説明

テンションセンサ及び自動ワインダ

【課題】簡単な構造で自動ワインダの部品点数を増加させることなく、糸の張力を安定した状態で正確に測定することができるようにする。
【解決手段】給糸ボビン12から解舒されてパッケージPに巻き取られる糸のテンションを検出するテンション検出部31aと、テンション検出部31aの上流側の糸道Yで糸を支持する上流側糸支持部材35と、テンション検出部31aの下流側の糸道Yで糸を支持する下流側糸支持部材33とを備え、テンション検出部31aに対して糸が所定角度を成した状態で接触するようにしたテンションセンサ30において、上流側糸支持部材35と下流側糸支持部材33が糸道Yに対して互いに対向する側から糸に接触するようにした。これにより、上流側糸支持部材35や下流側糸支持部材33を可動部品としなくても、糸道Yに糸を導入することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボビンから解舒されてパッケージに巻き取られる糸のテンションを測定するテンションセンサ、及び該テンションセンサを備えた自動ワインダに関する。
【背景技術】
【0002】
精紡機等で生産したボビンを巻き返して所定形状のパッケージを形成する自動ワインダがある。自動ワインダは、例えば、特許文献1に示すように、ボビン解舒した糸に適宜なテンションを与えるテンサ、糸の欠点を検出するスラブキャッチャ、糸切れ或いはスラブキャッチャによる糸切断時に糸端を継ぐスプライサ(糸継装置)、及びパッケージを摩擦接触により高速回転させる綾振ドラムなどを備えている。
【0003】
特許文献1に示す自動ワインダは、ボビンから解舒されてパッケージに巻き取られる糸のテンションを測定するテンションセンサを備えている。このようなテンションセンサによれば、巻取中の糸に予期せぬテンション変動が発生しても、これを検出することができる。したがって、検出したテンション変動に基づいてテンサや綾振ドラムの動作を調節でき、巻取中のテンション変動による糸切れや巻形状不良の発生を回避することができる。
【0004】
ところで、上記のようなテンションセンサでは、糸の張力を安定した状態で正確に測定するために、決められた状態でテンション検出部に糸を接触させる必要がある。そのための構造として、特許文献2に示すように、テンションセンサのテンション検出部と該テンション検出部の上流側及び下流側の合計三点で糸を支持し、テンション検出部に対して所定角度を成した状態で糸を接触させる、いわゆる三点支持構造が採用されている。
【特許文献1】特開平10−87175号公報
【特許文献2】特開2001−11740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載のテンションセンサが備える三点支持構造は、テンション検出部の上流側及び下流側の糸道でそれぞれ糸を支持するガイド部材を備えている。ところが、テンション検出部へ糸を導入する際、これらのガイド部材を糸支持位置から一旦退避させなければ、糸を導入することができない構造となっている。そのため、ガイド部材は、テンションセンサ本体に対して回動可能に取り付けられており、さらに、ガイド部材を回動させるための機構が設けられている。このように、従来の三点支持構造では、可動部品及びそれを動かすための機構が必要であった。そのため、テンションセンサあるいは自動ワインダの部品点数が増え、構造の複雑化を招いていた。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、簡単な構造で自動ワインダの部品点数を増加させることなく、糸の張力を安定した状態で正確に測定することができるテンションセンサ、及び該テンションセンサを備えた自動ワインダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明にかかるテンションセンサは、糸のテンションを検出するテンション検出部と、該テンション検出部の上流側の糸道で、該糸道に対する一方の側部から糸に接触して該糸を支持する上流側糸支持部材と、該テンション検出部の下流側の糸道で、前記一方の側部に対向する他方の側部から糸に接触して該糸を支持する下流側糸支持部材と、を備え、上流側糸支持部材と下流側糸支持部材の支持により、糸がテンション検出部に対して所定角度を成した状態で接触することを特徴とする。
【0008】
従来技術である特許文献2に記載されたテンションセンサの糸支持構造は、テンション検出部の上流側と下流側において、糸を支持する支持部材が糸道に対して互いに同じ側から糸に接触する構造であった。しかしこの構造では、支持部材を可動部品としなければ、テンション検出部及び上流側と下流側の支持部材の三点に糸を架け渡すことができなかった。これに対して、本発明にかかるテンションセンサは、上流側糸支持部材と下流側糸支持部材が糸道に対して互いに対向する側から糸に接触する構造を採用している。これにより、上流側糸支持部材や下流側糸支持部材を可動部品としなくても、テンション検出部及び上流側糸支持部材と下流側糸支持部材の三点に糸を架け渡すことができ、テンション検出部へ糸を導入することが可能となる。したがって、上流側糸支持部材や下流側糸支持部材の構造を簡単にすることができるので、装置構造の複雑化、部品点数の増加を招くことなく、糸の張力を安定した状態で正確に測定できるようになる。
【0009】
本発明にかかるテンションセンサの一実施態様として、上流側糸支持部材と下流側糸支持部材は、その面が糸道に直交した状態で固定されており、テンション検出部へ導入される糸を案内するための糸案内部を備えるようにしてよい。さらに、これら上流側糸支持部材の糸案内部と下流側糸支持部材の糸案内部とによって、テンション検出部へ導入される糸が通過する糸ガイド路が形成されるようにしてよい。この場合、糸ガイド路は、糸道の側方から該糸道へ向かって次第に幅寸法が狭まる形状であることが望ましい。これによれば、部品点数を抑えた簡単な構造でありながら、テンション検出部へ導入される糸を確実に案内できるようになる。
【0010】
また、本発明にかかる自動ワインダは、上記構成のテンションセンサを備えた巻取ユニットが複数配置された自動ワインダであって、上流側糸支持部材と下流側糸支持部材とによって形成される糸ガイド路は、巻取ユニットの正面側に開口していることを特徴とする。また、この自動ワインダでは、巻取ユニットに糸寄せレバーを有する糸継装置を備え、テンションセンサを該糸継装置の上方ないしは下方に近接して配置するようにしてもよい。この自動ワインダによれば、部品点数を少なく抑えることができ、構造の簡素化、低コスト化、メンテナンスの容易化を図りながらも、糸継作業の際にテンション検出部へ糸を導入することができるようになり、糸の張力を安定した状態で正確に測定できるようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかるテンションセンサ及び自動ワインダによれば、簡単な構造で部品点数を増加させることなく、糸の張力を安定した状態で正確に測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる自動ワインダの巻取ユニット1を示す概略図である。巻取ユニット1は、給糸部11に挿立された給糸ボビン12を下部に備え、給糸ボビン12から解舒された糸をパッケージPに巻き取るための巻取装置13を上部に備えて構成されている。巻取装置13は、モータ(図示せず)の駆動力で回転する綾振ドラム14と、パッケージPを綾振ドラム14に対して適宜な接圧で接触させ、その状態で回転自在に支持するクレードル15とを備えている。綾振ドラム14の周面には、綾振溝16が形成されている。この巻取装置13では、綾振ドラム14を回転させることにより、糸を適宜幅でトラバースさせつつパッケージPに巻き取ることができる。これにより、給糸ボビン12の糸が上方に解舒されてパッケージPに巻き換えられるようになっている。
【0013】
巻取装置13と給糸ボビン12の間には、糸道Yに沿って上方から下方にかけて順に、ヤーンクリアラ18、カッタ28、スプライサ(糸継装置)20、テンションセンサ30、ゲート式テンサ26、糸解舒補助装置29が設けられている。また、糸継作業を行うための中継パイプ22、サクションマウス24が設けられている。ヤーンクリアラ18は、糸の巻取中にスラブ等の不良糸部分を発見する装置である。スプライサ20は、糸切れ時にパッケージP側の上糸と給糸ボビン12側の下糸との糸端同士を継ぐための装置である。テンションセンサ30は、その詳細な構成及び機能は後述するが、巻取中の糸のテンションを測定するための装置である。ゲート式テンサ26は、櫛歯状の固定ゲートと可動ゲートとからなる一対のゲートを備え、該一対のゲートで糸道Yの糸をジグザグ状に保持することで、走行する糸に所定のテンションを付与する装置である。カッタ28は、ヤーンクリアラ18によって糸の不良部分が発見されたときにその不良部分の糸搬送方向における上流側の糸をカットするものである。糸解舒補助装置29は、給糸ボビン12の上方に配置された筒状の部材を備えており、給糸ボビン12から解舒される糸のバルーンを制御するためのものである。
【0014】
スプライサ20の下端には、該スプライサ20に糸を案内するためのスプライサ用ガイド板(スプライサ用糸ガイド)21が設置されている。また、ゲート式テンサ26の上端には、該ゲート式テンサ26に糸を案内するためのテンサ用ガイド板(テンサ用糸ガイド)27が設置されている。スプライサ用ガイド板21,テンサ用ガイド板27はいずれも、その面が糸道Yに直交して配置された平板からなり、該平板に糸を案内するための略U字状のガイド溝21a,27aが設けられている。テンションセンサ30は、スプライサ20の下方かつゲート式テンサ26の直上位置に設置されており、テンサ用ガイド板27の上面に載置されている。
【0015】
サクションマウス24は、スプライサ20近傍の高さ位置にある支点Aを中心に上下方向へ回動自在に構成されており、その回動端には、吸引口24aが設けられている。これにより、吸引口24aは、スプライサ20の下部から綾振ドラム14の上部へ回動可能になっている。一方、中継パイプ22は、ゲート式テンサ26とスプライサ20の間の高さ位置にある支点Bを中心に上下方向へ回動自在に構成されており、その回動端には吸引口22aが設けられている。これにより、吸引口22aは、ゲート式テンサ26の下部、詳細にはゲート式テンサ26と糸解舒補助装置29の間から、スプライサ20の上部へ回動可能になっている。
【0016】
カッタ28で糸がカットされた際、パッケージP側の上糸の糸端は、綾振ドラム14の直下に配置されたサクションマウス24の吸引口24aで吸引される。その状態で、サクションマウス24が下方へ回動することで、該上糸の糸端がスプライサ20に引き渡される。一方、給糸ボビン12側の下糸の糸端は、ゲート式テンサ26の下部に配置された中継パイプ22の吸引口22aで吸引される。その状態で、中継パイプ22の吸引口22aが上方へ回動することで、該下糸の糸端がスプライサ20に引き渡される。こうして、スプライサ20で上糸と下糸が継ぎ合わされる。
【0017】
図2は、テンションセンサ30の外観構成を示す斜視図、図3は、テンションセンサ30の内部構成を示す平面視の概略断面図、図4は、テンションセンサの正面図(図3のC矢視図)、図5は、テンションセンサの平面図である。なお、図4では、テンションセンサ30の一部を断面で示している。また、図2では、テンションセンサ30の下面側に設置されたテンサ用ガイド板27(図1参照)も図示している。なお、以下の説明で右側、左側というときは、テンションセンサ30の正面から見た右側、左側を指すものとする。
【0018】
図2に示すように、テンションセンサ30は、略棒状のロッド31を備えている。ロッド31は、その軸方向が糸道Yに直交するように配置されている。ロッド31の側面には、糸のテンションを検出するテンション検出部31aが設けられている。テンション検出部31aは、ロッド31の周面を窪ませた形状であり、糸に対する接触摩擦抵抗が小さく、且つ摩耗の少ないセラミックなどの材質で構成されている。
【0019】
ロッド31の上方には、下流側の糸道Yで糸に接触して該糸を支持する下流側糸支持部材33が設置され、ロッド31の下方には、上流側の糸道Yで下流側糸支持部材33とは反対向きに糸道Yの糸に接触して該糸を支持する上流側糸支持部材35が設置されている。図2及び図4に示すように、下流側糸支持部材33と上流側糸支持部材35は、いずれもその面が糸道Yに直交するように配置された平板状の部材からなり、その端辺の糸道Yに対向する部分には、溝状の糸支持部33a,35aが形成されている。糸支持部33a,35aには、糸に接触するセラミック製のヤーンガイド34,36(図4参照)が設置されている。下流側糸支持部材33の糸支持部33aは、右側から糸道Yの糸に接触するように配置されており、上流側糸支持部材35の糸支持部35aは、左側から糸道Yの糸に接触するように配置されている。
【0020】
この構成により、糸道Yの糸は、下流側糸支持部材33が備えるヤーンガイド34の接触点Sと、上流側糸支持部材35が備えるヤーンガイド36の接触点Qと、ロッド31が備えるテンション検出部31aの接触点Rとの三点で支持される。そして、S,Q,R三点を結ぶ線は、テンションセンサ30の正面から見ると、図4に示すように、テンション検出部31aの接触点Rにおいて所定角度で屈曲している。これにより、糸道Yの糸がテンション検出部31aに対して所定角度(後述する角度θ)で巻き付いた状態で当接するようになっている。
【0021】
図6は、テンションセンサ30による糸支持状態を説明するための概略図である。同図に示すように、下流側糸支持部材33の接触点Sとテンション検出部31aの接触点Rは同一鉛直線上に配置されており、上流側糸支持部材35の接触点Qは、接触点S,Rよりも若干右寄りに配置されている。また、接触点S,Rで支持される糸の糸道Yは、ヤーンクリアラ18の糸入口とゲート式テンサ26の糸出口とを結ぶ本来の糸道Y´に対して、僅かに左寄りに配置されている。したがって、接触点S,Rより上流側の糸は、鉛直方向に対して角度α(一例としてα=0.3度)傾いた状態になる。また、接触点S,Q,Rで支持される糸は、テンション検出部31aの接触点Rに対して角度θ(一例としてθ=10度)で巻き付いた状態で当接するようになっている。そして、接触点S,Q,Rでの三点支持により、テンション検出部31aに対する糸の接触角θを常に一定に保つことが可能となる。
【0022】
また、図2に示すように、下流側糸支持部材33と上流側糸支持部材35には、テンション検出部31aへ導入される糸を案内するための糸案内部33b,35bが形成されている。糸案内部33b,35bは、糸支持部33a、35aと同一の端辺における手前側に形成された傾斜辺からなる。下流側糸支持部材33の糸案内部33bは、糸道Yから離れるに連れて右側へ向かう傾斜辺になっており、上流側糸支持部材35の案内部35bは、糸道Yから離れるに連れて左側へ向かう傾斜辺になっている。そして、これら上流側糸支持部材35の糸案内部35bと下流側糸支持部材33の糸案内部33bの間には、テンション検出部31aへ導入される糸が通過する糸ガイド路38が形成されている。糸ガイド路38は、図5に示すように、平面視において、巻取ユニット1の正面側に開口しており、糸の導入方向手前側から奥側へ向かって、すなわち糸道Yの手前側から糸道Yの方へ向かって、次第にその幅が狭くなるような形状になっている。なお、図2に示すように、テンサ用ガイド板27のガイド溝27aは、糸ガイド路38の入口に連続する傾斜辺状に形成されている。
【0023】
また、ロッド31の先端には、テンション検出部31aへ導入される糸を案内するための案内部材37が設置されている。案内部材37の先端の側面には、平面視で下流側糸支持部材33の糸案内部33bと同じ傾斜を有してなる平面状の案内部37aが形成されている。案内部37aは、糸道Yへ導入される糸をテンション検出部31aと同じ高さ位置で案内するものである。
【0024】
図3に示すように、テンションセンサ30の本体カバー41内には、抵抗素子(歪みゲージ)42aが張り付けられた金属ブロック(起歪体)42が設置されている。金属ブロック42は、略直方体形状で、長手方向がロッド31の軸方向と平行に配置されており、一端の側面がテンションセンサ30の支持部材44に固定され、他端の前記側面に対向する側面が連結体46を介してロッド31の根元側端部に対して直角に連結されている。抵抗素子42aは、例えば印刷等によって金属ブロック42の側面に一体形成されている。上記の構成により、糸道Yの糸がテンション検出部31aに当接することで、ロッド31が軸に対して直交する方向に変位すると、それにより、金属ブロック42の長手方向に歪みが発生する。抵抗素子42aがこの歪みを感知し、歪み量に相応した検知信号(電圧)を出力するようになっている。
