テープ上に供給された、体液採取のためのランセット
【課題】単独で、あるいは得られた体液の検査と組み合わせて、組織を切開する新規な装置と技法を提供する。
【解決手段】多目的ランセット器具のランセット供給源28が、テープ22によって運ばれ、続いて屈曲部39を周ってテープ22が進行されることにより、保管位置から動作位置まで運ばれる。ランセット28は、長手方向の全長に沿った横断面図において非円形であり、動作位置において、ランセット28がテープ22から伸び、ランセット28の鋭利な先端31が、刺入組織に使用できる。搬送テープ22は、切開開口部を有するハウジング内で、リールツーリールの構造に配置される。ランセット28は、テープ22と統合可能であり、テープ22をテープ22の経路に沿って動かすか、またはテープ22の専用のサービスループを移動することにより、ランセット28が切開開口部から動かされる。
【解決手段】多目的ランセット器具のランセット供給源28が、テープ22によって運ばれ、続いて屈曲部39を周ってテープ22が進行されることにより、保管位置から動作位置まで運ばれる。ランセット28は、長手方向の全長に沿った横断面図において非円形であり、動作位置において、ランセット28がテープ22から伸び、ランセット28の鋭利な先端31が、刺入組織に使用できる。搬送テープ22は、切開開口部を有するハウジング内で、リールツーリールの構造に配置される。ランセット28は、テープ22と統合可能であり、テープ22をテープ22の経路に沿って動かすか、またはテープ22の専用のサービスループを移動することにより、ランセット28が切開開口部から動かされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して体液採取に関し、より詳細には、テープによって運ばれる滅菌ランセットを供給する体液採取用具に関する。
【背景技術】
【0002】
体液の収集と検査は、さまざま用途に役立ち、医学的診断や治療ならびにその他の多種多様な用途でますます重要性が高まってきている。医療分野では、専門外の当事者が検査施設以外の場所で、迅速かつ再生可能な方法で日常的に検査を行い、即時に検査結果が判定されてその検査結果情報が読み取れることが望まれている。検査は、血液および/または間質液など、各種体液について実施されている。このような体液については、体液そのものまたは体液に含有されている検体の各種特性を検査することで、病状の特定、治療反応の判定、治療の進展状況の評価が可能となる。
【0003】
体液検査では、はじめに体液試料を取得する。体液試料を収集する1つの方法では、静脈または動脈に中空針あるいはシリンジを挿入して、血液試料を抜き取る。ただし、このような血液を直接血管から採取する方法は、痛み、感染、血腫およびその他の出血性の合併症状など、いくつかの制約条件を伴う可能性がある。さらに、血液を直接血管から採取する方法は、日常的に繰り返して実施する事例には適せず、非常に困難であり、患者自身が行うことは勧められない。
【0004】
血液試料やその他の体液試料を収集するための共通の技法として、皮膚に切開部を形成して、表皮まで体液を浮き出させる方法がある。この技法によると、針、メス、またはその他の切開用具などのランセットを用いて、表皮に切開部を形成する。次に、得られた血液試料または間質液試料を、細い管またはその他の容器内に収集するか、またはテストストリップに直接接触させるか、あるいは他の方法で分析を行う。ランセットは、鋭利であることが必要不可欠であるため、切開用具は、通常、怪我や汚染を回避するために、使用していないときにはランセットを保護するように構造化されている。
【0005】
しかし、既存の多くのランセットは、一般に、1つのランセットだけ保持するように設計されており、切開後には、次に切開を行う前に、ランセットを手作業で交換しなくてはならない。特に、個人が一日に数回試料を取得する必要がある場合など、個別のランセット供給源を搬送したり、各切開ごとに個別の用具を使用する際には、これらの用具では非効率的であり、不便でもある。内蔵型多目的切開用具であれば、使用済みのランセットを手作業で交換するという問題を回避できるが、小型で専門家以外の当事者が簡単に使用でき、しかも製造費用が安価であるようなランセットを安全かつ高い信頼性の下に取り扱える多目的切開用具を開発せねばならないという課題が残されている。したがって、当技術分野には、このような課題の一部またはすべてに適合する多目的切開用具に関するニーズが存在している。本発明に示す1つの形態は、このニーズに対応し、専門家以外の当事者が簡単にしかも安全に使用でき、製造費用効率のよい多目的切開用具を提供する。本発明に関する他の形態は、当技術分野における別の応用技術を提供している。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、単独で、あるいは得られた体液の検査と組み合わせて、組織を切開する新規な装置と技法を提供する。明細書で述べる本発明の実際の内容は、付記された特許請求の範囲を参照して判断されるが、本明細書に開示されている実施例の特長を示す本発明の特定の態様について、以下に簡単に説明する。
【0007】
1つの態様によれば、本発明は、テープ上に装備した新規なランセット供給源を提供する。
【0008】
もう1つの態様によれば、本発明は、体液試料を取得するための新規な装置および技法を提供する。
【0009】
さらにもう1つの態様によれば、テープ上にランセットを供給する新規な方法と、組織を切開する新規な方法が開示されている。
【0010】
これらの態様とその他の態様について、以下に論じる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】リール対リール式のランセット供給源の斜視図である。
【図2】図1のランセットを用いた多目的切開用具の斜視図である。
【図3】もう1つの実施例による、多目的切開用具の断面図である。
【図4】図3の多目的切開用具の側面図である。
【図5】もう1つの実施例による、多目的切開用具の断面図である。
【図6】もう1つの実施例による、統合テストストリップ付きのテープの組み立て図である。
【図7】図6の統合テストストリップ付きのテープを採用した、多目的切開用具の断面図である。
【図8】さらにもう1つの実施例による、ランセットを装備したテープの斜視図である。
【図9】図8のテープを採用した多目的切開用具の断面図である。
【図10】カバーを取り外した、図1のランセット供給源の斜視図である。
【図11】もう1つの実施例による、統合テストストリップ付きテープの組み立て図である。
【図12】図11のテープの一断面の頂面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特性は、特に、特許請求の範囲に指摘されているが、発明そのものおよび製造ならびに使用の方法については、以下の説明を、説明の一部を構成する添付図面と関連付けて参照することによって、好適に理解される。
【0013】
本発明の原理を理解しやすくするために、次に図面に示されている実施例を参照するが、これらの実施例の説明には、特定の言語を使用する。しかしながら、このことにより、本発明の対象範囲を制限することは意図していないことを理解すべきである。図示されている用具に対する改造や変更、そして本仕様書に図示されているような本発明の原則のさらなる用途は、本発明に関係する当業者が通常予期できるように、当然予期される。
【0014】
1つの形態では、本発明は、体液を採取するための小型のランセット供給源を提供する。ランセットは、非円形の断面をもち、屈曲部を中心としてテープを送ることによって、ランセットを保管位置から作動位置へ順次移動させることができるように、搬送テープ上に配置されている。作動位置では、ランセットがテープから伸びており、組織の切開にこれらの鋭利な先端を利用できるいっぽうで、保管位置では、コンパクトに保管できるように、ランセットは、一般に、搬送テープと整合させてある。搬送テープは、切開開口部(lancing opening)を形成しているハウジングに内蔵されており、切開工程では、作動位置にあるランセットの鋭利な先端がすばやく送られ、切開開口部を通過して引き戻されるため、隣接組織を貫通し、体液試料を入手できる。切開工程後には、テープの送りによって、使用済みのランセットが保管位置に戻され、次のランセットが作動位置に配置されて、後続の切開に備える。
【0015】
以下に詳しく述べるように、ランセットを送ってから引き戻すことにより切開動作を生じさせるのに、さまざまな機構を採用できる。たとえば、特定の実施例では、ランセットをテープと一体化し、テープを急激に動作させることによって、ランセットに切開動作を生じさせている。1つ形態では、テープ全体をそのテープの経路沿いに移動させるいっぽうで、もう1つの形態では、切開動作時に、テープのサービスループだけを作動させる。他の実施例では、ランセットをテープと一体化しない場合、独立したアクチュエーターを用いて、ランセットを連動させ、切開動作時に、隣接したテープの動作とは無関係に該ランセットを移動させることができる。
【0016】
次に、図1に戻ると、ランセットがテープと一体化している1つの実施例による、ランセット供給源が描かれている。用具20は、搬送テープ22と、テープ22の全長に沿って順次配置されている複数のランセット28とを具備している。ランセット28はそれぞれ、近位部(proximal portion)30と、遠位部(distal portion)29と、遠位部29の遠位端にある鋭利な先端部31とを具備している。テープ22は全長にわたり、供給源区画(supply section)34と、その後ろの作動区画(activating section)32と、その後ろの保管区画(storage section)36を具備している。供給区画34は、供給リール24の周囲に巻き付けられており、保管区画36は、保管リール26の周囲に巻き付けられている。作動区画32では、テープ22が、ホイール38の周囲を通過して、テープ22の経路に屈曲部(bend)39を形成する。
【0017】
上記のように、この実施例では、ランセット28は、テープ32と一体化している。さらに詳細には、ランセット28の近位部30は、テープ22と一体化されているいっぽうで、遠位部29は、ランセットが作動位置にあるときには、テープ22から開放されて伸びる(以下に詳細に説明)。これは、テープの保管部を、エッチング、穿孔、またはその他の方法で除去して、テープ保管部の同じ部分からテープ22とランセット28とを形成し、ランセット28の輪郭(profile)を形成することによって達成可能である。図1の実施例では、次に、ランセットの近位端をクリンプして、ランセットの本体が、テープ32の隣接面23の平面に対し、通常はわずかにオフセットしてはいるが平行になるように配置する。他の実施例では、ランセットを同様に形成されるが、クリンプされないので、これらの実施例では、ランセットは、通常はテープ面32の平面に配置される。さらに他の実施例では、ランセット28を独立して形成し、次いで、クリップ、接着剤または溶接によりテープ22に接着するなどして、テープ22と一体化する。
【0018】
ランセット28とテープ22はともに薄く、十分に変形可能であるので、供給リール24から保管リール26までランセット28を搬送するテープ22のリールツーリール方式の搬送が可能である。ランセット28(およびテープ22)は、供給リール24への巻きつきがほどかれると、ほぼ直線状の方位(orientation)に戻れるように、十分な形状記憶能または弾力性を備えた材料で構成されている。したがって、ランセット22がテープ22の屈曲部39に隣接して配置されているときには、その鋭利な先端31がテープ22から離れ、切開に利用可能となる。このような配置を、作動位置と称し、図1に示されているように、ランセット28はその作動位置に配置される。それとは逆に、ランセット28aはテープ22に対応して、別の配置(orientation)にあり、ランセット28aのこの別の配置を、本明細書では保管位置(storage position)と称する。
【0019】
