説明

テラヘルツ波帯用の窓部材、試料容器、検出発生装置、基板材料、並びに、単結晶シリコンカーバイドの透過特性の算出方法及び評価方法

【課題】強度、化学的安定性、使用上の利便性を兼ね備え、テラヘルツ波帯を中心とする帯域の電磁波を、精度良く検出または発生する装置の窓部材、また、それを備える試料容器及び検出発生装置、テラヘルツ波帯の電磁波で動作するデバイスの基板材料、並びに、その窓部材等として提案する単結晶シリコンカーバイドの透過特性の算出方法及び評価方法を提供すること。
【解決手段】単結晶シリコンカーバイドを、テラヘルツ波帯の電磁波を透過する窓部材に用いる。単結晶シリコンカーバイドの透過特性の算出には、対象とする単結晶シリコンカーバイドのキャリア濃度を、誘電関数に適用して透過特性を求める。単結晶シリコンカーバイドの評価には、透過特性から屈折率に関する情報を求め、窓部材材料としての特性を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テラヘルツ波帯の電磁波を検出または発生する装置の窓部材、それを備える試料容器及び検出発生装置、テラヘルツ波帯の電磁波で動作するデバイスの基板材料、並びに、単結晶シリコンカーバイドの透過特性の算出方法及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠赤外線やサブミリ波の領域において新しい発生及び検出方式の研究が急速に進展しつつあり、テラヘルツ波が注目されている。この領域は、赤外とミリ波の間、換言すれば光波と電波の境界に位置する。光と電波のそれぞれの領域が重要な応用技術と共に発展してきたのとは対照的に、技術面でも応用面でも未だ開拓途上にある領域である。
【0003】
テラヘルツ波帯は、古くから適当な光源と検出素子が無かったために、あまり研究が進んでいなかった。20世紀後半になって半導体工学やレーザー工学が発達すると、半導体で作製したアンテナ素子をフェムト秒パルスレーザーで励起することでテラヘルツ波が放射される現象が見い出された。
【0004】
光技術を用いてテラヘルツ波を発生させる従来の方式には、次のようなものがある。すなわち、非線形光学結晶を用いた差周波光発生(DFG)、非線形光学結晶を用いたパラメトリック発振、光伝導(PC)素子を用いた光混合、PC素子を用いたフェムト秒光パルスによる超短電磁パルス発生が挙げられる。
【0005】
テラヘルツ波を検出する従来の方式には、次のようなものがある。すなわち、光伝導アンテナやEO結晶、MO結晶、自己相関分光法を用いた時間領域検出器、不純物半導体光伝導型検出器や量子井戸検出器を用いた半導体量子型検出器、冷却半導体ボロメータやアンテナ結合マイクロボロメータを用いた熱的検出器、SISミキサーやHEBミキサー、STJ検出器、TES検出器を用いた超伝導検出器が挙げられる。
【0006】
テラヘルツ波に関する研究は急速に発展しつつあり、無線通信における周波数帯の有効利用や超高速通信への対応、並びにこの周波数帯の電磁波の特徴を活用したイメージングや、環境計測、各種検査、バイオや医学への応用など、テラヘルツ領域の研究は今後ますます重要になる。
また、これまで光源・検出器が未発達であったために解明されていない物理現象・生命現象・物質構造の解明、更に、宇宙、大気や生体、プラズマなどの計測・診断など幅広い基礎的な応用分野の発展につながる。
【0007】
一方、分光分析やセンシング測定等において、試料を加熱または冷却する際や大気と異なる雰囲気中に置く場合には、試料や光学系を保持または安定化するために、窓部材を用いて環境を分離する必要がある。これらの窓部材は、測定に用いる光波または電波を透過する特性が必須である。
【0008】
従来のテラヘルツ波帯センシングシステムにおいては、主にテフロン(登録商標)などの樹脂材料、まれにシリコン基板が用いられてきた。
また、テラヘルツ波を透過する窓部材に関連する従来技術には、特許文献1〜5もある。
【0009】
しかし、樹脂材料は、透過帯域や強度や化学薬品に対する耐性に難があり、シリコン基板は、可視光領域で不透明のため光軸調整等に困難を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−316044 「フォトキャパシタンス法を用いたテラヘルツ光センシングシステム」
【特許文献2】特開2006−211626 「極低温冷却用窓材、天体観測装置用の極低温冷却装置、並びに、テラヘルツ波観測を利用した検査機器」
【特許文献3】特開2004−271261 「テラヘルツ分光装置」
【特許文献4】特表2003−529760 「試料を調査する装置及び方法」
【特許文献5】WO2003/058212 「分光測定装置」
【特許文献6】特開2009−91173 「炭化珪素単結晶の製造装置」
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】K. Narita, Y. Hijikata, H. Yaguchi, S. Yoshida, and S. Nakashima,Jpn. J. Appl. Phys. 43 (2004) 5151
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、強度、化学的安定性、使用上の利便性を兼ね備え、テラヘルツ波帯を中心とする帯域の電磁波を、精度良く検出または発生する装置の窓部材、また、それを備える試料容器及び検出発生装置、テラヘルツ波帯の電磁波で動作するデバイスの基板材料、並びに、その窓部材等として提案する単結晶シリコンカーバイドの透過特性の算出方法及び評価方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のテラヘルツ波帯用の窓部材は、次の構成を備える。すなわち、テラヘルツ波帯の電磁波を検出または発生する装置の窓部材であって、単結晶シリコンカーバイドを、テラヘルツ波帯の電磁波を透過する窓部材に用いたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明のテラヘルツ波帯用の試料容器は、前記のテラヘルツ波帯用の窓部材を、試料を収容すると共に、テラヘルツ波帯の電磁波を透過する容器に設けたことを特徴とする。
【0015】
本発明のテラヘルツ波帯検出装置は、前記のテラヘルツ波帯用の窓部材を、テラヘルツ波帯の電磁波を検出する装置の窓に設けたことを特徴とする。同様に、本発明のテラヘルツ波帯発生装置は、前記のテラヘルツ波帯用の窓部材を、テラヘルツ波帯の電磁波を発生する装置の窓に設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明のテラヘルツ波帯用の基板材料は、テラヘルツ波帯の電磁波で動作するデバイスの基板材料であって、単結晶シリコンカーバイドを、テラヘルツ波帯の電磁波で動作するデバイスの基板材料に用いたことを特徴とする。
【0017】
本発明の単結晶シリコンカーバイドの透過特性の算出方法は、単結晶シリコンカーバイドの透過特性を求める方法であって、対象とする単結晶シリコンカーバイドのキャリア濃度を、誘電関数に適用して透過特性を求めることを特徴とする。
【0018】
ここで、単結晶シリコンカーバイドの透過スペクトルを、下式
【0019】
【数1】

