説明

テレビジョン受像器

【課題】テレビジョン受像器を構成する入出力機能デバイスで、ユーザーが使用していない機能デバイスへの電源供給を制御する。
【解決手段】本発明のテレビジョン受像器は、電源供給ユニットと、電源供給をON/OFF制御するスイッチを介して接続される複数の入出力機能デバイスからなり、複数の電源供給ON/OFFスイッチをマイクロコンピュータが制御することにより、入出力機能デバイス毎の電源供給を制御することを特徴とする。電源供給をON/OFF制御するスイッチとしては、電源供給ユニットから供給される電源入力端子と、各入出力機能デバイスへ電源供給を行う電源出力端子、そして、電源供給のON/OFFを制御する制御端子を有するパワーFETスイッチが用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン受像器に関し、更に詳しくは、機能デバイス、入出力信号系などの機能ブロックへの電源供給を制御するテレビジョン受像器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル信号処理技術や半導体技術の進歩により入出力信号の機能毎にLSIが供給されるようになり、高機能でありながらも比較的安価にテレビジョン受像器を構成できるようになった。しかし、技術の発展に伴い、ユーザーからのテレビジョン受像器の高性能化に対する要求も増し、新機能を搭載したLSIを多用した結果、テレビジョン受像器が消費する電力も比例して大きくなっている。高性能、高機能化の一方で、すべてのユーザーがテレビジョン受像器に搭載された機能LSIをすべて使用するわけではなく、不要な電力を常に消費している状態にあるといえる。
【0003】
従来のテレビジョン受像器では、電源装置を細分化し不要となる特定の機能部のみへの電源供給を制御する仕組みを具備し省電力化を図っている(例えば、特許文献1参照)。このテレビジョン受像器では、テレビジョン受像器が受信したBS放送の映像信号を外部機器へ出力する場合に、従来であればテレビジョン受像器すべての電源をオンする必要があったが、BS放送を外部へ出力するために必要十分な電源装置とそれらを切り替えるスイッチを別途配置することで、消費電力削減を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−278786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のテレビジョン受像器では、主電源オフ時に一部の機能デバイスを使用する際や、BS放送を視聴しない場合に限って省電力化が可能であるが、BS放送を視聴中はすべての機能デバイスへ電源が供給されていることとなり消費電力を削減することができなくなるという問題があった。
【0006】
また、上記従来のテレビジョン受像器では、BS放送の外部出力用に別途電源装置を設けることとなり、コストアップにつながってしまうという問題もあった。
【0007】
テレビジョン受像器において省電力を目指すためには、ユーザーの視聴環境や使用状態によっては使用頻度の低い機能や全く使用しない機能もあることからも、使用していない機能デバイスは極力電源供給をOFFすることが望ましく、また、ユーザー自身にも積極的に電源供給OFFをアピールする必要がある。
【0008】
本発明は上記従来技術の課題を解決するものであって、テレビジョン受像器を構成する入出力機能デバイスで、ユーザーが使用していない機能デバイスへの電源供給を制御することを可能にし、かつユーザーに機能デバイスへの電源供給ON/OFF制御を選択させることが可能なテレビジョン受像器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来の課題を解決するために、本発明のテレビジョン受像器は、電源供給ユニットと、電源供給をON/OFF制御するスイッチを介して接続される複数の入出力機能デバイスからなり、複数の電源供給ON/OFFスイッチをマイクロコンピュータが制御することにより、入出力機能デバイス毎の電源供給を制御することを特徴とする。電源供給をON/OFF制御するスイッチとしては、電源供給ユニットから供給される電源入力端子と、各入出力機能デバイスへ電源供給を行う電源出力端子、そして、電源供給のON/OFFを制御する制御端子を有するパワーFETスイッチが用いられる。
【0010】
