ディスクブレーキパッド
【課題】摩擦材に型成形により傾斜面を成形したディスクブレーキパッドにおいて、端部にクラックや皺、摩擦材の反りによる浮きの発生が無く外観が良好なディスクブレーキパッドを提供する。
【解決手段】バックプレートの摩擦材が接着される面側の、摩擦材の傾斜面が成形される部位の投影部分に凹部を形成し、且つ、凹部に摩擦材が充填されている。
【解決手段】バックプレートの摩擦材が接着される面側の、摩擦材の傾斜面が成形される部位の投影部分に凹部を形成し、且つ、凹部に摩擦材が充填されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、トラック等のディスクブレーキの摩擦部材として採用されているディスクブレーキパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦材と該摩擦材を支持するバックプレート(裏板)から構成されるディスクブレーキパッドの製造方法について説明すると、金属繊維、有機繊維、無機繊維等の繊維基材、熱硬化性樹脂等の結合材、有機質や無機質の充填材等からなる摩擦材原料を混合する混合工程、摩擦材原料を押圧する押型、枠型、上型からなる熱成形金型の型(押型、枠型)内に混合工程で得られた摩擦材原料混合物を投入し、加熱・加圧してバックプレート上に摩擦材を成形および接着する成形工程、熱硬化性樹脂を硬化させる熱処理工程、砥石による研摩により摩擦面を形成する研摩工程等を経て製造されている。
【0003】
上記のような工程で製造されたディスクブレーキパッドは、制動時に自身の振動やディスクロータ等から振動を受けてブレーキ鳴きが発生することがあり、その対策手段として、ディスクブレーキパッドの摩擦材の両端部に傾斜面を成形することが知られている。
【0004】
特許文献1には、傾斜面を形成した押型を有する成形用金型内で摩擦材を加熱・加圧して成形することで、摩擦材の傾斜面を摩擦材の成形時に成形する方法が開示されている。
しかし、上記した特許文献1のように、傾斜面を形成した押型を有する熱成形金型により摩擦材に傾斜面を成形した場合、端部にクラックや皺、摩擦材の反りによる浮きが発生する等、製品外観が悪くなり、商品価値が著しく低下するという問題がある。
これは、摩擦材の中央部と傾斜面部、また傾斜面部の範囲においても部位によって加わる圧力が異なるため、摩擦材が不均質になることに起因するものである。
【0005】
上記の問題を解決する方法として、特許文献2には、粉末状の摩擦材原料を型内で加圧して固める予備成形で傾斜面を有する予備成形品を製造する工程と、該予備成形品を予備成型用金型と同じ開口形状を有する成形用金型内で加熱・加圧して前記傾斜面の位置に所望の角度の傾斜面を持つ摩擦材にする工程とを有し、バックプレートに接着する側の予備成形品の面に対する傾斜面の角度を摩擦材の傾斜面の角度より大きくしたディスクブレーキパッドの製造方法が開示されている。
【0006】
特許文献2の発明によれば、成形用金型と予備成形品の間に空間があることから摩擦材原料が流動し易くなるため、摩擦材の全体が均質になる方向に作用するが、繊維基材の含有量が比較的多く、流動性が悪い摩擦材原料を使用する場合においては部分的に不均質な摩擦材となる場合があり、問題の解決には至っていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−324763号公報
【特許文献2】特開2006−083978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記した問題を解決するために成されたもので、摩擦材に型成形により傾斜面を成形したディスクブレーキパッドにおいて、繊維基材の量が比較的多く、流動性が悪い摩擦材原料を使用する場合においても、端部にクラックや皺、摩擦材の反りによる浮きの発生が無く外観が良好なディスクブレーキパッドを提供することを目的とする。
更に本発明の他の目的は、端部に傾斜面を有する摩擦材全体を均質に成形できてブレーキ鳴きの抑制効果が格段に向上するディスクブレーキパッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、
(1)型成形により成形した傾斜面を有する摩擦材を具備するディスクブレーキパッドにおいて、バックプレートの摩擦材が接着される面側の、摩擦材の傾斜面が成形される部位の投影部分に凹部を形成し、且つ、凹部に摩擦材が充填されていることを特徴とするディスクブレーキパッド、
(2)傾斜面は摩擦材の両端部に成形されていることを特徴とする上記(1)に記載のディスクブレーキパッド、
(3)バックプレートに形成される凹部は、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のディスクブレーキパッド、
(4)バックプレートに形成される凹部の形状が傾斜面の投影部分の輪郭と略相似形状であることを特徴とする上記(3)に記載のディスクブレーキパッド、