【0020】
(ただし、ω=振動数、α(ω)=吸収係数、R(ω)=反射率、L=サンプルの厚さ)によって求めてもよい。
【0021】
また、吸収係数α(ω)を下式
【0022】
【数2】

【0023】
によって求め、
反射率R(ω)を下式
【0024】
【数3】

【0025】
(ただし、nとkは、下式の複素誘電関数ε(ω)を満たす値
【0026】
【数4】

【0027】
【数5】

【0028】
(ここで、ε∞=光学誘電関数、ΓT =TOフォノンの減衰定数、ωL =LOフォノンの振動数、ωT =TOフォノンの振動数、ωP =プラズマ振動数、γP =プラズモンの減衰定数、ΓL =LOフォノンの減衰定数))によって求めてもよい。
【0029】
プラズマ振動数ωP を下式
【0030】
【数6】

【0031】
(ただし、N=キャリア濃度、e=電子の素電荷、m=電子の有効質量)によって求め
てもよい。
【0032】
プラズモンの減衰定数γPを下式
【0033】
【数7】

【0034】
(ただし、μ=移動度、e=電子の素電荷、m=電子の有効質量)によって求めてもよい。
【0035】
本発明の単結晶シリコンカーバイドの評価方法は、前記の単結晶シリコンカーバイドの透過特性の算出方法で得られた透過特性から、屈折率に関する情報を求め、窓部材としての特性を評価することを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明によると、単結晶シリコンカーバイドを用いることによって、強度、化学的安定性、使用上の利便性を兼ね備えたテラヘルツ波帯用の窓部材、試料容器、検出発生装置、基板材料が得られる。また、テラヘルツ波帯のみならず赤外領域や可視領域などでも光を透過可能なので、センシングシステムの適応領域の拡大や操作の簡素化にも寄与する。
また、本発明によると、窓部材等として提案する単結晶シリコンカーバイドの透過特性の算出や評価が行えるので、各用途に応じた材料の選択にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】異なるキャリア濃度の6H-SiCにおけるFTIR反射スペクトルのグラフ
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、図面を基に本発明の実施形態を説明する。ここでは、テラヘルツ波帯の電磁波検出装置及び発生装置、その窓部材、試料容器、テラヘルツ波帯の電磁波で動作するデバイスについて、逐一具体例は挙げないが、前記特許文献など従来公知のものに適宜適用可能である。
また、対象とする電磁波として、テラヘルツ波を挙げるが、テラヘルツ波帯のみならず赤外領域や可視領域など、テラヘルツ波帯を中心とした帯域にも同様に適用可能である。
実施形態は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜設計変更可能であり、発明の要部以外については、前記特許文献など従来公知の技術を適宜援用可能である。
【0039】
本発明では、テラヘルツ波帯センシングシステム等、テラヘルツ波を透過する必要がある材料として、強度や化学的安定性に優れた特性をもつ単結晶シリコンカーバイドを用いる。
すなわち、単結晶シリコンカーバイドを、テラヘルツ波帯の電磁波を検出する装置の窓部材に設けてもよいし、テラヘルツ波帯の電磁波を発生する装置の窓部材に設けてもよいし、テラヘルツ波帯の電磁波を透過する容器に設けてもよいし、テラヘルツ波帯の電磁波で動作するデバイスの基板材料に設けてもよい。
なお、シリコンカーバイドの従来の用途は、硬度が高いことを利用する研磨材や高温炉壁や、トランジスタ、ダイオードであり、電磁波検出装置の窓部材等としての利用はなかった。
【0040】
