説明

テープ印刷装置、テープ印刷装置の制御方法、およびプログラム

【課題】言語種別に応じて好適な印刷品位のラベルを出力することができるテープ印刷装置、制御方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】テープ印刷装置1は、印刷する文字列の言語種別を検出する言語検出部(ステップS201)と、言語検出部が検出した言語種別に応じて、印刷条件を変更する印刷条件変更部(ステップS203、ステップS204、ステップS205)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ印刷装置、テープ印刷装置の制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルヘッドを有し、入力された文字列をテープ(ラベル)に印刷するテープ印刷装置が知られている。このようなサーマルヘッドを有するテープ印刷装置においては、印刷画像の1ラインの2値化印刷データをもとに印刷ビットに対応するヘッドの発熱体を通電して1ラインの印刷(印字)を行っていた。しかるに、この種のテープ印刷装置において消費される電力は、印刷ラインの総ビット数のうちの印刷ビットの割合、いわゆる印字率に大きく依存する。このため、印字率が高い印刷データを印刷する場合には消費電力が大きくなるという問題があった。
【0003】
そこで、印字率を算出し、その印字率に応じて印字速度(印刷速度)を可変設定するプリンターが知られている(例えば特許文献1)。このようなプリンターでは、消費電力を低減することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、予め印字率を算出するためには、印刷する直前のラインの印字率を算出したり、大容量の印刷画像バッファーを備えて、予め全てのラインの印字率を算出して記憶したりする必要があった。この場合、高い処理能力を備える演算装置や容量の大きなメモリーが必要となってしまうという問題があった。
【0006】
また、近年、テープ印刷装置は様々な国や地域で使用されることが多くなり、複数の言語への対応が求められている。このとき、文字形状について、印字率が高い傾向の言語や低い傾向の言語といった様々な特徴を有する言語があるため、言語の種別に応じて好適な印刷品位のラベルを出力できるテープ印刷装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係るテープ印刷装置は、言語切替を可能とし、文字列に基づいた画像をサーマルヘッドによってテープに印刷するテープ印刷装置であって、印刷する前記文字列の言語種別を検出する言語検出部と、前記言語検出部が検出した前記言語種別に応じて、印刷条件を変更する印刷条件変更部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このようなテープ印刷装置によれば、言語検出部は、印刷する文字列の言語種別を検出する。印刷条件変更部は、言語種別に応じて印刷条件を変更する。これにより、テープ印刷装置は、言語種別に適合した印刷条件で印刷することが可能になり、好適な印刷品位のラベルを出力することができる。ここで、印刷品位とは、ラベルに印刷された文字の濃淡や形状、耐久性等を示す。また、テープ印刷装置は、印刷の際に、予め印字率を算出する必要がないため、高い処理能力を備える演算装置や容量の大きなメモリーが不要となり、簡易な構成にすることができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係るテープ印刷装置において、前記印刷条件は、印刷速度を決定するための印刷速度係数であることを特徴とする。
【0011】
このようなテープ印刷装置によれば、印刷条件は、印刷速度を決定するための印刷速度係数である。これにより、テープ印刷装置は、言語種別に適合した印刷速度で印刷することが可能になり、好適な印刷品位のラベルを出力することができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に係るテープ印刷装置において、前記印刷条件は、前記サーマルヘッドを発熱させる通電時間を決定するための通電係数であることを特徴とする。
【0013】
このようなテープ印刷装置によれば、印刷条件は、サーマルヘッドを発熱させる通電時間を決定するための通電係数である。これにより、テープ印刷装置は、言語種別に適合した通電時間で印刷することが可能になり、好適な印刷品位のラベルを出力することができる。
【0014】
[適用例4]上記適用例に係るテープ印刷装置において、前記印刷条件は、1ドットラインの印刷データを複数回に分割して印刷する際の分割パターンであることを特徴とする。
