説明

テープ貼付け装置

【課題】空気の閉じ込みや皺寄り等が発生することなくテープをワークへ正確に貼付け可能なテープ貼付け装置を提供する。
【解決手段】テープ取り出しヘッド21のヘッド面21cが凸形状を有するゴム板21bによって構成されているので、ロボット41が、テープ取り出しヘッド21のヘッド面21cにて保持されたテープTに対してワークWを押し当てることにより、ヘッド面21cを構成するゴム板21bが押圧力によって弾性変形し、ゴム板21bの凸形状に沿ってテープTが一部分から全体へ順次押圧される。よって、テープTの粘着面TnとワークWのハウジング端面Wtとの間の空気を追い出しながらテープTがワークWに貼付けられることにより、空気の閉じ込みや皺寄り等の発生を防止して正確な貼付けを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープをワークへ自動的に貼り付けるためのテープ貼付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テープやラベル等をワークへ自動的に貼付けるための各種の装置が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1、2等参照。)。例えば、ハウジング端面に油圧穴が設けられた車両搭載用装置は、出荷されてから工場で車両に組付けられるまでの間に油圧穴へゴミ等の異物が入るのを防止するため、出荷時に油圧穴を塞ぐテープが貼付けられる。ここで、図11は、従来例のテープ貼付け装置101においてワーク(車両搭載用装置)WにテープTを貼り付ける様子を示す図である。図11に示すように、多関節ロボット141のハンド141aでワークWを把持する一方、テープTを粘着面Tnを表に向けてテープ取り出しヘッド121の平坦なヘッド面121cに取り出し保持し、ロボット141のアーム141bを駆動してワークWをテープ取り出しヘッド121のヘッド面121cに対して押し当てることによりテープTの貼り付けが行われている。
【特許文献1】特開2005−22676号公報
【特許文献2】特開平8−268419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のテープ貼付け装置101においては、テープ取り出しヘッド121の平坦なヘッド面121cに保持されたテープTにワークWを押し当てる際に、ワークW端面とテープTの粘着面Tnとの間に空気が進入することによる空気の閉じ込みや皺寄り等の貼付け不良が発生する場合があるという問題がある。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、空気の閉じ込みや皺寄り等が発生することなくテープをワークへ正確に貼付け可能なテープ貼付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
【0006】
1.粘着面を有するテープをワークの所定位置に自動的に貼り付けるように構成されたテープ貼付け装置において、
前記テープを前記粘着面を表に向けてヘッド面に取り出し保持するテープ取り出しヘッドと、
前記テープ取り出しヘッドの前記ヘッド面にて保持された前記テープに対して前記ワークを押し当てるワーク押し当て手段と
を備え、
前記テープ取り出しヘッドは、前記ヘッド面が凸形状を有する弾性体によって構成されたことを特徴とするテープ貼付け装置。
【0007】
手段1によれば、テープ取り出しヘッドのヘッド面が凸形状を有する弾性体によって構成されているので、テープ取り出しヘッドがテープを粘着面を表に向けヘッド面に取り出し保持し、ワーク押し当て手段が、テープ取り出しヘッドのヘッド面にて保持されたテープに対してワークを押し当てることにより、ヘッド面を構成する弾性体が押圧力によって弾性変形し、弾性体の凸形状に沿ってテープの一部分から全体へ順次押圧される。よって、テープの粘着面とワークとの間の空気を追い出しながらテープがワークに貼付けられることにより、空気の閉じ込みや皺寄り等の発生を防止して正確な貼付けを行うことができる。
【0008】
2.前記弾性体は、円弧状の凸曲面を有することを特徴とする手段1に記載のテープ貼付け装置。
【0009】
手段2によれば、テープ取り出しヘッドのヘッド面を構成する弾性体が円弧状の凸曲面を有するので、ワーク押し当て手段がテープ取り出しヘッドのヘッド面にて保持されたテープに対してワークを押し当てることにより、ヘッド面を構成する弾性体が押圧力によって弾性変形し、弾性体の円弧状の凸曲面に沿ってテープが一部分から全体へ順次押圧され、テープの粘着面とワークとの間の空気を確実に追い出して、空気の閉じ込みや皺寄り等の発生を確実に防止することができる。