単結晶シリコンカーバイドを用いると、テラヘルツ波帯のみならず、赤外領域や可視領域でも光を透過することが可能となるので、センシングシステムの適応領域の拡大や精度向上できる。
特に広い帯域を透過することから、窓部材を一種類にすることが可能になり、従来は紫外用、可視光用、近赤外用、中赤外用、遠赤外用、テラヘルツ波帯用と複数を組み合わせて行っていた分光センシングシステムを簡素化できる。また、複数台の装置を組み合わせる場合でも、液体及び気体の容器に用いることで、試料の入れ替えを行わずに簡便に測定できる。
【0041】
シリコンカーバイドはデバイスへの展開を見据え、近年、結晶成長技術で飛躍的な進歩を遂げつつある材料であり、安価で高品質、大径のものが得られつつある。例えば、特許文献6はその一例である。
【0042】
本発明で用いるシリコンカーバイドは、いずれの製法によるものでもよい。
製法としては、例えば、Acheson法、昇華法、種付け昇華再結晶法、ステップ制御エピタキシー法、溶液成長法などが挙げられる。
【0043】
本発明で用いるシリコンカーバイドは、いずれの結晶多形も利用できる。
シリコンカーバイドは、同一の組成でc軸方向に対して多様な積層構造をとる結晶多形を示し、3C-SiC、4H-SiC、6H-SiC、15R-SiCなど200種類以上が存在する。
なお、結晶多形によっては、熱的安定性や、電子移動度、禁制帯幅、絶縁破壊電界、不純物準位、電気伝導の異方性などに差異がある。
【0044】
本発明で用いるシリコンカーバイドの結晶面方位は、いずれの方位のものも利用できる。
多くの場合、シリコンカーバイドの成長面はc軸に垂直な面が現れ,C面またはSi面が現れるが、窓部材等に適用する配向は特に限定されない。成長面と異なる面を露出して用いても、有効質量を変えることで透過特性を算出できる。
【0045】
シリコンカーバイドは結晶多形が存在し、さらに製法等によってキャリア濃度も様々であるが、本発明者は、その透過特性がキャリア濃度に依存し、誘電関数を用いた計算から正確に予測できることを見出した。
また、テラヘルツ波帯の透過特性の計算から得られる情報から、テラヘルツ波帯で動作するデバイスなどの材料選択に必要な屈折率情報を得ることができるので、材料の評価や、high-k材料を選び出すことなどにも適用可能である。
【0046】
単結晶シリコンカーバイドにおけるテラヘルツ帯域の透過スペクトルのキャリア濃度は、reststrahlenバンド(800〜1000cm-1)とプラズマ振動数で決定される低波数方向へのバンドの立ち上がりから推定することができる。
図1は、異なるキャリア濃度の6H-SiCにおけるFTIR反射スペクトルを示すグラフである(非特許文献1)。
キャリア濃度が高くなるにつれて((a)4.4×1017cm-3、(b)7.7×1018cm-3、(c)2.8×1019cm-3、)、reststrahlenバンドのピークが高波数側で崩れることと、プラズマ振動数で決定される低波数でのバンドの立ち上がりが高波数側にシフトしている。
【0047】
単結晶シリコンカーバイドの透過特性を求めるには、対象とする単結晶シリコンカーバイドのキャリア濃度を、誘電関数に適用して透過特性を求める。
なお、誘電関数には電気伝導やバンド間遷移による損失が発生するため、一般に複素関数となる。物質の誘電関数を調べることで、その電子物性、光物性に関する多くの情報を得ることができる。例えば、光吸収スペクトルの測定から虚数を得ることができ、それにクラマース・クローニッヒの関係式(Kramers-Kronig relations)を用いることで、実数を得ることができる。
【0048】
光学スペクトルは下記で算出できる。
下式は、各パラメータから複素誘電関数ε(ω)を導く式である。
【0049】
【数4】

