説明

テムシロリムスの製造のための改善された方法およびその中間体

新規な中間体、それらの製造方法および治療的に有効な抗悪性腫瘍薬、特に式(I)で表されるテムシロリムスの製造におけるそれらの使用。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規な中間体、それらの製造のための方法および治療的に有効な抗悪性腫瘍薬、特に式(I)で表されるテムシロリムスの製造におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
テムシロリムス(CCI−779)、すなわち式(I)で表されるmTORキナーゼ阻害剤は、進行した腎細胞癌の処置のために示された抗悪性腫瘍薬である。テムシロリムスは、[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパン酸とのラパマイシン42エステルであり、Skotnicki et alによって米国特許第5,362,718号に最初に開示された。
【化1】

【0003】
テムシロリムスの製造のためのいくつかのプロセスは、文献、例えばUS 5,362,718;US 6,277,983およびUS 7,153,957に記載されているもの中で報告されている。
【0004】
米国特許第5,362,718号には、テムシロリムスを含む種々のラパマイシン42エステルの、以下に示すスキーム(スキーム−I)による製造のためのプロセスが開示されている。
【化2】

スキーム−I:米国特許第5,362,718号に開示されているテムシロリムスの合成
【0005】
当該プロセスは位置選択的ではなく、したがって所望のラパマイシン−42エステルと共に、31−エステル化ラパマイシン、31,42ジエステル化ラパマイシンおよび未反応ラパマイシンが得られる。
【0006】
米国特許第6,277,983号には、31,42ビスシリル中間体を使用することによる、以下に示すスキーム(スキームII)によるテムシロリムスの製造のためのプロセスが報告されている。
【化3】

スキームII:米国特許第6,277,983号に開示されているテムシロリムスの合成
【0007】
米国特許第7,153,957号には、ボロネート中間体を使用することによる、以下に示すスキーム(スキーム−III)によるテムシロリムスの製造のためのプロセスが報告されている。
【化4】

スキーム−III:米国特許第7,153,957号に開示されているテムシロリムスの合成
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
本発明の第1の局面は、式(II)で表され、式中R、RおよびRが各々異なっていても同一であってもよく、水素、C〜C炭素原子のアルキル、C〜C炭素原子のアルコキシを含む群から選択され得る、新規な中間体を提供する。
【化5】

【0009】
本発明の第2の局面は、式(II’)で表され、式中各々のRおよびRが水素であり、Rがメトキシである、新規な中間体を提供する。
【化6】

【0010】
本発明の第3の局面は、式(II’’)で表され、式中Rが水素であり、Rがメチルであり、Rがメトキシである、新規な中間体を提供する。
【化7】

【0011】
本発明の第4の局面は、式(IV)で表され、式中R、RおよびRが各々異なっていても同一であってもよく、水素、C〜C炭素原子のアルキル、C〜C炭素原子のアルコキシを含む群から選択され得る、新規な中間体を提供する。
【化8】

【0012】
本発明の第5の局面は、式(IV’)で表され、式中各々のRおよびRが水素であり、Rがメトキシである、新規な中間体を提供する。
【化9】

【0013】
本発明の第6の局面は、式(IV’’)で表され、式中Rが水素であり、Rがメチルであり、Rがメトキシである、新規な中間体を提供する。
【化10】

【0014】
本発明の第7の局面は、式(II)で表される化合物の製造方法であって、式(III)で表されるラパマイシンを式(IV)で表される化合物で処理することを含む、前記方法を提供する。
【化11】

【0015】
本発明の第8の局面は、テムシロリムスの製造方法であって、式(II)で表される化合物を式(I)で表されるテムシロリムスに変換することを含む、前記方法を提供する。
【0016】
本発明の第9の局面は、式(IV)で表される化合物の製造方法であって、以下のステップ:
a)式(V)
【化12】

で表される化合物をオルトギ酸トリメチルで処理して、式(VI)
【化13】

で表される化合物を得ること、
【0017】
b)式(VI)で表される化合物を2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸で処理して、式(VII)
【化14】

で表される化合物を得ること、および
c)式(VII)で表される化合物をカップリング剤で処理して、式(IV)
【化15】

で表される化合物を得ること
を含む、前記方法を提供する。
【0018】
発明の詳細な説明
本発明の第1の局面は、式(II)で表され、式中R、RおよびRが各々異なっていても同一であってもよく、水素、C〜C炭素原子のアルキル、C〜C炭素原子のアルコキシを含む群から選択され得る新規な中間体を提供する。
【化16】

