説明

テレビ放送録画システム、録画装置及びテレビ放送録画方法

【課題】家庭のテレビ受像機で番組を視聴中に、急な用事などで外出する場合に、煩わしい操作を伴うことなく、中断した番組の視聴を後から行う。
【解決手段】テレビ放送録画システムは、TVと携帯電話とが無線LANにて接続されている状態より成り立つ。携帯電話は無線LANのAPに接続したら、TVと接続及び認証を行い、TVの操作と共にリアルタイムで視聴中の番組に関するデータを受信して記憶する。TVの電源をオフして使用者が携帯電話を所持しながら外出すると、TVと携帯電話との間の無線LAN接続が断たれる。TVと携帯電話の双方は、無線LAN接続が切断されたことをそれぞれ検出し、保持していた番組データに基づいて録画を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭のテレビ受像機にて所望の番組の視聴中に視聴の中断をした際、自動的に直前まで観ていた番組の自動録画を可能にする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭のテレビ受像機で番組を視聴中に、急な用事などで外出する場合、中断した番組の視聴を行うには、家庭の録画機で番組録画を行い、録画機に蓄積した動画を帰宅後に視聴するか、或はロケーションフリー機能を用いて無線LAN経由で外出先でノートパソコン等で視聴を行うしか方法がなかった。
【0003】
なお、本発明と直接は関係しないものの、技術思想に類似点があると思われる先行技術文献として、特許文献1を挙げる。
【特許文献1】特開2002−27571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線LAN経由の遠隔視聴では、外出先の移動中など、無線LAN圏外での視聴は不可能である。
また、テレビ受信機能付携帯電話を用いることも考えられるが、電車の乗り換えや歩行中などの場合は、番組の視聴は実質的に不可能に近い。
このため、テレビ視聴者がスポーツ番組等の熱狂的ファンである場合、突然の外出によって視聴の機会が断たれると、折角の楽しみが奪われるだけに留まらず、録画に失敗したりする可能性もあり、精神衛生上好ましくない状況が起こりうる。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、突然の外出等に対してテレビ視聴者をできる限りフォローアップするべく、視聴の中断を余儀なくされた番組を自動的に録画するシステムと、その方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、テレビジョン放送を視聴可能に受信するテレビ受像機と、前記テレビ受像機に接続され、第1の無線ネットワークインターフェースを備え、テレビジョン放送を受信し、録画する第1の録画装置と、前記第1の無線ネットワークインターフェースと直接又は間接的に接続可能な第2の無線ネットワークインターフェースを備え、テレビジョン放送を受信し、録画する第2の録画装置とよりなるテレビ放送録画システムにおいて、前記第1の録画装置は、前記テレビ受像機が現在受信しているチャンネルの情報を取得して前記第2の録画装置に送信すると共に、前記第2の録画装置との無線通信が切断されたことを受けて、直前まで前記テレビ受像機にて視聴していたチャンネルの録画を開始し、前記第2の録画装置は、前記第1の録画装置との無線通信が切断されたことを受けて、直前まで前記テレビ受像機にて視聴していたチャンネルの録画を開始することを特徴とするテレビ放送録画システムに関するものである。
【0007】
録画機能を備える家庭内テレビ受像機とテレビ受信機能及び録画機能を備える携帯型電子機器は、互いに無線通信する機能を備え、視聴中の番組に関する情報を家庭内テレビ受像機から携帯型電子機器へリアルタイムで送信する。
突然の外出が発生すると、家庭内テレビ受像機と携帯型電子機器との無線通信は切断される。