(5)バックプレートに形成される凹部の底部が、摩擦材に成形される傾斜面と同じ方向に傾斜していることを有することを特徴とする上記(4)に記載のディスクブレーキパッド、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、型成形により成形した傾斜面を有する摩擦材を具備するディスクブレーキパッドにおいて、バックプレートの摩擦材が接着される面側の、摩擦材の傾斜面が成形される部位の投影部分に凹部を形成することにより、摩擦材原料が押型によって加圧されたとき、摩擦材原料が凹部に流動して摩擦材全体を均質に成形できるから、成形時において発生する摩擦材端部のクラックや皺、摩擦材の反りによる浮きを防止することができる。また、摩擦材が均質になったことにより、ブレーキの鳴きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係わるディスクブレーキパッドの一部を破断した斜視図
【図2】図1におけるII−II断面図
【図3】形態が異なる摩擦材を具備するディスクブレーキパッドを例示する正面図
【図4】本発明のディスクブレーキパッドの加熱・加圧成形工程の図で、成形開始状態を示す図
【図5】本発明のディスクブレーキパッドの加熱・加圧成形工程の図で、成形完了状態を示す図
【図6】本発明の実施例1に係わるディスクブレーキパッドで、(A)はその正面図、(B)はバックプレートの正面図、(C)は傾斜面を形成したディスクブレーキパッドの端部の断面図
【図7】本発明の実施例2に係わるディスクブレーキパッドで、(A)はその正面図、(B)はバックプレートの正面図、(C)は傾斜面を形成したディスクブレーキパッドの端部の断面図
【図8】本発明の実施例3に係わるディスクブレーキパッドで、(A)はその正面図、(B)はバックプレートの正面図、(C)は傾斜面を形成したディスクブレーキパッドの端部の断面図
【図9】本発明の実施例4に係わるディスクブレーキパッドで、(A)はその正面図、(B)はバックプレートの正面図、(C)は傾斜面を形成したディスクブレーキパッドの端部の断面図
【図10】本発明の実施例5に係わるディスクブレーキパッドで、(A)はその正面図、(B)はバックプレートの正面図、(C)は傾斜面を形成したディスクブレーキパッドの端部の断面図
【図11】本発明の比較例1に係わるディスクブレーキパッドで、(A)はその正面図、(B)はバックプレートの正面図、(C)は傾斜面を形成したディスクブレーキパッドの端部の断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図1〜図5を参照しながら、本発明の実施態様について詳細に説明する。
【0013】
<1>ディスクブレーキパッド
図1,2に本発明に係るディスクブレーキパッド10を示す。
ディスクブレーキパッド10は板状のバックプレート20と、該バックプレート20の片面に接着した摩擦材30とからなり、摩擦材30は中央に平面の摩擦面31があり、両側部には傾斜面32,32が形成され、摩擦面31と傾斜面32,32との境界には稜線33,33が形成されている。
【0014】
本発明に係るディスクブレーキパッド10は、乗用車用のディスクブレーキに用いるのに好適なものであるが、大型トラック、鉄道車両、各種産業機械等のブレーキにも用いることが出来る。
【0015】
<2>バックプレート
本発明は、摩擦材30が接着されるバックプレート20の接着面20a側において、摩擦材30の傾斜面32が成形される部位の投影部分に凹部21が形成されている。
凹部21は後述するように傾斜面を有する摩擦材30を同時に型成形する際に、摩擦材原料を凹部21に流動させて、摩擦材30の全体を均質にするために機能する。
【0016】
<2.1>凹部の開口形状
バックプレート20に形成される凹部21の開口形状は、傾斜面32の投影部分の輪郭と略相似形状に形成されるか、または摩擦材30の傾斜面32の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面32の投影部分の輪郭の内側に形成されている。
【0017】
バックプレート20に形成される凹部21の開口形状を、摩擦材30の傾斜面32の投影部分の輪郭と略相似形状にすると、摩擦材30がより均質となり、摩擦材30の摩耗が進行したときの鳴きの発生を抑制する効果が顕著となる。
【0018】
<2.2>凹部の底形状
凹部21の底部の形状は、バックプレート20の接着面と平行にフラットに形成されるか、または傾斜面32と略平行となるように傾斜面32の勾配と同じ方向に傾斜した傾斜面として形成される。
【0019】
バックプレート20に形成される凹部21の底部の形状をフラットに形成すると、バックプレートの製造が容易になる。
【0020】
バックプレート20に形成される凹部21の底部の形状を摩擦材30の傾斜面32と同じ方向に傾斜して形成すること、凹部21の底部の形状をフラットに形成した場合と比べて摩擦材30の全体をより均質にすることができる。
【0021】
<2.3>バックプレートの素材及び製造方法
バックプレート20は、自動車用鋼板、又は、機械構造用鋼板等にプレスにより凹部を形成した後、プレスにより打ち抜き加工して所定の形状に成形して製造される。必要に応じ、摩擦材30との結着孔を打ち抜き加工により貫通させて形成する場合がある。
