説明

ディスク搬入装置及びディスク装置

【課題】簡易な構成でディスクを適切に搬入できるディスク搬入装置及びディスク装置を提供すること。
【解決手段】ディスク搬入装置(ディスク装置)は、ディスク搬入方向に沿い、挿入口(挿抜口)2Aの略中央を通る仮想の直線Lを中心とする略対称に配置され、挿入口2Aの両端近傍に軸支される一端を中心として他端が互いに離間する方向に回動して、ディスクを搬入するフロントアーム31,32と、仮想の直線Lを中心とする略対称に交差して配置され、各アーム31,32の回動を同期させるリンクアーム33,34とを備え、リンクアーム33,34は、搬入位置に搬入されたディスクに当接して、ディスクの移動を規制する規制部333,343を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク搬入装置及びディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びBD(BLU-RAY DISC:登録商標)等のディスクに対して情報の読取及び記録を行うディスク装置が知られている。このようなディスク装置として、ディスク収納用の開口部に挿入されたディスクを搬送するアームを備えたスロットイン型のディスク装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のディスク装置では、ディスクが挿抜される開口部の両端近傍に回動軸を有する一対のフロントアームが軸支され、当該一対のフロントアームは、一対のリンクアームにより、同期して回動する構成となっている。そして、開口部から挿入されたディスクを各アームのローラーが把持すると、当該各ローラーの回転により、各フロントアームが開口部から離間する方向に回動しつつ、ディスクを装置内部に搬入する。このようにして搬入されたディスクは、サポートアーム及び検知アームによりセンタリングされ、チャッキング位置に配置されると、チャックプーリーとターンテーブルによりチャッキングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−335065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の特許文献1に記載のディスク装置では、同期して回動する一対のフロントアームによって搬入されたディスクを複数のアームによりチャッキング位置に誘導する構成であるため、ディスク装置の構成が複雑になるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、簡易な構成で、搬入されるディスクを搬入位置に適切に搬入することができるディスク搬入装置及びディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明のディスク搬入装置は、ディスクの直径寸法に応じた挿入口を有する装置本体を備え、前記挿入口に挿入された前記ディスクを前記装置本体内に設定された搬入位置に搬入するディスク搬入装置であって、前記ディスクの搬入方向に沿い、かつ、前記挿入口の略中央を通る仮想の直線を中心とする略対称にそれぞれ配置され、前記挿入口の両端近傍にそれぞれ軸支される一端を中心として他端が互いに離間する方向に回動して、前記ディスクを搬入する一対のフロントアームと、前記仮想の直線を中心とする略対称にそれぞれ交差して配置され、一端を中心として他端が互いに離間する方向に回動して、一方が係合する前記フロントアームの回動と、他方が係合する前記フロントアームの回動とを同期させる一対のリンクアームとを備え、前記一対のリンクアームのうち少なくともいずれかは、前記搬入位置に搬入された前記ディスクの端縁に当接して、前記搬入方向先端側への前記ディスクの移動を規制する規制部を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、一対のリンクアームの少なくともいずれかにおける搬入方向先端側の位置に、ディスクの端縁に当接して、搬入位置から搬入方向先端側にディスクが移動することを規制する規制部が設けられている。これによれば、フロントアームにより搬入されたディスクを搬入位置に適切に配置することができる。このような搬入位置へのディスクの搬入を、一対のフロントアームと、当該各フロントアームの回動を同期させる一対のリンクアームとにより行うことができるので、他のアーム等を設ける必要がなく、前述の特許文献1に記載のディスク装置に比べて構成を簡略化することができる。従って、簡易な構成で、ディスクを搬入位置に適切に搬入することができる。
【0009】