この無線通信の切断を自動録画開始のきっかけ(トリガ)とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、視聴者が突然外出を余儀なくされて番組の視聴ができなくなったとしても、所持している携帯受信機が当該番組を録画してくれているので、後からその番組の視聴を楽しむことができる。また、帰宅すれば視聴を中断されていた番組の続きを高画質で再視聴できる。したがって、使用者の利便性が向上し、商品としての高付加価値に繋がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図8を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るテレビ放送録画システムの、実際の利用状況を想定して説明するための概略図である。
ある土曜日の午前11時半頃、会社員A氏101は自宅102内にて休日の楽しみであるバラエティ番組を、地上波デジタル放送受信機であるテレビ受像機103にて、赤外線リモートコントローラ104を操作しながら視聴している。A氏101の傍らには携帯電話105が置かれている。テレビ受像機103は無線LANのアクセスポイント(以下「AP」と略す)106に接続されており、APは図示しない所定の契約回線を通じてインターネットに接続されている。また、携帯電話105は無線LANのインターフェースを内蔵し、AP106と通信している。
このような状況において、A氏101の上司から、携帯電話105を通じて突然の休日出勤命令が下された。A氏101はテレビ受像機103の電源を赤外線リモートコントローラ104にてオフ操作し、携帯電話105を持ちながら出かけた。
【0011】
図2は、本実施形態に係るテレビ放送録画システムの、実際の利用状況を想定して説明するための概略図である。図1にて述べた利用状況の続きを示すものである。
テレビ受像機103は、地上波デジタル放送アンテナ205を通じて放送局から受信する電波に含まれているEPGを取得する。EPGとは Electronic Program Guide の略で、「電子番組ガイド」を指す。
なお、テレビ受像機103のEPG取得方法は、インターネットから取得する方法もある。テレビ受像機103はLANケーブル201を介してAP106に接続されており、AP106は、契約回線202を介してインターネット203に接続されている。インターネット203の先には、所定の業者等が運営するEPGサーバ204が接続されている。EPGサーバ204は任意のクライアントからの要求に応じ、電子番組表データを送信する。いずれの方法でも、テレビ受像機103はEPGを取得可能である。
携帯電話105はAP106を通じてテレビ受像機103と所定のTCP通信を行っている。
テレビ受像機103はEPGサーバ204から受信した電子番組表データのうち、現在視聴している番組のデータを逐一携帯電話105へ送信している。
【0012】
A氏101がテレビ受像機103の電源をオフ操作して自宅102から出かけると、携帯電話105はAP106のカバー範囲内であるA地点(自宅内)から、カバー範囲外であるB地点(屋外)に移動する。すると、携帯電話105とAP106との無線LAN接続は途絶え、切断される。つまり、テレビ受像機103と携帯電話105とのTCP通信も途絶えることとなる。この現象を、テレビ受像機103と携帯電話105はそれぞれ検出して、直前まで視聴していた番組の録画を、双方が開始する。
番組の録画はテレビ受像機103がEPGサーバ204から受信していた電子番組表データのうち、現在視聴している番組のデータを基に行われ、当該番組が終了する時刻になったらテレビ受像機103及び携帯電話105はそれぞれ録画を停止する。
【0013】
なお、A氏101がテレビ受像機103の電源をオフ操作しても、A氏101がそのまま就寝する等で出かけなければ、テレビ受像機103及び携帯電話105の録画は開始されない。直前まで視聴していた番組の終了時刻を越えてもA氏101が自宅102内に居る事をテレビ受像機103と携帯電話105の双方がそれぞれ検出し、録画の必要性が発生する可能性がなくなったことを認識する。
【0014】
図3は本実施形態に係るテレビ放送録画システムの、TCP/IPネットワーク部分を抜粋して示す概略図である。なお、説明の便宜上、IPv4を想定して説明するが、IPv6であっても技術思想は変わらない。
AP106は無線LANの基地局であると共にIPネットワークにおける周知のルータを構成する。AP106には固定のプライベートIPアドレス192.168.0.1が設定されている。AP106は内部にて周知のNAT(Network Address Translation:一つのグローバルIPアドレスを複数のネットワーク機器で共有する技術)機能により、プライベートIPアドレスのパケットとグローバルIPアドレスのパケットとを相互変換する。
