説明

ディスクローディング装置

【課題】ディスクローディング装置における、ディスクの位置決め手段の構成を簡略化する。
【解決手段】位置決めピン8aがディスク100の外周と当接する位置決めレバー8と、位置決めレバー8上に回動自在に取付けられ係合ピン9aがディスク100の外周と当接して回動するトリガーレバー9と、トリガーレバー9の回動に連動して変位するトリガーロッド21と、カム溝23aを有しておりトリガーロッド21の変位が伝達されることにより初期移動するカムロッド23と、カムロッド23の初期移動後にこのカムロッド23の移動を行うための駆動手段とを備え、駆動手段によるカムロッド23の移動によってトリガーロッド21をカム溝23aに沿って移動させることにより、トリガーレバー9の係合ピン9aがディスク100から離れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク状の記録媒体を用いる記録再生装置のディスクローディング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクローディング装置は、音響用の光ディスクであるCD及び映像用の光ディスクであるDVDをはじめ、コンピュータ用の各種光ディスクに光学的にデータを記録再生をするための装置として広い分野で使用されている。このような光ディスクの内、カセットに入っておらずディスク単体で使用される光ディスクとしては、規格直径が12cmのディスク(大径ディスク)と8cmのディスク(小径ディスク)の2種類が広く普及している。このようなディスクを用いるディスクローディング装置では、ディスクローディング装置に装填されるディスクをディスクローディング装置内の所定位置に正しく位置決めする必要がある。このような位置決め装置の典型的な従来例について以下に説明する。
【0003】
この従来例では、ディスクローディング装置のディスク挿入口の近傍に、ディスクの記録面に接して回転する弾性体のローラと、ディスクのラベル面に接して保持する保持部材とを設けている。前記ローラと保持部材との間にディスクを挿入すると、駆動モータが通電されてローラが回転し、ディスクはディスクローディング装置内に引き込まれる。引き込まれるディスクの外周の先端部分はディスクローディング装置の内部に設けられた挿入検知レバーに当たり、ディスクはこれを押しながら進入する。押された挿入検知レバーが所定量変位すると、前記駆動モータへの通電が止まりローラの回転が停止する。このとき、ディスクの外周は、少なくとも2つの位置決め部材に当たった状態にあり、ディスクはこの位置決め部材により所定の位置に位置決めされる。次にディスクの中心孔近傍を挟持部材とターンテーブルで挟みディスクの装填を完了する。最後に前記の挿入検知レバー及び位置決め部材をディスクの外周から引き離し、ディスクを回転可能な状態にする。
【特許文献1】特開2001−56993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の従来例では位置決め部材をディスクの外周から引き離すために、挿入検知レバーの動きに連動して位置決め部材を移動させてディスクの外周から引き離している。しかしこのような構成では、挿入検知レバーの動きに連動する多くの機構部品を必要とするので構造が複雑となり、ディスクローディング装置の薄型化や小型化が困難であった。
本発明は、少ない部品点数で安定した動作を実現することができるディスクローディング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のディスクローディング装置は、一方の端部に設けた位置決めピンが装置内に挿入されたディスクの外周に当接する位置決めレバー、前記位置決めレバーに移動可能に取付けられ、一方の端部に設けた係合ピンが前記挿入されたディスクの外周に当接して移動するトリガーレバー、前記トリガーレバーに前記係合ピンとは別に設けられた駆動ピンに係合して前記トリガーレバーの移動に連動して変位するトリガーロッド、所定のカム溝を有し、前記トリガーロッドの変位に応じて第1の移動をするカムロッド、前記カムロッドの前記第1の移動後に、前記カムロッドの第2の移動を行うための駆動手段を備え、前記カムロッドのカム溝は、前記駆動手段による前記カムロッドの第2の移動によって前記トリガーロッドを前記カムロッドの前記カム溝に沿って移動可能とし、前記第2の移動により、前記トリガーレバーの前記係合ピンがディスクの外周から離れるように構成したものである。
【0006】
この発明によれば、ディスクの挿入を検出するトリガーレバーの回動による変位をカムロッドに伝達して第1の移動をさせると共に、カムロッドを更に駆動手段により第2の移動をさせる。これによって、ディスクの装着完了及びディスクの外周から係合ピンを離して隙間を開ける、という2つの動作をトリガーロッドにより行うように構成したことを特徴とする。その結果ディスクローディング装置に装填されたディスクの外側の限られた平面範囲と厚さで決まるスペースの中に各構成部品を収めることができるので薄型化が可能であると共に、少ない部品点数で安定した動作を実現することができる。