【0010】
3.前記テープ取り出しヘッドは、前記テープの長手方向が前記ヘッド面の円弧に沿うように前記テープを保持することを特徴とする手段1又は2に記載のテープ貼付け装置。
【0011】
手段3によれば、テープ取り出しヘッドは、テープの長手方向がヘッド面の円弧に沿うようにテープを保持するので、ワーク押し当て手段がテープ取り出しヘッドのヘッド面にて保持されたテープに対してワークを押し当てることにより、ヘッド面を構成する弾性体が押圧力によって弾性変形し、テープが長手方向に沿って一部分から全体へ順次押圧され、テープの粘着面とワークとの間の空気をより確実に追い出すことができる。
【0012】
4.前記弾性体は、ゴムからなることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のテープ貼付け装置。
【0013】
手段4によれば、テープ取り出しヘッドがテープを粘着面を表に向けてヘッド面に取り出し保持し、ワーク押し当て手段が、テープ取り出しヘッドのヘッド面にて保持されたテープに対してワークを押し当てることにより、ヘッド面を構成するゴムが押圧力によって確実に弾性変形し、ゴムの凸形状に沿ってテープが一部分から全体へ順次押圧されるので、テープの粘着面とワークとの間の空気を追い出しながらテープがワークに貼付けられることにより、空気の閉じ込みや皺寄り等の発生を防止して正確な貼付けを行うことができる。また、弾性体の材質としてゴムを用いることにより、テープ取り出しヘッドのヘッド面を簡単且つ安価に作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のテープ貼付け装置を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ具体的に説明する。図1は、本発明の一実施形態のテープ貼付け装置1の全体構成を示す模式図である。
【0015】
テープ貼付け装置1は、ワークWの所定位置にテープTを自動的に貼付けるための装置であって、図1に示すように、テープ剥離機構10と、テープ台14と、テープ取り出し・搬送機構20と、位置ずれ検査ユニット30と、ロボットユニット40と、ホストコントローラ50とを主要部として構成されている。
【0016】
最初に、テープ貼付けの対象物であるワークW及びテープTについて図2及び図3を参照しつつ説明する。図2は、ワークWを端面側から視た図である。図3(a)は、テープTの平面図であり、同図(b)は、テープTがワークWのハウジング端面Wtの所定位置に貼付けられた状態を示す図である。
【0017】
ワークWは、車両に搭載されるABS(アンチロック・ブレーキ・システム)ユニットであり、図2に示すように、アルミニウム製のハウジングの端面Wtに油圧穴Wpが複数個設けられている。
【0018】
テープTは、図3(a)に示すように、透明な樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート)からなる短冊形のフィルム部材であり、裏面の長手方向両端部(図3で一点鎖線の外側)以外の領域が粘着面Tnとなっている。テープTは、所定サイズ(例えば、長さ113mm×幅22mm)の長方形状に加工されており、図3(b)に示すように、ワークWのハウジング端面Wtの所定位置に貼付けられて複数の油圧穴Wpを塞ぎ、油圧穴Wp内にゴミ等の異物が入り込むことを防止する。また、テープTは、ワークWの車両への組付け時に作業者が剥がし易いように、長手方向両端部がハウジング端面Wtからはみ出した状態で貼付けられる。尚、テープTは、ワークWへの貼り付けが行われる前、後述するように台紙D上に剥離可能に貼付けられた状態となっている。
【0019】
次に、テープ貼付け装置1各部の構成について図1,図4及び図5を参照しつつ説明する。図4は、台紙ロール11を示す斜視図である。図5(a)は、テープ取り出し・搬送機構20の概略構成を示す側面図であり、同図(b)は、テープ取り出しヘッド21を示す斜視図である。
【0020】
まず、テープ剥離機構10の構成について説明する。テープ剥離機構10は、紙に剥離材を塗工してなる台紙DからテープTを一枚ずつ剥離させるための装置であって、図1に示すように、台紙ロール11と、送りローラ12と、エッジ部材13とを備えている。
【0021】
台紙ロール11は、テープ剥離機構10の上流側に設けられ、図4に示すように、複数の短冊状のテープTが所定間隔で配置され剥離可能に貼付けられた長尺状の台紙Dをロール巻きにしてなる部材である。尚、台紙ロール11における各テープTの配置は、各々の長手方向が台紙D繰り出し方向と直交する向きとなっている。