なお、上記のバックプレート20の製造方法は代表的なものであり、この製造方法に限られたものではない。
【0022】
<3>摩擦材
摩擦材30は、繊維基材、結合材、充填材等の公知の原料からなる摩擦材原料をレディゲミキサー、アイリッヒミキサー等の混合機を用いて均一に混合し、この混合物をプレス機で加圧して成形した予備成形品として、或いはこの混合物を直接成形用金型に投入して加熱・加圧成形したものである。
【0023】
図3(A)〜(D)は本発明が適用可能な複数タイプのディスクブレーキパッド10の正面図を示したものである。
【0024】
図3の(A)に示すディスクブレーキパッド10は、摩擦材30の片方の端部に傾斜面32が形成されているタイプのものである。
図3の(B)に示すディスクブレーキパッド10は摩擦材30の両端部に傾斜面32,32が形成され、且つ、傾斜面32,32の2本の稜線33,33が平行のタイプのものである。
このタイプは、傾斜面32,32を砥石で仕上げ研摩する場合において、その対応が容易である。
図3の(C),(D)に示すディスクブレーキパッド10は摩擦材30の両端部に傾斜面32,32が形成され、且つ、傾斜面32,32の2本の稜線33,33が非平行のタイプのものである。
【0025】
<4>ディスクブレーキパッドの製造方法
図4,5に基づきディスクブレーキパッド10を製造する方法について説明する。
なお、本例で用いる摩擦材原料からなる成形材料として、予め成形された予備成形品34を使用する場合について説明するが、予備成形なしで粉末状の摩擦材原料混合物そのものを使用しても良く、また摩擦材原料混合物の造粒物であっても良い。
【0026】
予備成形品34は金属繊維、有機繊維、無機繊維等の繊維基材、熱硬化性樹脂等の結合材、有機質や無機質の充填材等からなる摩擦材原料を混合した後、混合した摩擦材原料を加圧することにより摩擦材の原型を型成形したものである。
【0027】
図4にディスクブレーキパッド10を成形する成形用金型の一例を示す。
成形用金型は上型41と枠型42、及びこの枠型42に貫通形成された空間内を昇降する押型43から構成される。
枠型42には、摩擦材30と略同じ輪郭形状で同じ大きさの開口が形成されている。
押型43の上面の両側には、摩擦材30に傾斜面32を成形するための傾斜面43aが形成されている。
【0028】
押型43を枠型42内の適当な位置に停止させ、枠型42の空間内に予備成形品30を入れる。次に枠型42の上面に凹部21を形成したバックプレート20を載置する。バックプレート20は枠型42に形成された図示しない位置決め部材によって、所定の位置に載置される。
【0029】
そして図5に示すように、上型41を降下させるとともに押型43を上昇させ、予備成形品34に熱と圧力とを加えて摩擦材30を型成形してバックプレート20に張り付けて図1,2に示した、端部に傾斜面32,32が成形されたディスクブレーキパッド10を製造する。
【0030】
摩擦材30の成形工程をさらに詳しく説明する。
【0031】
摩擦材30の中央部が押型43の傾斜面43aを除いた平らな中央面に押圧され、所定の密度に圧縮されてバックプレート20の平らな面に張付けられることは従来と同様である。
本発明では、バックプレート20の摩擦材30が接着される面側の、摩擦材30の傾斜面32が成形される部位の投影部分に凹部21が形成されている。
したがって、摩擦材30の端部は押型43の傾斜面43aによって押圧されたときに、摩擦材30の材料の一部がバックプレート20の凹部21に流動することで、摩擦材30の中央部と端部において略均等な圧力が加わることになる。
凹部21に流動した摩擦材30の材料の一部は凹部21の内周面に接着される。
そのため、摩擦材30の全体が均質ととなり、成形工程においてディスクブレーキパッド10の摩擦材30の端部に発生するクラックや皺、摩擦材30の反りによる浮きを効果的に防止することができて、外観が良好なディスクブレーキパッドを提供することができる。
【0032】
本発明では摩擦材30の全体が均質となるように、摩擦材30の傾斜面32の傾斜角度や容積などに応じてバックプレート20に形成される凹部21の開口面積、深さ、底部の形状等が設計されている。
【実施例】
【0033】
繊維基材の含有量が比較的多く、流動性が悪い表1の組成を有する摩擦材原料をレディゲミキサーにて10分間混合し、得られた摩擦材原料混合物を予備成形型に投入し、35MPaにて1分間加圧し、特許文献2に記載される、摩擦材に形成されるべき傾斜面の角度より大きな角度の傾斜面を有する予備成形品を成形した。
予備成形品と、予め洗浄、表面処理を施したバックプレートを、傾斜面を有する押型、枠型、上型からなる熱成形金型に重ねて投入し、成形温度155℃、成形圧力40MPaの条件下で5分間加熱・加圧成形した後、熱処理炉にて200℃で4時間硬化処理を行い、最後に研摩して、図6〜図11に示した実施例1〜5、比較例1の乗用車用ディスクブレーキパッドを作成した。
【0034】
【表1】
【0035】
なお、図6〜図11において、(A)はディスクブレーキパッドの正面図、(B)はバックプレート20の正面図、(C)は傾斜面32を形成したディスクブレーキパッドの端部の断面図である。
【0036】
[実施例1]