【0019】
本発明の第2の局面は、式(II’)で表され、式中各々のRおよびRが水素であり、Rがメトキシである新規な中間体を提供する。
【化17】

【0020】
式(II’)で表される化合物を、以下のNMRデータにより特徴づけすることができる:
【数1】

式(II’)で表される化合物を、1725cm−1におけるバンドを有するIR(KBr、cm−1)スペクトルによりさらに特徴づけすることができる。
【0021】
本発明の第3の局面は、式(II’’)で表され、式中Rが水素であり、Rがメチルであり、Rがメトキシである新規な中間体を提供する。
【化18】

【0022】
式(II’)で表される化合物を、以下のNMRデータにより特徴づけすることができる:
【数2】

【0023】
本発明の第4の局面は、式(IV)で表され、式中R、RおよびRが各々異なっていても同一であってもよく、水素、C〜C炭素原子のアルキル、C〜C炭素原子のアルコキシを含む群から選択され得る新規な中間体を提供する。
【化19】

【0024】
本発明の第5の局面は、式(IV’)で表され、式中各々のRおよびRが水素であり、Rがメトキシである新規な中間体を提供する。
【化20】

【0025】
式(IV’)で表される化合物を、以下のNMRデータにより特徴づけすることができる:
【数3】

式(II’)で表される化合物を、1253、1813cm−1におけるバンドを有するIR(KBr、cm−1)スペクトルによりさらに特徴づけすることができる。
【0026】
本発明の第6の局面は、式(IV’’)で表され、式中Rが水素であり、Rがメチルであり、Rがメトキシである新規な中間体を提供する。
【化21】

式(IV’’)で表される化合物を、以下のNMRデータにより特徴づけすることができる:
【数4】

【0027】
本発明の第7の局面は、式IIで表される化合物の製造方法であって、式(III)で表されるラパマイシンを式(IV)で表される化合物で処理することを含む、前記方法を提供する。
【化22】

【0028】
ラパマイシンの式(IV)で表される化合物との反応を、適切な溶媒の存在下で行ってもよい。適切な溶媒を、ハロゲン化炭化水素、例えば塩化エチレン、塩化メチレン、四塩化炭素およびその混合物を含む群から選択してもよい。
ラパマイシンの式(IV)で表される化合物との反応を、触媒量のジメチルアミノピリジン(DMAP)または4−ピロリジノピリジン(PPY)の存在下で行ってもよい。
【0029】
ラパマイシンの式(IV)で表される化合物との反応を、約−20℃〜約室温の温度範囲にて行ってもよい。好ましくは、当該反応を、0℃〜約5℃の温度範囲にて行ってもよい。
ラパマイシンの式(IV)で表される化合物との反応を、約6〜24時間行ってもよい。好ましくは、当該反応を、約18時間行ってもよい。
【0030】
本発明の第8の局面は、テムシロリムスの製造方法であって、式(II)で表される化合物を式(I)で表されるテムシロリムスに変換することを含む、前記方法を提供する。
式(II)で表される化合物のテムシロリムスへの変換を、酸の存在下で行ってもよい。酸を、硫酸、塩酸およびその混合物を含む群から選択してもよい。
【0031】
式(II)で表される化合物のテムシロリムスへの変換を、適切な溶媒の存在下で行ってもよい。適切な溶媒を、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびその混合物;エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサンまたはその混合物を含む群から選択してもよい。
式(II)で表される化合物のテムシロリムスへの変換を、約−20℃〜約室温の温度範囲にて行ってもよい。好ましくは、当該反応を、0℃〜約5℃の温度範囲にて行ってもよい。
【0032】
式(II)で表される化合物のテムシロリムスへの変換を、約6〜24時間行ってもよい。好ましくは、当該反応を、約18時間行ってもよい。
テムシロリムスを、既知の手法、例えばカラムクロマトグラフィーおよび結晶化によってさらに精製してもよい。
【0033】
本発明の第9の局面は、式(IV)で表される化合物の製造方法であって、以下のステップ:
a)式(V)
【化23】

で表される化合物をオルトギ酸トリメチルで処理して、式(VI)
【化24】

で表される化合物を得ること、
【0034】
b)式(VI)で表される化合物を2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸で処理して、式(VII)
【化25】