【0022】
送りローラ12は、テープ取り出し機構10の下流側に設けられ、台紙Dを挟む駆動側と従動側とからなる一対のローラであり、ホストコントローラ50からの指令に基づいて送りモータ12aによって駆動側ローラが回転駆動されることにより、従動側ローラとの間に挟まれた台紙Dを下流側へ送り出す。
【0023】
エッジ部材13は、台紙ロール11と送りローラ12との間に設けられた台紙Dの幅よりもやや大きい幅を有する板状部材であって、台紙Dの繰り出し方向に向かって先端が鋭角状に加工されている。台紙ロール11から繰り出された台紙Dは、送りローラ12によって下流側に引っ張られてエッジ部材12先端で鋭角状に折り返されることにより、テープTが1枚ずつ剥離される。
【0024】
次に、テープ台14の構成について説明する。テープ台14は、樹脂製の板状部材であって、テープ剥離機構10のエッジ部材13先端近傍に隙間を隔てて配置される。テープ台14は、エッジ部材13先端において台紙Dから剥離し始めたテープTの粘着面側を案内することにより、台紙Dに伴われてテープTが下流側へ送られるのを阻止する。
【0025】
さらに、テープ台14にはテープセンサ15が取付けられている。テープセンサ15は、台紙Dから剥離したテープT全体がテープ台14へ繰り出されたことを検知するための光学式センサであって、例えば、レーザ反射型センサによって構成される。テープセンサ15においてテープTが検知されると、その検知結果がホストコントローラ50へ信号として送られる。
【0026】
次に、テープ取り出し・搬送機構20の構成について説明する。テープ取り出し・搬送機構20は、テープ剥離機構10によって台紙Dより剥離されたテープTの取り出し及び搬送を行うための装置であり、図5(a)に示すように、テープ取り出しヘッド21と、テープ取り出しヘッド21を水平方向及び垂直方向に移動させるためのヘッド駆動機構22とを備えている。
【0027】
テープ取り出しヘッド21は、図5(a),(b)に示すように、金属製のヘッド本体21aの上面に、円弧状の凸曲面をなすヘッド面21cを有するゴム板21bを貼付けて構成され、1枚のテープTをゴム板21b上面のヘッド面21cにて保持できるようになっている。また、テープ取り出しヘッド21には、エア吸引・噴出装置23によりエアの吸引又は噴出を行うために、ヘッド面21cに開口する複数のエア孔21dが設けられている。そして、テープ剥離機構10からのテープT取り出し時には、ホストコントローラ50からの指令によりエア吸引・噴出装置23がエア吸引動作を行うことにより、テープTがエア孔21dからのエア吸引によってヘッド面21cに取り出し保持される。
【0028】
一方、テープTのワークWへの貼り付け時には、ホストコントローラ50からの指令によりエア吸引・噴出装置23がエア噴出動作を行うことにより、テープTはエア孔21dからのエア噴出によってヘッド面21cからの離脱が図られる。また、エア吸引・噴出装置23は、エア孔21d内の空気圧を検出するための図示しない空気圧センサを内蔵している。
【0029】
ヘッド駆動機構22は、テープ取り出しヘッド21を水平方向及び垂直方向に駆動するための装置であり、ホストコントローラ50からの指令に基づいて動作する。ヘッド駆動機構22は、テープ取り出しヘッド21を水平方向の異なる三カ所の停止位置、すなわち、テープ取り出し動作位置P1、位置ずれ検査位置P2、テープ貼付け動作位置P3に移動させて停止させることができる。また、ヘッド駆動機構22は、テープ取り出しヘッド21を、通常位置と、通常位置よりも高い上昇位置との間で昇降動作可能に構成されている。尚、テープ取り出し動作位置P1は、テープ剥離機構10からテープ取り出しヘッド21へのテープTの取り出し動作が行われる時の停止位置である。位置ずれ検査位置P2は、位置ずれ検査ユニット30によりテープTの位置ずれ検出が行われる時の停止位置である。テープ貼付け動作位置P3は、ロボットユニット40によりワークWへのテープTの貼り付け動作が行われる時の停止位置である。
【0030】
次に、位置ずれ検査ユニット30の構成について説明する。位置ずれ検査ユニット30は、テープ取り出しヘッド21に保持されたテープTの位置ずれを画像処理によって検査するための装置であって、図1に示すように、CCDカメラ31と、カメラコントローラ32と、照明装置33とから構成される。
【0031】
CCDカメラ31は、公知のCCD(電荷結合素子)カメラであって、カメラコントローラ32からの指令に基づいてテープTの画像を撮像し、その画像データをカメラコントローラ32へ送出する。