図2を参照すると、用具20が、切開開口部42を形成しているハウジング40内に内蔵されている。切開開口部42は、作動位置にあるランセット28の先端31を受け入れている。用具20は、供給リール24、保管リール26およびホイール38の回転軸24a、26aおよび38aのそれぞれが、略平行となるように構成されている。一組のノブ44と46が、ランセット28を送ったり作動させたりするために、供給リール24と保管リール26にそれぞれ操作可能なように連結されている。動作中、ノブ46は、体液で汚染されていない供給リール24から、作動位置までランセットを搬送するテープ22を送るのに使用される。先端31が切開開口部42の方向を向いた状態で、テープ22がノブ44を介して反転し、切開開口部42からランセット28を突出させる。使用後、テープ22は再度前に送られ、使用済みランセット28を保管リール26へ移動させる。
【0020】
切開開口部を通過する先端31の動作は、ランセットの長手方向の全長を形成している線におおよそ沿った、すばやい前後の動作であることが好ましい。このような動作を切開動作と称する。ノブ44と46はそれぞれ、テープ22をこの経路に沿って前後にすばやく動作させることによってこのすばやい切開動作を行なうために、クラッチと適切なスプリングの偏向機構(spring biasing)を内蔵するよう構成してもよい。テープの経路に沿ってテープ22を前後に動作させることによって、前後の切開動作を達成する別の方法として、用具20全体を、前後動作で平行移動するように、ハウジング40内に実装することができる。さらにもう1つの実施例では、切開工程中、テープ22の一部だけが動作する。テープ22の一部だけを相対的に動かして切開動作をする実施例が、図3に示されている。
【0021】
図3の多目的切開用具120は、図1の用具のテープ22およびランセット28と同じような方法で構造化された搬送テープ122と複数のランセット128とを具備している。テープ122も同様に、供給リール124と保管リール126の周囲に巻き付いており、切開開口部142のあるハウジング140内に実装されている。しかし、図1のテープ22とは異なり、テープ122の作動部が、テープ122の残りの部分から独立して移動可能なサービスループとして形成されている。
【0022】
より詳細には、テープ122の作動部は、一組のホイール112と114の周囲を通過し、該一組のホイールは、自由に回転可能であるが、長手方向の回転動作が連係ロッド(tie rod)110と連係する。図4を参照すると、リアホイール114の軸116がハウジング140の案内スロット(guiding slot)内で移動するように構成され、ランセット128が動作位置にあるときに(たとえば、図3のランセット128)、軸116は図3の左側に引っ張られ、スプリング119が圧縮される。この圧縮動作により用具が曲げられ、開放時には、スプリング119が軸116とホイール114および112を、図3の図面の右側に押し付ける。その結果、ランセット128の先端131が切開開口部142をすばやく通過する。スプリング119(または第2の反発スプリング)の反発(recoil)は、ランセット128をハウジング内部に引き戻し、次いでノブ146が回転して保管リール126にテープ122を送り、さらに、供給リール124から次のランセット128を作動位置に配置する。次にこのプロセスを、次回の切開を行えるように繰り返すことができる。
【0023】
サービスループの使用におけるさらなる態様が、図5に示されている用具220では利用されている。多目的切開用具220は、切開開口部242を形成しているハウジング240内に実装された供給リール224と保管リール226を具備している。レバー246が保管リール226に連結され、ホイール212に隣接した作動位置にランセット228を配置できるようテープ222を送るのに使用される。ホイール212の軸211は、ピボットアーム213の一端に実装されている。ピボットアーム213はピン208の周囲を旋回するように形成されており、一組のテープガイド210はピボットピン208に隣接するアーム213に実装されている。ピボットアーム213の他端は、図5に示されているように、ピストン230の垂直動作が、ピボットアーム213の旋回動作に移しかえられる(be translated)ように、ピストン230と圧縮スプリング219とのあいだの連結機構214に接続されている。ピボットアーム213と連結機構214とのあいだの接続は、アーム213がピン208を中心に旋回するときに、ピストン230の直線動作(linear motion)に対応してピボットアーム213が描く弧が収容(accommodate)できるピンインスロット(図示せず)または類似の配置としてもよい。
【0024】
用具220は、2ボタン動作用に構成されている。コッキングボタン(cocking button)238は、図5の図面で示されているように、ピストン230を下方向に移動させ、スプリング219を圧縮させるように作用する。圧縮は、ピストン230の凹所(recess)232が発射ピン(firing pin)234に到達するまで続けられ、この時点で、発射ピン(firing pin)234はピストン230方向へスプリング235によって偏向されるので、発射ピン234が凹所232に着座し、ピストン230を適所に保持する。この位置は、図5に示されている曲がった位置(cocked position)にピボットアーム213が配置されるのに関与する。切開の準備が整った時点で、発射ボタン(fire button)236を押し、発射ボタンのカム面(cam surface)が発射ピンの対応するカム面と連動し、凹所232からピン234を引っ込める。これにより、ピストン230が開放され、圧縮スプリング219の力が、図5の図面に示されているように上側にピストンを移動させる。さらにこの動作は、ピボットアーム213の連結機構214の末端を上昇させ、ピボットアーム213を旋回させるので、これによって開口部242を通過してランセット228が送られる。スプリングの開放により、アーム213は中間位置(intermediate position)に移動し、このときレバー246が作動されて、保管リール226方向に現在使用されているランセット228を送る。
【0025】
切開後には、体液が収集され、当技術分野で周知のように多種多様な特性や成分の分析を行うことができるということは理解されよう。たとえば、このような分析は、ヘマトクリット値、血糖値、凝固、鉛、鉄などを対象としてもよい。検査装置には、採取された体液を分析するための光学的手段(たとえば、反射、吸収、蛍光、ラマンなど)、電気化学的手段および磁気的手段などの手段を具備する。通常、検査装置は、検査する体液と検査媒体(test media)を接触させ、体液と検査媒体中の試薬とのあいだの反応を利用する。たとえば、光テストストリップは、一般に、色の変化、すなわち使用している試薬系によって形成される色素により吸収または反射される波長における変化を利用する。例として、米国特許3802842号明細書、4061468号明細書および4490465号明細書を参照されたい。
【0026】
図1〜5の実施例が、体液試料を取得するための独立型切開用具(stand alone lancing device)として図に示されているが、これらおよびその他の実施例は、一つの器具内で切開および検査を行えるように変更可能であることが考えられる。これを達成するための一つのメカニズムが、テープを搬送するランセットのテープ上にテストストリップを組み込み、テストストリップと生成された体液とを接触させたのち、組込みセンサーでテストストリップを分析するという方法である。
【0027】
図6に戻ると、合同された切開および検査用具が配列されたテープ270が図示されている。テープ270は、積層したあるいは、熱または圧着式接着剤または溶接などにより融着した複数のテープ層で組み立てられている。ランセット層264は、中間層となり、ランセット266を提供する。ランセット層264は、上記のようにテープストックからランセット266をエッチングまたは穿孔(punching)することによって形成される。図6に図示されているように、ランセット266は、長手方向の毛管溝268を具備しており、該毛管溝は、ランセットの先端または先端付近から始まり、ランセットの全長に沿って伸び、ランセットへの体液の搬送を促進する。ランセット層264は、必要に応じて、テープストックの基部層250にマウントされ、テープストックの該基部層は、最終加工されたテープ270に支持および構造上の剛性を付与する。
【0028】
検査媒体層260は、それぞれのランセット266用に、少なくとも一つの検査媒体262を搬送する。これは適切なテープストック上に適切な試薬(1種または複数種)をプリントすることによって、または塗ることによって、形成することが可能である。検査媒体層260は次に、ランセット層264に面している検査媒体262とともにランセット層264上にマウントされ、層264と層260間に検査媒体262をサンドイッチ状態にはさむことができるようになる。検査媒体262は、一般に、以下に詳しく述べるように、溝268の方向に伝達される体液を受け入れるように、毛管溝268の基部と整合している。
【0029】
次に図7を参照すると、形成されたテープ270は、切開開口部282を備えたハウジング280内に実装可能であり、該テープ270は、上述したように、供給リール284から保管リール286へ、リールツーリール伝達のために構成されている。テープ270は、図7の図面に示されているように一番外側、すなわちセンサー290に最も近接するように配置されている。したがって、本実施例では、検査媒体層260の一つの役割は、使用する前に検査媒体262をカバーおよび保護することにある。検査媒体層260は、ランセット266の先端もカバーし、テープ270が曲げられたときにランセット266によって穿孔されるように設計されている。このような穿孔を促進するため、検査媒体層260は、たとえばランセット266のアウトラインに沿って、レーザーカットによって形成された微細打ち抜き孔(microperforation)263をオプションにより具備する。図に示されている実施例では、センサー290は光学センサーであり、検査媒体262の信号(interrogation)を促進するために、検査媒体層260は、利用する波長を透過させる物質からなる。
【0030】
テープ270の組み立てにおいて、ランセット層270のランセット266が基部層250から分離可能であり、テープ270が鋭利な曲部(sharp bend)の周囲に配置されると、該ランセットが検査媒体層260を通じて穿孔可能となるよう注意が必要である。したがって、テープ270は、順次ランセット266を提供し、提供されたランセット266を、上記のような実施例にしたがって切開開口部282を通じて作動させるのに利用される。
【0031】
組織が一度切開されると、体液試料がランセット266の毛管溝268内に収集され、毛管現象の力が検査媒体262まで体液サンプルを引き込む。さらなる毛管現象の力が、ランセット266が検査媒体層260を通過して穿孔するときに形成される検査媒体層260の弁(flap)によって提供されてもよい。この弁(微細打ち抜き孔263に対応)は、切開後にランセット266と接触し、毛管溝268の少なくとも一部に着座して、検査媒体262に毛管溝268沿いに液体を搬送するためのウィッキング力(wicking force)を提供する。たとえば親水性の物質など、ウィッキング力を向上させる素材から、検査媒体層260はつくることができる。
【0032】
検査媒体262に体液を接触させた後、検査媒体はつぎに光センサー290によって位置付けされる。適切なインターバルののちに、センサー290が、検査媒体層260を通じて検査媒体266を読み取る。つぎに、体液の少なくとも一つの特性を表す出力が、LCD画面などディスプレイ(図示せず)上でユーザーに提示される。
【0033】
変容として、上記のようにランセット層266の外側(すなわち図6の図面に関しては検査媒体層に向かいあっている側)上にランセット266を置くのではなく、あるいは、それに加えて、検査媒体262をランセット268の下側に配置してもよい。たとえば、搬送テープ250上に配置してもよく、搬送テープ250は、ランセットがテープ270から伸びでていないときに、ランセット266にたいてい隣接している。
【0034】