【0007】
また、本発明のディスクローディング装置では、前記トリガーロッドは、前記カムロッドの移動方向と略平行に移動可能であり、且つ連続して前記カムロッドの移動方向に対して直角方向にも移動可能となるように、ディスクローディング装置のメカ基板に設けたガイド孔にガイドされるガイドピンを有し、前記トリガーロッドの移動に伴って前記トリガーレバーを、前記一方の端部に設けた前記係合ピンがディスクから離れる方向に移動させるカム部を有することを特徴とする。この発明によれば、トリガーロッドによる2つの作用を簡単な構成により実現することができることとなる。
【0008】
また、本発明のディスクローディング装置では、前記位置決めレバーは、ディスク装填位置において、前記駆動手段の駆動力によって第2の移動をするトリガーロッドの移動により、前記トリガーレバーの前記係合ピンがディスクから離れる際に、前記位置決めレバーの位置決めピンがディスクから離れる方向に連動して移動するようにトリガーレバーに連結されていることを特徴とする。この発明によれば、ディスクの装着完了時のトリガーレバーの係合ピン及び位置決めレバーの位置決めピンのディスクからの離脱を同時に行うことができることとなる。
【0009】
また、本発明のディスクローディング装置では、前記位置決めピンは、ディスクの挿入完了の停止時においてディスクの外周と当接する高さ位置に形成された大径部と、ディスクを挿入完了後に下降させて記録再生部に装着した装着完了時に前記ディスクの外周に対向する高さ位置に形成された小径部とを有し、ディスクの装着完了状態ではその外周が前記位置決めピンの小径部に所定の隙間を保って対向するように構成したことを特徴とする。この発明によれば、ディスクの挿入後の位置決め状態からディスクを下降して装填完了にする際に、位置決めレバーは回動させることなく固定したままで、動かす必要がなく、ディスクの外周と位置決めピンとの隙間を開けることができるので、機構が極めて簡単になり、最小限のコストで安定した動作を実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、挿入されるディスクの外側の限られた平面範囲と厚さで決まるスペースの中に構成部品を収めて薄型化が可能であると共に、少ない部品点数で安定した動作を実現することができ、コストが安価であるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のディスクローディング装置(ディスク駆動装置)の最良の実施の形態を図1から図18を参照して説明する。
図1は本実施の形態のディスクローディング装置の上面図であり、図2は同分解斜視図である。図3から図6は規格直径が12cmのディスク(以下、大径のディスク100という)をこのディスクローディング装置に装填するときの動作を示す上面図である。図7から図9は大径のディスク100を装填するときの、トリガーレバー9の動きを示す要部の平面図である。図10から図13は、規格直径が8cmのディスク(以下、小径のディスク120という)を装填するときの動作を示すディスクローディング装置の上面図である。図14から図15は、小径のディスク120を装填するときのトリガーレバー9の動作を示す要部上面図、及び図16から図18は図13の右側面図である。
【0012】
図1及び図2において、本実施の形態のディスクローディング装置は、最下部のメカ基板15と最上部のサブシャーシ1で形成される筐体内に図2に示す各部品が取り付けられている。メカ基板15は、中央部にトラバース取付孔16を有している。トラバース取付孔16にはターンテーブル47a及び光ピックアップ47bを有するトラバース47が3つの取付けねじ48a、48b、48cで取り付けられる。
サブシャーシ1には扇形の開口部2a、2bが設けられており、後で説明するように、ディスクローディング装置に大径のディスク100又は小径のディスク120を装填したとき、各ディスクのラベル面が開口部2a、2bから見える。ディスクローディング装置内に装填された大径のディスク100が占める領域を「ディスク装填領域1d」ということにし、この領域を図1に2点鎖線で示す。
【0013】
ディスクローディング装置のディスク挿入口5の近傍には、ローラ軸36によって保持されるゴムローラ38が設けられている。ローラ軸36は、ローラレバー39の両端部に取り付けられた左軸受40と右軸受41により回転可能に支持されている。ローラ軸36の図において右端にはローラ歯車37が取り付けられている。ローラ歯車37は、中継ギアA35、ウオームホイールA32、ウオームギア31、回動軸29、ウオームホイールB30、ウオームプーリ27、及びベルト26を経てモータ24に連結されている。モータ24が回転すると、ローラ軸36及びそれに嵌められたゴムローラ38が回転する。
