0.1重量%〜約2.0重量%、約0.2重量%〜約1.9重量%、約0.3重量%〜約1.8重量%、約0.4重量%〜約1.7重量%、約0.4重量%〜約1.6重量%、約0.5重量%〜約1.5重量%、約0.6重量%〜約1.4重量%、約0.7重量%〜約1.3重量%、約0.8重量%〜約1.2重量%、約0.9重量%〜約1.1重量%、または約1.00重量%で存在しうる。
【0080】
別の態様において、本発明は、約70 mg〜約200 mg、約80 mg〜約180 mg、約90 mg〜約160 mg、約100 mg〜約140 mg、または約120 mg〜約135 mgの9-[(2,2-ジメチルプロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩を含む錠剤に関する。好ましくは、上記錠剤は、約132.8 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩を含む。
【0081】
別のさらなる態様において、上記錠剤は、約50 mg〜約150 mg、約60 mg〜約140 mg、約70 mg〜約130 mg、80 mg〜約120 mg、90 mg〜約110 mg、または約100 mgの希釈剤、例えばラクトースを含む。
【0082】
別のさらなる態様において、上記錠剤は、約150 mg〜約250 mg、約170 mg〜約230 mg、約180 mg〜約220 mg、約190 mg〜約210 mg、または約208.70 mgの追加の希釈剤、例えば微結晶セルロースを含む。
【0083】
上記錠剤組成物はまた、安定剤をさらに含んでもよい。上記安定剤は亜硫酸水素ナトリウムであってよく、これはまた抗酸化剤でもある。一態様において、上記組成物は、1錠あたり約0.1 mg〜約2 mg、約0.2 mg〜約1.9 mg、約0.3 mg〜約1.8 mg、約0.4 mg〜約1.7 mg、約0.5 mg〜約1.6 mg、約0.6 mg〜約1.5 mg、約0.7 mg〜約1.4 mg、約0.8 mg〜約1.3 mg、約0.9 mg〜約1.2 mg、約0.95 mg〜約1.1 mg、または約1.0 mgの亜硫酸水素ナトリウムを含む。
【0084】
また別のさらなる態様において、上記錠剤は、約5 mg〜約80 mg、約10 mg〜約60 mg、約15 mg〜約40 mg、約18 mg〜約35 mg、約20 mg〜約30 mg、約22 mg〜約28 mg、または約25.0 mgの崩壊剤、例えばクロスポビドンを含む。
【0085】
また別のさらなる態様において、上記錠剤は、コロイド状二酸化ケイ素などの流動化剤を含む。上記錠剤は、約0.5 mg〜約10.0 mg、約0.7 mg〜約8.0 mg、約1.0 mg〜約6.0 mg、約1.3 mg〜約4.0 mg、約1.8 mg〜約3.0 mg、約2.1 mg〜約2.8 mg、約2.4 mg〜約2.6 mg、または約2.5 mgの流動化剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素を含む。
【0086】
また別のさらなる態様において、上記錠剤は、約5 mg〜約80 mg、約10 mg〜約60 mg、約15 mg〜約40 mg、約18 mg〜約35 mg、約20 mg〜約30 mg、約22 mg〜約28 mg、または約25.0 mgの滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムを含む。
【0087】
また上記錠剤は、錠剤がはりつかないようにするための接着防止剤を含んでもよい。一態様において上記接着防止剤はタルクである。上記組成物は、1錠あたり約1 mg〜約10 mg、約1.5 mg〜約9 mg、約2.0 mg〜約8 mg、約2.5mg〜約7 mg、約3.0 mg〜約6 mg、約3.5 mg〜約5.8 mg、約4.0 mg〜約5.6 mg、約4.5 mg〜約5.4 mg、約4.8 mg〜約5.3 mg、約4.9 mg〜約5.1 mg、または約5 mgの接着防止剤、例えばタルクを含む。
【0088】
希釈剤、安定剤、崩壊剤、流動化剤、および滑沢剤の成分はまた、本明細書において、本明細書記載の製剤における薬学的に許容される担体とも呼ばれうることを、認識されたい。したがって上記製剤は、例えば亜硫酸水素ナトリウム、二酸化ケイ素、ラクトース、ナトリウムステアリルフマラート、微結晶セルロース、またはこれらの組み合わせを、薬学的に許容される担体として含むとも言うことができる。
【0089】
さらなる態様において、本発明はまた、以下を含む錠剤にも関する:約10〜15重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩(例えばトシレート塩);約50〜90重量%の希釈剤;約0.01〜0.5重量%の安定剤;約0.2〜1.0重量%の流動化剤;約3〜10重量%の崩壊剤;約3〜10重量%の滑沢剤;約0.5〜3.0重量%の緩衝剤;約0.1〜2.0重量%の接着防止剤;および約1〜6重量%のコーティング成分。
