説明

ディスクプレーヤ

【課題】従来のものよりも簡単な構成で、ロック状態を十分に自己保持する機能を持たせたディスクプレーヤを提供する。
【解決手段】ロック機構が、シャーシに支持されて、ドライブユニットの前後方向に往復動作可能に配置され、ラックギアを有したトリガーカム41と、このトリガーカムのラックギア41Rに噛み合って、トリガーカムの往復動作に連動して回動するギアプレート92と、このギアプレート92の回動動作に連動して、ドライブユニット9の左右方向に往復動作するロックプレート96と、このロックプレート96に設けられたロック片96Dとを備え、トリガーカム41を前後方向に動作し、ロックプレート96を左右方向に往復動作させて、ロック片96Dを、ドライブユニットに固定された固定片99の溝99Aに嵌入し、ドライブユニット9をシャーシ3にロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されてCD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)等の記録媒体ディスクの情報を再生するディスクプレーヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のディスクプレーヤは、シャーシの内側にドライブユニットをフローティング支持し、このドライブユニットにディスクをローディングして再生すると共に、少なくともディスクのイジェクトまたはローディング待機時には、ドライブユニットをフローティング解除してシャーシにロックしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】WO/2001/091119号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種のロック機構には、シャーシに衝撃が加わった場合、ロック状態を自己保持する機能が必要とされており、その機能確保のために、従来種々の提案がなされているが、これら提案では構造が複雑化し、コスト高となっていた。
【0004】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、従来のものよりも簡単な構成により、ロック状態を十分に自己保持する機能を持たせたディスクプレーヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、シャーシの内側にドライブユニットをフローティング支持し、このドライブユニットにディスクをローディングし再生すると共に、少なくともディスクのイジェクトまたはローディング待機時には、ドライブユニットをフローティング解除して前記シャーシにロックするロック機構を備えたディスクプレーヤにおいて、前記ロック機構が、シャーシに支持されて、ドライブユニットの前後方向に往復動作可能に配置され、ラックギアを有したトリガーカムと、このトリガーカムのラックギアに噛み合って、トリガーカムの往復動作に連動して回動するギアプレートと、このギアプレートの回動動作に連動して、ドライブユニットの左右方向に往復動作するロックプレートと、このロックプレートに設けられたロック片とを備え、トリガーカムを前後方向に動作し、ロックプレートを左右方向に往復動作させて、ロック片を、ドライブユニットに固定された固定片の溝に嵌入し、ドライブユニットをシャーシにロックすることを特徴とする。
【0006】
本構成では、トリガーカムが、ドライブユニットの前後方向に往復動作可能であり、トリガーカムの往復動作に連動するロックプレートが、ドライブユニットの左右方向に往復動作可能であるため、ロック片を、固定片の溝から脱出させる方向に力が作用しても、その力の作用方向は、トリガーカムの動作方向と直交するため、このトリガーカムを往復動作させる力にならない。従って、固定片の溝から、ロック片を脱出させる方向に不意な力が作用したとしても、ロックが解除されることがなく、ドライブユニットのロック状態が十分に自己保持される。
【0007】
この場合において、ラックギアが、ドライブユニットの前後方向に延びてもよい。また、ロック機構が、ドライブユニットの片側に配置されていてもよい。さらに、ドライブユニットが、ベースプレートと、このベースプレートの後端部の両側にヒンジで連結され、ベースフレームと協働してディスクを挟持するスイングプレートとを備え、このスイングプレートの閉じる動作に連動して、ロック機構を解除してもよい。
【0008】