【0050】
(ここで、ω=振動数、ε∞=光学誘電関数(=6.52)、ΓT =TOフォノンの減衰定数、ωL=LOフォノンの振動数(966.4cm-1)、ωT =TOフォノンの振動数(797cm-1 )ωP =プラズマ振動数、γP =プラズモンの減衰定数、ΓL =LOフォノンの減衰定数(=2cm-1)))
【0051】
複素誘電関数ε(ω)を、下式の複素関数に置き、
【0052】
【数5】

【0053】
下式に代入することで、反射率R(ω)を求めることができる。
【0054】
【数3】

【0055】
プラズマ振動数ωPは、キャリア濃度を通じて、下式
【0056】
【数6】

【0057】
(ただし、N=キャリア濃度、e=電子の素電荷、m=電子の有効質量)から求められる。
【0058】
プラズモンの減衰定数γPは、移動度を通じて、下式
【0059】
【数7】

【0060】
(ただし、μ=移動度、e=電子の素電荷、m=電子の有効質量)から求められる。
【0061】
LOフォノンの減衰定数ΓLは、結晶構造の規則性を反映する値である。
【0062】
吸収係数α(ω)は、下式
【0063】
【数2】

【0064】
によって求められる。
【0065】
従って、吸収係数α(ω)と反射率R(ω)とから、厚さLのサンプルにおける透過スペクトルが、下式
【0066】
【数1】

