説明

ディスクインジケータ

本発明は、特に自動車の器具パネルに用いられるアナログ表示器具に関する。前記アナログ表示器具は、ラジアル軸受によって回転可能に取り付けられたインジケータディスク(1)を備えている。前記インジケータディスクは、目盛の前方に配置された枢動可能なインジケータ羽根(2)を支持している。ラジアル軸受は、すべり要素と案内要素とを備えている。要素の一方は、環状構造を有し、要素の他方は、環状構造を受け入れるために用いられる受け入れ手段(8)を有している。環状構造と受け入れ手段(8)は、軸受を形成し、ラジアル軸受は、すべり軸受であり、これによって、要素を受け入れる手段は、環状構造の壁に、直接的に滑動するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車内のダッシュボードに用いられるインジケータディスクを有するアナログ表示器具であって、このインジケータディスクは、ラジアル軸受によって回転可能であり、目盛の前方で枢動可能なポインターを具備し、ラジアル軸受は、すべり要素と案内要素とを有し、これらの要素の1つはリング構造を有し、他の要素は、リング構造を保持するのに適した保持手段を有し、リング構造と保持手段は、軸受を形成するアナログ表示器具に関する。
【背景技術】
【0002】
この一般的な形式で、かつラジアル軸受を有するディスクインジケータが、自動車用器具において知られている。この場合、これに関連して「ディスクインジケータ」と呼ばれる器具は、インジケータディスクが、回転可能に取り付けられるシャフトに保持されず、案内されたリング構造によって回転可能に取り付けられる器具のみを指す。結論的に、これらのディスクインジケータの特別の特徴は、中心シャフトを備える必要がないことである。これによって、器具に対する設計の選択肢に関して、高度の融通性が得られる。
【0003】
この形式の1つのディスクインジケータが、例えば、独国特許出願公開第199 16 221 A1号明細書に記載されている。このディスクインジケータは、ポインターが取り付けられたディスクを有し、このディスクは、その外端において、2つの案内ローラ間に保持されている。この場合、ローラの1つは、ステッピングモータによって、駆動される。
【0004】
独国特許出願公開第199 03 202 A1号明細書において、カバーは、ポインターシンボルを具備し、円形の外形を有し、ボード又はパネルの切欠内に回転可能に取り付けられている。この場合、回転要素が、軸受の摩擦を可能な限り抑止するために、カバーに嵌合されている。カバーの歯付きリムに作用する回転運動を始動する駆動力は、電動モータによって与えられる。
【0005】
欧州特許出願公開第492 543 A1号明細書は、ポインター板を記載している。このポインター板は、以下のようにして、環状超音波モータによって駆動される。すなわち、ポインター板は、超音波モータのロータにそれらが板面に対して直交するように形成されたポインター板の縁によって一緒に回転するように接続され、これによって、超音波モータのモータ部分のホルダーが製造される。ラジアル軸受は、この設計によっては形成されない。
【0006】
結果的に、知られているディスクインジケータを有する器具の全てに対して特定された種々の軸受は、複雑で、多数の部品を有し、相応して、製造に費用がかかる。さらに、これらのような器具は、操作の信頼性に乏しい。ディスクインジケータは、シャフトの端に保持されたポインターを有する従来の器具を上回る多数の利点を有しているが、特に許容できない信頼性の欠如と高い製造コストによって、これまで、これらの器具を利用することができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、簡素で、かつ小型の設計を有することによって特徴付けられ、高信頼性と低コストの製造をもたらす、ディスクインジケータを有するアナログ表示器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、ラジアル軸受がジャーナル軸受で、保持手段が滑動可能にリング構造(9)の1つの壁に直接的に置かれるこの一般的な形式の器具によって、達成される。
【0009】
本発明が基づく本質的な考えは、ディスクインジケータ用軸受を著しく簡素化することにある。この簡素化は、インジケータディスクを小形かつ頑強なホルダーに直接取付けることによって、達成される。この場合、本発明は、このようなポインター用軸受が、回転速度と回転数が比較的低いので、比較的わずかの要件しか必要とならないという発見を利用している。結論的にいえば、開示されるこの器具は、1つの方向及び他の方向において、比較的遅い枢動しか行なわない。これらの枢動は、すべり要素と案内要素が機械加工の容易な材料、例えば、プラスチックから製造される「原始的な」ジャーナル軸受によってでも達成される。さらに、これらのような簡単な方法で取り付けられるディスクインジケータは、複雑ではなく、従って、コストが殆ど掛からない。何故なら、許容公差が、重負荷のジャーナル軸受と比較して、比較的広いからである。特に、これらのように低負荷の場合、磨耗を避けるために、滑動能力を増大させるか又は軸受を冷却する必要がない。さらに他の利点は、本発明による複数のディスクインジケータが一方を他方の内側にして配置され得ること、及び1つのインジケータディスクが隣接するインジケータディスクに対する軸受を形成することさえ可能である、ことにある。
【0010】
すべり要素と案内要素との間の直接的な接触がある場合、ラジアル軸受は、ジャーナル軸受の形態にあり、1つ以上の保持手段は、リング構造の1つの壁に、滑動可能であるように直接的に置かれる。
【0011】
この点において、円形ディスクをインジケータディスクとして用いることができるのみならず、他の幾何学的形状、例えば、多角形ディスク又は円の弧部、すなわち、円のセグメントの形態にあるディスクもインジケータディスクとして適切に用いられることにも留意すべきである。
