説明

ディスクドライブ装置

【課題】記録再生時のベースのガタツキの発生を防止する。
【解決手段】ベース22を上昇させて光ディスク2をターンテーブル23aに装着するチャッキング位置と、ベース22を下降させてターンテーブル23aから光ディスク2を離脱するチャッキング解除位置と、ベース22をチャッキング位置とチャッキング解除位置との間に位置させて光ディスク2に対する信号の記録又は再生を行う中間位置との間でベース22を昇降操作するベース昇降機構55と、中間位置におけるベース22のガタツキの発生を防止するガタツキ防止機構140とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行うディスクドライブ装置に関し、特に、スロットイン方式を採用したディスクドライブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報信号の記録媒体として、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)といった光ディスクや、MO(Magneto optical)型の光磁気ディスク、更に、MD(Mini Disc)と称する光磁気ディスクが用いられて、この種のディスク若しくはこれらディスクを収納したディスクカートリッジを記録媒体として用いるディスクドライブ装置が提供されている。
【0003】
光ディスクを記録媒体に用いるディスクドライブ装置には、筐体に設けられた蓋や扉を開放し、そこから臨むターンテーブルにディスクを直接装着するタイプ、筐体に対し水平方向に出し入れされるディスクトレイにディスクを載置し、このディスクトレイを筐体内に引き込むことで筐体の内部に設けられたターンテーブルに自動的に装着されるタイプ、又はこのディスクトレイに設けられたターンテーブルにディスクを直接装着するタイプがある。これらいずれのディスクドライブ装置においても、蓋や扉を開閉し、ディスクトレイを出し入れし、又はターンテーブルにディスクを装着するといった操作が必要である。
【0004】
これに対して、筐体の前面に設けられたディスク挿脱口からディスクを挿入するだけで自動的にターンテーブルへの装着を可能とするスロットイン方式のローディング機構を用いたディスクドライブ装置がある。このディスクドライブ装置は、ディスク挿脱口からディスクが挿入されると、このディスクを挟み込み筐体に内部に引き込み操作する一対のガイドローラを備えている。そして、ディスクがディスク挿入口から挿入されると、一対のガイドローラが互いに逆向きに回転することによって筐体内部に引き込むローディング操作を実行し、イジェクト操作が行われると、ローディング操作時とは逆方向に一対のガイドローラを回転し、筐体に外部にディスクを排出する。
【0005】
ところで、ディスクドライブ装置が搭載される、例えば携帯型のパーソナルコンピュータ等のモバイル機器では、小型化及び軽量化とともに更なる薄型化が求められており、この種のモバイル機器に搭載されるディスクドライブ装置の更なる小型化、軽量化、薄型化が要求されている。また、携帯可能とされたパーソナルコンピュータにおいて広く用いられているトレイ型のディスクドライブ装置に代わって、操作感のよいスロットイン方式のローディング機構を用いたディスクドライブ装置の需要が高まっている。
【0006】
スロットイン方式のローディング機構を用いたディスクドライブ装置は、上述したようにディスクをローディングするため、ディスクを挟み込み送り操作する一対のガイドローラが必要であり、これらガイドローラは、その構造上、送り操作するディスクの直径よりも長尺になることから、装置全体の幅方向の寸法が長くなる。また、一対のガイドローラの間にディスクを挟み込むことから、厚み方向の寸法も大きく長くなる。このため、従来のスロットイン型のディスクドライブ装置は、小型化や薄型化が困難である。
【0007】
特に、携帯可能な大きさとされたノート型のパーソナルコンピュータ等小型のモバイル機器に搭載される薄型のディスクドライブ装置は、厚さを12.7mmとしたものが標準サイズとされており、更にハードディスクドライブ(HDD)ユニットと同等の厚さである9.5mmまで薄型化されたものが用いられている。このような厚さにまで薄型化されたディスクドライブ装置において、一対にガイドローラを用いたスロットイン方式のローディング機構を採用することは構造上極めて困難である。
【0008】
そこで、スロットイン方式のローディング機構を採用するディスクドライブ装置では、小型化や薄型化の要求に応えるため、ディスク挿脱口から挿入されたディスクと、このディスクが装着されるターンテーブルが取り付けられたベースとの間に複数の回動アームを配置し、これら回動アームを挿入されたディスクと平行な面内で回動させながら、ディスクをディスク挿脱口から筐体の内部へと引き込むローディング動作と、ディスクをディスク挿脱口から筐体の外部へと排出するイジェクト動作とを行うものが提案されている(特許文献1を参照。)。
【0009】
ところで、このような薄型化を図ったスロットイン方式を採用したディスクドライブ装置は、ベースを上昇させてディスクをターンテーブルに装着するチャッキング位置と、ベースを下降させてターンテーブルからディスクを離脱させるチャッキング解除位置と、ベースをチャッキング位置とチャッキング解除位置との間に位置させてディスクに対する情報信号の記録又は再生を行う中間位置との間でベースを昇降させるベース昇降機構を備えている。
【0010】
具体的に、このベース昇降機構は、ベースの側面から突出された支軸が係合されて支持されるカム溝が形成されたスライド部材を有し、このスライド部材は、ベースの側面を支持しながら、このベースの側面に沿ってスライドすることによって、ベースを昇降操作する。このようなベース昇降機構を備えるディスクドライブ装置では、ベースの支軸とスライド部材のカム溝との間でガタが生じやすい。特に、薄型化されたスロットイン型のディスクドライブ装置では、上述したガタの影響により、光ピックアップを支持したベースの姿勢が変化したり、あるいは装置自体に振動や衝撃が加わった場合にディスクと装置内部の部品とのクリアランスが極端に減少し、ディスクと装置内部の部品とが接触してしまう。このように、ディスクが装置内部の部品に接触してしますと、ディスクの安定した回転ができなくなくなり、良好な記録再生ができなくなるばかりか、ディスクを損傷させてしまう虞もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−117604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、情報信号の記録又は再生を行うときにおけるベースのガタツキの発生を防止したディスクドライブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するために、本発明に係るディスクドライブ装置は、前面に光ディスクが挿脱されるディスク挿脱口が設けられた筐体と、上記ディスク挿脱口から上記筐体の内部に挿入された光ディスクが装着されるディスク装着部と、上記ディスク装着部に装着された光ディスクを回転駆動するディスク回転駆動機構と、上記ディスク回転駆動機構により回転駆動される光ディスクに対し情報信号の記録又は再生を行う光ピックアップと、上記光ピックアップを上記光ディスクの半径方向に送り操作するピックアップ送り機構とを有し、これらがベースに一体に設けられたベースユニットと、上記ディスク挿脱口から上記光ディスクが挿脱されるディスク挿脱位置と、上記ディスク装着部に上記光ディスクが装着されるディスク装着位置との間で光ディスクの搬送を行うディスク搬送機構と、上記ベースを上昇させて上記光ディスクを上記ディスク装着部に装着するチャッキング位置と、上記ベースを下降させて上記ディスク装着部から上記光ディスクを離脱させるチャッキング解除位置と、上記ベースを上記チャッキング位置と上記チャッキング解除位置との間に位置させて上記光ディスクに対し情報信号の記録又は再生を行う中間位置との間で上記ベースを昇降するベース昇降機構と、上記中間位置に位置する上記ベースのガタツキの発生を抑えるガタツキ防止機構とを備え、上記ベース昇降機構は、上記ベースの側面から突出された支軸が係合されて支持されるカム溝を有し、上記ベースの側面を支持しながら、上記ベースの側面に沿ってスライドされるスライド部材を備え、このスライド部材がスライド操作されることによって、上記支軸が上記カム溝内をスライドしながら、上記ベースが昇降操作され、上記ガタツキ防止機構は、上記支軸を上記カム溝の内面の一方側に押し付ける押付部材を有し、上記押付部材は、上記支軸が係合されるガイド孔を有し、上記スライド部材に移動可能に取り付けられると共に、付勢手段により移動方向の一方側に付勢されており、上記スライド部材がスライドされるのに伴って、上記支軸が上記カム溝及び上記ガイド孔内をスライドしながら、上記押付部材が上記スライド部材と一体に移動されると共に、上記スライド部材が上記中間位置までスライドしたときに、上記支軸が上記ガイド孔の端部に当接されて、上記スライド部材に対して上記押付部材が上記付勢手段の付勢に抗して上記移動方向の他方側に移動されることによって、上記押付部材が上記付勢手段の付勢力により上記支軸を上記カム溝の内面の一方側に押し付けるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るディスクドライブ装置では、ベースが中間位置にあるとき、ガタツキ防止機構によりベースのガタツキの発生が抑えられるので、装置内部で、この装置に装着されたディスクと装着内部に配設された部品との接触が防止され、ディスクの安定した回転を図って良好な記録再生を実現し、さらに、ディスクの保護を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るディスクドライブ装置が搭載されたノート型のパーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。
【図2】ディスクドライブ装置の外観を示す斜視図である。
【図3】トップカバーを内面側から見た斜視図である。
【図4】本発明に係るディスクドライブ装置を示す平面図である。
【図5】本発明に係るディスクドライブ装置を構成するベースユニットを示す斜視図である。
【図6】ディスクドライブ装置の初期状態を示す平面図である。
【図7】ディスクドライブ装置に大径の光ディスクが挿入開始される状態を示す平面図である。
【図8】ディスクドライブ装置に大径の光ディスクが引き込まれる引き込み開始状態を示す平面図である。
【図9】ディスクドライブ装置に大径の光ディスクが引き込み操作されるときに引き渡し状態を示す平面図である。
【図10】ディスクドライブ装置に大径の光ディスクがターンテーブルに対しセンタリングされた状態を示す平面図である。
【図11】大径の光ディスクがターンテーブルにチャッキングされた状態を示す平面図である。
【図12】大径の光ディスクがチャッキング解除された状態を示す平面図である。
【図13】大径の光ディスクをイジェクトする状態を示す平面図である。
【図14】大径の光ディスクをイジェクトする際の引き渡し状態を示す平面図である。
【図15】大径の光ディスクをイジェクトした状態を示す平面図である。
【図16】ディスクドライブ装置に小径の光ディスクが挿入開始される状態を示す平面図である。
【図17】ディスクドライブ装置に小径の光ディスクが引き込まれる状態を示す平面図である。
【図18】ディスクドライブ装置に小径の光ディスクが引き込まれときの引き渡し状態を示す平面図である。
【図19】ディスクドライブ装置に小径の光ディスクがターンテーブルに対しセンタリングされた状態を示す平面図である。
【図20】小径の光ディスクがターンテーブルにチャッキングされた状態を示す平面図である。
【図21】小径の光ディスクがチャッキング解除された状態を示す平面図である。
【図22】小径の光ディスクをイジェクトする状態を示す平面図である。
【図23】小径の光ディスクをイジェクトする際の引き渡し状態を示す平面図である。
【図24】小径の光ディスクをイジェクトした状態を示す平面図である。
【図25】小径の光ディスクをイジェクトする状態を示す平面図である。
【図26】ベースユニットがチャッキング解除位置にある状態を示す側面図である。
【図27】ベースユニットがチャッキング位置にある状態を示す側面図である。
【図28】ベースユニットが中間位置にある状態を示す側面図である。
【図29】大径の光ディスク及び小径の光ディスクがターンテーブルに対しセンタリングされる状態を示す平面図である。
【図30】ディスクドライブ装置の他の例を示す平面図である。
【図31】図30に示すディスクドライブ装置に挿入された大径の光ディスク及び小径の光ディスクがターンテーブルに対しセンタリングされる状態を示す平面図である。
【図32】ディスクドライブ装置の更に他の例を示す平面図である。
【図33】ディスクドライブ装置のトップカバーを取り外した状態を示す平面図である。
【図34】ディスクドライブ装置の一部の部品を取り外した状態を示す平面図である。
【図35】ディスクドライブ装置の更に一部の部品を取り外した状態を示す平面図である。
【図36】ディスクドライブ装置の駆動レバーと検出スイッチとの位置関係を示す平面図である。
【図37】駆動レバーを示し、(a)は一方側から見た側面図であり、(b)は駆動レバーを上方側から見た平面図であり、(c)は駆動レバーを他方側から見た側面図であり、(d)は駆動レバーを下方側から見た平面図である。
【図38】カムレバーを示し、(a)はその平面図であり、(b)はその側面図である。
【図39】ローディング動作時の駆動レバー示し、(a)は下方側から見た平面図であり、(b)はその平面図である。
【図40】イジェクト動作時の駆動レバーを示し、(a)は下方側から見た平面図であり、(b)はその平面図である。
【図41】大径の光ディスクがディスクドライブ装置に挿入される状態を示す平面図である。
【図42】大径の光ディスクがディスクドライブ装置にローディングされる状態を示す平面図である。
【図43】大径の光ディスクがセンタリングされて挿入された状態を示す平面図である。
【図44】大径の光ディスクがターンテーブルにチャッキングされた状態を示す平面図である。
【図45】大径の光ディスクに対し情報信号の記録再生を行う状態を示す平面図である。
【図46】大径の光ディスクをディスクドライブ装置からイジェクトする状態を示す平面図である。
【図47】大径の光ディスクをディスクドライブ装置からイジェクトさせた状態を示す平面図である。
【図48】小径の光ディスクがディスクドライブ装置に挿入される状態を示す平面図である。
【図49】小径の光ディスクがディスクドライブ装置にローディングされる状態を示す平面図である。
【図50】小径の光ディスクがセンタリングされて挿入された状態を示す平面図である。
【図51】小径の光ディスクがターンテーブルにチャッキングされた状態を示す平面図である。
【図52】小径の光ディスクに対し情報信号の記録再生を行う状態を示す平面図である。
【図53】小径の光ディスクをディスクドライブ装置からイジェクトする状態を示す平面図である。
【図54】大径の光ディスクをディスクドライブ装置からイジェクトさせた状態を示す平面図である。
【図55】小径の光ディスクがディスクドライブ装置の片側に寄って挿入された状態を示す平面図である。
【図56】イジェクト時の第3の回動アームの動作状態を動作順に示す示す平面図である。
【図57】押圧レバーと駆動レバーとの係合状態を示す要部平面図である。
【図58】ベース昇降機構の動作を示し、(a)はベースユニットがチャッキング解除位置にある状態を示す平面図であり、(b)はそのチャッキング解除位置におけるベースの第2の支軸とカム片の第2のカム溝との位置関係を示す側面図であり、(c)はそのチャッキング解除位置におけるベースの第1の支軸と駆動レバーの第1のカム溝との位置関係を示す側面図であり、(d)はそのチャッキング解除位置におけるベースユニットの位置を示す側面図である。
【図59】ベース昇降機構の動作を示し、(a)はベースユニットがチャッキング位置にある状態を示す平面図であり、(b)はそのチャッキング位置におけるベースの第2の支軸とカム片の第2のカム溝との位置関係を示す側面図であり、(c)はそのチャッキング位置におけるベースの第1の支軸と駆動レバーの第1のカム溝との位置関係を示す側面図であり、(d)はそのチャッキング位置におけるベースユニットの位置を示す側面図である。
【図60】ベース昇降機構の動作を示し、(a)はベースユニットが中間位置にある状態を示す平面図であり、(b)はその中間位置におけるベースの第2の支軸とカム片の第2のカム溝との位置関係を示す側面図であり、(c)はその中間位置におけるベースの第1の支軸と駆動レバーの第1のカム溝との位置関係を示す側面図であり、(d)はその中間位置におけるベースユニットの位置を示す側面図である。
【図61】ディスクドライブ装置に光ディスクが挿入された状態において、初期動作時における第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ及び第4のスイッチの切替状態を示すタイミングチャートである。
【図62】ディスクドライブ装置に光ディスクの挿入がな状態における初期動作時における第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ及び第4のスイッチの切替状態を示すタイミングチャートである。