【0067】
によって求められる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によると、強度、化学的安定性、使用上の利便性を兼ね備え、テラヘルツ波帯を中心とする帯域の電磁波用に有用な材料を使用できるようになるので、テラヘルツ波帯から紫外領域にわたるセンシング装置やイメージング装置、クライオスタットの窓材、分光分析用セル材料、その窓部材、また、テラヘルツ波帯で動作するデバイスの基板材料などに活用できる。
【0069】
テラヘルツ波技術は、原子系の量子状態を制御する手段としての原子チップ、原子光学、BEC技術や、物質系の新しい観測手段としても有望であり、本発明はテラヘルツ波の多様な用途に寄与する。
テラヘルツ波の応用分野は、物性、分子分光、生体研究などの基礎研究から、半導体など各種材料の品質評価、高感度ガス検出、超高速通信などの応用分野まで多岐にわたる。
また、半導体、プラスチック、ビニール、紙、ゴム、木材、歯、骨、乾燥食品などを透過する電磁波の中で、テラヘルツ波が最も短波長すなわち高分解能であることから、人体に危険なX線に代わる安全な非破壊検査用光源としての実用化に期待がもたれる。
更に、DNAやタンパク質、酵素など生体高分子の骨格振動周波数が、テラヘルツ波領域に存在することが明らかになりつつあり、医療応用や生体イメージングなどの分野でも有望である。
また、皮膚癌や乳癌の早期診断、火傷深さの診断、虫歯の断層撮影、半導体シリコン基板の検査、粉ミルク等への異物混入防止、乾燥食品の水分含有量検査、材木や紙などの水分含有量検査など多分野にわたるので、産業上利用価値が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テラヘルツ波帯の電磁波を検出または発生する装置の窓部材であって、
単結晶シリコンカーバイドを、テラヘルツ波帯の電磁波を透過する窓部材に用いた
ことを特徴とするテラヘルツ波帯用の窓部材。
【請求項2】
請求項1に記載のテラヘルツ波帯用の窓部材を、
試料を収容すると共に、テラヘルツ波帯の電磁波を透過する容器に設けた
ことを特徴とするテラヘルツ波帯用の試料容器。
【請求項3】
請求項1に記載のテラヘルツ波帯用の窓部材を、
テラヘルツ波帯の電磁波を検出または発生する装置の窓に設けた
ことを特徴とするテラヘルツ波帯検出発生装置。
【請求項4】
テラヘルツ波帯の電磁波で動作するデバイスの基板材料であって、
単結晶シリコンカーバイドを、テラヘルツ波帯の電磁波で動作するデバイスの基板材料に用いた
ことを特徴とするテラヘルツ波帯用の基板材料。
【請求項5】
単結晶シリコンカーバイドの透過特性を求める方法であって、
対象とする単結晶シリコンカーバイドのキャリア濃度を、誘電関数に適用して透過特性を求める
ことを特徴とする単結晶シリコンカーバイドの透過特性の算出方法。
【請求項6】
単結晶シリコンカーバイドの透過スペクトルを、下式
(数1)

(ただし、ω=振動数、α(ω)=吸収係数、R(ω)=反射率、L=サンプルの厚さ)によって求める
請求項5に記載の単結晶シリコンカーバイドの透過特性の算出方法。
【請求項7】
吸収係数α(ω)を下式
(数2)

によって求め、
反射率R(ω)を下式
(数3)

(ただし、nとkは、下式の複素誘電関数ε(ω)を満たす値
(数4)

(数5)

(ここで、ε∞=光学誘電関数、ΓT =TOフォノンの減衰定数、ωL =LOフォノンの振動数、ωT =TOフォノンの振動数、ωP =プラズマ振動数、γP =プラズモンの減衰定数、ΓL =LOフォノンの減衰定数))によって求める
請求項6に記載の単結晶シリコンカーバイドの透過特性の算出方法。
【請求項8】
プラズマ振動数ωP を下式
(数6)

(ただし、N=キャリア濃度、e=電子の素電荷、m=電子の有効質量)によって求める
請求項7に記載の単結晶シリコンカーバイドの透過特性の算出方法。
【請求項9】
プラズモンの減衰定数γP を下式
(数7)

(ただし、μ=移動度、e=電子の素電荷、m=電子の有効質量)
によって求める
請求項7または8に記載の単結晶シリコンカーバイドの透過特性の算出方法。
【請求項10】
請求項5ないし9のいずれかに記載の単結晶シリコンカーバイドの透過特性の算出方法で得られた透過特性から、
屈折率に関する情報を求め、窓部材としての特性を評価する
ことを特徴とする単結晶シリコンカーバイドの評価方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−149698(P2011−149698A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296356(P2009−296356)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【出願人】(304020292)国立大学法人徳島大学 (307)
【Fターム(参考)】