説明

ディスクブレーキ装置

【課題】ディスクロータの外周縁部に泥等が溜まらないようにする。
【解決手段】少なくとも一対のブレーキパッド間に挟み付けられるディスクロータを備えたディスクブレーキ装置であって、ディスクロータ1の外周縁からは周方向に配された3以上の突部P1〜P4が、それぞれ径方向外方へ向けて突出して形成されるとともに、ディスクロータ1の外周縁は、隣接する突部の最外点同士を結ぶ直線上に位置するか、あるいはこの直線よりも外側に位置して形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車、あるいは不整地走行車両等において使用されるディスクブレーキ装置では、ディスクロータが外部に露出されているため、表面に泥等(ブレーキパッドの磨耗粉も含む。)が付着するとブレーキパッドの表面にも泥がつきやすい。ブレーキパッドについた泥を除去するために、ディスクロータにクリーニング機能を付与したものが知られている。その一例として下記特許文献1を挙げることができる(図8参照)。
【0003】
上記公報に開示されたディスクロータ100は、全体として略円形状に形成されている。ディスクロータ100のうちブレーキパッド101と摺接する外周縁部には、半径方向外端が開放するようなクリーニング溝102が形成されている。ディスクロータ100が図8に示す矢印方向へ回転すると、クリーニング溝102の開口縁がエッジとして機能しブレーキパッド101に付着した泥を掻き落とす。
【特許文献1】特開2001−182764公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなクリーニング溝102はディスクロータ100の外周縁から内方へ窪んで形成されていることから、クリーニング溝102内に泥が入り込んで溜まってしまうことがありうる。また、一旦はクリーニング溝102内に溜まった泥がブレーキパッド101との摺接によって掻き出され、再びブレーキパッドに付着してしまうこともありうる。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ブレーキパッドから掻き取った泥等がディスクロータの外周縁部に溜まらないようにしたディスクブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、少なくとも一対のブレーキパッド間に挟み付けられるディスクロータを備えたディスクブレーキ装置であって、ディスクロータの外周縁からは周方向に配された3以上の突部が、それぞれ径方向外方へ向けて突出して形成されるとともに、ディスクロータの外周縁は、隣接する突部の最外点同士を結ぶ直線上に位置するか、あるいはこの直線よりも外側に位置して形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブレーキパッドに泥等が付着していた場合にも、ディスクロータの回転に伴って各突部がブレーキパッドを通過する際に掻き落とされるため、ブレーキパッドに対するクリーニング機能が発揮される。また、ディスクロータの外周縁は隣接する突部同士を結ぶ直線上に位置するか、あるいはこの直線よりも外側に位置するように形成されている。つまり、隣接する突部の間に谷部(局所的な凹みとなる部分)が形成されないようにしている。したがってブレーキパッドから掻き落とした泥等がこの谷部内に留まってしまう事態を未然に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。図面において、1は自動二輪車のディスクロータであり、2はブレーキキャリパである。ブレーキキャリパ2のキャリパボディ3は、ディスクロータ1側に開口するU字状に形成され、内部にはディスクロータ1を挟んで一対のブレーキパッド4が設けられている。
【0009】
ディスクロータ1は、金属製の平板材によって一体に形成されており、この実施形態では外周縁が楕円となるように形成されている。ディスクロータ1は、外周部に形成されてブレーキパッド4からの制動力を受ける制動部1A(ブレーキパッド4によって挟持される被挟圧領域)と、内周部に形成されてホィールハブ5への取り付けのための取付け部1Bとから構成されている。
【0010】
