説明

テレビジョン受像機

【課題】内蔵された光ディスクドライブにおけるサーボ制御の耐震性(サーボエラーの抑制性能)の高いテレビジョン受像機を提供すること。
【解決手段】テレビジョン受像機Xが,光ディスクを速度可変に回転させるとともに,光ピックアップ部と前記光ディスクの各トラックとの位置関係を順次検出した結果に応じて前記光ピックアップ部の位置を調節するサーボ制御を行う光ディスクドライブ9と,コンテンツの再生音量と光ディスクの下限回転速度との対応関係を表す回転速度下限情報を記憶するEEPROM4cと,前記再生音量に応じて,前記光ディスクドライブ9における光ディスクの回転速度を前記回転速度下限情報に基づく前記下限回転速度以上に調節する録画・再生回路8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,光ディスクドライブ内蔵型のテレビジョン受像機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に,テレビジョン受像機は,録画・再生装置等の周辺機器と接続されたAVシステムの主要装置として利用されることが多い。また,昨今,液晶テレビジョン受像機に代表される薄型のテレビジョン装置は,光ディスクドライブが内蔵され,光ディスクに放送番組等のコンテンツを録画する録画機能及び録画データに基づく再生機能を備えるものがある。これにより,録画・再生機能を有するAVシステム全体の省スペース化が実現される。なお,光ディスクドライブには,DVD(Digital Versatile Disc)のドライブやブルーレイディスクのドライブ等がある。
【0003】
また,光ディスクドライブは,光ディスクの回転速度を,基準となる回転速度(1倍速)から,その2倍速,4倍速及び8倍速等へ変更する機能を有し,その回転速度に応じた速度で光ディスクに記録されたデータにアクセスする。
コンテンツの再生処理では,光ディスクドライブを通じて光ディスクからコンテンツのデータが先読みされ,そのコンテンツの再生信号の生成及びバッファリングが行われつつ,再生速度に応じたペースでバッファから再生信号が出力される。その際,光ディスクドライブは,基準となる回転速度よりも速い速度で光ディスクを回転させる。これにより,早送り再生が可能となり,また,再生処理中に他の割り込み処理が発生した場合でも円滑な再生が可能となる。なお,前記コンテンツのデータの先読みとは,そのコンテンツのリアルタイム再生に必要なデータの読み込みペースよりも速いペースでデータの読み込みを行うことである。
【0004】
また,光ディスクドライブは,データの読み出しを行いつつ,光ピックアップ部と光ディスクの各トラックとの位置関係(フォーカスのズレやトラッキング方向の位置ズレ)を順次検出し,その検出結果に応じて前記光ピックアップ部の位置を調節するサーボ制御(位置制御)を行う。そのサーボ制御により,光ディスクの表面(トラック)に対する前記ピックアップ部の位置が,信号ピックアップに適した目標位置に位置決めされる。
図4は,光ディスクドライブにおける光ピックアップ部のサーボ制御系の概略構成図である。
図4に示されるように,光源であるレーザダイオード91,対物レンズ93及びその他の光学系92,光検出器94,ピント検出回路95,サーボ回路96及びアクチュエータ97等を備えている。また,前記光学系92には,前記レーザダイオード91の出射光を光ディスク100側へ変向するとともに光ディスク100からの反射光を通過させる偏光ビームスプリッタ及び4分の1波長板や,前記対物レンズ93に向かう光を平行光にするコリメータレンズ,前記反射光のビーム形状を調整する円筒レンズ等が含まれる。なお,図4には,前記光検出器94の検出信号から光ディスク100に記録されたデータを抽出する回路についての記載は省略されている。
前記レーザダイオード91から出射されたレーザ光は,前記光学系92及び前記対物レンズ93を通じて光ディスク10のトラック101に集光(照射)される。さらに,その反射光が,前記対物レンズ93及び前記光学系92を通じて前記光検出器94に集光(受光)され,その光検出器94により光電変換される。
前記ピント検出回路95は,前記光検出器94の受光部における光の受光分布の状況から前記トラック101に対する光の焦点の合致状況を検出する。その検出結果は,前記対物レンズ93(光ピックアップ部の一部)と光ディスク100との距離を表す。
そして,前記サーボ回路96が,前記ピント検出回路95の検出結果が目標範囲に収まるように,即ち,光ディスク100に対する前記対物レンズ93の位置が目標位置となるように,前記対物レンズ93を移動可能に支持する前記アクチュエータ97を制御(サーボ制御)する。
【0005】
ところが,光ディスクドライブは,外乱を受けて振動すると,前記サーボ制御によっても前記光ピックアップ部を目標位置に位置決めできない状態(サーボエラー)が生じるという問題点を有している。光ディスクドライブにおいてサーボエラーが頻発すると,コンテンツ再生を円滑に行うことができない。
特に,薄型で軽量な液晶テレビジョン受像機は,光ディスクドライブが内蔵されることにより,スピーカの振動が光ディスクドライブに伝わりやすく,サーボエラーが生じやすい。
その問題点に対し,特許文献1には,振動検出手段により所定以上の振動が検出された場合に,光ディスクドライブにおけるサーボ制御のゲインを上げて耐震性を向上するオーディオ装置について示されている。