図6(A)〜(C)に実施例1に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに平行に形成され、且つ、バックプレート20に形成される凹部21の形状が摩擦材30の傾斜面32の投影部分の輪郭と略相似形状となっている。
また本例では凹部21の底部がバックプレート20の接着面と平行にフラットに形成されている。
【0037】
[実施例2]
図7(A)〜(C)に実施例2に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに平行に形成され、且つ、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されている。
また本例では凹部21の底部がバックプレート20の接着面と平行にフラットに形成されている。
【0038】
[実施例3]
図8(A)〜(C)に実施例3に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに平行に形成され、且つ、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されている。
また本例では凹部21の底部が傾斜面32と略平行となるように傾斜して形成されている。
【0039】
[実施例4]
図9(A)〜(C)に実施例4に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに非平行に形成され、且つ、バックプレート20に形成される凹部21の形状が摩擦材30の傾斜面32の投影部分の輪郭と略相似同形状となっている。
また本例では凹部21の底部の形状が、バックプレート20の接着面と平行にフラットに形成されている。
【0040】
[実施例5]
図10(A)〜(C)に実施例5に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに非平行に形成され、且つ、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されている。
また本例では凹部21の底部が傾斜面32と同じ方向となるように傾斜して形成されている。
【0041】
[比較例1]
図11(A)〜(C)に本発明の比較例1に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例は従来から使用されているディスクブレーキパッドであり、バックプレート20の摩擦材30が接着される面側は平らな形状となっている。
【0042】
[評価方法]
製品の外観を目視にて確認した。結果を表2,3に示す。
なお、製品の外観の評価基準は、◎はクラック、皺、浮きが無く良好な状態、○は極く微細なクラック、皺が見られるが問題の無いレベル状態、△は、微細なクラック、皺が見られるが問題の無いレベル状態、×は、クラック、皺、浮きが見られ問題がある状態を示す。
【0043】
また、使用によって傾斜面が消滅した状態におけるブレーキ鳴きを評価するため、傾斜面が消滅した状態の実施例1〜5、比較例1のディスクブレーキパッドを実車に装着し、ブレーキ鳴き試験を行った。
結果を表2,3に示す。なお、ブレーキ鳴きの評価基準は、◎は全く鳴きがない状態、○は極く微小な鳴きがある状態、△は微小な鳴きがある状態、×は明瞭に鳴きが出る状態を示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【符号の説明】
【0046】
10・・・・・ディスクブレーキパッド
20・・・・・バックプレート
20a・・・・(バックプレートの)接着面
21・・・・・凹部
30・・・・・摩擦材
31・・・・・摩擦面
32・・・・・傾斜面
33・・・・・稜線
34・・・・・予備成形品
41・・・・・上型
42・・・・・枠型
43・・・・・押型
43a・・・・傾斜面
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、トラック等のディスクブレーキの摩擦部材として採用されているディスクブレーキパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦材と該摩擦材を支持するバックプレート(裏板)から構成されるディスクブレーキパッドの製造方法について説明すると、金属繊維、有機繊維、無機繊維等の繊維基材、熱硬化性樹脂等の結合材、有機質や無機質の充填材等からなる摩擦材原料を混合する混合工程、摩擦材原料を押圧する押型、枠型、上型からなる熱成形金型の型(押型、枠型)内に混合工程で得られた摩擦材原料混合物を投入し、加熱・加圧してバックプレート上に摩擦材を成形および接着する成形工程、熱硬化性樹脂を硬化させる熱処理工程、砥石による研摩により摩擦面を形成する研摩工程等を経て製造されている。
【0003】
上記のような工程で製造されたディスクブレーキパッドは、制動時に自身の振動やディスクロータ等から振動を受けてブレーキ鳴きが発生することがあり、その対策手段として、ディスクブレーキパッドの摩擦材の両端部に傾斜面を成形することが知られている。
【0004】