本発明では、前記各リンクアームは、屈曲形状を有し、内側が前記搬入位置の中心を向くように配置されることが好ましい。
このような屈曲形状は、中心から各端部に向かう直線が、所定の角度で交差する屈曲形状であり、例えば、略L字状及び略円弧状等を挙げることができる。
本発明によれば、リンクアームが略直線形状を有する場合に比べ、回動軸側とは反対側の端部の移動範囲を小さくすることができるので、ディスク搬入装置を小型化することができる。また、装置本体内のスペースを有効に利用することができるほか、ディスク搬入装置を構成する他の部品に一対のリンクアームが干渉することを抑制できる。
【0010】
本発明では、前記各リンクアームは、前記規制部をそれぞれ備え、前記各規制部は、前記搬入位置の中心に対して前記搬入方向先端側で、かつ、前記仮想の直線を中心とする略対称にそれぞれ配置されていることが好ましい。
本発明によれば、各規制部が、前述の仮想の直線を中心として略対称配置されているので、当該各規制部により、ディスクにおける当該仮想の直線を中心とする略対称位置を規制することができる。従って、規制部が一方のリンクアームの1箇所にのみ設けられている場合に比べ、ディスクがずれることなく、当該ディスクを搬入位置に確実に停留させることができる。
【0011】
本発明では、前記各フロントアームは、前記仮想の直線を中心とする略対称位置に、前記ディスクの端縁に当接して当該ディスクを把持する把持部材をそれぞれ備え、前記各フロントアームのうち少なくともいずれか一方が有する前記把持部材は、前記ディスクを搬送するローラーであり、前記規制部は、前記ディスクに当接した際に、前記把持部材とともに前記ディスクを前記搬入位置に停留することが好ましい。
本発明によれば、搬入位置に搬入されたディスクの端縁には、規制部と各把持部材とが当接する。これによれば、当該ディスクを少なくとも3点で支持することができるので、搬入位置にディスクを安定して確実に停留させることができる。なお、前述のように、各リンクアームが規制部をそれぞれ有していれば、ディスクが各規制部及び各把持部材により4点で支持されるので、当該ディスクを安定して搬入位置に停留させることができる。
【0012】
本発明では、前記各リンクアームの回動軸となる前記一端は、前記搬入位置の中心に対して前記搬入方向先端側に位置し、前記各リンクアームの前記他端は、前記各フロントアームの前記他端とそれぞれ係合することが好ましい。
ここで、各リンクアームの回動軸となる一端が、搬入位置の中心に対して搬入方向基端側に位置する場合には、搬入方向先端側に位置する規制部は、各フロントアームの回動に応じた各リンクアームの回動により、前述の仮想の直線から大きく離間する。このため、搬入位置に搬入されたディスクの端縁に当接する規制部の位置設定が複雑となる。特に、挿入口に応じた直径寸法を有するディスク(例えば、直径12cmのディスク)より小さなディスク(例えば、直径8cmのディスク)を規制部が位置決めする場合には、当該規制部の位置設定は一層複雑となる。また、このように各規制部が仮想の直線から大きく離れることにより、ディスクの規制が適切に行われない可能性が生じる。
【0013】
これに対し、各リンクアームの回動軸となる一端が、搬入位置の中心に対して搬入方向先端側に位置することにより、各フロントアームの回動に応じて各リンクアームが大きく開いた場合でも、各規制部の位置が前述の仮想の直線から大きく離れない。このため、搬入位置に搬入されたディスクの端縁に、規制部を確実に当接させることができ、当該ディスクを適切に規制することができる。また、前述の小さなディスクが挿入された場合でも、当該ディスクを適切に規制することができ、当該各規制部の位置設定を容易に行うことができる。従って、各規制部によるディスクの規制を確実に行うことができる。
【0014】
本発明では、前記各リンクアームのうち、一方のリンクアームは、他方のリンクアームとの交差部位において当該他方のリンクアームに向かって突出する第1突起部を有し、他方のリンクアームは、前記第1突起部が挿入され、かつ、前記各リンクアームの回動時の前記第1突起部の軌跡に沿う第1溝部を有することが好ましい。
本発明によれば、第1溝部に第1突起部が挿通して各リンクアームが組み合わされることで、各リンクアームを同じ回動量で同期させて回動させることができる。これによれば、当該各リンクアームに係合する各フロントアームを同じ回動量で同期させて回動させることができる。従って、前述の仮想の直線を中心として対称的に、各フロントアームを確実に回動させることができるので、当該各フロントアームにより、ディスクをセンタリングしつつ搬入することができる。
【0015】