【特許文献1】特開2007−157213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで,サーボ制御の制御系は,制御量(ここでは,前記ピックアップ部の位置)のサンプリング周期やアクチュエータの動作時間等に起因する制御遅れの特性を有している。そのため,サーボ制御におけるゲインの上げ過ぎは,制御の発振につながる。従って,耐震性向上のために単にサーボ制御のゲインを上げる場合,許容されるゲインの上げ幅が小さく,サーボエラーの発生を十分に抑制できないという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,内蔵された光ディスクドライブにおけるサーボ制御の耐震性(サーボエラーの抑制性能)の高いテレビジョン受像機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係るテレビジョン受像機は,光ディスクドライブ内蔵型のテレビジョン受像機であり,次の(1)〜(5)に示す各構成要素を備えるものである。
(1)光ディスクを速度可変に回転させるとともに,光ピックアップ部と前記光ディスクの各トラックとの位置関係を順次検出した結果に応じて前記光ピックアップ部の位置を調節するサーボ制御を行いつつ前記光ディスクに記録されたデータを読み出す光ディスクドライブ。
(2)前記光ディスクドライブを通じて前記光ディスクからコンテンツのデータを先読みしつつそのコンテンツの再生信号を生成するコンテンツ再生手段。
(3)前記再生信号に基づく再生映像及び再生音声を出力する映像表示手段及びスピーカ。
(4)前記再生音声の音量と前記光ディスクの下限回転速度との対応関係を表す回転速度下限情報を記憶する回転速度下限情報記憶手段。
(5)前記再生音声の音量に応じて,前記光ディスクドライブにおける前記光ディスクの回転速度を前記回転速度下限情報に基づく前記下限回転速度以上に調節する回転速度調節手段。
なお,前記回転速度下限情報記憶手段は,前記回転速度下限情報を他の情報から独立した状態で記憶する手段の他,所定のプロセッサにより実行される制御プログラムの中に包含される定数パラメータ等として前記回転速度下限情報を記憶するROM等の記憶手段であることが考えられる。
【0008】
前記光ディスクドライブの前記サーボ制御において,制御量である前記位置関係の検出値のサンプリング周期は,前記光ディスクのトラックの移動速度,即ち,前記光ディスクの回転速度に反比例する。また,前記サーボ制御において,前記位置関係の検出値のサンプリング周期が短いほど,単位時間当たりの前記光ピックアップ部の位置調節回数が増えて制御の感度が高まる結果,耐震性が向上する。しかも,前記サーボ制御の感度は,前記光ディスクの回転速度の増大にほぼ比例して高まるが,サンプリング周期に起因する制御遅れが小さくなるため,単にゲインを上げる場合に比べて制御の発振が生じにくい。
本発明は,光ディスクドライブ内蔵型のテレビジョン受像機において,再生音声の音量が大きい場合に,装置の振動が大きい状態であると推定し,前記光ディスクの回転速度を下げすぎない又は上げることによってサーボ制御の耐震性(サーボエラーの抑制性能)を確保するものである。
【0009】
以下,前記サーボ制御の感度が,前記光ディスクの回転速度の増大によって高まることについて説明する。
図5はブルーレイディスクドライブにおけるピックアップのフォーカス制御サーボの開ループ特性である。
図5に示されるように,ブルーレイディスクドライブは,開ループ制御では,その規格上1倍速で約3KHzでゲイン0dBの値を取る。
一方,図6はブルーレイディスクドライブにおけるピックアップのフォーカス制御サーボの閉ループ特性である。
図6に示されるように,ブルーレイディスクドライブは,閉ループ制御では,1倍速で約3KHzより若干低い周波数でピークを持つ特性となる。
また,図5に示されるように,開ループ制御において2倍速にすると,ディスクの時間当たりの変動量も2倍になる。そのため,開ループ制御のサーボゲインを2倍にしなければならず,約6KHzでゲイン0dBの値を取る。
一方,図6に示されるように,閉ループ制御においても,開ループ制御の場合と同様に,2倍速時には6KHzより若干低い周波数にゲインのピークを持つ。
ブルーレイディスクドライブは,それ自体の振動の影響が数Hzから200Hz付近の帯域で最も顕著に現れる。これに対し,図5及び図6からわかるように,ディスクの回転速度を上げることにより,振動の影響を受ける帯域のサーボを強くすることができる。
図7は,ブルーレイディスクドライブにおけるサーボシステムのブロック図である。
図7に示されるように,ブルーレイディスクドライブでは,制御前のディスク変位rと音声振動によるディスク変位raが合成され,全体のディスク変位がr+raとなる。
また,前記サーボシステムにおけるフォーカス検出部31は,ディスクのフォーカスの合焦の程度を検出するものである。
また,前記サーボシステムにおけるゲイン/位相補償部32は,サーボ制御量の大きさ及び位相を設定するものである。
また,前記サーボシステムにおけるフォーカス駆動部33は,実際にフォーカスを電気的に動かす部分である。これらによる制御の結果,フォーカスの位置は「制御後のディスク変位Z」になる。ここで,前記フォーカス検出部31,前記ゲイン/位相補償部32及び前記フォーカス駆動部33の全体のゲインをGとする。
以下,前記サーボシステムにおいて,ディスクの速度を倍速にした場合に音声振動によるディスク変位の影響が軽減される原理について説明する。
前記サーボシステムにおいて,前記制御後のディスク変位Zは,次の(1)式により表される。
Z=((r+ra)/(1+G)) …(1)
ここで,Gは1より十分大きいので,(1)式は,分母における1を省略した次の(2)式に近似できる。
Z=((r+ra)/G) …(2)
ここで,ディスクの速度を1倍速からn倍速にすると,制御前のディスク変位r(音声振動による変位除く)は,単位時間当たりの変動がn倍になることからnrとなる。
また,n倍速時のゲインは図5に示されるようにn倍とされ,nGとなる。そうすると,n倍速時の前記制御後のディスク変位Zは,次の(3)式により表される。
Z=((nr+ra)/nG) …(3)