前記ドライブユニットに別のロック機構を配置し、この別のロック機構を、スイングプレートの閉じる動作に連動して解除してもよい。また、前記ドライブユニットに別のロック機構を配置し、この別のロック機構を、カム部材と、ロック部材とで構成し、カム部材を、ベースプレートに回転自在に支持し、その基端及び自由端に、各々ギアを一体的に形成し、基端のギアを、スイングプレートに形成されたギアに噛み合わせ、自由端のギアを、ロック部材のギアに噛み合わせ、このロック部材を、ベースプレートに回転自在に支持し、その自由端を、スイングプレートに形成された開口から突出し、この自由端を、シャーシの裏面に当接させてロックし、この別のロック機構を、スイングプレートの閉じる動作に連動して解除してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、トリガーカムが、ドライブユニットの前後方向に往復動作可能であり、トリガーカムの往復動作に連動するロックプレートが、ドライブユニットの左右方向に往復動作可能であるため、ロック片を、固定片の溝から脱出させる方向に力が作用しても、その力の作用方向は、トリガーカムの動作方向と直交するため、このトリガーカムを往復動作させる力にならない。従って、固定片の溝から、ロック片を脱出させる方向に不意な力が作用したとしても、ロックが解除されることがなく、ドライブユニットのロック状態を十分に自己保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本実施の形態に係るディスクプレーヤの外観を示す斜視図である。このディスクプレーヤには、CD、DVD等の例えば直径8cmや、直径12cm等の大きさの異なる記録媒体ディスクが引き込まれて、このディスクに記録された情報が再生される。1は本体を示し、この本体1は板金製のシャーシ3を備えている。このシャーシ3はロアーシャーシ5と、このロアーシャーシ5の上方を覆うアッパーシャーシ7とを備え、その内側には、図1では図示を省略したが、ディスクをローディングするためのローディングメカニズム、それをクランプするためのクランパメカニズム、それをドライブするためのドライブメカニズム等が設けられている。
【0011】
図2は、アッパーシャーシ7を取り外した斜視図であり、図3は、ロアーシャーシ5の斜視図であり、図4は、ロアーシャーシ5にドライブユニット9を取り付けた左方視の斜視図であり、図5は、同じくロアーシャーシ5にドライブユニット9を取り付けた右方視の斜視図である。
【0012】
上記ロアーシャーシ5は、図3に示すように、枠状に形成され、このロアーシャーシ5には、ダンパ及びばねを備えた3つの防振構造体11が取り付けられ、この防振構造体11の上に、図2に示すように、クランパメカやドライブメカが一体化されたドライブユニット9が載置されて、フローティング支持されている。
このドライブユニット9は、図4及び図5に示すように、ベースプレート13と、このベースプレート13の後端部の両側にヒンジ15で連結され、先端17Aを閉じる方向にばね付勢されて、ベースフレーム13と協働してディスクを挟持するスイングプレート17とを備えている。このスイングプレート17の先端17Aには回転板19が支持され、この回転板19に対向するマグネット入りのターンテーブル21が、ベースプレート13に支持されている。そして、後述するように、ディスクが挿入されて、スイングプレート17が閉じると、先端17Aの回転板19とマグネット入りのターンテーブル21とで挟持されてディスクが回転可能になる。
【0013】
図1に示すように、本体1の前面には横長のディスクの挿入口23が形成され、この挿入口23の奥には、図2に示すように、ロアーシャーシ5の前部のモータ24で駆動されるローディングローラ25が設けられている。
このローディングローラ25は、ディスクが検知されると、モータ24により駆動されて、当該ディスクを本体1内に引き込む。このローディングローラ25は、ローラ支持板27に支持され、このローラ支持板27の基部は、ヒンジピン28によりロアーシャーシ5に連結されている。よって、このローディングローラ25は、ローラ支持板27の揺動により、その高さ位置を変位させる。
【0014】