別の態様が、図11と図12に示されている。図11および図12のテープは図6のテープ270と同じであり、さらにランセット層内の凹所265と、検査媒体層260内の通気開口部(vent opening)267と、デシカントスポット(dessicant spot)269が、検査媒体層260内に設けられている。凹所265は、毛管溝268(またはスロット)の基部にあり、検査媒体262の下側に配置されている。検査媒体262の下側のこの開口区域は、検査媒体262への体液の伝達を支援する。通気開口部267は、凹所265の一部に重なり、検査媒体262の毛細現象によるドージング時に脱気させることができる。デシカント材の一片を、オプションにより、スポット269(または、層260または264上の別の場所)に配置し、水分を吸収させ、検査媒体262の完全性(integrity)を確保してもよい。
【0035】
さらに別の態様では、体液を組織から直接、すなわち毛管溝268を使用せずに、体液を収集する工程を有する。このような直接収集の場合、切開され、この時点で体液を滲み出している組織を検査媒体262に直接押し当てることができる。このような検査媒体262に適した場所は、テープ270の(図6の図面を基準として)いちばん上側の面上の箇所であり、このような箇所は、ランセット266から空間的に離れた場所に置かれるので、組織からテープ270への前記直接搬送のあいだに、汚染されたランセット266に誤って接触しない。
【0036】
さらにもう1つの実施例では、ランセットとその関連する検査媒体が2004年1月29日に申請され、統合切開検査テストストリップ(Integrated Lancing Test Strip)という名称で公開されている米国特許出願公開第10/767522号明細書に詳しく説明されているように、統合切開検査テストストリップの形式でテープ上に提供されている。
【0037】
一般の医学的検査であって、本発明がそれのみではないが、とりわけ適用される医学的検査は、血糖値の測定である。血糖値は、血液の分析によって直接、あるいは間質液などの他の体液の分析によって間接的に判定可能である。糖尿病患者にたいしては、一般に糖尿病の症状と重篤度により、一日に数回血糖値を測定するよう指示が与えられる。測定された血糖値における観察されるパターンに基づいて、患者と医師は、投薬すべき適切な量のインスリンを判断し、食事、運動およびその他の要因を考慮する。
【0038】
体液中の糖などの検体の存在に関する検査では、検査装置300が、オキシダーゼ/ペロキシダーゼ検出化学を用いて発生する酸化/還元反応を活用できる。この形態では、検査媒体262が、適切な期間、体液試料に曝露され、検体(糖)が存在する場合には、色が変化する。通常、この変化の強度は、試料中の検体の濃度に比例する。センサー290は、試料中に存在する検体の量を判定するために既知の規格と試薬の色を比較するのに役立つ、選択された波長を操作する反射スペクトロフォトメーター(spectrophotometer)などの光センサーとすることができる。電気化学的装置およびその他の装置も採用可能である。採用した乾燥試薬化学が適切な場合には、検査媒体テープ263が、使用前の検査媒体262を滅菌状態に維持し、実質的に水分から隔離する。
【0039】
図1〜7に示されている実施例は、テープと統合されているランセットに関するが、ランセットがテープと統合されず、テープから独立した切開のために作動するようなこれらの変容と他の実施例も予期される。このような実施例の一つが図8および図9に示されており、この場合ランセット328は、テープ322の全長に沿った縦長のスロット(longitudinal slot)326を形成している側面が持ち上がった一組の部材324間の搬送テープ322上に内蔵されている。ランセット328の鋭利な先端331は、はじめは滅菌カバー332の下に保護されており、ランセット328全体は、保持材330の断片によってカバーされている。部材330は、側面部材324に固定され、保持材330内の前後のアクセス開口部342および340によって暴露される部分のランセット328の保存場所をカバーする。検査媒体362は、ランセットの先端331付近のテープ322上に提供されている。
【0040】
次に図9を参照すると、前述のリールツーリールの方法で、またはその他の何らかの適切な方法で、テープ内の屈曲部に隣接してランセット328を位置付けするために、テープ322が供給されている。つぎに、ピン362を備えたアクチベータ360が、ランセット328上の対応するスロットと連携して、滅菌カバー332からランセットを引っ込め、保持材の前面開口部342に先端331を送り込む。保持材によって束縛されなくなると、ランセット328の先端331が、図9に示されているように、作動位置に自由に伸展することができる。つぎにアクチベータ360が、指先として図に描かれている隣接組織350を切開するために、後ろ前の切開動作でランセット328を前送りおよび後ろに進展させる。つぎにアクチベータ360が、ランセット328を解放するが、保持材326の下側に少なくとも部分的にこれを残しておき、テープと使用済みランセット328は前に送られ保管される。このようにテープが送られるので、検査媒体362が、同時に開口部の隣接位置に位置付けされ、組織350から検査媒体362へ体液が直接搬送され、引き続く光リーダー(optical reader)366によって分析される。
【0041】
組織350から検査媒体362への体液の直接搬送を促進するため、検査媒体362に指が接触するように、開口部370を使用者の指によって機械的に変形される塑性円錐として構造化可能である。別の方法として、またはこれに加えて、光リーダー366を直接の体液搬送を促進するために、開口部370の方向におよび/または内部に(すなわち図9の図面では上方向に)、テープ322を変位させるように適合可能である。
【0042】
さらに別の形態では、試料をランセット328上の毛管溝(図示せず)を介して収集してもよい。この実施例では、アクチベータ360がランセット328を保持しているいっぽうで、テープ322を進め、その後でアクチベータ360が、検査媒体362に収集された体液を伝達するため、ランセット328を配置してもよい。他の収集機構では、あるいはランセットがもはや必要ない場合には、オプションによりアクチベータ360が、テープ322からランセット328を完全に除去し、これを廃棄位置へ移動させるか、あるいはアクチベータ360が、ランセット328を保持材330の下側に再配置してテープ322の保管区画に保管してもよい。
【0043】
本明細書に記載の実施例は、本明細書に記載の動作の一部またはすべてを自動化したバッテリー電源の手持ち式器具に統合可能である。このように自動化された用具は、これらの分野でなされるように、適切なコントローラやユーザーインタフェース(一つまたは複数のボタンなど)とともに、テープを送り、ランセットをコッキングおよび/または発火させるため適切な電気モーターやソレノイドを備えることができる。
【0044】
たとえば、図9の実施例を用いると、下記の工程の一つまたは複数を自動化できる。作動位置にランセットを位置付けするためのテープの送り、アクチベータとランセットの連動、体液試料を取得するためのランセットの作動、体液試料を受け取るための開口部に隣接した位置への検査媒体の位置付け、検査媒体への体液試料の接触(たとえば光リーダーを移動するなど)、光リーダーと検査媒体のデータ取得、結果の表示、使用済みランセットと検査媒体の保管区画への移動などである。
【0045】
好ましい形態では、収集および検査サイクル全体が自動化され、用具の電源を使用者が入れ、プロンプトされた後、ボタンを押したときに始動する。収集および検査サイクルはまた、サイクルを通じて、使用者が介在するのを可能にし、たとえばある工程を繰り返したり、プロセスを停止させる。たとえば切開後に、自動化サイクルが、試料の検査を続行する前に、別のボタンを押すように使用者にプロンプト表示することができる。したがって、切開に失敗した場合に、使用者は、検査媒体を無駄にすることなく、用具が同じランセットを使用して再度切開するというオプションを提供することができる。
【0046】
多数の従来型ランセットは一般に円筒形ニードル、すなわち縦方向の全長にわたり断面が円形であることを理解すべきである。この種の構造は、一般に、概して均質な剛性のランセットを提供する、すなわちすべての方向で等しく撓む。ただし、本発明で有効なランセットは、概して任意の形態をとることができ、保管位置にあるあいだはランセットがたわむことができ、作動位置にあるあいだは一般に直線であるように、少なくとも一つの方向で顕著な可撓性が存在するようにランセットを構造化したときに利点が達成されうる。この可撓性を達成するための一つのメカニズムとして、全長の少なくとも一部の断面が非円形であるようにランセットを構造化する方法がある。より詳細には、本発明の特定の実施例によるランセットの全長に沿った断面を実質的に非円形とし、より好ましくは高アスペクト比(high aspect ratio)すなわち少なくとも3のアスペクト比を持つようにすることができる。
【0047】
この高アスペクト比の横断面構造の特定の例として、本明細書に示されているランセットは概して平面状であるか、または全長に沿った断面で矩形である。たとえば、図6のランセット266は、ほぼ等しい長さLと幅Wを持っているが、長さLと幅Wはともに、ランセットの(およびテープの)厚さよりかなり長い。同様に、図1に示されているランセット28も平面状であるが、それらの全長沿いの高アスペクト比(すなわち厚さに対する幅の比)のほかに、ランセット28は、高い長さ対幅の比を備えている。非平面状の輪郭、あるいはさまざまな平面状輪郭のランセットも、たとえば、ランセット28または266の構造上の剛性を変更したり拡張したりする目的で、縦方向に伸びるリブなど、強化構造またはその他の特徴を提供することによって考案される。
【0048】
ただし、一つの形態では、このように平面状とはまったく異なってはおらず、少なくともランセットのかなりの部分、つまり主要な面の少なくとも25パーセントに沿っては、略平面である。他の形態では、ランセットの本体の主要な部分、すなわち約50%が、実質的に平面状である。他の形態では、平面状の部分が、ランセットの少なくとも一つの主要な面の少なくとも70%を構成している。
【0049】
任意の好適な材料または材料の組み合わせからランセットおよびテープを構造化可能である。たとえば、ランセットテープは、市販されている316ステンレススチール完全ハードシムストック(stainless steel full hard shim stock)や金属、プラスチックまたはプラスチック複合材から構造化された他の好適な薄膜ホイルなど、硬化ステンレススチールから構造化可能である。テープストックの好適な厚さは約1〜10ミルのあいだとすることができる。ランセットは、形状記憶合金またはその他の超可塑剤で構造化することができる。好適な形状記憶合金は、ニッケルチタン合金またはたとえば商標名FLEXINOLとして、米国カリフォルニア州コスタメッサのDYNALLOY社によって提供されているニッケルチタン合金すなわちニチロールがあげられる。一つの形態では、ニチロールは約55%のニッケルと45%のチタニウムで構成されている。
【0050】
スタンピング、フォトエッチング、レーザーカッティングおよび/またはその他の方法を採用して、テープブランク(tape blank)からランセットを生成し、鋭いかつ/または傾斜した(beveled edge)端を、ランセット上におよびオプションで毛管チャネル上に形成することができる。あるいは、ランセットを好適なキャリアテープ上に金属を堆積させることによって形成可能である。一つの実施例では、ランセットは、たとえばプラスチック製ランセット本体に鋭利な金属製の先端を接着することによって二種類の材料から作成されている。ランセットは、作動位置にあるときに大きな局面を持たないように、供給リール内での巻き取りから大きく歪むことを回避するように構造化することが好ましい。形状記憶合金や硬化ステンレススチールの使用などといった材料特性の選択は、望ましくない屈曲を緩和したり回避したりするための一つのメカニズムである。あるいはまたはこれに加えて、切開する前に残留する局面を補正するための手段を提供することができる。たとえば、テープが一組のフラットニングローラーを通過し、および/または、切開開口部(42、142、242、282、370)を、ランセットがそこを通過するときに概して平坦な方向にランセットを誘導するよう成形することができる。
【0051】