で表される化合物を得ること、および
c)式(VII)で表される化合物をカップリング剤で処理して、式(IV)
【化26】

で表される化合物を得ること
を含む、前記方法を提供する。
【0035】
式(V)で表される化合物のオルトギ酸トリメチルとの反応を、適切な溶媒の存在下で行ってもよい。適切な溶媒を、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびその混合物を含む群から選択してもよい。
式(V)で表される化合物のオルトギ酸トリメチルとの反応を、触媒量の酸、例えば塩酸の存在下で行ってもよい。
【0036】
式(V)で表される化合物のオルトギ酸トリメチルとの反応を、約0℃〜約還流温度の温度範囲にて行ってもよい。好ましくは、当該反応を、室温で行ってもよい。
式(V)で表される化合物のオルトギ酸トリメチルとの反応を、約6〜24時間行ってもよい。好ましくは、当該反応を約18時間行ってもよい。
【0037】
式(VI)で表される化合物の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸との反応を、適切な溶媒の存在下で行ってもよい。適切な溶媒を、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびその混合物を含む群から選択してもよい;
式(VI)で表される化合物の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸との反応を、触媒量の酸、例えばp−トルエンスルホン酸の存在下で行ってもよい。
【0038】
式(VI)で表される化合物の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸との反応を、約0℃〜約還流温度の温度範囲にて行ってもよい。好ましくは、当該反応を、室温で行ってもよい。
式(VI)で表される化合物の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸との反応を、約2〜10時間行ってもよい。好ましくは、当該反応を、約5〜6時間行ってもよい。
【0039】
式(VII)で表される化合物のカップリング剤との反応を、適切な溶媒の存在下で行ってもよい。適切な溶媒を、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびその混合物;ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、ジクロロエタンおよびその混合物を含む群から選択してもよい。
カップリング剤を、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−(エチルカルボジイミド)塩酸塩(EDAC.HCl)を含む群から選択してもよい。
【0040】
式(VII)で表される化合物のカップリング剤との反応を、約0℃〜約還流温度の温度範囲にて行ってもよい。好ましくは、当該反応を、室温で行ってもよい。
式(VII)で表される化合物のカップリング剤との反応を、約6〜24時間行ってもよい。好ましくは、当該反応を、約18時間行ってもよい。
【0041】

例−1:
1−(ジメトキシメチル)−4−メトキシベンゼン{アニスアルデヒドジメチルアセタール}の製造−
【化27】

アニスアルデヒド(40g)およびオルトギ酸トリメチル(48.25ml)を、MeOH(60ml)に20〜25℃で加え、混合物を、10〜15℃に冷却した。次に、濃HCl(0.26ml)を、混合物に10〜15℃で加え、20〜25℃に加温し、続いて同一の温度で16〜18時間撹拌した。5%の水性KOH(40ml)を、反応混合物に20〜25℃で10分において加え、さらに10分間撹拌した。反応混合物をヘキサン(2×200ml)で抽出し、合わせた有機層をDM水(200ml)で洗浄した。有機層を40℃より低温で濃縮して、表題化合物(51.0g、95.2%)を得た。
【0042】
例−2:
4−(ジメトキシメチル)−1−メトキシ−2−メチルベンゼン{4−メトキシ−3−メチルベンズアルデヒドジメチルアセタール}の製造−
【化28】

4−メトキシ−3−メチルベンズアルデヒド(10g)およびオルトギ酸トリメチル(43.77ml)をメタノール(15ml)に溶解した溶液を、5〜10℃に冷却した。濃HCl(0.75ml)を加え、反応混合物を周囲温度に加温した。反応混合物を6時間撹拌し、5%水性KOH(10ml)で反応停止した。反応混合物をヘキサン(100ml)で抽出し、ヘキサン層を水(100ml)で洗浄した。ヘキサン層を硫酸ナトリウムで乾燥し、30℃より低温で濃縮して、表題化合物(15.8g)を得た。
MS(ES)(m/z) 219[M+Na]
【0043】
例−3:
2−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−1,3−ジオキサン−5−カルボン酸{2,2−ビス(ヒドロキシルメチル)プロピオン酸アニシリデンアセタール}の製造−
【化29】

2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(10g)およびアニスアルデヒドジメチルアセタール(20.4g)を、アセトン(50ml)に20〜25℃で加えた。p−トルエンスルホン酸(0.51g)を反応混合物に加え、20〜25℃で5時間撹拌した。次に、混合物を0〜5℃に冷却し、1時間撹拌した。スラリーを濾過し、固体を冷却した(0〜5℃)アセトン(10ml)で洗浄した。固体を真空下で45〜50℃で4時間乾燥した。固体をトルエン(150ml)に加え、得られた混合物を65〜70℃で2時間加熱した。次に、混合物を5〜10℃に冷却し、30分間撹拌した。スラリーを濾過し、固体をトルエン(10ml)で洗浄し、続いて真空下で30〜35℃で4時間乾燥して、表題化合物(14.0g、74.4%)を得た。
【0044】
例−4:
2−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−5−メチル−1,3−ジオキサン−5−カルボン酸無水物の製造−
【化30】

2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(7.16g)、4−メトキシ−3−メチルベンズアルデヒドジメチルアセタール(15.0g)およびアセトン(43ml)の混合物を、周囲温度でp−トルエンスルホン酸(0.456g)で処理し、7時間撹拌した。反応混合物を0〜5℃に冷却した。得られたスラリーを濾過し、固体をアセトン(43ml)およびジクロロメタン(43ml)で連続的に洗浄した。湿潤固体およびジクロロメタン(43ml)の混合物を、EDAC.HCl(4.4g;0.43当量)で周囲温度にて処理し、24時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残留物を水(100ml)と共に30分間撹拌した。スラリーを濾過し、固体を真空下で乾燥して、表題化合物(5.5g)を得た。
【数5】

【0045】
例−5:
2−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−1,3−ジオキサン−5−カルボン酸無水物{2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸アニシリデンアセタール無水物}の製造−
【化31】

2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸アニシリデンアセタール(10g)およびDCC(4.1g)を、CHCl(200ml)に20〜25℃で加え、18時間撹拌した。混合物を30〜35℃に加熱し、1時間撹拌した。スラリーを濾過し、固体をCHCl(20ml)で洗浄した。濾液を濃縮して乾燥させ、トルエン(150ml)を残留物に20〜25℃で加えた。混合物を20〜25℃で1時間撹拌し、スラリーを濾過した。固体をトルエン(10ml)で洗浄し、真空下で30〜35℃で4時間乾燥して、表題化合物(7.5g、77.8%)を得た。
【0046】
【数6】

【0047】
例−6:
テムシロリムスアセタールの製造−
【化32】

ラパマイシン(1.0g)および例−5において得られた無水物(5.3g)を、CHCl(10ml)に20〜25℃で加えた。次に、混合物を0〜5℃に冷却し、DMAP(1.5g)をCHCl(5ml)に溶解した溶液を15分において加えた。反応混合物を0〜5℃で18時間撹拌した。反応混合物をDM水(10ml)で洗浄した。有機層を、0.5N HSO(15ml)、5%水性NaHCO(20ml)およびDM水(10ml)で洗浄した。有機層を濃縮して乾燥させ、残留物を、アセトン−ジクロロメタン(2:23)を溶離剤として使用してシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(0.6g、47.8%)を得た。
【0048】
【数7】

【0049】
例−7:
テムシロリムスメチルアセタールの製造−
ラパマイシン(0.5g)および例−4において得られた2−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−5−メチル−1,3−ジオキサン−5−カルボン酸無水物(0.702g)をジクロロメタン(7.5ml)に溶解した溶液を、0〜5℃に冷却し、4−ピロリジノピリジン(0.162g)をジクロロメタン(2.5ml)に溶解した溶液で処理した。反応混合物を0〜5℃で10時間撹拌し、水(10ml)で反応停止した。有機層を濃縮し、残留物に、アセトン−ジクロロメタン(1:10)を使用したシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーを施して、表題化合物(0.11g)を得た。
【0050】
【数8】

【0051】
例−8:
テムシロリムスの製造−
【化33】

例−6において得られたテムシロリムスアセタール(0.2g)を、THF(3ml)およびMeOH(2ml)に20〜25℃で加えた。混合物を0〜5℃に冷却し、2N水性HSO(1ml)を混合物に加えた。反応混合物を0〜5℃で18時間撹拌し、EtOAc(10ml)で抽出した。有機層を、5%水性NaHCO(10ml)およびDM水(10ml)で洗浄した。有機層を濃縮して乾燥させ、残留物を、アセトン−ジクロロメタン(1:4)を溶離剤として使用してシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(0.1g、55.7%)を得た。
【0052】
例−9:
テムシロリムスの製造−
例−7において得たテムシロリムスメチルアセタール(50mg)、メタノール(0.2ml)およびTHF(0.3ml)の混合物を、0〜5℃に冷却した。濃HCl(0.01ml)を水(0.15ml)に溶解した溶液を加え、24時間撹拌した。水(1ml)を加え、混合物を酢酸エチル(3×2ml)で抽出した。合わせた有機層を5%NaHCO(1ml)で洗浄し、濃縮して乾燥させた。残留物を、アセトン−ヘキサン(1:3)を使用してシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(30mg)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)で表され、式中R、RおよびRが各々異なっていても同一であってもよく、水素、C〜C炭素原子のアルキル、C〜C炭素原子のアルコキシを含む群から選択され得る、化合物。
【化1】

