説明

テーププリンタ及びテープカセット

テーププリンタで使用するための、受像層と、裏当て層と、ライナ層と、を含む複合テープサプライ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテーププリンタ、複合テープサプライ及び、複合テープ上に印刷してラベルを形成する方法に関し、詳しくは、ラベルの全長に画像を印刷するようにして、背景画像のような画像を印刷するためのテーププリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
背景画像を印刷できるプリンタには感熱式プリンタが含まれ、例えば、EP1638780号には、テープをプリントヘッドに一回パスさせて感熱転写によりテープ上にマルチカラー画像を創り出すことで高品位のカラー画像を得るラベル印刷法が記載される。
【0003】
単一のブロックカラーのようなカラー背景を印刷する場合は、プリントヘッド幅の方がテープ幅よりも広いのでラベル全幅に対して背景を印刷できるが、プリントヘッドとカッターとの位置的関係から、一回のパスでラベル全長に印刷することは現在不可能である。図1(a)には、印刷中におけるプリントヘッド60、プラテン80、カッター20、受像テープ44の相対位置関係が示され、図1(b)には、印刷の種々のステージでの受像テープ44の位置が示される。図1(a)及び図1(b)に示すように、プリントライン90はカットライン100から距離xの位置にあるため、第1のラベルをテープから切り離すと、テープ端部と印刷位置との間には距離x分が残される。従って、ラベルには長さxのブランク前縁部付きで印刷されることになる。こうして印刷したラベルを図2に示す。
【0004】
ラベルの外観を対称的にするためにブランク前縁部と同じ長さのブランク後縁部を追加印刷することがあるが、通常、特にラベルに背景を印刷する場合はそれらブランク部分が目立ってしまうので望ましくない。
本件発明者らは、テープを逆行させられるようにすれば、テープ端部をプリントラインに接近させてブランク前縁部を短縮させ得ることも確認したが、そのためには、プラテンがテープを進行させ得るよう、テープの一部分をプリントラインよりも下流側に位置付けてプラテンとテープとが十分に接触する状態に維持しなければならない。プリントラインよりも下流側のテープが十分に長くない場合はプラテンよりも上流側に配置したローラーを使用してテープを駆動する必要がある。
【0005】
そうしたローラーはプリンタサイズを大型化し、駆動機構を複雑化する。プリントヘッドよりも上流側に配置した駆動ローラーは印刷ステーションを見にくくし、プリントヘッドとプラテンとの間へのテープ進入を妨害する恐れがある。
プリントヘッドの上流側のローラーを使用してテープをプリントヘッドとプラテンとの間に送給する場合は、送給に要する力によってテープが変形する恐れもある。そうした力によってテープがカールすると、プリントヘッドとプラテンとの間へのテープの正確な進入時点が不明となり、印刷スタート位置が不明となる。
【0006】
ローラーを使用してテープをプラテンとプリントヘッドとの間に送る場合、細いテープではテープをプリントヘッドの下方に正確に整合させにくいという別の問題もあり、この場合はテープ上の印刷画像位置の位置ずれの原因となる。
駆動ローラーをプリントヘッドよりも下流側に配置したインクジェットプリンタのようなプリンタでも同様の問題がある。プリントヘッドよりも下流側の駆動ローラー間にテープを送給するとテープは変形し、整合しなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP1638780号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
テーププリンタ、複合テープサプライ及び、複合テープ上に印刷してラベルを形成する方法に関し、詳しくは、ラベルの全長に画像を印刷するようにして、背景画像のような画像を印刷するためのテーププリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1様相によれば、テーププリンタ用の、受像層と、裏当て層と、ライナ層と、を含む複合テープサプライが提供される。裏当て層には受像層を被着させ得、ライナ層には裏当て層を被着させ得、ライナ層を裏当て層から除去して受像層と裏当て層とを含むラベルを提供させ得る。裏当て層を除去すると受像層を被貼り付け表面に貼り付けることが出来る。