本発明では、前記第1溝部は、前記ディスクが搬入されていない状態での前記第1突起部の位置から、前記搬入位置の中心に向かって切り欠かれた第1切欠を有し、前記第1切欠には、前記挿入口における前記他方のリンクアームが係合する前記フロントアーム側に偏って、前記ディスクより直径が小さい他のディスクが挿入された際に、前記第1突起部が嵌り込むことが好ましい。
本発明によれば、第1溝部を有するリンクアームが係合するフロントアーム側に偏って、直径が小さい他のディスクが挿入口に挿入された場合に、各フロントアームの回動を規制することができる。
【0016】
すなわち、偏って挿入された他のディスクにより、当該他のディスクに当接するフロントアーム、及び、当該フロントアームに係合するリンクアーム(第1溝部が形成された側のリンクアーム)には、搬入方向先端側への荷重がかかる。この状態で、各リンクアームが回動しようとすると、第1突起部は、第1溝部における搬入位置の中心に近接する側の端縁に沿って摺動して第1切欠に嵌まり込むので、各リンクアーム、ひいては、各フロントアームの回動を規制することができる。従って、当該他のディスクがセンタリングされずに搬入されることを防止できる。
【0017】
なお、各フロントアームを挿入口側に付勢する付勢部材をそれぞれのフロントアームに設け、当該各フロントアームのがた付きを防止するために一方の付勢部材の付勢力を他方の付勢部材の付勢力より小さくする場合には、第1溝部及び第1切欠を有するリンクアームに係合するフロントアームに作用する付勢部材の付勢力を、他方のフロントアームに作用する付勢部材の付勢力より小さくすることが好ましい。これによれば、当該フロントアーム側に前述の他のディスクが偏って挿入された場合に、第1切欠に第1突起部を確実に嵌まり込ませることができる。従って、当該他のディスクがセンタリングされずに搬入されてしまうことを確実に防止できる。
【0018】
本発明では、前記各フロントアームは、対応する前記リンクアームに向かって突出する第2突起部をそれぞれ備え、前記各リンクアームは、前記フロントアームの回動に伴って前記第2突起部が内部を摺動する第2溝部をそれぞれ有し、前記各第2溝部のうち、少なくともいずれかは、当該第2溝部から前記搬入位置の中心側に切り欠かれた第2切欠を有し、前記第2切欠には、前記挿入口における前記第2切欠を有する前記リンクアームとは反対側の前記リンクアームに係合する前記フロントアーム側に偏って、前記ディスクより直径が小さい他のディスクが挿入された際に、前記第2突起部が嵌り込むことが好ましい。
本発明によれば、第2切欠に第2突起部が嵌まり込むことにより、当該第2突起部を有するフロントアームとは反対側に偏って、直径が小さい他のディスクが挿入口に挿入された場合に、各フロントアームの回動を規制することができる。
【0019】
すなわち、前述のように、偏って挿入された他のディスクにより、当該他のディスクに当接するフロントアーム、及び、当該フロントアームに係合するリンクアームには、搬入方向先端側への荷重がかかる。このため、ディスク搬入時の各フロントアームの回動に伴って、当該フロントアームとは反対側のフロントアームの第2突起部は、当該第2突起部が係合する第2溝部における搬入位置の中心側の端縁に沿って摺動する。この第2突起部が、更に摺動して、第2切欠に嵌まり込むことにより、各リンクアーム及び各フロントアームの更なる回動を規制することができる。従って、当該他のディスクがセンタリングされずに搬入されてしまうことを防止できる。
【0020】
なお、各フロントアームに前述の付勢部材が設けられている場合には、大きな付勢力が作用するフロントアームが第2突起部を有し、また、当該フロントアームに係合するリンクアームが第2溝部及び第2切欠を有することにより、小さな付勢力が作用するフロントアーム側に他のディスクが偏って挿入された際に、第2切欠に第2突起部を確実に嵌まり込ませることができる。従って、当該他のディスクがセンタリングされずに搬入されてしまうことを確実に防止できる。
【0021】
本発明では、前記一対のリンクアームのうち、少なくともいずれかは、前記ディスクが前記搬入位置に搬入された際に、前記ディスクから離間した状態で前記各リンクアームの前記他端が互いに近接する方向への回動を規制する第1回動規制部を有することが好ましい。
本発明によれば、搬入位置に搬入されたディスクから規制部が離間した状態を維持することができるほか、各リンクアームの回動が規制されるので、当該ディスクに近接する方向への各フロントアームの回動も規制することができ、当該各フロントアームがディスクから離間した状態を確実に維持することができる。従って、各リンクアーム及び各フロントアームが干渉しないので、例えば、ディスクを回転させる場合に、各フロントアームによりディスクの回転が妨げられることを防ぐことができる。