AP106は無線LANのネットワークを構築する。AP106の電波が届く範囲内には、無線LANのインターフェースを内蔵する機器がネットワーク接続されている。
携帯電話105は図示しない無線LANインターフェースを内蔵する。
携帯電話105の内蔵ネットワークインターフェースeth0には、AP106が内蔵するDHCPサーバ機能により、プライベートIPアドレス192.168.0.50が付与されている。
一方、AP106にはLANケーブル201を介してテレビ受像機103が接続されている。テレビ受像機103の内蔵ネットワークインターフェースeth0には、固定のプライベートIPアドレス192.168.0.2が付与されている。
AP106とテレビ受像機103と携帯電話105はプライベートIPのサブネット192.168.0.0/24を構成する。
【0015】
携帯電話105は、AP106がカバーする範囲内にあると判明すると、AP106を通じてテレビ受像機103への接続処理を試みる。テレビ受像機103は固定IPアドレスであるので、A氏101は予め携帯電話105にテレビ受像機103のIPアドレスを記憶させている。携帯電話105からテレビ受像機103への通信が確立したら、今度は逆にテレビ受像機103から携帯電話105へ、現在視聴している放送局のチャンネルと、番組を視聴していれば、電子番組表データ内の対応する番組データを送信する。
テレビ受像機103と携帯電話105との通信は、誰もができるようになっていてはならないので、認証を伴う通信形式が望ましい。
一例を以下に記す。
テレビ受像機103はTCPポート80番を用いる簡易webサーバ機能を内包している。
テレビ受像機103の簡易webサーバ機能は、周知のHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)におけるBASIC認証と呼ばれる、簡単なユーザID及びパスワードを伴う認証機能を備えている。
携帯電話105の、テレビ受像機103に対するBASIC認証が正しく行われたら、テレビ受像機103は携帯電話105のIPアドレス(192.168.0.50)を記憶する。
次に、テレビ受像機103は記憶したIPアドレスに向けて、TCPポート80番に対してBASIC認証を行う。
携帯電話105は予めテレビ受像機103のIPアドレスである 192.168.0.2 からの接続要求だけを受け付けるべく、パケットフィルタが機能している。
テレビ受像機103から携帯電話105へのBASIC認証が成功すれば、テレビ受像機103は所定のタイミングにて携帯電話105にポーリングを行いつつ、現在視聴している放送局のチャンネルと、番組を視聴していれば、電子番組表データ内の対応する番組データを携帯電話105へ送信する。
なお、認証やデータの送受信は上記に限らず、様々な応用や代替案が考えられるが、それらは設計的事項の範疇である。
ポーリングは例えば周知のPING等が利用可能である。
【0016】
図4はテレビ受像機103の内部ブロック図である。
TVチューナ402は地上波デジタル放送を受信し、復調する。
LCD表示部403はTVチューナ402にて復調されたテレビジョン信号を表示する。
マイクロコンピュータ404はバス405に接続される各機能部の制御を行う。
マイクロコンピュータ404はテレビ受像機103の全体の制御の他に、後述する携帯電話105とのTCP通信の機能に必要な、IPネットワーク機器としても動作するものである。マイクロコンピュータ404内部の図示しないROM(Read Only Memory)にはネットワークOSと、当該OS上でTCP通信の機能を提供するアプリケーションソフトウェアが含まれ、マイクロコンピュータ404にてこれらソフトウェアが実行される。
LANインターフェース406はネットワークに接続するためのインターフェースである。
HDD206は周知の固定磁気ディスク装置であり、テレビ受像機103の録画用記録媒体である、大容量の不揮発性ストレージである。受信した地上波デジタル放送のうちユーザが指定したものが動画データとしてHDD206に記録される。
図示しない電源回路はマイクロコンピュータ404とLANインターフェース406を常時通電している。
図示しない電源スイッチの操作によって、LCD表示部403は瞬時に電源が断たれるが、TVチューナ402とHDD206は電源スイッチがオフ操作されても暫くの間は稼動している。マイクロコンピュータ404が録画の必要性がなくなったと判断したら、TVチューナ402及びHDD206の電源をオフする。
【0017】
図5は携帯電話105の全体ブロック図である。
携帯電話105は、周知の移動体通信電話網に接続する携帯電話の機能と、無線LANを通じて行うVoIP(Voice over Internet Protocol:音声を各種符号化方式で圧縮しパケットに変換した上でインターネットを通じてリアルタイム伝送する技術)によるIP電話の機能の両方を具備する。
第1の高周波信号処理部(以下「第1RF部」と略す。RFは"Radio Frequency"の略)502は、周知の移動体通信電話網に接続する携帯電話の、電波の送受信を行う回路ブロックである。
ベースバンド部503は主にDSP(Digital Signal Processor: 音声や画像などの処理に特化した演算処理集積回路装置)で構成される。受信電波から第1RF部502によって復調された信号或はデータに所定の処理を施したり、信号或はデータに所定の処理を施し、変調させて基地局へ送信するために第1RF部502へ送出する処理等を行う。
また、ベースバンド部503は通話に必要なオーディオ信号の入出力も行う。このためにベースバンド部503にはマイク504とスピーカ505が接続されている。
【0018】
ベースバンド部503は第1のマイクロコンピュータ(以下「第1マイクロコンピュータ」と略)506と、バスを通じて接続されている。第1マイクロコンピュータ506には文字及び画像等の表示機能を備えるLCD507と、使用者が操作するためのボタンの集合体であるキーパッド508が接続されている。
第1マイクロコンピュータ506は携帯電話としての機能を提供するに必要な携帯電話105全体の制御の他に、VoIPによるIP電話の機能及び後述するテレビ受像機103とのTCP通信に必要な、IPネットワーク機器としても動作するものである。第1マイクロコンピュータ506内部の図示しないROM(Read Only Memory)にはネットワークOSと、当該OS上でVoIP及びTCP通信の機能を提供するアプリケーションソフトウェアが含まれ、第1マイクロコンピュータ506にてこれらソフトウェアが実行される。
【0019】
無線LANインターフェース509を構成する第2の高周波信号処理部(以下「第2RF部」と略す。)510と第2のマイクロコンピュータ(以下「第2マイクロコンピュータ」と略す。)511は、無線LANの電波の送受信を行い、これをネットワークのパケットと相互変換する。
無線LANインターフェース509は、第1マイクロコンピュータ506にて動作するネットワークOSからはネットワークインターフェースとして認識される。図3の携帯電話105の内部に存在するeth0がこれに該当する。
【0020】
TVチューナ512はテレビ受像機103のTVチューナ402と同様の地上波デジタル放送を受信し、復調する。但し、TVチューナ402と異なるのは、俗に「ワンセグ」と呼ばれる、「携帯・移動体向けの1セグメント部分受信サービス」(周波数470MHz〜770MHz、UHF13〜62chに相当)(以下「ワンセグ」と略)を受信するものである。
復調されたワンセグのデータは第1マイクロコンピュータ506を通じてLCD507にて表示されると共に、録画機能を稼動させている場合は圧縮動画データに変換された後、フラッシュメモリ513に記録される。
【0021】
図6はテレビ受像機103の動作の流れを示すフローチャートである。
このフローチャートはマイクロコンピュータ404上で実行されるプログラムであり、ループ状に常時稼動し続けるものである。
本プログラムが稼動開始すると(S601)、先ず携帯電話105との接続及び認証がなされているか確認する(S602)。接続及び認証が済んでいれば、TVチューナ402が現在受信している番組と、マイクロコンピュータ404内部の図示しないメモリ上に記憶している「直前の番組データ」とを比較する(S603)。一致していれば、何もせずに処理を終了し、最初から処理を繰り返す(S604)。
TVチューナ402が現在受信している番組と、メモリ上の直前の番組データとを比較した結果、一致していなければ、次にTVチューナ402がオフ状態であるか否かを確認する(S605)。オフであれば、メモリ上の直前の番組データの終了時刻と現在時刻とを比較して、番組はもう終了したか否かを確認する(S606)。番組が終了したと判れば、メモリ内の番組データを消去して(S607)、終了する(S604)。この状態はもはや録画を行う必要性が生じなくなったことを意味する。
もし、ステップS606にて番組が未だ終了していないのであれば、処理を一旦終了し(S604)、最初に戻る。何故ならば、この状態はユーザが出かけることによって携帯電話105との接続が断たれ、録画の必要性が生じる可能性が考えられるからである。
TVチューナ402がオフ状態であるか否かを確認(S605)した結果、未だオン状態であれば、ユーザはTV視聴を楽しんでいることが判る。そこで、現在視聴しているチャンネルと番組データを書き込む(S608)。なお、番組と番組との間のコマーシャルの時間帯に差し掛かっている場合は、番組を視聴していないので、その際に記録する番組データは空となるようにしてもよい。
【0022】
なお、図示しないメモリに記憶される番組データとは、チャンネルと番組開始時間と番組終了時間の情報を最低限含むものである。
図1において、A氏101がテレビ受像機103のリモコン104を操作して視聴対象チャンネルを切り替えると、テレビ受像機103は予めEPGサーバ204からダウンロードしてマイクロコンピュータ404の図示しないメモリ内に保持されているEPGデータを参照し、現在視聴中の番組を割り出し、その番組データを現在視聴中の番組の情報として、図示しないメモリに記憶させる。
番組と番組との間の、民放においてはコマーシャルしか流されていない空き時間の場合は、該当する番組データがないので、図示しないメモリには現在視聴中のチャンネルのみが記憶され、番組の開始時間と終了時間は記憶されず、空とされるようにしてもよい。
【0023】
携帯電話105との接続及び認証を確認して(S602)、接続がされていなければ、携帯電話105が認証を要求している状態であるか否かを見る(S609)。認証要求が来ていれば、所定の接続及び認証手順を行い(S610)、終了する(S604)。
【0024】
携帯電話105との接続及び認証を確認して(S602)、接続がされておらず、且つ携帯電話105から認証要求がない状態の場合(S609のN)は、携帯電話105との接続がなされていない状態である。そこで、録画を行う必要があるか否かを、これより説明する手順にて検証する。
先ず、メモリ内に番組データが存在するか否かを見る(S611)。もし番組データがなければ、それはテレビ受像機103と携帯電話105との接続が保たれたままテレビ受像機103の電源をオフして、その後メモリに保持していた番組データの番組が終了したことを意味する。つまり、録画の必要性がなくなっていることを意味する。そこで、何もせずに終了する(S604)。
もし番組データがあれば、それはメモリ内に保持している番組データの番組が終了していないまま、テレビ受像機103と携帯電話105との接続が断たれたことを意味する。つまり、録画の必要性が生じていることを意味する。そこで、次に現在録画しているか否かを検証する(S612)。
録画を行っていなければまさに今すぐ録画を行わなければならないので、録画を開始する(S613)。
録画を行っていれば、次にメモリ内に保持している番組データの番組が終了しているか否かを検証する(S614)。
番組が終わっていなければそのまま何もせずに録画を続行する(S604)。
番組が終わっていれば、録画を終了し(S615)、メモリ内の番組データを消去して(S616)終了する(S604)。なお、録画終了後にはTVチューナ402及びHDD206の電源をオフ制御する。
【0025】
図7は携帯電話105の動作の流れを示すフローチャートである。
このフローチャートは第1マイクロコンピュータ506上で実行されるプログラムであり、ループ状に常時稼動し続けるものである。
本プログラムが稼動開始すると(S701)、先ずテレビ受像機103との接続及び認証がなされているか確認する(S702)。接続及び認証が済んでいれば、テレビ受像機103から現在視聴しているチャンネルと番組データが来ているか否か検証する(S703)。データが来ていなければ、何もせずに処理を終了し、最初から処理を繰り返す(S704)。データが来ていれば、それを第1マイクロコンピュータ内の図示しないメモリ内に書き込み(S705)、最初から処理を繰り返す(S704)。