この(3)式は,次の(4)式へ変形することができる。
Z=((r+(ra/n))/G) …(4)
以上のことから,ディスク速度をn倍にすることにより,制御後のディスク変位Zにおける音声振動によるディスク変位raが1/n倍に軽減されることがわかる。
【0010】
また,前記回転速度下限情報は,製品設計や出荷前調整等の段階で設定されることが考えられる。しかしながら,テレビジョン受像機の設置環境や経時変化により,サーボ制御の耐震性確保に適した前記回転速度下限情報の内容が異なることも考え得る。
そこで,本発明に係るテレビジョン受像機が,さらに次の(6)及び(7)に示される各構成要素とを備えていれば好適である。
(6)前記光ディスクドライブにおける前記光ピックアップ部のサーボ制御のエラーを検出するエラー検出手段。
(7)前記再生音声の音量,前記光ディスクの回転速度及び前記エラー検出手段の検出結果の組合せの実績に応じて前記回転速度下限情報を更新する回転速度下限情報更新手段。
これにより,テレビジョン受像機の設置環境や経時変化に応じて,前記回転速度下限情報の内容をサーボ制御の耐震性確保に適した内容に更新できる。
また,本発明に係るテレビジョン受像機が前記エラー検出手段を備えている場合,前記回転速度調節手段が,前記エラー検出手段により所定頻度で前記エラーが検出されたときにのみ,前記再生音声の音量に応じた前記光ディスクの回転速度の調節を実行することも考えられる。
これにより,サーボ制御のエラーが発生しにくい環境にあるテレビジョン受像機において,サーボモータの消費電力及び回転音を抑制できる。
【0011】
また,本発明に係るテレビジョン受像機が,さらに次の(8)に示される構成要素を備えることが考えられる。
(8)予め設定された時間分の前記再生音声の平均音量を算出する平均音量算出手段。
この場合,前記回転速度調節手段が,前記平均音量算出手段により算出された前記平均音量に応じて前記光ディスクの回転速度を調節する。
これにより,応答性があまり高くない前記光ディスクの回転速度が,短時間で大きく変動し得る音量に応じて過剰に変更されることを防止できる。
【0012】
また,前記平均音量算出手段が,以下の方法で前記再生音声の平均音量を算出すればさらに好適である。
・所定の操作入力手段を通じて設定された指定音量レベルと,前記コンテンツ再生手段により先読みされたコンテンツのデータに基づき生成された今後出力予定の再生信号における前記予め設定された時間分の音量レベルの平均値とに基づいて,前記再生音声の平均音量を算出する。
これにより,前記回転速度調節手段は,前記光ディスクの回転速度を変化させるタイミングを,実際にスピーカを通じて出力される前記再生音声の変化のタイミングと同期させることができ,的確な回転速度調節が可能となる。
また,本発明に係るテレビジョン受像機が,さらに,次の(9)及び(10)に示される各構成要素を備えることが考えられる。
(9)前記光ディスクドライブを通じて前記光ディスクから再生中のコンテンツのジャンル情報を取得するジャンル情報取得手段。
(10)前記ジャンル情報取得手段により取得された前記ジャンル情報の内容に応じて,前記回転速度調節手段による処理の実行可否の切り替え,又は前記回転速度下限情報記憶手段に記憶された複数の前記回転速度下限情報から前記回転速度調節手段により用いられるものを選択する処理を行うジャンル制御手段。
これにより,再生中のコンテンツのジャンルが,出力音の傾聴に特に重点がおかれるクラッシック音楽等である場合と,そうではないニュース等である場合とで,それぞれの場合に適した光ディスクの回転速度調節がなされ好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るテレビジョン受像機は,再生音声の音量が大きい場合に装置の振動が大きい状態であると推定し,内蔵する光ディスクドライブにおける光ディスクの回転速度を下げすぎない又は上げることにより,サーボ制御の耐震性(サーボエラーの抑制性能)を高めることができる。その結果,再生音声の音量によらず,常に円滑なコンテンツ再生を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機Xの概略構成を表すブロック図,図2はテレビジョン受像機Xにおけるコンテンツ再生処理の手順を表すフローチャート,図3はコンテンツのジャンルに応じた回転速度下限情報情報の一例を表す図,図4は光ディスクドライブにおける光ピックアップ部のサーボ制御系の概略構成図,図5はブルーレイディスクドライブにおけるピックアップのフォーカス制御サーボの開ループ特性を表す図,図6はブルーレイディスクドライブにおけるピックアップのフォーカス制御サーボの閉ループ特性を表す図,図7はブルーレイディスクドライブにおけるサーボシステムのブロック図である。
【0015】
まず,図1に示されるブロック図を参照しつつ,本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機Xの構成について説明する。
図1に示すように,テレビジョン受像機Xは,複数のチューナ1,外部信号入力部2,復調・分離回路3,映像復号回路11,映像選択回路12,映像処理回路13,液晶ドライバ14,液晶表示パネル15(映像表示手段の一例),調光回路16,バックライト17,音声復号回路21,音声選択回路22,音声処理回路23,アンプ24,スピーカ25,制御回路4,計時回路5,リモコン受光部6,リモコン7,録画・再生回路8,光ディスクドライブ9及びエラー検出回路9a等を備えている。
このテレビジョン受像機Xは,前記録画・再生回路8により生成されるコンテンツの再生信号に基づく再生映像及び再生音声が,前記液晶表示パネル15及び前記スピーカ25それぞれを通じて出力される光ディスクドライブ内蔵型のテレビジョン受像機である。
【0016】