【0014】
ローラレバー39は両端部の軸受孔39a、39bで回転可能にメカ基板15に取り付けられている。軸受孔39a、39bと共通にクランプレバー43が回動可能に取り付けられている。クランプレバー43には、ゴムローラ38と対向する位置にガイドロッド44が取り付けられ、クランパー46側には押え板ばね45が取り付けられている。押え板ばね45には、ディスク100をその中心孔で回転可能に保持するクランパー46が取り付けられている。
【0015】
図2において、サブシャーシ1の下方に図示されている、第2の位置決めレバーである右センタリングレバー8、第2の検知レバーであるトリガーレバー9、第1の位置決めレバーである左センタリングレバー11、第1の検知レバーである検知レバー12は、挿入口5から矢印5aの方向に挿入されるディスク100又は120の外周に接して、ディスク100又は120の位置決めをするためのレバー群である。
本実施の形態のディスクローディング装置では、後で詳しく説明するように、これらのレバー群が、図1に示す第1の基板であるサブシャーシ1の、左上コーナー部1a及び右上コーナー部1bのディスク装填領域1dの外部に取付けられている。これらのレバー群を第2の基板である前記メカ基板15に取り付けてもよい。本実施の形態では、ディスク100を装填したとき、前記レバー群がすべてディスク100の外周から外の領域、すなわちディスク装填領域1dの外にあり、ディスク装填領域1d内には存在しないことが特徴である。
【0016】
図3において、右センタリングレバー8は支点8cでサブシャーシ1に回動可能に取り付けられている。トリガーレバー9は、支点9cで右センタリングレバー8に設けられた軸8dに回動可能に取り付けられている。左センタリングレバー11は支点11cでサブシャーシ1に回動可能に取り付けられている、検知レバー12は支点12cで左センタリングレバー11に回動可能に取り付けられている。ここで、センタリングレバー8及び11は、挿入時におけるディスク100又は120の位置決めを行う、第1、第2の位置決めレバーとしての機能を有している。
【0017】
図2から図9を参照して、本実施の形態のディスクローディング装置に大径のディスク100を装填するときの動作について説明する。図3から図6はディスク100の装填動作に関連のある要素のみを図示したディスクローディング装置の平面図である。
【0018】
図3はディスク100を装填する前の状態を示す。トリガーレバー9は、メカ基板15に形成された凹みである右ストッパー19に、トリガーレバー9の支点9cの近くに設けたカムピン9dが対向した状態にあり、先端に設けた係合ピン9aがディスク装填領域1dの中央部近くまで入り込んでいる。検知レバー12は、メカ基板15に形成された左ストッパー18に、検知レバー12の支点12c近くに設けたカムピン12bが対向した状態にあり、先端に設けた検知ピン12aがディスク装填領域1dの左側部分に少し入っている。左センタリングレバー11の位置決めピン11aを有する部分はディスク装填領域1dの左側部分に少し入り込んでいる。右センタリングレバー8の位置決めピン8aを有する部分はディスク装填領域1dの右側部分に少し入り込んでいる。
【0019】
トリガーレバー9は付勢ばね10により支点9cを中心に反時計方向に付勢されており、検知レバー12は検知レバーばね13により支点12cを中心に反時計方向に付勢されている。左センタリングレバー11はセンタリングレバーばね14により支点孔11cを中心に反時計方向に付勢されている。これらのばね10、13、14によって、係合ピン9a、検知ピン12a、位置決めピン11aはディスク装填領域1d内に入り込んだ状態で安定して保持されている。なお、右センタリングレバー8は、位置決めピン8aの反対側の端部に設けた係合ピン8bで左センタリングレバー11の係合孔11bに連結されている。そのため右センタリングレバー8は、左センタリングレバー11を反時計方向に付勢しているセンタリングレバーばね14により支点8cを中心に時計方向に付勢されている。この付勢により、位置決めピン8aはディスク装填領域1d部分に入り込んだ状態で安定して保持されている。
【0020】
ディスク100を図2及び図3に示す挿入口5から矢印5aの方向へ挿入すると、ディスク100がゴムローラ38に接する手前で、図示を省略したスイッチが駆動されて閉となる。スイッチの閉によりモータ24に通電されモータ24が回転し、モータ24の回転によりゴムローラ38が回転する。ディスク100が内部に押し込まれると、回転しているゴムローラ38はディスク100の厚みにより下方に押される。そのためディスク100はクランプレバー43に固定されたガイドロッド44とゴムローラ38の間に挟まれ図3の矢印5aの方向に駆動される。
【0021】
ゴムローラ38の駆動によって移動するディスク100は、トリガーレバー9の係合ピン9a及び検知レバー12の検知ピン12aに、ディスク100の外周が当接した後、更に矢印5a方向に移動する。ディスク100の外周が位置決めピン8a及び11aに当接した時点の状態を図4に示す。