ドライブユニット9の上面の左後部には支持ピン30を介してトリガープレート31が揺動自在に支持されている。このトリガープレート31は、ばね31Sにより、反時計方向に付勢されており、その一端31Aには、ドライブユニット9の内方に折り曲げられた、2つの爪部32,33が各々一体に形成されている。一方の爪部32には、引き込まれた8cmディスクが当接可能であり、他方の爪部33には、引き込まれた12cmディスクが当接可能である。トリガープレート31の他端31Bは、ドライブユニット9の外側に延出し、ドライブユニット9の外壁に沿って下方に折り曲げられている。この他端31Bは、ロアーシャーシ5に配置されたトリガー35の後面35Kに当接する。そして、ディスクが本体1に引き込まれ、爪部32,33のいずれかに当接し、トリガープレート31が反時計方向に回動すると、このトリガープレート31が、トリガー35を前進(矢印Xの方向)させる。このトリガー35は、図4に示すように、ばね34により、通常時、他端31B側(矢印Yの方向)に付勢されている。
【0015】
このトリガー35の一部は、図4に示すように、ロアーシャーシ5の底部を前方に延出し、この延出部の上面にはトリガーラックギア35Aが一体に形成されている。このトリガーラックギア35Aの前方には、ロアーシャーシ5の側板5Aに支持されたファイナルギア37(図3参照)が配置されている。このファイナルギア37は、通常時にトリガーラックギア35Aに噛み合わない位置に支持されており、トリガープレート31が回動して、トリガー35が前進したときにのみ、トリガーラックギア35Aに噛み合う。ファイナルギア37は、図2に示すように、複数のギアからなるギア輪列38を介して、ロアーシャーシ5の前部の上記モータ24に連結されており、モータ24の駆動時に、トリガーラックギア35Aとファイナルギア37とが一旦噛み合うと、それ以後は、ファイナルギア37、モータ24の駆動力でトリガー35が前進する。
【0016】
このトリガー35には、図4に示すように、トリガーカム41が一体に連結されている。このトリガーカム41は、ギア輪列38の内側を当該ギア輪列38と平行に延出し、その中程の上面には前方が徐々に、階段状に高くなるカム面41Aが形成され、その先端部にはローディングローラ25の駆動軸25A(図2参照)を案内する前上がりの階段状の傾斜溝41Bが形成されている。カム面41Aには、ドライブユニット9のスイングプレート17の一部17Bが当接している。
トリガー35がファイナルギア37に噛み合い、ストロークエンドに移動した後、トリガーカム41を押し出し、トリガーカム41のラックがファイナルギア37と噛み合い、トリガーカム41が前進(矢印Xの方向)する。
【0017】
上記トリガーカム41が前進(矢印Xの方向)すると、上記一部17Bが当接しているカム面41Aが徐々に低くなって、スイングプレート17が、ばね力で閉じる方向に揺動し、さらに前進してトリガーカム41が前進限界の位置に移動すると、一部17Bがカム面41Aから完全に離れ、スイングプレート17の先端の回転板19と、ターンテーブル21とによるディスクのクランプが完了する。それと同時に、スイングプレート17の一部17Bとカム面41Aとの係合解除によって、ドライブユニット9が、3つの防振構造体11を介して完全にフローティング支持される。また、同時に、ローディングローラ25の駆動軸25Aが、傾斜溝41Bに沿って低い位置に移動し、ローラ支持板27の揺動により、ローディングローラ25が低く変位し、このローディングローラ25が、クランプ時のディスクの下面から離れる。この状態において、ターンテーブル21を回転させてディスクの再生が行われる。
【0018】
上記モータ24を逆回転させると、ギア輪列38、ファイナルギア37及びトリガーラックギア35Aを介して、トリガー35及びトリガーカム41が後退(矢印Yの方向)する。それに伴って、上記一部17Bが当接しているカム面41Aが徐々に高くなり、スイングプレート17が、ばね力に抗して押し上げられて開く方向に揺動する。さらに後退してトリガーカム41が後退限界の位置に移動すると、一部17Bがカム面41Aの最も高い位置に乗り上げて、スイングプレート17の先端の回転板19と、ターンテーブル21との間にディスク挿入用の隙間を形成する。
【0019】
それと同時に、ローディングローラ25の駆動軸25Aが、傾斜溝41Bに沿って徐々に高い位置に移動し、後退限界の位置では、ローラ支持板27の揺動により、ローディングローラ25が、ディスクの下面に接触するまで高く変位する。そして、このディスクはローディングローラ25によりイジェクトされる。
ディスクをイジェクトした後に、ローディング待機の状態となる。イジェクトもしくはローディング待機の状態では、ドライブユニット9が、つぎの説明によるロック機構により、シャーシ3にロックされる。
【0020】
つぎに、ドライブユニット9のロック機構を説明する。
