説明

テラス構造付き護岸構造体

【課題】護岸構造体の近傍の水域を当該水域に生息する生物にとってより一層好適なものに改善できるテラス構造を備えた護岸構造体を提供すること。
【解決手段】本発明に係る護岸構造体10は、水位が上下に変動する内湾の水路1などの沿岸域に設置され、当該沿岸域に生息する生物の生息場を形成するテラス構造2を備えたものであって、このテラス構造2は、当該沿岸域の平均低潮位MLWよりも低い位置に、石材5が敷詰められた平場3aを有し、当該平場3aを形成する複数の石材5は、水平方向の断面積が上方から下方に向かって徐々に小さくなるようにそれぞれ配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水位が上下に変動する内湾の沿岸域に設置される護岸構造体に関し、より詳細には、内湾沿岸域の水路、運河、河口域などに設置され、これらの領域に生息する生物の生息場を形成するテラス構造を備えた護岸構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
潮汐に伴って海水と淡水とが混ざり合う汽水域は、多様な生物種の生息場となる。とりわけ内湾の沿岸域は、干潮時に潮だまりや干潟が出現するとともに、冠水しても波が比較的穏やかであるため、当該領域には種々の生物が生息し、安定した食物連鎖が維持される。例えば、東京湾の沿岸域はかつて「江戸前」と呼ばれ、ハゼ、ウナギ、テナガエビ、カニ、アサリなどが獲れる豊かな漁場として知られていた。
【0003】
しかし、防災や治水を目的とした護岸改修により、内湾の護岸の多くはコンクリートや鋼矢板に姿を変え、その結果、水害を未然に防止できるようになった一方、沿岸域に生息していた多くの生物の生息場が失われてしまった。
【0004】
近年、生態系保護や都市再生等の観点から、水路、運河、河川などの護岸に使用される構造体であって、多様な生物種の生息場を形成する機能を具備した構造体の開発がなされている。例えば、特許文献1、2には、潮だまりや干潟を人工的に再現可能な護岸構造体が記載されている。このような護岸構造体は、魚類や甲殻類に生息場を提供するのみならず、身近に楽しめる水辺空間を人々に提供するものと期待されている。
【特許文献1】特許第3031672号公報
【特許文献2】特許第3096720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1、2に記載の護岸構造体は、いずれも満潮時及び干潮時の潮位の差を利用して潮だまりや干潟を再現することを目的としたものである。従って、これらの護岸構造体は、満潮時及び干潮時のそれぞれの水位の間に位置する部分について、窪みや階段状の砂浜を設けるなどの工夫がなされている。
【0006】
しかし、上記護岸構造体は、干潮時の水位よりも低い位置に相当する部分については、特に工夫がなされていない。つまり、従来の護岸構造体は、干潮時の水位よりも低い領域の環境、すなわち、護岸構造体近傍の水中の環境を、当該領域に生息する生物にとってより好ましいものに改善するという点において未だ工夫の余地があった。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、護岸構造体近傍の水域を当該水域に生息する生物にとってより一層好適なものに改善できるテラス構造付き護岸構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る護岸構造体は、水位が上下に変動する内湾の沿岸域に設置され、当該沿岸域に生息する生物の生息場を形成するテラス構造を備えたものであって、このテラス構造は、当該沿岸域の平均低潮位よりも低い位置に、石材が敷詰められた平場を有し、当該平場を形成する複数の石材は、水平方向の断面積が上方から下方に向かって徐々に小さくなるようにそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0009】
上記テラス構造は、石材が敷詰められてなる平場が水中に形成される構成となっている。かかる構成を採用することにより、単に鉛直方向に延在する壁面が水中に設けられた従来の護岸構造体と比較し、上記平場が太陽光を存分に受けることができ、そこに太陽光及びその照り返しによる高照度の環境が形成される。これにより、平場を形成する石材の表面に藻類を繁殖させることができる。藻類は光合成によって酸素を生産するとともに生物の餌となるため、上記平場近傍は当該水域に生息する生物にとって好適なものとなる。