【0032】
カメラコントローラ32は、CCDカメラ31の動作を制御するための制御装置であって、CPU,ROM,RAM,ハードディスク装置(HDD),ディスプレイ等を備えたコンピュータによって構成される。HDD32dは、カメラ制御プログラム、位置ずれ検査プログラム等を記憶すると共に、テープTのマスタ位置に関する情報を記憶している。
【0033】
照明装置33は、CCDカメラ31によりテープTを撮像する際の照明を行うための装置であって、公知の電球やLED(発光ダイオード)等によって構成される。本実施形態では、照明装置33を常時点灯させておくように構成されているが、ホストコントローラ50からの指令によって点灯・消灯するように構成してもよい。
【0034】
次に、ロボットユニット40の構成について説明する。ロボットユニット40は、ワークWの移動や、テープTの貼付け(テープTを保持するテープ取り出しヘッド11への押し当て動作)等を行うための装置であって、ロボット41と、ロボットコントローラ42とから構成される。
【0035】
ロボット41は、物体を把持可能なハンド41aと、腕及び関節を複数有するアーム41bとを備え、上下方向、水平方向及び回転方向に動作可能に構成された公知の垂直多関節ロボットである。
【0036】
ロボットコントローラ42は、ロボット41の動作を制御するための制御装置であって、CPU,ROM,RAM,ハードディスク装置,ディスプレイ等を備えたコンピュータによって構成される。ハードディスク装置は、ロボット制御プログラムを記憶している。
【0037】
ホストコントローラ50は、送りモータ12a、ヘッド駆動機構22、カメラコントローラ32、ロボットコントローラ42へ動作指令を行うことによりテープ貼付け装置1全体の動作を制御するための制御装置であって、CPU,ROM,RAM,ハードディスク装置,ディスプレイ等を備えたコンピュータによって構成される。また、ホストコントローラ50には、テープセンサ15、エア吸引・噴出装置23に内蔵された空気圧センサ等からの検出結果が入力される。
【0038】
次に、上述した構成を有するテープ貼付け装置1によってワークWの所定位置にテープTを貼付ける一連の動作における各部の作用について説明する。尚、初期状態において、ヘッド駆動機構22は、テープ台13の真下(すなわち、テープ取り出し動作位置P1)に停止しているものとする。
【0039】
まず、ワークWが図示しないベルトコンベアによって所定位置まで搬送されてくると、ホストコントローラ50は、ワークWをテープ貼付け動作位置P3へ移動させるようにロボットコントローラ42への指令を行う。
【0040】
ロボットコントローラ42は、ホストコントローラ50からの指令に基づいてロボット41のハンド41a及びアーム41bを駆動制御し、ハンド41aで把持したワークWをテープ貼付け動作位置P3へ移動させ、その位置で待機させる。
【0041】
一方、ホストコントローラ50は、テープ剥離機構10の送りモータ12aを駆動する。台紙Dは、送りローラ12の回転によって台紙ロール11から繰り出され、エッジ部材13の先端で鋭角状に折り返されることによりテープTが剥離される。台紙Dから剥離して繰り出されるテープTは、粘着面Tn側がテープ台14下面に接触して案内される。テープセンサ15は、台紙Dから剥離したテープT全体がテープ台14に繰り出されたことを検知すると、ホストコントローラ50へテープ検知信号を送出する。ホストコントローラ50は、テープ検知信号の受信に基づいて送りモータ12aの駆動を停止させ、これにより台紙Dの繰り出しが停止される。
【0042】
また、これと同時に、ホストコントローラ50は、ヘッド駆動機構22を駆動してテープ取り出しヘッド21を上昇位置まで上昇させると共に、エア吸引・噴出装置23によりエア吸引を開始する。これにより、テープTは、テープ台14側からテープ取り出しヘッド21側へ吸引されて確実に取り出され、粘着面Tnを表に向けた状態でヘッド面21cにて保持される。図6は、テープTがテープ取り出しヘッド21のヘッド面21cに保持された状態を示す斜視図である。テープTは、図6に示すように、その長手方向がヘッド面21cの円弧に沿うように取り出されて、ヘッド面21cにて保持される。そして、エア吸引・噴出装置23の空気圧センサによってエア孔21d内の空気圧が所定値以上に上昇したことが検知されると、ホストコントローラ50は、テープ取り出しヘッド21のヘッド面21cにテープTが保持されたと判断する。
【0043】
次に、ホストコントローラ50は、ヘッド駆動機構22を駆動してテープ取り出しヘッド21を通常位置まで下降させた状態で、水平方向に駆動して位置ずれ検査位置P2まで移動させて停止し、さらに上昇位置まで上昇させる。
【0044】
テープ取り出しヘッド21が、位置ずれ検査位置P2に停止すると、ホストコントローラ50は、カメラコントローラ32へ位置ずれ検出の実施を指令する。カメラコントローラ32は、CCDカメラ31に撮像の実行を指令し、CCDカメラ31はテープTの画像を撮像する。
【0045】
CCDカメラ31によって、テープTの画像が撮像されると、その画像データがカメラコントローラ32に送出される。そして、カメラコントローラ32は、CCDカメラ31から取り込んだテープTの画像データに基づいて画像認識処理を実行して、テープ取り出しヘッド21のヘッド面21cにおけるテープTの位置を検出し、予めHDD32dに記憶されたマスタ位置情報とのずれの大きさを算出する。
【0046】
位置ずれ検査ユニット30における位置ずれ検査処理が終了すると、ホストコントローラ50の指令によりヘッド駆動機構22が水平方向に駆動されてテープ貼付け動作位置P3まで移動する。ロボットコントローラ42は、カメラコントローラ32から受信した位置ずれ補正データに基づいてロボット41のアーム41bを駆動してワークWの保持位置を補正する。
【0047】
次に、ロボット41は、アーム41bを駆動してワークWを把持するハンド41aを下降させて、粘着面Tnを表に向けてテープTを保持するテープ取り出しヘッド21のヘッド面21cへワークWを押し当てる。図7は、ワークWを把持するハンド41aの下降開始直後の状態を示す図であり、図8は、ワークWがヘッド面21cに保持されたテープTへの当接直後の状態を示す図である。図8に示すように、テープ取り出しヘッド21のヘッド面21cは、円弧状の凸曲面をなしているので、ワークWは、最初にヘッド面21cの最上部に保持されたテープTの一部分に当接する。続いて、ロボット41がワークWを把持するハンド41aをさらに下降させると、ゴム板21bが押圧力によって弾性変形し、ヘッド面21cの円弧状の凸曲面に沿ってテープTが中央部から両端に向かって粘着面Tn全体へ順次押圧され、テープTの粘着面TnとワークWとの間の空気が確実に追い出されると共に、テープTがワークWのハウジング端面Wtの所定位置に貼付けられる。図9は、ワークWを把持するハンド41aが最下位置まで下降した状態を示す図である。
【0048】
次に、ロボット41は、ワークWを把持するハンド41aを上昇させる。図10は、ハウジング端面WtにテープTが貼付けられたワークWを把持するハンド41aが上昇する様子を示す図である。この時、ホストコントローラ50は、エア吸引・噴出装置23にエア噴出動作を指令し、テープ取り出しヘッド21表面のエア孔21dからエア噴出が行われるので、テープTのテープ取り出しヘッド21からの離脱が図られる。
【0049】
ロボット41は、ロボットコントローラ42の指令によりロボット41のアーム41bを旋回させて、テープTの貼り付けが完了したワークWを図示しないコンベア上へ移動させる。そして、ホストコントローラ50は、ヘッド移動機構22によりテープ取り出しヘッド21を下降させると共に、水平方向に駆動して初期位置であるテープ取り出し動作位置P1まで移動させて、テープ貼付け装置1における一連の動作が終了する。
【0050】
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態のテープ貼付け装置1は、粘着面Tnを有するテープTをワークWの所定位置に自動的に貼り付けるように構成された装置であって、テープTを粘着面Tnを表に向けてヘッド面21cに取り出し保持するテープ取り出しヘッド21と、テープ取り出しヘッド21のヘッド面21cに保持されたテープTに対してワークWを押し当てるワーク押し当て手段としてのロボット41とを備え、テープ取り出しヘッド21は、ヘッド面21cが凸形状を有する弾性体としてのゴム板21bによって構成されたことを特徴とする。
【0051】
従って、本実施形態によれば、テープ取り出しヘッド21が粘着面Tnを表に向けてテープTをヘッド面21cにて保持し、ロボット41が、テープ取り出しヘッド21のヘッド面21cにて保持されたテープTに対してワークWを押し当てることにより、ヘッド面21cを構成するゴム板21bが押圧力によって弾性変形し、ゴム板21bの凸形状に沿ってテープTが一部分から全体へ順次押圧される。よって、テープTの粘着面TnとワークWのハウジング端面Wtとの間の空気を追い出しながらテープTがワークWに貼付けられることにより、空気の閉じ込みや皺寄り等の発生を防止して正確な貼付けを行うことができる。
【0052】
特に、ゴム板21bの凸形状が円弧状の凸曲面であるので、テープTが、より円滑に一部分から全体へ順次押圧されてワークWに貼付けられる。また、テープ取り出しヘッド21は、テープTの長手方向がヘッド面21cの円弧に沿うようにテープTを保持するので、テープTが長手方向に沿って一部分から全体へ順次押圧され、テープTの粘着面TnとワークWのハウジング端面Wtとの間の空気をより確実に追い出すことができる。さらに、テープ取り出しヘッド21のヘッド面21cを構成する弾性体の材質としてゴムを用いたので、ヘッド面21cを簡単且つ安価に作製することができる。
【0053】
尚、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能であることは云うまでもない。
【0054】
例えば、テープ取り出しヘッド21のヘッド面21cを構成するゴム板21bの凸形状は円弧状の凸曲面には限られず、滑らかな凸形状であればよい。また、テープ取り出しヘッド21のヘッド面21cを構成する弾性体の材質としてゴム以外の材質を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、テープ貼付け装置において空気の閉じ込みや皺寄り等が発生することなくテープをワークへ正確に貼り付けることが必要な場合に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態のテープ貼付け装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】ワークをハウジング端面側から視た図である。
【図3】(a)はテープの平面図であり、(b)はテープがワークのハウジング端面の所定位置に貼付けられた状態を示す図である。
【図4】台紙ロールを示す斜視図である。
【図5】(a)はテープ取り出し・搬送機構の概略構成を示す側面図であり、(b)はテープ取り出しヘッドを示す斜視図である。
【図6】テープがテープ取り出しヘッドのヘッド面に保持された状態を示す斜視図である。
【図7】ワークを把持するロボットのハンドが下降を開始した直後の状態を示す図である。
【図8】ワークがテープ取り出しヘッドのヘッド面に保持されたテープへの当接直後の状態を示す図である。
【図9】ワークを把持するロボットのハンドが最下位置まで下降した状態を示す図である。
【図10】テープが貼付けられたワークを把持するロボットのハンドが上昇する様子を示す図である。
【図11】従来例のテープ貼付け装置においてワークにテープを貼り付ける様子を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 テープ貼付け装置
10 テープ剥離機構
20 テープ取り出し・搬送機構
21 テープ取り出しヘッド
21a ヘッド本体
21b ゴム板(弾性体)
21c ヘッド面
30 位置ずれ検査ユニット
40 ロボットユニット
41 ロボット(ワーク押し当て手段)
50 ホストコントローラ
W ワーク
T テープ
Tn 粘着面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着面を有するテープをワークの所定位置に自動的に貼り付けるように構成されたテープ貼付け装置において、
前記テープを前記粘着面を表に向けてヘッド面に取り出し保持するテープ取り出しヘッドと、
前記テープ取り出しヘッドの前記ヘッド面にて保持された前記テープに対して前記ワークを押し当てるワーク押し当て手段と
を備え、
前記テープ取り出しヘッドは、前記ヘッド面が凸形状を有する弾性体によって構成されたことを特徴とするテープ貼付け装置。
【請求項2】
前記弾性体は、円弧状の凸曲面を有することを特徴とする請求項1に記載のテープ貼付け装置。
【請求項3】
前記テープ取り出しヘッドは、前記テープの長手方向が前記ヘッド面の円弧に沿うように前記テープを保持することを特徴とする請求項1又は2に記載のテープ貼付け装置。
【請求項4】
前記弾性体は、ゴムからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のテープ貼付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−285211(P2008−285211A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133203(P2007−133203)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】