このロック機構は、第一ロック機構、及び第二ロック機構の2つの機構からなり、図6及び図7は、第一ロック機構のロック状態を示し、図8及び図9は、第一ロック機構のロック解除状態を示す。また、図10は、第二ロック機構のロック状態を示し、図11は、第二ロック機構のロック解除状態を示す。
【0021】
第一ロック機構100は、図6に示すように、ロアーシャーシ5の底板に、ピン91を介して、ギアプレート92を支持して構成されている。このギアプレート92の固定端92Aには、ばね93の一端が連結されて、ばね93の他端は、ロアーシャーシ5の固定部5Kに連結されている。ロアーシャーシ5、及びギアプレート92には、2つの異なるカム孔94,194が形成され、ギアプレート92のカム孔94はサブロックプレート98のピン95と嵌合している。また、カム孔194はロックプレート96のピン197と嵌合している。ギアプレート92は、ピン91の周りを回動自在に支持されると共に、常時、ばね93で反時計方向に付勢されている。
このギアプレート92の外周には、ギア92Gが一体に形成され、このギア92Gが、上述したトリガーカム41の底部の内面に形成された、ドライブユニット9の前後方向に延びたラックギア41Rに噛み合っている。
【0022】
ロックプレート96は、ギアプレート92の回動動作に連動して左右方向(矢印Qの方向)に往復動作する。このロックプレート96は、図中で左端96A、下端96B、及び上端96Cを有した平板であり、図7に示すように、上方に折り曲げられて立ち上がるロック片96D,96Fと、円弧孔96Eとを備えている。
ロック片96Dは、固定片99の溝99Aに嵌入自在であり、この固定片99は、ドライブユニット9のベースプレート13(図10参照)に固定されている。また、ロック片96Fは、固定片13X(図11参照)に嵌合自在であり、固定片13Xはベースプレート13に一体に形成されている。
【0023】
上記円弧孔96Eには、ピン97が遊嵌されており、このピン97は、ギアプレート92に固定されて上方に延び、その上端がサブロックプレー98の長孔98Aに遊嵌している。このサブロックプレー98は、ロックプレート96の上方に、当該ロックプレート96と同一方向に延在している。ギアプレート92のカム孔194に、ロックプレート96のピン197が嵌合し、また、同じくカム孔94に、サブロックプレート98のピン95が嵌合し、ギアプレート92の回動に伴い、ロックプレート96とサブロックプレート98が、図6に示す矢印Qの方向に往復動作する。図11で、ロックプレート96とサブロックプレート98が、矢印Rの方向に動作すると、ロック片96Dが、固定片99の溝99Aに嵌入すると共に、ロック片96Fが、固定片13Xに嵌合し、これにより、ドライブユニット9がロック状態となり、矢印Rと反対の方向に動作すると、ロック片96Dが、固定片99の溝99Aから離脱すると共に、ロック片96Fが、固定片13Xから離脱し、これにより、ドライブユニット9がロック解除される。
【0024】
また、図3を参照し、トリガー35の下部には貫通孔35Mがあけられ、貫通孔35Mにはフォーク爪211が嵌合し、このフォーク爪211は、図示を省略したが、ベースプレート13に一体に形成されている。従って、トリガー35が前進すると、貫通孔35Mからフォーク爪211が離脱し、トリガー35が後退限界位置にまで後退すると、このフォーク爪211が貫通孔35Mに嵌合し、これによっても、ドライブユニット9がロック状態となる。本実施の形態では、ロック状態に至ると、フォーク爪211が貫通孔35Mに嵌合し、ロック片96Dが固定片99の溝99Aに嵌入し、ロック片96Fが固定片13Xに嵌合し、3点でロックされる。
【0025】
第二ロック機構110は、図10に示すように、第一ロック機構100と反対側に位置し、ドライブユニット9に配置されている。
すなわち、第二ロック機構110は、カム部材111と、ロック部材121とで構成されている。カム部材111は、ピン112により、ドライブユニット9のベースプレート13に回転自在に支持されており、その基端及び自由端には、各々ギア111A,111Bが一体的に形成されている。基端のギア111Aは、ドライブユニット9のスイングプレート17に形成されたギア113に噛み合い、自由端のギア111Bは、ロック部材121のギア121Aに噛み合っている。
【0026】
このロック部材121は、ピン122により、上記ベースプレート13に回転自在に支持されており、その自由端121Bが、上記ドライブユニット9のスイングプレート17に形成された開口123から突出している。
