説明

ディジタル・スチル・カメラおよびその動作制御方法

【目的】 音声データを記録できるディジタル・スチル・カメラにおいて,音声の記録時間をユーザが自由に設定できるようにする。
【構成】 シャッタ・ボタンが押されると(ステップ21でYES),マイクロフォンから音声を入力し,メモリ・カードへの音声データの記録を開始する(ステップ23)。また,被写体が撮像され,被写体像を表す画像データも記録される。シャッタ・レリーズ・ボタンの押し下げが解除されると(ステップ21でNO),音声の記録中であれば(ステップ25でYES),音声データの記録を終了する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】この発明は,ディジタル・スチル・カメラ(携帯型情報機器にカメラの機能を持たせた携帯型撮像装置を含む)およびその動作制御方法に関する。
【0002】
【発明の背景】音声を表すデータを記録媒体に記録できるディジタル・スチル・カメラが実現されつつある。このようなディジタル・スチル・カメラでは,音声記録指令スイッチの押下に応じて音声データの記録を開始し,その後一定時間が経過したことにより,音声データの記録を終了する。音声データの記録時間が定まっているので,ユーザの好きな長さの時間だけ録音することができない。
【0003】
【発明の開示】この発明は,ユーザの好きな時間だけ録音することを目的とする。
【0004】この発明は,被写体を撮像し,被写体像を表す画像データを出力する撮像手段,および上記撮像手段から出力される画像データを,シャッタ・レリーズ・ボタンの押下に応じて記録媒体に記録する画像記録制御手段を備えたディジタル・スチル・カメラにおいて,音声を入力し,音声を表すデータを出力する音声入力手段,上記シャッタ・レリーズ・ボタンが押下されているかどうかを判定する判定手段,ならびに上記判定手段によって,上記シャッタ・レリーズ・ボタンが押下されていると判定されたことに応じて上記音声入力手段から出力された音声データを上記記録媒体に記録する音声記録制御手段を備えていることを特徴とする。
【0005】この発明は,上記カメラに適した動作制御方法も提供している。すなわち,この方法は,被写体を撮像し,被写体像を表す画像データを出力する撮像手段,および上記撮像手段から出力される画像データを,シャッタ・レリーズ・ボタンの押下に応じて記録媒体に記録する画像記録制御手段を備えたディジタル・スチル・カメラにおいて,音声を入力し,音声を表すデータを得,上記シャッタ・レリーズ・ボタンが押下されているかどうかを判定し,上記シャッタ・レリーズ・ボタンが押下されていると判定されたことに応じて,得られた音声データを上記記録媒体に記録するものである。
【0006】この発明によると,上記シャッタ・レリーズ・ボタンが押下されているかどうかが判定される。上記シャッタ・レリーズ・ボタンが押下されているときには,押下されている間,音声を表すデータが上記記録媒体に記録される。
【0007】シャッタ・レリーズ・ボタンの押下の時間を調整することにより,ユーザは,録音時間を調整することができる。所望の時間の間,音声を記録することができるようになる。シャッタ・レリーズ・ボタンの押下に応じて音声の記録時間を調整しているので,その操作も比較的簡単になる。
【0008】画像データを記録する記録媒体(画像記録媒体)と音声データを記録する記録媒体(音声記録媒体)とを別々に分けても良い。また,シャッタ・レリーズ・ボタンが押下されたことに応じて記録される画像データと音声データとを互いに関連づけて上記記録媒体に記録するようにしてもよい。
【0009】効果音(たとえば,シャッタ音のような「カシャッ」という音など)を表すデータを発生する効果音発生手段をさらに備えてもよい。この場合には,上記シャッタ・レリーズ・ボタンを,二段ストローク・タイプのものとし,上記判定手段を,上記シャッタ・レリーズ・ボタンが第一段階の押し下げの状態にあるか,および上記シャッタ・レリーズ・ボタンの第二段階の押し下げがあったかを判定するものとする。また,上記音声記録制御手段を,上記判定手段によって上記シャッタ・レリーズ・ボタンが第一段階の押し下げにあると判定されたことに応じて,上記音声入力手段から出力された音声データを上記記録媒体に記録し,上記シャッタ・レリーズ・ボタンの第二段階の押し下げがあったと判定されたことに応じて,上記効果音発生手段から発生する効果音データを上記記録媒体に記録するものとする。
【0010】音声の再生時に,上記音声入力手段により入力された音声だけでなく,効果音も再生することができ,臨場感あふれる音の再生ができるようになる。もちろん,上記効果音データも対応する画像データに関連づけて上記記録媒体に記録できるようにしてもよい。
【0011】
【実施例の説明】図1は,この発明の実施例を示すもので,ディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
【0012】ディジタル・スチル・カメラの全体の動作は,DSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)12によって統括される。
【0013】ディジタル・スチル・カメラには,シャッタ・レリーズ・ボタン14が含まれている。このシャッタ・レリーズ・ボタン14の押し下げを示す信号は,DSP12に入力する。