【図63】ディスクドライブ装置に光ディスクをローディングするときの第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ及び第4のスイッチの切替状態を示すタイミングチャートである。
【図64】ディスクドライブ装置に装着された大径の光ディスクをイジェクトする際の第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ及び第4のスイッチの切替状態を示すタイミングチャートである。
【図65】ディスクドライブ装置に装着された小径の光ディスクをイジェクトする際の第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ及び第4のスイッチの切替状態を示すタイミングチャートである。
【図66】第1のディスクガイド機構、第2のディスクガイド機構及びシャッタ開閉機構と小径の光ディスクとの位置関係を示す平面図である。
【図67】第1のディスクガイド機構、第2のディスクガイド機構及びシャッタ開閉機構と大径の光ディスク及び小径の光ディスクとの位置関係を示す平面図である。
【図68】第1のディスクガイド機構を示す要部図である。
【図69】シャッタ開閉機構を示す要部正面図である。
【図70】第1のディスクガイド機構及びシャッタ開閉機構の動作を示す断面図であって、(a)はベースユニットがチャッキング解除位置にある状態を示す断面図であり、(b)はベースユニットが記録再生位置にある状態を示す断面図である。
【図71】第2のディスクガイド機構の動作を示す断面図であり、(a)はベースユニットがチャッキング解除位置にある状態を示す断面図であり、(b)はベースユニットが記録再生位置にある状態を示す断面図である。
【図72】ガタツキ防止機構を示す側面図であり、(a)は第2の支軸を第2のカムスリットの内面の一方側に押し付けられる前の状態を示す側面図であり、(b)は第2の支軸を第2のカムスリットの内面の一方側に押し付られた状態を示す側面図である。
【図73】ガタツキ防止機構の他の例を示し、(a)は第2の支軸を第2のカムスリットの内面の一方側に押し付けられる前の状態を示す側面図であり、(b)は第2の支軸を第2のカムスリットの内面の一方側に押し付られた状態を示す側面図である。
【図74】ガタツキ防止機構のさらに他の例を示し、(a)は第2の支軸を第2のカムスリットの内面の一方側に押し付けられる前の状態を示す側面図であり、(b)は第2の支軸を第2のカムスリットの内面の一方側に押し付られた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用したディスクドライブ装置の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
本発明を適用したディスクドライブ装置は、図1に示すように、携帯可能な大きさにまで小型化されたノート型のパーソナルコンピュータ1000の装置本体1001に搭載されたディスクドライブ装置1であって、スロットイン方式のローディング機構を用いたディスクドライブ装置である。このディスクドライブ装置1は、薄型化を図ったものであって、図2に示すように、装置全体の厚さD1を12.7mmとし、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)といった光ディスク2を記録媒体に用い、この光ディスク2に対して情報信号の記録を行い、光ディスク2に記録された情報信号の再生を行う記録再生機構を内蔵している。
【0018】
このディスクドライブ装置1は、直径を12cmとする標準サイズのディスクと、この大径の光ディスクよりも小径な直径を8cmとするディスクを装着可能としている。
【0019】
まず、このディスクドライブ装置1の具体的な構成を説明する。
【0020】
このディスクドライブ装置1は、図2に示すように、装置本体を構成する筐体3を備える。この筐体3は、下部筐体である偏平な筐体状のボトムケース4と、このボトムケース4の上部開口部を覆う天板であるトップカバー5とから構成されている。
【0021】
トップカバー5は、図2及び図3に示すように、薄い板金からなり、ボトムケース4の上部開口部を閉塞する天板部5aと、この天板部5aの相対向する両側に折り曲げ形成された一対の側板部5b,5bとを有している。天板部5aの略中央部には、円形の開口部6が形成されている。この開口部6は、後述するチャッキング動作時に光ディスク2の中心孔2aに係合されるターンテーブル23aの係合突部28aを外部に臨ませるためのものである。また、天板部5aの開口部6の周囲は、ターンテーブル23a上に保持された光ディスク2の中心孔2aの周囲と当接されるように、筐体3の内側に向かって僅かに突出した当接突部7を形成している。
【0022】
天板部5aの内側の主面には、後述する第1の回動アーム35の先端部と第2の回動アーム36の先端部とを高さ方向に規制しながら、互いに近接又は離間する方向に案内するガイド部材8が設けられている。このガイド部材8は、天板部5aの両側板部5bの間に亘って略円弧状をなす板金からなり、天板5aの前面側にスポット溶接等により取り付けられている。また、このガイド部材8は、背面側が前面側の取付面よりも一段高くなされた段差部8aを有している。これにより、ガイド部材8の背面側の段差部8aと天板部5aとの間には、第1の回動アーム35の先端部及び第2の回動アーム36の先端部が係合されるガイド溝9が形成されている。また、天板部5aには、このガイド溝9に第1の回動アーム35の先端部と第2の回動アーム36の先端部とを係合させるための作業用の窓部10がそれぞれ設けられている。
【0023】
ボトムケース4は、図4に示すように、板金を用いて偏平な筐体状に形成され、その底面部は略矩形状に形成され、一方の側面部にはこの底面部よりも底上げされて外側へと張り出されたウイング部4aが設けられている。
【0024】
ボトムケース4の底面部には、図示を省略するが、駆動制御回路を構成するICチップ等の電子部品や、各部の電気的な接続を図るためのコネクタ、各部の動作を検出するための検出スイッチ等が配置された回路基板がネジ止め等により取り付けられている。また、ボトムケース4の底面部には、シャーシ11がネジ止めにより取り付けられている。このシャーシ11は、回路基板の上方において、ボトムケース4の内部をウイング部4aと略同等の高さで上下に仕切るように配置されている。
【0025】
このボトムケース5には、図2に示すように、トップカバー4がネジ止めにより取り付けられている。具体的に、天板部5aの外周縁部には、図3に示すように、ネジ12を挿通するための複数のネジ挿通孔13が形成されている。また、両側の側板部5bには、天板部5a側に向かって略直角に折り曲げた複数のガイド片14が設けられている。一方、ボトムケース4の外周縁部には、図4に示すように、内側に略直角に折り曲げられた複数の固定片15が設けられており、これら固定片15には、トップカバー5のネジ挿通孔13に対応したネジ孔16が形成されている。また、ボトムケース4の両側面部には、トップカバー5の複数のガイド片14の抜け止めとなる複数のガイド溝17が形成されている。
【0026】
ボトムケース4にトップカバー5を取り付ける際は、ボトムケース4の複数のガイド溝17にトップカバー5の複数のガイド片14を係合させた状態で、トップカバー5を前面側から背面側へとスライドさせる。これにより、トップカバー5の天板部5aがボトムケース4の上部開口部を閉塞した状態となる。この状態でトップカバー5の複数のネジ挿通孔13からボトムケース4のネジ孔16にネジ12を螺合する。以上のようにして、図2に示すような装置本体を構成する筐体3が形成される。
【0027】
なお、トップカバー5の天板部5aには、組み付け後に、上述した開口部6や作業用の窓部10を覆うラベル(図示せず。)が貼り付けられる。これにより、筐体3の内部に塵埃等が侵入することが防止される。
【0028】
筐体3の前面側には、図2に示すように、長尺な矩形状をなす平板なフロントパネル18が取り付けられている。このフロントパネル18には、光ディスク2が水平方向に出し入れされるディスク挿脱口19が設けられている。すなわち、光ディスク2は、このディスク挿脱口19から筐体3の内部へ挿入され、ディスク挿脱口19から筐体3の外部へと排出される。また、フロントパネル18の前面には、光ディスク2に対するアクセス状態を点灯表示する表示部20や、光ディスク2をイジェクトする際に押圧操作されるイジェクトボタン21が設けられている。
【0029】
このディスクドライブ装置1は、図4及び図5に示すように、ボトムケース4の底面部に駆動部本体を構成するベースユニット22が設けられている。
【0030】
このベースユニット22は、ディスク挿脱口19から筐体3の内部に挿入された光ディスク2が装着されるディスク装着部23と、このディスク装着部23に装着された光ディスク2を回転駆動するディスク回転駆動機構24と、このディスク回転駆動機構24により回転駆動される光ディスク2に対して信号の書き込み又は読み出しを行う光ピックアップ25と、この光ピックアップ25を光ディスク2の半径方向に送り動作させるピックアップ送り機構26とを有し、これらがベース27に一体に設けられた超薄型構造を構成している。
【0031】
このベースユニット22は、ディスク装着部23がボトムケース4の底面部のほぼ中央部に位置するように、シャーシ11よりも前面側に配置されている。ベースユニット22は、後述するベース昇降機構55によって昇降可能とされており、初期状態において、ディスク挿脱口19から筐体3の内部に挿入される光ディスク2よりも下方側に位置している。
【0032】
ベース27は、金属板を所定の形状に打ち抜き、その周囲を僅かに下方に折り曲げて形成されている。ベース27の主面には、後述するディスク装着部23のターンテーブル23aを上方へと臨ませる略半円状のテーブル用開口部27aと、後述する光ピックアップ25の対物レンズ25aを上方へと臨ませる略矩形状のピックアップ用開口部27bとが連続形成されている。なお、ベース27の上面部には、これら開口部27a,27bに対応した開口部が形成された化粧板(図示せず。)が取り付けられる。
【0033】
ディスク装着部23は、ディスク回転駆動機構24により回転駆動されるターンテーブル23aを有し、このターンテーブル23aの中心部には、光ディスク2を装着するためのチャッキング機構28が設けられている。このチャッキング機構28は、光ディスク2の中心孔2aに係合し、光ディスク2の回転中心をターンテーブル23aの回転中心と一致させるセンタリングを行う係合突部28aと、この係合突部28aに係合された光ディスク2の中心孔2aの内周面を押圧し、この光ディスク2をターンテーブル23aと一体に回転するように支持する複数の押圧支持片28bとを備える。
【0034】
ディスク回転駆動機構24は、光ディスク2をターンテーブル27aと一体に回転駆動する偏平なスピンドルモータ24aを備える。スピンドルモータ24aは、駆動軸の先端部に取り付けられたターンテーブル23aがベース27のテーブル用開口部27aから僅かに突出するように、支持板24bを介してベース27の下面にネジ止めにより取り付けられている。
【0035】
光ピックアップ25は、光源となる半導体レーザから出射された光ビームを対物レンズ25aにより集光して光ディスク2の信号記録面に照射し、この光ディスク2の信号記録面で反射された戻りの光ビームを受光素子等からなる光検出器により検出する光学ブロックを有し、光ディスク2に対する信号の書き込み又は読み出しを行う。
【0036】
また、この光ピックアップ25は、対物レンズ25aを、この対物レンズ25aの光軸と平行な方向のフォーカッシング方向と、対物レンズ25aの光軸と直交する平面方向であって、光ディスクの記録トラックと直交する方向のトラッキング方向とに変位駆動する対物レンズ駆動機構を有し、上述した光検出器により検出された光ディスク2からの検出信号に基づいて、この対物レンズ駆動機構により対物レンズ25aをフォーカッシング方向及びトラッキング方向に変位させながら、光ディスク2の信号記録面上に対物レンズ25aの焦点を合わせるフォーカスサーボや、対物レンズ25aにより集光される光ビームのスポットが記録トラックを追従するトラッキングサーボの駆動制御を行う。なお、対物レンズ駆動機構としては、このようなフォーカシング制御及びトラッキング制御に加えて、対物レンズ25aにより集光された光ビームを光ディスク2の信号記録面に垂直に照射させるように、光ディスク2の信号記録面に対する対物レンズ25aの傾きでありチルト調整を可能とするように構成したものであってもよい。
【0037】
ピックアップ送り機構26は、光ピックアップ25が搭載されたピックアップベース29と、このピックアップベース29を光ディスク2の半径方向にスライド可能に支持する一対のガイド軸30a,30bと、これら一対のガイド軸30a,30bに支持されたピックアップベース29を光ディスク2の半径方向に送り操作する送り駆動機構31とを有している。
【0038】
ピックアップベース29には、一対のガイド軸30a,30bのうち、一方のガイド軸30aを挿通するガイド孔が形成された一対のガイド片32a,32bと、他方のガイド軸30bを挟み込むガイド溝が形成されたガイド片33とが互いに対向する側面から突出形成されている。これにより、ピックアップベース29は、一対のガイド軸30a,30bにスライド可能に支持されている。
【0039】
一対のガイド軸30a,30bは、ベース27の下面に光ディスク2の半径方向と互いに平行となるように配置されており、ベース27のピックアップ用開口部27bから光ピックアップ25が臨むピックアップベース29を光ディスク2の内外周に亘って案内する。
【0040】
送り駆動機構31は、ベース27に取り付けられた駆動モータ31aの回転駆動をギヤやラック(図示せず。)を介して直線駆動に変換し、ピックアップベース29を一対のガイド軸30a,30bに沿った方向、すなわち光ディスク2の半径方向に移動操作する。
【0041】
このディスクドライブ装置1は、図4に示すように、ディスク挿脱口19から光ディスク2が挿脱されるディスク挿脱位置と、ディスク装着部23のターンテーブル23aに光ディスク2が装着されるディスク装着位置との間で光ディスク2の搬送を行うディスク搬送機構34を備えている。
【0042】
このディスク搬送機構34は、天板部5aのディスク装着部23と対向する主面と、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の主面との間で移動操作されるサポート部材として、当該ディスク2の主面と平行な面内で回動可能とされた第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36を有している。
【0043】
これら第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36は、ディスク装着部23を挟んだ左右の両側に各々配置されており、それぞれディスク装着部23よりも背面側に位置する基端部が回動可能に支持されるとともに、ディスク装着部23よりも前面側に位置する先端部がディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の主面と平行な面内で互いに近接又は離間する方向に回動可能となっている。
【0044】
具体的に、第1の回動アーム35は、長尺な金属板により形成され、ディスク装着部23のターンテーブル23aを挟んだ左右の一方側(例えば図4中の右側)に位置して、基端部がシャーシ11上に設けられた第1の支軸37を介して、矢印a1方向及び矢印a2方向に回動可能に支持されている。また、第1の回動アーム35の先端部には、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部と当接される第1の前面側当接部材38が下方に向かって突出して設けられている。また、第1の回動アーム35の基端部近傍には、光ディスク2をディスク装着位置に位置決めする際に、第1の前面側当接部材38とともに光ディスク2の外周部に当接される第1の背面側当接部材39が下方に向かって突出して設けられている。
【0045】
第1の前面側当接部材38及び第1の背面側当接部材39は、合成樹脂を用いて形成され、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部と当接される中央部分が内側に湾曲し、その両端部が拡径されたフランジ部38a,39aとして光ディスク2の高さ方向の移動を規制する略鼓形形状を有している。ここで、第1の前面側当接部材38及び第1の背面側当接部材39が光ディスク2の主面に接触するような構造を有する場合は、これら各部材38,39は光ディスク2よりも柔らかい樹脂で形成されていることが望ましい。これら第1の前面側当接部材38及び第1の背面側当接部材39は、第1の回動アーム35のディスク装着部23と対向する主面に回転可能に取り付けられた小径の回転ローラであってもよい。
【0046】