特許文献1には、傾斜面を形成した押型を有する成形用金型内で摩擦材を加熱・加圧して成形することで、摩擦材の傾斜面を摩擦材の成形時に成形する方法が開示されている。
しかし、上記した特許文献1のように、傾斜面を形成した押型を有する熱成形金型により摩擦材に傾斜面を成形した場合、端部にクラックや皺、摩擦材の反りによる浮きが発生する等、製品外観が悪くなり、商品価値が著しく低下するという問題がある。
これは、摩擦材の中央部と傾斜面部、また傾斜面部の範囲においても部位によって加わる圧力が異なるため、摩擦材が不均質になることに起因するものである。
【0005】
上記の問題を解決する方法として、特許文献2には、粉末状の摩擦材原料を型内で加圧して固める予備成形で傾斜面を有する予備成形品を製造する工程と、該予備成形品を予備成型用金型と同じ開口形状を有する成形用金型内で加熱・加圧して前記傾斜面の位置に所望の角度の傾斜面を持つ摩擦材にする工程とを有し、バックプレートに接着する側の予備成形品の面に対する傾斜面の角度を摩擦材の傾斜面の角度より大きくしたディスクブレーキパッドの製造方法が開示されている。
【0006】
特許文献2の発明によれば、成形用金型と予備成形品の間に空間があることから摩擦材原料が流動し易くなるため、摩擦材の全体が均質になる方向に作用するが、繊維基材の含有量が比較的多く、流動性が悪い摩擦材原料を使用する場合においては部分的に不均質な摩擦材となる場合があり、問題の解決には至っていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−324763号公報
【特許文献2】特開2006−083978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記した問題を解決するために成されたもので、摩擦材に型成形により傾斜面を成形したディスクブレーキパッドにおいて、繊維基材の量が比較的多く、流動性が悪い摩擦材原料を使用する場合においても、端部にクラックや皺、摩擦材の反りによる浮きの発生が無く外観が良好なディスクブレーキパッドを提供することを目的とする。
更に本発明の他の目的は、端部に傾斜面を有する摩擦材全体を均質に成形できてブレーキ鳴きの抑制効果が格段に向上するディスクブレーキパッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、
(1)型成形により成形した傾斜面を有する摩擦材を具備するディスクブレーキパッドにおいて、バックプレートの摩擦材が接着される面側の、摩擦材の傾斜面が成形される部位の投影部分に凹部を形成し、且つ、凹部に摩擦材が充填されていることを特徴とするディスクブレーキパッド、
(2)傾斜面は摩擦材の両端部に成形されていることを特徴とする上記(1)に記載のディスクブレーキパッド、
(3)バックプレートに形成される凹部は、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のディスクブレーキパッド、
(4)バックプレートに形成される凹部の形状が傾斜面の投影部分の輪郭と略相似形状であることを特徴とする上記(3)に記載のディスクブレーキパッド、
(5)バックプレートに形成される凹部の底部が、摩擦材に成形される傾斜面と同じ方向に傾斜していることを有することを特徴とする上記(4)に記載のディスクブレーキパッド、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、型成形により成形した傾斜面を有する摩擦材を具備するディスクブレーキパッドにおいて、バックプレートの摩擦材が接着される面側の、摩擦材の傾斜面が成形される部位の投影部分に凹部を形成することにより、摩擦材原料が押型によって加圧されたとき、摩擦材原料が凹部に流動して摩擦材全体を均質に成形できるから、成形時において発生する摩擦材端部のクラックや皺、摩擦材の反りによる浮きを防止することができる。また、摩擦材が均質になったことにより、ブレーキの鳴きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係わるディスクブレーキパッドの一部を破断した斜視図
【図2】図1におけるII−II断面図
【図3】形態が異なる摩擦材を具備するディスクブレーキパッドを例示する正面図
【図4】本発明のディスクブレーキパッドの加熱・加圧成形工程の図で、成形開始状態を示す図
【図5】本発明のディスクブレーキパッドの加熱・加圧成形工程の図で、成形完了状態を示す図
【図6】本発明の実施例1に係わるディスクブレーキパッドで、(A)はその正面図、(B)はバックプレートの正面図、(C)は傾斜面を形成したディスクブレーキパッドの端部の断面図
【図7】本発明の実施例2に係わるディスクブレーキパッドで、(A)はその正面図、(B)はバックプレートの正面図、(C)は傾斜面を形成したディスクブレーキパッドの端部の断面図
【図8】本発明の実施例3に係わるディスクブレーキパッドで、(A)はその正面図、(B)はバックプレートの正面図、(C)は傾斜面を形成したディスクブレーキパッドの端部の断面図
【図9】本発明の実施例4に係わるディスクブレーキパッドで、(A)はその正面図、(B)はバックプレートの正面図、(C)は傾斜面を形成したディスクブレーキパッドの端部の断面図