図3の状態から図4の状態に移行する過程で、ディスク100に押された検知レバー12の検知ピン12aは支点12cの回りを矢印12rで示す方向(時計方向)に回動する。検知レバー12の矢印12r方向への回動により、検知レバー12の支点12c近くのカムピン12bも同様に矢印12r方向に回動し、左ストッパー18から離脱する。図4では、その離脱した状態を示している。検知レバー12は、カムピン12bが、メカ基板15のカム溝15dに入ることによりさらに矢印12r方向に回動可能となる。すなわち検知レバー12は左センタリングレバー11と共に更に回動可能な状態になっている。
【0022】
また、図3の状態から図4の状態に移行する過程で、トリガーレバー9は、係合ピン9aがディスク100の外周に押されて支点9cの回りを矢印9rで示す方向(時計方向)に回動し、カムピン9dが右ストッパー19から離脱する。そのためトリガーレバー9は右センタリングレバー8と共に更に回動可能な状態になる。
ディスク100が更に矢印5a方向に移動することにより、位置決めピン8a、11a、係合ピン9a、検知ピン12aは、それぞれディスク100の外周方向に押され、ディスク装填領域1dの外に出て図5に示す状態になる。この状態でディスク100は移動を停止し、所定の位置に位置決めされる。このときローラ軸36はモータ24により回転しているが、ローラ軸36とゴムローラ38とは固定されていないので、空回りし、ディスク100の記録面に接しているゴムローラ38は回転しない状態となる。
【0023】
後で詳しく説明するように、図2に示されているクランパー46を、トラバース47のターンテーブル47aの方向に移動させることにより、ターンテーブル47aがディスク100の中央孔に入り込んでディスク100に装着される。この後、位置決めピン8a、11a、係合ピン9a、検知ピン12aは、後述する動作により、ディスク100の外周より離れるようになっており、その離れた状態を図6に示す。この状態で、図示を省略したスイッチが駆動されてモータ24は停止し、ディスク100の装填が完了する。
【0024】
トリガーレバー9の動作を図7から図9を参照して詳細に説明する。図7はディスク100を挿入する前のトリガーレバー9の位置を示し、この位置は図3と同じである。図7から図9にはトリガーレバー9、トリガーロッド21及びカムロッド23が図示されており、これらの相互間の位置関係は、図2の分解斜視図に示されている。トリガーレバー9は、付勢ばね10(図2)により支点9cを回動中心として反時計方向に付勢されている。
【0025】
図3と同じ状態を示す図7の(a)の状態では、トリガーレバー9の右端にある駆動ピン9bは、トリガーロッド21に設けられている第1の溝カム21cに入っている。トリガーロッド21は、図7の(b)に示すように、メカ基板15(図2)に設けたガイド孔20a、20bに嵌合されているトリガーロッド21のガイドピン21a、21bのうち、一方のガイドピン21aに作用する付勢ばね22により図の上方に付勢された状態となっている。ガイド孔20a、20bは、カムロッド23の移動方向(図中の上下方向)に対して、傾斜する傾斜ガイド部20cと、図中の左右方向のガイド部20dとを有している。図7の(b)ではガイドピン21a、21bが傾斜ガイド部20cの上端に付勢ばね22により付勢されて保持された状態となっている。
【0026】
図7の(a)の状態から、トリガーレバー9と右センタリングレバー8が、挿入されるディスク100の外周に押されて矢印9rの方向に回動すると、ディスク100が位置決めピン8a、11aに当接する位置まで移動し、図4に示す状態となる。図4の状態では、トリガーレバー9のカムピン9dが右ストッパー19から離脱し、トリガーレバー9は右センタリングレバー8と共に更に回動可能となっている。このため、トリガーレバー9は、ディスク100に押されて、支点9cを中心として矢印9rの方向に回動する。またディスク100に位置決めピン8aが押されて支点8cを中心に反時計方向に回動する右センタリングレバー8の軸8dに嵌合されているトリガーレバー9の支点9cは、右センタリングレバー8の回動に伴って矢印8r方向に移動する。このトリガーレバー9の回動と支点9cの移動によって、トリガーレバー9の駆動ピン9bが溝カム21cから溝カム21eに移動する。
【0027】
この移動した状態を図8の(a)に示す。この移動により、ガイドピン21a、21bは、図8の(b)に示すように、付勢ばね22の付勢力に抗してガイド孔20a、20bの傾斜ガイド部20cの上端から下端に移動し、そのためトリガーロッド21は下方に動くこととなる。図8の(a)は、図5の状態と同じであり、ディスク100が所定の装填位置に到達した状態を示すものである。
【0028】
図7の(a)の状態から図8の(a)の状態への変化によるトリガーロッド21の図の下方への移動を「初期移動(第1の移動)」という。初期移動により、トリガーロッド21の端面21jがカムロッド23のピン23bに係合してこれを押す。カムロッド23の初期移動前は、図16に示すように、カムロッド23に設けたラック23mが駆動小歯車34aと噛合していない状態にあるが、初期移動により図17に示すようにラック23mが駆動小歯車34aと噛合する位置まで移動する。歯車列34、34a、33、32、35はモータ24により回転しているので、カムロッド23はラック23mを介して、モータ24に駆動されて矢印23rで示す方向に更に移動を開始する。カムロッド23の矢印23rの方向へのこの移動(第2の移動)により、図示を省略した連結機構により、図2に示すクランプレバー43が図17、図18に示す矢印43r方向に回動する。これによりクランパー46が下降してトラバース47のターンテーブル47a(図2)がディスク100の中央孔に入り込んでディスク100が装着される。
【0029】
モータ24の駆動により、図8の(a)に示す状態から、更にカムロッド23が矢印23rの方向へ移動すると、トリガーロッド21のピン21fの嵌合状態は、図8の(a)から図9の(a)に示す状態に変化し、溝カム23aの傾斜部23dを経て最上部23eに到達する。この移動の過程で、傾斜部23dにおいてピン21fが図の左方に押されるので、トリガーロッド21は更に矢印21rの方向へ移動する。ここで、図8(a)から図9(a)への状態変化により、ガイドピン21a、21bは、図9の(b)に示すように、ガイド孔20a、20bのガイド部20dにガイドされて図の左方に移動することとなる。そのためトリガーロッド21の図中上部斜辺によって形成されたカム21gが右センタリングレバー8の軸8dを上方に押上げる。その結果、右センタリングレバー8は支点8cを回動中心として反時計方向に回動し、トリガーレバー9は溝カム21eに嵌合された駆動ピン9bを中心として時計方向に回動するため、先端の係合ピン9aはディスク100の外周から離れる(図9及び図6)。
【0030】
又図6に示すように、右センタリングレバー8が支点8cを回動中心として反時計方向に回動すると、係合ピン8bで右センタリングレバー8に連結されている左センタリングレバー11は、支点11cを回動中心として時計方向に回動する。これにより、位置決めピン8a及び11aもディスク100の外周から離れる。また検知レバー12も時計方向に回動して検知ピン12aがディスクの外周から離れた状態になる。以上の動作の完了により図示を省略したスイッチが駆動されモータ24が停止し、大径のディスク100の装填が完了する。
【0031】
次に規格直径8cmの小径のディスク120をディスクローディング装置に装填するときの動作について図10から図18を参照して説明する。ディスクローディング装置のディスク挿入口5の横幅は、大径のディスク100の直径より若干大きい寸法になされている。従ってこの横幅は小径のディスク120の直径よりも大幅に大きい。そのため、使用者がディスクローディング装置にディスク120を装填するとき、ディスク120が挿入口5のどの部分に挿入されるかわからない。例えば、図10に示す例では、ディスク120を挿入口5の左側の部分に挿入している。また図11に示す例では、ディスク120を挿入口5の右側の部分に挿入している。
本実施の形態のディスクローディング装置では、ディスク120が挿入口5のどの位置から挿入されてもディスク120を所定の位置に位置決めすることができる。
【0032】
図10を参照して挿入口5の左側の部分にディスク120を挿入した場合の動作を説明する。図10では、ディスク120が挿入された後、左センタリングレバー11の位置決めピン11aに当接した状態を示す。
図10において、使用者がディスク120を挿入口5に挿入すると、ゴムローラ38に当接する手前で、前記大径のディスク100を装填するときと同様に、図示を省略したスイッチが閉となりモータ24が回転を開始する。モータ24の回転によりゴムローラ38が回転し、更に押し込むと回転しているゴムローラ38とクランプレバー43に固定されたガイドロッド44の間にディスク120が挟まれ、ディスク120は矢印5aの方向に搬送されて、ディスクローディング装置内に入ってゆく。ディスク120はまず検知レバー12の検知ピン12aに当たり、これを押すので検知レバー12は時計方向に少し回動し、カムピン12bが左ストッパー18から離脱する。次にディスク120は左センタリングレバー11の位置決めピン11aに当たりこれを押す。位置決めピン11aは、ディスク120に押されて図の時計方向に回動しようとするが、連結された右センタリングレバー8がロックされているため、ディスク120は位置決めピン11aに接しながら右方に移動しつつ更に挿入されてゆく。
【0033】