前述のように、使用前にランセットを無菌状態にしておくことが望ましい。無菌状態を維持するための一つの有効なメカニズムとして、図8に関して上に説明した滅菌カバー332などの滅菌カバーの使用があげられる。次に図10に戻ると、ランセット上に滅菌カバーを提供するためのもう一つの変容が示されている。図10には、取り外しカバー422を保持している点以外、図1のランセット20と同じであるようなランセット420供給源が描かれている。カバー422は、テープ22に接着され、少なくとも片面で、供給リール24内にあるときには好ましくは両面で、ランセット28を保護する。テープ22が送られてランセット28が作動位置に来るにともない、テークアップリール424がテープ22からカバー422を剥ぎ取り、下にあるランセット28を暴露させる。カバー422は、ローラー426と428によって形成されるテープの経路にしたがった後で、再適用リール430によってテープ22上に再配置される。テープ22上に再配置された後に、カバーとテープは保管リール26上に巻き取られる。
【0052】
供給リール24内のランセットを遮蔽することによって、カバー422は、使用前にランセットの滅菌性を保護する。さらに、保管リール26内の使用済みランセットを遮蔽することによって、カバー422が、用具420内の汚染の広がりを防止する。これらの両役割を果たすため、一つの連続カバー422を使用すると設計上の効率が存在するいっぽうで、各種カバーを利用してもよいということは理解されよう。より詳細には、1つの変容では、カバー422はテークアップリール424から再適用リール430まで引っ張り出されるわけではない。むしろ2つの独立したカバーが使用され、最初のカバーはテークアップリール424と共に除去され、第2の異なるカバーはリール430と共に利用される。
【0053】
カバー422は、滅菌保護にとって好適なように構造化することができるが、ランセット28の鋭利な先端31によって損傷を受けないだけ十分な強度を備えていなくてはならない。カバー422に好適な材料には、ポリエチレンテレフタラート、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロンなどの合成物質や各種プラスチック、紙および/または金属シートの組み合わせがある。好ましくは、カバー422はランセットの先端31の付近に孔やカットアウトをもたない。図に示されている実施例では、カバーは、その全長の大部分に沿って孔やカットアウトのない実質的に連続したテープとして構成されている。
【0054】
使用前にランセットを暴露させるために剥がされ、および/または使用後には使用済みランセットを遮蔽するために適用される滅菌カバー422の使用は図1のランセットの構造と関連して図に明確に示されているが、同じ滅菌カバー422を本明細書に記載の別の構成のどれかおよび当技術分野の当業者にとって明らかなような別の構成で使用することができる。
【0055】
本発明は、図面および前述の記述で詳細に図示および説明してきたが、本発明は、図解することを考慮したもので、その内容に制限は加えていない。特定の実施例だけを表示し、記述しており、本明細書に記載した本発明の精神の範囲内のすべての変更、等価および修正は保護することが望まれる。たとえば、同じ搬送テープ上でランセットとして検査媒体が統合されている統合切開および検査用具について記述している一方で、検査媒体は、たとえば出願公開10/164828号明細書、2002/0188224号明細書に記載されているようなテストストリップのカセットとして、たとえば構成化されたランセット搬送テープとは独立させることができる。
【0056】
本明細書に記載されている実験、実験例または実験結果は、本発明を説明することを目的としており、本発明の対象範囲に関する制限や限界を考慮するものではない。さらに、本明細書に記載されている理論、動作原理、証拠または発見は、本発明の理解をさらに高めることを意味しており、このような理論、動作原理、証拠または発見に対しいかなる方法でも本発明を制限することを目的とはしていない。このように、本説明や付属の図面の特異性を、その特異性に対し本発明の対象範囲を制限するものであると解釈してはならない。
【0057】
むしろ、本発明の対象範囲は、本明細書に付属の請求項を参照して評価すべきである。請求項を参照する際には、「1つ」、「少なくとも一つ」および「少なくとも一部」といった用語を用いるときには、請求項内で特に反対に述べていないかぎり一つの項目に請求項を制限することを意味しているわけではない。さらに、特に、その逆を述べていないかぎり、請求項には「少なくとも一つの要素」および/または「一部」一部および/または項目全体を含む。最後に、本明細書に記載のすべての文献、特許および特許申請書は、それぞれがあたかもその全体を特に、さらには個別に参照することによって本書に取り込むよう指定されているかのように、本開示と矛盾していない範囲まで参照することによって、本書に取り込まれている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して体液採取に関し、より詳細には、テープによって運ばれる滅菌ランセットを供給する体液採取用具に関する。
【背景技術】
【0002】
体液の収集と検査は、さまざま用途に役立ち、医学的診断や治療ならびにその他の多種多様な用途でますます重要性が高まってきている。医療分野では、専門外の当事者が検査施設以外の場所で、迅速かつ再生可能な方法で日常的に検査を行い、即時に検査結果が判定されてその検査結果情報が読み取れることが望まれている。検査は、血液および/または間質液など、各種体液について実施されている。このような体液については、体液そのものまたは体液に含有されている検体の各種特性を検査することで、病状の特定、治療反応の判定、治療の進展状況の評価が可能となる。
【0003】
体液検査では、はじめに体液試料を取得する。体液試料を収集する1つの方法では、静脈または動脈に中空針あるいはシリンジを挿入して、血液試料を抜き取る。ただし、このような血液を直接血管から採取する方法は、痛み、感染、血腫およびその他の出血性の合併症状など、いくつかの制約条件を伴う可能性がある。さらに、血液を直接血管から採取する方法は、日常的に繰り返して実施する事例には適せず、非常に困難であり、患者自身が行うことは勧められない。
【0004】
血液試料やその他の体液試料を収集するための共通の技法として、皮膚に切開部を形成して、表皮まで体液を浮き出させる方法がある。この技法によると、針、メス、またはその他の切開用具などのランセットを用いて、表皮に切開部を形成する。次に、得られた血液試料または間質液試料を、細い管またはその他の容器内に収集するか、またはテストストリップに直接接触させるか、あるいは他の方法で分析を行う。ランセットは、鋭利であることが必要不可欠であるため、切開用具は、通常、怪我や汚染を回避するために、使用していないときにはランセットを保護するように構造化されている。
【0005】
しかし、既存の多くのランセットは、一般に、1つのランセットだけ保持するように設計されており、切開後には、次に切開を行う前に、ランセットを手作業で交換しなくてはならない。特に、個人が一日に数回試料を取得する必要がある場合など、個別のランセット供給源を搬送したり、各切開ごとに個別の用具を使用する際には、これらの用具では非効率的であり、不便でもある。内蔵型多目的切開用具であれば、使用済みのランセットを手作業で交換するという問題を回避できるが、小型で専門家以外の当事者が簡単に使用でき、しかも製造費用が安価であるようなランセットを安全かつ高い信頼性の下に取り扱える多目的切開用具を開発せねばならないという課題が残されている。したがって、当技術分野には、このような課題の一部またはすべてに適合する多目的切開用具に関するニーズが存在している。本発明に示す1つの形態は、このニーズに対応し、専門家以外の当事者が簡単にしかも安全に使用でき、製造費用効率のよい多目的切開用具を提供する。本発明に関する他の形態は、当技術分野における別の応用技術を提供している。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、単独で、あるいは得られた体液の検査と組み合わせて、組織を切開する新規な装置と技法を提供する。明細書で述べる本発明の実際の内容は、付記された特許請求の範囲を参照して判断されるが、本明細書に開示されている実施例の特長を示す本発明の特定の態様について、以下に簡単に説明する。
【0007】
1つの態様によれば、本発明は、テープ上に装備した新規なランセット供給源を提供する。
【0008】
もう1つの態様によれば、本発明は、体液試料を取得するための新規な装置および技法を提供する。
【0009】
さらにもう1つの態様によれば、テープ上にランセットを供給する新規な方法と、組織を切開する新規な方法が開示されている。
【0010】
これらの態様とその他の態様について、以下に論じる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】リール対リール式のランセット供給源の斜視図である。
【図2】図1のランセットを用いた多目的切開用具の斜視図である。
【図3】もう1つの実施例による、多目的切開用具の断面図である。
【図4】図3の多目的切開用具の側面図である。
【図5】もう1つの実施例による、多目的切開用具の断面図である。
【図6】もう1つの実施例による、統合テストストリップ付きのテープの組み立て図である。
【図7】図6の統合テストストリップ付きのテープを採用した、多目的切開用具の断面図である。
【図8】さらにもう1つの実施例による、ランセットを装備したテープの斜視図である。
【図9】図8のテープを採用した多目的切開用具の断面図である。
【図10】カバーを取り外した、図1のランセット供給源の斜視図である。
【図11】もう1つの実施例による、統合テストストリップ付きテープの組み立て図である。
【図12】図11のテープの一断面の頂面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特性は、特に、特許請求の範囲に指摘されているが、発明そのものおよび製造ならびに使用の方法については、以下の説明を、説明の一部を構成する添付図面と関連付けて参照することによって、好適に理解される。
【0013】
本発明の原理を理解しやすくするために、次に図面に示されている実施例を参照するが、これらの実施例の説明には、特定の言語を使用する。しかしながら、このことにより、本発明の対象範囲を制限することは意図していないことを理解すべきである。図示されている用具に対する改造や変更、そして本仕様書に図示されているような本発明の原則のさらなる用途は、本発明に関係する当業者が通常予期できるように、当然予期される。
【0014】
1つの形態では、本発明は、体液を採取するための小型のランセット供給源を提供する。ランセットは、非円形の断面をもち、屈曲部を中心としてテープを送ることによって、ランセットを保管位置から作動位置へ順次移動させることができるように、搬送テープ上に配置されている。作動位置では、ランセットがテープから伸びており、組織の切開にこれらの鋭利な先端を利用できるいっぽうで、保管位置では、コンパクトに保管できるように、ランセットは、一般に、搬送テープと整合させてある。搬送テープは、切開開口部(lancing opening)を形成しているハウジングに内蔵されており、切開工程では、作動位置にあるランセットの鋭利な先端がすばやく送られ、切開開口部を通過して引き戻されるため、隣接組織を貫通し、体液試料を入手できる。切開工程後には、テープの送りによって、使用済みのランセットが保管位置に戻され、次のランセットが作動位置に配置されて、後続の切開に備える。
【0015】
以下に詳しく述べるように、ランセットを送ってから引き戻すことにより切開動作を生じさせるのに、さまざまな機構を採用できる。たとえば、特定の実施例では、ランセットをテープと一体化し、テープを急激に動作させることによって、ランセットに切開動作を生じさせている。1つ形態では、テープ全体をそのテープの経路沿いに移動させるいっぽうで、もう1つの形態では、切開動作時に、テープのサービスループだけを作動させる。他の実施例では、ランセットをテープと一体化しない場合、独立したアクチュエーターを用いて、ランセットを連動させ、切開動作時に、隣接したテープの動作とは無関係に該ランセットを移動させることができる。
【0016】