取付け部1Bは略方形状に形成されるとともに、中心には円形のセンタホール6が貫通している。取付け部1Bにおいてセンターホール6周りにはほぼ90度間隔毎に4つの取付け孔が7形成されている。各取付け孔7はディスクロータ1の外周縁がなす楕円において、長径側の軸線(図1に示すX軸)上と短径側の軸線(同図に示すY軸)上にそれぞれ2つずつが配されている。これら各取付け孔7に対しては例えば六角孔付きボルトが挿通され、ホイールハブ5に対して締め付けがなされることによって、ディスクロータ1全体の取り付けがなされる。取付け部1Bにおいて各取付け孔7周りは残余の部分よりも径方向の幅寸法が大きくなっている。
【0011】
各取付け孔7周りの部分と制動部1Aとの間はそれぞれ連結アーム8によって連結されている。各連結アーム8において制動部1A側へ向けての延び方向は、次のように設定されている。すなわち、各連結アーム8の延び方向は、これに対応する取付け孔7の中心とセンターホール6の中心とを結ぶ直線に対し、図1に示すαの角度(図では、ほぼ90度よりやや大きめの角度)に設定されている。各連結アーム8の延び方向を上記した直線に沿う方向とせずに、所定の角度αを設定する理由は、制動部1Aが発熱し熱膨張した際、各連結アーム8が弾性変形することで発生する応力を緩和し、ディスクロータ1全体の熱変形を緩和することができるからである。
【0012】
さらに、各連結アーム8は制動部1A側の端部を幅広側とし、取付け部1B側へ向けて徐々に幅狭となるように形成されている。前記したように、ディスクロータ1が楕円形状に形成されている。したがって、各連結アーム8のうち、制動部1Aにおける概ね短径側の軸線に沿って延びる対(図1において右下及び左上に配置されている対)は短く、概ね長径側の軸線に沿って延びる対(図1において右上及び左下に配置されている対)は長く形成されている。
【0013】
制動部1Aは、内外周縁共に楕円形状をなして形成されている。より詳しくは、制動部1Aの内外周縁がそれぞれなす2つの楕円は、長径側の軸線と短径側の軸線とが一致した同位相としてある。このことによって、制動部1Aは全周に亘ってほぼ均一幅をなした楕円帯状に形成され、取付け部1Bとの間には各連結アーム8によって仕切られた4つの肉抜き部9が形成される。制動部1Aの径方向に関する幅寸法は、ブレーキパッド4の幅寸法(図1におけるS寸法)よりも小さく設定されている。また、制動部1Aは、ディスクロータ1の回転によってブレーキパッド4の制動面(ディスクロータ1の制動部1Aと摺接する面)のほぼ全領域を通過できるような形状に設定されている。
【0014】
前記したように、制動部1Aの外周縁は楕円形状に形成されている。図1に示すように、制動部1AにおけるX軸上の両端部及びY軸線上の両端部(径方向の最外端)は制動部の外周の輪郭を構成する楕円の頂点であり、各頂点は本発明の突部を構成する。周方向に隣接する突部(長軸側の突部P1及びP3と短軸側の突部P2及びP4)との間の外周縁の輪郭形状は、周方向に関する全範囲が、周方向に隣接する突部同士を結ぶ直線Lよりも径方向外側に張出し(以下、それぞれの張出し部分を張出部10という)、途中箇所に内方へ窪んだ部分を持たない連続した形状に形成されている。
【0015】
制動部1Aにおいて径方向に関する中央部には、それぞれが円形に形成された複数の貫通孔11が貫通して形成されている。各貫通孔11は、制動部1Aで生じた摩擦熱に対する放熱とブレーキパッド4に対するクリーニングの役割を果たす。各貫通孔11は周方向に等角度間隔で配されている。したがって、周速の遅い短軸側ではその配置が「密」に設定され、周速の速い長軸側では「疎」に設定されていることになる。
【0016】
次に、上記のように構成された実施形態1の作用効果を具体的に説明する。まず、ブレーキパッド4に対するクリーニングの作用を図2の各図によって説明する。各図は、自動二輪車の走行中において制動力が付与された状態でのディスクロータ1とブレーキパッド4との位置関係を示している。
【0017】
図2(A)は、ディスクロータ1において短軸側の一方の突部P4がブレーキキャリパ2内に進入している状態であり、このときはブレーキパッド4の外周縁部の全長さ範囲が制動部1Aの外周縁より外側に位置し、ディスクロータ1とは非接触の状態となっている。同図(B)はディスクロータ1の回転が僅かに進み、
上記した突部P4がブレーキパッド4との接触を脱した直後の状態を示している。このときには、ブレーキパッド4の外周縁部であってディスクロータ1との非接触領域は、ディスクロータの回転方向の前部側から後方にかけて径方向の幅寸法が徐々に狭まった形状となっている。ブレーキパッド4において上記非接触領域以外の領域のほぼ全面は、制動部1Aの表裏両面にて接触状況にある。
【0018】