この状態では、上記開口123から上方に突出した自由端121Bが、図示は省略したが、アッパーシャーシ7の裏面に当接し、自由端121Bの後方に延びた基端121Cが、図示は省略したが、ロアーシャーシ5に当接し、ドライブユニット9がアッパーシャーシ7とロアーシャーシ5とにロックされ、また、自由端121B及び基端121Cが伏せた状態(図11)になると、ロックが解除される。
【0027】
上記ロック機構のロック動作またはロック解除動作は、上述したトリガー35、及びトリガーカム41の動作に連動して行われる。
第一ロック機構100、及び第二ロック機構110は、タイムラグを持ってロックされ、またタイムラグを持ってロック解除される。ロック解除された場合、第一ロック機構100では、図8及び図9に示すように、ロック片96Dが、固定片99の溝99Aに嵌入しておらず、第二ロック機構110では、図11に示すように、ロック部材121の自由端121Bが伏せ、スイングプレート17の開口123から突出していない。この場合、トリガー35、及びトリガーカム41は前進限界の位置にあり、上述したように、ドライブユニット9のスイングプレート17が、ディスクを挟持するため、マグネット及びばね力で閉じ、ドライブユニット9が、3つの防振構造体11を介してフローティング支持され、ターンテーブル21を回転させてのディスク再生が可能になる。
【0028】
ディスクのイジェクト動作に入り、上記モータ24を逆回転させて、トリガー35、及びトリガーカム41が後退(矢印Yの方向)すると、ラックギア41Rに噛み合うギア92Gを有したギアプレート92が、ピン91の周りを時計方向に回動し、それに連れて、ロックプレート96が、図8で図中右方に徐々に移動する。そして、後退限界の位置に達すると、図6に示すように、ロックプレート96のロック片96Dが、固定片99の溝99Aに嵌入すると共に、ロック片96Fが固定片13Xに嵌合し、さらに、フォーク爪211が貫通孔35Mに嵌合して第一ロック機構100が機能し、ドライブユニット9が、アッパーシャーシ7とロアーシャーシ5とにロックされる。
【0029】
また、トリガーカム41を後退させた場合、スイングプレート17の先端17Aが、図11の状態から図10の状態に向けて徐々に開いていく。これが開く過程では、図10に示すように、カム部材111が、スイングプレート17のギア113に噛み合って、矢印Aの方向に回動し、これに連動してロック部材121が、ギア111B及びギア121Aを介して、矢印Bの方向に回動し、その自由端121Bが、上記スイングプレート17の開口123から突出する。そして、この突出した自由端121Bが、図示は省略したが、アッパーシャーシ7の裏面に当接し、基端121Cが、図示は省略したが、ロアーシャーシ5に当接し、第二ロック機構110が機能して、ドライブユニット9がアッパーシャーシ7とロアーシャーシ5とにロックされる。
【0030】
本実施の形態では、トリガーカム41が、ドライブユニット9の前後方向に往復動作可能であり、トリガーカム41の往復動作に連動するロックプレート96が、ドライブユニット9の左右方向に往復動作可能である。よって、ロック片96Dを固定片99の溝99Aから脱出させると共に、ロック片96Fを固定片13Xから離脱させる方向に力が作用した場合、その力は、ギアプレート92に伝達されるが、ギアプレート92のカム孔194の形状により、当該部分を回動させる力とならずその結果、トリガーカム41には力が伝達されない。また、サブロックプレート98を、図6中で右側に動かそうとする力が加わった場合、その力は、ギアプレート92に伝達されるが、ギアプレート92のカム孔94の形状により、当該部分を回動させる力とならず、その結果、トリガーカム41に力が伝達されることはない。
従って、例えば固定片99の溝99Aから、ロック片96Dを脱出させる方向に不意な力が作用したとしても、ロックが解除されることがなく、ドライブユニット9のロック状態が、十分に自己保持される。
【0031】
また、トリガー35及びトリガーカム41、ギア輪列38等からなる駆動機構が、すべてドライブユニット9の片側に配置され、それと同じ側に、第一ロック機構100が配置されたため、これらを両側に配置したものと比べて、省スペース化が図れ、ディスクプレーヤの小型化が図られる。
【0032】