一方、第2の回動アーム36も、長尺な金属板により形成され、ディスク装着部23のターンテーブル23aを挟んだ左右の他方側(例えば図4中の左側)に位置して、基端部がシャーシ11上に設けられた第1の支軸37を介して、矢印b1方向及び矢印b2方向に回動可能に支持されている。また、第2の回動アーム36の先端部には、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部に当接される第2の前面側当接部材40が下方に向かって突出して設けられている。
【0047】
第2の前面側当接部材40は、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部と当接される中央部分が内側に湾曲し、その両端部が拡径されたフランジ部40aとして光ディスク2の高さ方向の移動を規制する略鼓形形状を有している。ここで、第2の前面側当接部材40が光ディスク2の主面に接触するような構造を有する場合は、この第2の前面側当接部材40は光ディスク2よりも柔らかい樹脂で形成されていることが望ましい。この第2の前面側当接部材40は、第2の回動アーム36のディスク装着部23と対向する主面に回転可能に取り付けられた小径の回転ローラであってもよい。
【0048】
このように、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とは、ディスク装着部23のターンテーブル23aを挟んで略対称となる位置に配置されている。また、本実施の形態のように、互いの回動中心がディスク装着部23よりも背面側の略中央部において一致していることにより構造を単純化できる。また、第1の回動アーム35の先端部及び第2の回動アーム36の先端部は、上述した天板部5aのガイド溝9に係合された状態で回動方向に沿ってスライド可能に支持されている。
【0049】
ディスク搬送機構34は、これら第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とを連動させるための連動機構41を有しており、この連動機構41を介して第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが互いに逆向きに回動可能となっている。具体的に、この連動機構41は、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とを連結する第1の連結アーム42及び第2の連結アーム43を有している。これら第1の連結アーム42及び第2の連結アーム43は、長尺な金属板からなり、それぞれの長手方向の一端部が第1の回動アーム35の基端部と第2の回動アーム36の基端部とに回動可能に支持され、それぞれの長手方向の他端部が第2の支軸44を介して回動可能に支持された、いわゆるパンタグラフ構造を有している。また、第2の支軸44は、シャーシ11の第1の支軸37よりも前面側に設けられたガイド溝45に係合されており、このガイド溝45は、光ディスク2の挿入方向に亘って直線状に形成されている。
【0050】
したがって、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とは、第2の支軸44がガイド溝45内をスライドすることで、第1の連結アーム42及び第2の連結アーム43を介して互いに逆向きに回動可能となっている。すなわち、第1の回動アーム35の先端部と第2の回動アーム36の先端部とは、このような連動機構41によって、互いに近接又は離間する方向に回動可能となっている。
【0051】
また、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36の基端部には、これら回動アーム35,36を互いに近接する方向に付勢する付勢手段である捻りコイルバネ(図示せず。)が設けられている。
【0052】
ディスク搬送機構34は、光ディスク2をディスク挿脱口19から筐体3の内部へと引き込むローディング動作を補助するためのローディング補助手段として、ディスク挿脱口19から挿入される光ディスク2の主面と平行な面内で回動可能とされた第3の回動アーム46を有している。
【0053】
第3の回動アーム46は、長尺な金属板よりなり、ディスク装着部23のターンテーブル23aを挟んだ左右の一方側(例えば図4中左側)の第2の回動アーム36よりも前面側に位置して、基端部がウイング部4a上に設けられた支軸47を介して、矢印c1方向及び矢印c2方向に回動可能に支持されている。また、第3の回動アーム46の先端部には、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部に当接される第3の当接部材48が上方に向かって突出して設けられている。
【0054】
第3の当接部材48は、第3の回動アーム46の天板部5aと対向する主面に回転可能に取り付けられた合成樹脂からなる小径の回転ローラである。この第3の当接部材48は、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部と当接される中央部分が内側に湾曲し、その両端部が拡径されたフランジ部40aとして光ディスク2の厚さ方向の移動を規制する鼓形形状を有している。
【0055】
ディスク搬送機構34は、光ディスク2をディスク挿脱口19から筐体3の外部へと排出するイジェクト動作を補助するためのイジェクト補助機構として、ディスク挿脱口19から挿入される光ディスク2の主面と平行な面内で回動可能とされた第4の回動アーム49を有している。
【0056】
第4の回動アーム49は、長尺状の板金からなり、ディスク装着部23のターンテーブル23aを挟んだ左右の一方側(例えば図4中左側)の第2の回動アーム36の中間部において、矢印d1方向及び矢印d2方向に回動可能に支持されている。また、第4の回動アーム49の先端部には、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部の背面側に当接される第4の当接部材50が上方に向かって突出して設けられている。
【0057】
第4の当接部材50は、合成樹脂を用いて形成され、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部と当接される中央部分が内側に湾曲し、その両端部が拡径されたフランジ部50aとして光ディスク2の厚さ方向の移動を規制する鼓形形状を有している。この第4の当接部材50は、第4の回動アーム49の天板部5aと対向する主面に回転可能に取り付けられた小径の回転ローラであってもよい。
【0058】
また、第2の回動アーム36には、第4の回動アーム49が背面側、すなわち矢印d1方向に回動された際に、この第4の回動アーム49の背面側への回動を規制する規制片51が設けられている。
【0059】
このディスク搬送機構34は、上述した各回動アーム35,36,46,49を協働させるための駆動レバー52を有している。この駆動レバー52は、全体が略直方体状に形成された樹脂部材からなり、ボトムケース4の底面部において、このボトムケース4の一方の側面部とベースユニット22との間に配置されている。また、この駆動レバー52は、ディスク挿脱口19から筐体3の内部に挿入される光ディスク2よりも下方に位置しており、その上面部がウイング部4aの底面部と略一致した高さを有している。この駆動レバー52は、ボトムケース4の底面部に設けられた駆動モータやギヤ群等からなる図示を省略する駆動機構を介して図4中矢印X1方向及び矢印X2方向の前後方向にスライド駆動される。
【0060】
そして、ディスク搬送機構34では、この駆動レバー52のスライド動作に連動して、上述した第2の支軸44がガイド溝45内をスライドすることになる。これにより、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36は、連動機構41を介して互いに逆向きに回動操作される。また、第3の回動アーム46の基端側には、駆動レバー52の上面に設けられたガイド溝53に係合されるガイドピン54が設けられている。これにより、第3の回動アーム46は、駆動レバー52のスライド動作に連動して、ガイドピン54がガイド溝53内をスライドすることで回動操作される。また、第4の回動アーム49も、図示を省略する連結機構を介して駆動レバー52のスライド動作に連動して回動操作される。
【0061】
このディスク搬送機構34は、これら第1の回動アーム35、第2の回動アーム36、第3の回動アーム46及び第4の回動アーム49が互いに協働しながら、光ディスク2をディスク挿脱口から筐体3の内部へと引き込むローディング操作と、光ディスク2をディスク装着位置に位置決めするセンタリング操作と、光ディスク2をディスク挿脱口19から筐体3の外部へと排出するイジェクト操作とを行う。
【0062】
このディスクドライブ装置1は、図4に示すように、上述した駆動レバー52のスライドに連動して、ベース27を昇降操作するベース昇降機構55を備えている。このベース昇降機構55は、ベース27を上昇させて、ディスク装着位置に位置決めされた光ディスク2をディスク装着部23のターンテーブル23aに装着するチャッキング位置と、ベース27を下降させて、ディスク装着部23のターンテーブル23aから光ディスク2を離脱するチャッキング解除位置と、ベース27をチャッキング位置とチャッキング解除位置との間に位置させて、光ディスク2に対する信号の記録又は再生を行う中間位置との間でベース27を昇降操作する。
【0063】
具体的に、上述した駆動レバー52のベース27と対向する側面には、光ディスク2のチャッキング位置、光ディスク2のチャッキング解除位置及び中間位置に対応したカム溝(図示せず。)が長手方向に亘って形成されている。
【0064】
また、ボトムケース4の底面部には、ベース27の背面側の側面に沿ってカムレバー56が配置されている。このカムレバー56は、長尺状の平板部材からなり、駆動レバー52の図4中矢印X1方向及び矢印X2方向の前後方向へのスライドに連動して、この駆動レバー52のスライド方向と略直交する方向にスライド操作される。このカムレバー56の中間部には、ベース27と対向する端縁部から上方に向かって折り曲げられたカム片57が設けられている。このカム片57には、光ディスク2をターンテーブル23aにチャッキングするチャッキング位置、ターンテーブル23aから離脱させたチャッキング解除位置、光ディスク2をターンテーブル23aに装着して記録再生を行う中間位置に対応したカム溝(図示せず。)が長手方向に亘って形成されている。
【0065】
また、ボトムケース4の底面部には、折曲げ片58がベース27の背面側の側面に沿って折り曲げ形成されている。この折曲げ片58には、ベース27を昇降させるための鉛直溝(図示せず。)が上下方向に亘って形成されている。
【0066】
これに対して、ベース27は、図5に示すように、駆動レバー52と対向する側面のディスク装着部23側に位置して、駆動レバー52の側面に形成されたカム溝に係合されて支持される第1の支軸59と、カムレバー56と対向する側面のディスク装着部23側に位置して、カム片57のカム溝及び折曲げ片58の鉛直溝に係合されて支持される第2の支軸60と、駆動レバー52と対向する側面とは反対側の側面の前面側に位置して、ボトムケース4の他方側の側面に設けられた軸孔61に回動可能に支持された第3の支軸62と、カムレバー56と対向する側面とは反対側の側面の前面側に位置して、ゴム等の粘弾性部材からなるインシュレータ63を介してボトムケース4の底面部にネジ64により支持された支持部65とを有している。
【0067】
このベース昇降機構55では、駆動レバー52及びカムレバー56のスライドに連動して、第1の支軸59が駆動レバー52のカム溝内をスライドするとともに、第2の支軸60がカムレバー56のカム溝及び折曲げ片58の鉛直溝内をスライドすることによって、ベース27のディスク装着部23側が筐体3の前面側に対して、光ディスク2をターンテーブル23aにチャッキングするチャッキング位置と、ターンテーブル23aから離間させるチャッキング解除位置と、ターンテーブル23aに光ディスク2を装着して記録再生を行う中間位置との間で昇降操作される。
【0068】
また、ボトムケース4の底面部には、図4に示すように、このベース昇降機構55がベース27を下降させたとき、ディスク装着部23のターンテーブル23a上に装着された光ディスク2をターンテーブル23aから離脱させるためのチャッキング解除機構を構成する押上ピン66が設けられている。この押上ピン66は、ベースユニット22のディスク装着部23の近傍、具体的にはディスク装着部23に最も近接したベース27の背面側に位置して、ボトムケース4の底面部から上方に向かって突出して設けられている。
【0069】
次に、以上のように構成されるディスクドライブ装置1の具体的な動作について説明する。
【0070】
このディスクドライブ装置1では、図6に示すように、光ディスク2が挿入される前の初期状態において、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36は、それぞれの先端部が所定の広がり角で開いた状態で保持されている。第3の回動アーム46は、先端部が基端部よりも外側に位置し且つ先端部が基端部よりも前面側に位置した状態で保持されている。第4の回動アーム49は、先端部が基端部よりも内側に位置し且つ先端部が基端部よりも前面側に位置した状態で保持されている。駆動レバー52は、ボトムケース4の前面側に位置している。
【0071】
このディスクドライブ装置1では、筐体3のディスク挿脱口19から外径の異なるいずれの光ディスク2A,2Bが挿入された場合であっても、これら光ディスク2A,2Bをディスク装着位置まで引き込むローディング操作を行うことができる。
【0072】
具体的に、筐体3のディスク挿脱口19から大径の光ディスク2Aが挿入された場合には、まず、図7に示すように、ディスク挿脱口19から筐体3の内部に挿入された光ディスク2Aの外周部の背面側が第1の回動アーム35の第1の前面側当接部材38及び第2の回動アーム36の第2の前面側当接部材40に当接された状態となる。
【0073】
次に、図8に示すように、この状態から更に光ディスク2Aがディスク挿脱口19から筐体3の内部に押し込まれると、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40との間で大径の光ディスク2Aの外周部を挟み込む。このとき、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが光ディスク2Aの外周部の背面側に当接された状態で、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが捻りコイルバネの付勢に抗して互いに離間する方向、すなわち図8中矢印a2方向、矢印b2方向に回動される。
【0074】
そして、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36が互いに離間する方向に所定量だけ回動されたとき、回路基板に設けられた初期位置を検出する検出スイッチが押圧されることによって、駆動機構による駆動レバー52の装置内方の背面側へのスライドが開始される。これにより、第3の回動アーム46は、図8中矢印c1方向に回動される。また、第3の回動アーム46は、第3の当接部材48が大径の光ディスク2Aの外周部の前面側に当接された状態となることで、この光ディスク2Aの外周部の前面側を押圧しながら、光ディスク2Aを筐体3の内部へと引き込むことになる。
【0075】
そして、図9に示すように、大径の光ディスク2Aの中心孔2aが第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とを結ぶ直線よりも背面側に位置するまで筐体3の内部に引き込まれると、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが光ディスク2Aの外周部に沿って背面側から前面側へと回り込む。すると、今度は第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが光ディスク2Aの外周部の前面側に当接された状態で、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが捻りコイルバネに付勢されて互いに近接する方向、すなわち図9中矢印a1方向、矢印b1方向に回動される。これにより、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36は、大径の光ディスク2Aの外周部の前面側を押圧しながら、大径の光ディスク2Aを図10に示すディスク装着位置まで引き込むことになる。
【0076】
また、第4の回動アーム49は、第4の当接部材50が大径の光ディスク2Aの外周部の背面側に当接された状態で押圧されることによって、図8中矢印d1方向に回動される。そして、第4の回動アーム49は、大径の光ディスク2Aが図10に示すディスク装着位置で引き込まれた際に、第2の回動アーム36の規制片51に当接され、その回動が規制された状態となる。
【0077】
一方、筐体3のディスク挿脱口19から小径の光ディスク2Bが挿入された場合には、まず、図16に示すように、ディスク挿脱口19から筐体3の内部に挿入された小径の光ディスク2Bの外周部の背面側が第1の回動アーム35の第1の前面側当接部材38及び第2の回動アーム36の第2の前面側当接部材40に当接された状態となる。
【0078】