【請求項2】
式(II’)
【化2】

で表される化合物。
【請求項3】
式(II’’)
【化3】

で表される化合物。
【請求項4】
式(IV)で表され、式中R、RおよびRが各々異なっていても同一であってもよく、水素、C〜C炭素原子のアルキル、C〜C炭素原子のアルコキシを含む群から選択され得る、化合物。
【化4】

【請求項5】
式(IV’)
【化5】

で表される化合物。
【請求項6】
式(IV’’)
【化6】

で表される化合物。
【請求項7】
式IIで表される化合物の製造方法であって、式(III)で表されるラパマイシンを式(IV)で表される化合物で処理することを含む、前記方法。
【化7】

【請求項8】
ラパマイシンの式(IV)で表される化合物との反応を、ハロゲン化炭化水素、例えば塩化エチレン、塩化メチレン、四塩化炭素およびその混合物を含む群から選択された適切な溶媒の存在下で行う、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ラパマイシンの式(IV)で表される化合物との反応を、触媒量のジメチルアミノピリジンまたは4−ピロリジノピリジンの存在下で行う、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ラパマイシンの式(IV)で表される化合物との反応を、約−20℃〜約室温の温度範囲にて行う、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
ラパマイシンの式(IV)で表される化合物との反応を、約6〜24時間行う、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
テムシロリムスの製造方法であって、式(II)で表される化合物を式(I)で表されるテムシロリムスに変換することを含む、前記方法。
【請求項13】
式(II)で表される化合物のテムシロリムスへの変換を、硫酸、塩酸およびその混合物を含む群から選択された酸の存在下で行う、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式(II)で表される化合物のテムシロリムスへの変換を、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびその混合物;エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサンおよびその混合物を含む群から選択された適切な溶媒の存在下で行う、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
式(II)で表される化合物のテムシロリムスへの変換を、約−20℃〜約室温の温度範囲にて行う、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
式(II)で表される化合物のテムシロリムスへの変換を、約6〜24時間行う、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
式(IV)で表される化合物の製造方法であって、以下のステップ:
a)式(V)
【化8】

で表される化合物をオルトギ酸トリメチルで処理して、式(VI)
【化9】

で表される化合物を得ること、
b)式(VI)で表される化合物を2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸で処理して、式(VII)
【化10】

で表される化合物を得ること、および
c)式(VII)で表される化合物をカップリング剤で処理して、式(IV)
【化11】

で表される化合物を得ること
を含む、前記方法。
【請求項18】
式(V)で表される化合物のオルトギ酸トリメチルとの反応を、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびその混合物を含む群から選択された適切な溶媒の存在下で行う、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
式(V)で表される化合物のオルトギ酸トリメチルとの反応を、触媒量の酸、例えば塩酸の存在下で行う、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
式(V)で表される化合物のオルトギ酸トリメチルとの反応を、約0℃〜約還流温度の温度範囲にて行う、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
式(V)で表される化合物のオルトギ酸トリメチルとの反応を、約6〜24時間行う、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
式(VI)で表される化合物の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸との反応を、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびその混合物を含む群から選択された適切な溶媒の存在下で行う、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
式(VI)で表される化合物の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸との反応を、触媒量の酸、例えばp−トルエンスルホン酸の存在下で行う、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
式(VI)で表される化合物の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸との反応を、約0℃〜約還流温度の温度範囲にて行う、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
式(VI)で表される化合物の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸との反応を、約2〜10時間行う、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
式(VII)で表される化合物のカップリング剤との反応を、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびその混合物;ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、ジクロロエタンおよびその混合物を含む群から選択された適切な溶媒の存在下で行う、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
カップリング剤をジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−(エチルカルボジイミド)塩酸塩(EDAC.HCl)を含む群から選択する、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
式(VII)で表される化合物のカップリング剤との反応を、約0℃〜約還流温度の温度範囲にて行う、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
式(VII)で表される化合物のカップリング剤との反応を、約6〜24時間行う、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2013−518093(P2013−518093A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550526(P2012−550526)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際出願番号】PCT/IB2011/000084
【国際公開番号】WO2011/092564
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(507296573)フレゼニウス・カビ・オンコロジー・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】