また、本発明のテレビジョン受像器は、オンスクリーンディスプレイ上へ現在の各入出力機能デバイスの電源制御状態を表示し、ユーザーが表示画面を介して入出力機能デバイスの電源供給ON/OFFを指示することを特徴とする。更に、ユーザーからの電源供給OFFの指示に当たっては、該当の機能デバイスへの電源供給を停止した際に、どの程度消費電力量を削減できるかを定量的に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明は、電源供給ユニットと入出力機能デバイスとの間に電源供給ON/OFFスイッチを設け、入出力機能デバイス毎に電源供給をON/OFF制御する。そして、入出力機能デバイス毎のON/OFF制御をユーザーに開放し機能別に選択可能とし、電源供給OFFに設定する場合には、その削減効果を定量的に表示する。
【0012】
よって、本発明によれば、入出力機能デバイス毎の電源制御が可能となり、緻密な消費電力マネージメントができ年間消費電力量削減の効果が大きくなる。また、ユーザーが各入出力機能デバイスの電源供給のON/OFF制御を行うことができるため、ユーザー主体の積極的な消費電力削減が可能となる。更に、ユーザーによる各入出力機能デバイスのON/OFF制御指示時において、オンスクリーンディスプレイ上へ電源供給OFF時の消費電力削減量を定量的に認識できることで積極的な消費電力の浪費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係るテレビジョン受像器の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1に係るTUNERへの電源供給ON/OFF制御を示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態1に係る入出力機能デバイス毎の個別の電源ON/OFF制御を促すオンスクリーン表示例を示す図
【図4】本発明の実施の形態1に係る入出力機能デバイスの電源制御がOFFの場合の消費電力削減量を表示する表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るテレビジョン受像器の構成を示すブロック図である。テレビジョン受像器は、CPU(Central Processing Unit)100と、ROM(Read Only Memory)110と、RAM(Random Access Memory)120と、画像処理部130と、表示部140と、マイクロコンピュータ170(制御部)と、電源供給ユニット180(電源供給部)と、入出力機能デバイス200〜270と、入出力機能デバイス200〜270と電源供給ユニット180の間へ介挿されるパワーFET(Field Effect Transistor)300〜370(スイッチ部)とで構成されている。
【0016】
CPU100は、システムの中核をなす。そして、ROM110およびRAM120のメモリ群に格納されたオペレーティングシステムに従い、信号処理演算および入出力機能デバイスの制御を行う。
【0017】
ROM110及びRAM120は、主記憶を司る。画質処理部130は、CPU100で処理された信号を高画質化する機能を有す。表示部140は、画質処理部130から入力された高画質化された信号をユーザーが視聴できる形で表示させる機能を有す。
【0018】
入出力機能デバイス200〜270は、電源供給制御を受ける入出力機能デバイス群であり、CPU100とはデータバスライン160を介して接続され、各機能デバイスの状態は通信バスライン150を介してマイクロコンピュータ170へ通知される。本発明の実施の形態1では、入出力機能デバイスとして、地上波、衛星波等の放送波を受信するTUNER200と、HDMIコントローラー210と、VIDEOコントローラー220と、LANコントローラー230と、i.Linkコントローラー240と、USBコントローラー250と、PC入力コントローラー260と、SDカードコントローラー270を例示している。
【0019】
また、パワーFET制御ライン400〜470は、パワーFET300〜370のON/OFFを制御する信号ラインであり、マイクロコンピュータ170により制御される。パワーFET電源供給ライン500〜570は、電源供給ユニット180の出力端子から各パワーFETの入力端子へ電源を供給する。そして入出力機能デバイス電源供給ライン600〜670は、各パワーFETの出力端子から各々の入出力機能デバイスの電源入力端子へ電源を供給する。
【0020】
本実施の形態におけるテレビジョン受像器では、電源供給ユニット180の出力端子と入出力機能デバイス200〜270の各電源入力端子との間にパワーFET300〜370が挿入されている。そして、パワーFET300〜370のON/OFF制御をマイクロコンピュータ170の出力信号であるパワーFET制御ライン400〜470で実施する構成となっている。なお、パワーFET300〜370のON/OFF制御は、ユーザーが任意に設定して実施する場合と、入出力機能デバイスの使用状態をCPU100およびマイクロコンピュータ170が自動的に判断しコントロールすることにより実施される。これらの処理については後ほど詳述する。