上記のように、第一ロック機構100が片側配置であっても、ドライブユニット9の反対側には、別の第二ロック機構110が配置されるため、簡単な構成で、いわゆる両側でのロック状態と等しくなり、万全なロックが得られる。さらに、この第二ロック機構110のロック部材121は、スイングプレート17の開閉動作に連動して起伏するため、これを起伏させるための余分なアクチュエータが不要になり、簡単な構成で、第二ロック機構110を動作できる。
【0033】
本構成では、図1に示すように、挿入されるディスクの外周部に当接して当該挿入口23の側方に退避する一対のゲート部材59を、ディスクの挿入口23に備えて構成されている。このゲート部材59は、挿入口23に対しほぼ中心振り分けで配置された一対のターンプレート62,63を備え、これらターンプレート62,63は、図12に示すように、アッパーシャーシ7の前部外面に、各々ピン(支持部材)64,65を介して連結されている。ターンプレート62,63は、ばね60,61により、閉じる方向(矢印Aの方向)に付勢され、このターンプレート62,63には、挿入口23に臨む一対のゲートピン67,68が取り付けられている。
【0034】
また、ターンプレート62,63の基部にはスライド孔62A,63Aがあけられ、このスライド孔62A,63Aに嵌るピン71,72が、連結プレート73に各々取り付けられている。これらターンプレート62,63の基部同士は、連結プレート73で連結されている。この連結プレート73にはピン173が固定され、このピン173は、図9に示すように、アッパーシャーシ7の縦孔107に嵌り、アッパーシャーシ7の下面に臨んでいる。縦孔107の中程の両孔壁には、縦孔107の幅Wよりも拡径した円弧溝107A,107Bが形成されている。また、図12に示すように、この連結プレート73には、ディスクの挿入方向(矢印Zの方向)に延びた一対のガイド孔74,75が形成され、このガイド孔74,75に嵌る案内部76,77は、アッパーシャーシ7の一部を切り起こして、上方に立ち上げた後、水平に曲げて形成され、この立ち上げた細い部分がガイド孔74,75に嵌る。78はアッパーシャーシ7に取り付けられたプレートであり、このプレート78はターンプレート62,63の閉じ方向のストッパとして機能する。
【0035】
ディスクが挿入口23に挿入された場合、ディスクは、上記ゲートピン67,68を側方に押し退ける。例えば、12cm径の大きいディスク100が挿入されると、図13に示すように、ディスク100の外周部100Aが、一対のゲートピン67,68を挿入口23の側方に押し退け、ターンプレート62,63が開く方向(矢印Bの方向)に回動する。この回動に伴い、ピン71,72が、スライド孔62A,63Aの中を移動し、これにより、ターンプレート62,63の揺動に連動し、連結プレート73が、案内部76,77に沿ってディスク挿入方向(矢印Zの方向)に往復移動する。
【0036】
図14は、8cm径の小さいディスク200を挿入する場合の斜視図である。この場合には、挿入口23の幅に比してディスク径が小さいため、挿入口23の一方の端に偏って挿入される恐れがある。例えば、ディスク200が一方のゲートピン67の側に偏って挿入された場合、他方のゲートピン68をほとんど押し退けずに、一方のピン67だけを押し退けた状態になる。この場合には、一方のゲートピン67の側のターンプレート62だけが開く方向(矢印Bの方向)に回動する。
【0037】
本構成では、他方のターンプレート63が開かないで、一方のターンプレート62だけが開く場合、連結プレート73は、ピン72の側が回動せずに、ピン71の側だけが回動する。この場合、連結プレート73が斜めになる。
【0038】
この連結プレート73が斜めになると、図15Bを参照し、縦孔107を移動するピン173が、縦孔107の途中で傾いた方のいずれかの円弧溝107A,107Bに嵌り、連結プレート73が、それ以上、ディスク200の挿入方向(矢印Zの方向)に移動しなくなり、従って、ターンプレート62,63のそれ以上の回動が阻止されて、ディスクの挿入が阻止される。この状態は、ディスク200が他方のゲートピン68の側に偏って挿入された場合も同様である。なお、ピン173及び円弧溝107A,107Bがターンプレート62,63のロック手段を構成している。
【0039】
すなわち、本構成では、挿入口23の端に偏ってディスク200が挿入された場合、ピン173が円弧溝107A,107Bに引っかかって抵抗となり、連結プレート73がロックされる。これによれば、いわゆる挿入口23の端に偏ったディスクの挿入が禁止される。従って、従来のような、片側に寄った状態で吸い込まれたディスクを本体の内側で中央に案内するための機構が不要になり、その分、装置を小型化でき、特に装置の厚さ方向の寸法を小さくできる。