【0010】
本発明の第2様相によれば、テーププリンタ用のカセットであって、受像層と、ライナ層と、を有する複合テープのサプライと、この複合テープのサプライを供給するためのサプライスプールと、ライナ層を受けるためのテークアップスプールと、を格納するカセットが提供される。
【0011】
本発明の第3様相によれば、テーププリンタであって、受像テープを収納するカセットを受けるためのカセット受け部分と、テープ上に画像を印刷するためのプリントヘッドと、テークアップスプールをカセット内で支持する第1支持体と、テープをプリントヘッドをパスさせて第1方向及び第2方向に駆動する駆動手段と、テープをプリントヘッドに関して位置決めするように駆動手段を制御するための制御手段と、を含むテーププリンタが提供される。
【0012】
本発明の第4様相によれば、複合テープサプライ上への印刷方法であって、複合テープサプライの受像層上に画像を印刷すること、複合テープサプライのライナ層から受像層を分離すること、印刷した受像層を切断してラベルを形成し且つテーププリンタのハウジング内にライナ層を維持すること、を含む印刷方法が提供される。
【0013】
本発明の第5様相によれば、受像テープ上に画像を印刷するための方法であって、受像テープの端部が印刷位置よりも所定距離上流側になるようにテープを第1方向に進行させること、受像テープに被着したライナを進行させる手段を使用してテープを第2方向に進行させつつ、テープ上に印刷を実施すること、カット位置で受像テープをカットしてラベルを形成すること、を含む方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
テーププリンタ、複合テープサプライ及び、複合テープ上に印刷してラベルを形成する方法に関し、詳しくは、ラベルの全長に画像を印刷するようにして、背景画像のような画像を印刷するためのテーププリンタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1(a)は、従来装置での印刷中におけるプリントヘッド、カッター、受像テープ、の相対位置関係の略図であり、図1(b)は、従来装置での印刷の各ステージにおける受像テープの略図である。
【図2】図2は、従来装置における、ブランク前縁部付きのラベル製造例を表す略図である。
【図3】図3は、本発明の1実施例に従うテーププリンタの概略図である。
【図4】図4は、本発明を具体化したテーププリンタ用の制御回路の概略図である。
【図5】図5は、本発明の1実施例のテーププリンタの概略断面図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施例の複合テープの概略断面図である。
【図7】図7は、本発明の更に他の実施例のテーププリンタの概略断面図である。
【図8】図8は、本発明の他の実施例におけるテーププリンタの概略断面図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施例における種々の印刷ステージでの受像テープの略図である。
【図10】図10は、本発明の他の実施例における種々の印刷ステージでの受像テープの略図である。
【図11】図11は、本発明のカセットの断面図である。
【図12】図12は、本発明の他の実施例に従うテーププリンタの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び図2には本明細書の前段で説明した従来装置が示される。
図3には、本発明の実施例に従うテーププリンタ28の概略ダイヤグラム図が示される。テーププリンタには、キーボード30と、カセット受けベイ32とを含んでいる。キーボードは、ラベルとして印刷するデータ入力用の数字キー、文字キー、機能キーのような複数のデータ入力キー34と、入力データを編集するための機能キーとを有し、ラベルを印刷したい時に操作する印刷キー36をも有し、更には、テーププリンタのオンとオフを切り換えるためのオンオフキー38も設けられる。
【0017】