【0026】
テレビ受像機103との接続及び認証を確認して(S702)、接続がされていなければ、テレビ受像機103が認証を要求している状態であるか否かを見る(S706)。認証要求が来ていれば、所定の接続及び認証手順を行い(S707)、終了する(S704)。
【0027】
テレビ受像機103との接続及び認証を確認して(S702)、接続がされておらず、且つテレビ受像機103から認証要求がない状態の場合(S706のN)は、テレビ受像機103との接続がなされていない状態である。そこで、録画を行う必要があるか否かを、これより説明する手順にて検証する。
先ず、メモリ内に番組データが存在するか否かを見る(S708)。もし番組データがなければ、それはテレビ受像機103と携帯電話105との接続が保たれたままテレビ受像機103の電源をオフして、その後メモリに保持していた番組データの番組が終了したことを意味する。つまり、録画の必要性がなくなっていることを意味する。そこで、何もせずに終了する(S704)。
もし番組データがあれば、それはメモリ内に保持している番組データの番組が終了していないまま、テレビ受像機103と携帯電話105との接続が断たれたことを意味する。つまり、録画の必要性が生じていることを意味する。そこで、次に現在録画しているか否かを検証する(S709)。
録画を行っていなければまさに今すぐ録画を行わなければならないので、録画を開始する(S710)。
録画を行っていれば、次にメモリ内に保持している番組データの番組が終了しているか否かを検証する(S711)。
録画が終わっていなければ、次にフラッシュメモリ513の空き容量をチェックし、録画を続行可能か否かを検証する(S712)。HDD206と比べるとフラッシュメモリ513の容量は少ないので、より空き容量に対してシビアにならなければならないからである。フラッシュメモリ513の空き容量が録画を続行できるほど確保できていなければ、もはや録画続行は不可能であるので、録画を中断する(S713)。
一方、メモリ内番組データの番組が終わっていれば、録画を終了し(S714)、メモリ内の番組データを消去して(S715)終了する(S704)。
【0028】
以上に説明したことをまとめる。
本実施形態におけるテレビ放送録画システムは、テレビ受像機103と携帯電話105とが無線LANにて接続されている状態より成り立つ。携帯電話105は無線LANのAP106に接続したら、テレビ受像機103と接続及び認証を行い、テレビ受像機103の操作と共にリアルタイムで視聴中の番組にの関するデータを受信して記憶する。
テレビ受像機103の電源をオフして使用者(A氏101)が携帯電話105を所持しながら外出すると、テレビ受像機103と携帯電話105との間の無線LAN接続が断たれる。テレビ受像機103と携帯電話105の双方は、無線LAN接続が切断されたことをそれぞれ検出し、保持していた番組データに基づいて録画を開始する。
このようにシステムを構成することにより、使用者は中断されていた番組の視聴を携帯電話105でも楽しむことができ、帰宅すればテレビ受像機103にて再び高画質にて番組の再視聴が可能になる。
【0029】
本実施形態には、以下のような応用例が考えられる。
(1)前述の実施形態では、テレビ受像機103は携帯電話105との通信が途絶えた時点ですぐに録画を開始していたが、無線LANにおいては電子レンジの利用等、ノイズ発生源による数秒程度の瞬間的な切断の可能性がある。そこで、切断の判断にタイムアウト処理を加えて、より確実な切断の検出をするのが好ましい。例えば、携帯電話105の接続時の認証動作(S610)を行ったら所定のフラグを設定しておき、切断を検出したら当該フラグが設定されていれば10秒程度のタイマを作動させ、タイムアウトに至ったらフラグをクリアすると共に録画動作の処理へと繋げる。
【0030】
(2)前述の実施形態では、テレビ受像機103は携帯電話105との通信が途絶えた時点で初めて録画を開始していたが、逆に常時録画し続け、録画した番組コンテンツデータを保持する必要性がなくなったらその都度削除する、という構成にしてもよい。つまり、通常の視聴状態においては、ある番組を視聴し続けて番組が終了したら、図6のメモリクリア(S607)と共に録画していた番組コンテンツデータをHDD206から削除する。図6のS613ではその削除を防ぐフラグを設定し、S615では録画終了後、番組コンテンツデータの削除動作を行わずにTVチューナ402及びHDD206の電源をオフ制御する。