【0040】
図15は、アッパーシャーシ7を裏側から見た斜視図である。アッパーシャーシ7の内面には、アッパーシャーシ7の組み付け時に下方(ローディングローラ25に相対する側)に突出して、挿入口23に挿入されたディスクを下方(または上方)に案内する、2列に延びるガイドバー(案内機構)81,82が設けられる。
【0041】
これらガイドバー81,82は、挿入口23の横方向に相互に平行に延出し、各々が、挿入口23の端に向けて高さを徐々に大きくする。手前のガイドバー81は、中心に近い位置mから突部81Aの高さを徐々に大きくし、奥のガイドバー82は、それよりも端に寄った位置nから突部82Aの高さを徐々に大きくする。一対のガイドバー81,82にはローディングローラ25が対向し、このローラ25とガイドバー81,82とに挟持されて、ディスクがローディングされる。
【0042】
図16は、8cm径のディスク200を挿入した場合の断面図、図17は、同じく斜視図、図18は、12cm径のディスク100を挿入した場合の断面図、図19は、同じく斜視図である。
【0043】
図16に示すように、8cm径のディスク200を挿入した場合、挿入口23から挿入されたディスク200は、ローディングローラ25と、各ガイドバー81,82の低い突部81A,82Aとの間に挟持されて、本体1の内側の高所に位置する第1のローディング経路RK1に沿って、本体1の奥にローディングされる。第1のローディング経路RK1の終端部には、第1のディスク当接部83が位置し、ディスク200は、第1のディスク当接部83に当接して停止し、この段階でディスク200が、図17に示すように、トリガープレート31の爪部32を押動し、これをトリガーに、上述したように、ディスク200のクランプ動作が実行される。
【0044】
図18に示すように、12cm径のディスク100を挿入した場合、挿入口23から挿入されたディスク100は、ローディングローラ25と、各ガイドバー81,82の高くなった突部81A,82Aとの間に挟持されて、本体1の内側の低所に位置する第2のローディング経路RK2に沿って、本体1の奥にローディングされる。図19に示すように、12cm径のディスク100の外周(図中右奥)にはガイドバー331が当接可能に形成されている。このガイドバー331はピン310により回動自在に支持され、ばね312を介して、ピン310回りを時計方向に付勢されている。図17に示すように、ガイドバー331の自由端の下面には、奥下がりのテーパ面313が形成され、12cm径のディスク100が挿入されると、まず、このテーパ面313に沿ってディスク100の先端100Aが下方に向けられ、トリガープレート31の爪部32が交わされる。そして、ディスク100がさらに奥に進入すると、ガイドバー331が、ピン310回りを反時計方向に回動し、このガイドバー331がディスク100の外周をガイドしつつ、安定したローディングが実行される。第2のローディング経路RK2の終端部には、第2のディスク当接部84が位置しており、ディスク100は、第2のディスク当接部84に当接して停止して、この段階でディスク100が、図19に示すように、トリガープレート31の爪部33を押動し、これをトリガーにして、上述したように、ディスク100のクランプ動作が実行される。このクランプが完了すると、上記ガイドバー331の下面の突起314が、スイングプレート17側の窪み(図示せず)に嵌合し、このガイドバー331が、ディスク100の外周から離れて固定される。従って、演奏時に、ガイドバー331がディスク100に接触することがない。
【0045】
本構成では、本体1の内側に上下に分けて異なるローディング経路RK1、ローディング経路RK2を形成したため、従来のように、ローディング経路の終端部に、径の異なるディスクを保持するための複雑な機構を設ける必要がなくなり、装置の薄型化を実現することができる。また、本構成は、例えば材質等が異なるディスクをローディングするディスクプレーヤにも適用でき、この場合、ローディング経路に材質等に応じた工夫を施せば、ディスクに傷等のつかないものが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係るディスクプレーヤの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】アッパーシャーシを取り外した斜視図である。