【0022】
本発明では、前記搬入位置に搬入された前記ディスクの一方の面に当接する当接部材と、回動により、前記当接部材を前記ディスクに当接させるアーム部材とを備え、前記一対のリンクアームのうち、少なくともいずれかは、前記ディスクが搬入されていない場合に、前記アーム部材の回動を規制する第2回動規制部を備えることが好ましい。
このような当接部材としては、例えば、ディスクの中央の孔部に挿入されて、当該ディスクを回転させるターンテーブルや、当該ターンテーブルとともにディスクをチャッキングするチャッキング部材(チャックプーリー)等を挙げることができる。
本発明によれば、第2回動規制部により、アーム部材の回動が規制されるので、ディスクが搬入されていない状態では、当接部材が移動しない。従って、当該当接部材により、ディスクの搬入が妨げられることを防止することができる。
【0023】
また、本発明のディスク装置は、前述のディスク搬入装置と、前記ディスク搬入装置により搬入された前記ディスクに対して情報の読取及び記録のうち少なくともいずれかを行う情報読取/記録装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、前述のディスク搬入装置と同様の効果を奏することができる。また、これにより、ディスクに対する情報の読取及び記録の少なくともいずれかを、情報読取/記録装置により適切に行うことができるので、ディスク装置の信頼性を向上することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、各リンクアームにおける搬入方向先端側の位置に設けられた規制部により、簡易な構成で、搬入位置に搬入されたディスクの搬入方向先端側への移動を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係るディスク装置の外観を示す斜視図。
【図2】前記実施形態における装置本体を示す右側面図。
【図3】前記実施形態におけるロアーケースを示す図。
【図4】前記実施形態における装置本体を示す上面図。
【図5】前記実施形態における上部ユニットを示す下面図。
【図6】前記実施形態における上部ユニットを示す下面図。
【図7】前記実施形態における下部ユニットを示す上面図。
【図8】前記実施形態における下部ユニットを示す下面図。
【図9】前記実施形態における下部ユニットを示す図。
【図10】前記実施形態における昇降装置を示す斜視図。
【図11】前記実施形態における昇降装置を示す斜視図。
【図12】前記実施形態における第1スライドカムを示す上面図。
【図13】前記実施形態における第1スライドカムを示す下面図。
【図14】前記実施形態における第2スライドカムを示す上面図。
【図15】前記実施形態における第2スライドカムを示す下面図。
【図16】前記実施形態における第1ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図17】前記実施形態における第1ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図18】前記実施形態における第1ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図19】前記実施形態における第1ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図20】前記実施形態における第1ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図21】前記実施形態における第1ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図22】前記実施形態における第1ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図23】前記実施形態における第1ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図24】前記実施形態における第1ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図25】前記実施形態における第2ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図26】前記実施形態における第2ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図27】前記実施形態における第2ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図28】前記実施形態における第2ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図29】前記実施形態における第2ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図30】前記実施形態における第2ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図31】前記実施形態における第2ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図32】前記実施形態における第2ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図33】前記実施形態における第2ディスクの搬入時の動作を示す図。
【図34】本発明の第2実施形態に係るディスク装置のリンクアーム及びチャックアームを示す図。
【図35】前記実施形態における第1ディスクの搬入時の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔1.第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るディスク装置1の外観を示す斜視図である。なお、以下の図及び説明においてX方向は、ディスク装置1を水平面上に載置した状態で、ディスクを挿抜する挿抜口2Aに正対した際の左方向を示す。また、Y方向は当該状態で上方向を示し、Z方向は、X方向及びY方向にそれぞれ直交し、かつ、ディスク装置1内にディスクが搬入される方向を示す。
本実施形態に係るディスク装置1は、スロットイン型のディスク装置として構成され、内部に搬入されたディスクに対して情報の読取及び記録を行うものである。このようなディスク装置1は、本発明のディスク搬入装置に相当し、図1に示すように、装置本体2と、当該装置本体2を覆うシールド部材11,12とを備えている。
【0027】
〔シールド部材の構成〕
シールド部材11は、装置本体2の上面、左右の両側面及び背面を覆い、シールド部材12は、装置本体2の正面側(挿抜口2Aが形成される側)を覆う。これらシールド部材11,12は板金を折曲加工することにより形成されている。
このうち、シールド部材12には、装置本体2の挿抜口2Aに対して挿抜されるディスクのうち、直径12cmのディスク(第1ディスク)D1(図16)の寸法に応じた開口部(図示省略)が形成されている。この開口部に応じた位置には、ディスクを挿抜するための切込を有する布カーテン121が貼付される。この布カーテン121は、フェルト等により形成することができる。
【0028】
〔装置本体の構成〕
図2は、装置本体2を示す右側面図である。
装置本体2は、図2に示すように、装置本体2の上部及び下部を構成する上部ユニット21及び下部ユニット22を備える。これら各ユニット21,22は、Z方向に長い平面視略矩形状の合成樹脂製の上部フレーム21A及び下部フレーム22Aを備え、当該上部フレーム21A及び下部フレーム22Aと、当該下部フレーム22Aの底面に取り付けられるロアーケース25とにより、装置本体2の外形となる筐体24が構成される。
上部フレーム21Aは下部フレーム22Aにねじ固定される。これら上部フレーム21A及び下部フレーム22Aは、Z方向基端側にそれぞれ凹部21A1(図5),22A1(図7)を有し、当該各フレーム21A,22Aが組み合わさることで、これら凹部21A1,22A1により、装置本体2にディスクを挿抜するための挿抜口2Aが形成される。この挿抜口2Aは、本発明の挿入口に相当する。
【0029】
図3は、ディスク装置1を構成するロアーケース25を下方から見た図である。
ロアーケース25は、図3に示すように、Z方向に長い略矩形状の金属製部材であり、下部フレーム22Aの底面にねじ固定される。このロアーケース25は、Z方向基端側の端部近傍(挿抜口2Aに近い端部近傍)に、略円形状の挿通孔251を有する。この挿通孔251は、後述するウォームホイール73の十字溝733(図8)に応じた位置に形成されたイマージェンシーイジェクト用の孔である。この挿通孔251にドライバー等の治具(図示省略)を挿通させて十字溝733に係合させ、当該ウォームホイール73を回転させることで、後述する搬送装置3が駆動されて、ディスクが排出される。
【0030】
〔上部ユニットの構成〕