次に、図1に戻ると、ランセットがテープと一体化している1つの実施例による、ランセット供給源が描かれている。用具20は、搬送テープ22と、テープ22の全長に沿って順次配置されている複数のランセット28とを具備している。ランセット28はそれぞれ、近位部(proximal portion)30と、遠位部(distal portion)29と、遠位部29の遠位端にある鋭利な先端部31とを具備している。テープ22は全長にわたり、供給源区画(supply section)34と、その後ろの作動区画(activating section)32と、その後ろの保管区画(storage section)36を具備している。供給区画34は、供給リール24の周囲に巻き付けられており、保管区画36は、保管リール26の周囲に巻き付けられている。作動区画32では、テープ22が、ホイール38の周囲を通過して、テープ22の経路に屈曲部(bend)39を形成する。
【0017】
上記のように、この実施例では、ランセット28は、テープ32と一体化している。さらに詳細には、ランセット28の近位部30は、テープ22と一体化されているいっぽうで、遠位部29は、ランセットが作動位置にあるときには、テープ22から開放されて伸びる(以下に詳細に説明)。これは、テープの保管部を、エッチング、穿孔、またはその他の方法で除去して、テープ保管部の同じ部分からテープ22とランセット28とを形成し、ランセット28の輪郭(profile)を形成することによって達成可能である。図1の実施例では、次に、ランセットの近位端をクリンプして、ランセットの本体が、テープ32の隣接面23の平面に対し、通常はわずかにオフセットしてはいるが平行になるように配置する。他の実施例では、ランセットを同様に形成されるが、クリンプされないので、これらの実施例では、ランセットは、通常はテープ面32の平面に配置される。さらに他の実施例では、ランセット28を独立して形成し、次いで、クリップ、接着剤または溶接によりテープ22に接着するなどして、テープ22と一体化する。
【0018】
ランセット28とテープ22はともに薄く、十分に変形可能であるので、供給リール24から保管リール26までランセット28を搬送するテープ22のリールツーリール方式の搬送が可能である。ランセット28(およびテープ22)は、供給リール24への巻きつきがほどかれると、ほぼ直線状の方位(orientation)に戻れるように、十分な形状記憶能または弾力性を備えた材料で構成されている。したがって、ランセット22がテープ22の屈曲部39に隣接して配置されているときには、その鋭利な先端31がテープ22から離れ、切開に利用可能となる。このような配置を、作動位置と称し、図1に示されているように、ランセット28はその作動位置に配置される。それとは逆に、ランセット28aはテープ22に対応して、別の配置(orientation)にあり、ランセット28aのこの別の配置を、本明細書では保管位置(storage position)と称する。
【0019】
図2を参照すると、用具20が、切開開口部42を形成しているハウジング40内に内蔵されている。切開開口部42は、作動位置にあるランセット28の先端31を受け入れている。用具20は、供給リール24、保管リール26およびホイール38の回転軸24a、26aおよび38aのそれぞれが、略平行となるように構成されている。一組のノブ44と46が、ランセット28を送ったり作動させたりするために、供給リール24と保管リール26にそれぞれ操作可能なように連結されている。動作中、ノブ46は、体液で汚染されていない供給リール24から、作動位置までランセットを搬送するテープ22を送るのに使用される。先端31が切開開口部42の方向を向いた状態で、テープ22がノブ44を介して反転し、切開開口部42からランセット28を突出させる。使用後、テープ22は再度前に送られ、使用済みランセット28を保管リール26へ移動させる。
【0020】
切開開口部を通過する先端31の動作は、ランセットの長手方向の全長を形成している線におおよそ沿った、すばやい前後の動作であることが好ましい。このような動作を切開動作と称する。ノブ44と46はそれぞれ、テープ22をこの経路に沿って前後にすばやく動作させることによってこのすばやい切開動作を行なうために、クラッチと適切なスプリングの偏向機構(spring biasing)を内蔵するよう構成してもよい。テープの経路に沿ってテープ22を前後に動作させることによって、前後の切開動作を達成する別の方法として、用具20全体を、前後動作で平行移動するように、ハウジング40内に実装することができる。さらにもう1つの実施例では、切開工程中、テープ22の一部だけが動作する。テープ22の一部だけを相対的に動かして切開動作をする実施例が、図3に示されている。
【0021】
図3の多目的切開用具120は、図1の用具のテープ22およびランセット28と同じような方法で構造化された搬送テープ122と複数のランセット128とを具備している。テープ122も同様に、供給リール124と保管リール126の周囲に巻き付いており、切開開口部142のあるハウジング140内に実装されている。しかし、図1のテープ22とは異なり、テープ122の作動部が、テープ122の残りの部分から独立して移動可能なサービスループとして形成されている。
【0022】
より詳細には、テープ122の作動部は、一組のホイール112と114の周囲を通過し、該一組のホイールは、自由に回転可能であるが、長手方向の回転動作が連係ロッド(tie rod)110と連係する。図4を参照すると、リアホイール114の軸116がハウジング140の案内スロット(guiding slot)内で移動するように構成され、ランセット128が動作位置にあるときに(たとえば、図3のランセット128)、軸116は図3の左側に引っ張られ、スプリング119が圧縮される。この圧縮動作により用具が曲げられ、開放時には、スプリング119が軸116とホイール114および112を、図3の図面の右側に押し付ける。その結果、ランセット128の先端131が切開開口部142をすばやく通過する。スプリング119(または第2の反発スプリング)の反発(recoil)は、ランセット128をハウジング内部に引き戻し、次いでノブ146が回転して保管リール126にテープ122を送り、さらに、供給リール124から次のランセット128を作動位置に配置する。次にこのプロセスを、次回の切開を行えるように繰り返すことができる。
【0023】
サービスループの使用におけるさらなる態様が、図5に示されている用具220では利用されている。多目的切開用具220は、切開開口部242を形成しているハウジング240内に実装された供給リール224と保管リール226を具備している。レバー246が保管リール226に連結され、ホイール212に隣接した作動位置にランセット228を配置できるようテープ222を送るのに使用される。ホイール212の軸211は、ピボットアーム213の一端に実装されている。ピボットアーム213はピン208の周囲を旋回するように形成されており、一組のテープガイド210はピボットピン208に隣接するアーム213に実装されている。ピボットアーム213の他端は、図5に示されているように、ピストン230の垂直動作が、ピボットアーム213の旋回動作に移しかえられる(be translated)ように、ピストン230と圧縮スプリング219とのあいだの連結機構214に接続されている。ピボットアーム213と連結機構214とのあいだの接続は、アーム213がピン208を中心に旋回するときに、ピストン230の直線動作(linear motion)に対応してピボットアーム213が描く弧が収容(accommodate)できるピンインスロット(図示せず)または類似の配置としてもよい。
【0024】
用具220は、2ボタン動作用に構成されている。コッキングボタン(cocking button)238は、図5の図面で示されているように、ピストン230を下方向に移動させ、スプリング219を圧縮させるように作用する。圧縮は、ピストン230の凹所(recess)232が発射ピン(firing pin)234に到達するまで続けられ、この時点で、発射ピン(firing pin)234はピストン230方向へスプリング235によって偏向されるので、発射ピン234が凹所232に着座し、ピストン230を適所に保持する。この位置は、図5に示されている曲がった位置(cocked position)にピボットアーム213が配置されるのに関与する。切開の準備が整った時点で、発射ボタン(fire button)236を押し、発射ボタンのカム面(cam surface)が発射ピンの対応するカム面と連動し、凹所232からピン234を引っ込める。これにより、ピストン230が開放され、圧縮スプリング219の力が、図5の図面に示されているように上側にピストンを移動させる。さらにこの動作は、ピボットアーム213の連結機構214の末端を上昇させ、ピボットアーム213を旋回させるので、これによって開口部242を通過してランセット228が送られる。スプリングの開放により、アーム213は中間位置(intermediate position)に移動し、このときレバー246が作動されて、保管リール226方向に現在使用されているランセット228を送る。
【0025】
切開後には、体液が収集され、当技術分野で周知のように多種多様な特性や成分の分析を行うことができるということは理解されよう。たとえば、このような分析は、ヘマトクリット値、血糖値、凝固、鉛、鉄などを対象としてもよい。検査装置には、採取された体液を分析するための光学的手段(たとえば、反射、吸収、蛍光、ラマンなど)、電気化学的手段および磁気的手段などの手段を具備する。通常、検査装置は、検査する体液と検査媒体(test media)を接触させ、体液と検査媒体中の試薬とのあいだの反応を利用する。たとえば、光テストストリップは、一般に、色の変化、すなわち使用している試薬系によって形成される色素により吸収または反射される波長における変化を利用する。例として、米国特許3802842号明細書、4061468号明細書および4490465号明細書を参照されたい。
【0026】
図1〜5の実施例が、体液試料を取得するための独立型切開用具(stand alone lancing device)として図に示されているが、これらおよびその他の実施例は、一つの器具内で切開および検査を行えるように変更可能であることが考えられる。これを達成するための一つのメカニズムが、テープを搬送するランセットのテープ上にテストストリップを組み込み、テストストリップと生成された体液とを接触させたのち、組込みセンサーでテストストリップを分析するという方法である。
【0027】
図6に戻ると、合同された切開および検査用具が配列されたテープ270が図示されている。テープ270は、積層したあるいは、熱または圧着式接着剤または溶接などにより融着した複数のテープ層で組み立てられている。ランセット層264は、中間層となり、ランセット266を提供する。ランセット層264は、上記のようにテープストックからランセット266をエッチングまたは穿孔(punching)することによって形成される。図6に図示されているように、ランセット266は、長手方向の毛管溝268を具備しており、該毛管溝は、ランセットの先端または先端付近から始まり、ランセットの全長に沿って伸び、ランセットへの体液の搬送を促進する。ランセット層264は、必要に応じて、テープストックの基部層250にマウントされ、テープストックの該基部層は、最終加工されたテープ270に支持および構造上の剛性を付与する。
【0028】
検査媒体層260は、それぞれのランセット266用に、少なくとも一つの検査媒体262を搬送する。これは適切なテープストック上に適切な試薬(1種または複数種)をプリントすることによって、または塗ることによって、形成することが可能である。検査媒体層260は次に、ランセット層264に面している検査媒体262とともにランセット層264上にマウントされ、層264と層260間に検査媒体262をサンドイッチ状態にはさむことができるようになる。検査媒体262は、一般に、以下に詳しく述べるように、溝268の方向に伝達される体液を受け入れるように、毛管溝268の基部と整合している。
【0029】