【0012】
実際、各場合において、すべり要素と案内要素との間の関係を映画のフィルムのように反転させることが起こり得る結果として、本発明による基本的な考えを実施する多数の実施形態が可能である。しかし、全ての形態は、以下の利点、すなわち、ディスクインジケータを有する特に小形かつ頑強な器具が、本発明による軸受を用いて製造され、及び高信頼性と低製造コストによって特徴付けられる利点を有している。特に、本発明による器具は、組合せ器具と特に関連して、表示装置の個々の設計及び明快かつ有益なレイアウトに関して、多数の構成上の選択肢をもたらす。
【0013】
前述のこれらの利点は、インジケータディスクがすべり要素を有し、このすべり要素がリング構造を具備するとき、特に重要である。これに関連して、「リング構造」という表現は、完全に一般的な形態で理解されるべきである。例えば、リング構造という表現は、環形状に湾曲されたスロット、環状装置における隆起した個々の要素、又は円筒状に形成された段を含み得る。さらに、リングは、円の完全な円周を必ずしも含む必要がなく、円の一部のみを含んでいてもよい。
【0014】
前述の実施形態において、リング構造を備えるインジケータディスクは、固定された案内要素に関して回転可能である。この回転が実施されるのを可能にするために、インジケータディスクは歯付きリムを備えると有利であり、この場合、歯付きリムは、一緒に回転して、インジケータディスクに直接的に一体形成されるか又は個別の部品としてインジケータディスクに接続されるかのいずれであってもよい。ステッピングモータのピニオンは、直接又は変速装置を介して、歯付きリムと係合することができる。他の実施形態において、圧電駆動装置が、ステッピングモータの代わりに用いられる。この場合、ステッピングモータは、その確定された駆動装置と関連する利点を有し得る。
【0015】
表示パネルの特に簡単な設計及び明確な形態に関して、インジケータディスクが完全無欠なディスクの形態ではなく、中心が開いて特に狭い環状ディスクの形態にあると、有利である。この場合、縁の幅は、開口の直径と比較して、比較的小さいとよい。これによって、これらのようなアナログ器具は、表示パネルのわずかな量の空間しか必要としない。この観点から、リング構造が、円筒状付属品として、ディスク表面に簡単に嵌合され、特に一体形成されると、有利である。この場合、付属品は、すべり要素を形成する。円筒形状は、勿論、完全である必要はない。案内が引っ掛かりや傾斜なしで確実に得られる場合、部分的に完全な幾何学的形状のみでも十分である。
【0016】
円筒状付属品の2つの壁の1つは、有利には、適切な円筒状軸受要素の壁に滑動可能であるように直接的に置かれる。2つの要素間の整合は、滑動が材料に応じていかなる問題をも生じることなく可能であるように、なされるべきである。この実施形態において、製造中の処理が特に簡単なので、円筒状軸受要素は、それに対応して内側に配置されたすべり要素を、すべり要素の外壁が軸受要素の内壁に沿って滑動するように、包囲すると有利である。従って、移動するすべり要素は、固定された位置にある軸受内で滑動し、これによって、ディスクインジケータが外部の悪影響に対して十分に保護されることを確実にする。
【0017】
特に容易に実施され得る1つの低コスト実施形態によれば、滑動可能なプラスチック、特にポリオキシメチレン(POM)から特に噴霧によって製造されるすべり要素及び/又は案内要素が、もたらされる。滑動可能なプラスチックは、市販され、それらのプロセスは、従来のプラスチックのプロセスと異ならない。これらの材料を用いることによって、そうではない場合に必要とされる表面の特別な処理、すなわち、表面の被覆を省略することができる。さらに、潤滑剤を用いる必要がない。
【0018】
以下、本発明を、図1ないし図3に示される例示的実施形態を参照して、さらに詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、自動車内のダッシュボードに用いられるアナログ表示器具を示している。この器具は、インジケータディスク1を有している。インジケータディスク1は、回転可能に取り付けられ、図示されない目盛の前方で枢動可能なポインター2を具備している。ポインター2は、この場合、その先端を外側に向けて、歯付きリム3(図2)の内径に一体形成されている。先端を内側に向けたポインター2も、同様に実施可能である。歯付きリム3は、軸受リング4に、特に接着剤による接合によって一緒に回転するように、保持されている。歯付きリム3は、軸受リング4の内径に係合する中心段5を有している。この歯付きリム3は、PMMA又はPCのような透明材料から製造されるとよい。軸受リング4は、そこに接着剤によって接合された歯付きリム3と共に、インジケータディスク1を形成する。軸受リング4と歯付きリム3は、一体形成されてもよい。ステッピングモータ6のピニオンが、変速装置を介して、歯付きリム3と係合している。このステッピングモータ6を用いて、インジケータディスク1を両方向(両矢印)に回転することができる。
【0020】
インジケータディスク1は、ラジアル軸受によって回転可能に取り付けられている。この場合、ラジアル軸受は、インジケータディスク1がすべり要素を形成する簡単な設計のジャーナル軸受である。案内要素は、円形開口を有してフレームを形成する組合せ器具のフロントパネル7の一部である。円筒ホルダー8が、軸受要素として、フロントパネル7の後面に一体形成されている。このホルダー8は、インジケータディスク1の略円筒状リング構造を保持している。この場合、リング構造は、軸受リング4のディスク面に一体形成された円筒状付属品9である。組み立てられた状態において、円筒状付属品9は、円筒ホルダー8と係合し、これら2つの部分の壁は、それらが滑動するように、互いに対して直接的に置かれている。この場合、円筒状に形成されたホルダー8は、円筒状付属品9を包囲し、これによって、すべり要素の外壁は、軸受要素の内壁上で滑動する。