前記チューナ1は,入力されたテレビジョン放送信号から放送中のコンテンツ(放送番組)の信号を抽出する電子部品である。より具体的には,前記チューナ1は,前記制御回路4により選択を指示された放送番組の信号が含まれる搬送波周波数成分の信号を抽出し,その抽出信号を後段の復調・分離回路3に伝送する。なお,前記チューナ1は,放送媒体(地上波,BS,CS等)ごとに個別に設けられる。
前記復調・分離回路3は,前記チューナ1から伝送されてきた搬送波周波数成分からトランスポートストリーム信号(Transport Stream信号:以下,TS信号)を復調する。さらに,前記復調・分離回路3は,抽出されたTS信号から,視聴される放送番組に対応した映像信号及び音声信号,並びに付加データ等を分離して抽出する。さらに,前記復調・分離回路3は,前記制御回路4から受けたPID(Packet IDentification)に応じて,視聴対象となる放送番組の映像信号及び音声信号を抽出し,各信号を前記映像復号回路11及び前記音声復号回路21それぞれに伝送する。
また,前記復調・分離回路3は,TS信号から,付加データであるSI(Service Information)等を抽出して前記制御回路4に伝送する。このSIは,EPG(電子番組ガイド)の情報(例えば,番組名,番組のジャンル,放送時間等を示す情報)が多重化されたデータである。
【0017】
また,前記外部信号入力部2は,外部装置から映像信号及び音声信号を入力する信号入力インターフェースである。
また,前記光ディスクドライブ9は,DVD又はブルーレイディスク等の着脱自在の光ディスクがセットされ,その光ディスクに対してデータの読み書きを行う装置である。その際,前記光ディスクドライブ9は,セットされた光ディスクをモータ(サーボモータ)により速度可変に回転させつつ,その回転速度に応じた速度でその光ディスクに記録されたデータにアクセスする。なお,前記光ディスクドライブ9に対する前記光ディスクの回転速度,即ち,光ディスクを駆動するモータの回転速度の設定(指示)は,前記録画・再生回路8により行われる。
また,前記光ディスクドライブ9は,図4に示した光ピックアップ部を備えている。即ち,前記光ディスクドライブ9は,光ディスクを速度可変に回転させるモータ(不図示),前記ピント検出回路95及び前記サーボ回路96を備えている。
前記ピント検出回路95は,前記光ピックアップ部(図4における前記対物レンズ93)と前記光ディスクの各トラック101との位置関係を順次検出する回路である。
また,前記サーボ回路96は,前記ピント検出回路95の検出結果に応じて前記光ピックアップ部の位置を調節するサーボ制御を行う回路である。そして,前記光ディスクドライブ9は,前記光ディスクを回転させて前記位置関係の検出及び前記サーボ制御を行いつつ,前記光ディスクに記録されたデータを読み出す。
また,前記エラー検出回路9aは,前記光ディスクドライブ9における前記光ピックアップ部のサーボ制御のエラーを検出する回路である。例えば,前記エラー検出回路9aは,前記ピント検出回路95の検出結果(ピントボケの程度)が,所定の時間当たりに予め定められた許容範囲から外れる回数(頻度)が所定の上限回数を超えた場合や,前記ピント検出回路95の検出結果が予め定められた最大変動範囲から外れた場合等に,サーボ制御のエラー発生信号を前記制御回路4へ出力する。
【0018】
また,前記録画・再生回路8は,前記光ディスクドライブ9に対して前記光ディスクの回転速度(モータ回転速度)の指令を出力する処理と,コンテンツの録画処理及びコンテンツの再生処理とを実行する回路である。
例えば,前記録画・再生回路8は,前記映像復号回路11から出力される映像信号及び前記音声復号回路21から出力される音声信号に基づいて,コンテンツの録画処理を行う。その際,前記録画・再生回路8は,入力信号からコンテンツのデータ(録画データ)を生成し,そのデータを前記光ディスクドライブ9を通じて光ディスクに記録する。録画対称となるコンテンツは,前記チューナ1により得られる放送番組のコンテンツ,又は前記外部信号入力部2を通じて入力されるコンテンツである。
さらに,前記録画・再生回路8は,前記光ディスクドライブ9を通じて光ディスクからコンテンツのデータ(録画データ)を読み出しつつ,そのコンテンツの再生信号を生成するコンテンツ再生処理を実行する。前記再生信号は,コンテンツの再生映像の信号(映像信号)及び再生音声の信号(音声信号)である。その際,前記録画・再生回路8は,前記光ディスクからコンテンツのデータの先読みを行いつつ,そのコンテンツの再生信号の生成と,不図示の再生信号バッファへのバッファリングとを行う。そして,コンテンツデータの先読みがなされる際,前記光ディスクドライブ9は,基準となる回転速度よりも速い速度(2倍速〜8倍速)で光ディスクを回転させる。
そして,前記録画・再生回路8は,再生速度(リアルタイム再生)に応じたペースで,前記再生信号バッファから前記再生信号を出力する。ここで,前記再生信号における映像信号は前記映像選択回路12へ出力され,前記再生信号における音声信号は前記音声選択回路22へ出力される。これにより,早送り再生が可能となり,また,再生処理中に他の割り込み処理が発生した場合でも円滑な再生が可能となる。
【0019】
また,前記映像復号回路11は,前記復調・分離回路3から伝送される映像信号を復号し,復号した映像信号を前記映像選択回路12に伝送する。同様に,前記音声復号回路21は,前記復調・分離回路3から伝送される音声信号を復号し,復号した音声信号を前記音声選択回路22に伝送する。
前記映像選択回路12は,前記制御回路4からの制御指令に従って,入力される複数のコンテンツの映像信号の中から,1つ又は複数の映像信号を選択して前記映像処理回路13へ伝送する。この映像選択回路12に入力される信号には,前記映像復号回路11を通じて入力される放送番組のコンテンツの映像信号と,前記外部信号入力部2を通じて入力される外部入力コンテンツの映像信号と,前記録画・再生回路8を通じて入力される再生コンテンツの映像信号とが含まれる。