さらにブレーキパッド4の回転が進行するにしたがって、ブレーキパッド4の外周縁部においてディスクロータ1の外周縁との非接触領域は図(C)に示すように、ディスクロータの回転方向前方へ移動し、徐々に面積を減じる。このことによって、ブレーキパッド4の外周縁部に泥等が付着していた場合には、制動部1Aの外周縁がブレーキパッド4に摺接しつつ回転方向前方へ移動してゆく過程で掻き落とす。掻き落とした泥等はブレーキキャリパ2の側方(回転方向の前方)へ押出されるようにして排出される。
【0019】
一方、ブレーキパッド4は、ディスクロータ1の短軸側の一方の突部P4がブレーキキャリパ2内にほぼ位置している間(図(A)から図(B)に至るまでの間)は、上記した外周縁部側の非接触領域を除いて制動部1Aの幅寸法内に位置している。しかし、ディスクロータ1の回転の進行に伴って、ブレーキパッド4は内周縁部は制動部1Aの幅寸法からはみ出すようになり、その一部は長軸Xが通過する一方の肉抜き部9内に位置するようになる(図(B)から図(C)にかけての状態)。
【0020】
図3(D)に示すように、ディスクロータ1における長軸側の一方がブレーキキャリパ2のほぼ中央部に位置する状態では、ブレーキパッド4は内周縁部のみがディスクロータ1に対する非接触領域となる。
【0021】
さらにディスクロータ1の回転が進むと、ブレーキパッド4の外周縁部では回転方向後側からディスクロータ1に対する非接触領域が再び生じ始める。一方、ブレーキパッド4の内周縁部では、制動部1Aを構成する楕円の長軸が通過する一方の肉抜き部9内に位置する非接触領域の面積が徐々に狭まり、図(E)の状態ではブレーキパッド4の内周周縁部側の非接触領域は隣接する肉抜き部9に跨って生じ、さらにディスクロータ1の回転が進むと、内周縁側の非接触領域は制動部1Aを構成する楕円の短軸が通過する一方の肉抜き部9のみへと移行する(図(F)参照)。
【0022】
ブレーキパッド4の径方向に関する中間部は、各貫通孔11の孔縁によって掻き落とし作用を受ける。その場合にも、制動部1Aが楕円形状に形成されているため、ブレーキパッド4のうち各貫通孔11によってクリーニングされる領域の径方向に関する幅寸法は、各貫通孔11の孔径以上となる。したがって、制動部1Aの外周縁、各肉抜き部9の孔縁(制動部1Aの内周縁)及び各貫通孔11の孔縁によって、ブレーキパッド4のほぼ全領域に対してクリーニング作用を付与することができる。このため、ブレーキパッド4の磨耗が局部的に進行してしまうような偏った磨耗状況を回避することができる。
【0023】
特に、ディスクロータ1は内方への窪みを有さない状態で外周縁を形成しているため、ブレーキパッド4から掻き落とした泥等がディスクロータ1の外周縁部に溜まってしまうことが未然に回避されている。
【0024】
また、上記したように、実施形態1ではディスクロータ1の外周縁を楕円形状とすることで、ディスクロータ1の中心から長径方向に位置する突部P1,P3までの距離と短径方向に位置する突部P2,P4までの距離が異なる。これに伴って、ディスクロータ1が回転している間は、ブレーキパッド4におけるディスクロータ1との擦れ合う領域を径方向に移動させることができる。ブレーキパッドに対するディスクロータ1の擦れ合う領域が移動しない場合には、いわゆる「ブレーキ鳴き」を生じやすい傾向にあるが、ディスクロータ1の外周縁形状を楕円形状にすることで、ブレーキ鳴きの現象の回避に有効となる。このことは、制動部1Aの内周縁形状を楕円形状とした点も寄与する。
【0025】
また、制動部1Aの内外周縁を同位相の楕円形状としたことで、制動部1Aにおける径方向に関する幅寸法が全周に沿ってほぼ均一になるため、制動部1Aの強度を周方向に沿って均一化させる、という効果も得られる。
【0026】
また、実施形態1では制動部1Aと取付け部1Bとの間を連結する各連結アーム8の延び方向を、ディスクロータ1の回転中心と取付け孔7の中心とを結ぶ直線に対して所定角度αをなす方向に設定することで、アーム長さをできるだけ長くとるようにしている。このことによって、制動部1Aの発熱に伴う熱膨張の影響を、連結アーム8が弾性変形することで発生する応力を緩和し、もってディスクロータ1全体の熱変形を抑制することができる。
【0027】
<実施形態2>
図5は本実施形態2を示している。実施形態1におけるディスクロータ1は、制動部1Aの外周縁と内周縁とが同位相の楕円形状に形成されていたが、実施形態2のディスクロータ12では制動部12Aの内外周縁は周方向に90度位相がずれた楕円形状に形成されている。つまり、制動部12Aの外周縁を構成する楕円の長径方向(図5に示すX1軸方向)が制動部12Aの内周縁を構成する楕円の短径方向に一致し、制動部12Aの外周縁を構成する楕円の短径方向(同図に示すY1軸方向)が制動部12Aの内周縁を構成する楕円の長径方向に一致するように形成されている。したがって、制動部12Aの径方向に関する幅寸法はX1軸方向で最も幅広になり、Y1軸方向で最も幅狭に形成される。制動部12Aにおいて、最も幅広に形成された部分にはほぼY1軸方向に沿う方向へ長孔となる貫通孔が形成されている。
【0028】
また、制動部12Aの内周縁であってX1軸と交差する二箇所及びY1軸が交差する二箇所からは、これら軸方向に沿って内向きに連結アーム14が片持ち状に突出して形成されている。各連結アーム14の先端部はホィールハブに対する取付け部12Bが形成され、かつ各取付け部12Bにはホィールハブへのねじ止めのための取付け孔15が貫通している。なお、ディスクロータ12の中心から各取付け孔15の中心までの距離は全て等しくなるようにしてある。したがって、連結アーム14においてY1軸方向に位置する対の腕長さは、X1軸方向に位置する対の腕長さよりも長く形成されている。
【0029】
以上のように構成された実施形態2においても、ディスクロータ12が回転すると制動部12Aの内外周縁の軌跡が、ブレーキパッドに対して径方向へ移動を伴うため、ブレーキパッド12の内外周縁部に付着した泥等を掻き落としてブレーキキャリパ2から外部へ押出して排出することができる。ブレーキパッド4の径方向に関する中間部は両貫通孔13の孔縁による掻き落とし作用によってクリーニングがなされる。さらに、制動部12Aは径方向に関する幅寸法が周方向へ広狭変化するようにして形成されている。したがって、ディスクロータの回転に伴ってブレーキパッド4に対する摺接幅が変化するため、前述と同じ理由により、いわゆるブレーキ鳴きを効果的に解消している。
【0030】
<実施形態3>
図6は本発明の実施形態3を示している。実施形態1及び実施形態2ではディスクロータ1,12(制動部)の内外周縁が楕円形状に形成された場合を示した。換言すれば、突部を4箇所に備えた形態のディスクロータ1,12を示したが、本実施形態3に係るディスクロータ16は、3箇所の突部P5〜P7を周方向に等角度間隔で配置した略三角形状の形態である。
【0031】
ディスクロータ16の外周縁部は、径方向に関して最も外端である各突部P5〜P7同士を結ぶ直線Lよりも径方向外方へ張出す張出部17を三箇所有している。各張出部17の外周縁は外方へ弧状をなして膨出している。
【0032】
取付け部16Bは実施形態1と同様に構成されていて、90度間隔毎に配された4つの取付け孔18を有している。制動部16Aと取付け部16Bとを接続する連結アーム19も実施形態1と同様、ディスクロータ16の回転中心と取付け孔18の中心とを結ぶ直線に対して所定の角度α1をなすように設定されている。
取付け部16Bと制動部16Aとの間には、約90度角度間隔で4つの肉抜き部20が貫通して形成されている。
【0033】
このように構成された実施形態3においても、ディスクロータ16の外周縁部に泥等を溜めることなくブレーキパッドから泥等を除去することができる。また、放熱性に優れる点も実施形態1と同様である。
【0034】
<実施形態4>
図7は本発明の実施形態4を示している。前述したいずれの実施形態に係るディスクロータは、周方向に隣接する突部同士を結ぶ直線の外側には張出部が全て備えられた形態であった。しかし、本実施形態のディスクロータ21においては、周方向に隣接する突部同士を直線で結んだときに、張出部が形成されない部分を含んだ形態である。
【0035】
すなわち、図7に示すように、本実施形態のディスクロータ21の各突部P8〜P11のうち、周方向に隣接するもの同士を直線で結んだときに、図示Y2軸方向に沿った直線LYの外側には張出部22が形成される。しかし、図示X2軸方向に沿った直線LXはディスクロータ21(制動部21A)の外周縁をそのまま構成する。このように、実施形態4に係るディスクロータ21は、X2軸方向で対向する部分の外周縁は径方向外側へ弧状に膨出して形成されるが、Y2軸方向で対向する部分の外周縁は突部同士を結ぶ直線によって形成された形態となる。
【0036】
取付け部21B等を含む他の構成は、実施形態3とほぼ同様であるため、説明は省略する。
【0037】
上記のように構成された実施形態4においても、他の実施形態とほぼ同様の作用効果を発揮することができる。
【0038】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0039】
(1)本実施形態では、ディスクロータは一対のブレーキパッドによって挟持される構造を示したが、複数対のブレーキパッドにて挟持されるようにしてもよい。
【0040】
(2)いずれの実施形態で示されたディスクブレーキ装置は自動二輪車の前後輪いずれにおいても使用可能であるのは勿論、自動二輪車に限らず、全地形対応車(ATV:All Terrain Vehicle)、スノーモービル車等、種々の車両に広く適用可能である。
【0041】
(3)各実施形態で示したディスクロータの形状はほんの一例を示すに過ぎない。ディスクロータの他の形態として、例えば外周縁に湾曲形状をもたずに、直線のみによって構成されるような形態も考えられる。
【0042】
(4)実施形態2のディスクロータ12では制動部12Aの内外周縁の位相が90度ずれた楕円形態であったが、この角度は限定されるべき性質のものではなく、例えば45度位相をずらした形態も想定される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施形態1におけるディスクロータを示す正面図
【図2】(A)〜(C)はそれぞれディスクロータが回転している間のブレーキパッドとの位置関係を示す正面図
【図3】(D)〜(F)は図2の状態からディスクロータの回転がさらに進んだ状態でのブレーキパッドとの位置関係を示す正面図
【図4】ディスクロータとブレーキキャリパとを示す断面図
【図5】実施形態2におけるディスクロータを示す正面図
【図6】実施形態3におけるディスクロータを示す正面図
【図7】実施形態4におけるディスクロータを示す正面図
【図8】従来技術におけるディスクロータを示す正面図
【符号の説明】
【0044】
1,12,16,21…ディスクロータ
1A,12A,16A,21A…制動部
1B,12B,16B,21B…取付け部
4…ブレーキパッド
8,14,19…連結アーム
11…貫通孔
P1〜P11…突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対のブレーキパッド間に挟み付けられるディスクロータを備えたディスクブレーキ装置であって、
前記ディスクロータの外周縁からは周方向に配された3以上の突部が、それぞれ径方向外方へ向けて突出して形成されるとともに、前記ディスクロータの外周縁は、隣接する前記突部の最外点同士を結ぶ直線上に位置するか、あるいはこの直線よりも外側に位置して形成されていることを特徴とするディスクブレーキ装置。
【請求項2】
前記ディスクロータの外周縁は楕円形状に形成され、長径側の両端部及び短径側の両端部が前記突部となっていることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項3】
前記ディスクロータの外周縁部には前記ブレーキパッドによって挟み付けられる被挟圧領域が周方向に沿って帯状に形成され、この被挟圧領域の内周縁も楕円形状に形成され、かつ前記被挟圧領域における外周縁を形成する楕円と内周縁を形成する楕円とは同位相に形成されていることを特徴とする請求項2記載のディスクブレーキ装置。
【請求項4】
前記ディスクロータの外周縁部には、前記両ブレーキパッドによって挟み付けられる被挟圧領域が帯状に形成され、この被挟圧領域の内周縁も楕円形状に形成され、かつ前記被挟圧領域における外周縁側を形成する楕円と内周縁側を形成する楕円とは位相がずれて形成されていることを特徴とする請求項2記載のディスクブレーキ装置。
【請求項5】
前記位相のずれは90度であることを特徴とする請求項4に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項6】
前記ディスクロータの外周縁部には前記両ブレーキパッドによって挟み付けられる被挟圧領域が周方向に沿って帯状に形成される一方、前記ディスクロータの中心部にはホイールのハブに対する取付け部が配され、かつこの取付け部と前記被挟圧領域の内周縁とは複数の連結アームによって連結されるとともに、各連結アームの延び方向は前記ディスクロータにおける放射方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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