【0021】
図2、図3、図4は、本発明の実施の形態1に係るテレビジョン受像器の動作を説明するための図である。図2は、TUNER200への電源供給ON/OFF制御の動作を示すフローチャートである。図3は、ユーザーに対して入出力機能デバイス毎の個別の電源ON/OFF制御を促すオンスクリーン表示例を示す図である。図4は、ユーザーに対して入出力機能デバイスの電源制御がOFFの場合の消費電力削減量を表示する表示例を示す図である。
【0022】
まず、図2を用いて、本発明の実施の形態1に係るテレビジョン受像器の動作について詳細に説明する。図2では、入出力機能デバイスの使用状態に応じて、入出力機能デバイスの電源供給制御を行っている。なお、本実施の形態では、TUNER200の電源供給制御について例示する。
【0023】
テレビジョン受像器の主電源がONされると、電源供給ユニット180が起動し、電源供給ユニット180は、TUNER200を含む入出力機能デバイス200〜270すべてへ電源供給を行なう(ステップS200)。具体的には、テレビジョン受像器の主電源ONに伴い、マイクロコンピュータ170からパワーFET制御ライン400〜470へパワーFETをONするための信号が出力され、パワーFET300〜370がONされる。パワーFET300〜370がONされることで電源供給ユニット180からパワーFET電源供給ライン500〜570、入出力機能デバイス電源供給ライン600〜670を経て入出力機能デバイス200〜270へ電源供給が行なわれる。これにより、TUNER200に電源が供給され、TUNER200は入出力機能デバイスとして動作可能となる。ここで、主電源ON時の初期状態においては、入出力機能デバイスとしてTUNER200が設定されている。
【0024】
次に、ユーザーは、どの入出力機能デバイスを用いて入力信号を受信するかを判断する(ステップS210)。主電源ON時の初期状態において入出力機能デバイスとしてTUNER200が設定されている状況において、TUNER200を継続して使用して放送波を視聴すると判断した場合は(ステップS210で「No」)、TUNER200で放送波を受信して映像を出力する(ステップS270)。
【0025】
TUNER200以外の別の入出力機能デバイスを設定して入力信号を受信して視聴すると判断した場合は(ステップS210で「Yes」)、別の入出力機能デバイスへ入力切換を実施するにあたり、TUNER200を使用するか否かを判断する(ステップS220)。HDMIコントローラー210等を使用し、TUNER200を使用しない場合は(ステップS220で「No」)、TUNER200への電源供給を停止する(ステップS230)。この時、マイクロコンピュータ170は、パワーFET制御ライン400へパワーFET300をOFFするための信号を出力することで、パワーFET300をOFFし、TUNER200への電源供給を遮断する制御を行う。そして、TUER200への電源供給遮断後に、HDMIコントローラー210等の別の入出力機能デバイスへ入力状態を切り換え(ステップS260)、別の入出力機能デバイスで受信した入力信号を映像として出力する(ステップS270)。
【0026】
一方、例えば、ステップS210において入出力機能デバイスとしてHDMIコントローラー210等の入出力機能デバイスが設定されている状況において、入力切換先としてTUNER200を使用すると判断した場合は(ステップS220で「Yes」)、現在のTUNER200の電源状態を判断する(ステップS240)。TUNER200へ電源供給がなされていないと判断した場合は(ステップS240で「No」)、TUNER200への電源供給を実施する(ステップS250)。具体的には、マイクロコンピュータ170は、パワーFET制御ライン400によってパワーFET300をONするための信号を出力してパワーFET300をONさせ、電源供給ユニット180からTUNER200へ電源供給を行なわせる。そして、TUNER200へ入力状態を切り換え(ステップS260)、TUNER200で放送波を受信して映像を表示する(ステップS270)。
【0027】
そして、テレビジョン受像器は、主電源ONの間(ステップS280で「No」)、上記処理を繰り返す。ユーザーが主電源OFFを実行した場合は(ステップS280で「Yes」)上記処理を終了する。
【0028】
以上の処理により、マイクロコンピュータ170がパワーFET300〜370のON/OFFを個別に制御し、入出力機能デバイス毎に電源の供給または遮断を行うことができる。
【0029】
次に、図3を用いて、ユーザーが電源供給制御を行う入出力機能デバイスを任意に設定して電源供給制御する処理を説明する。テレビジョン受像器は、所定タイミングあるいはユーザー要求に応じて、図3に例示するオンスクリーン画面を表示し、ユーザーが入出力機能デバイスの電源供給ON/OFFを個別に指示できるようにする。このオンスクリーン上の指示に基づき、マイクロコンピュータ170は、該当するパワーFET制御ライン400〜470へ制御信号を出力し、パワーFET300〜370のON/OFFを制御する。
【0030】
更に、ユーザーによる入出力機能デバイスの電源制御指示にあたって、図4に例示するオンスクリーン画面を、ユーザーによる入出力機能デバイスの電源供給ON/OFFの個別制御の際に、消費電力削減効果を表示部140のオンスクリーンディスプレイへ定量的に表示する。各入出力機能デバイス200〜270の消費電力削減量は、予めROM110に記憶されており、ユーザーの選択状態に応じて削減量のデータをCPU100が読み出し、画質処理部130を介して表示部140のオンスクリーンディスプレイ上へ表示させる。
【0031】
以上説明したように、本発明は、電源供給ユニット180と電源供給ON/OFFのスイッチをなすパワーFET300〜370を介して電源供給ユニット180から電源供給を受ける入出力機能デバイス200〜270、及び電源供給のON/OFFを制御するマイクロコンピュータ170で構成される。上記のパワーFET300〜370をマイクロコンピュータ170が個別にON/OFF制御することにより、それぞれの入出力機能デバイス200〜270への電源供給制御を行う。また、入出力機能デバイス200〜270のON/OFFは、表示部140のオンスクリーンディスプレイ上でユーザーによる個別制御によって行う。更に、ユーザーによるOFF制御の選択にあたっては、制御を受ける入出力機能デバイス200〜270の消費電力削減量をオンスクリーンディスプレイ上へ表示する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、テレビジョン受像器を構成する入出力機能デバイスの電源ON/OFF制御を個別に実施することが可能となるため、テレビジョン受像器のみならず、複数の入出力機能デバイスを有する機器における省電力化に有用である。
【符号の説明】
【0033】
100 CPU
110 ROM
120 RAM
130 画質処理部
140 表示部
150 通信バスライン
160 データバスライン
170 マイクロコンピュータ
180 電源供給ユニット
200、210、220、230、240、250、260、270 入出力機能デバイス
300、310、320、330、340、350、360、370 パワーFET
400、410、420、430、440、450、460、470 パワーFET制御ライン
500、510、520、530、540、550、560、570 パワーFET電源供給ライン
600、610、620、630、640、650、660、670 入出力機能デバイス電源供給ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入出力機能デバイスを有するテレビジョン受像器であって、
複数の前記入出力機能デバイスへ電源供給を行なう電源供給部と、
前記電源供給部の電源供給を制御する複数のスイッチ部と、
複数の前記入出力機能デイバスの通信状態に応じて、前記複数のスイッチ部を制御する制御部と、を具備することを特徴とするテレビジョン受像器。
【請求項2】
複数の前記入出力機能デバイスへの電源供給を指示する画面を表示する表示部と、を更に備え、
前記制御部は、前記表示部に表示された前記画面に対する指示に応じて、前記複数のスイッチ部を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載のテレビジョン受像器。
【請求項3】
前記表示部は、前記画面に対する指示に応じて、電源供給を停止する入出力機能デイバスによって削減可能な電源供給の量を表示する、ことを特徴とする請求項2に記載のテレビジョン受像器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−228986(P2011−228986A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97641(P2010−97641)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】