【0090】
また別のさらなる態様において、本発明はまた、以下からなる錠剤も含む:約15〜30重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約15〜25重量%のラクトース;約35〜45重量%の微結晶セルロース;約0.17〜0.22重量%の亜硫酸水素ナトリウム;約0.4〜0.6重量%の二酸化ケイ素;約4.5〜5.5重量%のステアリン酸マグネシウム;約4.5〜5.5%のクロスポビドン;約0.9〜1.1%のタルク。さらなる態様において、本発明の錠剤は上記で列挙した成分から本質的になる。
【0091】
さらなる態様において、本発明はまた、以下からなる錠剤も含む:約26.56重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約20.00重量%のラクトース;約41.74重量%の微結晶セルロース;約0.20重量%の亜硫酸水素ナトリウム;約0.50重量%の二酸化ケイ素;約5.00重量%のステアリン酸マグネシウム;約5.00%のクロスポビドン;約1.00%のタルク。さらなる態様において、本発明の錠剤は上記で列挙した成分から本質的になる。
【0092】
さらに別の態様において、本発明はまた、重量約450 mg〜約550 mg、約480 mg〜約520 mg、約490 mg〜約510 mg、約495 mg〜約505 mg、または約500 mgである核を有する錠剤を含む経口製剤にも関する。
【0093】
また別のさらなる態様において、本発明は、以下を含む錠剤を含む:約13〜14重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約40〜60重量%のラクトース;約10〜30重量%の微結晶セルロース;約0.05〜0.15重量%の亜硫酸水素ナトリウム;約0.4〜0.6重量%の二酸化ケイ素;約5〜6.5重量%のステアリン酸マグネシウム;約4〜6%のクロスポビドン;約1.0〜2.0重量%のクエン酸;約0.7〜1.2重量%のタルク;および約3〜5%のEudragit E100。
【0094】
また別のさらなる態様において、本発明はまた、以下からなる錠剤も含む:約13〜14重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約45〜55重量%のラクトース;約15〜25重量%の微結晶セルロース;約0.07〜0.12重量%の亜硫酸水素ナトリウム;約0.4〜0.55重量%の二酸化ケイ素;約5.5〜6.0重量%のステアリン酸マグネシウム;約4.5〜5%のクロスポビドン;約1.25〜1.75重量%のクエン酸;約0.7〜1.2重量%のタルク;および約3〜5%のEudragit E100。さらなる態様において、本発明の錠剤は上記で列挙した成分から本質的になる。
【0095】
さらなる態様において、本発明はまた、以下を含む錠剤にも関する:約10〜30重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩(例えばトシレート塩);約50〜90重量%の希釈剤;約0.01〜0重量%の安定剤;約0.2〜2.0重量%の流動化剤;約3〜10重量%の崩壊剤;約3〜10重量%の滑沢剤;約0〜3.0重量%の緩衝剤;約0〜2.0重量%の接着防止剤;および約1〜6重量%のコーティング成分、例えばコーティング着色剤。
【0096】
また別のさらなる態様において、本発明はまた、以下からなる錠剤も含む:約13〜30重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約15〜25重量%のラクトース;約35〜45重量%の微結晶セルロース;約0.17〜0.22重量%の亜硫酸水素ナトリウム;約0.9〜1.1重量%の二酸化ケイ素;約4.5〜5.5重量%のステアリン酸マグネシウムまたはナトリウムステアリルフマラート;約4.5〜5.5%のクロスポビドン;クエン酸無し;タルク無し;Eudragit E100無し、および約3〜4.5%のOPADRY(登録商標)AMB Red。さらなる態様において、本発明の錠剤は上記で列挙した成分から本質的になる。
【0097】
また別のさらなる態様において、本発明はまた、以下からなる錠剤も含む:約195〜205 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約155〜165 mgのラクトース;約295〜310 mgの微結晶セルロース;約1.0〜2.0 mgの亜硫酸水素ナトリウム;約30〜50 mgのクロスポビドン;約6〜8 mgの二酸化ケイ素;約30〜50 mgのステアリン酸マグネシウムまたはナトリウムステアリルフマラート;任意で約12.5〜17.5 mgのクエン酸;任意で約7.5〜12.5 mgのタルク;任意で約30〜50 mgのEudragit E100、および約20〜40 mgのOPADRY(登録商標)AMB Red。