次に、図17に示すように、この状態から更に小径の光ディスク2Bがディスク挿脱口19から筐体3の内部に押し込まれると、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40との間で小径の光ディスク2Bの外周部を挟み込む。このとき、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが光ディスク2Bの外周部の背面側に当接された状態で、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが捻りコイルバネの付勢に抗して互いに離間する方向、すなわち図17中矢印a2方向、矢印b2方向に回動される。
【0079】
そして、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36が互いに離間する方向に所定量だけ回動されたとき、回路基板に設けられた検出スイッチが押圧されることによって、駆動機構による駆動レバー52の背面側へのスライドが開始される。
【0080】
これにより、第3の回動アーム46は、図17中矢印c1方向に回動される。また、第3の回動アーム46は、第3の当接部材48が小径の光ディスク2Bの外周部の前面側に当接された状態となることで、この光ディスク2Bの外周部の前面側を押圧しながら、光ディスク2Bをディスク挿脱口19から筐体3の内部へと引き込むことになる。
【0081】
そして、図18に示すように、小径の光ディスク2Bの中心孔2aが第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とを結ぶ直線よりも背面側に位置するまで、光ディスク2Bが筐体3の内部に引き込まれると、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが光ディスク2Bの外周部に沿って背面側から前面側へと回り込む。すると、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが光ディスク2Bの外周部の前面側に当接された状態で、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが捻りコイルバネに付勢されて互いに近接する方向、すなわち図18中矢印a1方向、矢印b1方向に回動される。
【0082】
これにより、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36は、小径の光ディスク2Bの外周部の前面側を押圧しながら、この光ディスク2Bを図19に示すディスク装着位置まで引き込むことになる。
【0083】
また、第4の回動アーム49は、第4の当接部材50が小径の光ディスク2Bの外周部の背面側に当接された状態で押圧されることによって、図18中矢印d1方向に回動される。そして、第4の回動アーム49は、小径の光ディスク2Bが図19に示すディスク装着位置で引き込まれた際に、第2の回動アーム36の規制片51に当接され、その回動が規制された状態となる。
【0084】
このディスクドライブ装置1では、図10及び図19に示すように、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36が、これら外径の異なる光ディスク2A,2Bをディスク装着位置まで引き込んだ際に、第1の前面側当接部材38、第1の背面側当接部材39、第2の前面側当接部材40、第4の当接部材50の内側に光ディスク2A,2Bを挟み込むことによって、これら外径の異なる光ディスク2A,2Bをディスク装着位置に位置決めするセンタリング動作を行う。すなわちこれら外径の異なる光ディスク2A,2Bの中心孔2aと、ターンテーブル23aの係合突部28aとを当該ディスク2の主面と直交する方向において一致させる。
【0085】
次に、このディスクドライブ装置1では、上述した光ディスク2のセンタリング動作の後に、ベース昇降機構55がベース27を上昇させることによって、ディスク装着位置に位置決めされた光ディスク2をディスク装着部23のターンテーブル23aに装着するチャッキング動作を行う。
【0086】
具体的には、図26に示すチャッキング解除位置からベース昇降機構55によりベース27が図27に示すチャッキング位置まで上昇すると、ディスク装着位置に位置決めされた光ディスク2の中心孔2aに係合突部28aが入り込みながら、天板部5aの当接突部7に光ディスク2の中心孔2aの周囲が押し付けられることによって、係合突部28aが光ディスク2の中心孔2aに係合されるとともに、複数の押圧支持片28bが光ディスク2の中心孔2aの周囲を係止した状態で、光ディスク2がターンテーブル23a上に保持される。そして、光ディスク2がターンテーブル23a上に保持された状態で、ベース昇降機構55によりベース27が図28に示す中間位置まで下降する。
【0087】
また、このディスクドライブ装置1では、上述したチャッキング動作の後に、後述するように、駆動レバー52の筐体3の内方の背面側へのスライドに連動して、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36が互いに離間する方向、すなわち図11及び図20中に示す矢印a2方向、矢印b2方向に僅かに回動される。このとき、第4の回動アーム49は、規制片51に当接されたまま、第2の回動アーム36と一体に回動されることになる。また、第3の回動アーム46は、駆動レバー52の筐体3の内方の背面側へのスライドに連動して、図11及び図20中に示す矢印c2方向に僅かに回動される。これにより、ターンテーブル23aに保持された光ディスク2A,2Bの外周部から、第1の前面側当接部材38、第1の背面側当接部材39、第2の前面側当接部材40、第3の当接部材48、第4の当接部材50が離間した状態となる。
【0088】
このディスクドライブ装置1は、図11、図20及び図28に示す状態から、パーソナルコンピュータ1000から記録又は再生の指令信号が入力されると、この指令に基づいて、光ディスク2に対して情報信号の記録又は再生が行われる。具体的には、スピンドルモータ24aが光ディスク2をターンテーブル23aと一体に回転駆動するとともに、ピックアップ送り機構26によって光ピックアップ25が外周側から内周側へ移動し、フォーカスサーボ制御とトラッキングサーボ制御がかかると、この光ディスク2のリードイン領域に記録されているTOCデータの読み出しを行う。この後、情報信号を記録する場合にあっては、読み出したTOCデータに基づいて、光ディスク2のプログラム領域内の所定のアドレスに、光ピックアップ25が移動する。また、情報信号の再生時にあっては、指定されたデータが記録されたプログラム領域内のアドレスに、光ピックアップ25が移動する。そして、この光ピックアップ25が光ディスク2の所望の記録トラックに対して情報信号の書き込み又は読み出し動作を行う。
【0089】
このディスクドライブ装置1では、フロントパネル20に設けられたイジェクトボタン21が操作され、又はこのディスクドライブ装置1が搭載されたパーソナルコンピュータ1000からイジェクト指令信号が入力されると、この指令信号に基づいて、まず、駆動機構により駆動レバー52の前面側へのスライドが開始される。
【0090】
そして、駆動レバー52の前面側へスライドに連動して、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36が互いに近接する方向、すなわち図12及び図21中に示す矢印a1方向、矢印b1方向に僅かに回動される。このとき、第4の回動アーム49は、規制片51に当接されたまま、第2の回動アーム36と一体に回動される。また、第3の回動アーム46は、駆動レバー52の筐体3の前面側へのスライドに連動して、図12及び図21中に示す矢印c1方向方向に僅かに回動される。
【0091】
これにより、ターンテーブル23aに保持された光ディスク2A,2Bの外周部に、第1の前面側当接部材38、第1の背面側当接部材39、第2の前面側当接部材40、第3の当接部材48、第4の当接部材50が当接された状態となる。なお、図21に示す小径の光ディスク2Bの場合には、第4の当接部材50がこの光ディスク2Bの外周部から離間した状態となる。
【0092】
次に、このディスクドライブ装置1では、ベース昇降機構55がベース27を上記チャッキング解除位置まで下降させることによって、ディスク装着部23のターンテーブル23aから光ディスク2を離脱するチャッキング解除動作を行う。
【0093】
具体的には、ベース27が上記チャッキング解除位置まで下降すると、押上ピン66の先端部がディスク装着部23のターンテーブル23aに装着された光ディスク2の内周側の非信号記録領域に当接することによって、この光ディスク2を押し上げながら、光ディスク2をターンテーブル23a上から離脱する。
【0094】
次に、このディスクドライブ装置1では、ディスク装着部23にある光ディスク2A,2Bをディスク挿脱口19から筐体3の外部へと排出するイジェクト操作を行う。
【0095】
具体的に、筐体3のディスク挿脱口19から大径の光ディスク2Aを排出する場合には、まず、図13に示すように、駆動レバー52の前面側へのスライドに連動して、第4の回動アーム49が図13中矢印d2方向に回動される。また、第4の回動アーム49は、第4の当接部材50が大径の光ディスク2Aの外周部の背面側に当接された状態となることで、この光ディスク2Aの外周部の背面側を押圧しながら、光ディスク2Aを筐体3の外部へと押し出すことになる。
【0096】
そして、図14に示すように、大径の光ディスク2Aの中心孔2aが第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とを結ぶ直線よりも前面側に位置するまで、光ディスク2Aが筐体3の外部へと排出されると、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが大径の光ディスク2Aの外周部に沿って前面側から背面側へと回り込む。すると、今度は第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが光ディスク2Aの外周部の背面側に当接された状態で、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが捻りコイルバネに付勢されて互いに近接する方向、すなわち図14中に示す矢印a1方向、矢印b1方向に回動される。
【0097】
また、第3の回動アーム46は、第3の当接部材48が大径の光ディスク2Aの外周部に当接された状態で押圧されることによって、図14中に示す矢印c2方向に回動される。
【0098】
そして、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36は、大径の光ディスク2Aの外周部の背面側を押圧しながら、この光ディスク2Aを図15に示すディスク挿脱位置、すなわち大径の光ディスク2Aの中心孔2aがディスク挿脱口19から筐体3の外部に露出する位置まで押し出すことになる。
【0099】
一方、筐体3のディスク挿脱口19から小径の光ディスク2Bを排出する場合には、まず、駆動レバー52の前面側へのスライドに連動して、第4の回動アーム49が図22中矢印d2方向に回動される。また、第4の回動アーム49は、第4の当接部材50が小径の光ディスク2Bの外周部の背面側に当接された状態となることで、この光ディスク2Bの外周部の背面側を押圧しながら、光ディスク2Bを筐体3の外部へと押し出すことになる。
【0100】
そして、図23に示すように、小径の光ディスク2Bの中心孔2aが第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とを結ぶ直線よりも前面側に位置するまで、小径の光ディスク2Bが筐体3の外部へと排出されると、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが小径の光ディスク2Bの外周部に沿って前面側から背面側へと回り込む。すると、今度は第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とが小径の光ディスク2Bの外周部の背面側に当接された状態で、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが捻りコイルバネに付勢されて互いに近接する方向、すなわち図23中矢印a1方向、矢印b1方向に回動される。
【0101】
また、第3の回動アーム46は、第3の当接部材48が小径の光ディスク2Bの外周部に当接された状態で押圧されることによって、図23中矢印c2方向に回動される。
【0102】
そして、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36は、小径の光ディスク2Bの外周部の背面側を押圧しながら、この光ディスク2Bを図24に示すディスク挿脱位置まで押し出すことになる。
【0103】
なお、小径の光ディスク2Bの場合には、図25に示すように、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とを互いに近接する方向、すなわち図25中矢印a1方向、矢印b1方向に更に回動させることによって、光ディスク2Bの中心孔2aがディスク挿脱口19から筐体3の外部に露出する位置まで光ディスク2Bを押し出すことも可能である。
【0104】
上述したように、このディスクドライブ装置1では、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36によって、外径の異なる光ディスク2A,2Bをディスク装着位置まで引き込んだ際に、第1の前面側当接部材38、第1の背面側当接部材39、第2の前面側当接部材40、第4の当接部材50の内側に光ディスク2A,2Bを挟み込むことによって、これら外径の異なる光ディスク2A,2Bをディスク装着位置に位置決めするセンタリング動作を行うことが可能である。
【0105】
ここで、図29に模式的に示すように、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とは、ディスク装着部23のターンテーブル23aを挟んで略対称となる位置に配置されており、このターンテーブル23aよりも背面側に位置する回動中心Oを中心として互いに近接又は離間する方向に回動可能となっている。
【0106】
また、外径の異なる光ディスク2A,2Bの外周部と当接される4つの当接部材38,39,40,50のうち、第1の回動アーム35のターンテーブル23aよりも前面側に位置する第1の前面側当接部材38及び第1の回動アーム35のターンテーブル23aよりも背面側に位置する第1の背面側当接部材39と、第2の回動アーム36のターンテーブル23aよりも前面側に位置する第2の前面側当接部材40及び第2の回動アーム36のターンテーブル23aよりも背面側に位置する第4の当接部材50とは、ターンテーブル23aの中心部及び回動中心Oを通る光ディスク2の挿入方向に沿った中心線を挟んで略対称な位置関係となっている。
【0107】
ところで、直径を12cmとする大径の光ディスク2Aをセンタリングする場合と、直径を8cmとする小径の光ディスクをセンタリングする場合では、回動中心Oを中心とする第1の回動アーム35及び第2の回動アームの回動範囲にΔθだけ角度差が生じることになる。
【0108】
したがって、この角度差Δθを考慮して、4つの当接部材38,39,40,50の配置を予め設定しておけば、上述したセンタリング動作の際に、これら4つの当接部材38,39,40,50を外径の異なる光ディスク2A,2Bの外周部に当接させることが可能である。
【0109】
具体的に、ターンテーブル23aよりも前面側を通る回動中心Oを中心とした円弧をS1とし、この円弧S1とディスク装着位置にある大径の光ディスク2Aと小径の光ディスク2Bの外周部との接点をそれぞれA,Bとし、ターンテーブル23aよりも背面側を通る回動中心Oを中心とした円弧をS2(S1>S2)とし、この円弧S2とディスク装着位置にある大径の光ディスク2Aの外周部及び小径の光ディスク2Bの外周部との接点をそれぞれA',B'としたときに、角度AOB=A'OB'=Δθの関係を満足する2つの円弧S1,S2は、所定の半径の範囲に亘って存在することになる。そして、このような関係を満足する位置に、4つの当接部材38,39,40,50が配置されるよう設計がなされている。
【0110】
なお、円弧S1の近傍では、半径が小さくなるほどΔθは小さくなり、半径が大きくなるとΔθが大きくなる。そして、円弧S1を若干超えたところ、すなわち小径の光ディスク2Bの外周部と接触不可能となるところが設計限界となる。一方、円弧S2の近傍では、半径が小さくなるほどΔθは大きく、半径が大きくなるとΔθが小さくなる。そして、Δθには極小値があり、そこが設計限界となる。
【0111】
また、実際の設計においては、設計自由度の範囲内で最も好ましい円弧S1,S2の半径及び角度差Δθを設定することになるが、これらはCADソフトなど用いて作図しながら容易に求めることが可能である。
【0112】
以上のようにして、このディスクドライブ装置1では、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36が第1の前面側当接部材38、第1の背面側当接部材39、第2の前面側当接部材40、及び第4の当接部材50の内側に外径の異なる光ディスク2A,2Bをそれぞれ挟み込んだ際に、これら外径の異なる光ディスク2A,2Bの中心部(中心孔2a)と、ディスク装着部23の中心部(ターンテーブル23aの係合突部28aと)を当該ディスク2の主面と直交する方向において一致させることが可能である。すなわち、これら外径の異なる光ディスク2A,2Bをディスク装着位置に位置決めするセンタリング動作を適切且つ安定的に行うことが可能である。
【0113】
また、このディスクドライブ装置1では、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36によって、外径の異なる大径の光ディスク2Aと小径の光ディスクとをディスク装着位置まで引き込むと同時にセンタリング動作が行われる。すなわち、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36によるセンタリング動作は、第3の回動アーム46によって引き込まれた光ディスク2を更にディスク装着位置まで引き込む動作を兼ねている。
【0114】
したがって、このディスクドライブ装置1では、ディスク挿脱口19から挿入される光ディスク2A,2Bの外径の違いによらず、これら外径の異なる光ディスク2A,2Bをディスク装着位置まで引き込むローディング動作を適切且つ安定的に行うことが可能である。
【0115】
具体的に、大径の光ディスク2Aの半径が6cmであるのに対して、小径の光ディスク2Bの半径は4cmであることから、この半径の差により小径の光ディスク2Bの方が大径の光ディスク2Aよりも2cmほど余分にディスク挿脱口19から筐体3の内部へと押し込む必用があり、ディスク装着位置までの距離が等しくならない。すなわち、小径の光ディスク2Bの方が大径の光ディスク2Aよりも、ディスク挿脱口19から挿入された後のディスク装着位置までのストロークが2cmほど不足することになる。
【0116】
そこで、本発明に係るディスクドライブ装置1では、このような大径の光ディスク2Aと小径の光ディスク2Bとの外径の違いによるストロークの差分を吸収するため、まず、第3の回動アーム46によって小径の光ディスク2Bの中心孔2aが第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40とを結ぶ直線よりも背面側に位置するまで、小径の光ディスク2Bが筐体3の内部へと押し込まれる。なお、実際のマージンとして、大径の光ディスク2Aの場合よりも10mm程度余分に小径の光ディスク2Aを押し込めば、その後の引き込み動作がより安定したものとなる。
【0117】
次に、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが捻りコイルバネに付勢されて互いに近接する方向に回動されることによって、第1の前面側当接部材38と第2の前面側当接部材40との間に挟み込まれた小径の光ディスク2Bがディスク装着位置まで引き込まれる。
【0118】
このとき、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36との閉じ具合に応じて、大径の光ディスク2Aと小径の光ディスク2Bとの外径の違いによるストロークの差分が吸収されることになる。これにより、これら外径の異なる光ディスク2A,2Bをディスク装着位置まで確実に引き込むことができる。
【0119】
また、本発明に係るディスクドライブ装置1では、大径の光ディスク2Aのセンタリング動作の際に、第3の回動アーム46の第3の当接部材48も大径の光ディスク2Aの外周部に当接可能な構成となっている。すなわち、大径の光ディスク2Aの外周部には、合計5つの当接部材38,39,40,48,50が当接されることになる。
【0120】
ここで、センタリング動作の際に光ディスク2の外周部に当接される当接部は、第1の回動アーム35のターンテーブル23aよりも前面側と、第1の回動アーム35のターンテーブル23aよりも背面側と、第2の回動アーム36のターンテーブル23aよりも前面側と、第2の回動アーム36のターンテーブル23aよりも背面側とのうち、ターンテーブル23aを囲む少なくとも3箇所に合計3つ以上必要となる。
【0121】
したがって、本発明に係るディスクドライブ装置1は、上述した条件を満足するのであれば、上述した構成に必ずしも限られるものではなく、例えばセンタリング時に大径の光ディスク2Aの外周部から第3の当接部材48を離間させた構成や、更にセンタリング時における当接箇所を3箇所とした構成とすることも可能である。
【0122】
また、本発明に係るディスクドライブ装置1では、例えば図30に示すように、センタリング時に光ディスク2の外周部と当接される当接部材38,39,40,50の形状を略円弧状とすることも可能である。なお、この円弧の半径は、大径の光ディスク2Aの半径よりも小さいことが望ましい。
【0123】
この場合、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36によるローディング動作の開始位置を手前とすることができ、また、イジェクト動作完了後の光ディスク挿脱口19からの光ディスク2の排出量を増やすことができる。
【0124】
また、この場合、図31に模式的に示すように、大径の光ディスク2Aをセンタリングするとき、略円弧状をなす第1の背面側当接部材39及び第4の当接部材50の背面側(図31中に示すA1点)に、大径の光ディスク2Aの外周部が当接することになる。一方、小径のディスク2Bをセンタリングするとき、略円弧状をなす第1の背面側当接部材39及び第4の当接部材50の前面側(図31中に示すB1点)に、小径の光ディスク2Bの外周部が当接することになる。
【0125】
したがって、A1OB1=Δθは、第1の背面側当接部材39及び第4の当接部材50の円弧部分が長いほど小さくなる。また、角度差Δθが小さくなると、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36の回動範囲が狭くなる。これより、例えば回動アーム35,36の通過部分の減少によるデッドスペースの減少や、これら回動アーム35,36を駆動する駆動レバー52の駆動ストロークの減少によるメカニカルストレスの減少等のメリットを得ることができる。
【0126】
このように、第1の背面側当接部材39及び第4の当接部材50の形状を略円弧形状とすることで、角度差Δθの設定範囲が広がることから、設計自由度を更に高めることが可能である。
【0127】
また、本発明に係るディスクドライブ装置1では、図32に示すように、センタリング時に光ディスク2の外周部と当接される各当接箇所に、複数の当接部材を配置するようにしてもよい。なお、本例では、上述した第1の背面側当接部材39に代えて、第1の回動アーム35のターンテーブル23aよりも背面側に位置して光ディスク2の引き込み排出専用の当接部材70aと、センタリング用の当接部材70bとが設けられている。
【0128】
なお、第4の当接部材50についても、複数の当接部材に分割する構成が考えられるが、この第4の当接部材50は、上述したローディング動作やイジェクト動作の際に光ディスク2の外周部に沿って動作することから、分割された当接部材による第4の回動アーム49の不連続な動作を防止するため、連続した形状となる円弧形状、又は先端部のみを分離し、ローラにより構成することが望ましい。
【0129】
また、上述した光ディスク2のイジェクト動作を補助するためのイジェクト補助手段として、図30及び図32に示すように、ディスク挿脱口19から挿入される光ディスク2の主面と平行な面内で回動可能な第5の回動部材71を、支軸71aを介して第1の回動アーム35に回動可能に取り付けた構成とすることも可能である。また、第5の回動部材71には、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の外周部の背面側に当接される第5の当接部材71cが上方に向かって突設されている。これにより、上述したイジェクト動作をより確実に行うことが可能となる。
【0130】
また、本発明に係るディスクドライブ装置1では、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36が、天板部5aのディスク装着部23と対向する主面とディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の主面との間で回動操作される。
【0131】
このため、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2とベース27との間のクリアランスの影響を受けることがなく、上述した光ディスク2のローディング動作、センタリング動作及びイジェクト動作を適切且つ安定的に行うことが可能である。
【0132】
特に、外径の異なる光ディスク2A,2Bのうち、小径の光ディスク2Bのセンタリング動作の後に、ベース27を上昇させてターンテーブル23A上に小径の光ディスク2Bを装着するチャッキング動作を行った場合でも、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36とベース27との衝突を回避することが可能である。
【0133】
したがって、本発明に係るディスクドライブ装置1では、外径を異にする光ディスク2のローディングを可能としながら、ターンテーブル23aへのチャッキング時に狭小となる光ディスク2とベース27との間のクリアランスの影響を受けることなく、装置全体を更に小型、軽量、薄型化を図ることが可能となる。
【0134】
また、本発明に係るディスクドライブ装置1では、第1の回動アーム35の先端部及び第2の回動アーム36の先端部が天板部5aに設けられたガイド部材8のガイド溝9に係合された状態でスライド可能に支持されている。これにより、天板部5aのディスク装着部23と対向する主面と、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の主面との間で、これら第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36を安定的に回動操作することが可能である。
【0135】
更に、筐体3は、このようなガイド部材8を天板部5aの前面側に取り付けることで、ガイド部材8が補強リブとして機能することになり、その結果、トップカバー5の剛性を高めることが可能である。これにより、トップカバー5のディスク挿脱口19近傍の剛性低下を防ぎ、上述したベース27を上昇させてディスク装着部23のターンテーブル23aに光ディスク2を装着する際の動作信頼性を向上させることが可能である。
【0136】
以上のように、本発明に係るディスクドライブ装置1は、簡素な機構を有しながら、外径の異なる光ディスク2A,2Bを選択的にローディングが可能であり、小径の光ディスク2Bをローディングするため、大径の光ディスク2Aと同じ大きさにするためのアダプタを用いる付ける必要もなく、操作性を更に良好とすることが可能である。また、動作の信頼性が高く、低コスト化も容易である。
【0137】
そして、本発明に係るディスクドライブ装置1では、従来の外径の異なる光ディスク2A,2Bを選択的に装着を可能としたスロットイン型のディスクドライブ装置に比べて、部品点数を大幅に削減することが可能であり、装置全体を更に小型、軽量、薄型化を図ることが可能である。特に、ノート型のパーソナルコンピュータ1000等に搭載される超薄型のスロットイン型のディスクドライブ装置として、厚さを12.7mm、又は9.5mmまで薄型化を図ることができる。
【0138】
次に、本発明に係るディスクドライブ装置1を駆動制御するための具体的な構成について説明する。なお、以下の説明では、上述したディスクドライブ装置1と同等の機能を実行する部材については、共通の符号を付して説明する。
【0139】
ディスク搬送機構34を構成する第1乃至第4の回動アーム35,36,46,49のうち、第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36には、図33に示すように、第1の前面側当接部材38及び第2の前面側当接部材40に、それぞれ前後一対の回転ローラ73a,73bが回転可能に取り付けられている。これら一対の回転ローラ73a,73bのうち、筐体3の前面側に位置する回転ローラ73aは、上述したローディング動作及びイジェクト動作の際に光ディスク2の外周部に当接に当接される部分であり、筐体3の背面側に位置する回転ローラ73bは、上述したセンタリング動作の際に光ディスク2の外周部に当接される部分である。このように、一対の回転ローラ73a,73bに別々の機能を持たせることで、上述した第1の回動アーム35及び第2の回動アーム36による大径の光ディスク2A及び小径の光ディスク2Bのローディング動作、センタリング動作及びイジェクト動作を確実に、しかも安定して行うことが可能である。
【0140】
また、連動機構41では、図33、図34及び図35に示すように、上述した第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とを、外径を異にする光ディスク2A,2Bにそれぞれ対応して回動操作する必要がある。このため、カムレバー56の中途部から上方に向かって折り曲げられたカム片57が更に水平方向に略コ字状に折り曲げられている。このカム片57の水平面部57aには、大径の光ディスク2Aに対応した第1のカム部74aと、この第1のカム部74aよりも前面側を切り欠くことによって、小径の光ディスク2Bに対応した第2のカム部74bとが形成されている。
【0141】
そして、この連動機構41では、筐体3のディスク挿脱口19から大径の光ディスク2Aが挿入された場合と、小径の光ディスク2Bが挿入された場合とで第1の回動アーム35と第2の回動アーム36との開き角度の相違によって、第2の支軸44の第1のカム部74aと第2のカム部74bへの係合状態が切り替わる。
【0142】
具体的に、大径の光ディスク2Aが挿入された場合には、第2の支軸44が第1のカム部74aに係合し、上述したカムレバー56の左右方向のスライド動作に連動してガイド溝45内をスライドする。これにより、大径の光ディスク2Aの外径に対応して、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とを互いに近接又は離間する方向に回動操作することができる。
【0143】
一方、小径の光ディスク2Bが挿入された場合には、第2の支軸44が第2のカム部74bに係合し、上述したカムレバー56の左右方向のスライド動作に連動してガイド溝45内をスライドする。これにより、小径の光ディスク2Bの外径に対応して、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とを互いに近接又は離間する方向に回動操作することができる。
【0144】
また、ディスク搬送機構34は、図33に示すように、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とを互いに近接する方向に付勢する付勢部材として、第1の捻りコイルバネ75を備えている。第1の捻りコイルバネ75は、詳細は図示しないが、コイル部を第1の支軸37に挿通した状態で、一端部を第1の回動アーム35の基端部に係止し、他端部を第2の回動アーム36に係止することによって、第1の回動アーム35と第2の回動アームアーム36とを互いに近接する方向に付勢している。
【0145】
また、ディスク搬送機構34は、図34及び図57に示すように、上述した第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とを互いに近接する方向に付勢する付勢状態と非付勢状態とを切替可能とする付勢切替機構として、第2の回動アーム36を押圧する押圧レバー76と、この押圧レバー76を第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが互いに近接される方向に付勢する付勢部材である第2の捻りコイルバネ77とを備えている。
【0146】
押圧レバー76は、その一端部に第2の回動アーム36に当接される当接ピン76aと、その他端部に図37(a)〜図37(d)に示す駆動レバー52の上面部に形成されたカム溝78に係合されるカムピン76bとを有している。この押圧レバー76は、当接ピン76aが第2の回動アーム36に当接される当接位置と、当接ピン76bが第2の回動アーム36から離間する退避位置との間で回動可能な状態でシャーシ11上に軸支されている。
【0147】
第2の捻りコイルバネ77は、図34に示すように、そのコイル部がシャーシ11に支持された状態で、その一端部がシャーシ11に係止され、その他端部が押圧レバー76に係止されことによって、この押圧レバー76の当接ピン76aを第2の回動アーム36に当接する方向に付勢している。
【0148】
このディスク搬送機構34では、押圧レバー76が第2の回動アーム36を押圧することによって、上述した第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが互いに近接する方向に付勢された状態から、駆動レバー52が図34中矢印X2方向の背面側へのスライドに連動して、押圧レバー76のカムピン76bが駆動レバー52のカム溝78内をスライドしながら、駆動レバー52が筐体3の背面側の端部までスライドされたとき、第2の捻りコイルバネ77の付勢に抗して退避位置まで回動されることによって、非付勢状態に切り替える。
【0149】
第3の回動アーム46は、図33及び34に示すように、ウイング部4a上に配置された付勢部材である捻りコイルバネ79によって付勢されている。この捻りコイルバネ79は、その一端部がウイング部4aの係止ピン79aに係止され、その他端部が第3の回動アーム46の下面に設けられた係止ピン79bに係止され、第3の回動アーム46の付勢方向を光ディスク2の外周部に当接する方向と、光ディスク2の外周部から離間する方向とに切替可能とされている。
【0150】
また、第3の回動アーム46は、支軸47が挿通される略L字状の軸孔46aと、図37に示すように、駆動レバー52の上面部に形成されたカム溝80に係合されるカムピン76bとを有している。この第3の回動アーム46は、図56(a)乃至図56(f)に示すように、駆動レバー52のスライド動作に連動して、カムピン46bがカム溝80内をスライドすることによって回動操作される。また、第3の回動アーム46は、軸孔46a内における支軸47の位置によって回動中心が切り替えられる。
【0151】
第4の回動アーム49は、図33に示す連結機構81を介して駆動レバー52のスライド動作に連動して回動操作される。
【0152】
具体的に、この連結機構81は、第1の支軸37を介して回動可能に支持されたクランクアーム82aと、このクランクアーム82aと第4の回動アーム49との間を連接する連接アーム82bとからなるクランク機構を有している。連接アーム82bには、第2の回動アーム36に設けられたガイドピン83aが挿通する長孔83bが形成されている。このクランク機構は、第4の回動アーム49の回動動作に連動して、クランクアーム82aが回動する。
【0153】
また、連結機構81は、図35に示すように、ボトムケース4の底面部に、上述したクランクアーム82aを介して回動される第1のギヤ84と、この第1のギヤ84と噛み合わされる第2のギヤ85と、この第2のギヤ85と噛み合わされる第3のギヤ86が形成された回動操作部材87とを有している。
【0154】
この回動操作部材87は、駆動レバー52のスライド動作に連動して、第4の回動アーム49を回動操作するためのものであり、後述する駆動レバー52のスライド部材92と係合する係合ピン88と、記録再生時に駆動レバー52の背面側の端部に当接して駆動レバー52を位置決め固定する位置決めピン89とを有している。
【0155】
そして、回動操作部材87は、付勢部材である引張りコイルバネ90によって回動方向の一方側(ここでは、図35中時計回りの方向)に付勢されている。この引張りコイルバネ90は、一端部がボトムケース4の底面部に設けられた係止ピン90aに係止され、その他端部が回動操作部材87に設けられた係止ピン90bに係止されることによって、この回動操作部材87を回動方向の一方側に付勢している。なお、回動操作部材87には、係止ピン90aを逃がすための略円弧状のスリット91が形成されている。
【0156】
一方、駆動レバー52の背面側には、この駆動レバー52に対して前後方向にスライド可能とされたスライド部材92が取り付けられている。このスライド部材92は、第1の及び第2の引張りコイルバネ93a,93bにより前面側へと付勢されており、背面側の端部に回動操作部材87の係合ピン88が係合されることによって、駆動レバー52のスライド動作に連動して、この回動操作部材87を回動操作する。
【0157】
第1の及び第2の引張りコイルバネ93a,93bは、それぞれ筐体3の前面側の端部が駆動レバー52に係止され、背面側の端部がスライド部材92に係止されることによって、スライド部材92を駆動レバー52に対して図35中矢印X1方向の前面側へと付勢している。このうち、第1の引張りコイルバネ93aは、駆動レバー52とスライド部材92とを一体で動作させるためのものであり、そのバネ力は、200〜300gf程度とされている。一方、第2の引張りコイルバネ93bは、光ディスク2の正常な排出ができない場合に機構を保護するためのものであり、そのバネ力は、400〜600gf程度とされている。
【0158】
この連結機構81は、光ディスク2をローディングする際に、第4の回動アーム49が筐体3の内方の背面側に向かって回動されると、上述したクランク機構82を介して第1のギヤ84が回動される。すると、第1のギヤ84、第2のギヤ85及び第3のギヤ86の噛み合わせにより回動操作部材87が引張りコイルバネ90の付勢力に抗して回動方向の他方側(ここでは、図35中反時計回りの方向)に回動される。これにより、第4の回動アーム49の背面側への回動に連動して、駆動レバー52を図35中矢印X2方向の背面側へとスライドさせることができる。
【0159】
一方、光ディスク2をイジェクト操作する際には、駆動レバー52が図35中矢印X1方向の前面側へとスライドされることによって、回動操作部材87が回動方向の一方側(ここでは、図35中時計回りの方向)に回動される。これにより、第3のギヤ86、第2のギヤ85及び第1のギヤ84の噛み合わせによりクランク機構82を介して第4の回動アーム46を筐体3の前面側へと回動させることができる。
【0160】
第5の回動部材71は、図33に示すように、その外周部の所定の領域に亘って形成されたギヤ部71bを有し、このギヤ部71bがシャーシ11上に配置された内歯ギヤ94と噛合されることによって、第1の回動アーム35の回動動作に連動しながら回動操作される。
【0161】
ベース昇降機構55によりベースユニット22を昇降操作するため、駆動レバー52には、図37(c)に示すように、ベース31と対向する側面に第1のカム溝95が形成されている。この第1のカム溝95は、ベースユニット22をチャッキング解除位置に位置させるための第1の水平面部95aと、ベースユニット22を上記チャッキング位置に位置させるための頂上面部95bと、ベースユニット22を中間位置に位置させるための第2の水平面部95cとを有している。
【0162】
一方、カムレバー56のカム片57には、図38(b)に示すように、第2のカム溝96が形成されており、この第2のカム溝96は、ベースユニット22をチャッキング解除位置に位置させるための第1の水平面部96aと、ベースユニット22をチャッキング位置に位置させるための頂上面部96bと、ベースユニット22を中間位置に位置させるための第2の水平面部96cとを有している。
【0163】
ここで、カムレバー56は、その主面に前後一対のガイド溝97a,97bが形成され、これらガイド溝97a,97bに、図35に示すボトムケース4の底面部から突出された一対の頭付ガイドピン98a,98bが係合されることによって、ベースユニット22の背面側の側面に沿って、駆動レバー52のスライド方向と略直交する図35中左右方向の矢印Y1方向及び矢印Y2方向にスライド可能に支持されている。
【0164】
また、カムレバー56と駆動レバー52とが交差する位置には、ガイドピン99が上方に向かって突設されている。一方、図37(d)に示す駆動レバー52の底面部には、このガイドピン99が係合されるガイド溝100が形成されている。そして、カムレバー56は、図35に示すように、駆動レバー52の図35中矢印X1方向、矢印X2方向へのスライドに連動して、ガイドピン99がガイド溝100内をスライドすることによって、駆動レバー56のスライド方向と直交する方向にスライド操作される。
【0165】
ベース27は、上述した図5に示すように、駆動レバー52と対向する側面のディスク装着部23側に位置して、駆動レバー52の第1のカム溝95に係合されて支持される第1の支軸59と、カムレバー56と対向する側面のディスク装着部23側に位置して、カム片57の第2のカム溝96及び折曲げ片58の鉛直スリットに係合されて支持される第2の支軸60と、駆動レバー52と対向する側面とは反対側の側面の前面側に位置して、ボトムケース4の他方側の側面に設けられた軸孔61に回動可能に支持された第3の支軸62と、カムレバー56と対向する側面とは反対側の側面の前面側に位置して、ゴム等の粘弾性部材からなるインシュレータ63を介してボトムケース4の底面部にネジ64により支持された固定支持部65とを有している。
【0166】
したがって、このベース昇降機構55では、駆動レバー52及びカムレバー56のスライドに連動して、第1の支軸59が駆動レバー52の第1のカム溝95内をスライドするとともに、第2の支軸60がカムレバー56の第2のカム溝96及び折曲げ片58の鉛直スリット内をスライドすることによって、ベース27のディスク装着部23側が前面側に対して、光ディスク2のターンテーブル23aへのチャッキング位置と、ターンテーブル23aから離間するチャッキング解除位置と中間位置との間で昇降操作される。
【0167】
具体的に、図58(a)乃至図58(d)に示すチャッキング解除位置においては、図58(a)に示すように、駆動レバー52の矢印X1方向の前面側へのスライドに連動して、カムレバー56が矢印Y1方向の右側へとスライドされることによって、図58(c)に示すように、第1の支軸59が第1のカム溝95内の第1の水平面部95aに位置し、第2の支軸60が第2のカム溝96内の第1の水平面部95aに位置することになる。これにより、ベースユニット22が、図58(d)に示すように、チャッキング解除位置まで下降する。
【0168】
また、図59(a)乃至図59(d)に示すチャッキング位置においては、駆動レバー52の図58(a)中矢印X2方向へのスライドに連動して、カムレバー56が矢印Y2方向へとスライドされることによって、図59(c)に示すように、第1の支軸59が第1のカム溝95内の頂上面部95bに位置し、第2の支軸60が第2のカム溝96内の頂上面部96bに位置することになる。これにより、ベースユニット22が、図59(d)に示すチャッキング位置まで上昇する。
【0169】
また、図60(a)乃至図60(d)示す中間位置においては、駆動レバー52の図60(a)中矢印X2方向の背面側の端部へのスライドに連動して、カムレバー56が図60(a)中矢印Y2方向の左側の端部までスライドされることによって、第1の支軸59が図60(c)に示すように第1のカム溝95内の第2の水平面部95cに位置し、第2の支軸60が第2のカム溝96内の第2の水平面部96cに位置することになる。これにより、ベースユニット22が、図60(d)に示すチャッキング解除位置とチャッキング位置との間の中間位置まで下降する。
【0170】
駆動レバー52の前面側には、図39(a)、図39(b)、図40(a)、図40(b)に示すように、この駆動レバー52に対して所定のストロークだけ図39(a)、図40(a)中矢印X1方向、矢印X2方向の前後方向にスライド可能とされたラック部材101が取り付けられている。このラック部材101には、前後方向に亘ってラックギヤ101aが形成されている。一方、ボトムケース4の底面部には、図35に示すように、駆動機構を構成する駆動モータ102と、この駆動モータ102の回転軸に取り付けられたウォームギヤ103と、このウォームギヤからラックギヤへと駆動モータの動力を伝達するギヤ列104とが配置されている。
【0171】
したがって、この駆動機構は、図35に示すように、駆動モータ102が一の方向に回動駆動することによって、ウォームギヤ103、ギヤ列104及びラックギヤ101a介してラック部材101が駆動レバー52に対し図35中矢印X2方向の背面側に引き込まれた状態で、駆動レバー52とラック部材101とを一体に図35及び図39中矢印X2方向の背面側へと移動する。一方、この駆動機構は、図40に示すように、駆動モータ102が他の方向に回動駆動することによって、ウォームギヤ103、ギヤ列104及びラックギヤ101a介してラック部材101が駆動レバー52に対し図35中矢印X1方向の前面側に引き出された状態で、駆動レバー52とラック部材101とを一体に図35及び図40(a)中の矢印X1方向の前面側へと移動する。
【0172】
また、ボトムケース4の底面部には、図36に示すように、各部の駆動制御を行う駆動制御回路が構成された回路基板105が配置されている。この回路基板105は、ボトムケース4の背面側の底面部にネジ止めにより取り付けられている。このボトムケース4の底面部及び回路基板105上には、駆動制御回路を構成するICチップ等の電子部品(図示せず。)や、各部の電気的な接続を図るためのコネクタ106、各部の動作を検出するための第1〜第4の検出スイッチSW1,SW2,SW3,SW4が配置されている。
【0173】
そして、駆動制御回路は、駆動レバー52が移動することによって操作される第1〜第4の検出スイッチSW1,SW2,SW3,SW4からの検出信号に基づいて、上述した駆動機構により駆動される駆動レバー52の位置を検出しながら、この駆動機構による駆動レバー52の駆動制御を行っている。
【0174】
このうち、第1の検出スイッチSW1は、ボトムケース4の前面側の端部に配置されている。この第1の検出スイッチSW1は、駆動レバー52の前端部によって操作され、駆動レバー52が初期位置に移動され、若しくは駆動レバー52が初期位置にあることを検出するスイッチであり、このディスクドライブ装置1が初期状態にあることを検出する。
【0175】
一方、第2の検出スイッチSW2、第3の検出スイッチSW3、第4の検出スイッチSW4は、回路基板9の駆動レバー52と対向する端縁部に所定の間隔で、駆動レバー52の移動方向である図36中矢印X1方向、矢印X2方向に亘って並列配置されている。これら第2乃至第4の検出スイッチSW2,SW3,SW4は、駆動レバー52が図36中矢印X1方向又は矢印X2方向に移動することにより、図37(b)、図37(c)に示すように、駆動レバー52の側面部に設けられたカム部107の一部に設けられた操作子107aによって操作され、オン/オフの切換えが行われる。
【0176】
ここで、第2の検出スイッチSW2は、このディスクドライブ装置に装着された光ディスク2をイジェクトする位置に駆動レバー52が移動されたとき、駆動レバー52に設けた操作子107aによって操作されるスイッチであり、第3の検出スイッチSW3は、このディスクドライブ装置に光ディスク2が挿入され位置に駆動レバー52が移動されたとき、操作子107aによって操作されるスイッチであり、第4の検出スイッチSW4は、光ディスク2がターンテーブル23aにチャッキングされ、情報信号の記録又は再生を可能とする位置に駆動レバー52が移動されたときに、操作子107aによって操作されるスイッチである。
【0177】
次に、以上のように構成されるディスクドライブ装置1の具体的な駆動制御について説明する。
【0178】
このディスクドライブ装置1は、この装置1内の情報信号の記録又は再生を可能とする位置に光ディスク2が挿入された状態で電源が遮断されて停止された状態にあるときには、図61に示すタイミングチャートに従って駆動レバー52の駆動制御が行われ、装置1内に光ディスク2が装着されることなく電源が遮断されて停止された状態にあるときには図62に示すタイミングチャートに従って駆動レバー52の制御が行われる。
【0179】
ところで、本例のディスクドライブ装置1は、ディスクドライブ装置1内に光ディスク2が挿入された状態若しくは光ディスク2が挿入されていないいずれの状態においても、電源が投入されると、駆動モータ102が他の方向に回転駆動され、駆動レバー52を一旦図36中矢印X1方向に移動させる。このとき、図61に示すように、第4の検出スイッチSW4が操作子107aにより操作されON状態にあることが検出されると、駆動レバー52が装置1内の内方側である背面方向に引き込まれた状態にあって、光ディスク2が記録再生可能な引き込み位置に挿入されていることが検出される。
【0180】
ここで、第4の検出スイッチSW4が操作され、光ディスク2が記録再生位置にあることが検出されると、他の方向に回転駆動していた駆動モータ102を一の方向に反転駆動し、駆動レバー52を図36中矢印X2方向に移動させ、チャッキングを行う側に移動されていたベースユニット22を中間に位置に移動させ、光ディスク2に対する情報信号の記録再生を可能な状態とする。
【0181】
光ディスク2が記録再生可能な状態とされたところで、この装置1若しくはパーソナルコンピュータ1000記録再生の指令が入力されることにより情報信号の記録再生が行われる。
【0182】
そして、ディスクドライブ装置1内に光ディスク2が装着されることなく電源が遮断されて停止された状態にあるときにも、図62に示すようなに、駆動モータ102が他の方向に回転駆動され、駆動レバー52を一旦図36中矢印X1方向に移動させ、駆動レバー52の移動を制御しながら第1、第2、第3の検出スイッチSW1、SW2、SW3が図62に示すようなタイミングチャートに従って制御され、一旦、第2の検出スイッチSW2の操作が解除され、再び第2の検出スイッチSW2が操作されたとき、駆動モータ102が一の方向に回転し、駆動レバー52を図36中矢印X1方向に移動させ、再び第1のスイッチSW1が操作されたところで、駆動モータ102が停止され、駆動レバー52が筐体3の前面側の初期設定が行われる。
【0183】
次に、電源が投入され、図62に示すようなタイミングチャートに従って駆動レバー52の位置が制御され、このディスクドライブ装置1が光ディスク2の挿入を可能とする初期設定が行われた後、筐体3のディスク挿脱口19から大径の光ディスク2Aを挿入する状態を説明する。
【0184】
まず、筐体3のディスク挿脱口19から大径の光ディスク2Aが挿入されると、図63に示すタイミングチャートに従った駆動レバー52の駆動制御を行いながら、図41乃至図44に示すように大径の光ディスク2Aのローディング操作が行われる。
【0185】
具体的には、まず、図41に示すように、大径の光ディスク2Aを挿入する初期状態においては、前述した図34で示した押圧レバー76の当接ピン76aが駆動レバー52に当接されることによって、駆動レバー52が図41中矢印X1方向の前面側に向かって付勢されている。また、押圧レバー76のカムピン76bが駆動レバー52のカム溝78を押圧することによって、駆動レバー52に図41中矢印X1方向の前面側に向かう推力が生じている。
【0186】
次に、図42に示す大径の光ディスク2Aのローディング開始状態においては、光ディスク2Aに押圧された第4の回動アーム49が矢印d1方向の背面側に向かって回動されると、連結機構81を介して駆動レバー52が図42中矢印X2方向の背面側に向かってスライドする。このとき、第3の回動アーム46のカムピン46bが駆動レバー52のカム溝80内で移動が規制された状態となる。このため、駆動レバー52に対してスライド部材92が第1の引張りコイルバネ93aの付勢に抗して、前述した図35中矢印X2方向の背面側へと移動する。そして、この第3の回動アーム46が所定の角度位置、すなわち大径の光ディスク2Aの引き込みが可能となったとき、駆動レバー52が図42中矢印X2方向の背面側に所定のストロークだけ移動し、第3の検出SW3の操作が切り替えられたことが駆動制御回路により検出され、駆動モータ102の一の方向の回転駆動が開始され、駆動レバー52が駆動モータ102の駆動力を受けて図36中矢印X2方向に移動される。
【0187】
次に、大径の光ディスク2Aが中心孔2aをチャッキング機構28に係合するセンタリングが行われた状態では、図43に示すように、第3の回動アーム46の第3の当接部材48と、第4の回動アーム49の第4の当接部材50と、第5の回動部材71の第5の当接部材71cとの間で大径の光ディスク2Aのセンタリング動作が行われる。そして、図44に示すように、大径の光ディスク2Aのチャッキングが完了する。このチャッキング操作は、駆動モータ102を図63に示すように、一の方向及び他の方向への反転駆動を行い、駆動レバー52の位置を制御してベースユニット22の昇降を行って実行する。
【0188】
なお、このディスクドライブ装置1では、ベースユニット22をチャッキング位置まで上昇させて、大径の光ディスク2Aをターンテーブル23aに装着する1回目のチャッキング動作を行い、ベースユニット22を中間位置まで下降させて、スピンドルモータ24aが光ディスク2Aを回転駆動し、この光ディスク2aの位相をずらした後、再びベースユニット22をチャッキング位置まで上昇させて、光ディスク2Aをターンテーブル23aに装着する2回目のチャッキング動作を行っている。
【0189】
次に、図45に示す大径の光ディスク2Aに情報信号の記録又は再生を行う記録再生状態においては、これら第3の回動アーム46の第3の当接部材48と、第4の回動アーム49の第4の当接部材50と、第5の回動部材71の第5の当接部材71cとが光ディスク2Aの外周部から離間した状態となる。
【0190】
一方、このディスクドライブ装置1では、装着された大径の光ディスク2Aのイジェクト操作は、駆動モータ102の回転方向を制御し、図64に示すタイミングチャートに従った駆動レバー52の駆動制御を行いながら、図46及び図47に示すように行われる。
【0191】
ここで、大径の光ディスク2Aをイジェクトするときには、前述した図34に示したように、第3の回動アーム46の軸孔46a内における支軸47の位置が切り替わることによって、図46に示すように、この第3の回動アーム46がローディング時よりも早いタイミングで大径の光ディスク2Aの外周部から離間する方向に回動する。
【0192】
詳述すると、この第3の回動アーム46は、駆動レバー52の矢印X1方向の前面側のスライドに連動して、まず、図56(a)に示す状態から図56(b)に示す状態となる。このとき、カムピン46bがカム溝80内における図中右側に湾曲した部分をスライドすることによって、第3の回動アーム46が反時計回りに回動する。
【0193】
次に、図56(c)に示す状態となるとき、カムピン44bがカム溝80内の傾斜面に当接されることによって、第3の回動アーム46が図中左側に押し付けられる。このとき、支軸47が軸孔46a内におけるL字の下側の直線部分を通過する。この時点で大径の光ディスク2Aがイジェクト可能な状態となる。
【0194】
次に、図56(d)に示す状態となるとき、軸孔46a内における支軸47の位置がL字の右側端部に切り替わることによって、ここを回転中心に第3の回動アーム46が完全に開いた状態となる。
【0195】
次に、図56(e)に示す状態となるとき、第3の回動アーム46が捻りコイルバネ79に付勢されて、軸孔46a内における支軸47の位置がL字の左側端部に切り替わることによって、図56(f)に示すように、再びローディング前の状態に戻る。
【0196】
以上のようにして、このディスクドライブ装置1では、第3の回動アーム46の回動中心が切り替わることによって、イジェクト時に第2の引張りコイルバネ93bが引き延ばされた状態から第3の回動アーム46が急峻に開くのを防止することが可能であり、大径の光ディスク2Aのイジェクト動作を安定して行うことが可能である。
【0197】
これに対して、筐体3のディスク挿脱口19から小径の光ディスク2Bが挿入されると、大径の光ディスク2Aを挿入する場合と同様に、図63に示すタイミングチャートに従った駆動レバー52の駆動制御を行いながら、図48乃至図52に示す小径の光ディスク2Bのローディングが行われる。
【0198】
具体的には、まず、小径の光ディスク2Bをディスクドライブ装置1に挿入開始する状態においては、押圧レバー76の当接ピン76aが駆動レバー52に当接されることによって、駆動レバー52が図48中矢印X1方向の前面側に向かって付勢されている。また、押圧レバー76のカムピン76bが駆動レバー52のカム溝78を押圧することによって、駆動レバー52に図48中矢印X1方向の前面側に向かう推力が生じている。
【0199】
次に、小径の光ディスク2Bがディスクドライブ装置1内に更に挿入されてローディングが開始される図49に示す状態においては、挿入された小径の光ディスク2Bに押圧された第4の回動アーム49が図49中矢印d1方向の背面側に向かって回動されると、連結機構81を介して駆動レバー52が図49中矢印X2方向方向の背面側に向かってスライドする。そして、駆動レバー52が図49中矢印X2方向方向に所定のストロークだけ移動したことが駆動制御回路により検出されると、駆動モータ102が一の方向に回転駆動を開始する。そして、第3の回動アーム46のカムピン46bが駆動レバー52のカム溝80内を移動することで、第3の当接部材48が小径の光ディスク2の外周部に当接した状態で、第3の回動アーム46が光ディスク2Bを引き込む方向に回動する。
【0200】
次に、小径の光ディスク2Bが中心孔2aをチャッキング機構28に係合するセンタリングが行われた状態では、図50に示すように、第1の回動アーム35の第1の前面側当接部材38に設けられた背面の回転ローラ73bと、第2の回動アーム36の第2の前面側当接部材40に設けられた背面側の回転ローラ73bと、第4の回動アーム49の第4の当接部材50と、第5の回動部材71の第5に設けた当接部材71cとの間で小径の光ディスク2Bのセンタリング動作が行われる。そして、図51に示すように、小径の光ディスク2Bのチャッキングが完了する。
【0201】
なお、このディスクドライブ装置1では、ベースユニット22をチャッキング位置まで上昇させて、小径の光ディスク2Bをターンテーブル23aに装着する1回目のチャッキング動作を行い、ベースユニット22を中間位置まで下降させて、スピンドルモータ24aが小径の光ディスク2Bを回転駆動し、この光ディスク2Bの位相をずらした後に、再びベースユニット22をチャッキング位置まで上昇させて、この光ディスク2Bをターンテーブル23aに装着する2回目のチャッキング動作を行っている。
【0202】
次に、図52に示す小径の光ディスク2Bに情報信号の記録又は再生を行う記録再生状態においては、これら第1の回動アーム35の第1の前面側当接部材38に設けられた背面の回転ローラ73bと、第2の回動アーム36の第2の前面側当接部材40に設けられた背面側の回転ローラ73bと、第4の回動アーム49の第4の当接部材50と、第5の回動部材71の第5の当接部材71cとが光ディスク2Bの外周部から離間した状態となる。
【0203】
一方、このディスクドライブ装置1では、装着された小径の光ディスク2Bのイジェクト操作は、駆動モータ102の駆動方向を制御し、図65に示すタイミングチャートに従った駆動レバー52の駆動制御を行いながら、図53及び図54に示すように行われる。
【0204】
具体的には、まず、図53に示す小径の光ディスク2Bのイジェクト状態においては、駆動モータ102を他の方向に回転駆動し、駆動レバー52が図53中矢印X1方向の前面側に向かってスライドするのに伴って、第4の回動アーム49が連結機構81を介して図53中矢印d2方向の前面側に回動されるとともに、図34に示す押圧レバー76の当接ピン76aが駆動レバー52に当接されて、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とを互いに近接する方向に付勢する。これにより、図54に示すように、小径の光ディスク2Bのイジェクト操作が行われる。
【0205】
ところで、このディスクドライブ装置1では、図55に示すように、小径の光ディスク2Bがディスク挿脱口の第1の回動アーム35側に片寄せされた位置から挿入された場合、連動機構を介して第1の回動アーム35と第2の回動アーム36とが互いに離間する方向に回動されるものの、ガイド溝45内をスライドする第2の支軸が左側に湾曲した湾曲部45aに引っ掛かることによって、第1の回動アーム35と第2の回動アーム36との互いに離間する方向の回動が規制され、小径の光ディスク2Bの更なる挿入が阻止される。
【0206】
これにより、ディスクドライブ装置1では、小径の光ディスク2Bのローディング動作が適切に行われない状態を防ぐことが可能である。
【0207】
なお、小径の光ディスク2Bがディスク挿脱口の第2の回動アーム36側に片寄せされた位置から挿入された場合には、早いタイミングで駆動モータ102の一の方向の回転駆動が開始される。このため、第3の回動アーム46が強制的に小径の光ディスク2Bを中心側へと引き込む。したがって、上述したような小径の光ディスク2Bを第1の回動アーム35側に片寄せした場合の問題は生じない。
【0208】
また、このディスクドライブ装置1では、大径の光ディスク2A又は小径の光ディスク2Bのいずれのディスク2が挿入された場合でも、駆動レバー52が各図に示す矢印X2方向の背面側に同じストロークだけスライドされた時点で、駆動モータ102が他の方向に駆動し、この駆動レバー52を各図に示す矢印X2方向の背面側へ移動させることから、その後の駆動レバー52の駆動を同じシーケンス制御で行うことが可能であり、外径の異なるディスク2A,2B毎に別個の検出スイッチを設ける必要がなく、構造を簡素化することができる。
【0209】
また、このディスクドライブ装置1は、図66及び図67に示すように、ボトムケース4の前面側にディスク挿脱口19から挿入される光ディスク2の挿入角度を規制しながら案内する第1のディスクガイド機構108と、ターンテーブル23aに光ディスク2が装着された状態において、新たな光ディスク2がディスク挿脱口19から筐体3の内部に挿入されるのを防止するためのシャッタ開閉機構109とを備えている。
【0210】
第1のディスクガイド機構108は、図66,図67及び図68に示すように、ベース昇降機構55によるベースユニット22の昇降動作に同期しながら昇降操作される挿入ガイドレバー110を有している。この挿入ガイドレバー110は、光ディスク2との摩擦が少ない樹脂部材からなり、光ディスク2の挿入方向に沿って配置されるとともに、基端側に設けられた支軸111がモータケース112の背面側に設けられた軸受部113に係合されて回動可能に支持されている。また、挿入ガイドレバー110の上面部には、大径の光ディスク2A及び小径の光ディスク2Bに対応するため、ディスク挿脱口19に沿った横長のガイド片110aが前面側に向かって突出形成されている。また、挿入ガイドレバー110には、ベース27に設けられた押圧片114によって押圧される被押圧片110bが背面側の側面から突出形成されている。
【0211】
また、挿入ガイドレバー110のガイド片110aの下面には、モータケース112の背面に支持されたトーションバー115の一端が係合されている。このトーションバー115は、モータケース112に取り付けられた捻りコイルバネ116に挿通された状態で、この捻りコイルバネ116の付勢力により一端を上方に向け、他端を下方に向けた状態となっている。
【0212】
そして、この第1のディスクガイド機構108では、図70(a)に示すように、ベースユニット22がチャッキング解除位置にあるとき、ベースユニット22の押圧片114が挿入ガイドレバー110の被押圧片110bを下方に押圧することよって、挿入ガイドレバー110のガイド片110aを逆にディスク挿脱口19から挿入される光ディスク2の挿入角度を規制する位置まで上昇させることができる。一方、図70(b)に示すように、ベースユニット22が中間位置にあるとき、挿入ガイドレバー110の被押圧片110bに対するベースユニット22の押圧片114の押圧が解除されることによって、挿入ガイドレバー110のガイド片110aをターンテーブル23aに装着された光ディスク2の信号記録面から離間する位置まで下降させることができる。
【0213】
したがって、このディスクドライブ装置1では、ベース昇降機構55によるベースユニット22の昇降動作に連動しながら、第2のディスクガイド機構108が挿入ガイドレバー110を昇降操作することから、筐体3のディスク挿脱口19から外径の異なる大径の光ディスク2A又は小径の光ディスク2Bを挿入した際に、挿入ガイドレバー110のガイド片110aがディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2の挿入角度を規制しながら、これら光ディスク2を筐体3の内部へと案内することによって、光ディスク2の信号記録面が筐体3内の部品と接触して傷付くのを防ぐことができる。この挿入ガイドレバー110のガイド片110aは、ディスク挿脱口19に沿った横長形状を有することから、大径の光ディスク2Aだけでなく、この光ディスク2Aよりも小径とされた小径の光ディスク2Bにも対応可能である。
【0214】
シャッタ開閉機構109は、図66,図67及び図69に示すように、上述した第1のディスクガイド機構108による挿入ガイドレバー110の昇降動作に同期しながら昇降操作されるシャッタ部材117を有している。このシャッタ部材117は、略矩形状の平板部材からなり、背面側がボトムケース4の前面に設けられた鉛直スリット118に係合されて上下方向にスライド可能に支持されている。また、このシャッタ部材117の両側面部には、大径の光ディスク2A及び小径の光ディスク2Bに対応するため、ディスク挿脱口19に沿って延長された一対のシャッタ片117aが設けられている。そして、このシャッタ部材117の背面側をトーションバー115の他端が支持している。これにより、シャッタ部材117は、下方に保持されている。
【0215】
そして、このシャッタ部材117は、第1のディスクガイド機構108による挿入ガイドレバー110の昇降動作に同期しながら、ディスク挿脱口19から挿入される光ディスク2の進路を塞ぐ閉塞位置と、ディスク挿脱口19から挿入される光ディスク2の進路を開放する開放位置との間で昇降動作される。
【0216】
具体的に、このシャッタ開閉機構109では、図70(a)に示すように、ベース27がチャッキング解除位置にあるとき、シャッタ部材117をディスク挿脱口19から挿入される光ディスク2の進路を開放する開放位置まで下降させることができる。一方、このシャッタ開閉機構109では、図70(b)に示すように、ベース17が中間位置にあるとき、挿入ガイドレバー110が上昇すると、モータケース112に支持されたトーションバー115が軸回りに回転し、シャッタ部材117を上方に向かって押し上げる。これにより、シャッタ部材117をディスク挿脱口19から挿入される光ディスク2の進路を塞ぐ閉塞位置まで上昇させることができる。
【0217】
したがって、このディスクドライブ装置1では、ターンテーブル23aに光ディスク2が装着された状態において、シャッタ部材117により新たな大径の光ディスク2又は小径の光ディスク2Bがディスク挿脱口19から筐体3の内部に挿入されるのを防ぐことが可能である。特に、このシャッタ部材117の一対のシャッタ片117aは、ディスク挿脱口19に沿って延長された両翼形状を有することから、このシャッタ部材117とディスク挿脱口19との間の隙間から小径の光ディスク2Bが挿入されるのを防ぐことが可能である。
【0218】
更に、このディスクドライブ装置1は、図66、図67及び図71に示すように、ディスク挿脱口から挿入された小径の光ディスク2Bを第4の回動アーム49の第4の当接部材50と当接可能な高さに規制しながら、筐体3の内部へと案内する第2のディスクガイド機構118を備えている。
【0219】
この第2のディスクガイド機構118は、第4の回動アーム49の先端部近傍に、ベース昇降機構55によるベースユニット22の昇降動作に同期しながら昇降操作されるガイドレバー119を有している。このガイドレバー119は、光ディスク2との摩擦が少ない樹脂部材からなり、小径の光ディスク2Bの挿入方向に沿って配置されるとともに、基端側に設けられた支軸119aがボトムケース4の底面部に設けられた軸受部材120の軸受部120aに係合されて回動可能に支持されている。
【0220】
また、ガイドレバー119の先端側には、ガイドピン119bが駆動レバー52に向かって突出形成されている。一方、駆動レバー52には、図37(b)、図37(c)、に示すように、このガイドピン119bが摺接されるカム部121が設けられている。一方、ガイドレバー119の基端側には、弾性片119cが前面側から背面側に向かって延長して設けられている。そして、この弾性片119cの先端部が軸受部材120の係止部120bに係止されている。したがって、このガイドレバー119の先端側は、この弾性片119cの弾性力によって下方に向かって付勢されることになる。
【0221】
また、ガイドレバー119の前面側の上面部には、ディスク挿脱口19から挿入された小径の光ディスク2Bを第4の回動アーム49の第4の当接部材50に導くためのディスクガイド部119dが設けられている。一方、ガイドレバー119の背面側の上面部には、小径の光ディスク2Bをディスク挿脱口19から筐体3の外部へと排出する際、又はディスク挿脱口19から装置本体を構成する筐体3の内部へ挿入する際、この第4の回動アーム49を高さ方向に規制しながら筐体3の背面側から前面側へ、又は筐体3の前面側から背面側へと案内するアームガイド部119eが設けられている。これにより、第4の回動アーム49が筐体3の背面側から前面側へ、又は筐体3の前面側から背面側へと回動された際に、小径の光ディスク2Bとターンテーブル23aの係合突部28aとの衝突を回避することが可能である。
【0222】
そして、このガイドレバー119は、駆動レバー52が各図中矢印X1方向又は矢印X2方向の前後方向にスライドされると、ガイドピン119bがカム部121の上面部をスライドすることによって、ディスク挿脱口19から挿入された小径の光ディスク2Bを高さ方向に規制するガイド位置と、ターンテーブル23aに装着された小径の光ディスク2Bの下面から離間する退避位置との間で昇降動作される。
【0223】
したがって、このディスクドライブ装置1では、筐体3のディスク挿脱口19から小径の光ディスク2Bを挿入した際に、第4の回動アーム49の先端部近傍に位置する第2のガイドレバーがディスク挿脱口19から挿入された小径の光ディスク2Bを第4の回動アーム49の第4の当接部材50と当接可能な高さに規制しながら、筐体3の内部へと案内することによって、その後の小径の光ディスク2Bのローディング動作を適切且つ確実に行うことが可能である。
【0224】
なお、上述した挿入ガイドレバー110は、第2の回動アーム36の先端部近傍に位置しており、ディスク挿脱口19から挿入された光ディスク2を第2の回動アーム36の第2の前面側当接部材と当接可能な高さに規制しながら筐体3の内部へと案内するガイドレバー119と同様の機能も有している。
【0225】
ところで、上述したディスクドライブ装置1には、図72に示すように、記録再生時におけるベース27のガタツキの発生を防止するガタツキ防止機構140が設けられている。
【0226】
具体的に、このガタツキ防止機構140は、光ディスク2に対し情報信号の記録又は再生を行う中間位置に移動されたベース22のガタツキの発生を防止するものであり、ベース27の第2の支軸60をカムレバー56の第2のカム溝96の内面の一方側に押し付ける押付部材として、カムレバー56に取り付けられた弾性部材である捻りコイルバネ141を有している。
【0227】
この捻りコイルバネ141は、線材が巻回された巻回部141aと、この巻回部141aから線材が所定の広がり角をもって延長された弾性変位部141b,141cとを有している。一方、カムレバー56のカム片57には、図中左上コーナ部に支軸142aと、図中左側端部及び上側端部に一対の係止片142a,142bとが設けられている。そして、この捻りコイルバネ141は、巻回部141aに支軸142aを挿通させた状態で、一対の弾性変位部141b,141cの互いに離間する方向に弾性変位させながら、一方の弾性変位部141bが一方の係止片142bに係止されると共に、他方の弾性変位部141cが他方の係止片142cに係止されることによって、このカム片57のベース27とは反対側の面に取り付けられている。
【0228】
また、この捻りコイルバネ141の他方の弾性変位部141bは、カムレバー56の主面と平行な方向に沿って延長されると共に、その中途部がカムレバー56の主面側に鋭角をもって折り返されることにより弾性変位可能な折返し部141dを形成している。そして、この折返し部141dは、第2のカム溝96の第2の水平面部96cから外方に臨む第2の支軸60の外周部に当接可能となっている。
【0229】
以上のように構成されるガタツキ防止機構140では、ベース27が上述した図58に示すチャッキング解除位置及び図59に示すチャッキング位置にあるときには、図72(a)に示すように、ベース27の第2の支軸60が第2のカム溝96内の第1の水平面部96a及び頂上面部96bに位置することによって、この第2のカム溝96から外方に臨む第2の支軸60の外周部に対して、捻りコイルバネ141の折返し部141dが離間した状態となっている。
【0230】
一方、この状態から、ベース27が上述した図60(a)乃至図60(d)に示す中間位置に移動したときには、図72(b)に示すように、ベース27の第2の支軸60が第2のカム溝96内の第2の水平面部96cに移動することによって、この第2のカム溝96から外方に臨む第2の支軸60の外周部に対して、捻りコイルバネ141の折返し部141dが当接しながら、その弾性力により第2の支軸60を第2カム溝の下面に押し付けた状態となる。
【0231】
これにより、ベース27が中間位置にあるときには、捻りコイルバネ141の折返し部141dが第2の支軸60を第2のカム溝96の内面の一方側に押し付けることによって、この第2の支軸60と第2のカム溝62との間でガタが生じるのを防ぐことになる。
【0232】
以上のようにして、このディスクドライブ装置1では、ベース27が中間位置にあるとき、上述したガタツキ防止機構140によってベース27のガタツキの発生を防ぐことが可能なことから、この中間位置において装置内部で光ディスクと装置内の部品とのクリアランスを保つことができ、光ディスクの安定した回転を保証してこの光ディスクに対する信号の記録及び再生動作を適切に行うことが可能である。
【0233】
なお、ガタツキ防止機構140は、例えば図73に示すような構成とすることも可能である。すなわち、このガタツキ防止機構140では、ベース27の第2の支軸60をカムレバー56の第2のカム溝96の内面の一方側に押し付ける押付部材として、上述した捻りコイルバネ141のような弾性部材以外にも、例えば図73に示すような板バネ151を用いることも可能である。
【0234】
具体的に、この板バネ151は、カム片57のベース27とは反対側の面に取り付けられる取付部151aと、この取付部151aからカムレバー56の主面と平行な方向に沿って延長された弾性変位部151bと、この弾性変位部151bの中途部がカムレバー56の主面側に折り曲げられた折曲げ部151cとを有している。そして、この折曲げ部151cは、第2のカム溝96の第2の水平面部96cから外方に臨む第2の支軸60の外周部に当接可能となっている。
【0235】
図73に示すように構成されるガタツキ防止機構140は、ベース27が上述した図58(a)乃至図58(d)に示すチャッキング解除位置及び図59(a)乃至図59(d)に示すチャッキング位置にあるときには、図73(a)に示すように、ベース27の第2の支軸60が第2のカム溝96内の第1の水平面部96a及び頂上面部96bに位置することによって、この第2のカム溝96から外方に臨む第2の支軸60の外周部に対して、板バネ151の折曲げ部151cが離間した状態となっている。
【0236】
一方、この状態から、ベース27が上述した図60(a)乃至図60(d)に示す中間位置に移動したときには、図73(b)に示すように、ベース27の第2の支軸60が第2のカム溝96内の第2の水平面部96cに移動することによって、この第2のカム溝96から外方に臨む第2の支軸60の外周部に対して、板バネ151の折曲げ部151cが当接しながら、その弾性力により第2の支軸60を第2カム溝の下面に押し付けた状態となる。
【0237】
これにより、ベース27が中間位置にあるときには、板バネ151の折曲げ部151cが第2の支軸60を第2のカム溝96の内面の一方側に押し付けることによって、この第2の支軸60と第2のカム溝62との間でガタが生じるのを防ぐことになる。
【0238】
したがって、この場合も、ベース27が中間位置にあるとき、ベース27のガタツキの発生を防ぐことが可能なことから、この中間位置において装置内部で光ディスクと装置内の部品とのクリアランスを保つことができ、光ディスクの安定した回転を保証してこの光ディスクに対する信号の記録及び再生動作を適切に行うことが可能である。
【0239】
また、ガタツキ防止機構140は、例えば図74に示すように構成とすることも可能である。
【0240】
具体的に、図74に示すガタツキ防止機構14は、カム片57のベース27とは反対側の面にスライド可能に取り付けられた押付部材161と、この押付部材161をスライド方向の一方側に付勢する付勢手段である引張りコイルバネ162とを有している。
【0241】
押付部材161は、長尺状の平板部材からなり、左右の両側に設けられた一対のガイド孔163a,163bにカム片57に設けられた頭付ガイドピン164a,164bが挿通されることによって、このカム片57に対してカムレバー56のスライド方向と同一方向、すなわち左右方向にスライド可能に取り付けられている。
【0242】
また、押付部材161の一対のガイド孔163a,163bの間には、第2のカム溝96から外方に臨む第2の支軸60が進入するガイド溝165が切り欠き形成されている。このガイド溝165は、第2のカム溝96に対応した形状を有するものの、第2の支軸60が第2のカム溝96内の第2の水平面部96cに位置するとき、この第2の支軸60の外周部に当接され且つこの第2の支軸60をカムレバー56の第2のカム溝96の内面の一方側に押し付ける形状となっている。
【0243】
引張りコイルバネ162は、その一端がカム片57に設けられた係止片166bに係止され、その他端が押付部材161に設けられた係止孔166aに係止されることによって、押付部材161をスライド方向の一方側(ここでは、図中左側)に付勢している。
【0244】
図74に示すように構成されるガタツキ防止機構140では、ベース27が上述した図58(a)乃至図58(d)に示すチャッキング解除位置及び図59(a)乃至図59(d)に示すチャッキング位置にあるときには、図74(a)に示すように、ベース27の第2の支軸60が第2のカム溝96内の第1の水平面部96a及び頂上面部96bに位置することによって、この第2のカム溝96から外方に臨む第2の支軸60が押付部材161のガイド溝165内を移動可能な状態となっている。
【0245】
一方、この状態から、ベース27が上述した図60(a)乃至図60(d)に示す中間位置に移動したときには、図74(b)に示すように、ベース27の第2の支軸60が第2のカム溝96内の第2の水平面部96cに移動するものの、この第2の支軸60がガイド溝165内の端部に当接されることによって、カム片57に対して押付部材161が引張りコイルバネ162の付勢に抗してスライド方向の他方側(図中右側)に移動することになる。
【0246】
これにより、押付部材161は、引張りコイルバネ162の付勢力により第2の支軸60を第2カム溝96の下面に押し付けた状態なり、この第2の支軸60と第2のカム溝96との間でガタが生じるのを防ぐことになる。
【0247】
したがって、この場合も、ベース27が中間位置にあるとき、ベース27のガタツキの発生を防ぐことが可能なことから、この中間位置において装置内部で光ディスクと装置内の部品とのクリアランスを保つことができ、光ディスクの安定した回転を保証してこの光ディスクに対する信号の記録及び再生動作を適切に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0248】
1 ディスクドライブ装置、2 光ディスク、3 筐体、4 ボトムケース、5 トップカバー、8 ガイド部材、9 ガイド溝、10 窓部、11 シャーシ、19 ディスク挿脱口、22 ベースユニット、23 ディスク装着部、 23a ターンテーブル、24 ディスク回転駆動機構、25 光ピックアップ、26 ピックアップ送り機構、27 ベース、28 チャッキング機構、34 ディスク搬送機構、35 第1の回動アーム、36 第2の回動アーム、38 第1の前面側当接部材、39 第1の背面側当接部材、40 第2の前面側当接部材、41 連動機構、46 第3の回動アーム、48 第3の当接部材、49 第4の回動アーム、50 第4の当接部材、52 駆動レバー、55 ベース昇降機構、56 カムレバー、66 押上ピン、71 第5の回動部材、72 第5の当接部材、81 連結機構、101 ラック部材、108 第1のディスクガイド機構、109 シャッタ開閉機構、110 挿入ガイドレバー、117 シャッタ部材、118 第2のディスクガイド機構、119 ガイド部材、140 ガタツキ防止機構、141 捻りコイルバネ、151 板バネ、161 押付部材、162 引張りコイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に光ディスクが挿脱されるディスク挿脱口が設けられた筐体と、
上記ディスク挿脱口から上記筐体の内部に挿入された光ディスクが装着されるディスク装着部と、上記ディスク装着部に装着された光ディスクを回転駆動するディスク回転駆動機構と、上記ディスク回転駆動機構により回転駆動される光ディスクに対し情報信号の記録又は再生を行う光ピックアップと、上記光ピックアップを上記光ディスクの半径方向に送り操作するピックアップ送り機構とを有し、これらがベースに一体に設けられたベースユニットと、
上記ディスク挿脱口から上記光ディスクが挿脱されるディスク挿脱位置と、上記ディスク装着部に上記光ディスクが装着されるディスク装着位置との間で光ディスクの搬送を行うディスク搬送機構と、
上記ベースを上昇させて上記光ディスクを上記ディスク装着部に装着するチャッキング位置と、上記ベースを下降させて上記ディスク装着部から上記光ディスクを離脱させるチャッキング解除位置と、上記ベースを上記チャッキング位置と上記チャッキング解除位置との間に位置させて上記光ディスクに対し情報信号の記録又は再生を行う中間位置との間で上記ベースを昇降するベース昇降機構と、
上記中間位置に位置する上記ベースのガタツキの発生を抑えるガタツキ防止機構とを備え、
上記ベース昇降機構は、上記ベースの側面から突出された支軸が係合されて支持されるカム溝を有し、上記ベースの側面を支持しながら、上記ベースの側面に沿ってスライドされるスライド部材を備え、このスライド部材がスライド操作されることによって、上記支軸が上記カム溝内をスライドしながら、上記ベースが昇降操作され、
上記ガタツキ防止機構は、上記支軸を上記カム溝の内面の一方側に押し付ける押付部材を有し、
上記押付部材は、上記支軸が係合されるガイド孔を有し、上記スライド部材に移動可能に取り付けられると共に、付勢手段により移動方向の一方側に付勢されており、
上記スライド部材がスライドされるのに伴って、上記支軸が上記カム溝及び上記ガイド孔内をスライドしながら、上記押付部材が上記スライド部材と一体に移動されると共に、上記スライド部材が上記中間位置までスライドしたときに、上記支軸が上記ガイド孔の端部に当接されて、上記スライド部材に対して上記押付部材が上記付勢手段の付勢に抗して上記移動方向の他方側に移動されることによって、上記押付部材が上記付勢手段の付勢力により上記支軸を上記カム溝の内面の一方側に押し付けるディスクドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【公開番号】特開2010−186553(P2010−186553A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96142(P2010−96142)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【分割の表示】特願2005−161911(P2005−161911)の分割
【原出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】