【0021】
ステッピングモータ6は、フロントパネル7の後面において、ピン10によって形成されたホルダーに挿入されている。ポインター2が、インジケータディスク1に接着剤によって接合された柔軟なプリント基板11と共に、示されている。プリント基板11との接触は、接点要素12を介してなされる。ポインター2を照明する発光ダイオード13(図3)は、柔軟なプリント回路11によって、駆動される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ディスクインジケータを有する器具を示す図である。
【図2】分解された形態で示される器具の後部から見た図である。
【図3】分解された形態で示される器具の正面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 インジケータディスク
2 ポインタ
3 歯付きリム
4 軸受リング
5 中心段
6 ステッピングモータ
7 フロントパネル
10 ピン
11 柔軟なプリント回路
12 接点要素
13 発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車内のダッシュボードに用いられるインジケータディスク(1)を有するアナログ表示器具であって、
該インジケータディスク(1)は、ラジアル軸受によって回転可能に取り付けられ、目盛の前方で枢動可能なポインター(2)を具備し、前記ラジアル軸受は、すべり要素と案内要素とを有し、
前記要素の一方は、リング構造(9)を有し、前記要素の他方は、前記リング構造(9)を保持するのに適した保持手段(8)を有し、前記リング構造(9)と前記保持手段(8)は、前記軸受を形成するアナログ表示器具であって、
前記ラジアル軸受は、ジャーナル軸受であり、保持するための手段は、前記リング構造(9)の1つの壁に滑動可能であるように直接的に置かれる
ことを特徴とするアナログ表示器具。
【請求項2】
前記インジケータディスク(1)は、前記固定された案内要素に対して回転可能であるすべり要素を有し、前記リング構造(9)が該すべり要素に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記インジケータディスク(1)は、歯付きリム(3)を有し、該歯付きリム(3)は、前記インジケータディスク(1)に一緒に回転するように接続され、特に別個の部品の形態にあり、
ステッピングモータ(6)は、前記歯付きリム(3)によって前記インジケータディスク(1)を回転させる
ことを特徴とする請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記インジケータディスク(1)は、環状ディスクを有し、前記リング構造は、前記環状ディスクの表面に、円筒状付属品(9)として形成され、特に一体形成される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の器具。
【請求項5】
前記円筒状付属品(9)の1つの壁は、対応する円筒形状の軸受要素の壁に滑動するように置かれることを特徴とする請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記円筒状軸受要素は、前記円筒状付属品(9)の外壁が前記軸受要素の内壁上で滑動するように、前記円筒状付属品(9)を包囲する
ことを特徴とする請求項5に記載の器具。
【請求項7】
フレームを形成するフロントパネル(7)を備え、前記軸受要素は、前記フレームの裏面において、円筒状軸受リング(8)として形成され、特に一体形成される
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の器具。
【請求項8】
前記すべり要素及び/又は前記案内要素は、滑動可能なプラスチック、特にポリオキシメチレン(POM)から製造される
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の器具。
【請求項9】
ポインター(2)を備え、該ポインター(2)は、照明され得て、半径方向に整列され、前記インジケータディスク(1)に接続される
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の器具。
【請求項10】
前記ポインター(2)は、前記環状ディスク又は前記歯付きリム(3)に、内側を向いた付属品として、一体形成される
ことを特徴とする請求項9に記載の器具。
【請求項11】
前記インジケータディスク(1)は、柔軟なプリント回路(11)を有し、該プリント回路(11)は、前記歯付きリム(3)に接着剤によって接合され、該プリント回路(11)との接触は、接点要素(12)を介してなされ、前記ポインター(2)を照明する発光ダイオード(13)は、前記柔軟なプリント回路(11)を介して駆動される
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−513937(P2009−513937A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518144(P2006−518144)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007502
【国際公開番号】WO2005/005931
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(505446507)ボルグ インストゥルメンツ アーゲー (2)
【Fターム(参考)】