【0098】
また別のさらなる態様において、本発明はまた、以下からなる錠剤も含む:約135〜140 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約500〜525 mgのラクトース;約200〜210 mgの微結晶セルロース;約0.5〜1.5 mgの亜硫酸水素ナトリウム;約40〜60 mgのクロスポビドン;約4〜6 mgの二酸化ケイ素;約50〜70 mgのステアリン酸マグネシウム;約12.5〜17.5 mgのクエン酸;約7.5〜12.5 mgのタルク;および約30〜50 mgのEudragit E100。
【0099】
本発明はまた、以下からなる錠剤にも、少なくとも部分的に関する:約138.5 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約515 mgのラクトース;約205.5 mgの微結晶セルロース;約1.0 mgの亜硫酸水素ナトリウム;約50 mgのクロスポビドン;約5.0 mgの二酸化ケイ素;約60 mgのステアリン酸マグネシウム;約15 mgのクエン酸;約10 mgのタルク;および約40 mgのEudragit E100。
【0100】
本発明の錠剤は、直接打錠法を用いて形成可能である。例えば、約20kPaの圧力を用いて上記錠剤を形成することができ、楕円形の錠剤などのコーティング錠にすることができる。
【0101】
本発明の錠剤は、ローラー圧縮法を用いて形成可能である。例えば、ローラー圧縮法により形成される上記錠剤は、硬度約2 Kp〜約20 Kp、約3 Kp〜約18 Kp、約4 Kp〜約16 Kp、約5 Kp〜約15 Kp、約6 Kp〜約15 Kp、約6.3 Kp〜約14.5 Kp、約6.3 Kp〜約10 Kp、約6.3 Kp〜約8 Kp、約6.3 Kp〜約7 Kp、または約6.3 Kp〜約6.8 Kpを有することができる。例えば、上記錠剤の平均硬度は約6.5 Kpである。
【0102】
一態様において、上記製剤プロセスは、混合物の粒度を高めるためにローラー圧縮を使用する。例えば、いくつかの態様において、ローラー圧縮によって上記製剤における薬物負荷量がより大きくなり、例えば10重量%を上回る薬物負荷量となる。
【0103】
一態様において、以下の表1の量にしたがって、上記錠剤を配合する。
【0104】
【表1】

【0105】
別の態様において、以下の表2の量にしたがって、上記錠剤を配合する。
【0106】
【表2】

【0107】
経口カプセル製剤
別の態様において、本発明はまた、約90〜120 mgの9-アミノメチルテトラサイクリン化合物、例えば9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩および薬学的に許容される担体を含む、経口製剤も特徴とする。さらなる態様において、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンは遊離塩基である。
【0108】
別の態様において、本発明はまた、約70〜200 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩を含む経口製剤も特徴とする。
【0109】
別のさらなる態様において、上記薬学的に許容される担体には、安定剤および/または抗酸化剤、例えば亜硫酸水素ナトリウムが含まれる。上記組成物はまた、シリカ、例えばコロイド状無水シリカなどの流動化剤も含む。
【0110】
上記製剤を、例えばサイズ0の白色HPMC不透明カプセルなどのカプセルに入れてもよい。
【0111】
さらなる態様において、上記経口カプセル製剤は、約95 mg〜約115 mg、約100 mg〜約110 mg、または約105 mgの9-[(2,2-ジメチルプロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基を含む。
【0112】
上記製剤はまた、約0.95〜約1.15 mg、約0.10 mg〜約1.10 mg、または約1.05 mgの亜硫酸水素ナトリウム、および約0.09 mg〜約0.115 mg、約0.10 mg〜約0.11 mg、または約0.105 mgのコロイド状無水シリカも含みうる。コロイド状無水シリカはまた、本明細書記載の製剤において薬学的に許容される担体とも呼ばれうることを、認識されたい。
【0113】