【0014】この実施例によるディジタル・スチル・カメラにおいては,シャッタ・レリーズ・ボタン14の押し下げがあると,その押し下げのタイミングに合わせて被写体像を表す画像データがメモリ・カード11に記録され,かつ,マイクロフォン1により音声が入力され,音声を表す音声データがメモリ・カード11に記録される。シャッタ・レリーズ・ボタン14の押し下げが解除されると,マイクロフォン1による音声入力処理も終了し,音声データのメモリ・カード11への記録も終了する。
【0015】DSP12には,「カシャッ」という音を表すデータが記憶されているRAM13が接続されている。
【0016】ズーム・レンズ(ズーム・モータ(図示略)によって位置が調整される)6によって被写体像がCCD7の受光面上に結像する。CCD7から被写体像を表す映像信号が出力され,画像処理回路8に入力する。画像処理回路8において,ガンマ補正,白バランス調整などの所定の映像信号処理が行われる。画像処理回路8から出力された映像信号は,アナログ/ディジタル変換回路9に与えられ,ディジタル画像データに変換される。
【0017】シャッタ・レリーズ・ボタン14が押されると,アナログ/ディジタル変換回路9から出力されたディジタル画像データは,画像メモリ10に与えられ,一時的に記憶される。画像データは,画像メモリ10から読み出され,圧縮回路5においてデータ圧縮される。圧縮された画像データが,メモリ・カード11に与えられ,記録されることとなる。
【0018】この実施例によるディジタル・スチル・カメラは,上述したように,画像データの他に音声データもメモリ・カード11に記録することができる。このために,ディジタル・スチル・カメラには,マイクロフォン1が設けられている。マイクロフォン1によって音声が入力され,その音声を表す音声信号が出力される。マイクロフォン1から出力された音声信号は,音声処理回路において雑音除去などの所定の音声処理が行われる。
【0019】音声処理回路2から出力された音声信号は,アナログ/ディジタル変換回路3においてディジタル音声データに変換される。変換されたディジタル音声データは,音声メモリ4において一時的に記憶される。ディジタル音声データは,音声メモリ4から読み出され,圧縮回路5に与えられ,所定の圧縮処理が行われる。圧縮された音声データがメモリ・カード11に与えられ,記録される。
【0020】図2は,ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。
【0021】シャッタ・レリーズ・ボタン14が押されているかどうかがチェックされる(ステップ21)。シャッタ・レリーズ・ボタン14が押されていると(ステップ21でYES),マイクロフォン1を用いて得られた音声データをメモリ・カード11に記録中かどうかが判断される(ステップ22)。メモリ・カード11への音声データの記録中かどうかの判断は,後述するように音声記録中のときにセットされる音声記録中フラグにもとづいて行われる。
【0022】音声記録中で無ければ(ステップ22でNO),マイクロフォン1により音声の入力が開始され,上述のようにして圧縮された音声データのメモリ・カード11への記録が開始される。また,上述のようにCCD7によって被写体が撮像され,被写体像を表す圧縮画像データがメモリ・カード11に記録される(ステップ23)。さらに音声記録中フラグがセットされる(ステップ24)。この音声記録中フラグは,RAM13中に格納されている。シャッタ・レリーズ・ボタン14が押され,かつ音声記録中フラグがセットされている限りマイクロフォン1により音声が入力され,その音声を表す音声データのメモリ・カード11への記録が続けられる。
【0023】シャッタ・レリーズ・ボタン14の押し下げが解除されると(ステップ21でNO),メモリ・カード11に音声データを記録中かどうかが判断される(ステップ25)。音声データを記録中であれば(ステップ25でYES),シャッタ・レリーズ・ボタン14の押し下げが解除されたのであるからその解除に応答して音声データの記録を終了する(ステップ26)。また,音声記録中フラグがリセットされる(ステップ27)。
【0024】上述した実施例においては,ディジタル・スチル・カメラに設けられているシャッタ・レリーズ・ボタン14は,ワン・ストローク・タイプのものであったが,ディジタル・スチル・カメラに二段ストローク・タイプのシャッタ・レリーズ・ボタン15が設けられている場合にも適用できる。
【0025】図1を参照して,二段ストローク・タイプのシャッタ・レリーズ・ボタン15が設けられているときには,シャッタ・レリーズ・ボタン15の第一段階の押し下げに応答して信号S1が発生し,第二段階の押し下げに応答して信号S2が発生する。これらの信号S1およびS2は,DSP12に入力する。
【0026】図3は,二段ストローク・タイプのシャッタ・レリーズ・ボタン15が設けられている場合の処理手順を示すフローチャートである。
【0027】まず,シャッタ・レリーズ・ボタン15の第一段階が押されているかどうかがチェックされる(ステップ31)。第一段階が押されていると(ステップ31でYES),メモリ・カード11に音声データを記録中かどうかが判断される(ステップ32)。記録中であれば(ステップ32でYES),CCD7のシャッタ時間の調整(AE(オート・エクスプロージャ)処理),ズーム・レンズ6の位置調整(AF(オート・フォーカス)処理)などの所定の前処理が行われる(ステップ33)。
【0028】その後,上述したようにマイクロフォン1により音声が入力され,メモリ・カード11への音声データの記録が開始される(ステップ34)。また,音声記録中フラグがセットされる(ステップ35)。
【0029】次に,シャッタ・レリーズ・ボタン15の第二段階が押されたかどうかがチェックされる(ステップ36)。シャッタ・レリーズ・ボタン15の第二段階が押されると(ステップ36でYES),RAM13に記録されている効果音データが読み出される。読み出された効果音データがメモリ・カード11に与えられ,記録される。また,上述のようにしてCCD7によって被写体が撮像され,被写体像を表す画像データがメモリ・カード11に記録される(ステップ37)。
【0030】シャッタ・レリーズ・ボタン15の第一段階の押し下げが解除されると(ステップ31でNO),音声記録中であれば(ステップ38でYES),音声データの記録が終了する(ステップ39)。また,音声記録中フラグがリセットされる(ステップ40)。また,シャッタ・レリーズ・ボタンは他の機能と組み合わせた3段以上のストローク・タイプのもののうち2段を用いてもかまわないし,複数のボタンの同時押し等の方法で同様の効果を得るものであってもかまわない。
【0031】画像データ,音声データおよび効果音データは,互いにリンクされるようにメモリ・カード11に記録されるのはいうまでもない。画像データによって表される画像を再生するときに,対応する音声データによって表される音声を出力することができる。また効果音データによって表される効果音も画像の再生に合わせて出力することもできるようになる。
【0032】シャッタ・レリーズ・ボタンの押し下げ時間に対応して音声データの記録時間をユーザ自ら調整できるので,所望の長さの時間だけ音声データをメモリ・カード11に記録することができる。また,メモリ・カード11への音声データの記録は,シャッタ・レリーズ・ボタンを利用しているので操作性にも優れる。
【0033】また,上述の実施例においては,音声データの圧縮回路と画像データの圧縮回路とを同じ回路を用いているが異なる圧縮回路を用いてもよいのはいうまでもない。さらに,上述した回路は,ハードウエアで構成されているが,それらの回路の一部または全部をソフトウエアで構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディジタル・スチル・カメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。
【図3】ディジタル・スチル・カメラの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 マイクロフォン
2 音声処理回路
5 圧縮回路
7 CCD
8 画像処理回路
11 メモリ・カード
12 DSP
13 RAM
14,15 シャッタ・レリーズ・ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被写体を撮像し,被写体像を表す画像データを出力する撮像手段,および上記撮像手段から出力される画像データを,シャッタ・レリーズ・ボタンの押下に応じて記録媒体に記録する画像記録制御手段を備えたディジタル・スチル・カメラにおいて,音声を入力し,音声を表すデータを出力する音声入力手段,上記シャッタ・レリーズ・ボタンが押下されているかどうかを判定する判定手段,ならびに上記判定手段によって,上記シャッタ・レリーズ・ボタンが押下されていると判定されたことに応じて上記音声入力手段から出力された音声データを上記記録媒体に記録する音声記録制御手段,を備えたディジタル・スチル・カメラ。
【請求項2】 効果音を表すデータを発生する効果音発生手段をさらに備え,上記シャッタ・レリーズ・ボタンは,二段ストローク・タイプのものであって,上記判定手段は,上記シャッタ・レリーズ・ボタンが第一段階の押し下げの状態にあるか,および上記シャッタ・レリーズ・ボタンの第二段階の押し下げがあったかを判定するものであり,上記音声記録制御手段は,上記判定手段によって上記シャッタ・レリーズ・ボタンが第一段階の押し下げにあると判定されたことに応じて,上記音声入力手段から出力された音声データを上記記録媒体に記録し,上記シャッタ・レリーズ・ボタンの第二段階の押し下げがあったと判定されたことに応じて,上記効果音発生手段から発生する効果音データを上記記録媒体に記録するものである,請求項1に記載のディジタル・スチル・カメラ。
【請求項3】 被写体を撮像し,被写体像を表す画像データを出力する撮像手段,および上記撮像手段から出力される画像データを,シャッタ・レリーズ・ボタンの押下に応じて記録媒体に記録する画像記録制御手段を備えたディジタル・スチル・カメラにおいて,音声を入力し,音声を表すデータを得,上記シャッタ・レリーズ・ボタンが押下されているかどうかを判定し,上記シャッタ・レリーズ・ボタンが押下されていると判定されたことに応じて,得られた音声データを上記記録媒体に記録する,ディジタル・スチル・カメラの動作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2001−339681(P2001−339681A)
【公開日】平成13年12月7日(2001.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−159389(P2000−159389)
【出願日】平成12年5月30日(2000.5.30)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】