テーププリンタは、入力されるデータを表示する液晶ディスプレイ(LCD)10を有し、このディスプレイによってユーザーは印刷するラベルの全体又は部分を見ることが出来るので印刷前のラベル編集が容易化される。更に、ディスプレイはディスプレイドライバ(図示せず)により駆動される。
図4にはテーププリンタ28用の基本制御回路が示され、読出し専用メモリ(ROM)202と、マイクロプロセッサ201と、RAM204によってダイヤグラム表示したランダムアクセスメモリ容量とを有するマイクロプロセッサチップ200を有している。マイクロプロセッサチップ200は、データ入力デバイスから入力されるラベルデータを受けるようにキーボード30の如きに接続される。マイクロプロセッサチップ200はディスプレイ10を駆動するデータをディスプレイドライバチップ209を介して出力し、被印刷ラベル(又はその一部)及び又はメッセージをユーザーに表示する。ディスプレイドライバはマイクロプロセッサチップの一部を形成する場合もある。また、マイクロプロセッサチップ200は、ラベルデータを受像テープ上に印刷してラベルを形成するようにプリントヘッド60を駆動させるデータをも出力し、プラテンを駆動させるようにモーター207をも制御し、更には、長い受像テープを切断するようにカット機構58をも制御する。テープの駆動方法は今後詳しく説明する。
【0018】
図5を参照するに、カセット50を内部に配置した、本発明の実施例に従うテーププリンタ28の平面図が示され、カセットが、サプライスプール88上に設けた受像テープ、即ち感熱材ライナテープ40(以下に説明する)のサプライを収納している。カセットはライナテークアップスプール89とスピンドル87とをも収納し、カセットベイ32内に位置付けられる。カセットベイ32は、印刷ゾーン51を画定するように協動する、少なくとも1つの熱転写式のプリントヘッド60とプラテン80とをも収受する。その他の印刷用構成は以下に詳しく説明する。プリントヘッド60は、印刷に際してプラテン80と接触状態に持ち来され、カセット50の取り外し及び交換ができるようにプラテン80から離れるように、ピボット点54を中心としてピボット廻動自在である。
プラテンはその運転位置において回転し、ライナテープ40をプリントヘッド60を通過して駆動させる。
【0019】
図6を参照するに、本発明の1実施例に従うライナテープ40が概略ダイヤグラム表示され、ライナテープが、画像を印刷する受像層162と、裏当て層164を被着させる接着層168と、裏当て層をライナ層166に被着される接着層169と、を含んでいる。本発明の1実施例によれば、ライナ層166を形成する材料はポリエチレン又はポリエステルであり、他の実施例では紙製であり得るが、これらの例に限定されるものではない。
【0020】
本発明の好ましい実施例では裏当て層164は紙であり、ライナ層166はポリエチレンである。ライナ層を受像層162の反対側に設けたことで、ライナ層166は、ライナテープ40をサプライスプールに巻き付けた状態ではライナテープ40の内層となる。従って、サプライスプール上におけるライナテープではライナ層の半径の方が受像層の半径よりも若干短くなるので、ライナ層を可撓性のポリエチレンのような材料で形成した方が、サプライスプールに巻き付けたときのテープ各層からのライナ層の分離を回避する上で有利である。
本発明の好ましい実施例では、受像層は感熱性受像層である。
【0021】
釈放性の裏当て層は、ライナテープ40をカットして形成してテーププリンタから排出するラベルの接着層168をカバーするために設けられる。ユーザーはラベルから裏当て層164を剥がしてラベルをラベル貼り付け表面に貼り付けることができる。
本発明の1実施例では、釈放性の裏当て層164の、接着層169と接触する下方面の釈放性は接着層168と接触する上方面のそれよりも小さい。これにより、ライナ層は、裏当て層を受像層から剥がすよりも容易に裏当て層から引き剥がせる。これは、裏当て層164の上方面と下方面とに異なるコーティングを施すことにより実現し得る。
【0022】
裏当て層の上方面及び下方面における代表的な釈放値を表1に示す。表1では、紙製の裏当て層の釈放試験値が63gsmと示される。紙は厚さが60μmであり、2つの側面を釈放値の異なるシリコーンでコーティングしたものである。試験結果は2つのタイプの接着材に関するものであり、試験は幅25mmのテープを180°の角度で引き剥がして行った。
