説明

テンショナ

【解決手段】テンショナは、トーションスプリングの収縮力によってベースに接続されるピボットアームを備える。スプリングはねじ込まれてピボットアームおよびベースの溝と係合し、それにより、部品を互いに結合する。テンショナは、ピボットアームとベースとの間の軸に設けられるテーパベアリングを備える自己整列機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテンショナ、より適切にはピボットアームをベースに結合するためのテーパブッシングおよびトーションスプリングを有するテンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトテンショナは、エンジンブロックのような設置面に設置されるベースを一般的に備える。ベースは、テンショナアームが揺動自在に接続される軸を備える。スプリングのような付勢部材は、スプリング力をテンショナアームに、そしてそれによりベルトに加えるために用いられ、それによりベルトシステムのベルト張力を維持する。
【0003】
公知のスプリングはベースとテンショナアームの間で圧縮される。より適切には、ピボットアームがベースに接続されると、スプリングはテンショナアームとベースとの間で圧縮される。これは、テンショナアームおよびベースに予負荷をかけると同時にテンショナアームの動きを低減するために摩擦面へ一定量の予負荷を与え、それゆえに、設計時に予想されたように動作しない。ファスナは、設置面にテンショナを設置するに先立ち、テンショナアームおよびベースを結合するために必要とされる。
【0004】
公知のテンショナもまたテーパベアリングを使用する。そのようなブッシングはベースとテンショナアームとの間の整列精度をさらに高める。
【0005】
従来技術を代表するものは、デューティル(Dutil)に付与された米国特許第6,575,860 B2号(2003年)であり、ベースとテンショナアームとの間のブッシングと、テンショナアームを付勢するためにその間に設けられるトーションスプリングとを有するベルトテンショナを開示する。
【0006】
従来技術を代表するものは、バイチェク(Bytzek)らに付与された、米国特許第4,698,049号(1987年)であり、円錐形スリーブを有した軸構造を有するベルトテンショナを開示する。
【0007】
従来技術は、ピボットアームをベースに保持するためのトーションスプリングの収縮力と組み合わされるテーパブッシングを備える自己整列機構を有するテンショナを開示しない。
【0008】
必要とされるものは、ピボットアームをベースに保持するためのトーションスプリングの収縮力と組み合わされるテーパブッシングを備える自己整列機構を有するテンショナである。本発明はこれらの要求に合致する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の特徴は、ピボットアームをベースに保持するためのトーションスプリングの収縮力と組み合わされるテーパブッシングを備える自己整列機構を有するテンショナを提供することである。
【0010】
本発明の他の特徴は、本発明に関する以下の記述および添付された図面により指摘され、あるいは明らかにされる。
【0011】
本発明はテンショナを備える。テンショナは、トーションスプリングの収縮力によりベースに接続されるピボットアームを備える。スプリングはねじ込まれてピボットアームおよびベースの溝と係合し、それにより、部品を互いに結合する。テンショナは、ピボットアームとベースとの間の軸に設けられるテーパベアリングを備える自己整列機構を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1はプーリを有さないテンショナの立断面図である。テンショナ100はベース20に揺動自在に接続されるピボットアーム10を備える。ベース20はシャフト21を備える。ピボットアーム10はシャフト21に設けられる。ブッシング40はピボットアーム10とシャフト21との間に設けられる。
【0013】
トーションスプリング30は端部31、32を有する。図5参照。ピボットアーム10は端部31を受容するための溝11を備える。ベース20は端部32を受容するための溝22を備える。トーションスプリング30はねじれバネ定数Kを有する。バネ定数Kはベルト駆動システム(図示しない)で求められるベルト負荷に応じて選択される。スプリングは、ベルト滑りおよびノイズの発生を防止するために、ピボットアームおよびプーリ(図2参照)を介してベルトに負荷をかける。ベース20の穴25は、設置面にテンショナを取り付けるためのファスナ(図示しない)を受容する。ファスナは、ねじボルト、リベット、または圧入により取り付けられるスタッドを含む、いかなる公知のものからなってもよい。
【0014】
図2はテンショナ頂部の平面図である。プーリ50はピボットアーム10の端部に軸支される。ピボットアームにおける部材12は、ピボットアーム10の動作範囲を規制するためにストッパ23、24の間に設けられる。スプリング30の端部31は、溝11に設けられるよう示される。溝11は、スプリング30の形状に適合するために、弓形を有する。溝11は、スプリングがベース面14を超えて突出しないことを保証するために十分な深さである。
【0015】
図3はテンショナの側面図である。ピン26はベース面から突出して示される。ピン26は設置面(M)の穴(H)と係合する。穴25と係合するファスナと設置面穴と係合するピン26との組み合わせは、動作中にテンショナが回転することを防止する。ストッパ24はベース20の側面から突出する。部材12はピボットアーム10の側面から突出する。
【0016】
図4はテンショナ底面図である。プーリ50はベアリング51と共にピボットアーム10の端部に軸支される。スプリング30の端部32は溝22に係合する。溝22はスプリングの形状に適合するために弓形である。溝22は、スプリングがベース面27を超えて突出しないことを保証するために十分な深さであり、それゆえ、平坦かつ安定した設置面を保証する。
【0017】
図5はテンショナの分解図である。ブッシング40はピボットアーム10とベース20との間に設けられる。ブッシング40は、PTFE,ウレタン、ポリエチレン、ナイロン6.6、およびナイロン4.6を含むが限定されない、そのような用途に適した公知のいかなる材料を備える。
【0018】
より適切には、ブッシング40は、環15およびシャフト21との間に設けられる。内面16は表面41と摩擦係合する。シャフト21の他の表面27は表面42と摩擦係合する。カラー43はブッシング40から放射状に突出する。
【0019】
表面41は表面42に関して角度θで設けられて、それゆえテーパ形状を示す。テーパ形状は、シャフトにピボットアームをベースに関して軸を合わせて配置する、自己整列機構をなす。これは、運転中に均等に力を分布させることにより、テンショナの寿命を改善する。角度θは0°よりも大きく約20°までの範囲である。テーパ面のより高価となる適合を要求する従来技術と異なり、表面42は表面27と平行であり、両者は穴25の中心線と平行である。表面41および表面16のみが穴25の中心線CLに対して角度θで設けられる。
【0020】
スプリング30はベルトに対抗してピボットアームを付勢するだけでなく、ベース20にピボットアーム10を結合する。組立てる間、スプリング30は溝11および22に端部それぞれを係合するために、自由長から伸ばされる。スプリング30を伸ばすとピボットアームおよびベースに収縮力が働いて互いに引き合うように付勢し、これによりこれら2つの部材を保持する。これにより、環15がブッシング40と、またそれによってシャフト21と係合する。環15の表面17は加圧によりカラー43と摩擦係合して保持される。
【0021】
ブッシング表面41、42はそれぞれ摩擦係数を有するため、摩擦力を生じることになり、生じた摩擦力は動作中にピボットアーム10の動きに対抗し、それゆえに動きを減衰する。環15およびシャフト21とブッシングとの間の摩擦係合は、ピボットアーム10の振動を減衰する。
【0022】
図6はプーリを有するテンショナの立断面図である。プーリ50はベアリング51によりピボットアーム10に軸支される。
【0023】
テンショナを組み立てるために、スプリング30の端部は溝11または22へ初めにねじ込まれる。スプリングはその後、他の溝と他の端部とを係合可能にするために必要である程度の長さを同軸上に伸ばされる。ピボットアームおよびベースはその後、他の端部と他の溝とを完全に係合するために互いに関して回転される。この操作の間、ピボットアームおよびベースはわずかに離れて保持されることが必要である。さもなければ、部材12とストッパ23、24との間の係合のため、回されることが不可能となるからである。スプリングが溝11および22と完全に係合すると、その後、ピボットアームおよびベースは(スプリングの収縮力のため)、図2に示される方向で、部材12とストッパ23、24と共に結合する。部材12の相対的な高さは、ベースにピボットアームを組付けるに必要な間隔を最小とするために調節されてもよい。
【0024】
本発明によるテンショナの設計は、ベルト力BFがブッシング40と実質的に整列することを可能にし、このため、ブッシングにほとんどあるいは全くモーメントが働かずに、安定したブッシング磨耗状況を作り出す。ベルト力は通常の負荷状況においてブッシングを均一にわたって分布するため、ベアリング40は均一に磨耗する。
【0025】
ブッシングのテーパ形状は、ピボットアームおよびベースが伸縮バネ力で互いに保持されるだけで、ピボットアームとベースとの適切な配列を保証する、自己整列機構を提供する。
【0026】
上記の記載は、説明の目的のためにのみなされ、従属請求項によって決定されるであろう発明の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、ここに発明のひとつの実施形態が説明されたが、記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、変形が各部の構造と関係に施されることは、当業者にとって自明である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】プーリを有さないテンショナの立断面図である。
【図2】テンショナ頂部の平面図である。
【図3】テンショナの側面図である。
【図4】テンショナ底面図である。
【図5】テンショナの分解図である。
【図6】プーリを有するテンショナの立断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
ピボットベアリングを介して前記ベースに設けられ、前記ピボットベアリングがピボット軸に関してテーパ形状を有するピボットアームと、
前記ピボットアームに軸支されるプーリと、
前記プーリを付勢してベルトと接触させるために、前記ベースと前記ピボットアームとの間に連結されるスプリングとを備え、
前記スプリングは、軸方向収縮力を及ぼし、それにより前記ベースは前記ピボットアームと係合して保持されるテンショナ。
【請求項2】
前記スプリングの端部を受容するための前記ピボットアームに溝をさらに備える請求項1に記載のテンショナ。
【請求項3】
前記スプリングの端部を受容するための前記ベースに溝をさらに備える請求項1に記載のテンショナ。
【請求項4】
前記ピボットアームと前記ベースとの間に設けられるブッシングをさらに備え、
前記ブッシングはテーパ形状を有する請求項1に記載のテンショナ。
【請求項5】
前記スプリングはトーションスプリングである請求項1に記載のテンショナ。
【請求項6】
前記ベースは、ファスナを受容するための穴と、前記ベースと設置面とを係合するためのベース面から突出する部材とを備える請求項1に記載のテンショナ。
【請求項7】
前記ピボットアームはさらに部材を備え、
前記ベースはピボットアームの回転を制限する前記部材と連携する少なくとも1つのストッパをさらに備える請求項1に記載のテンショナ。
【請求項8】
前記ブッシングは、PTFE,ウレタン、ポリエチレン、ナイロン4.6またはナイロン6.6のうち1つを備える請求項1に記載のテンショナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−502392(P2007−502392A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523439(P2006−523439)
【出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/026541
【国際公開番号】WO2005/022001
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(504005091)ザ ゲイツ コーポレイション (103)
【Fターム(参考)】