説明

ディスクメディアデータ消去装置、方法およびプログラム

【課題】ディスクメディアのデータを消去するための電力消費を低減できるディスクメディアデータ消去装置、方法およびプログラムを得ること。
【解決手段】ディスクメディアデータ消去装置10はディスク状の記録メディアに熱源をスポット状に照射する照射手段11を備える。照射位置移動手段12は、照射位置を録メディアの記録面の半径方向の全長をカバーするように線状に移動する。温度検出手段13は照射位置の温度を検出して移動速度制御手段14がデータを破壊するように移動速度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクメディアが不要になったときそのデータを消去するディスクメディアデータ消去装置、ディスクメディアデータ消去方法およびディスクメディアデータ消去プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種のディスク型のメディア(記録媒体)としてのディスクメディアがデータの記憶のために使用されている。一例を挙げると、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、静電容量ディスクといったメディアが記憶装置として使用されている。このようなディスクメディアは、使用を中止した場合のような何らかの理由で廃棄処分とする場合がある。廃棄に際しては、他の記録メディアと同様に、すでに記録されているデータが再現できない状態にしないと、セキュリティの観点から好ましくない結果が生じる危険性がある。
【0003】
そこで、廃棄する対象となるディスクメディアの記録面をカッタ等の工具や裁断機等の装置で傷付けたり切断したりして、データの再生ができないようにすることが本発明の第1の関連技術として広く行われている。
【0004】
ところが、この第1の関連技術でディスクメディアの表面をカッタ等の工具で傷付けても、その傷が印刷ラベル層やその下の保護膜層までしか到達しない場合があり、記録層のデータが破壊されずに存在する場合がある。このような場合には、ディスクメディアの表面のこれらの層に存在する傷を研磨で取り除くことでデータの再現が可能になる。また、記録層を切断した場合には、切断面を繋ぎ合わせることで、データを読み取ることができる場合があるという問題があった。更に、ディスクメディアの1つ1つに傷を付けたり、裁断処理を行うことは面倒であり、多くのディスクメディアを処理するには時間も掛かるという問題があった。
【0005】
また、本発明の第2の関連技術として、ディスクメディアの管理領域ならびにデータ格納領域に対して本来無効なデータを上書きすることも広く行われている。これにより、光ディスクメディア自体が認識不可な状態となったり、漏洩したりするおそれのあるデータが消去されることになる。
【0006】
しかしながら、この第2の関連技術を用いた場合には、データの上書き操作が行われるので、データを消去したメディア自体の形状が変化しない。このため、ユーザはデータが消去されたかをディスクメディアの形状の変化から判別することができない。そこで、ディスクメディアの一部にデータが書き込まれていたような場合には、データの上書き操作が全面に対して行われるので、これによる記録層の色の変化で見るしかない。しかしながら、記録層の材質によっては色の変化が乏しく、このような場合にはディスクメディアのデータが消去済みかどうかの判断がつかないという問題があった。
【0007】
そこで、光ディスクメディア内の記録層を加熱して、変形させることが本発明の第3の関連技術として提案されている(たとえば特許文献1参照)。この第3の関連技術では、光ディスクメディアを回転させながら、照射面の温度があらかじめ設定した設定温度となるようにして記録層を構成する面を少しずつ隙間なく塗り潰すように加熱制御する。光ディスクメディアの回転は、メディアが1回転するまで繰り返してメディアの全面を加熱変形させてもよい。また、光ディスクメディアを所定の角度範囲だけ回転させて、その角度範囲内の全領域を扇形型の形状に加熱変形させてもよい。
【0008】
このように、この第3の関連技術によると、光ディスクメディア内の記録層の少なくとも一部の領域内を一様に加熱して変形させる。したがって、ディスクメディアの消去が行われたかどうかをメディアの外観の変形の有無で簡単に判別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−243242号公報(第0017段落〜第0019段落、第009段落〜第0095段落、図4〜図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この第3の関連技術では、光ディスクメディアのかなりの領域が連続的に加熱される領域となる。このため、光ディスクメディアに対する加熱制御を行うときには、ハロゲンやキセノン等の光源を光ビームで記録層に長時間照射することになって、電力消費量が大きくなる。したがって、第3の関連技術ではディスクメディアデータ消去装置が電源として商用電源を使用することになっていた。この結果、ディスクメディアデータ消去装置は商用電源が存在しない場所で作動させることができないという問題があった。
【0011】
また、第3の関連技術では、商用電源が備わった客先でディスクメディアデータ消去装置を使用する場合に、作業を行う場所の近くのコンセントから電源を借用する必要があった。このため、ディスクメディアデータ消去装置を使用した結果として客先の施設の電力消費が一時的に増大し、ブレーカが落ちるようなことがあった。この場合には、その客先で電源を共用するすべての者に多大な迷惑を掛けることになった。
【0012】
更にこの第3の関連技術では、記録面を保護するシャッタ機構を備えたカートリッジ入りのディスクメディアについては、ディスクメディアデータ消去装置で消去することができないという問題があった。これは、シャッタ機構のシャッタが閉じたままでは光ビームを記録層に照射することができないためである。もちろん、シャッタを人為的に開いた状態でテープでこの状態を保持すれば、この開いた部分の記録層に光ビームを照射することができる。しかしながら、この場合にはシャッタを開いた状態にする時間と手間を必要とする。また、開口部に光ビームを照射してディスクメディアの照射面を変形させると、ディスクメディアがカートリッジに収容されているために変形した箇所がカートリッジ内で引っ掛かって消去作業時にメディアが回転できないという問題も発生した。これにより、第3の関連技術のディスクメディアデータ消去装置ではシャッタ機構を備えたカートリッジ入りのディスクメディアを実質的に使用することができないという問題があった。
【0013】
そこで本発明の目的は、ディスクメディアのデータを消去するための電力消費を低減することのできるディスクメディアデータ消去装置、ディスクメディアデータ消去方法およびディスクメディアデータ消去プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、(イ)ディスク状の記録メディアに熱源をスポット状に照射する照射手段と、(ロ)この照射手段から照射されるスポット状の熱源の照射位置を、前記した記録メディアの記録面の半径方向の全長をカバーするように線状に移動する照射位置移動手段と、(ハ)この照射位置移動手段によって熱源の照射位置を移動するときの各照射位置での温度を検出する温度検出手段と、(ニ)この温度検出手段によって検出された温度が照射位置での記録層に記録されているデータを破壊する温度となるように照射位置移動手段の移動速度を制御する移動速度制御手段とをディスクメディアデータ消去装置が具備する。
【0015】
また、本発明では、(イ)ディスク状の記録メディアに熱源をスポット状に照射する照射ステップと、(ロ)この照射ステップで照射されるスポット状の熱源の照射位置を、前記した記録メディアの記録面の半径方向の全長をカバーするように線状に移動する照射位置移動ステップと、(ハ)この照射位置移動ステップによって熱源の照射位置を移動するときの各照射位置での温度を検出する温度検出ステップと、(ニ)この温度検出ステップによって検出された温度が照射位置での記録層に記録されているデータを破壊する温度となるように前記した照射位置移動ステップにおける移動速度を制御する移動速度制御ステップとをディスクメディアデータ消去方法が具備する。
【0016】
更に本発明では、コンピュータに、ディスクメディアデータ消去プログラムとして、(イ)ディスク状の記録メディアに熱源をスポット状に照射する照射処理と、(ロ)この照射処理で照射されるスポット状の熱源の照射位置を、前記した記録メディアの記録面の半径方向の全長をカバーするように線状に移動する照射位置移動処理と、(ハ)この照射位置移動処理によって熱源の照射位置を移動するときの各照射位置での温度を検出する温度検出処理と、(ニ)この温度検出処理によって検出された温度が照射位置での記録層に記録されているデータを破壊する温度となるように前記した照射位置移動処理における移動速度を制御する移動速度制御処理とを実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、ディスクメディアの記録面の半径方向の全長をカバーするように、スポット状の熱源の照射位置を線状に移動する。これにより、比較的広い領域を大電力で加熱していた手法と異なり、データの破壊に要する電力消費を低減することができるだけでなく、消去に要する時間を短縮することができる。また、熱源の移動速度を制御するので、データの消去の品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のディスクメディアデータ消去装置のクレーム対応図である。
【図2】本発明のディスクメディアデータ消去方法のクレーム対応図である。
【図3】本発明のディスクメディアデータ消去プログラムのクレーム対応図である。
【図4】本発明の実施の形態によるディスクメディアデータ消去装置の外観の概要を示す斜視図である。
【図5】本実施の形態におけるディスクメディアデータ消去装置内の主要部品の空間的な配置構造を示した説明図である。
【図6】本実施の形態におけるディスクメディアデータ消去装置の装置本体上部を示す平面図である。
【図7】本実施の形態におけるディスクメディアデータ消去装置の回路構成の概要を表わしたブロック図である。
【図8】本実施の形態で装置に3.5型カートリッジをセットした状態を表わした平面図である。
【図9】本実施の形態で装置に5.25型カートリッジをセットする状態を表わした平面図である。
【図10】本実施の形態で装置にPD・DVD−RAMカートリッジをセットする状態を表わした平面図である。
【図11】本実施の形態で動作モードの表示処理の様子を表わした流れ図である。
【図12】本実施の形態でディスクメディアのデータ消去のための処理の様子を表わした流れ図である。
【図13】本実施の形態における動作モードデータベースの内容の一例を表わした説明図である。
【図14】本実施の形態でディスクメディアが光ディスクの場合のデータの消去の際の光ビームの軌跡を表わした平面図である。
【図15】本実施の形態でディスクメディアがCD−ROMメディアである場合のデータの消去の際の光ビームの軌跡を表わした説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明のディスクメディアデータ消去装置のクレーム対応図を示したものである。本発明のディスクメディアデータ消去装置10は、照射手段11と、照射位置移動手段12と、温度検出手段13と、移動速度制御手段14とを備えている。ここで、照射手段11は、ディスク状の記録メディアに熱源をスポット状に照射する。照射位置移動手段12は、照射手段11から照射されるスポット状の熱源の照射位置を、前記した記録メディアの記録面の半径方向の全長をカバーするように線状に移動する。温度検出手段13は、照射位置移動手段12によって熱源の照射位置を移動するときの各照射位置での温度を検出する。移動速度制御手段14は、温度検出手段13によって検出された温度が照射位置での記録層に記録されているデータを破壊する温度となるように照射位置移動手段12の移動速度を制御する。
【0020】
図2は、本発明のディスクメディアデータ消去方法のクレーム対応図を示したものである。本発明のディスクメディアデータ消去方法20は、照射ステップ21と、照射位置移動ステップ22と、温度検出ステップ23と、移動速度制御ステップ24とを備えている。ここで、照射ステップ21では、ディスク状の記録メディアに熱源をスポット状に照射する。照射位置移動ステップ22では、照射ステップ21で照射されるスポット状の熱源の照射位置を、前記した記録メディアの記録面の半径方向の全長をカバーするように線状に移動する。温度検出ステップ23では、照射位置移動ステップ22によって熱源の照射位置を移動するときの各照射位置での温度を検出する。移動速度制御ステップ24では、温度検出ステップ23によって検出された温度が照射位置での記録層に記録されているデータを破壊する温度となるように前記した照射位置移動ステップ22における移動速度を制御する。
【0021】
図3は、本発明のディスクメディアデータ消去プログラムのクレーム対応図を示したものである。本発明のディスクメディアデータ消去プログラム30は、コンピュータに、照射処理31と、照射位置移動処理32と、温度検出処理33と、移動速度制御処理34とを実行させるようにしている。ここで、照射処理31では、ディスク状の記録メディアに熱源をスポット状に照射する。照射位置移動処理32では、照射処理31で照射されるスポット状の熱源の照射位置を、前記した記録メディアの記録面の半径方向の全長をカバーするように線状に移動する。温度検出処理33では、照射位置移動処理32によって熱源の照射位置を移動するときの各照射位置での温度を検出する。移動速度制御処理34では、温度検出処理33によって検出された温度が照射位置での記録層に記録されているデータを破壊する温度となるように前記した照射位置移動処理32における移動速度を制御する。
【0022】
<発明の第1の実施の形態>
【0023】
次に本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0024】
図4は、本発明の実施の形態によるディスクメディアデータ消去装置の外観の概要を表わしたものである。このディスクメディアデータ消去装置100は、装置本体101の上面に開閉自在の蓋102が配置されている。また装置本体101の上面の手前側には操作部103が配置されている。蓋102は、装置本体101の右側部101Aに設けられた開閉用窪み104に指を差し込んで持ち上げることで、後端部側の図示しない回転軸を中心として、矢印105方向に開くことができる。
【0025】
操作部103の左端部近傍には長穴106が開けられており、ここからピン状の飛び出しスイッチ107が突出している。ユーザは、飛び出しスイッチ107を装置本体101の手前側に移動させることで、この図4には示していない5.25型用シャッタアームを蓋102の下の空間領域に飛び出させることができる。
【0026】
操作部103における飛び出しスイッチ107よりも右側の領域には、液晶ディスプレイからなる動作モード表示部108とスタートスイッチ109および動作モード選択スイッチ110が配置されている。動作モード表示部108は、動作モード等の所定の情報を表示するディスプレイである。動作モード表示部108には、たとえば7セグメントLED(Light Emitting Diode)や液晶ディスプレイあるいは有機EL(Organic Electro-Luminescence)を使用することができる。
【0027】
スタートスイッチ109は蓋102の下の収納部にセットした図示しないディスクメディアのデータを消去する際にその開始を指示するスイッチである。動作モード選択スイッチ110は、ユーザが動作モードを選択するためのスイッチである。
【0028】
図5は、このディスクメディアデータ消去装置内の主要部品の空間的な配置構造を示したものである。ディスクメディアデータ消去装置100の装置本体101を構成する上部は、図4に示した蓋102と共にディスクメディア収容部111を構成している。このディスクメディア収容部111には、前記した消去の対象となるディスクメディアをセットするようになっている。ディスクメディア収容部111の下には、このディスクメディアデータ消去装置100の電源となるバッテリ112や、所定の範囲で水平方向に自在に移動自在となった搬送機構部113が配置されている。バッテリ112はニッケル水素バッテリまたはリチウムイオンバッテリ等の二次電池であり、装置本体101内に配置された各モジュールへ電源を供給する際に使用される。搬送機構部113には、台車であり、ディスクメディアにスポット状の光ビームを照射する光ビーム照射部114と、ディスクメディアの色を判別するカラーセンサ115および光ビームの照射位置の温度を測定するメディア温度センサ116が載置されている。
【0029】
光ビーム照射部114は、図示しないハロゲンランプを光源として用い、これを図示しない回転楕円曲面反射鏡等の光学部品を用いて光学的に収束させてスポット状とし、ディスクメディアのデータ格納領域の記録層を熱で破壊する。このとき、ディスクメディアが加熱によってその形状が変形するので、消去済みか否かの判断を外観から容易に行うことができる。しかも後に説明するようにデータ格納領域の記録層に対しては加熱の行われる部位を直線状あるいは往復運動をするように移動させる。したがって、領域内を一様に加熱する場合と比べると処理が高速に行われて電力消費も少なくなり、バッテリ112による駆動が可能になる。カラーセンサ115はディスクメディアの材質を色によって識別する。メディア温度センサ116は、たとえば最大で600℃程度の温度まで測定可能なセンサであり、ディスクメディアの加熱部位の温度を測定する。
【0030】
装置本体101の底部には、搬送機構部113の現在の位置を判別する位置センサ118と、装置本体101内に煙が発生しているかを検知するための煙検知センサ119がそれぞれ配置されている。位置センサ118は、搬送機構部113の現在位置ならびにディスクメディアの最内周位置ならびに最外周位置を判別するためのフォトセンサまたはマイクロスイッチ(図示せず)によって構成されている。
【0031】
また、装置本体101の所定位置には、ディスクメディアデータ消去装置100の全体の制御を行う制御部121が配置されている。制御部121には、図示しないがCPU(Central Processing Unit)が備えられている。CPUは、同じく制御部121内に配置されたRAM(Random Access Memory)等の記録媒体に格納された制御プログラムを実行することで各種の制御を可能にしている。
【0032】
図6は、ディスクメディアデータ消去装置の装置本体上部を示している。図示を簡略化するために図4に示した蓋101は示していない。なお、蓋101は、実際にはこの図の奥側で、図示しない支軸を中心にして、更に奥側に開いた状態で配置されている。
【0033】
図4に示した蓋101が開けられた場所(ディスクメディア収容部111(図5))には、各種のディスクメディアのいずれかをデータの消去に際してセットするための溝が設けられている。まず、最も大きい四角形の溝が5.25型(120mm)MO(Magneto-Optical disk)をセットする5.25型MO用溝131である。その内側には、同じく四角形をしたPD(Phase change rewritable Disk)・DVD−RAM(Digital Versatile Disk Random Access Memory)用溝132が形成されている。このPD・DVD−RAM用溝132にほぼ内接する円形が5.25型用溝133である。5.25型用溝133は、カートリッジに収容されていない音楽CD(Compact Disc)、CD−ROM(Read Only Memory)、DVD等のメディアをセットするためのものである。PD・DVD−RAM用溝132よりも一回り小さいサイズの四角形をした溝は、3.5型(90mm)用溝134である。もちろん、BD−R(Blu-ray Disc Recordable)、BD−RE(Blu-ray Disc Rewritable)等の他のディスクメディアについても、それらのサイズに応じて、各溝131〜134のいずれかを使用してディスクメディアデータ消去装置100にセットすることができる。
【0034】
操作部103の配置された部位のすぐ下には、図示しないが空間領域が配置されており、この部分がシャッタアーム格納部135を形成している。このシャッタアーム格納部135には、図で飛び出した状態で示した5.25型用シャッタアーム136が、その使用されない状態で格納されている。飛び出しスイッチ107は、このシャッタアーム格納部135に格納された5.25型用シャッタアーム136を必要時に図示の位置に飛び出させるためのスイッチである。5.25型用シャッタアーム136は、スタートスイッチ109のほぼ下の位置を支軸として回転できるようになっている。このため、5.25型用シャッタアーム136を使用しないとき、ユーザはその先端の「く」の字型に曲がった部分を反時計方向に回転させてシャッタアーム格納部135に押し込んでラッチさせることになる。また、5.25型用シャッタアーム136の使用時には飛び出しスイッチ107を手動で移動させることで、このラッチを解除して、図示しないバネ機構の作用で図6に示した位置に移動させる。
【0035】
5.25型MO用溝121よりも一段低い3.5型用溝134で囲まれた内部領域には、3.5型シャッタ開閉用ピン141が突出している。この3.5型シャッタ開閉用ピン141は、ほぼ「く」の字型をした案内溝142に沿って移動できるようになっている。
【0036】
円形の5.25型用溝133のほぼ中心位置から図で手前側の位置には、長方形をした第1の開口部143が装置本体内部に向けて開口している。この第1の開口部143は、図5に示した光ビーム照射部114から図示しないディスクメディアにスポット状の光ビームを照射したり、カラーセンサ115およびメディア温度センサ116がそれぞれの検知を行うために設けられている。この第1の開口部143よりも奥側には、第2の開口部144が同様に装置本体内部に向けて開口している。この第2の開口部144は、その半円形をした部分にユーザが指を差し込んで消去済みのディスクメディアを装置本体101から取り出すために用いる。
【0037】
図7は、ディスクメディアデータ消去装置の回路構成の概要を表わしたものである。図4〜図6と共に説明する。
【0038】
ディスクメディアデータ消去装置100は、CPU(Central Processing Unit)151と、これに接続されたメモリ部152を備えている。メモリ部152は、CPU151が実行する制御プログラムを格納したROM等の不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)からなる作業用のメモリ領域を備えており、図5に示した制御部121を構成している。メモリ部152には、各ディスクメディアごとの動作パラメータ等のディスクメディアデータ消去装置100の制御に必要なデータも格納されている。
【0039】
制御部121は、次に説明するようにディスクメディアデータ消去装置100を構成する各部の制御を行うようになっている。このうち、ディスクメディア収容部111、バッテリ112、搬送機構部113、光ビーム照射部114、カラーセンサ115、メディア温度センサ116、位置センサ118および煙検知センサ119については、すでに図5と共に説明したので、適宜説明を省略する。
【0040】
光ビーム出力制御部154は、図6に示したディスクメディア収容部111にセットされている図示しないディスクメディアに対する光ビーム照射部114の出力を制御するようになっている。光ビームの出力を制御する情報を得るため、光ビーム出力制御部154はカラーセンサ115およびメディア温度センサ116と接続されている。すなわち、カラーセンサ115は検知した色によってディスクメディアの種類を判別し、メディア温度センサ116を用いて適切な加熱制御を行う。これにより、ディスクメディアは、その種類が判別されれば、自動的に一定の照射レベルでの記録層破壊が可能になる。
【0041】
搬送機構制御部145は搬送機構部113を駆動してその位置の移動制御を行うようになっている。このため、搬送機構制御部145は搬送機構部113の位置を検知する位置センサ118と、装置本体101内の煙の発生を検知する煙検知センサ119の出力を用いて位置の制御と移動速度の制御を行う。
【0042】
スタートスイッチ109および動作モード選択スイッチ110の押下情報は制御部121に伝達される。制御部121は動作モードデータベース155と接続されており、スタートスイッチ109あるいは動作モード選択スイッチ110の押下に基づいて予め定められた処理を行う。この様子は、動作モード表示部108に表示される。動作モードデータベース155には、動作モード(光ディスクメディアの色ならびにメディア種別)と各動作モードに必要なパラメータが関連付けしたデータが格納されている。動作モードに必要なパラメータとは、たとえば、光ビームスポット出力、光ビーム駆動部動作速度、ディスクメディア消去箇所の温度のようなものである。
【0043】
蓋検知センサ156は、蓋102の開閉を検知するセンサである。これは蓋102が開いた状態で光ビーム照射部114から光ビームが外部に照射されることを防止するためのセンサである。電源スイッチ158は図4に示した装置本体101の図示しない左側部に配置されている。この電源スイッチ158はバッテリ112に接続されており、ディスクメディアデータ消去装置100の回路全体に電源を供給するか否かを制御する。
【0044】
図8〜図10は、図6に示したディスクメディア収容部に各種のディスクメディアをセットした状態を示したものである。これらの図の一部では、図4に示した蓋101の図示を省略する。
【0045】
このうち、図8は3.5型用溝134に3.5型カートリッジ161をセットした状態を表わしている。このようなセットを行う手順を説明する。まず、ユーザは、3.5型カートリッジ161のシャッタ機構162の配置された側の端部を、装置本体101の奥側から3.5型用溝134に沿って矢印163方向に移動させる。
【0046】
すると、図6に示した3.5型シャッタ開閉用ピン141が3.5型カートリッジ161のシャッタ機構162とカートリッジ本体164の間に入る。この状態で、ユーザが3.5型カートリッジ161を矢印163方向に更に移動させていくと、図6に示した案内溝142に沿って3.5型シャッタ開閉用ピン141が矢印163方向に移動する。案内溝142は、図6に示すように奥側から手前側にかけて次第に図の右方向に傾斜している。したがって、ユーザが3.5型カートリッジ161を手前側に移動させていくと、3.5型シャッタ開閉用ピン141が図の右方向に移動し、シャッタ機構162を開いていくことになる。この結果、矩形をした3.5型用溝134に3.5型カートリッジ161を完全にセットし終えた状態では、図8に示すようにシャッタ機構162が全開の状態となる。これにより、第1の開口部143に円形のディスクメディア165が露出した状態となる。
【0047】
図9は、5.25型MO用溝に5.25型カートリッジ171をセットする状態を表わしたものである。この場合、ユーザは5.25型MO等の5.25型カートリッジ171におけるシャッタ機構172の配置された側の端部を、装置本体101の奥側から5.25型MO用溝131に沿って矢印163方向に移動させる。5.25型カートリッジ171が5.25型用シャッタアーム136にまだ接触していない状態では、図6に示したように5.25型用シャッタアーム136は完全に飛び出した状態となっている。
【0048】
5.25型カートリッジ171が矢印163方向に移動していくと、5.25型用シャッタアーム136が5.25型カートリッジ171のシャッタ機構172の図示しない所定部位と接触する。この状態で、ユーザが5.25型カートリッジ171を矢印163方向に更に移動させていくと、5.25型用シャッタアーム136はシャッタアーム格納部135の方向に押し戻されることになり、その支点を中心に反時計方向に回転する。これと共に5.25型用シャッタアーム136の折れ曲がった形状の先端部は、図の左方向に移動することになり、シャッタ機構172を開いていくことになる。この結果、矩形をした5.25型MO用溝131に5.25型カートリッジ171を完全にセットし終えた状態では、シャッタ機構172が全開の状態となる。図9では、シャッタ機構172が全開するよりもわずかに手前の状態を表わしており、第1の開口部143に円形のディスクメディア175が露出している。
【0049】
図10は、PD・DVD−RAM用溝132にPD・DVD−RAMカートリッジ181をセットする状態を表わしたものである。この場合、ユーザはPD・DVD−RAMカートリッジ181におけるシャッタ機構182の配置された側の端部を、図示しない蓋の配置された装置本体101の奥側からPD・DVD−RAM用溝132に沿って矢印163方向に移動させる。このとき、5.25型用シャッタアーム136は図6に示したように飛び出させておく。
【0050】
すると、5.25型用シャッタアーム136がPD・DVD−RAMカートリッジ181のシャッタ機構182の特定部位183と接触する。この状態で、ユーザがPD・DVD−RAMカートリッジ181を矢印163方向に更に移動させていくと、5.25型用シャッタアーム136はシャッタアーム格納部135の方向に押し戻されることになり、その支点を中心に反時計方向に回転する。これと共に5.25型用シャッタアーム136の折れ曲がった形状の先端部は、図の左方向に移動することになり、シャッタ機構182を開いていくことになる。この結果、矩形をしたPD・DVD−RAM用溝132にPD・DVD−RAMカートリッジ181を完全にセットし終えた状態では、シャッタ機構182が全開の状態となる。これにより、第1の開口部143に円形のディスクメディア185が規定量露出した状態となる。図10では、シャッタ機構182が全開するよりも手前の時点を表わしており、ディスクメディア185が前記した規定量の半分程度開いた状態となっている。
【0051】
以上は、カートリッジに収容されたディスクメディアについての説明である。カートリッジに収容されていないディスクメディアは、シャッタ機構そのものが存在しない。したがって、たとえば図6に示す5.25型用溝133に合わせて図示しない円板状のディスクメディアをセットすればよい。このとき、半径が5.25型よりも小さな円板状のディスクメディアの場合にも、5.25型用溝133の中心に相当する位置にその中心が位置するように位置決めする。
【0052】
図11は、ユーザが動作モード選択スイッチを操作したときの動作モードの表示処理の様子を表わしたものである。図7と共に説明する。
【0053】
ユーザが電源スイッチ158をオンにすると、制御部121が動作を開始して、メモリ部152に格納された制御プログラムをCPU121が実行する。メモリ部152には、ユーザが前回選択した動作モードの履歴を記憶したメモリ領域が設けられており、この動作モードが読み出されて動作モード表示部108に表示される(ステップS201)。工場出荷時には、3.5型モードと5.25型モードのうちで、一例として3.5型モードが動作モードの履歴としてプリセットされている。このため、初回起動時には、動作モード表示部108に3.5型モードの表示が行われる。
【0054】
ユーザは動作モード表示部108に表示された動作モードが適切であれば、動作モード選択スイッチ110を押下することなく(ステップS202:N)、動作モードの選択動作を終了する。この例の場合、ディスクメディアデータ消去装置100は3.5型モードに設定される。
【0055】
一方、ユーザは動作モードが適切でないと判別すれば、動作モード選択スイッチ110を押下する。制御部121は動作モード選択スイッチ110が押下されると(ステップS202:Y)、他方の動作モードに切り替えて動作モード表示部108にその内容を表示する(ステップS203)。ステップS201で3.5型モードが表示されていた場合には5.25型モードが表示部108に表示される(ステップS203)。この状態で制御部121は動作モード選択スイッチ110が押下されるのを待機する(ステップS204)。そして、ユーザが再度、動作モード選択スイッチ110を押せば(Y)、再び前回使用した動作モードが動作モード表示部108に表示されることになる(リターン)。
【0056】
なお、本実施の形態のディスクメディアデータ消去装置100では3.5型モードと5.25型モードの2つの動作モードに適応している。装置によっては3.5型モードよりも更に半径の短いディスクメディアを消去の対象とする場合がある。この場合にはユーザが動作モード選択スイッチ110を押下するたびに、適応対象となった複数の動作モードを順にサイクリックに動作モード表示部108に表示するようにすればよい。更に、ディスクメディアの消去の方法を複数通りから選択できる場合には、サイズと消去方法の組み合わせによって動作モードを選択するようにすることもできる。動作モード選択スイッチ110によって動作モードを選択するようにしたのは、それぞれの動作モードによってディスクメディアの消去のための搬送機構部113の移動位置が異なるためである。これについては後に説明する。
【0057】
以上のようにして、ユーザはディスクメディアデータ消去装置100を自分が消去しようとするディスクメディアと一致した動作モードに設定したら、次にそのディスクメディアを装置本体101(図4)にセットする。これについては、図6〜図10を用いて説明した。そして、蓋102(図4)を閉めて、スタートスイッチ109を押すことになる。
【0058】
図12は、ディスクメディアのデータ消去のための処理の様子を表わしたものである。図4および図7と共に説明する。
【0059】
制御部121はユーザがスタートスイッチ109を押すのを待機している(ステップS221)。スタートスイッチ109が押されると(Y)、制御部121は蓋検知センサ156が蓋102の閉じられている状態を検知しているかをチェックする(ステップS222)。蓋102が閉じられていなければ(N)、動作モード表示部108に「蓋を閉じてください」といエラーメッセージが表示されて(ステップS234)、処理が終了する(エンド)。この場合、ユーザは蓋102を閉じて、再びスタートスイッチ109を押せばよい。
【0060】
一方、スタートスイッチ109を押した状態で蓋102が閉じられていることが検知された場合(ステップS222:Y)、制御部121は図11で選択された動作モードを消去対象のディスクメディアとして設定する(ステップS223)。そして、カラーセンサ115を用いて光ビームを照射すべき位置に存在するディスクメディアの色を識別する(ステップS224)。次に、制御部121は識別結果としてのR(赤)、G(緑)、B(青)の3色のレベルが動作モードデータベース155上に存在するかをチェックする(ステップS225)。
【0061】
図13は、動作モードデータベースの内容の一例を表わしたものである。動作モードデータベース155における「メディアの色」の欄には、R、G、Bの3色のレベルとその許容差が記されている。カラーセンサ115による識別結果が「メディアの色」の欄のいずれかの組み合わせに該当すれば(図12ステップS225:Y)、その該当する箇所における動作パラメータを光ビームの照射条件としてセットする(図12ステップS226)。「メディアの色」とディスクメディアのサイズによって、そのディスクメディアの種類を判別して、光ビームについて適正な照射条件を設定するためである。
【0062】
動作モードデータベース155(図13)には、「メディアの色」としてR、G、Bの3色の組み合わせのいずれにも該当しない場合の光ビームの照射条件も定められている。この場合には、基本的な照射条件で消去動作を行うようにしている。したがって、カラーセンサ115による識別結果が「メディアの色」の欄のいずれの組み合わせにも該当しない場合には、この基本動作が照射条件として設定される(ステップS227)。
【0063】
このようにして光ビームの照射条件と照射するディスクメディアのサイズが定められたら、該当する動作モードでデータの消去動作が開始される(ステップS228)。すなわち、まず、光ビーム照射部114がディスクメディアにスポット状の光ビームの照射を開始し、この後に搬送機構部113がディスクメディアのサイズによって定まる位置関係で移動を開始する。これと共に、メディア温度センサ116が照射位置の温度を測定する。また、煙検知センサ119はディスクメディアを原因とする煙の発生の有無を監視する。
【0064】
図14は、ディスクメディアが光ディスクの場合のデータの消去の際の光ビームの軌跡を表わしたものである。本実施の形態で、色から識別されたディスクメディアが光ディスク191であったとする。この場合、光ディスク191のデータ書込領域192の半径方向の全長を覆う形で、光ビームのスポットが矢印193で示すように直線状に一往復する。これにより、矢印193で示した箇所のデータが加熱によって破壊される。
【0065】
光ディスク191には、円周に沿った形で、データが格納されている。このため、矢印193で示した場所以外のデータは破壊されていない。しかしながら、円周方向に記憶されたデータが所定の回転角の場所でスポット状の光ビームによって、所定幅以上破壊されている。しかも、光ビームが照射される範囲だけでなく、熱変形はメディア全体に歪みを発生させる。このため、顕微鏡を用いてもこれらの箇所のデータ状況を再現することができず、結局、光ディスク191のほぼすべてのデータが再現不可能となる。
【0066】
図15は、ディスクメディアがCD−ROMメディアである場合のデータの消去の際の光ビームの軌跡を表わしたものである。本実施の形態で、色から識別されたディスクメディアがCD−ROMメディア195であったとする。この場合、CD−ROMメディア195のデータ書込領域196の半径方向の全長を覆う形で、光ビームのスポットが曲線197で示すように往復するように移動する。これにより、曲線197で記した軌跡上のデータが加熱によって破壊される。この場合にも、図14で示した消去の形態と同様に熱によるデータ破格とCD−ROMメディア195の変形が生じ、CD−ROMメディア195のほぼすべてのデータが再現不可能となる。
【0067】
図12に戻って説明を続ける。図14あるいは図15に示した軌跡で光ビームが光ディスク191あるいはCD−ROMメディア195の記録面を移動しているとき、制御部121はディスクメディアの温度が規定内であるかを判別する(ステップS229)。規定内の温度でなければ(N)、加熱が十分行われていないか、加熱し過ぎである。そこでこのような場合には光ビーム出力制御部154が光ビーム照射部114の出力を変更して(ステップS230)、適正な加熱が行われるようにし、ステップS229の処理に戻る。
【0068】
また、ディスクメディアの温度が規定内である場合には(ステップS229:Y)、光ビームが光ディスク191あるいはCD−ROMメディア195の記録面を移動しているとき、制御部121は煙検知センサ119が煙の検知を行っていないかどうかをチェックする(ステップS231)。煙検知センサ119が煙の検知を行っている場合には(N)、光ビーム照射部114の出力が適正でも光ビームの移動速度が遅すぎることになる。そこで、この場合には搬送機構制御部145に搬送機構部113の移動速度を変更させて(ステップS232)、ステップS229の処理に戻る。煙が検知されない場合には(ステップS231:Y)、このような制御がディスクメディア上での光ビームの軌跡が終了位置に到達するまで行われる(ステップS233:N)。光ビームの軌跡が終了位置まで到達したら(ステップS233:Y)、ディスクメディアのデータ消去のための処理が終了する(エンド)。
【0069】
以上説明したように本実施の形態によれば、カラーセンサ115を用いてディスクメディアのデータ格納領域の材質を検知するようにしたので、ユーザが特別な設定操作を行う必要なくデータの消去を実行することができる。またメディア温度センサ116や煙検知センサ119を備えることにより光ビームのスポットの出力や搬送機構部113の動作速度を自動的に調整することができ、各種のディスクメディアのデータの破壊の程度を一定にすることができる。
【0070】
また、本実施の形態のディスクメディアデータ消去装置100によれば、ディスクメディアに対して線状あるいは帯状に熱を加えてデータの破壊とメディアの変形を行う。これにより、ディスクメディア全体あるいはその比較的広い領域を塗り潰すように加熱していた従来の手法と比較すると、処理時間と電力消費の低減を図ることができる。これにより、本実施の形態のようにバッテリ112を用いて装置の駆動が可能になる。この結果、ディスクメディアデータ消去装置100に電源ケーブルが不要となり、電源ケーブルを引っ掛けない場所あるいは商用電源に近い場所に装置を配置する必要がなくなるという利点がある。もちろん、実施の形態と異なり、電源として商用電源を使用することも可能であり、この場合には省電力のディスクメディアデータ消去装置を構成することができる。
【0071】
更に本実施の形態のディスクメディアデータ消去装置100によれば、各種サイズのディスクメディアに対してデータの消去処理が可能である。また、加熱や変形によってディスクメディアを使用できなくする手法を採っているので、フロッピー(登録商標)ディスクのようなメディアについても、そのデータを消去することができる。したがって、広範囲のディスクメディアを消去の対象とすることができる。
【0072】
なお、本実施の形態では装置本体101の蓋102を開閉してディスクメディアのセッティングやデータ消去後の取り出しを行うことにしたが、これに限るものではない。たとえばスタックしたディスクメディアを消去位置に自動的に搬送し、消去後にこれらのディスクメディアを自動的に排出するような装置にも本発明を同様に適用することができる。
【0073】
更に本実施の形態ではディスクメディアの複数のサイズに対応したディスクメディアデータ消去装置100を示したが、これに限るものではない。たとえば1種類のサイズのディスクメディアを対象としたり、カートリッジタイプのものに限定した装置にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10、100 ディスクメディアデータ消去装置
11 照射手段
12 照射位置移動手段
13 温度検出手段
14 移動速度制御手段
20 ディスクメディアデータ消去方法
21 照射ステップ
22 照射位置移動ステップ
23 温度検出ステップ
24 移動速度制御ステップ
30 ディスクメディアデータ消去プログラム
31 照射処理
32 照射位置移動処理
33 温度検出処理
34 移動速度制御処理
102 蓋
110 動作モード選択スイッチ
111 ディスクメディア収容部
112 バッテリ
113 搬送機構部
114 光ビーム照射部
115 カラーセンサ
116 メディア温度センサ
118 位置センサ
119 煙検知センサ
121 制御部
136 5.25型用シャッタアーム
141 3.5型シャッタ開閉用ピン
145 搬送機構制御部
151 CPU
152 メモリ部
155 動作モードデータベース
191 光ディスク
195 CD−ROMメディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状の記録メディアに熱源をスポット状に照射する照射手段と、
この照射手段から照射されるスポット状の熱源の照射位置を、前記記録メディアの記録面の半径方向の全長をカバーするように線状に移動する照射位置移動手段と、
この照射位置移動手段によって熱源の照射位置を移動するときの各照射位置での温度を検出する温度検出手段と、
この温度検出手段によって検出された温度が照射位置での記録層に記録されているデータを破壊する温度となるように照射位置移動手段の移動速度を制御する移動速度制御手段
とを具備することを特徴とするディスクメディアデータ消去装置。
【請求項2】
前記記録メディアから発生する煙を検知する煙検知手段を備え、前記移動速度制御手段は前記煙検知手段が煙を検知したときは前記データを破壊する温度を確保する範囲で照射位置移動手段の移動速度を向上させることで照射位置での温度を低下させることを特徴とする請求項1記載のディスクメディアデータ消去装置。
【請求項3】
前記記録メディアの記録面の色を検出するカラー識別手段と、このカラー識別手段の検出したカラーを基にして前記記録メディアの材質を判別する材質判別手段を備え、前記照射手段は前記材質判別手段によって判別した材質に応じて前記スポット状の熱源の出力レベルを設定し、前記移動速度制御手段は前記判別した材質に応じた移動速度を初期設定することを特徴とする請求項1記載のディスクメディアデータ消去装置。
【請求項4】
前記記録メディアがシャッタ機構付きのカートリッジに収容されているとき、所定のタイミングでシャッタ機構を開状態に保持する開状態保持手段を備え、前記照射位置移動手段は、シャッタ機構を開状態に保持した状態でこれによって開口した領域内で照射位置を移動させることを特徴とする請求項1記載のディスクメディアデータ消去装置。
【請求項5】
前記照射手段等の装置内各部に電源を供給するバッテリを収容する二次電池収容部を具備することを特徴とする請求項1記載のディスクメディアデータ消去装置。
【請求項6】
前記照射位置移動手段による線状の移動は前記記録面の半径方向の全長をカバーする往復方向の移動であることを特徴とする請求項1記載のディスクメディアデータ消去装置。
【請求項7】
前記照射位置移動手段による線状の移動は前記記録面の半径方向の全長をカバーする直線状の移動であることを特徴とする請求項1記載のディスクメディアデータ消去装置。
【請求項8】
ディスク状の記録メディアに熱源をスポット状に照射する照射ステップと、
この照射ステップで照射されるスポット状の熱源の照射位置を、前記記録メディアの記録面の半径方向の全長をカバーするように線状に移動する照射位置移動ステップと、
この照射位置移動ステップによって熱源の照射位置を移動するときの各照射位置での温度を検出する温度検出ステップと、
この温度検出ステップによって検出された温度が照射位置での記録層に記録されているデータを破壊する温度となるように前記照射位置移動ステップにおける移動速度を制御する移動速度制御ステップ
とを具備することを特徴とするディスクメディアデータ消去方法。
【請求項9】
前記記録メディアの記録面の色を検出するカラー識別ステップと、このカラー識別ステップで検出したカラーを基にして前記記録メディアの材質を判別する材質判別ステップとを備え、前記照射ステップでは前記材質判別ステップによって判別した材質に応じて前記スポット状の熱源の出力レベルを設定し、前記移動速度制御ステップでは前記判別した材質に応じた移動速度を初期設定することを特徴とする請求項7記載のディスクメディアデータ消去方法。
【請求項10】
コンピュータに、
ディスク状の記録メディアに熱源をスポット状に照射する照射処理と、
この照射処理で照射されるスポット状の熱源の照射位置を、前記記録メディアの記録面の半径方向の全長をカバーするように線状に移動する照射位置移動処理と、
この照射位置移動処理によって熱源の照射位置を移動するときの各照射位置での温度を検出する温度検出処理と、
この温度検出処理によって検出された温度が照射位置での記録層に記録されているデータを破壊する温度となるように前記照射位置移動処理における移動速度を制御する移動速度制御処理
とを実行させることを特徴とするディスクメディアデータ消去プログラム。
【請求項11】
前記コンピュータは、前記記録メディアの記録面の色を検出するカラー識別処理と、このカラー識別処理で検出したカラーを基にして前記記録メディアの材質を判別する材質判別処理とを更に実行し、前記照射処理では前記材質判別処理によって判別した材質に応じて前記スポット状の熱源の出力レベルを設定し、前記移動速度制御処理では前記判別した材質に応じた移動速度を初期設定する処理を実行することを特徴とする請求項9記載のディスクメディアデータ消去プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−262706(P2010−262706A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113661(P2009−113661)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】