【図10】本発明の実施例5に係わるディスクブレーキパッドで、(A)はその正面図、(B)はバックプレートの正面図、(C)は傾斜面を形成したディスクブレーキパッドの端部の断面図
【図11】本発明の比較例1に係わるディスクブレーキパッドで、(A)はその正面図、(B)はバックプレートの正面図、(C)は傾斜面を形成したディスクブレーキパッドの端部の断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図1〜図5を参照しながら、本発明の実施態様について詳細に説明する。
【0013】
<1>ディスクブレーキパッド
図1,2に本発明に係るディスクブレーキパッド10を示す。
ディスクブレーキパッド10は板状のバックプレート20と、該バックプレート20の片面に接着した摩擦材30とからなり、摩擦材30は中央に平面の摩擦面31があり、両側部には傾斜面32,32が形成され、摩擦面31と傾斜面32,32との境界には稜線33,33が形成されている。
【0014】
本発明に係るディスクブレーキパッド10は、乗用車用のディスクブレーキに用いるのに好適なものであるが、大型トラック、鉄道車両、各種産業機械等のブレーキにも用いることが出来る。
【0015】
<2>バックプレート
本発明は、摩擦材30が接着されるバックプレート20の接着面20a側において、摩擦材30の傾斜面32が成形される部位の投影部分に凹部21が形成されている。
凹部21は後述するように傾斜面を有する摩擦材30を同時に型成形する際に、摩擦材原料を凹部21に流動させて、摩擦材30の全体を均質にするために機能する。
【0016】
<2.1>凹部の開口形状
バックプレート20に形成される凹部21の開口形状は、傾斜面32の投影部分の輪郭と略相似形状に形成されるか、または摩擦材30の傾斜面32の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面32の投影部分の輪郭の内側に形成されている。
【0017】
バックプレート20に形成される凹部21の開口形状を、摩擦材30の傾斜面32の投影部分の輪郭と略相似形状にすると、摩擦材30がより均質となり、摩擦材30の摩耗が進行したときの鳴きの発生を抑制する効果が顕著となる。
【0018】
<2.2>凹部の底形状
凹部21の底部の形状は、バックプレート20の接着面と平行にフラットに形成されるか、または傾斜面32と略平行となるように傾斜面32の勾配と同じ方向に傾斜した傾斜面として形成される。
【0019】
バックプレート20に形成される凹部21の底部の形状をフラットに形成すると、バックプレートの製造が容易になる。
【0020】
バックプレート20に形成される凹部21の底部の形状を摩擦材30の傾斜面32と同じ方向に傾斜して形成すること、凹部21の底部の形状をフラットに形成した場合と比べて摩擦材30の全体をより均質にすることができる。
【0021】
<2.3>バックプレートの素材及び製造方法
バックプレート20は、自動車用鋼板、又は、機械構造用鋼板等にプレスにより凹部を形成した後、プレスにより打ち抜き加工して所定の形状に成形して製造される。必要に応じ、摩擦材30との結着孔を打ち抜き加工により貫通させて形成する場合がある。
なお、上記のバックプレート20の製造方法は代表的なものであり、この製造方法に限られたものではない。
【0022】
<3>摩擦材
摩擦材30は、繊維基材、結合材、充填材等の公知の原料からなる摩擦材原料をレディゲミキサー、アイリッヒミキサー等の混合機を用いて均一に混合し、この混合物をプレス機で加圧して成形した予備成形品として、或いはこの混合物を直接成形用金型に投入して加熱・加圧成形したものである。
【0023】
図3(A)〜(D)は本発明が適用可能な複数タイプのディスクブレーキパッド10の正面図を示したものである。
【0024】
図3の(A)に示すディスクブレーキパッド10は、摩擦材30の片方の端部に傾斜面32が形成されているタイプのものである。
図3の(B)に示すディスクブレーキパッド10は摩擦材30の両端部に傾斜面32,32が形成され、且つ、傾斜面32,32の2本の稜線33,33が平行のタイプのものである。
このタイプは、傾斜面32,32を砥石で仕上げ研摩する場合において、その対応が容易である。
図3の(C),(D)に示すディスクブレーキパッド10は摩擦材30の両端部に傾斜面32,32が形成され、且つ、傾斜面32,32の2本の稜線33,33が非平行のタイプのものである。
【0025】
<4>ディスクブレーキパッドの製造方法
図4,5に基づきディスクブレーキパッド10を製造する方法について説明する。
なお、本例で用いる摩擦材原料からなる成形材料として、予め成形された予備成形品34を使用する場合について説明するが、予備成形なしで粉末状の摩擦材原料混合物そのものを使用しても良く、また摩擦材原料混合物の造粒物であっても良い。
【0026】
予備成形品34は金属繊維、有機繊維、無機繊維等の繊維基材、熱硬化性樹脂等の結合材、有機質や無機質の充填材等からなる摩擦材原料を混合した後、混合した摩擦材原料を加圧することにより摩擦材の原型を型成形したものである。
【0027】