【0015】
このようなテープ印刷装置によれば、印刷条件は、分割パターンである。これにより、テープ印刷装置は、言語種別に適合した分割パターンで印刷(「分割印字」ともいう。)することが可能になり、好適な印刷品位のラベルを出力することができる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に係るテープ印刷装置において、各言語種別に対応した前記印刷条件を、印刷条件テーブルとして記憶することを特徴とする。
【0017】
このようなテープ印刷装置によれば、各言語種別に対応した印刷条件を、印刷条件テーブルとして記憶する。これにより、テープ印刷装置は、言語種別に適合した印刷条件をテーブルから選択することができるため、ソフトウェアの負荷を低減することができる。
【0018】
[適用例6]上記適用例に係るテープ印刷装置において、印刷する文字列の書体種別を検出する書体検出部をさらに有し、前記印刷条件変更部は、前記言語種別および前記書体種別に応じて、前記印刷条件を変更することを特徴とする。
【0019】
このようなテープ印刷装置によれば、書体検出部は、印刷する文字列の書体種別を検出する。そして、印刷条件変更部は、言語種別および書体種別に応じて、印刷条件を変更する。これにより、テープ印刷装置は、言語種別および書体種別に適合した印刷条件で印刷することが可能になり、好適な印刷品位のラベルを出力することができる。
【0020】
[適用例7]本適用例に係るテープ印刷装置の制御方法は、言語切替を可能とし、文字列に基づいた画像をサーマルヘッドによってテープに印刷するテープ印刷装置の制御方法であって、印刷する前記文字列の言語種別を検出する言語検出ステップと、前記言語検出ステップによって検出した前記言語種別に応じて、印刷条件を変更する印刷条件変更ステップと、を備えることを特徴とする。
【0021】
このようなテープ印刷装置の制御方法によれば、言語種別に応じて印刷条件を変更する。これにより、テープ印刷装置は、言語種別に適合した印刷条件で印刷することが可能になり、好適な印刷品位のラベルを出力することができる。
【0022】
[適用例8]本適用例に係るプログラムは、コンピューターに、上記適用例に記載のテープ印刷装置の制御方法における各ステップを実行させるためのものであることを特徴とする。
【0023】
このようなプログラムをコンピューターに実行させることにより、テープ印刷装置は、言語種別に適合した印刷条件で印刷することが可能になり、好適な印刷品位のラベルを出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態のテープ印刷装置を示す斜視図。
【図2】実施形態のテープ印刷装置を示す斜視図。
【図3】テープ印刷装置の回路構成を示すブロック図。
【図4】印刷条件テーブルの説明図。
【図5】1ドットラインを分割印刷した場合の印刷結果の説明図であり、(a)は、一括印刷を行った場合の説明図、(b)は、1ドット単位で2分割印刷を行った場合の説明図、(c)は、ブロック単位で3分割印刷を行った場合の説明図。
【図6】テープ印刷装置の表示部を表す説明図であり、(a)は、文字列入力画面を表す説明図、(b)は、言語選択メニュー画面を表す説明図、(c)は、書体選択メニュー画面を表す説明図。
【図7】テープ印刷装置の言語種別の変更処理、書体種別の変更処理、および印刷処理を説明するためのフローチャート。
【図8】テープ印刷装置の印刷処理を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施形態について説明する。
【0026】
(実施形態)
本実施形態では、言語種別と書体種別に応じて、印刷速度、サーマルヘッドへの通電時間、および分割パターンを変更して画像データを印刷するテープ印刷装置について説明する。
【0027】
図1および図2は、本実施形態のテープ印刷装置を示す斜視図である。
図1および図2に示すように、テープ印刷装置1は、本体が筐体10に収容された構成を有しており、筐体10の上面手前側には、キーボード11が備えられている。キーボード11は、文字列の入力等、ユーザーによる各種入力操作を受け付ける入力部であり、仮名、漢字、アルファベット、数字、および記号等の文字列を入力可能な多数の文字キーと、テープ印刷装置1に対して各種動作を指示するための複数の制御キーとを有している。キーボード11が備える制御キーには、電源のオンとオフとを切り換えるための電源キー、漢字に変換するための変換キー、入力した文字列等を確定させるための決定キー、カーソルの移動等に用いられるカーソルキー、印刷を実行させるための印刷キー、言語選択メニュー画面を表示させるための言語選択キー、書体選択メニュー画面を表示させるための書体選択キー等が含まれる。