【0020】
また,前記映像処理回路13は,前記制御回路4からの制御指令に従って,コンテンツの画像を前記液晶表示パネル15に表示させるために前記液晶ドライバ14に供給するフレーム画像信号を生成する。
例えば,前記映像処理回路13は,前記制御回路4からの制御指令に従って,1つ又は複数のコンテンツの画像が全表示領域の中でレイアウトされた表示用のフレーム画像信号を生成する。即ち,前記映像選択回路12は,1つのコンテンツの画像が全表示領域に渡って,或いは一部の表示領域のみに表示されるフレーム画像信号や,複数のコンテンツの画像が並べて配列されて表示されるフレーム画像信号等を生成する。
【0021】
前記液晶ドライバ14は,前記映像処理回路13から所定周期で順次伝送されてくる前記フレーム画像信号に基づいて前記液晶表示パネル15を制御し,そのフレーム画像信号に対応する1フレーム分(1コマ)の画像を前記液晶表示パネル15に順次表示させる回路である。
また,前記液晶表示パネル15は,前記液晶ドライバ14による制御に応じて,前記フレーム画像信号に対応する映像を表示する映像表示手段の一例である。
また,前記バックライト17は,前記液晶表示パネル15の背面側に配列された複数の光源の光により,前記液晶表示パネル15の表示領域を背面側から照明するものである。
また,前記調光回路16は,前記制御回路4からの制御指令に従って,前記バックライト17の光源に対する供給電力を調節することにより,前記バックライト17の発光の明るさを調節する回路である。
【0022】
前記音声復号回路21は,前記復調・分離回路3から伝送されてくる音声信号を復号し,復号した音声信号を前記音声選択回路22に伝送する。
前記音声選択回路22は,前記制御回路4からの制御指令に従って,入力される複数の音声信号の中から1つの音声信号を選択して前記音声処理回路23へ伝送する回路である。前記音声選択回路22に入力される音声信号には,前記チューナ1により選局された放送番組のコンテンツの音声信号(前記音声復号回路21を通じて入力される音声信号)と,前記外部信号入力部2を通じて入力される音声信号と,前記録画・再生回路8を通じて入力される再生コンテンツの音声信号とが含まれる。
前記音声処理回路23は,前記制御回路4からの指示に従って,前記音声選択回路22により選択された音声信号に対して各種信号処理を行うものである。例えば,前記スピーカ25の特性に合わせたイコライズ処理や,サラウンド処理等を行う。
前記アンプ24は,前記音声処理回路23による処理後の音声信号を,前記制御回路4からの指示に従って増幅或いは減衰させる音量調節処理を行い,前記スピーカ25に出力するものである。
【0023】
前記リモコン受光部6は,当該テレビジョン受像機Xの操作用のリモコン7(リモート操作器)から,所定の信号伝送プロトコル(いわゆるリモコンプロトコル)に従って,赤外線による無線信号受信を行う信号伝送インターフェースである。そして,前記リモコン受光部6は,赤外線信号から前記リモコン7に対する操作入力情報を表す信号を抽出し,その信号を前記制御回路4に伝送する。
前記計時回路5は,クロック発振器を備え,前記制御回路4からの計時開始指令に応じてその時点からの経過時間の計時を行う回路である。その計時結果は前記制御回路4へ伝送される。
【0024】
前記制御回路4は,演算手段であるMPU4a,記憶手段であるROM4b(EPROM)及びEEPROM4cを備え,前記MPU4aが,制御プログラムを実行することによって当該テレビジョン受像機X全体を制御する。
前記ROM4bには,前記MPU4aによって実行される制御プログラムが予め格納されている。また,前記EEPROM4cには,前記MPU4aが実行する処理において読み書き(参照又は書き込み)される各種データが記憶される。
なお,以降の説明において,前記制御回路4が実行する処理は,前記MPU4aが前記ROM4bに記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。
例えば,前記制御回路4は,前記リモコン7及び前記リモコン受光部6を通じてチャンネル選局や音量調節の情報を取得し,その取得情報の内容に応じて前記チューナ1に対する選局指示や前記アンプ24に対する音量調節指示を出力する。
【0025】
また,前記制御回路4は,前記復調・分離回路3により抽出されたSIに基づいて,現在放送中のコンテンツ(番組)及びこれから放送予定のコンテンツの内容に関する情報であるEPG情報(電子番組ガイド情報)を取得する。そのEPG情報は,前記EEPROM4cに記録される。
前記EPG情報には,放送番組のコンテンツのタイトル(番組名),放送媒体の種類(地上波,BS,CS等)及び放送チャンネル,放送開始日時及び放送終了日時,コンテンツのジャンル(ニュース,ワイドショー等),出演者等の情報が含まれている。
そして,前記録画・再生回路8は,放送番組のコンテンツの録画処理の際に,録画対象のコンテンツに関する前記EPG情報(タイトル,ジャンル等)を,前記制御回路4から取得して録画データ(コンテンツのデータ)とともに前記光ディスクに記録する。
また,前記録画・再生回路8は,コンテンツの再生処理の際に,再生対象の録画データ(コンテンツのデータ)とともに前記光ディスクに記録されている前記EPG情報を読み出し,これを前記制御回路4に伝送する。
【0026】
次に,図2に示されるフローチャートを参照しつつ,前記制御回路4及び前記録画・再生回路8によるコンテンツの再生処理の手順の一例について説明する。図2に示される処理は,前記リモコン7において,再生対象のコンテンツの選択操作がなされ,さらに選択されたコンテンツの再生開始操作がされたことが検知されたときに開始される。なお,以下に示されるS1,S2,…は,処理手順(ステップ)の識別符号を表す。