ディスク120はトリガーレバー9の係合ピン9aに当たりこれを押して矢印9r方向に回動させる。これにより、カムピン9dは右ストッパー19から離脱し、右センタリングレバー8のロックが解除される。しかし、この時点でディスク100は検知レバー12の検知ピン12aから離れている。従って検知レバー12は検知レバーばね13の付勢力で復帰しており、カムピン12bも左ストッパー18に復帰する。このため、位置決めピン11aは、今度は連結された左センタリングレバー11がロックされているため動かない。最終的にディスク120は動かない位置決めピン8aに当たり進入が止まる。このときディスク120は左側の位置決めピン11aにも当たっており、図12に示すように、ディスク120は2つの位置決めピン8a、11aに当たることにより所定位置に位置決めされる。
【0034】
次に、図11を参照して、ディスク120を挿入口5の右側部分から挿入した場合の動作を説明する。挿入されたディスク120は、まず右センタリングレバー8の位置決めピン8aに当たる。位置決めピン8aはトリガーレバー9のカムピン9dが右ストッパー19に当たるため動かない。そのためディスク120は位置決めピン8aに接しつつ図の左上方に移動する。ディスク120は係合ピン9aに当たるとこれを押しながら進み、トリガーレバー9のカムピン9dが右ストッパー19から離脱する。しかし連結された左センタリングレバー11がロックされているため、図12に示すようにディスク120は左センタリングレバー11の位置決めピン11aに当たって止まり位置決めされる。すなわち図10の状態で挿入した場合と同様にディスク120は位置決めピン8a及び11aによって位置決めされる。
【0035】
前記の動作において、図10及び図11のいずれの場合でも、ディスク120が位置決めピン8a及び11aに当たり最終の位置決めがなされて図12の状態になる直前に、トリガーレバー9は矢印9r方向に回動する。このトリガーレバー9の動作について、図12から図15を参照して説明する。
小径ディスク120が位置決めされて図12の状態になったとき、トリガーレバー9は図14の(a)に示す状態となっている。この状態は小径ディスク120挿入前の状態である図7の(a)から変化した状態である。この図7の(a)から図14の(a)への状態変化の過程で、トリガーレバー9の回動によって、トリガーレバー9の駆動ピン9bが溝カム21cから溝カム21hの入り口に移動し、トリガーロッド21を矢印23rの方向に押す。この動作によって、図14の(b)に示すようにガイドピン21a、21bは、付勢ばね22の付勢力に抗してガイド孔20a、20bの傾斜ガイド部20cの上端から下端に移動する(第1の移動)。これにより図14の(a)に示すように、トリガーロッド21の端面21jがカムロッド23のピン23bを矢印23r方向に押し、カムロッド23は図の下方に初期移動する。その結果前記の大径ディスク100の場合と同様に、初期移動前は図16に示すように、カムロッド23に設けたラック23mが駆動小歯車34aと噛合していない状態にあったものが、初期移動後図17に示すように、カムロッド23のラック23mが駆動小歯車34aと噛合する。駆動小歯車34aはモータ24に駆動されているのでカムロッド23を更に矢印23r方向に移動させる(第2の移動)。その結果、カムロッド23は、図14に示す状態から図15に示す状態へと変化し、ピン21fは溝カム23aの傾斜部23dを経て最上部23eに到達する。この移動の過程で、傾斜部23dによってピン21fが左方に押されるので、トリガーロッド21は更に矢印21r方向へ移動する。図14から図15への状態変化により、ガイドピン21a、21bは、図15の(b)に示すように、ガイド孔20a、20bのガイド部20dにガイドされて図の左方に移動する。この移動により、駆動ピン9bは溝カム21hの傾斜部に案内され、その傾斜面によって駆動ピン9cを支点として時計方向に回動するので、係合ピン9aは矢印9r方向に回り、図15の(a)に示すようにディスク120の外周から離れる。図13の上面図に係合ピン9aがディスク120の外周から離れた状態を示す。このとき位置決めピン8a及び11aはディスク120の外周に接している。
【0036】
次にディスク120の外周から位置決めピン8a及び11aが離れる動作について図16から図18を参照して説明する。
図16から図18は図13の右側面図である。図17に示すように位置決めピン8aは大径部8mと、大径部8mより直径の小さい小径部8nを有する。具体的寸法としては、例えば大径部8mの直径が3mm、小径部8nの直径が1mmである。図10から図13に示すようにディスク120を位置決めするときには、ディスク120の外周部は大径部8mに当接するように、ディスク120と位置決めピン8a及び11aの高さが設定されている。
【0037】
図12及び図13に示すディスク120の装填動作中、図14の(a)に示す状態から図15の(a)に示す状態にカムロッド23が矢印23rの方向に初期移動する。カムロッド23が初期移動した結果、前記のように、移動前は図16に示すように、カムロッド23に設けたラック23mが駆動小歯車34aと噛合していない状態にあったものが、図17に示すように、カムロッド23のラック23mが駆動小歯車34aに噛み合う。歯車列34、34a、33、32、35はモータ24により回転しているので、カムロッド23はラック23mを介して、モータ24の駆動により更に矢印23rの方向に移動する(第2の移動)。その結果、図示を省略したカム機構により、図18に示すように、クランプレバー43が軸43aを中心に矢印43rで示す方向に回動する。これにより図2に全体の形状が示されているクランプレバー43に取り付けられた押え板ばね45は矢印45rで示す方向に動き、その下面に取り付けられているクランパー46がディスク120を矢印45rで示す方向に約3mm押下げる。その結果ディスク120の中央の孔がターンテーブル47a(図2及び図3)に嵌め込まれる。ディスク120が押下げられた結果、ディスク120の外周は大径部8mから離れ、小径部8nに所定の隙間を保って対向する。以上の動作により、ディスク120の外周は位置決めピン8a及び11aから離れ、回転可能な状態になる。
【0038】
なお、装填したディスク100又は120をディスクローディング装置から取り出す動作については説明を省略する。
本発明によれば、大径のディスク100をディスクローディング装置に装填したとき、ディスク100を位置決めするための、右センタリングレバー8、トリガーレバー9、左センタリングレバー11及び検知レバー12を含むすべての機構要素が、ディスク100の装填領域1dの外部にあり、ディスク100のラベル面の上にはない。従って図1及び図2に示すサブシャーシ1の開口部2a、2bからディスク100のラベル面を見ることができる。
【0039】
小径のディスク120を装填したときは、右センタリングレバー8及び左センタリングレバー11が装填領域1d内にはあるが、小径のディスク120の外周から離れている。従ってディスク120のラベル面を前記の開口部2a、2bから見ることができる。ディスク100及び120のラベル面の上に前記の機構要素がないので、ラベル面とサブシャーシ1との間の間隔を、回転中のディスク100又は120が接触しない程度に狭くすることができる。これによりディスクローディング装置の厚みを薄くすること(薄型化)が可能となる。
本実施の形態では、右センタリングレバー8、トリガーレバー9、左センタリングレバー11及び検知レバー12が、それぞれの軸で支持され回転動作で移動するように構成されているが、これらの要素がスライド機構やリンク機構などにより直線移動(線形動作)をするように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、大径ディスクと小径ディスクを共用できる薄型ディスクローディング装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態のディスクローディング装置の上面図
【図2】本発明の実施の形態のディスクローディング装置の分解斜視図
【図3】本発明の実施の形態のディスクローディング装置のディスクを装填する前の状態を示す要部平面図
【図4】本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、大径ディスクを装填している途中の要部平面図
【図5】本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、大径ディスクの装填時の移動が停止した状態を示す要部平面図
【図6】本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、大径ディスクの装填が完了した状態を示す要部平面図
【図7】(a)は本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、トリガーレバーの装填前の状態を示す要部平面図、(b)は同トリガーロッド移動の説明図
【図8】(a)は本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、トリガーレバーの装填動作末期の状態を示す要部平面図、(b)は同トリガーロッド移動の説明図
【図9】(a)は本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、装填完了後のトリガーレバーの状態を示す要部平面図、(b)は同トリガーロッド移動の説明図
【図10】本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、小径ディスクを、挿入口の左側から装填するときの要部平面図
【図11】本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、小径ディスクを挿入口の右側から装填するときの要部平面図
【図12】本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、小径ディスクの装填途中の要部平面図
【図13】本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、小径ディスクの装填完了後の要部平面図
【図14】(a)は本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、小径ディスクの装填時のトリガーレバーの動作を示す要部平面図、(b)は同トリガーロッド移動の説明図
【図15】(a)は本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、小径ディスクの装填完了時のトリガーレバーの状態を示す要部平面図、(b)は同トリガーロッド移動の説明図
【図16】本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、小径ディスク装填途中の図11の右側面図
【図17】本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、小径ディスク装填途中の図12の右側面図
【図18】本発明の実施の形態のディスクローディング装置において、小径ディスク装填完了後の図12の右側面図
【符号の説明】
【0042】
1 サブシャーシ
2a、2b 開口部
5 挿入口
8 右センタリングレバー
8b 係合ピン
9 トリガーレバー
9a 係合ピン
9d カムピン
10 付勢ばね
11 左センタリングレバー
11c 支点孔
12 検知レバー
12a 検知ピン
15 メカ基板
16 トラバース取付孔
19 右ストッパー
21 トリガーロッド
21c 溝カム
23 カムロッド
23a 溝カム
24 モータ
26 ベルト
27 ウオームプーリ
29 回動軸
30 ウオームホイールB
31 ウオームギア
36 ローラ軸
37 ローラ歯車
38 ゴムローラ
39 ローラレバー
40 左軸受
41 右軸受
43 クランプレバー
45 押え板ばね
46 クランパー
47 トラバース
47a ターンテーブル
47b 光ピックアップ
48a、48b、48c 取付けねじ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部に設けた位置決めピンが装置内に挿入されたディスクの外周に当接する位置決めレバー、
前記位置決めレバーに移動可能に取付けられ、一方の端部に設けた係合ピンが前記挿入されたディスクの外周に当接して移動するトリガーレバー、
前記トリガーレバーに前記係合ピンとは別に設けられた駆動ピンに係合して前記トリガーレバーの移動に連動して変位するトリガーロッド、
所定のカム溝を有し、前記トリガーロッドの変位に応じて第1の移動をするカムロッド、
前記カムロッドの前記第1の移動後に、前記カムロッドの第2の移動を行うための駆動手段を備え、
前記カムロッドのカム溝は、前記駆動手段による前記カムロッドの第2の移動によって前記トリガーロッドを前記カムロッドの前記カム溝に沿って移動可能とし、前記第2の移動により、前記トリガーレバーの前記係合ピンがディスクの外周から離れるように構成したことを特徴とするディスクローディング装置。
【請求項2】
前記トリガーロッドは、前記カムロッドの移動方向と略平行に移動可能であり、且つ連続して前記カムロッドの移動方向に対して直角方向にも移動可能となるように、ディスクローディング装置のメカ基板に設けたガイド孔にガイドされるガイドピンを有し、前記トリガーロッドの移動に伴って前記トリガーレバーを、前記一方の端部に設けた前記係合ピンがディスクから離れる方向に移動させるカム部を有することを特徴とする請求項1記載のディスクローディング装置。
【請求項3】
前記位置決めレバーは、ディスク装填位置において、前記駆動手段の駆動力によって第2の移動をするトリガーロッドの移動により、前記トリガーレバーの前記係合ピンがディスクから離れる際に、前記位置決めレバーの位置決めピンがディスクから離れる方向に連動して移動するようにトリガーレバーに連結されていることを特徴とする請求項1または2記載のディスクローディング装置。
【請求項4】
前記位置決めピンは、ディスクの挿入完了の停止時においてディスクの外周と当接する高さ位置に形成された大径部と、ディスクを挿入完了後に下降させて記録再生部に装着した装着完了時に前記ディスクの外周に対向する高さ位置に形成された小径部とを有し、ディスクの装着完了状態ではその外周が前記位置決めピンの小径部に所定の隙間を保って対向するように構成したことを特徴とする請求項1記載のディスクローディング装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−172542(P2006−172542A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360393(P2004−360393)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】