さらなる態様において、本発明は、約95〜115 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基、0.95〜1.15 mgの亜硫酸水素ナトリウム、約0.09〜0.115 mgのコロイド状無水シリカ、およびカプセルからなる、経口カプセル製剤を特徴とする。
【0114】
別の態様において、上記経口カプセル製剤は、約70 mg〜約200 mg、約80 mg〜約180 mg、約90 mg〜約160 mg、約100 mg〜約140 mg、または約120 mg〜約135 mgの9-[(2,2-ジメチルプロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩を含む。好ましくは、上記カプセル剤は、約132.8 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩を含む。
【0115】
さらなる態様において、上記カプセル製剤はまた、以下を含んでもよい:約120〜135 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約90〜110 mgのラクトース;約190〜220 mgの微結晶セルロース;約0.8〜1.2 mgの亜硫酸水素ナトリウム;約20〜30 mgのクロスポビドン;約2〜3 mgの二酸化ケイ素;約20〜30 mgのステアリン酸マグネシウム;および約4〜6 mgのタルク。
【0116】
さらなる態様において、上記カプセル製剤は以下を含む:約132.80 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約100.00 mgのラクトース;約208.70 mgの微結晶セルロース;約1.00 mgの亜硫酸水素ナトリウム;約25.00 mgのクロスポビドン;約2.50 mgの二酸化ケイ素;約25.00 mgのステアリン酸マグネシウム;および約5.00 mgのタルク。さらなる態様において、本発明の錠剤は上記で列挙した成分から本質的になる。
【0117】
上記カプセル剤は、以下のプロセスを用いて製造されうる。まず、以下の表3に列挙した構成要素のそれぞれを個別に調製する。テトラサイクリン化合物である9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、遊離塩基を、500ミクロン篩に通し、配合量を計量した。亜硫酸水素ナトリウムを乳鉢に入れ、粉砕して結晶を壊した。次に、亜硫酸水素ナトリウムを300ミクロン篩に通し、その配合量を計量した。コロイド状無水シリカ(AEROSIL)を710ミクロン篩に通し、同様に、表3に示すその配合量を計量した。
【0118】
【表3】

a薬物作製プロセスの間に軽微な量の変動(±10%)が起こる可能性がある。
b補正量
【0119】
9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、遊離塩基および亜硫酸水素ナトリウムの両方を個別の篩に通した後、遊離塩基をステンレススチール容器に入れて、亜硫酸水素ナトリウムを加えた。混合物を10分間ブレンドした後、コロイド状無水シリカ(AEROSIL)を加えた。シリカを添加した後に、混合物を5分間ブレンドした。次にHPMCカプセルを手で充填し(hand filled)、それぞれの重量を記録する。
【0120】
注射可能な製剤
別の態様において、本発明はまた、約90〜110 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基および薬学的に許容される担体(例えば水性担体)を含む注射可能な製剤も特徴とする。
【0121】
さらなる態様において、上記注射製剤は、約90〜110 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンと、遊離塩基、リオプロテクタント、抗酸化剤、pH調整化合物、および担体より選択される1つまたは複数の成分とを含みうる。
【0122】
リオプロテクタントの例としては、例えば、ショ糖などの糖が挙げられる。上記製剤は、(例えば約100 mgのテトラサイクリン化合物を含むバイアルについて)約90〜約110 mg、約95 mg〜約105 mg、または約100 mgのショ糖を含みうる。
【0123】
抗酸化剤の例には亜硫酸水素ナトリウムが含まれるが、これに限定されるわけではない。上記注射可能な製剤は、(例えば約100 mgのテトラサイクリン化合物を含むバイアルについて)約0.9〜約1.1 mg、約0.95〜約1.05 mg、または約1.0 mgの亜硫酸水素ナトリウムを含みうる。
【0124】
上記製剤はまた、組成物のpHを4.2に調整するために使用可能な酸および塩基も含みうる。そのような化合物の例としては塩酸および水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0125】