【0028】
筐体10の上面奥側には、液晶表示装置等からなる表示部12が備えられている。表示部12は、マトリクス状に配列された多数の画素で画像を形成するものであり、キーボード11から入力された文字の表示や、メニュー画面やメッセージ画面の表示等に用いられる。
【0029】
筐体10の上面奥側には、表示部12に隣接して、テープカートリッジ2を装着するための凹部13が形成されている。凹部13の開口部上には、開閉蓋14が開閉可能に備えられており、開閉蓋14を開放状態にすることによって、テープカートリッジ2を着脱することが可能となる。また、開閉蓋14には、透光性を有する確認窓14aが備えられており、凹部13にテープカートリッジ2が装着されているか否かを外部から視認可能になっている。凹部13の底面には、サーマルヘッド15や、搬送機構16(図3参照)を構成する回転軸16a,16bが設けられており、凹部13にテープカートリッジ2を装着すると、テープカートリッジ2に設けられた孔状のヘッド嵌合部21にサーマルヘッド15が嵌合するとともに、孔状の被駆動部22a,22bに回転軸16a,16bがそれぞれ係合する。
【0030】
テープカートリッジ2には、カートリッジケース20の内部に、ともに帯状のテープTとインクリボンRとが内蔵されている。テープTは、テープ印刷装置1の印刷媒体であり、PET(ポリエチレンテレフタレート)或いは紙材等からなる基材の裏面に接着剤層が形成され、それが剥離紙によって覆われた構成になっている。テープ印刷装置1は、テープTの幅や素材(基材の材質)、色等が異なる複数種類のテープカートリッジ2に対応可能であり、ユーザーは、用途や好みに応じたテープカートリッジ2を使用することができる。なお、テープカートリッジ2の裏面には、内蔵するテープTを識別するための複数の孔(図示せず)が設けられており、テープ印刷装置1は、凹部13の底面に備えられたマイクロスイッチ等の識別センサー19(図3参照)によって、装着されたテープカートリッジ2のテープ種別を識別することができる。ここで、テープ種別の情報にはテープ幅の情報が含まれている。
【0031】
テープカートリッジ2を凹部13に装着すると、テープTの表面は、ヘッド嵌合部21において、インクリボンRを介してサーマルヘッド15と対向する。サーマルヘッド15には、テープTの長手方向(搬送方向)と直交する方向に1列に配列された多数の発熱素子(図示せず)が形成されており、各発熱素子を選択的に発熱させることにより、インクリボンRのインクがテープTの表面に転写(熱転写)される。つまり、テープTの表面には、発熱した発熱素子に対応する位置にドットが形成される。ここで、回転軸16a,16bを回転駆動すると、テープTとインクリボンRは搬送されて、テープTはカートリッジケース20の外部に排出され、インクリボンRはカートリッジケース20の内部で巻き取られる。そして、テープTとインクリボンRとを少しずつ搬送しながら上記の熱転写を繰り返すことにより、複数のドットで構成される画像がテープTの表面に印刷される。
【0032】
筐体10の側面には、筐体10の外部と凹部13とを連通するスリット17が設けられており、カートリッジケース20から排出された印刷済みのテープTは、スリット17を通って筐体10の外部に向けて所定量だけ搬送される。筐体10の内部には、スリット17を横断するテープTを切断するためのカッターユニット18が配設されており、テープTの印刷済みの部位は、このカッターユニット18によって切り離され、テープ片(ラベル)としてスリット17の開口部(テープ排出口)から排出される。
【0033】
図3は、テープ印刷装置1の回路構成を示すブロック図である。
図3に示すように、テープ印刷装置1は、上述したキーボード11、表示部12、サーマルヘッド15、回転軸16a,16b(図2参照)を含む搬送機構16、カッターユニット18、識別センサー19の他に、テープ印刷装置1の動作を統括制御する制御部30、表示部12に画像を表示させる表示駆動部41、サーマルヘッド15を発熱駆動するヘッド駆動部42、搬送機構16を駆動する搬送駆動部43、カッターユニット18を駆動するカッター駆動部44、サーマルヘッド15近傍の温度を検出する温度センサー50等を備えている。
【0034】
制御部30は、コンピューターとして機能するものであり、互いにバス30aを介して接続されたCPU(Central Processing Unit)31、RAM(Random Access Memory)32、FlashROM(Flash Read Only Memory)33、ROM34、CGROM(キャラクタージェネレーターROM)35、入力インターフェイス(I/F)36、出力インターフェイス(I/F)37等を有している。
【0035】
CPU31は、FlashROM33やROM34に記憶されている制御プログラムに従って動作し、テープ印刷装置1全体の各種動作を制御する。
【0036】
RAM32は、揮発性の記憶装置で構成された記憶部であり、CPU31の各種処理結果や、キーボード11から入力された文字コード列、表示部12に表示させる表示画像データ、サーマルヘッド15に印刷させる印刷画像データ等を一時的に記憶する。また、文字コード列によって構成される文書データ等も記憶する。さらに、RAM32は、文書データに設定された書体種別を記憶する書体種別記憶部32aを備えている。なお、これらの文書データや書体種別記憶部32a等は、不揮発性の記憶装置であるFlashROM33に記憶してもよい。
【0037】
FlashROM33は、不揮発性の記憶装置で構成された記憶部である。FlashROM33は、制御プログラムや各種データ等を記憶する。また、FlashROM33は、設定された言語種別を記憶する言語種別記憶部33aを備えている。具体的には、言語種別記憶部33aには、例えば、日本語や繁体字中国語、簡体字中国語等といった言語の種別を表す情報が記憶されている。
【0038】
また、FlashROM33は、言語種別および書体種別に対応した印刷条件が記憶された印刷条件テーブル33bを有している。具体的には、基準の印刷速度の値に対して乗算する印刷速度係数と、サーマルヘッド15を発熱させるための基準の通電時間の値に対して乗算する通電係数と、1ドットラインの印刷データを複数回に分割して印刷する際の分割パターンとが言語種別および書体種別毎に記憶されている。
【0039】
図4は、印刷条件テーブル33bの説明図である。
図4に示すように、印刷条件テーブル33bには、言語種別および書体種別毎に、印刷速度係数、通電係数、分割パターンがマトリクスとして記憶されている。なお、本実施形態では、分割パターンは、テープ幅に応じて、一括印刷、2分割印刷、および3分割印刷に切り換え可能となっており、それぞれ、1ドット単位で分割するかブロック単位で分割するかが定められている。ここで、分割パターンに従って印刷する分割印刷(分割印字)について説明する。
【0040】
図5は、1ドットラインを分割印刷した場合の印刷結果の説明図であり、図5(a)は、一括印刷を行った場合の説明図であり、図5(b)は、1ドット単位で2分割印刷を行った場合の説明図であり、図5(c)は、ブロック単位で3分割印刷を行った場合の説明図である。
【0041】
図5(a)に示すように、一括印刷を行った場合には、1ドットラインDL1の各ドットDTは、テープ送り方向に直線状に印刷される。つまり、サーマルヘッド15の各発熱素子に対して、同時に通電が行われる。しかしながら、1ドットラインDL1の全ての発熱素子に同時に通電が行われると、消費電力が大きくなるため、電源を大きくする必要性が出てしまう。このため、図5(b)や図5(c)のような分割印刷によって、消費電力を抑制する方法が知られている。
【0042】
図5(b)に示すように、1ドット単位で2分割印刷を行った場合には、1ドットラインDL2の各ドットDTは、テープ送り方向に、1ドット単位で2回に分けられて印刷される。つまり、サーマルヘッド15の各発熱素子には、1ドット単位で2回に分けて通電が行われる。また、図5(c)に示すように、ブロック単位で3分割印刷を行った場合には、1ドットラインDL3の各ドットDTは、テープ送り方向に、ブロック単位で3回に分けられて印刷される。つまり、サーマルヘッド15の各発熱素子には、ブロック単位で3回に分けて通電が行われる。なお、本実施形態では、4ドットを1ブロックとする。このように分割印刷を行うことで、消費電力を抑制することができる。
【0043】
図3に戻り、ROM34およびCGROM35は、マスクROM等の不揮発性の記憶装置で構成された記憶部であり、ROM34には、制御プログラムや各種データ等が記憶されている。
【0044】
CGROM35には、テープ印刷装置1で印刷可能な文字のフォントデータが記憶されている。フォントデータは、サーマルヘッド15に印刷させる文字や、表示部12に表示させる文字を生成するためのビットマップ形式のデータである。ビットマップ形式のフォントデータは多数のドットで構成されており、各ドットはサーマルヘッド15の発熱素子や表示部12の画素に対応する。CGROM35には、複数のフォントのフォントデータが記憶されており、CPU31は、フォントの種別、文字サイズおよび文字コードを指定することによって、対応するフォントデータをCGROM35から取得し、このフォントデータを用いて表示画像データおよび印刷画像データを形成する。なお、フォントデータとしては、種々の文字サイズに対応させやすいアウトライン形式のフォントデータを用いるようにしてもよい。
【0045】
入力インターフェイス36には、キーボード11、識別センサー19、および温度センサー50が接続されている。ユーザーによりキーボード11が操作されると、キーボード11は、この操作を受け付けて、操作されたキーに対応するキー情報を、入力インターフェイス36を介してCPU31に出力する。また、識別センサー19は、装着されたテープカートリッジ2のテープ種別に応じた識別情報(テープ幅の情報を含む)を、入力インターフェイス36を介してCPU31に出力する。また、温度センサー50は、印刷時に、サーマルヘッド15近傍の温度の情報を、入力インターフェイス36を介してCPU31に出力する。
【0046】
出力インターフェイス37には、表示駆動部41、ヘッド駆動部42、搬送駆動部43、およびカッター駆動部44が接続されており、これらは、CPU31の制御に基づいて、表示部12、サーマルヘッド15、搬送機構16、およびカッターユニット18をそれぞれ駆動する。
【0047】
上記のように構成されたテープ印刷装置1において、ユーザーにより電源キーが操作されると、テープ印刷装置1は、動作を開始し、文字キーによる文字の入力や、制御キーによる各種指示が可能な状態となる。
【0048】
ここで、ユーザーにより文字キーが操作されて文字が入力されると、キーボード11は、この入力を受け付けて制御部30にキー情報を出力する。制御部30は、キーボード11から入力されるキー情報に基づいて、入力された文字の文字コードを特定し、この文字コードをRAM32に記憶する。そして、この文字コードに対応するフォントデータをCGROM35から取得し、このフォントデータを用いて表示画像データを形成する。制御部30がこの表示画像データを表示駆動部41に供給すると、入力された文字が表示部12に表示される。そして、ユーザーが文字の入力を複数回繰り返せば、RAM32には、複数の文字コードを含んだ文字コード列(テキストデータ)が記憶され、表示部12には、複数の文字からなる文字列が表示される。
【0049】
文字(文字列)が入力された後、ユーザーにより印刷キーが操作されると、テープ印刷装置1は、印刷処理を実行する。
【0050】
また、テープ印刷装置1は、表示および印刷において使用される言語を変更することができる。言語の変更は、言語選択メニュー画面を表示して、ユーザーに選択させる。また、テープ印刷装置1は、印刷において使用される文字の書体を変更することができる。書体の変更は、書体選択メニュー画面を表示して、ユーザーに選択させる。
【0051】
ここで、文字列入力画面、言語選択メニュー画面、および書体選択メニュー画面について説明する。
図6は、テープ印刷装置1の表示部12を表す説明図であり、図6(a)は、文字列入力画面を表す説明図であり、図6(b)は、言語選択メニュー画面を表す説明図であり、図6(c)は、書体選択メニュー画面を表す説明図である。
【0052】
図6(a)は、ユーザーに文字列を入力させる文字列入力画面G1である。文字列入力画面G1には、行番号を表す記号およびユーザーによって入力された文字列が表示されている。文字列入力画面G1において、キーボード11に備わる言語選択キーが押下されると、言語種別を選択させる言語選択メニュー画面が表示される。また、文字列入力画面G1において、キーボード11に備わる書体選択キーが押下されると、書体種別を選択させる書体選択メニュー画面が表示される。
【0053】
図6(b)は、言語選択メニュー画面G2である。言語選択メニュー画面G2の最上部には、言語選択メニュー画面であることを表す「言語選択」の文字列が表示されている。その下には、順番に、「日本語」、「繁体字中国語」、「簡体字中国語」の文字列が表示されている。ユーザーは、キーボード11に備わるカーソルキーを押下し、さらに決定キーを押下することで、「日本語」、「繁体字中国語」、および「簡体字中国語」のいずれかを選択することができる。選択された言語種別は、言語種別記憶部33aに記憶される。ここで、選択中の項目は、白黒反転した文字で表示される。なお、本実施形態では、選択可能な言語種別は、「日本語」、「繁体字中国語」、および「簡体字中国語」としているが、これに限定するものではない。
【0054】
図6(c)は、書体選択メニュー画面G3である。書体選択メニュー画面G3の最上部には、書体選択メニュー画面であることを表す「書体選択」の文字列が表示されている。その下には、順番に、「明朝」、「ゴシック」の文字列が表示されている。ユーザーは、キーボード11に備わるカーソルキーを押下し、さらに決定キーを押下することで、「明朝」、および「ゴシック」のいずれかを選択することができる。選択された書体は、書体種別記憶部32aに記憶される。ここで、選択中の項目は、白黒反転した文字で表示される。なお、本実施形態では、選択可能な言語種別は、「明朝」および「ゴシック」としているが、これに限定するものではない。
【0055】
次に、テープ印刷装置1の言語種別の変更処理や、書体種別の変更処理、印刷の処理について説明する。
図7は、テープ印刷装置1の言語種別の変更処理、書体種別の変更処理、および印刷処理を説明するためのフローチャートである。
【0056】
ユーザーによって電源オンの操作がなされると、制御部30は、言語種別記憶部33aから言語種別を読み出す(ステップS101)。そして、制御部30は、キーボード11からの入力に基づき、言語種別に従った言語での文字列入力を受け付ける(ステップS102)。
【0057】
次に、制御部30は、キーボード11に備わる言語選択キーの押下を受け付けたか否かを判断する(ステップS103)。言語選択キーの押下を受け付けた場合(ステップS103:YES)、制御部30は、表示駆動部41に指示を出し、言語選択メニュー画面G2を表示させて、ユーザーに言語種別を選択させる(ステップS104)。そして、制御部30は、選択された言語種別を言語種別記憶部33aに記憶する(ステップS105)。さらに、制御部30は、選択された言語種別に従った画面表示に切り換えて、表示駆動部41に表示させる(ステップS106)。そして、ステップS102に移行し、言語種別に従った言語での文字列入力を受け付ける。
【0058】
言語選択キーの押下を受け付けていない場合(ステップS103:NO)、制御部30は、キーボード11から書体選択キーの押下を受け付けたか否かを判断する(ステップS107)。書体選択キーの押下を受け付けた場合(ステップS107:YES)、制御部30は、表示駆動部41に指示を出し、書体選択メニュー画面G3を表示させて、ユーザーに書体種別を選択させる(ステップS108)。そして、制御部30は、選択された書体種別を書体種別記憶部32aに記憶する(ステップS109)。そして、ステップS102に移行し、言語種別に従った言語での文字列入力を受け付ける。
【0059】
書体選択キーの押下を受け付けていない場合(ステップS107:NO)、制御部30は、キーボード11から印刷キーの押下を受け付けたか否かを判断する(ステップS110)。印刷キーの押下を受け付けた場合(ステップS110:YES)、制御部30は、言語種別および書体種別に応じた印刷制御方法を決定し、その印刷制御方法に基づいて印刷を行う(ステップS111)。この印刷の処理については、図8で詳細を説明する。印刷が終わると、ステップS102に移行し、言語種別に従った言語での文字列入力を受け付ける。
【0060】
印刷キーの押下を受け付けていない場合(ステップS110:NO)、ステップS102に移行し、言語種別に従った言語での文字列入力を受け付ける。
【0061】
次に、テープ印刷装置1の印刷処理について説明する。
図8は、テープ印刷装置1の印刷処理を説明するためのフローチャートである。
【0062】
ユーザーによってキーボード11に備わる印刷キーが押下されると、制御部30は、言語種別記憶部33aから言語種別を読み出す(ステップS201)。このときの制御部30が、言語検出部に相当する。さらに、制御部30は、書体種別記憶部32aから現在の文書データに設定されている書体種別を読み出す(ステップS202)。このときの制御部30が、書体検出部に相当する。
【0063】
そして、制御部30は、印刷条件テーブル33bから、言語種別および書体種別に応じた印刷速度係数を読み出す(ステップS203)。さらに、制御部30は、印刷条件テーブル33bから、言語種別および書体種別に応じた通電係数を読み出す(ステップS204)。さらに、制御部30は、印刷条件テーブル33bから、言語種別、書体種別、およびテープ幅に応じた分割パターンを読み出す(ステップS205)。ステップS203からステップS205までの処理を行う制御部30が、印刷条件変更部に相当する。
【0064】
制御部30は、温度センサー50によってサーマルヘッド15近傍の温度を検出する(ステップS206)。そして、制御部30は、テープ幅に対応する基準の印刷速度および印刷速度係数に基づいて、印刷速度を決定する(ステップS207)。次に、制御部30は、温度と基準の通電時間と通電係数とに基づいて、サーマルヘッド15を発熱させる通電時間を決定する(ステップS208)。そして、制御部30は、決定した印刷速度、通電時間、および分割パターンに基づいて、搬送駆動部43およびヘッド駆動部42を制御して、1ライン分の印刷を行う(ステップS209)。
【0065】
制御部30は、印刷データが最終ラインとなったか否かを判断する(ステップS210)。印刷データが最終ラインとなっていなければ(ステップS210:NO)、ステップS206に移行し、次の1ライン分の印刷を行う。印刷データが最終ラインとなっていれば(ステップS210:YES)、印刷処理を終了する。
【0066】
上述したように、テープ印刷装置1は、言語種別や書体種別を変更することが可能であり、その言語種別や書体種別に応じた印刷条件で印刷を行うことができる。
【0067】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)テープ印刷装置1は、印刷条件テーブル33bを備え、言語種別および書体種別に応じて印刷条件を変更する。これにより、テープ印刷装置1は、言語種別および書体種別に適合した印刷条件で印刷することができるため、好適な印刷品位を得ることができる。また、テープ印刷装置1は、印刷の際に予め印字率を算出して印刷条件を変更する必要がない。よって、テープ印刷装置1は、高い処理能力を備えるCPUや容量の大きなメモリーが不要となり、簡易な構成にすることができる。また、テープ印刷装置1は、印刷条件をテーブルとして記憶しており、印刷条件を容易に選択することができるため、ソフトウェアの負荷を低減することができる。
【0068】
(2)テープ印刷装置1が有する印刷条件テーブル33bには、印刷速度を決定するための印刷速度係数を含んでいる。これにより、テープ印刷装置1は、言語種別および書体種別に適合した印刷速度で印刷することができるため、好適な印刷品位を得ることができる。例えば、繁体字中国語等の印字率の高い言語の場合は、印刷条件テーブル33bの印刷速度係数を小さくておき、ラテン文字等の印字率の低い言語の場合は、印刷速度係数を大きくしておく。これにより、印刷速度を最適化することができる。
【0069】
(3)テープ印刷装置1が有する印刷条件テーブル33bには、サーマルヘッド15を発熱させる通電時間を決定するための通電係数を含んでいる。これにより、テープ印刷装置1は、言語種別および書体種別に適合した通電時間で印刷することができるため、好適な印刷品位を得ることができる。例えば、繁体字中国語等の印字率の高い言語の場合は、印刷条件テーブル33bの通電係数を小さくておき、ラテン文字等の印字率の低い言語の場合は、通電係数を大きくしておく。これにより、通電時間を最適化することが可能となり、ラベルに印刷された文字の印刷濃度を最適化することができる。
【0070】
(4)テープ印刷装置1が有する印刷条件テーブル33bには、1ドットラインの印刷データを複数回に分割して印刷する際の分割パターンを含んでいる。これにより、テープ印刷装置1は、言語種別および書体種別に適合した分割パターンで印刷することができるため、好適な印刷品位を得ることができる。例えば、テープ幅方向の直線を多く含む言語等は、分割パターンをブロック単位にすることで、テープ幅方向の輪郭線のぎざぎざが低減され、滑らかで好適な印刷品位を得ることができる。
【0071】
(5)テープ印刷装置1は、印刷条件テーブル33bを備え、言語種別および書体種別に応じて、適切な印刷速度や通電時間、分割パターンで印刷するため、不必要な電力の消費を低減することができる。
【0072】
また、上述した実施形態は、上記機能を実現するためのプログラムをコンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体等の態様で構成することも可能である。記録媒体としては、フレキシブルディスクやハードディスク、CDやDVD、Blu−ray Disc(登録商標)等の光ディスク、光磁気ディスク、不揮発性の半導体メモリーを搭載したメモリーカードやUSBメモリー、テープ印刷装置の内部記憶装置(RAMやROM等の半導体メモリー)等、前記コンピューターが読み取り可能な種々の媒体を利用することができる。
【0073】
なお、上述した実施形態に限定されず、種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0074】
(変形例1)上記実施形態では、テープ印刷装置1の印刷条件は、言語種別および書体種別に応じて決定するものとしたが、言語種別または書体種別のいずれかに応じて決定するものとしてもよい。
【0075】
(変形例2)上記実施形態では、テープ印刷装置1の印刷条件は、言語種別および書体種別に応じて決定するものとしたが、文書データの行数や文書データに設定されている文字装飾の種別をさらに加味して決定してもよい。例えば、印刷条件テーブルを、行数や装飾種別を含むテーブルにしてもよいし、行数や装飾種別に応じた係数を印刷速度や通電時間に対して乗算してもよい。
【0076】
(変形例3)上記実施形態では、テープ印刷装置1の印刷条件は、印刷条件テーブル33bとしてテーブルで記憶するものとしているが、印刷条件の記憶方法はテーブルに限定するものではない。
【0077】
(変形例4)上記実施形態では、テープ印刷装置1は、言語種別は1つの種類に設定されるものとしたが、複数の言語を含む文書データを作成できるようにしてもよい。この場合、複数の言語のうち、いずれか1つの言語の印刷条件に基づいて印刷を行うものとしてもよい。例えば、文書データ全体のうち、文字数の比率が多い言語の印刷条件に基づいて印刷を行ってもよい。
【0078】
(変形例5)上記実施形態では、印刷条件テーブル33bは、FlashROM33に記憶するものとしたが、不揮発性のメモリーであるROM34等に記憶してもよい。
【0079】
(変形例6)上記実施形態では、テープ印刷装置1は、書き込み可能な不揮発性の記憶装置として、FlashROM33を有するものとしたが、書き込み可能な不揮発性の記憶装置であれば、FlashROMに限定するものではない。
【符号の説明】
【0080】
1…テープ印刷装置、2…テープカートリッジ、10…筐体、11…キーボード、12…表示部、15…サーマルヘッド、16…搬送機構、18…カッターユニット、19…識別センサー、30…制御部、31…CPU、32…RAM、32a…書体種別記憶部、33…FlashROM、33a…言語種別記憶部、33b…印刷条件テーブル、34…ROM、35…CGROM、36…入力インターフェイス、37…出力インターフェイス、41…表示駆動部、42…ヘッド駆動部、43…搬送駆動部、44…カッター駆動部、50…温度センサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
言語切替を可能とし、文字列に基づいた画像をサーマルヘッドによってテープに印刷するテープ印刷装置であって、
印刷する前記文字列の言語種別を検出する言語検出部と、
前記言語検出部が検出した前記言語種別に応じて、印刷条件を変更する印刷条件変更部と、
を備えることを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載のテープ印刷装置であって、
前記印刷条件は、印刷速度を決定するための印刷速度係数であることを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載のテープ印刷装置であって、
前記印刷条件は、前記サーマルヘッドを発熱させる通電時間を決定するための通電係数であることを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項4】
請求項1に記載のテープ印刷装置であって、
前記印刷条件は、1ドットラインの印刷データを複数回に分割して印刷する際の分割パターンであることを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のテープ印刷装置であって、
各言語種別に対応した前記印刷条件を、印刷条件テーブルとして記憶することを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のテープ印刷装置であって、
印刷する文字列の書体種別を検出する書体検出部をさらに有し、
前記印刷条件変更部は、前記言語種別および前記書体種別に応じて、前記印刷条件を変更することを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項7】
言語切替を可能とし、文字列に基づいた画像をサーマルヘッドによってテープに印刷するテープ印刷装置の制御方法であって、
印刷する前記文字列の言語種別を検出する言語検出ステップと、
前記言語検出ステップによって検出した前記言語種別に応じて、印刷条件を変更する印刷条件変更ステップと、
を備えることを特徴とするテープ印刷装置の制御方法。
【請求項8】
コンピューターに、請求項7に記載のテープ印刷装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−240505(P2011−240505A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111828(P2010−111828)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】