【0023】
【表1】

【0024】
本発明の他の実施例ではテープは受像層162と、接着層168と、ライナ層166とのみを含む。受像層とライナ層とを分離したときに受像層側に接着材が残るようにすると、テーププリンタから排出されるラベルはライナ層を持たないものとなる。しかしながら、仮に、受像層とライナ層とを分離したときにライナ側に接着材が残るようにすると、テーププリンタから排出されるラベルは非接着性のものとなる。
本発明の更に他の実施例では、受像層は熱転写性テープである。本実施例は図7を参照して以下に詳しく説明する。
【0025】
本発明の更に別の実施例では、受像層は釈放性の裏当て層164上に配置したダイカットラベルを含み得る。本実施例では、接着層168はダイカットラベルとシートとの間部分にのみ設けられる。ダイカットラベルはサイズの異なるものを入手可能である。そうした異なるラベルサイズは、例えば、アドレスラベルやCDラベルのような異なる用途に適したものであり得る。
【0026】
作動に際し、プラテン80をDCモーター(図4参照)によって回転させ、印刷中に感熱材料ライナテープ40を駆動してテーププリンタ28の印刷ゾーン51に通す。このようにしてテープ上に画像を印刷し、印刷ゾーン51から送り出す。本発明の他の実施例ではモーターはステップモーターであり得る。
【0027】
本発明の1実施例ではライナ層166が、テーププリンタを通して受像層を移行させるべく駆動される。本発明の好ましい1実施例では、ライナ層が、受像層がテーププリンタを出る以前に受像層162から分離され、次いでカットされてラベルを形成する。受像層から分離されたライナ層は、受像層がプリントヘッドよりも上流側になるようにテープを逆行させた場合に、受像層をプリントヘッドを超えて移行させるためのライナテープの一部がプリントヘッドよりも下流側に残るよう、テーププリンタ内に保存される。
【0028】
テープはプラテン又はテークアップスプールが回転することにより順方向に駆動される。テープを順行させるときはテークアップスプールを駆動してライナをテークアップスプール上に巻き付ける必要がある。テークアップスプールはプラテンとは別個に駆動され得、又はモーター駆動され得るプラテンの回転下に駆動され得る。本発明の1実施例ではサプライスプールはテープの張力を防止するためにも順方向に回転される。
【0029】
テープは、プラテンを逆転させることで逆行され得る。本発明の1実施例ではサプライスプールは逆転駆動されてテープを巻き戻す。本発明の1実施例ではサプライスプールはテープをサプライスプールとプリントヘッドとの間の距離と比較して大量に、例えば2cm巻き戻す場合にのみ、逆方向に駆動される。
【0030】
好ましい実施例ではプラテンは逆及び順の送り中操作に駆動される。
本発明の他の実施例では、ニードルローラーアセンブリを使用してテープを順及び逆の各方向に駆動する。本実施例ではプラテンを駆動する必要はない。ニードルローラーアセンブリはカセットの外側に設け得る。
【0031】
本発明の1実施例によれば、ライナテープを印刷ゾーンに通した後、ライナ層をカセット内のライナテークアップスプール89上に引き戻す。ライナ層はスピンドル87を超えて引張され、図5に示すように、印刷ゾーンのテープ通過方向に対して90°以上の角度を成す方向に送られる。90°は角度例であり、本発明の他の実施例では、ライナテープの方向変化量が、テープの残余部分からの裏当て層164を分離させるに十分である条件下において90°以上であり得る。テープの各層の剛性により、裏当て層164がライナ層166から分離し、受像層と裏当て層とがカッター20に向けて進行し、出口280を経てテーププリンタを出る。従って、ライナテープ40は、カット位置を通過すると受像層162と、接着層168を被着した裏当て層164とを含むのみとなる。
【0032】
本発明の他の実施例では、スピンドル87を、ライナ層の幅を横断して伸延する糸、ブレード状突起、又は、ライナ層の対向する各縁部位置に対向状態に配置した2つの小ピンで代替させ得る。
本発明の他の実施例では、テープの残余部分がライナ層から持ち上げられるようにしてブレード又は糸のような部材と接触させつつテープを送ることで、残余のテープ部分からライナ層を分離させ得る。本実施例では、テープの残余部分からライナ層を分離させるためにライナ層を方向変化させる必要はない。残余のテープ部分から分離させたライナ層をテークアップスプール方向に案内させ得る。
【0033】
本発明の他の実施例では、ライナ層を残余のテープ部分から分離させる前にテープをカットできる。本実施例では、カッター20が、受像層と裏当て層とを貫くがライナ層は貫かないで伸延する部分カット又はタブカットを形成する。
画像は、ライナテープ40の移動方向に相互に隣り合う各カラムにおけるカラムベースでライナテープ40にプリントヘッド60により印刷する。各色素が各カラムにおいて選択的に活性化されて斯界に周知の様式で画像を構成する。DCモーターが、モーターの回転速度を監視するシャフトエンコーダーを備える。モーターの回転速度は、ピクセルデータのカラムをプリントヘッド60に印刷させるためにマイクロプロセッサチップ200(図4)が出す各データストロボ信号により制御される。シャフトエンコーダーはプラテン又は、その回転がテープの位置と関連する任意のその他構成部品に位置付け得る。
【0034】
他の実施例では、テープ上のマークを検出する検出器を使用してテープ位置を検出し得る。そうしたマークはライナ層上に設け得る。
テーププリンタは、そのカット位置53に、ブレード、即ちカッター20を担持したカット機構58を含む。カッター20はライナテープ40をカットし、次いでカセット50内に位置付けた長孔55に入る。あるいはカット機構を、テーププリンタの壁に設けた長孔の上方に配置し得る。
【0035】
その他のテーププリンタ実施例も意図されるものとする。例えば、本発明のテーププリンタはスタンドアロン型プリンタではなくPCプリンタであり得る。PCプリンタの場合、データはPC側で入力及び表示するのでキーボードやディスプレイ手段は必須ではない。PCはプリンタ用の入力デバイスとして作用する。あるいはその他の装置を使用して印刷用のデータをプリンタに入力できる。例えば、本発明の或る実施例ではデジタルカメラを使用してテーププリンタに印刷用データを入力し得る。あるいはスマートカード、チップカード、メモリーカードその他を使用して画像を入力できる。
【0036】
本発明を具体化するテーププリンタはインクリボンを使用する熱転写方式での印刷を行うようにも構成させ得る。図7には熱転写印刷用に構成したテーププリンタにおけるカセット受けベイ32を図7に略示する。本実施例では、インクリボンカセット24を受像テープ用のカセット50と共に組み込み、インクリボン45が受像テープと共に印刷ゾーンを通過する。本発明のこの実施例では、受像層162がインク受け用の熱転写層となる。
【0037】
ある変形構成において、インクリボンは受像テープと同じカセット内に含まれる。図11にはライナテープとインクリボンとを共に含んだカセット203がダイヤグラム表示される。インクリボン45はインクリボンサプライスプール201及びインクリボンテークアップスプール202上に設けられる。カセット203は、サプライスプール88’及びライナ層テークアップスプール89’上に設けたライナテープ40をも含んでいる。
【0038】
本発明はここに挙げたテープ材料例に対して限定されるものではない。本発明の各実施例を、インクリボンからインクを移行させて印刷し得る2つあるいはそれ以上の色又は材料を選択できる、フルカラー感熱材、感熱材と共に使用できる。
本発明は熱転写印刷技法に限定されるものではない。
本発明の各実施例を、インクジェット印刷法、レーザー印刷法、あるいはその他の、受像層上に画像形成する技法を使用可能である。本発明の1実施例ではプリントヘッドをインクジェットラインプリントヘッドとし得、このプリントヘッドが、印刷方向と直交する方向に移行動作することなくテープ全幅に印刷を行う。図12にはインクジェットプリンタ例を示す。インクジェットラインプリントヘッド204を、ニードルローラーアセンブリ206間に配置する。ニードルローラーアセンブリが、プリントヘッドの下方でライナテープ40を印刷方向Aに移行させる。ライナテープはサプライスプール88”上に供給される。ライナ層テークアップスプール89”が、受像層162と、もしあれば裏当て層とがテーププリンタを出る以前にライナ層166を巻き取る。
【0039】
本発明の好ましい実施例では、材料の特性に関する情報がテーププリンタに自動的に提供される又は、テーププリンタが自動的に検出するように構成される。言い換えると、フルカラー材、熱転写性材料、単色の感熱材、又は2色以上のカラーオプションを提供するカラー感熱材、及びそれらカラーオプションの種類、といった材料特性に関する情報がテーププリンタによって自動的に提供される又は検出されるように構成される。そうした情報は多数の異なる方法で提供され得、例えば、テープサプライ及び又はカセットが、必要な情報を提供する要素を有し得る。本発明の他の実施例では、ユーザーがそうした情報をキーボードから設定できる。つまり、ユーザーはテープ材料のタイプのような情報をテーププリンタに与え、テーププリンタがこの情報に基づいて制御されるようにできる。
【0040】
図8を参照するに、本発明の別の実施例に従うテーププリンタ28’及びカセット50’が示され、本実施例ではカセット50’が、カセットの開口付近に位置決めされ、ライナテープ40と接触するローラー91を含んでいる。テーププリンタ28’のプリントヘッド60は、ローラー91とプリントヘッドとが相互に印刷ゾーン51’を形成するように構成される。
カセット内にローラーを配置したことにより、テーププリンタのカセット受け用ベイ内のプラテンが不要化される。これにより、テーププリンタ内へのカセット装填がずっと容易になる。カセット50’はテーププリンタ内に側方から、又は上方から装填できる。
【0041】
図9を参照するに、本発明の1実施例に従う、印刷の種々のステップにおけるライナテープ40の相当する各位置と、テーププリンタ28のプリントヘッド60、プラテン80、カッター20と、の相対位置関係が示される。プリントライン90は、印刷実施位置を示し、カットライン100が完全カット実施位置を示す。
ステップ(S1):カットライン100位置でカッター20による完全カットを実施して、残余のライナテープ40のサプライから第1のラベルを切り離す。図示するように、完全カットは最終印刷ラインよりも若干距離下流側の位置で行う。最終印刷ライン位置で正確にカットするのは難しいが、最終印刷ラインよりも若干距離下流側の位置で行うことでラベル上の画像がラベルの後端縁まで延在することが保証されるのである。
【0042】
ステップ(S2):ライナテープ40のサプライを所定の小距離において進行させ、次の完全カットを行う。これにより、先行するラベルからの残りの印刷画像が除去されることが保証される。カットするテープ部分は少量なので、テーププリンタ28のテープ出口280にまでは届かず、むしろ、切り離されたテープ部分はカット位置の下方に位置付けたごみ箱(図示せず)内に落下する。
ステップ(S3):ライナテープを逆行させ、カットした受像層162の前縁部をプリントライン90よりも上流側に位置付ける。
【0043】
ステップ(S4):ライナ層166を順行させてテープをプリントライン方向に送る。テープは、プラテン80又はライナテークアップスプール154の何れかを駆動して送られる。受像層162の前縁部がプリントライン90に達したら印刷を開始する。本発明の他の実施例では受像層がプリントラインに達する少し前に開始して画像がテープの縁部位置に印刷されることを保証する。
ステップ(S5):印刷完了後、少なくとも最終印刷ラインよりも下流側にカットライン100が来るようにテープを進行させる。次いで完全カットを実施してテープのサプライ159からラベルを分離させる。
【0044】
本発明の前記実施例では、受像テープがプリントヘッドよりも上流側にある場合にテープを駆動するための別の手段を要することなく、ブランク前縁部又はブランク後縁部の無いラベルを製造できる。
本発明の他の実施例では、カッター20を、受像層のみを貫いてカットするタブカットをステップ(S2)で行うように構成し得る。スピンドル87を超えてライナを引くとライナ層166と接着層169とが受像層162、接着層168、裏当て層164、から分離する。テープの、2カ所のタブカット間の部分は、例えば、印刷した2つのラベル全体同士間の移行ゾーンとして使用され得る。ステップ(S2)で完全カットではなくタブカットを行うことで、テープの廃棄部分がラベルと共に排出される。ラベルは廃棄部分が裏当て層上に残っている間に裏当て層から剥がすことができる。
【0045】
本発明の他の実施例では、完全カットとタブカットとを2つの別のブレードを使用して行い得、タブカット用のブレードが、完全カット用のブレードよりも上流側に位置付けられる。本実施例によれば、ステップ(S1)で完全カットとタブカットとを同時に行い得るので、ステップ(S2)でテープを進行させる必要がない。
本発明の更に他の実施例では、背景を印刷しないラベルを印刷し得る。本実施例によれば、引き続く2つのラベル間のテープ部分をカットして除去する2カ所でのカットを実行する必要がない。本実施例は図10に関連して説明される。
【0046】
ステップ(S11):カットライン100位置でカッター20により完全カットを実施して残余のライナテープ40のサプライから第1のラベルを切り離す。完全カットは最終印刷ラインよりも上流側の距離Aの位置で行う。距離Aはゼロから始まる任意数値であり得る。
ステップ(S12):カットした受像ライナテープの前縁部がプリントライン90よりも上流側になるようにテープを逆行させる。
ステップ(S13):テープをプリントライン方向に進行させる。テープは、プラテン又はライナテークアップスプール、又はその両方を駆動して進行させる。受像層162の前縁部がプリントライン90に達したら必要であれば印刷を開始し得る。プリンタは、前記前縁部がプリントラインよりも下流側の距離Bの位置に来たときに印刷を開始する。距離Bはゼロから始まる任意数値であり得る。
ステップ(S14):印刷完了後、テープを進行させ、最終プリントラインよりも上流側の距離A’の位置で完全カットを行ってラベルを切り離す。距離A’はゼロから始まる任意数値であり得る。
【0047】
本発明の前記実施例によれば、受像テープがプリントヘッドよりも上流側にあるときにテープを駆動するための別の手段を要することなく、ゼロから始まる前縁部又は後縁部を有するラベルを形成可能である。
他の実施例では、ステップ(S12)で、制御装置が印刷用の開始位置と算出した位置までテープを逆行させる。
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0048】
10 液晶ディスプレイ
28 テーププリンタ
30 キーボード
32 カセット受けベイ
34 データ入力キー
36 印刷キー
38 オンオフキー
40 感熱材ライナテープ
50 カセット
51 印刷ゾーン
58 カット機構
60 プリントヘッド
80 プラテン
87 スピンドル
89 ライナテークアップスプール
162 受像層
164 裏当て層
166 ライナ層
168、169 接着層
200 マイクロプロセッサチップ
201 マイクロプロセッサ
202 読出し専用メモリ(ROM)
204 RAM
207 モーター
280 出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーププリンタで使用するための複合テープのサプライであって、
受像層と、
裏当て層と、
ライナ層と、
を含む複合テープのサプライ。
【請求項2】
受像層と裏当て層との間に接着層を更に含む請求項1の複合テープのサプライ。
【請求項3】
裏当て層とライナ層との間に接着層を更に含む請求項1又は2の複合テープのサプライ。
【請求項4】
受像層が感熱性の受像媒体である請求項1の複合テープのサプライ。
【請求項5】
受像層が、裏当て層上に設けた一連の別個のラベルを含んでいる請求項1の複合テープのサプライ。
【請求項6】
テーププリンタで使用するカセットであって、
受像層とライナ層とを有する複合テープのサプライを格納する胴部と、
複合テープを供給するサプライスプールと、
ライナ層を受けるテークアップスプールと、
を含むカセット。
【請求項7】
印刷ゾーン位置で受像テープを支持するローラーを更に含む請求項6のカセット。
【請求項8】
ライナ層の通過方向を変化させる部材にして、該部材を覆って受像テープが送給される部材を更に含む請求項6又は7のカセット。
【請求項9】
胴部がインクリボンのサプライを格納する請求項6〜8の何れかのカセット。
【請求項10】
テーププリンタであって、
受像テープを収納するカセットを受けるカセット受け部分と、
受像テープ上に画像を印刷するプリントヘッドと、
カセット内でテークアップスプールを支持する第1支持体と、
受像テープを第1方向及び第2方向でプリントヘッドを通過させるべく駆動する駆動手段と、
受像テープをプリントヘッドに関して位置決めさせるべく駆動手段を制御する制御手段と、
を含むテーププリンタ。
【請求項11】
カセット内でサプライスプールを支持する第2支持体を更に含む請求項10のテーププリンタ。
【請求項12】
制御手段が、受像テープを第1方向に駆動するときは第1支持体を駆動して受像テープをプリントヘッドに関して位置決めし、受像テープを第2方向に駆動するときは第2支持体を駆動して受像テープをプリントヘッドに関して位置決めするべく駆動手段を制御するようになっている請求項10のテーププリンタ。
【請求項13】
印刷ゾーンを形成させるべくプリントヘッドに関して位置決めしたプラテンを更に含み、制御手段が、受像テープを第1方向に駆動するときは該プラテンを第1方向に回転させ、受像テープを第2方向に駆動するときは前記プラテンを第2方向に回転させるようになっている請求項10のテーププリンタ。
【請求項14】
制御手段が、ニードルアセンブリを駆動して受像テープを第1方向及び第2方向に駆動させるべく駆動手段を制御するようになっている請求項10のテーププリンタ。
【請求項15】
制御手段を、受像テープを第2方向に駆動するときは、受像テープの受像層をプリントヘッドよりも上流側に位置決めするように構成した請求項10のテーププリンタ。
【請求項16】
制御手段がプロセッサを含む請求項10のテーププリンタ。
【請求項17】
プリントヘッドが、カセット受け部分内に組み込んだカセット内のローラーと対応して印刷ゾーンを形成するように構成した請求項10のテーププリンタ。
【請求項18】
インク転写式プリンタである請求項10〜17の何れかのテーププリンタ。
【請求項19】
感熱式プリンタである請求項10〜17の何れかのテーププリンタ。
【請求項20】
インクジェット式プリンタである請求項10〜17の何れかのテーププリンタ。
【請求項21】
複合テープのサプライ上に印刷する方法であって、
複合テープのサプライの受像層上に印刷すること、
受像層を複合テープのサプライのライナ層から分離させること、
印刷した受像層をカットしてラベルを形成すること、
テーププリンタのハウジング内にライナ層を維持すること、
を含む方法。
【請求項22】
ライナ層をカットしない請求項21の方法。
【請求項23】
ライナ層を駆動して複合テープのサプライを移行させることを含む請求項21又は22の方法。
【請求項24】
ライナ層を駆動して受像層をプリントヘッドに関して位置決めすることを含む請求項21又は22の方法。
【請求項25】
ライナ層を受像層の送り方向とは異なる方向に送ることにより受像層をライナ層から分離することを含む請求項21の方法。
【請求項26】
ライナ層をテークアップスプール上でテーププリンタ内に維持することを含む請求項21の方法。
【請求項27】
受像テープを第1方向及び第2方向においてプリントヘッドを通過させるように駆動することを含み、
受像テープをプリントヘッドに関して位置決めさせるべく駆動手段を制御するための制御手段を含む請求項21の方法。
【請求項28】
受像テープ上に画像を印刷するための方法であって、
受像テープの端部が印刷位置よりも上流側の所定距離の位置になるように受像テープを第1方向に進行させること、
受像テープに被着したライナを進行させる手段により受像テープを第2方向に進行させつつ受像テープ上に印刷すること、
カット位置で受像テープをカットしてラベルを形成すること、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−544496(P2009−544496A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521376(P2009−521376)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【国際出願番号】PCT/IB2007/003019
【国際公開番号】WO2008/012688
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(505438937)
【Fターム(参考)】