【0031】
(3)前述の実施形態では、テレビ受像機103と携帯電話105との通信に無線LANを用いていたが、近距離無線通信規格のBlueTooth(登録商標)を用いてもよい。
図8はBlueToothを用いた場合の実施形態の概略図である。
TV802はBlueToothにおけるマスターである。
携帯電話803はBlueToothにおけるスレーブである。
TV802と携帯電話803は接近すると自動的に接続処理がなされ、BlueToothにおけるピコネットを構成する。ピコネットは1台のマスターと最大7台のスレーブにて構成される、極小規模の無線ネットワークである。
ピコネットを構成した後の、TV802と携帯電話803との情報のやり取り、すなわち、接続後の認証と、その後の番組データとチャンネル情報の送受信は前述の実施形態と全く同じなので詳細は割愛する。
【0032】
BlueTooth接続を維持しうる距離は数m程度の範囲であり、無線LANと比べると狭い。そのため、家の中に居ても少し離れただけで接続が断たれてしまう。そこで、家の中におけるBlueToothの切断と外出における切断とを峻別するために、携帯電話803の本来の機能である通話機能の際に、基地局から得られる位置情報を基に判断する。
基地局A804は会社員A氏101の自宅102から最も近い基地局である。
基地局B805は基地局A804に隣接する位置で、A氏101の自宅102からは二番目に近い基地局であると共に、A氏101が会社に出勤する際の途中に存在する。つまり、A氏101が出勤のために外出すると、それまで基地局A804から得られていた現在位置情報が基地局B805の情報に書き換えられ、このことにより携帯電話803は録画をすべき状況を把握する。
なお、常に定位置にあるTV802は携帯電話803とのBlueTooth接続が断たれたことで録画を開始するしか手立てはないが、フラッシュメモリとは違い、HDDは容量に余裕があるのでさほど気にしなくてもよい。
【0033】
(3)前述の実施形態では、録画の終了は番組データによる番組の終了時刻を用いていたが、ユーザが予め設定する所定時間に録画を終了する構成になっていてもよい。
【0034】
本実施形態においては、使用者が突然外出を余儀なくされて番組の視聴ができなくなったとしても、所持している携帯電話が当該番組を録画してくれているので、後からその番組の視聴を楽しむことができる。また、帰宅すれば視聴を中断されていた番組の続きを高画質で再視聴できる。したがって、使用者の利便性が向上し、商品としての高付加価値に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態によるテレビ放送録画システムの、実際の利用状況を想定して説明するための概略図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるテレビ放送録画システムの、実際の利用状況を想定して説明するための概略図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるテレビ放送録画システムの、TCP/IPネットワーク部分を抜粋して示す概略図である。
【図4】TVの内部ブロック図である。
【図5】携帯電話の内部ブロック図である。
【図6】TVの動作の流れを示すフローチャートである。
【図7】携帯電話の動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態によるテレビ放送録画システムの、実際の利用状況を想定して説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0036】
101…会社員A氏、102…自宅、103…TV、104…赤外線リモコン、105…携帯電話、106…AP、201…LANケーブル、202…契約回線、203…インターネット、204…EPGサーバ、206…HDD、402…TVチューナ、403…LCD表示部、404…マイクロコンピュータ、405…バス、406…LANインターフェース、502…第1RF部、503…ベースバンド部、504…マイク、505…スピーカ、506…第1マイクロコンピュータ、507…LCD、508…キーパッド、509…無線LANイン3ターフェース、510…第2RF部、511…第2マイクロコンピュータ、512…TVチューナ、513…フラッシュメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョン放送を視聴可能に受信するテレビ受像機と、