さらなる態様において、本発明は、約90〜110 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基、90〜110 mgのショ糖、0.9〜1.1 mgの亜硫酸水素ナトリウム、および水性担体を含む注射可能な製剤に、少なくとも部分的に関する。
【0126】
別のさらなる態様において、本発明はまた、約100 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基、100 mgのショ糖、1 mgの亜硫酸水素ナトリウム、pH調整化合物、および水性担体からなる、注射可能な製剤も特徴とする。
【0127】
100 mgバイアルに対する、9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基の注射可能な製剤1バッチの組成を、以下の表4に記載する。
【0128】
【表4】

【0129】
まず容器に水(4.662リットル)および174.8グラムのショ糖を投入することによって、上記注射可能な製剤を製造してもよい。372グラムの1 M塩酸および1.75 gの亜硫酸水素ナトリウムも、添加した。次に、174.8 gの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基を添加した。テトラサイクリン化合物を加えた後、必要に応じて0.1 M水酸化ナトリウムまたは0.1 M塩酸を用いて、pHを4.0〜4.5に調整した。水を追加して、得られた溶液の重量を5.82 kgに調整した。次に、混合物を0.22 pm滅菌フィルタに通して濾過した。その後、バイアルあたり3.5 gの上記溶液を1型ガラスバイアルに充填した。
【0130】
9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンのトシレート塩を用いた注射可能な製剤を調製することもできる。表5に、製剤の例を示す。
【0131】
【表5】

【0132】
ローラー圧縮
別の態様において、本発明は、以下からなる経口錠剤製剤を特徴とする:約120〜135 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;約90〜110 mgのラクトース;約190〜220 mgの微結晶セルロース;約0.8〜1.2 mgの亜硫酸水素ナトリウム;約20〜30 mgのクロスポビドン;約2〜3 mgの二酸化ケイ素;約20〜30 mgのステアリン酸マグネシウム;および約4〜6 mgのタルク。
【0133】
さらなる態様において、本発明は、重量が約450 mg〜約550 mg、約480 mg〜約520 mg、約490 mg〜約510 mg、約495 mg〜約505 mg、または約500 mgである錠剤からなる経口錠剤製剤を特徴とする。
【0134】
さらなる態様において、本発明は、平均硬度約2 Kp〜約20 Kp、約3 Kp〜約18 Kp、約4 Kp〜約16 Kp、約5 Kp〜約15 Kp、約6 Kp〜約15 Kp、約6.3 Kp〜約14.5 Kp、約6.3 Kp〜約10 Kp、約6.3 Kp〜約8 Kp、約6.3 Kp〜約7 Kp、または約6.3 Kp〜約6.8 Kpである錠剤からなる経口錠剤製剤を特徴とする。好ましい態様において、本発明はまた、平均硬度約6.5 Kpの錠剤製剤も特徴とする。
【0135】
さらなる態様において、本発明は、ローラー圧縮プロセスによって調製した錠剤からなる経口錠剤製剤を特徴とする。
【0136】
上記ローラー圧縮プロセスを、以下のスキーム1で説明する。
スキーム1

【0137】
上記ローラー圧縮プロセスによって、薬物負荷量が著しく向上した。9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩(API)の物理特性、例えば低い粒度、不十分な流動特性、錠剤成形型の表面に付着する傾向、およびしたがって大量の充填剤および滑沢剤が必要であることによって、直接打錠プロセスでは10%の、例えば錠剤1 gあたり100 mgの薬物負荷量となった。ローラー圧縮プロセスによってこれらの制限が克服され、より大きな粒度およびより良好な流動特性を有する混合物が得られ、かつ薬物負荷量が20%に増大した。
【0138】
段階1:錠剤配合
目標とする核錠重量は500 mgである。用量は、100 mg遊離塩基当量の活性物質、APIであり、分析は75.3%である。配合データは表2に提示する。
【0139】
段階2:混合および造粒
混合物を製造し、滑沢化の前にサンプリングして、均一性を測定した。混合物全体から5種類の試料を取り出した。滑沢化前のデータを表6に提示する。
【0140】
【表6】

【0141】
均一な混合が達成された。次に上記混合物を、5%ステアリン酸マグネシウムを用いて滑沢化し、以下の設定にてAlexanderwerk WP120ローラーコンパクターを用いて造粒した。

【0142】
滑沢化および造粒のプロセスに続いて、上記粒子をサンプリングして均一性を測定した。混合物全体から5種類の試料を取り出した。滑沢化および造粒の後のサンプリングデータを表7に提示する。均一な粒子が得られた。
【0143】
【表7】

【0144】
造粒の前後に粒子の分粒を評価した。図1および2は、メッシュサイズに対して保持されたパーセンテージを示している。造粒プロセスにより、微細内容物が著しく減少した。粒子におけるこの変化は、APIの流動特性を改善しかつ接着傾向を低下させ、したがって、薬物負荷量を増大させた。
【0145】
段階3:打錠
上記粒子を用いて、Riva Piccola打錠機による打錠を実施した。上記粒子はホッパーから良好に流動した。10 mm径の円形標準凹型工具を用いた。錠剤重量500 mgを達成した。装置に圧力を加えることなく最も硬い錠剤が得られるように打錠した。その後、より軟らかい多様な錠剤を打錠した。得られた錠剤に対して、崩壊を実施した。錠剤の重量および硬度の値のどちらも、ばらつきが低いことが示された。打錠の際、粒子は良好に流動した。表8に上記錠剤の特性を提示する。
【0146】
【表8】

【0147】
残りの顆粒を硬度約6.5 Kp(実際の硬度は6.66 Kp SD 0.52)となるよう打錠した。錠剤重量平均値は494.0 mg、RSDは0.51%であった。
【0148】
段階4:コーティング
上記錠剤バッチを2つのサブロットに分けた。一方のロットは、エタノールベースの溶液を用いてEudragit E100でコーティングした。2時間で、4%の重量増加が達成された。
【0149】
第2の錠剤ロットは、水性のOpadry(登録商標)AMB防湿システムを用いることによってコーティングした。1時間足らずで、要求される4%の重量増加が達成された。製造された錠剤は、目視可能な縁部の侵食がほとんどまたは全くなかった。
【0150】
例えば量、用量などについていかなる値および範囲が本明細書において提供されたとしても、これらの量および範囲に包含される全ての値および範囲は本発明の範囲に包含されることを意味していることが、理解されるべきである。さらに、これらの値および範囲における全ての値は、範囲の上限および下限も含みうる。
【0151】
当業者は、本明細書に記載された特定の手順、態様、添付の特許請求の範囲、および実施例に対する多くの同等物を認識しうるか、または常用の実験法のみを用いて確かめることができる。そのような同等物は、本発明の範囲内でありかつ本明細書に添付した特許請求の範囲に含まれるとみなされる。本出願を通して引用されたすべての参考文献、発行済みの特許、および公開された特許出願の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩の経口製剤。
【請求項2】
錠剤形態である、請求項1記載の経口製剤。
【請求項3】
約5〜40重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリントシレート塩、約50〜90重量%の希釈剤、約0.01〜0.5重量%の安定剤、約0.2〜2.0重量%の流動化剤(glidant)、約1〜11重量%の滑沢剤、約0.5〜10重量%の崩壊剤、および任意で約0.5〜1.5%の接着防止剤を含む、請求項2記載の経口製剤。
【請求項4】
希釈剤がラクトース、微結晶セルロース、またはこれらの組み合わせを含む、請求項3記載の経口製剤。
【請求項5】
緩衝剤、接着防止剤、コーティング成分、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項3記載の経口製剤。
【請求項6】
以下を含む、請求項2記載の経口製剤:
約10〜30重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩;
約50〜90重量%の希釈剤;
約0.01〜0.5重量%の安定剤;
約0.2〜2.0重量%の流動化剤;
約3〜10重量%の滑沢剤;
約3〜10重量%の崩壊剤;および
約0.01〜0.5重量%の接着防止剤。
【請求項7】
以下を含む、請求項6記載の経口製剤:
約26〜28重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリントシレート塩;
約10〜30重量%のラクトース;
約30〜50重量%の微結晶セルロース;
約0.05〜0.35重量%の亜硫酸水素ナトリウム;
約0.5〜1.5重量%の二酸化ケイ素;
約4.5〜6.0重量%のナトリウムステアリルフマラートまたはステアリン酸マグネシウム;
約4〜6重量%のクロスポビドン;および
約0.5〜1.5重量%のタルク。
【請求項8】
以下からなる、請求項7記載の経口製剤:
約26〜28重量%の9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;
約15〜25重量%のラクトース;
約35〜45重量%の微結晶セルロース;
約0.15〜0.25重量%の亜硫酸水素ナトリウム;
約0.8〜1.2重量%の二酸化ケイ素;
約4.8〜5.2重量%のナトリウムステアリルフマラートまたはステアリン酸マグネシウム;
約4.8〜5.2%のクロスポビドン;
約0.15〜0.25重量%のタルク;および
約3〜5%のOPADRY(登録商標)AMB Red。
【請求項9】
約90〜250 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩を含む、請求項1記載の経口製剤。
【請求項10】
前記製剤が錠剤の形態であり、該錠剤が以下から本質的になる、請求項9記載の経口製剤:
約125〜140 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン、トシレート塩;
約90〜110 mgのラクトース;
約200〜220 mgの微結晶セルロース;
約0.75〜1.5 mgの亜硫酸水素ナトリウム;
約20〜30 mgのクロスポビドン;
約2〜3 mgの二酸化ケイ素;
約20〜30 mgのステアリン酸マグネシウム;
約4.5〜5.5 mgのタルク;および
約20〜40 mgのOPADRY(登録商標)AMB Red。
【請求項11】
90〜180 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基および薬学的に許容される担体を含む、請求項1記載の経口製剤。
【請求項12】
直接打錠、ローラー圧縮、またはこれらの組み合わせを用いて打錠される、請求項2記載の経口製剤。
【請求項13】
9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩が、製剤の総重量に基づき10重量%を上回る量で存在する、請求項12記載の経口製剤。
【請求項14】
9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩および少なくとも1つの薬学的に許容される希釈剤を含む、打錠された固形剤形であって、該9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンまたはその塩が、該打錠された固形剤形の総重量に基づき約20重量%の量で存在する、打錠された固形剤形。
【請求項15】
約90〜110 mgの9-[(2,2-ジメチル-プロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基および薬学的に許容される担体を含む、注射可能な製剤。
【請求項16】
リオプロテクタント(lyoprotectant)、抗酸化剤、およびpH調整化合物より選択される1つまたは複数の成分をさらに含む、請求項15記載の注射製剤。
【請求項17】
約100 mgの9-[(2,2-ジメチルプロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリン遊離塩基、100 mgのショ糖、1 mgの亜硫酸水素ナトリウム、pH調整化合物、および水性担体から本質的になる、請求項16記載の注射可能な製剤。
【請求項18】
対象における感染症を治療するための医薬の製造における、請求項1記載の製剤の使用。
【請求項19】
顆粒を形成させるために請求項1記載の経口製剤を造粒する段階、続いて該顆粒を経口剤形へと成形する段階を含む、薬学的製剤を調製するための方法であって、該経口製剤が、約50〜90重量%の希釈剤、約0.01〜0.5重量%の安定剤、約0.2〜2.0重量%の流動化剤、約1〜11重量%の滑沢剤、および約0.5〜10重量%の崩壊剤をさらに含む、方法。
【請求項20】
前記造粒段階がローラー圧縮を含み、かつ前記顆粒が10重量%を上回る9-[(2,2-ジメチルプロピルアミノ)-メチル]-ミノサイクリンを含む、請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−515473(P2011−515473A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501848(P2011−501848)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/001973
【国際公開番号】WO2009/120389
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(500127209)パラテック ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (50)
【Fターム(参考)】