【0027】
まず,前記制御回路4により前記再生開始操作が検知されると,前記制御回路4から前記録画・再生回路8に対して再生開始指令が出力される。この再生開始指令に応じて,前記録画・再生回路8は,前記光ディスクドライブ9のモータを最高速度(例えば,8倍速)で回転させる。これにより,セットされた光ディスクが最高速度で回転する(S1)。
続いて,前記録画・再生回路8が,前記光ディスクドライブ9を通じて,光ディスクから再生対象のコンテンツに関する前記EPG情報(ジャンル情報を含む)を取得し,そのEPG情報を前記制御回路4に伝送する(S2,ジャンル情報取得処理)。
【0028】
次に,前記制御回路4が,再生対象のコンテンツのジャンル情報の内容に応じて,前記光ディスクの回転速度の下限値が設定された回転速度下限情報D1を選択し,選択した前記回転速度下限情報D1を前記録画・再生回路8に出力する(S3)。
図3は,コンテンツのジャンルに応じた複数の前記回転速度下限情報D1の一例を表す図である。この回転速度下限情報D1は,例えば,前記EEPROM4c等の記憶部に記憶された情報である。
前記回転速度下限情報D1は,コンテンツの再生音声の音量(再生音量)と光ディスクの下限回転速度(回転速度の下限値)との対応関係を表す情報であり,再生対象のコンテンツのジャンルに応じた複数の前記回転速度下限情報D1が存在する。
図3に示される前記回転速度下限情報D1は,コンテンツのジャンルが「映画」又は「音楽」である場合(Pt1)と,ジャンルが「ドラマ」である場合(Pt2)と,その他の場合(Pt3)とについて,それぞれ異なる前記対応関係が設定されている。
図3に示される例では,再生されるコンテンツのジャンルが「映画」や「音楽」である場合,出力音が特に注意深く傾聴されることが考慮され,前記光ディスクドライブ9のモータ音が極力抑えられるよう,前記対応関係が設定されていない。これは,ジャンルが「映画」や「音楽」である場合(Pt1),コンテンツの再生音量に基づく前記光ディスクの回転速度の下限制御が行われないことを表している。
また,再生されるコンテンツのジャンルが「ドラマ」である場合(Pt2),出力音が傾聴されることが考慮され,前記光ディスクドライブ9のモータ音が比較的抑えられるよう,その他の場合(Pt3)よりも各再生音量(小,中,大)に応じた前記下限回転速度が低く設定されている。
以下,コンテンツの再生音量に基づく前記光ディスクの回転速度の下限制御が行われる動作モードのことを「音量対応モード」と称し,そうでない動作モードのことを「非音量対応モード」と称する。
即ち,ステップS3において,前記制御回路4は,再生対象のコンテンツのジャンル情報の内容に応じて,動作モードを前記音量対応モードに設定して複数の前記回転速度下限情報D1の中から制御に用いるいずれかを(Pt2又はPt3)選択するか,或いは,動作モードを前記非音量対応モードに設定するかのいずれかを実行する。
【0029】
そして,ステップS3における前記動作モードの設定内容に応じて,前記制御回路4は,それ以降に前記録画・再生回路8により実行される前記光ディスクの回転速度調節処理の内容を切り替える(S4)。
即ち,前記動作モードが前記非音量対応モードである場合,前記録画・再生回路8は,前記再生信号バッファにおける信号の残存率(以下,信号残存率という)に基づく前記光ディスクの回転速度調節を実行する(S5)。
例えば,前記信号残存率が予め定められた適正範囲を下回っている場合,前記録画・再生回路8は,その信号残存率が低いほど,前記光ディスクの回転速度をより速い速度に調節する。
また,前記信号残存率が前記適性範囲を上回っている場合,前記録画・再生回路8は,その信号残存率が高いほど,前記光ディスクの回転速度をより遅い速度に調節する。
また,前記信号残存率が前記適正範囲内にある場合,前記録画・再生回路8は,前記光ディスクの回転速度を現状のまま維持する。
また,前記動作モードが前記音量対応モードである場合であっても,前記信号残存率が予め定められた下限値未満である場合は,前記光ディスクの回転速度を最大の速度に調節する(S6,S7)。
【0030】
一方,前記動作モードが前記音量対応モードであり,かつ,前記信号残存率が予め定められた下限値以上である場合,コンテンツの再生音量に基づく前記光ディスクの回転速度調節を実行する(S8〜S10)。
その際,前記録画・再生回路8は,予め定め設定された時間である設定平均時間tsの経過を監視し(S8),その時間tsの周期で,時間tsの期間の平均音量Vaの算出(S9,平均音量算出処理)と,その平均音量Vaに基づく前記光ディスクの回転速度調節処理(S10)とを実行する。但し,前記設定平均時間tsの周期の途中であっても,前記リモコン7の音量キー(操作入力手段)を通じて設定される音量レベル(以下,指定音量レベルという)に変更があった場合(新たに音量キーが操作された場合)は,前記平均音量算出処理(S9)と,その平均音量Vaに基づく前記光ディスクの回転速度調節処理(S10)とが実行される。なお,前記設定平均時間tsの計時は,前記計時回路5により行われる。
ここで,ステップS9で算出される再生音声の前記平均音量Vaは,例えば,前記録画・再生回路8(コンテンツ再生手段)によって先読みされたコンテンツデータに基づいて生成された今後出力予定の再生用の音声信号(再生信号の一部)の前記設定平均時間tsの期間の音量レベルの平均値と,前記指定音量レベルとが乗算された値又はそれと等価な値である。前記指定音量レベルは,前記リモコン7の音量調節キーの操作内容に基づくレベルであり,前記制御回路4から前記録画・再生回路8に提供される。
なお,ステップS8の処理が省略され,ステップS9において,例えば,直近に出力された再生音声の音量についての前記設定平均時間tsの期間の移動平均値が,前記平均音量Vaとして算出されること等も考えられる。