【図3】ロアーシャーシの斜視図である。
【図4】ロアーシャーシにドライブユニットを取り付けた左方視の斜視図である。
【図5】ロアーシャーシにドライブユニットを取り付けた右方視の斜視図である。
【図6】第一ロック機構のロック状態を示す平面図である。
【図7】第一ロック機構のロック状態を示す斜視図である。
【図8】第一ロック機構のロック解除状態を示す平面図である。
【図9】第一ロック機構のロック解除状態を示す斜視図である。
【図10】第二ロック機構のロック状態を示す斜視図である。
【図11】第二ロック機構のロック解除状態を示す斜視図である。
【図12】一対のゲート部材を示す斜視図である。
【図13】12cmディスクでゲート部材を開いた状態を示す斜視図である。
【図14】8cmディスクでゲート部材を開いた状態を示す斜視図である。
【図15】アッパーシャーシを裏側から見た斜視図である。
【図16】8cmディスクを挿入した場合の断面図である。
【図17】同じく斜視図である。
【図18】12cmディスクを挿入した場合の断面図である。
【図19】同じく斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 本体
3 シャーシ
5 ロアーシャーシ
7 アッパーシャーシ
9 ドライブユニット
13 ベースプレート
17 スイングプレート
23 挿入口
41 トリガーカム
41R ラックギア
92 ギアプレート
92G ギア
96 ロックプレート
96D ロック片
99 固定片
99A 溝
100 第一ロック機構
110 第二ロック機構
111 カム部材
121 ロック部材
121 自由端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシの内側にドライブユニットをフローティング支持し、このドライブユニットにディスクをローディングし再生すると共に、少なくともディスクのイジェクトまたはローディング待機時には、ドライブユニットをフローティング解除して前記シャーシにロックするロック機構を備えたディスクプレーヤにおいて、
前記ロック機構が、シャーシに支持されて、ドライブユニットの前後方向に往復動作可能に配置され、ラックギアを有したトリガーカムと、このトリガーカムのラックギアに噛み合って、トリガーカムの往復動作に連動して回動するギアプレートと、このギアプレートの回動動作に連動して、ドライブユニットの左右方向に往復動作するロックプレートと、このロックプレートに設けられたロック片とを備え、トリガーカムを前後方向に動作し、ロックプレートを左右方向に往復動作させて、ロック片を、ドライブユニットに固定された固定片の溝に嵌入し、ドライブユニットをシャーシにロックすることを特徴とするディスクプレーヤ。
【請求項2】
前記ラックギアが、ドライブユニットの前後方向に延びたことを特徴とする請求項1に記載のディスクプレーヤ。
【請求項3】
前記ロック機構が、ドライブユニットの片側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のディスクプレーヤ。
【請求項4】
前記ドライブユニットが、ベースプレートと、このベースプレートの後端部の両側にヒンジで連結され、ベースフレームと協働してディスクを挟持するスイングプレートとを備え、このスイングプレートの閉じる動作に連動して、前記ロック機構を解除することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のディスクプレーヤ。
【請求項5】
前記ドライブユニットに別のロック機構を配置し、
この別のロック機構を、スイングプレートの閉じる動作に連動して解除することを特徴とする請求項4に記載のディスクプレーヤ。
【請求項6】
前記ドライブユニットに別のロック機構を配置し、
この別のロック機構を、カム部材と、ロック部材とで構成し、カム部材を、ベースプレートに回転自在に支持し、その基端及び自由端に、各々ギアを一体的に形成し、基端のギアを、スイングプレートに形成されたギアに噛み合わせ、自由端のギアを、ロック部材のギアに噛み合わせ、このロック部材を、ベースプレートに回転自在に支持し、その自由端を、スイングプレートに形成された開口から突出し、この自由端を、シャーシの裏面に当接させてロックし、この別のロック機構を、スイングプレートの閉じる動作に連動して解除することを特徴とする請求項4に記載のディスクプレーヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate