説明

テープドロップケーブル

【課題】保護チューブ等を巻きつけることなく、刺傷による光ファイバーの損傷を防止することが可能なテープドロップケーブルを提供することを目的とする。
【解決手段】光ファイバケーブル心線1をケーブル外被3で被覆してなるテープドロップケーブルにおいて、ケーブル外被3の内部に防護壁50を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープドロップケーブルに係る。より詳細には、刺傷をもたらすものの侵入を途中で阻止できるようにして刺傷による光ファイバの損傷を防止したテープドロップケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2002−90596号公報
【0003】
ドロップケーブルは、光ファイバケーブル心線とテンションメンバとを同一平面に含むように配置して外被で被覆して構成されている。
【0004】
テープドロップケーブルを架空で使用する場合、刺傷でケーブル外被が被害を受け、光ファイバケーブル心線が故障に至ることが多発している。刺傷の発生原因は各様であるが、セミが産卵管をドロップケーブルに突き刺すことも主な原因の一つである。すなわち、セミが産卵をするために産卵管をドロップケーブルに突き刺し、内部の光ファイバを傷つける。光ファイバが刺傷を受けると経時的ストレスにより応力が刺傷を受けた部分に集中し、光ファイバが破断に至り故障する。
【0005】
また、テープドロップケーブルには、光ファイバケーブル心線の取り出しを容易にするために「ノッチ」が設けられる(特許文献1)。しかるに、このノッチ部分において外被は肉厚が薄くなっているため、ノッチを有するドロップケーブルは特に故障が多くなっている。
【0006】
特許文献1では、ノッチ開口部を、外皮表面で完全に閉口するように剥離可能な材料で塞ぎ、セミがノッチの存在に気付かないようにして、光ファイバケーブル心線の近くに産卵しないようにしている。
【0007】
しかし、テープドロップケーブルのノッチ部分は、光ファイバケーブル心線を容易に取り出すためのものであり、仮にノッチ部分を無くして外被の厚さと同様にした場合、多心テープドロップケーブル内部の光ファイバケーブル心線がテープ心線のため表面積が広く、セミの産卵管に刺された場合、光ファイバケーブル心線に傷をつける可能性が高くなる。また、光ファイバケーブル心線を取り出すための専用工具等が必要になる。
【0008】
そこで、これらの対策として、保護チューブ等をドロップケーブルに巻きつけることにより、セミの産卵管に刺されても光ファイバまで産卵管が到達しないようにするといった対策を実施している。
【0009】
しかし、上記対策の「保護チューブ等をドロップケーブルに巻きつける方法」は、保護チューブを巻きつけた部分には効果があるが、保護チューブ等を巻きつける場所の特定が難しく、また保護チューブ等を巻きつけるための稼動やコスト面から苦慮しているところである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、保護チューブ等を巻きつけることなく、刺傷による光ファイバーの損傷を防止することが可能なテープドロップケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、光ファイバケーブル心線をケーブル外被で被覆してなるテープドロップケーブルにおいて、
該ケーブル外被の内部に防護壁を設けたことを特徴とするテープドロップケーブルである。
【0012】
請求項2に係る発明は、光ファイバケーブル心線をケーブル外被で被覆してなるテープドロップケーブルにおいて、
該ケーブル外被の外層に固体状の防護壁を貼り付けた形状をなすことを特徴とするテープドロップケーブルである。
【0013】
請求項3に係る発明は、前記防護壁は、プラスチック又は金属からなることを特徴とする請求項1又は2記載のテープドロップケーブルである。
【0014】
請求項4に係る発明は、前記防護壁はモース硬度「3」以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のテープドロップケーブルである。
<作用>
【0015】
(請求項1)
請求項1に係る発明では、該ケーブル外被の内部に防護壁を設ける。防護壁は、刺傷原因部(例えばセミの産卵管)の貫通を阻止する機能を有している。従って、ケーブル外被への刺傷原因物の侵入は許すが、防護壁により光ファイバケーブル心線への損傷を食い止めるものである。
防護壁は、既存の―般工具等で容易に除去できるため、ケーブル架渉時の作業性等は既存ドロップケーブルと同等であり、セミ対策のための保護チューブを巻きつけるといったような特別な作業は必要としない。
【0016】
(請求項2)
請求項2に係る発明では、ケーブル外被に外層として防護壁を設ける。
ケーブル外被に外層として防護壁を設けたものは、ドロップ外被へセミの産卵管を突き刺すことが出来なくなり、また、隣接物との接触・こすれからのドロップ外被損傷防止機能も有する。
防護壁は、例えば接着剤を用いてケーブル外被に貼り付ければよい。その際、専用工具等を用いずに分離できる接着力としておくことが好ましい。
【0017】
(請求項3、4)
防護壁は、プラスチックあるいは金属からなるものが好ましい。また、セミの産卵管はモース硬度「3」であるので、これ以上の硬さの防護壁が特に有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、セミ害が発生する虞れのあるエリアにおいて、既存のケーブル架渉方法と同様に施工することができ、セミ害を含めケーブルに外傷を与える恐れのある生物被害からケーブルを守ることができる。このため、これまで別工程で実施していた「保護チューブ等をドロップケーブルに巻きつける方法」等の稼動の削減・コストの削減ならびにセミ害による故障数の減少が期待できる。また、セミ害エリアを限定する必要も無く、同―工法により全てのエリアでドロップケーブルの架渉が可能である。
【実施例1】
【0019】
図1に本例を示す。本例では、光ファイバケーブル心線1をケーブル外被3で被覆してなるテープドロップケーブルにおいて、ケーブル外被3の内部に防護壁50を設けた。
以下より詳細に説明する。
【0020】
ケーブル外被3の内層として防護壁50を設けたドロップケーブルの―例である。防護壁50は、ケーブル牽引力を吸収するためのテンションメンバ機能も有しており、刺傷発生物(特にセミの産卵管)の防護も兼ね備えたものである。ケーブル外被3上から産卵管に刺されても産卵管はそれ以上侵入することができず、光ファイバケーブル心線1まで届かない配置となっている。
なお、本例においては防護壁としてプラスチックあるいは金属を用いる。
【実施例2】
【0021】
図2は、ケーブル外被3の内層として防護壁50を設けたドロップケーブルの―例である。防護壁50は、光ファイバケーブル心線1の側面に配置されており、実施例1と同様にケーブル外被3上から産卵管に刺されても産卵管が光ファイバケーブル心線1まで届かない配置となっている。
本例では、テンションメンバ2を防護壁50とは別異に設けてある。他の点は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0022】
図3は、ケーブル外被3の内層として防護壁を設けたドロップケーブルの―例である。防護壁50は光ファイバケーブル心線1の全周を覆う形状で配置されており、ケーブル外被3上から産卵管に刺されても産卵管が心線まで届かない配置となっている。他の点は実施例2と同様である。
【実施例4】
【0023】
図4は、ケーブル外被3の外層として防護壁50を設けたドロップケーブルの―例である。防護壁50は、ケーブル外被3に接着されており、専用工具等を用いずに分離できる接着力としている。本例においてもケーブル外被上から産卵管に刺されても産卵管が心線まで届かない配置となっている。
【実施例5】
【0024】
図5は、ケーブル外被外層に防護壁を設けたドロップケーブルの―例である。防護壁は、ケーブル外被に―部覆われており、接着はされていない。また、防護壁を覆っている部分のケーブル外被をめくることにより、防護壁を取り外すことが可能である。ケーブル外被上から産卵管に刺されても産卵管が心線まで届かない配置となっている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1に係り、防護壁内装(テンションメンバ兼用)型テープドロップケーブルの構造例を示す斜視断面図である。
【図2】実施例2に係り、防護壁内装型テープドロップケーブルの構造例を示す斜視断面図である。
【図3】実施例3に係り、防護壁内装 (ファイバ梱包)型テープドロップケーブルの構造例を示す斜視断面図である。
【図4】実施例4に係り、防護壁外装 (接着)型テープドロップケーブルの構造例を示す斜視断面図である。
【図5】実施例5に係り、防護壁外装 (外被固定)型テープドロップケーブルの構造例を示す斜視断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 光ファイバケーブル心線
2テンションメンバ
3 ケーブル外被
4a,4b ノッチ
20 支持線
50 防護壁





【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバケーブル心線をケーブル外被で被覆してなるテープドロップケーブルにおいて、
該ケーブル外被の内部に防護壁を設けたことを特徴とするテープドロップケーブル。
【請求項2】
光ファイバケーブル心線をケーブル外被で被覆してなるテープドロップケーブルにおいて、
該ケーブル外被の外層に固体状の防護壁を貼り付けた形状をなすことを特徴とするテープドロップケーブル。
【請求項3】
前記防護壁は、プラスチック又は金属からなることを特徴とする請求項1又は2記載のテープドロップケーブル。
【請求項4】
前記防護壁はモース硬度「3」以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のテープドロップケーブル。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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