【0031】
そして,前記録画・再生回路8は,前記平均音量Vaに応じて,ステップS3で選択された前記回転速度下限情報D1に従って,前記光ディスクの回転速度が前記下限回転速度以上となるよう調節する(S10,回転速度調節処理)。
より具体的には,前記録画・再生回路8は,前記平均音量Vaが「小さい」か「中間」か「大きい」かを,予め設定されたしきい値に基づいて判別し,その判別結果に対応する前記下限回転速度を,前記回転速度下限情報D1に基づいて設定する。さらに,その時点における前記光ディスクの回転速度が,設定した前記下限回転速度未満である場合,前記光ディスクの回転速度を前記下限回転速度に調節し,その他の場合にはその時点の回転速度を維持させる。
これにより,前記平均音量Va(再生音声の音量)が大きいために前記スピーカ25から前記光ディスクドライブ9に伝わる振動が大きくなった場合に,前記サーボ回路96の制御(サーボ制御)において,前記ピント検出回路95の検出値のサンプリング周期が短くなり,単位時間当たりの前記光ピックアップ部の位置調節回数が増えて制御の感度が高まる。その結果,前記サーボ制御の耐震性能が向上し,サーボ制御のエラー発生を抑制できる。
【0032】
以上に示したステップS5,S7又はS10の処理により前記光ディスクの回転速度が調節されると,さらに,前記録画・再生回路8は,前記コンテンツの再生処理を開始又は継続する(S11)。即ち,前記録画・再生回路8は,前記光ディスクドライブ9を通じて光ディスクからコンテンツのデータ(録画データ)を読み出しつつ,そのコンテンツの再生信号を生成する。その再生信号は,不図示の前記再生信号バッファへバッファリング(蓄積)される。
また,その一方で,前記録画・再生回路8は,再生速度(リアルタイム再生)に応じたペースで,前記再生信号バッファから前記再生信号における映像信号を前記映像選択回路12へ出力し,前記再生信号における音声信号を前記音声選択回路22へ出力する(S12)。
以上に示したように,前記制御回路4は,ステップS4において取得されたコンテンツのジャンル情報の内容に応じて,前記回転速度下限情報D1に基づく光ディスクの回転速度の下限制御処理(S10)の実行可否の切り替え(S4)を行う。
また,前記制御回路4は,前記EEPROM4cに記憶された複数の前記回転速度下限情報D1の中から前記下限制御処理(S10)において用いられるものを選択する処理(S3)を行う(前記ジャンル制御手段の一例)。
【0033】
また,前記制御回路4は,前記エラー検出回路9aによるサーボ制御のエラー検出結果と,その検出結果がえられたときのコンテンツ再生音声の音量及び前記光ディスクの回転速度との組合せの実績に関する情報(以下,サーボエラー履歴情報という)を,前記EEPROM4cに随時記録する(S13)。
さらに,前記制御4は,前記サーボエラー履歴情報に基づいて,必要に応じて前記回転速度下限情報D1を更新する(S14:回転速度下限情報更新処理)。
例えば,前記制御回路4は,コンテンツの再生音量のランク(大か中か小か)と,光ディスクの回転速度のランク(何倍速か)との組合せごとに,前記エラー検出回路9aによりエラーが検出された頻度を表すエラー発生頻度情報を記録する。前記エラー発生頻度情報は,例えば,前記エラー検出回路9aの検出結果が「エラー発生有り」である場合にカウントアップ(+1)され,「エラー発生無し」である場合にカウントダウン(−1)されるカウンタ情報であることが考えられる。このカウンタ情報は,予め定められた下限値(負の値)から上限値(正の値)までの範囲内で第1の周期で更新(カウントアップ又はカウントダウン)され,また,その第1の周期よりも長い第2の周期でリセット(0に設定)される。
この場合,前記制御回路4は,前記カウンタ情報が予め設定された上限値(正の値)を超えた場合に,前記回転速度下限情報D1における,前記上限値を超えた前記カウンタ情報に対応する前記再生音量のランクにおいて設定されている前記下限回転回数を,1ランク高い(より高速の)内容に更新する。また,前記制御回路4は,前記カウンタ情報が予め設定された下限値(負の値)を下回った場合に,前記回転速度下限情報D1における,前記下限値を下回った前記カウンタ情報に対応する前記再生音量のランクにおいて設定されている前記下限回転回数を,1ランク低い(より低速の)内容に更新する。
これにより,テレビジョン受像機Xの設置環境や経時変化に応じて,前記回転速度下限情報D1の内容を,サーボ制御の耐震性確保に適した内容に更新できる。なお,前記回転速度下限情報D1の更新は,再生中のコンテンツのジャンルに対応するもののみについて行われることや,ジャンルに関わらず全ての前記回転速度下限情報D1について行われることが考えられる。
【0034】
そして,前記録画・再生回路8は,所定の再生終了条件の成立有無を検知しつつ(S15),その再生終了条件が成立するまで,以上に示したステップS4〜S14の処理を繰り返す。前記再生終了条件は,指定されたコンテンツの再生が全て終了したことや,前記リモコン7において再生終了キーが操作されたこと等である。
以上に示したテレビジョン受像機Xは,前記スピーカ25の出力音量(再生音量)に応じて光ディスクの回転速度の下限レベルを調節する(S10)。これにより,前記スピーカ25の振動に起因する前記光ピックアップ部のサーボ制御のエラーの発生が抑制される。
また,前記光ディスクの回転速度調節に用いられる前記平均音量Vaは,先読みされたコンテンツのデータに基づき算出される(S9)。そのため,前記録画・再生回路8は,前記光ディスクの回転速度を変化させるタイミングを,実際にスピーカを通じて出力される再生音声の変化のタイミングと同期させることができ,的確なタイミングでの回転速度調節を行う(S10)。
従って,テレビジョン受像機Xは,コンテンツの再生音量が高く設定されて多少の振動が生じた場合でも,前記サーボ制御のエラー発生を防止して円滑なコンテンツ再生を実現できる。
【0035】
以上に示した実施形態では,前記制御回路4が,サーボ制御のエラー検出の実績に基づき前記回転速度下限情報D1の内容を更新したが,他の実施形態も考えられる。
例えば,前記録画・再生回路8(回転速度調節手段の一例)が,前記エラー検出回路9aにより所定頻度でサーボ制御のエラーが検出されたときにのみ,再生音声の音量に応じた前記光ディスクの回転速度の下限値の制御を実行することが考えられる。
これにより,前記テレビジョン受像機が,サーボ制御のエラーが発生しにくい環境に置かれている場合に,前記光ディスクドライブ9におけるサーボモータの消費電力及び回転音を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は,テレビジョン受像機に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係るテレビジョン受像機Xの概略構成を表すブロック図。
【図2】テレビジョン受像機Xにおけるコンテンツ再生処理の手順を表すフローチャート。
【図3】コンテンツのジャンルに応じた回転速度下限情報情報の一例を表す図。
【図4】光ディスクドライブにおける光ピックアップ部のサーボ制御系の概略構成図。
【図5】ブルーレイディスクドライブにおけるピックアップのフォーカス制御サーボの開ループ特性を表す図。
【図6】ブルーレイディスクドライブにおけるピックアップのフォーカス制御サーボの閉ループ特性を表す図。
【図7】ブルーレイディスクドライブにおけるサーボシステムのブロック図。
【符号の説明】
【0038】
X :テレビジョン受像機
1 :チューナ
2 :外部信号入力部
3 :復調・分離回路
4 :制御回路
5 :計時回路
6 :リモコン受光部
7 :リモコン
8 :録画・再生回路
9 :光ディスクドライブ
9a :エラー検出回路
11 :映像復号回路
12 :映像選択回路
13 :映像処理回路
14 :液晶ドライバ
15 :液晶表示パネル
16 :調光回路
17 :バックライト
21 :音声復号回路
22 :音声選択回路
23 :音声処理回路
24 :アンプ
25 :スピーカ
S1,S2,…:ステップ(処理手順)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを速度可変に回転させるとともに,光ピックアップ部と前記光ディスクの各トラックとの位置関係を順次検出した結果に応じて前記光ピックアップ部の位置を調節するサーボ制御を行いつつ前記光ディスクに記録されたデータを読み出す光ディスクドライブと,該光ディスクドライブを通じて前記光ディスクからコンテンツのデータを先読みしつつそのコンテンツの再生信号を生成するコンテンツ再生手段と,前記再生信号に基づく再生映像及び再生音声を出力する映像表示手段及びスピーカと,を備えた光ディスクドライブ内蔵型のテレビジョン受像機であって,
前記再生音声の音量と前記光ディスクの下限回転速度との対応関係を表す回転速度下限情報を記憶する回転速度下限情報記憶手段と,
前記再生音声の音量に応じて,前記光ディスクドライブにおける前記光ディスクの回転速度を前記回転速度下限情報に基づく前記下限回転速度以上に調節する回転速度調節手段と,
を具備してなることを特徴とするテレビジョン受像機。
【請求項2】
前記光ディスクドライブにおける前記光ピックアップ部のサーボ制御のエラーを検出するエラー検出手段と,
前記再生音声の音量,前記光ディスクの回転速度及び前記エラー検出手段の検出結果の組合せの実績に応じて前記回転速度下限情報を更新する回転速度下限情報更新手段と,
を具備してなる請求項1に記載のテレビジョン受像機。
【請求項3】
前記光ディスクドライブにおける前記光ピックアップ部のサーボ制御のエラーを検出するエラー検出手段を具備し,
前記回転速度調節手段が,前記エラー検出手段により所定頻度で前記エラーが検出されたときにのみ,前記再生音声の音量に応じた前記光ディスクの回転速度の調節を実行してなる請求項1に記載のテレビジョン受像機。
【請求項4】
予め設定された時間分の前記再生音声の平均音量を算出する平均音量算出手段を具備し,
前記回転速度調節手段が,前記平均音量算出手段により算出された前記平均音量に応じて前記光ディスクの回転速度を調節してなる請求項1〜3のいずれかに記載のテレビジョン受像機。
【請求項5】
前記平均音量算出手段が,所定の操作入力手段を通じて設定された指定音量ゲインと,前記コンテンツ再生手段により先読みされたコンテンツのデータに基づき生成された今後出力予定の再生信号における前記予め設定された時間分の音量レベルの平均値とに基づいて,前記再生音声の平均音量を算出してなる請求項4に記載のテレビジョン受像機。
【請求項6】
前記光ディスクドライブを通じて前記光ディスクから再生中のコンテンツのジャンル情報を取得するジャンル情報取得手段と,
前記ジャンル情報取得手段により取得された前記ジャンル情報の内容に応じて,前記回転速度調節手段による処理の実行可否の切り替え,又は前記回転速度下限情報記憶手段に記憶された複数の前記回転速度下限情報から前記回転速度調節手段により用いられるものを選択する処理を行うジャンル制御手段と,
を具備してなる請求項1〜5のいずれかに記載のテレビジョン受像機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−67302(P2010−67302A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231420(P2008−231420)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】