【0010】
上記平場を形成する複数の石材は、水平方向の断面積が上方から下方に向かって徐々に小さくなるようにそれぞれ配置されている。このようにして石材を配置することで、魚類、甲殻類又は貝類が鳥などの外敵に見つからないように身を隠す空間を平場に多く設けることができる。また、上記のように石材が配置されてなる平場には、太陽光が照射される部分と、石材によって太陽光が遮られて影となる部分とが生じ、光強度の多様性に富んだ環境が形成される。その結果、それぞれの光強度に適した多様の藻類が繁殖し、当該領域に生息できる生物種の多様性が向上する。
【0011】
本発明に係る護岸構造体が備えるテラス構造は、平場の縁部から下方に延在する壁面を更に有することが好ましい。上記壁面に係る構成を採用することにより、水路や運河の底部を流れる低酸素水が平場の上方に流れ込むことを十分に防止できる。このため、平場の近傍に生息する生物の酸欠による被害を十分に防止できる。
【0012】
また、本発明に係る護岸構造体が備えるテラス構造は、平場を形成する複数の石材の下側に設けられ当該石材を支持する底質層を更に備えることが好ましい。かかる構成を採用することにより、底質層がアサリやゴカイ等の砂中生活生物の生息場となり、当該領域に生息できる生物種の多様性がより一層向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、護岸構造体の近傍の水域を当該水域に生息する生物にとってより一層好適なものに改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
まず、図1,2を参照しながら、本発明に係るテラス構造付き護岸構造体の好適な一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るテラス構造付き護岸構造体10を示す斜視図である。護岸構造体10は、内湾の沿岸域に設置されたものであり、当該内湾の潮位の変動に伴って水位が上下に変動する水路1の護岸の一部をなしている。図2は、水路1の長手方向に垂直な方向の護岸構造体10の断面を示す図である。図2に示す水位MLWは平均低潮位(Mean Low Water)を、水位MHWは平均高潮位(Mean High Water)をそれぞれ示す。なお、図1は水路1の水面Sが平均低潮位(MLW)にある状態を示したものである。
【0016】
護岸構造体10は、水路1の護岸の一部をなす壁面1aと、この壁面1aに沿って構築されたテラス構造2とを備える。水路1に沿って設けられたフェンス20は、通行人等が水路1に転落するのを防止するためのものである。
【0017】
図1,2に示すように、テラス構造2は3段構成となっており、下段の平場3a、中段の平場3b及び上段の平場3cを備える。テラス構造2の本体部は、例えば、現場におけるコンクリート打設又はプレキャストセグメントの組立てによって構築される。その後、本体部の凹部2a,2b,2cに石材、砂などを適宜充填することによって、平場3a,3b,3cがそれぞれ形成される。
【0018】
テラス構造2は、図2に示すように、下段の平場3aの縁部から水路1の底面に向けて鉛直方向に延在する壁面2dを少なくとも有することが好ましく、中段の平場3bの縁部から下段の平場3aに向けて鉛直方向に延在する壁面2e及び上段の平場3cの縁部から中段の平場3bに向けて鉛直方向に延在する壁面2fを更に備えることがより好ましい。上記壁面2d,2e,2fに係る構成を採用することにより、水路1の底部の低酸素水が平場3a,3b,3cへと上昇することを十分に防止できる。これにより、平場3a,3b,3cに生息する生物の酸欠による被害を十分に防止できる。
【0019】
なお、壁面2dと水路1の底面とのなす角度(図2に示した角度α)は、水路1の底面近傍の低酸素水が平場3aよりも上方に流入することを十分に抑制できれば、90°に限定されるものではない。上記低酸素水の流入を一層確実に抑制する観点から、角度αは60〜90°であることが好ましい。角度αが90°を越えると、低酸素水が平場3a上に流れ込みやすくなる傾向がある。他方、角度αが60°未満のテラス構造は角度αが60°以上のものと比較し、その構築が困難となる傾向がある。
【0020】
図2に示す通り、下段の平場3aは、平均低潮位(MLW)よりも低い位置に設けられている。下段の平場3aは、凹部2aに石材5を敷詰めることによって形成されたものである。平場3aの上面が略水平な面となるように石材5を敷詰めることで、水中の平場3aには太陽光が存分に照射される。これにより、平場3aを形成する石材5の表面に藻類を繁殖させることができる。藻類は光合成によって酸素を生産するとともに生物の餌となるため、平場3a近傍の領域は当該水域に生息する生物にとって好適なものとなる。
【0021】
水平面をなすように設けられた平場3aは、上記のように酸素及び餌の点で環境が改善されるのみならず、以下のような利点がある。すなわち、平場3aの上面が略水平に形成されたものであると、ハゼなどの底生魚とっては上方の外敵(例えば、鳥など)の動きを把握しやすく、比較的安心して生息できるため、平場3a上が底生魚の好適な生息場となる。また、平場3aを石材5によって形成することで、水の流れによる浸食が抑制されるという利点もある。
【0022】
平場3aが形成される領域の水深(水面から平場3aの上面までの高低差)は、平場3aに十分に太陽光が照射される範囲であれば特に制限はないが、0.3〜1.5m程度であることが好ましい。水深が0.3m未満であると、平場3a上に生息する底生魚が鳥に捕食されやすくなり、他方、水深が1.5mを越えると、照度が不足して藻類の繁殖が不十分となりやすい。
【0023】
平場3aを敷設するに際しては、まず、凹部2a内に底質からなる底質層4を形成する。底質層4は、例えば、粘土(粒径0.005mm未満の土)、シルト(粒径0.074〜0.005mmの土)又は砂質土(粒径2〜0.074mmの砂分を多く含む土)を含む混合物によって形成することができる。粘土、シルト及び砂などからなる底質層4を凹部2a内に形成することで、この底質層4がアサリやゴカイ等の砂中生活生物の生息場となり、当該領域に生息できる生物種の多様性が更に向上する。
【0024】
凹部2a内に底質層4を形成した後、その上に複数の石材5を配置し、平場3aを敷設する。平場3aの上面を形成する複数の石材5は、水平方向の断面積が上方から下方に向かって徐々に小さくなるようにそれぞれ配置する(図2参照)。このように石材5を配置することで、魚類、甲殻類又は貝類が鳥などの外敵に見つからないように身を隠す空間を平場3aに多く設けることができる。これに加え、石材5の間に連続した空間が形成されるため、通水がよく当該空間の水質環境が一定に保たれる。また、上記のように石材5が配置されてなる平場3aには太陽光が均一に照射される部分が拡大するとともに、石材5によって太陽光が遮られて影となる部分が生じる。これにより、光強度の多様性に富んだ環境が形成される。その結果、それぞれの光強度に適した多様の藻類が繁殖し、当該領域に生息できる生物種の多様性がより一層向上する。
【0025】
石材5は、天然石材又は人工石材のいずれでもよい。人工石材の具体例として、コンクリートブロック、コンクリートの廃材(いわゆるコンクリートガラ)などを例示できる。また、補助材としてソダ等を組み合わせることもできる。なお、石材5の色調又は表面粗度を適宜調整することによって平場3aの光環境を調整し、栄養価の高い珪藻を選択的に増殖させるなどの工夫を更に行ってもよい。
【0026】
中段の平場3b及び上段の3cは、満潮時及び干潮時の水位の差を利用して潮だまりを再現することを目的としたものである。これらの平場3b,3cは、上述の平場3aと以下の点において相違するがその他の構成については平場3aと同様である。すなわち、平場3b,3cは、砂泥などが充填されてなる潮だまり6と、凹部2b,2cの周縁部に設けられた切欠き7とを更に有する。
【0027】
平場3b,3cに設けられた潮だまり6は、砂泥などの表面やその内部に好んで生息する生物種の好適な生息場となる。また、凹部2b,2cの周縁部に切欠き7を設けることで、水位の変動に伴う水の出入りを切欠き7が設けられた部分に限定できる。このことにより、水位の上昇時には溶存酸素を豊富に含む水を切欠き7を通じて勢いよく凹部2b,2cに取り込み、他方、水位の下降時には潮だまり6の表面の淡水や浮遊物を切欠き7を通じて勢いよく排出することができる。その結果、平場3b,3cの環境を良好な状態に十分維持できる。
【0028】
平場3b,3cに配置する石材5は、平場3aに配置する石材5と同様、水平方向の断面積が上方から下方に向かって徐々に小さくなるようにそれぞれ配置することが好ましい(図2参照)。このように石材5を配置することで、平場3aと同様、魚類や甲殻類の身を隠す空間を平場3b,3cに多く設けることができる。これらの空間は、干潮時に石材5が露出した場合であっても直射日光が遮られて影となるとともに、凹部2b,2cに溜まった水の気化熱により、夏場でも周囲と比較して低い温度に保たれる。他方、これらの空間は冬場には太陽光によって石材5が暖められ、周囲と比較して高い温度に保たれる。
【0029】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明に係るテラス構造付き護岸構造体は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、特に好ましい形態として底質層4の上に石材5を配置する場合を例示したが、石材5によって平場3aを形成できれば、必ずしも底質層4は設けなくてもよい。
【0030】
また、上記実施形態においては、3段構成のテラス構造2を例示したが、当該沿岸域の平均低潮位よりも低い位置に平場を少なくとも1段有するものであれば、テラス構造の段数は1段又は2段であってもよく、あるいは、4段以上であってもよい。また、テラス構造2の最下段となる平場3aは、略最低低潮面よりも低い位置に設けてもよい。更に、上記実施形態では、壁面1a,2f等が平坦面からなる場合を例示したが、壁面1a,2f等として溝や貫通孔が形成され、生物の生息場を形成可能な生物共生型護岸パネル(いわゆるカニパネル)を採用してもよい。
【0031】
また、平場3a,3b,3cは、水路1の長手方向と一致する方向に長辺を有する矩形のものに限定されず、これらの周縁部が曲線を描くような形状であってもよい(図3参照)。曲線からなる形状を採用することで、美観の点でより好ましい構造体を創造できるとともに、曲面をなすテラス構造の壁面に沿って水路1の水が流れることで、平場3a,3b,3c付近で水流に乱れが生じて、平場3a,3b,3cに溶存酸素を豊富に含む水が供給されやすくなるという利点がある。
【0032】
更に、上記実施形態においては、水路1の壁面1aから張り出すようにテラス構造2を構築する場合を例示したが、図4に示す通り、水路1の幅を部分的に広く設け、そこにテラス構造2を構築してもよい。このような位置にテラス構造2を設けることで、テラス構造2が船の航行の妨げになることを防止できる。なお、潮だまり6を設ける位置は、切欠き7の近傍に限定されず、図4に示すように、切欠き7と潮だまり6との間に石材5を介在させてもよい。
【0033】
また、上記実施形態においては、コンクリートからなる本体部を有するテラス構造を例示したが、製造又は敷設工事に要するコストを削減する観点から、鉄骨やコンクリート柱のフレームによって本体部を形成してもよい。図5は、このような構成を有するテラス構造付き護岸構造体の実施形態を示す斜視図である。フレーム23の各段に凹部を有する部材21a,21b,21cを設置することによってテラス構造25が構築される。テラス構造25は、設置及び撤去が比較的容易であるという利点がある。テラス構造25は、例えば、部材21a,21b,21cの各凹部に石材や底質を充填する作業を地上で行って平場3a、潮だまり6等を形成した後、これらの部材を所定の位置まで運搬することによって設置できる。
【0034】
図5に示すように、フレーム23の正面に設置されるプレート24には、水抜穴24aを複数設けることが好ましい。なお、テラス構造25を水路1の長手方向に複数並べて配置する場合、隣接するテラス構造25同士を離隔して設置することが好ましい。かかる構成を採用することにより、波当りが強い場合であっても隣接するテラス構造25の間に水が抜ける流路を確保できる。また、鉄骨やコンクリート柱のフレームによって本体部を形成する代わりに、捨石などを積み重ねて本体部を形成してもよい。
【0035】
更に、テラス構造の設置及び撤去をより一層容易にする観点から、水路1の護岸天端1bからテラス構造を吊るすようにしてテラス構造付き護岸構造体を構築してもよい。図6は、このような構成を有するテラス構造付き護岸構造体の実施形態を示す断面図である。この場合、部材31の凹部31aに平場3a及び底質層4が形成される。このテラス構造35は、最下段となる平場3aの上面が平均低潮位MLWあるいは略最低低潮面よりも低い高さ(位置)になるように、支持部材36によって固定される。