前記テレビ受像機に接続され、第1の無線ネットワークインターフェースを備え、テレビジョン放送を受信し、録画する第1の録画装置と、
前記第1の無線ネットワークインターフェースと直接又は間接的に接続可能な第2の無線ネットワークインターフェースを備え、テレビジョン放送を受信し、録画する第2の録画装置と
よりなるテレビ放送録画システムであり、
前記第1の録画装置は、
前記テレビ受像機が現在受信しているチャンネルの情報を取得して前記第2の録画装置に送信すると共に、
前記第2の録画装置との無線通信が切断されたことを受けて、直前まで前記テレビ受像機にて視聴していたチャンネルの録画を開始し、
前記第2の録画装置は、
前記第1の録画装置との無線通信が切断されたことを受けて、直前まで前記テレビ受像機にて視聴していたチャンネルの録画を開始する
ことを特徴とするテレビ放送録画システム。
【請求項2】
無線ネットワークインターフェースと、
前記無線ネットワークインターフェースに接続される制御部と、
テレビジョン放送を受信し復調するテレビチューナと、
前記テレビチューナから得られる復調テレビジョン信号を録画する録画部と
よりなる録画装置であり、
前記制御部は前記無線ネットワークインターフェースを介して外部装置からテレビジョン放送のチャンネルの情報を受信すると共に、前記無線ネットワークインターフェースと前記外部装置との無線ネットワーク接続が切断されたら、前記チャンネルの情報に基づき、前記録画部にて当該チャンネルの録画を開始するべく制御する
ことを特徴とする録画装置。
【請求項3】
前記制御部は、外部装置から得られる、チャンネルの情報と番組の終了時刻の情報を受け、前記終了時刻の情報にしたがって前記録画部における当該チャンネルの録画を終了するべく制御する
ことを特徴とする、請求項2記載の録画装置。
【請求項4】
テレビジョン放送を受信し復調するテレビチューナと、
前記テレビチューナに接続され、テレビジョン放送を視聴可能に受信するテレビ受像機と、
無線ネットワークインターフェースと、
前記無線ネットワークインターフェースに接続される制御部と、
前記テレビチューナから得られる復調テレビジョン信号を録画する録画部と
よりなる録画装置であり、
前記制御部は前記無線ネットワークインターフェースを介して外部装置へ現在前記テレビ受像機にて視聴しているテレビジョン放送のチャンネルの情報を送信すると共に、前記無線ネットワークインターフェースと前記外部装置との無線ネットワーク接続が切断されたら、前記チャンネルの情報に基づき、前記録画部にて当該チャンネルの録画を開始するべく制御する
ことを特徴とする録画装置。
【請求項5】
テレビジョン放送を視聴可能に受信するテレビ受像機と、
前記テレビ受像機に接続され、第1の無線ネットワークインターフェースを備え、テレビジョン放送を受信し、録画する第1の録画装置と、
前記第1の無線ネットワークインターフェースと直接又は間接的に接続可能な第2の無線ネットワークインターフェースを備え、テレビジョン放送を受信し、録画する第2の録画装置と
よりなるテレビ放送録画システムにおけるテレビ放送録画方法であり、
前記第1の録画装置において、
前記テレビ受像機が現在受信しているチャンネルの情報を取得して前記第2の録画装置に送信する手順と、
前記第2の録画装置との無線通信が切断されたことを受けて、直前まで前記テレビ受像機にて視聴していたチャンネルの録画を開始する手順を実行し、
前記第2の録画装置において、
前記第1の録画装置との無線通信が切断されたことを受けて、直前まで前記テレビ受像機にて視聴していたチャンネルの録画を開始する手順を実行する
ことを特徴とするテレビ放送録画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−329860(P2007−329860A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161388(P2006−161388)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】