【0025】
また、図1に示すように、テンションセンサ30は、巻取ユニット1のコントローラ(制御部)50に結線されている。コントローラ50は、テンションセンサ30から入力されたテンション値に基づいて、ゲート式テンサ26の駆動部(図示せず)を作動させ、糸切れなどがない最適な巻取テンションにフィードバック制御する。なお、巻取テンションを調整するためには、ゲート式テンサ26の作動制御を行うほか、コントローラ50から綾振ドラム14の駆動モータへ作動信号を出して、その回転数を制御することで、パッケージPの周速を変えるようにしてもよい。コントローラ50は、テンションセンサ30からの巻取テンション値を監視し、異常テンション値が検出されたらアラーム信号を発生させるモニタ機能を備えている。アラーム信号が発生したときには、コントローラ50により巻取が停止される。あるいは、アラーム信号を図示しないパッケージPの品質管理装置に送り、この装置にてパッケージ不良が生じたことを記憶するようにしてもよい。さらに、コントローラ50は異常なテンション値がテンションセンサ30から入力されると、ヤーンクリアラ18に作動信号を出力し、ヤーンクリアラ18によりその箇所の糸を除去することも可能である。
【0026】
この巻取ユニット1では、スプライサ20で糸継ぎを行う際、中継パイプ22がスプライサ20へ下糸を搬送するが、それにより、下糸がテンションセンサ30のテンション検出部31aへ導入されるようになっている。すなわち、中継パイプ22が下糸の端部を吸引した状態で上方へ回動すると、下糸がテンションセンサ30の正面側から糸ガイド路38に入る。この際、下糸が左右に振れる場合でも、該下糸は、糸案内部33b,35bによって案内されることで、糸ガイド路38を通り糸道Yへ確実に導かれてゆく。こうして、下糸は糸道Yに配置され、下流側糸支持部材33の接触点Sと、上流側糸支持部材35の接触点Qと、テンション検出部31aの接触点Rとの三点で支持された状態になる。また、スプライサ20には、糸継作業を確実に行うために、糸継作業位置に上糸及び下糸を寄せるための糸寄せレバー20aが備えられている。糸継作業時には、この糸寄せレバー20aにより、上糸及び下糸がスプライサ20の糸継作業位置に確実に導入されるが、スプライサ20の近くに配置されているテンションセンサ30への糸の導入もこの糸寄せレバー20aにより確実に行われる。
【0027】
以上説明したように、本実施形態のテンションセンサ30は、上流側糸支持部材35と下流側糸支持部材33が糸道Yに対して互いに対向する側から糸に接触する構造を採用している。これにより、上流側糸支持部材35や下流側糸支持部材33を可動部品としなくても、テンション検出部31a及び上流側糸支持部材35と下流側糸支持部材33の三点に糸を架け渡し、テンション検出部31aへ糸を導入することが可能となる。したがって、上流側糸支持部材35や下流側糸支持部材33の構造を簡単にすることができ、自動ワインダ1の構造の複雑化、部品点数の増加を招くことなく、糸の張力を安定した状態で正確に測定することが可能となる。
【0028】
また、このテンションセンサ30では、上流側糸支持部材35と下流側糸支持部材33は、その面が糸道に直交した状態で固定された平板状部材からなり、テンション検出部31aへ導入される糸を案内するための糸案内部35b,33bを備えている。そして、糸案内部35b,33bの間には、テンション検出部31aへ導入される糸が通過する糸ガイド路38が形成されている。この糸ガイド路38は、糸道Yの側方(手前側)から該糸道Yへ向かって次第に幅寸法が狭まる形状になっている。このような構成を採用したことにより、上流側糸支持部材35や下流側糸支持部材33が可動部品を有しない簡単な構造でありながら、糸をテンション検出部31aへ確実に導入できるようになる。
【0029】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書、図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【0030】