次に図7を参照すると、形成されたテープ270は、切開開口部282を備えたハウジング280内に実装可能であり、該テープ270は、上述したように、供給リール284から保管リール286へ、リールツーリール伝達のために構成されている。テープ270は、図7の図面に示されているように一番外側、すなわちセンサー290に最も近接するように配置されている。したがって、本実施例では、検査媒体層260の一つの役割は、使用する前に検査媒体262をカバーおよび保護することにある。検査媒体層260は、ランセット266の先端もカバーし、テープ270が曲げられたときにランセット266によって穿孔されるように設計されている。このような穿孔を促進するため、検査媒体層260は、たとえばランセット266のアウトラインに沿って、レーザーカットによって形成された微細打ち抜き孔(microperforation)263をオプションにより具備する。図に示されている実施例では、センサー290は光学センサーであり、検査媒体262の信号(interrogation)を促進するために、検査媒体層260は、利用する波長を透過させる物質からなる。
【0030】
テープ270の組み立てにおいて、ランセット層270のランセット266が基部層250から分離可能であり、テープ270が鋭利な曲部(sharp bend)の周囲に配置されると、該ランセットが検査媒体層260を通じて穿孔可能となるよう注意が必要である。したがって、テープ270は、順次ランセット266を提供し、提供されたランセット266を、上記のような実施例にしたがって切開開口部282を通じて作動させるのに利用される。
【0031】
組織が一度切開されると、体液試料がランセット266の毛管溝268内に収集され、毛管現象の力が検査媒体262まで体液サンプルを引き込む。さらなる毛管現象の力が、ランセット266が検査媒体層260を通過して穿孔するときに形成される検査媒体層260の弁(flap)によって提供されてもよい。この弁(微細打ち抜き孔263に対応)は、切開後にランセット266と接触し、毛管溝268の少なくとも一部に着座して、検査媒体262に毛管溝268沿いに液体を搬送するためのウィッキング力(wicking force)を提供する。たとえば親水性の物質など、ウィッキング力を向上させる素材から、検査媒体層260はつくることができる。
【0032】
検査媒体262に体液を接触させた後、検査媒体はつぎに光センサー290によって位置付けされる。適切なインターバルののちに、センサー290が、検査媒体層260を通じて検査媒体266を読み取る。つぎに、体液の少なくとも一つの特性を表す出力が、LCD画面などディスプレイ(図示せず)上でユーザーに提示される。
【0033】
変容として、上記のようにランセット層266の外側(すなわち図6の図面に関しては検査媒体層に向かいあっている側)上にランセット266を置くのではなく、あるいは、それに加えて、検査媒体262をランセット268の下側に配置してもよい。たとえば、搬送テープ250上に配置してもよく、搬送テープ250は、ランセットがテープ270から伸びでていないときに、ランセット266にたいてい隣接している。
【0034】
別の態様が、図11と図12に示されている。図11および図12のテープは図6のテープ270と同じであり、さらにランセット層内の凹所265と、検査媒体層260内の通気開口部(vent opening)267と、デシカントスポット(dessicant spot)269が、検査媒体層260内に設けられている。凹所265は、毛管溝268(またはスロット)の基部にあり、検査媒体262の下側に配置されている。検査媒体262の下側のこの開口区域は、検査媒体262への体液の伝達を支援する。通気開口部267は、凹所265の一部に重なり、検査媒体262の毛細現象によるドージング時に脱気させることができる。デシカント材の一片を、オプションにより、スポット269(または、層260または264上の別の場所)に配置し、水分を吸収させ、検査媒体262の完全性(integrity)を確保してもよい。
【0035】
さらに別の態様では、体液を組織から直接、すなわち毛管溝268を使用せずに、体液を収集する工程を有する。このような直接収集の場合、切開され、この時点で体液を滲み出している組織を検査媒体262に直接押し当てることができる。このような検査媒体262に適した場所は、テープ270の(図6の図面を基準として)いちばん上側の面上の箇所であり、このような箇所は、ランセット266から空間的に離れた場所に置かれるので、組織からテープ270への前記直接搬送のあいだに、汚染されたランセット266に誤って接触しない。
【0036】
さらにもう1つの実施例では、ランセットとその関連する検査媒体が2004年1月29日に申請され、統合切開検査テストストリップ(Integrated Lancing Test Strip)という名称で公開されている米国特許出願公開第10/767522号明細書に詳しく説明されているように、統合切開検査テストストリップの形式でテープ上に提供されている。
【0037】
一般の医学的検査であって、本発明がそれのみではないが、とりわけ適用される医学的検査は、血糖値の測定である。血糖値は、血液の分析によって直接、あるいは間質液などの他の体液の分析によって間接的に判定可能である。糖尿病患者にたいしては、一般に糖尿病の症状と重篤度により、一日に数回血糖値を測定するよう指示が与えられる。測定された血糖値における観察されるパターンに基づいて、患者と医師は、投薬すべき適切な量のインスリンを判断し、食事、運動およびその他の要因を考慮する。
【0038】
体液中の糖などの検体の存在に関する検査では、検査装置300が、オキシダーゼ/ペロキシダーゼ検出化学を用いて発生する酸化/還元反応を活用できる。この形態では、検査媒体262が、適切な期間、体液試料に曝露され、検体(糖)が存在する場合には、色が変化する。通常、この変化の強度は、試料中の検体の濃度に比例する。センサー290は、試料中に存在する検体の量を判定するために既知の規格と試薬の色を比較するのに役立つ、選択された波長を操作する反射スペクトロフォトメーター(spectrophotometer)などの光センサーとすることができる。電気化学的装置およびその他の装置も採用可能である。採用した乾燥試薬化学が適切な場合には、検査媒体テープ263が、使用前の検査媒体262を滅菌状態に維持し、実質的に水分から隔離する。
【0039】
図1〜7に示されている実施例は、テープと統合されているランセットに関するが、ランセットがテープと統合されず、テープから独立した切開のために作動するようなこれらの変容と他の実施例も予期される。このような実施例の一つが図8および図9に示されており、この場合ランセット328は、テープ322の全長に沿った縦長のスロット(longitudinal slot)326を形成している側面が持ち上がった一組の部材324間の搬送テープ322上に内蔵されている。ランセット328の鋭利な先端331は、はじめは滅菌カバー332の下に保護されており、ランセット328全体は、保持材330の断片によってカバーされている。部材330は、側面部材324に固定され、保持材330内の前後のアクセス開口部342および340によって暴露される部分のランセット328の保存場所をカバーする。検査媒体362は、ランセットの先端331付近のテープ322上に提供されている。
【0040】
次に図9を参照すると、前述のリールツーリールの方法で、またはその他の何らかの適切な方法で、テープ内の屈曲部に隣接してランセット328を位置付けするために、テープ322が供給されている。つぎに、ピン362を備えたアクチベータ360が、ランセット328上の対応するスロットと連携して、滅菌カバー332からランセットを引っ込め、保持材の前面開口部342に先端331を送り込む。保持材によって束縛されなくなると、ランセット328の先端331が、図9に示されているように、作動位置に自由に伸展することができる。つぎにアクチベータ360が、指先として図に描かれている隣接組織350を切開するために、後ろ前の切開動作でランセット328を前送りおよび後ろに進展させる。つぎにアクチベータ360が、ランセット328を解放するが、保持材326の下側に少なくとも部分的にこれを残しておき、テープと使用済みランセット328は前に送られ保管される。このようにテープが送られるので、検査媒体362が、同時に開口部の隣接位置に位置付けされ、組織350から検査媒体362へ体液が直接搬送され、引き続く光リーダー(optical reader)366によって分析される。
【0041】
組織350から検査媒体362への体液の直接搬送を促進するため、検査媒体362に指が接触するように、開口部370を使用者の指によって機械的に変形される塑性円錐として構造化可能である。別の方法として、またはこれに加えて、光リーダー366を直接の体液搬送を促進するために、開口部370の方向におよび/または内部に(すなわち図9の図面では上方向に)、テープ322を変位させるように適合可能である。
【0042】
さらに別の形態では、試料をランセット328上の毛管溝(図示せず)を介して収集してもよい。この実施例では、アクチベータ360がランセット328を保持しているいっぽうで、テープ322を進め、その後でアクチベータ360が、検査媒体362に収集された体液を伝達するため、ランセット328を配置してもよい。他の収集機構では、あるいはランセットがもはや必要ない場合には、オプションによりアクチベータ360が、テープ322からランセット328を完全に除去し、これを廃棄位置へ移動させるか、あるいはアクチベータ360が、ランセット328を保持材330の下側に再配置してテープ322の保管区画に保管してもよい。
【0043】
本明細書に記載の実施例は、本明細書に記載の動作の一部またはすべてを自動化したバッテリー電源の手持ち式器具に統合可能である。このように自動化された用具は、これらの分野でなされるように、適切なコントローラやユーザーインタフェース(一つまたは複数のボタンなど)とともに、テープを送り、ランセットをコッキングおよび/または発火させるため適切な電気モーターやソレノイドを備えることができる。
【0044】
たとえば、図9の実施例を用いると、下記の工程の一つまたは複数を自動化できる。作動位置にランセットを位置付けするためのテープの送り、アクチベータとランセットの連動、体液試料を取得するためのランセットの作動、体液試料を受け取るための開口部に隣接した位置への検査媒体の位置付け、検査媒体への体液試料の接触(たとえば光リーダーを移動するなど)、光リーダーと検査媒体のデータ取得、結果の表示、使用済みランセットと検査媒体の保管区画への移動などである。
【0045】
好ましい形態では、収集および検査サイクル全体が自動化され、用具の電源を使用者が入れ、プロンプトされた後、ボタンを押したときに始動する。収集および検査サイクルはまた、サイクルを通じて、使用者が介在するのを可能にし、たとえばある工程を繰り返したり、プロセスを停止させる。たとえば切開後に、自動化サイクルが、試料の検査を続行する前に、別のボタンを押すように使用者にプロンプト表示することができる。したがって、切開に失敗した場合に、使用者は、検査媒体を無駄にすることなく、用具が同じランセットを使用して再度切開するというオプションを提供することができる。
【0046】
多数の従来型ランセットは一般に円筒形ニードル、すなわち縦方向の全長にわたり断面が円形であることを理解すべきである。この種の構造は、一般に、概して均質な剛性のランセットを提供する、すなわちすべての方向で等しく撓む。ただし、本発明で有効なランセットは、概して任意の形態をとることができ、保管位置にあるあいだはランセットがたわむことができ、作動位置にあるあいだは一般に直線であるように、少なくとも一つの方向で顕著な可撓性が存在するようにランセットを構造化したときに利点が達成されうる。この可撓性を達成するための一つのメカニズムとして、全長の少なくとも一部の断面が非円形であるようにランセットを構造化する方法がある。より詳細には、本発明の特定の実施例によるランセットの全長に沿った断面を実質的に非円形とし、より好ましくは高アスペクト比(high aspect ratio)すなわち少なくとも3のアスペクト比を持つようにすることができる。
【0047】