図4にディスクブレーキパッド10を成形する成形用金型の一例を示す。
成形用金型は上型41と枠型42、及びこの枠型42に貫通形成された空間内を昇降する押型43から構成される。
枠型42には、摩擦材30と略同じ輪郭形状で同じ大きさの開口が形成されている。
押型43の上面の両側には、摩擦材30に傾斜面32を成形するための傾斜面43aが形成されている。
【0028】
押型43を枠型42内の適当な位置に停止させ、枠型42の空間内に予備成形品30を入れる。次に枠型42の上面に凹部21を形成したバックプレート20を載置する。バックプレート20は枠型42に形成された図示しない位置決め部材によって、所定の位置に載置される。
【0029】
そして図5に示すように、上型41を降下させるとともに押型43を上昇させ、予備成形品34に熱と圧力とを加えて摩擦材30を型成形してバックプレート20に張り付けて図1,2に示した、端部に傾斜面32,32が成形されたディスクブレーキパッド10を製造する。
【0030】
摩擦材30の成形工程をさらに詳しく説明する。
【0031】
摩擦材30の中央部が押型43の傾斜面43aを除いた平らな中央面に押圧され、所定の密度に圧縮されてバックプレート20の平らな面に張付けられることは従来と同様である。
本発明では、バックプレート20の摩擦材30が接着される面側の、摩擦材30の傾斜面32が成形される部位の投影部分に凹部21が形成されている。
したがって、摩擦材30の端部は押型43の傾斜面43aによって押圧されたときに、摩擦材30の材料の一部がバックプレート20の凹部21に流動することで、摩擦材30の中央部と端部において略均等な圧力が加わることになる。
凹部21に流動した摩擦材30の材料の一部は凹部21の内周面に接着される。
そのため、摩擦材30の全体が均質ととなり、成形工程においてディスクブレーキパッド10の摩擦材30の端部に発生するクラックや皺、摩擦材30の反りによる浮きを効果的に防止することができて、外観が良好なディスクブレーキパッドを提供することができる。
【0032】
本発明では摩擦材30の全体が均質となるように、摩擦材30の傾斜面32の傾斜角度や容積などに応じてバックプレート20に形成される凹部21の開口面積、深さ、底部の形状等が設計されている。
【実施例】
【0033】
繊維基材の含有量が比較的多く、流動性が悪い表1の組成を有する摩擦材原料をレディゲミキサーにて10分間混合し、得られた摩擦材原料混合物を予備成形型に投入し、35MPaにて1分間加圧し、特許文献2に記載される、摩擦材に形成されるべき傾斜面の角度より大きな角度の傾斜面を有する予備成形品を成形した。
予備成形品と、予め洗浄、表面処理を施したバックプレートを、傾斜面を有する押型、枠型、上型からなる熱成形金型に重ねて投入し、成形温度155℃、成形圧力40MPaの条件下で5分間加熱・加圧成形した後、熱処理炉にて200℃で4時間硬化処理を行い、最後に研摩して、図6〜図11に示した実施例1〜5、比較例1の乗用車用ディスクブレーキパッドを作成した。
【0034】
【表1】
【0035】
なお、図6〜図11において、(A)はディスクブレーキパッドの正面図、(B)はバックプレート20の正面図、(C)は傾斜面32を形成したディスクブレーキパッドの端部の断面図である。
【0036】
[実施例1]
図6(A)〜(C)に実施例1に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに平行に形成され、且つ、バックプレート20に形成される凹部21の形状が摩擦材30の傾斜面32の投影部分の輪郭と略相似形状となっている。
また本例では凹部21の底部がバックプレート20の接着面と平行にフラットに形成されている。
【0037】
[実施例2]
図7(A)〜(C)に実施例2に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに平行に形成され、且つ、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されている。
また本例では凹部21の底部がバックプレート20の接着面と平行にフラットに形成されている。
【0038】
[実施例3]
図8(A)〜(C)に実施例3に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに平行に形成され、且つ、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されている。
また本例では凹部21の底部が傾斜面32と略平行となるように傾斜して形成されている。
【0039】
[実施例4]
図9(A)〜(C)に実施例4に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに非平行に形成され、且つ、バックプレート20に形成される凹部21の形状が摩擦材30の傾斜面32の投影部分の輪郭と略相似同形状となっている。
また本例では凹部21の底部の形状が、バックプレート20の接着面と平行にフラットに形成されている。
【0040】
[実施例5]
図10(A)〜(C)に実施例5に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例のディスクブレーキパッド10は摩擦材30の2本の稜線33,33が互いに非平行に形成され、且つ、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されている。
また本例では凹部21の底部が傾斜面32と同じ方向となるように傾斜して形成されている。
【0041】
[比較例1]
図11(A)〜(C)に本発明の比較例1に係るディスクブレーキパッドを示す。
本例は従来から使用されているディスクブレーキパッドであり、バックプレート20の摩擦材30が接着される面側は平らな形状となっている。
【0042】
[評価方法]
製品の外観を目視にて確認した。結果を表2,3に示す。
なお、製品の外観の評価基準は、◎はクラック、皺、浮きが無く良好な状態、○は極く微細なクラック、皺が見られるが問題の無いレベル状態、△は、微細なクラック、皺が見られるが問題の無いレベル状態、×は、クラック、皺、浮きが見られ問題がある状態を示す。
【0043】
また、使用によって傾斜面が消滅した状態におけるブレーキ鳴きを評価するため、傾斜面が消滅した状態の実施例1〜5、比較例1のディスクブレーキパッドを実車に装着し、ブレーキ鳴き試験を行った。
結果を表2,3に示す。なお、ブレーキ鳴きの評価基準は、◎は全く鳴きがない状態、○は極く微小な鳴きがある状態、△は微小な鳴きがある状態、×は明瞭に鳴きが出る状態を示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【符号の説明】
【0046】
10・・・・・ディスクブレーキパッド
20・・・・・バックプレート
20a・・・・(バックプレートの)接着面
21・・・・・凹部
30・・・・・摩擦材
31・・・・・摩擦面
32・・・・・傾斜面
33・・・・・稜線
34・・・・・予備成形品
41・・・・・上型
42・・・・・枠型
43・・・・・押型
43a・・・・傾斜面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型成形により成形した傾斜面を有する摩擦材を具備するディスクブレーキパッドにおいて、
バックプレートの摩擦材が接着される面側の、摩擦材の傾斜面が成形される部位の投影部分に凹部を形成し、且つ、凹部に摩擦材が充填されていることを特徴とするディスクブレーキパッド。
【請求項2】
前記傾斜面は摩擦材の両端部に成形されていることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキパッド。
【請求項3】
バックプレートに形成される前記凹部は、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のディスクブレーキパッド。
【請求項4】
バックプレートに形成される凹部の形状が傾斜面の投影部分の輪郭と略相似形状であることを特徴とする請求項3に記載のディスクブレーキパッド。
【請求項5】
バックプレートに形成される凹部の底部が、摩擦材に成形される傾斜面と同じ方向に傾斜していることを有することを特徴とする請求項3または4に記載のディスクブレーキパッド。
【請求項1】
型成形により成形した傾斜面を有する摩擦材を具備するディスクブレーキパッドにおいて、
バックプレートの摩擦材が接着される面側の、摩擦材の傾斜面が成形される部位の投影部分に凹部を形成し、且つ、凹部に摩擦材が充填されていることを特徴とするディスクブレーキパッド。
【請求項2】
前記傾斜面は摩擦材の両端部に成形されていることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキパッド。
【請求項3】
バックプレートに形成される前記凹部は、摩擦材の傾斜面の投影面積よりも小さい開口面積を有し、且つ、傾斜面の投影部分の輪郭の内側に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のディスクブレーキパッド。
【請求項4】
バックプレートに形成される凹部の形状が傾斜面の投影部分の輪郭と略相似形状であることを特徴とする請求項3に記載のディスクブレーキパッド。
【請求項5】
バックプレートに形成される凹部の底部が、摩擦材に成形される傾斜面と同じ方向に傾斜していることを有することを特徴とする請求項3または4に記載のディスクブレーキパッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−132991(P2011−132991A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291038(P2009−291038)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(309014573)日清紡ブレーキ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(309014573)日清紡ブレーキ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]