例えば、上流側糸支持部材35あるいは下流側糸支持部材33の具体的な配置は一例であり、テンション検出部31aに対するこれらの高さや左右の配置は、上記以外に設定することも可能である。また、巻取ユニット1におけるテンションセンサ30の設置位置も一例であり、テンションセンサ30は、給糸ボビン12から解舒されてパッケージPに巻き取られる糸のテンションを検出することができる位置であれば、他の位置に設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態にかかる自動ワインダの巻取ユニットを示す概略図である。
【図2】テンションセンサの外観構成を示す斜視図である。
【図3】テンションセンサの内部構成を示す平面視の概略断面図である。
【図4】テンションセンサの正面図(図3のC矢視図)である。
【図5】テンションセンサの平面図である。
【図6】テンションセンサによる糸支持状態を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0032】
1 巻取ユニット
11 給糸部
12 給糸ボビン
13 巻取装置
14 綾振ドラム
15 クレードル
16 綾振溝
18 ヤーンクリアラ
20 スプライサ(糸継装置)
20a 糸寄せレバー
21 スプライサ用ガイド板
22 中継パイプ
24 サクションマウス
26 ゲート式テンサ
27 テンサ用ガイド板
28 カッタ
29 糸解舒補助装置
30 テンションセンサ
31 ロッド
31a テンション検出部
33 下流側糸支持部材
33a 糸支持部
33b 案内部
34 ヤーンガイド
35 上流側糸支持部材
35a 糸支持部
35b 糸案内部
36 ヤーンガイド
37 案内部材
37a 案内部
38 糸ガイド路
41 本体カバー
42a 抵抗素子
42 金属ブロック
44 支持部材
46 連結体
50 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸のテンションを検出するテンション検出部と、
前記テンション検出部の上流側の糸道で、該糸道に対する一方の側部から前記糸に接触して該糸を支持する上流側糸支持部材と、
前記テンション検出部の下流側の糸道で、前記一方の側部に対向する他方の側部から前記糸に接触して該糸を支持する下流側糸支持部材と、
を備え、
前記上流側糸支持部材と前記下流側糸支持部材との支持により、前記糸が前記テンション検出部に対して所定角度を成した状態で接触することを特徴とするテンションセンサ。
【請求項2】
前記上流側糸支持部材と前記下流側糸支持部材は、その面が前記糸道に直交して固定されており、各支持部材には、前記テンション検出部へ導入される糸を案内するための糸案内部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のテンションセンサ。
【請求項3】
前記上流側糸支持部材の糸案内部と前記下流側糸支持部材の糸案内部とによって、前記テンション検出部へ導入される糸が通過する糸ガイド路が形成されており、
前記糸ガイド路は、前記糸道の側方から該糸道へ向かって次第に幅寸法が狭まる形状であることを特徴とする請求項2に記載のテンションセンサ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のテンションセンサを備えた巻取ユニットが複数配置された自動ワインダであって、
前記上流側糸支持部材と前記下流側糸支持部材とによって形成される糸ガイド路は、前記巻取ユニットの正面側に開口していることを特徴とする自動ワインダ。
【請求項5】
前記巻取ユニットは、糸寄せレバーを有する糸継装置を備え、
前記テンションセンサは、前記糸継装置の上方ないしは下方に近接して配置されていることを特徴とする請求項4に記載の自動ワインダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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