この高アスペクト比の横断面構造の特定の例として、本明細書に示されているランセットは概して平面状であるか、または全長に沿った断面で矩形である。たとえば、図6のランセット266は、ほぼ等しい長さLと幅Wを持っているが、長さLと幅Wはともに、ランセットの(およびテープの)厚さよりかなり長い。同様に、図1に示されているランセット28も平面状であるが、それらの全長沿いの高アスペクト比(すなわち厚さに対する幅の比)のほかに、ランセット28は、高い長さ対幅の比を備えている。非平面状の輪郭、あるいはさまざまな平面状輪郭のランセットも、たとえば、ランセット28または266の構造上の剛性を変更したり拡張したりする目的で、縦方向に伸びるリブなど、強化構造またはその他の特徴を提供することによって考案される。
【0048】
ただし、一つの形態では、このように平面状とはまったく異なってはおらず、少なくともランセットのかなりの部分、つまり主要な面の少なくとも25パーセントに沿っては、略平面である。他の形態では、ランセットの本体の主要な部分、すなわち約50%が、実質的に平面状である。他の形態では、平面状の部分が、ランセットの少なくとも一つの主要な面の少なくとも70%を構成している。
【0049】
任意の好適な材料または材料の組み合わせからランセットおよびテープを構造化可能である。たとえば、ランセットテープは、市販されている316ステンレススチール完全ハードシムストック(stainless steel full hard shim stock)や金属、プラスチックまたはプラスチック複合材から構造化された他の好適な薄膜ホイルなど、硬化ステンレススチールから構造化可能である。テープストックの好適な厚さは約1〜10ミルのあいだとすることができる。ランセットは、形状記憶合金またはその他の超可塑剤で構造化することができる。好適な形状記憶合金は、ニッケルチタン合金またはたとえば商標名FLEXINOLとして、米国カリフォルニア州コスタメッサのDYNALLOY社によって提供されているニッケルチタン合金すなわちニチロールがあげられる。一つの形態では、ニチロールは約55%のニッケルと45%のチタニウムで構成されている。
【0050】
スタンピング、フォトエッチング、レーザーカッティングおよび/またはその他の方法を採用して、テープブランク(tape blank)からランセットを生成し、鋭いかつ/または傾斜した(beveled edge)端を、ランセット上におよびオプションで毛管チャネル上に形成することができる。あるいは、ランセットを好適なキャリアテープ上に金属を堆積させることによって形成可能である。一つの実施例では、ランセットは、たとえばプラスチック製ランセット本体に鋭利な金属製の先端を接着することによって二種類の材料から作成されている。ランセットは、作動位置にあるときに大きな局面を持たないように、供給リール内での巻き取りから大きく歪むことを回避するように構造化することが好ましい。形状記憶合金や硬化ステンレススチールの使用などといった材料特性の選択は、望ましくない屈曲を緩和したり回避したりするための一つのメカニズムである。あるいはまたはこれに加えて、切開する前に残留する局面を補正するための手段を提供することができる。たとえば、テープが一組のフラットニングローラーを通過し、および/または、切開開口部(42、142、242、282、370)を、ランセットがそこを通過するときに概して平坦な方向にランセットを誘導するよう成形することができる。
【0051】
前述のように、使用前にランセットを無菌状態にしておくことが望ましい。無菌状態を維持するための一つの有効なメカニズムとして、図8に関して上に説明した滅菌カバー332などの滅菌カバーの使用があげられる。次に図10に戻ると、ランセット上に滅菌カバーを提供するためのもう一つの変容が示されている。図10には、取り外しカバー422を保持している点以外、図1のランセット20と同じであるようなランセット420供給源が描かれている。カバー422は、テープ22に接着され、少なくとも片面で、供給リール24内にあるときには好ましくは両面で、ランセット28を保護する。テープ22が送られてランセット28が作動位置に来るにともない、テークアップリール424がテープ22からカバー422を剥ぎ取り、下にあるランセット28を暴露させる。カバー422は、ローラー426と428によって形成されるテープの経路にしたがった後で、再適用リール430によってテープ22上に再配置される。テープ22上に再配置された後に、カバーとテープは保管リール26上に巻き取られる。
【0052】
供給リール24内のランセットを遮蔽することによって、カバー422は、使用前にランセットの滅菌性を保護する。さらに、保管リール26内の使用済みランセットを遮蔽することによって、カバー422が、用具420内の汚染の広がりを防止する。これらの両役割を果たすため、一つの連続カバー422を使用すると設計上の効率が存在するいっぽうで、各種カバーを利用してもよいということは理解されよう。より詳細には、1つの変容では、カバー422はテークアップリール424から再適用リール430まで引っ張り出されるわけではない。むしろ2つの独立したカバーが使用され、最初のカバーはテークアップリール424と共に除去され、第2の異なるカバーはリール430と共に利用される。
【0053】
カバー422は、滅菌保護にとって好適なように構造化することができるが、ランセット28の鋭利な先端31によって損傷を受けないだけ十分な強度を備えていなくてはならない。カバー422に好適な材料には、ポリエチレンテレフタラート、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロンなどの合成物質や各種プラスチック、紙および/または金属シートの組み合わせがある。好ましくは、カバー422はランセットの先端31の付近に孔やカットアウトをもたない。図に示されている実施例では、カバーは、その全長の大部分に沿って孔やカットアウトのない実質的に連続したテープとして構成されている。
【0054】
使用前にランセットを暴露させるために剥がされ、および/または使用後には使用済みランセットを遮蔽するために適用される滅菌カバー422の使用は図1のランセットの構造と関連して図に明確に示されているが、同じ滅菌カバー422を本明細書に記載の別の構成のどれかおよび当技術分野の当業者にとって明らかなような別の構成で使用することができる。
【0055】
本発明は、図面および前述の記述で詳細に図示および説明してきたが、本発明は、図解することを考慮したもので、その内容に制限は加えていない。特定の実施例だけを表示し、記述しており、本明細書に記載した本発明の精神の範囲内のすべての変更、等価および修正は保護することが望まれる。たとえば、同じ搬送テープ上でランセットとして検査媒体が統合されている統合切開および検査用具について記述している一方で、検査媒体は、たとえば出願公開10/164828号明細書、2002/0188224号明細書に記載されているようなテストストリップのカセットとして、たとえば構成化されたランセット搬送テープとは独立させることができる。
【0056】
本明細書に記載されている実験、実験例または実験結果は、本発明を説明することを目的としており、本発明の対象範囲に関する制限や限界を考慮するものではない。さらに、本明細書に記載されている理論、動作原理、証拠または発見は、本発明の理解をさらに高めることを意味しており、このような理論、動作原理、証拠または発見に対しいかなる方法でも本発明を制限することを目的とはしていない。このように、本説明や付属の図面の特異性を、その特異性に対し本発明の対象範囲を制限するものであると解釈してはならない。
【0057】
むしろ、本発明の対象範囲は、本明細書に付属の請求項を参照して評価すべきである。請求項を参照する際には、「1つ」、「少なくとも一つ」および「少なくとも一部」といった用語を用いるときには、請求項内で特に反対に述べていないかぎり一つの項目に請求項を制限することを意味しているわけではない。さらに、特に、その逆を述べていないかぎり、請求項には「少なくとも一つの要素」および/または「一部」一部および/または項目全体を含む。最後に、本明細書に記載のすべての文献、特許および特許申請書は、それぞれがあたかもその全体を特に、さらには個別に参照することによって本書に取り込むよう指定されているかのように、本開示と矛盾していない範囲まで参照することによって、本書に取り込まれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランセット開口部(370)を有するハウジングを含む、体液サンプリング用のシステムにおいて、体液を検査媒体(362)に接触させる方法であって、該方法が、
ランセットを作動位置に位置付けるために、ランセット(328)および検査媒体(362)を有する搬送テープ(322)を前進させる工程、
前記体液のサンプルを得るために、前記ランセット(328)をアクチベータ(360)と係合させる工程、
前記体液のサンプルを受け取るために、前記検査媒体(362)を前記ランセット開口部(370)に隣接する位置に位置付ける工程、および
前記体液のサンプルを前記検査媒体(362)に接触させる工程
とを含む方法。
【請求項2】
前記方法がさらに、前記体液のサンプルを前記検査媒体(362)に接触させる工程の後に、
光リーダー(366)により前記検査媒体(362)を読み取る工程、および
前記光リーダーによる読み取り結果を表示する工程とを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記検査媒体(362)を前記ランセット開口部(370)に隣接する位置に位置付ける工程において、前記検査媒体(362)への体液の直接搬送を促進するため、前記光リーダーが、前記検査媒体を前記ランセット開口部(370)に向かって移動させることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記体液のサンプルを前記検査媒体(362)に接触させる工程において、前記体液が、前記ランセット(328)に形成された毛管溝を介して、前記検査媒体(362)に搬送されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
ランセット開口部(370)を有するハウジングを含む、体液サンプリング用のシステムにおいて、体液を検査媒体(362)に接触させる方法であって、該方法が、
ランセットを作動位置に位置付けるために、ランセット(328)および検査媒体(362)を有する搬送テープ(322)を前進させる工程、
前記体液のサンプルを得るために、前記ランセット(328)をアクチベータ(360)と係合させる工程、
体液を得るために、前記ランセット(328)を前記アクチベータ(360)により駆動される工程、
前記ランセット(328)を前記アクチベータ(360)からの係合を解く工程、および
前記ランセット(328)を保管区画に前進させるために、前記搬送テープを前進させる工程とを含み、
前記ランセット(328)を保管区画に前進させるために、前記搬送テープを前進させる工程において、体液のサンプルと接触させるために、前記検査媒体(362)が、同時に前記ランセット開口部(370)の隣接位置に位置付けられることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記方法がさらに、前記検査媒体(362)を光リーダー(366)により読み取る工程、および前記光リーダーによる読み取り結果を表示する工程とを含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ランセット(328)を保管区画に前進させるために、前記搬送テープを前進させる工程において、前記検査媒体(362)への体液の直接搬送を促進するため、前記光リーダーが、前記検査媒体を前記ランセット開口部(370)に向かって移動させることを特徴とする請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
ランセット開口部(370)を有するハウジング、
少なくとも1つの検査媒体(362)と、所定のランセット長さおよび鋭利な先端(331)を有する先端部を有し、搬送テープに収容される少なくとも1つのランセット(328)とを有する搬送テープを備える体液サンプリング装置であって、
前記ランセットおよび前記検査媒体の両方が直接前記搬送テープ上に位置付けられるように、前記検査媒体(362)および前記ランセットの先端が、分離されてなることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記搬送テープ(322)が、複数のランセットおよび複数の検査媒体を含んでなることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記ランセット(328)が、前記搬送テープの長さ方向に沿った縦長のスロットによって画定される一組の側面部材(324)の間において、前記搬送テープ上に収容されてなることを特徴とする請求項8または9記載の装置。