【0036】
また、上記実施形態では、本発明に係るテラス構造付き護岸構造体を水路1の護岸に適用する場合を例示したが、水位が上下に変動する内湾の沿岸域であれば、水路以外にも適用することができ、例えば、河川の河口域、運河等の護岸に適用できる。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
東京湾の沿岸域の水位が上下に変動する水路に、図7(a)に示す構成のテラス構造を有する護岸構造体を構築した。当該テラス構造は、石材によって形成された平場を平均低潮位(MLW)よりも低い位置に有するものであり、水路の底面から平場の上面までの高さは2mとした。テラス構造を構築してから4ヶ月後、図7(a)に示す領域A1,B1,C1から水を採取し、採取した水の溶存酸素量をそれぞれ測定した。
【0038】
(比較例1)
図7(b)に示す構成の護岸構造体近傍の領域A2,B2,C2から水を採取し、採取した水の溶存酸素量を測定した。溶存酸素量の測定は実施例1における測定と同日に実施した。図7(b)に示す護岸構造体は、上記実施例1に係る護岸構造体の付近に設けられたものである。
【0039】
表1に満潮時及び干潮時にそれぞれ採取した各領域の溶存酸素量の測定結果を示す。なお、干潮時の水位よりも上方に位置する領域A1及び領域A2については満潮時のみ水を採取し、その溶存酸素量を測定した。また、上記実施例1及び比較例1の溶存酸素量の測定を行った日の満潮時の水位と干潮時の水位との高低差は約2mであり、干潮時における水面から平場の上面までの高低差は、約0.3mであった。
【表1】

【0040】
表1に示された結果から明らかなように、実施例1に係る護岸構造体を採用することで、平場上方の領域(領域B1)の溶存酸素量が特に向上することが示された。平場を形成する石材上には藻類の付着が認められ、溶存酸素量の向上は藻類の光合成によるものと考えられる。また、実施例1に係る護岸構造体の平場の表面上にはハゼの群れが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る護岸構造体の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示された護岸構造体の断面図である。
【図3】本発明に係る護岸構造体の第2実施形態を示す上面図である。
【図4】本発明に係る護岸構造体の第3実施形態を示す上面図である。
【図5】本発明に係る護岸構造体の第4実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る護岸構造体の第5実施形態を示す断面図である。
【図7】(a)及び(b)は実施例及び比較例に係る護岸構造体をそれぞれ示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1…水路、2,25,35…テラス構造、2d…壁面、3a…平場、4…底質層、5…石材、10…護岸構造体、S…水面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水位が上下に変動する内湾の沿岸域に設置され、当該沿岸域に生息する生物の生息場を形成するテラス構造を備えた護岸構造体であって、
前記テラス構造は、当該沿岸域の平均低潮位よりも低い位置に、石材が敷詰められた平場を有し、
前記平場を形成する複数の石材は、水平方向の断面積が上方から下方に向かって徐々に小さくなるようにそれぞれ配置されていることを特徴とする護岸構造体。
【請求項2】
前記テラス構造は、前記平場の縁部から下方に延在する壁面を更に有することを特徴とする、請求項1に記載の護岸構造体。
【請求項3】
前記テラス構造は、前記平場を形成する複数の石材の下側に設けられ当該石材を支持する底質層を更に備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の護岸構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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