【請求項11】
前記ランセットの先端(331)が、滅菌カバー(332)の下に保護され、ランセット全体が、保持材(330)により覆われ、
前記保持材(330)が、前記側面部材(324)に固定され、前記保持材(330)内の前後のアクセス開口部(342、340)によって暴露される部分のランセット(328)の保存場所を覆うことを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記装置がさらに、前記ランセットと係合し、滅菌カバー(332)から前記ランセットを引っ込め、前記保持材の前面開口部(342)に前記ランセットの先端(331)を送り込むことを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項13】
1または2以上のランセット(266)をテープに沿って備えたランセット層(264)と、前記ランセットごとに設けられた1または2以上の検査媒体(362)を支持する検査媒体層(266)を含む、複数の層が積層されテープ(270)を備えた体液サンプリング装置であって、
前記検査媒体(362)が前記ランセット層(264)に面するように、前記検査媒体層(260)が、前記ランセット層(264)に積層されてなることを特徴とする装置。
【請求項14】
前記ランセット(266)が、該ランセットに形成された毛管溝(268)を含み、該毛管溝(268)の方向に伝達される体液を受け入れるように、前記検査媒体(262)が、前記毛管溝(268)の基部と合わせて配置されてなることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記テープが、基部層(250)を備え、前記ランセット層(264)が前記基部層(250)に積層されてなることを特徴とする請求項13または14記載の装置。
【請求項16】
前記ランセット(266)のそれぞれが、所定のランセット長さ、および鋭利な先端を有する先端部を有し、前記検査媒体層(260)が使用前に前記検査媒体(262)および前記ランセット(266)の先端を覆うことを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項17】
前記テープが曲げられたときに前記ランセット(266)によって穿孔されるように、前記検査媒体層(260)が微細打ち抜き孔を含むことを特徴とする請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記装置がさらに、光学センサーを含み、前記検査媒体(262)の信号を促進するために、前記検査媒体層(260)は、利用する波長を透過させる物質からなることを特徴とする請求項16または17記載の装置。
【請求項19】
1または2以上のランセットをテープに沿って備えたランセット層と、前記ランセットごとに設けられた1または2以上の検査媒体を支持する検査媒体層を含む、複数の層が積層されテープを備えた体液サンプリング装置であって、
前記検査媒体層が前記ランセット層から空間的に離間し、前記検査媒体により、直接体液を収集するために用いられることを特徴とする装置。
【請求項20】
前記検査媒体が、前記テープの最上面に配置されてなることを特徴とする装置。
【請求項1】
ランセット開口部(370)を有するハウジングを含む、体液サンプリング用のシステムにおいて、体液を検査媒体(362)に接触させる方法であって、該方法が、
ランセットを作動位置に位置付けるために、ランセット(328)および検査媒体(362)を有する搬送テープ(322)を前進させる工程、
前記体液のサンプルを得るために、前記ランセット(328)をアクチベータ(360)と係合させる工程、
前記体液のサンプルを受け取るために、前記検査媒体(362)を前記ランセット開口部(370)に隣接する位置に位置付ける工程、および
前記体液のサンプルを前記検査媒体(362)に接触させる工程
とを含む方法。
【請求項2】
前記方法がさらに、前記体液のサンプルを前記検査媒体(362)に接触させる工程の後に、
光リーダー(366)により前記検査媒体(362)を読み取る工程、および
前記光リーダーによる読み取り結果を表示する工程とを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記検査媒体(362)を前記ランセット開口部(370)に隣接する位置に位置付ける工程において、前記検査媒体(362)への体液の直接搬送を促進するため、前記光リーダーが、前記検査媒体を前記ランセット開口部(370)に向かって移動させることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記体液のサンプルを前記検査媒体(362)に接触させる工程において、前記体液が、前記ランセット(328)に形成された毛管溝を介して、前記検査媒体(362)に搬送されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
ランセット開口部(370)を有するハウジングを含む、体液サンプリング用のシステムにおいて、体液を検査媒体(362)に接触させる方法であって、該方法が、
ランセットを作動位置に位置付けるために、ランセット(328)および検査媒体(362)を有する搬送テープ(322)を前進させる工程、
前記体液のサンプルを得るために、前記ランセット(328)をアクチベータ(360)と係合させる工程、
体液を得るために、前記ランセット(328)を前記アクチベータ(360)により駆動される工程、
前記ランセット(328)を前記アクチベータ(360)からの係合を解く工程、および
前記ランセット(328)を保管区画に前進させるために、前記搬送テープを前進させる工程とを含み、
前記ランセット(328)を保管区画に前進させるために、前記搬送テープを前進させる工程において、体液のサンプルと接触させるために、前記検査媒体(362)が、同時に前記ランセット開口部(370)の隣接位置に位置付けられることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記方法がさらに、前記検査媒体(362)を光リーダー(366)により読み取る工程、および前記光リーダーによる読み取り結果を表示する工程とを含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ランセット(328)を保管区画に前進させるために、前記搬送テープを前進させる工程において、前記検査媒体(362)への体液の直接搬送を促進するため、前記光リーダーが、前記検査媒体を前記ランセット開口部(370)に向かって移動させることを特徴とする請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
ランセット開口部(370)を有するハウジング、
少なくとも1つの検査媒体(362)と、所定のランセット長さおよび鋭利な先端(331)を有する先端部を有し、搬送テープに収容される少なくとも1つのランセット(328)とを有する搬送テープを備える体液サンプリング装置であって、
前記ランセットおよび前記検査媒体の両方が直接前記搬送テープ上に位置付けられるように、前記検査媒体(362)および前記ランセットの先端が、分離されてなることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記搬送テープ(322)が、複数のランセットおよび複数の検査媒体を含んでなることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記ランセット(328)が、前記搬送テープの長さ方向に沿った縦長のスロットによって画定される一組の側面部材(324)の間において、前記搬送テープ上に収容されてなることを特徴とする請求項8または9記載の装置。
【請求項11】
前記ランセットの先端(331)が、滅菌カバー(332)の下に保護され、ランセット全体が、保持材(330)により覆われ、
前記保持材(330)が、前記側面部材(324)に固定され、前記保持材(330)内の前後のアクセス開口部(342、340)によって暴露される部分のランセット(328)の保存場所を覆うことを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記装置がさらに、前記ランセットと係合し、滅菌カバー(332)から前記ランセットを引っ込め、前記保持材の前面開口部(342)に前記ランセットの先端(331)を送り込むことを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項13】
1または2以上のランセット(266)をテープに沿って備えたランセット層(264)と、前記ランセットごとに設けられた1または2以上の検査媒体(362)を支持する検査媒体層(266)を含む、複数の層が積層されテープ(270)を備えた体液サンプリング装置であって、
前記検査媒体(362)が前記ランセット層(264)に面するように、前記検査媒体層(260)が、前記ランセット層(264)に積層されてなることを特徴とする装置。
【請求項14】
前記ランセット(266)が、該ランセットに形成された毛管溝(268)を含み、該毛管溝(268)の方向に伝達される体液を受け入れるように、前記検査媒体(262)が、前記毛管溝(268)の基部と合わせて配置されてなることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記テープが、基部層(250)を備え、前記ランセット層(264)が前記基部層(250)に積層されてなることを特徴とする請求項13または14記載の装置。
【請求項16】
前記ランセット(266)のそれぞれが、所定のランセット長さ、および鋭利な先端を有する先端部を有し、前記検査媒体層(260)が使用前に前記検査媒体(262)および前記ランセット(266)の先端を覆うことを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項17】
前記テープが曲げられたときに前記ランセット(266)によって穿孔されるように、前記検査媒体層(260)が微細打ち抜き孔を含むことを特徴とする請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記装置がさらに、光学センサーを含み、前記検査媒体(262)の信号を促進するために、前記検査媒体層(260)は、利用する波長を透過させる物質からなることを特徴とする請求項16または17記載の装置。
【請求項19】
1または2以上のランセットをテープに沿って備えたランセット層と、前記ランセットごとに設けられた1または2以上の検査媒体を支持する検査媒体層を含む、複数の層が積層されテープを備えた体液サンプリング装置であって、
前記検査媒体層が前記ランセット層から空間的に離間し、前記検査媒体により、直接体液を収集するために用いられることを特徴とする装置。
【請求項20】
前記検査媒体が、前記テープの最上面に配置されてなることを特徴とする装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−25063(P2011−25063A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226972(P2010−226972)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【分割の表示】特願2007−511099(P2007−511099)の分割
【原出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【分割の表示】特願2007−511099(P2007−511099)の分割
【原出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
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