図4は、装置本体2を示す上面図である。
上部ユニット21は、前述の上部フレーム21Aのほか、図4に示すように、ディスクを搬送する搬送装置3と、搬入されたディスクをチャッキング位置にてチャッキングするチャック装置4と備え、これら搬送装置3及びチャック装置4は、上部フレーム21Aに取り付けられている。この上部フレーム21Aには、複数の溝部が形成され、当該各溝部は、搬送装置3及びチャック装置4を構成する各アームの回動を案内するほか、当該各アームの回動範囲を規定する。更に、上部フレーム21Aには、略中央に平面視略円形状の開口部211が形成され、当該開口部211の形成位置に応じて、チャック装置4を構成するチャックプーリー43が配置される。
【0031】
〔搬送装置の構成〕
図5及び図6は、上部ユニット21を示す上面図及び下面図である。なお、図6では、上部フレーム21Aの図示を省略している。
搬送装置3は、下部ユニット22を構成する駆動装置7(図8)で生じる駆動力により、挿抜口2Aに挿入されたディスクをチャッキング位置(搬入位置)に搬入するほか、装置本体2内部に収納されたディスクを搬出する。この搬送装置3は、図4〜図6に示すように、挿抜口2Aの両端近傍に軸支された一対のフロントアーム31,32と、一対のフロントアーム31,32の回動を同期させる一対のリンクアーム33,34と、検知レバー35とを備える。
【0032】
〔フロントアームの構成〕
フロントアーム31,32は、上部フレーム21Aの上面部21Uにそれぞれ軸支され、当該各アーム31,32は、それぞれ挿抜口2Aの左右(X方向先端側及び基端側)に配置されている。すなわち、各フロントアーム31,32は、挿抜口2Aの中央を通り、かつ、ディスクの搬入方向(Z方向)に沿う仮想の直線Lを中心として対称配置され、挿抜口2A側の端部が、当該挿抜口2Aの両端近傍に軸支されている。
これらのうち、フロントアーム31は、平板状のアーム本体311、把持部材312,313、アイドラー314、3つのギア315〜317及び付勢部材としての捻りコイルばね318を備える。
【0033】
アーム本体311は、平面視略三角形状を有する。このアーム本体311は、最大角部分(鈍角部分)を挟む2辺のうち、一辺が挿抜口2Aに沿い、かつ、当該一辺を挟む2つの端部のうち、最大角部分でない方の端部が挿抜口2Aの左側端縁近傍に軸支される。このため、アーム本体311における最大角部分は、挿抜口2Aの中央寄りの位置に配置される。このようなアーム本体311は、当該アーム本体311の回動軸RA1側の端部に取り付けられた捻りコイルばね318により、挿抜口2Aに近接する方向に付勢されている。
アーム本体311のZ方向先端側の端部には、鉤状に突出して、リンクアーム33の溝部332に挿通される本発明の第1突起部としての突起部3111が上面側に形成されている。
【0034】
把持部材312,313は、ゴムにより略円筒状に形成され、図5及び図6に示すように、アーム本体311における下面側(下部フレーム22Aに対向する側)にそれぞれ軸支されている。詳述すると、把持部材312は、アーム本体311における斜辺上の略中央に軸支され、また、把持部材313は、アーム本体311におけるZ方向先端側の端部近傍に軸支されている。これら各把持部材312,313は、後述するモーター71の駆動力が伝達されて回転し、ディスクの端縁を把持して、当該ディスクを搬送するローラーである。
【0035】
アイドラー314及びギア315〜317は、それぞれアーム本体311に軸支され、後述する駆動装置7のギアシャフト76(図7)から伝達される駆動力(回転力)を、把持部材312,313に伝達する。
アイドラー314は、挿抜口2Aに最も近い位置に配置され、フロントアーム31の回動軸RA1と同軸上に回転軸を有する。このアイドラー314は、ギアシャフト76と噛合して、当該ギアシャフト76の回転によりギア315を回転させる。
【0036】
ギア315〜317は、それぞれ略同じ直径を有し、また、同数の歯を有する。
ギア315は、ギア316及び把持部材312に噛合して、アイドラー314の回転に応じてこれらを回転させる。
ギア316は、ギア317と噛合しており、ギア317は、把持部材313と噛合している。このため、ギア315とギア317とは、同方向に同じ回転速度で回転し、これにより、各把持部材312,313は、同方向に同じ回転速度で回転する。
【0037】
フロントアーム32は、平板状のアーム本体321、把持部材322,323及び付勢部材としての捻りコイルばね324を備える。
アーム本体321は、アーム本体311と略鏡像対称構造を有し、当該アーム本体311とは反対側、すなわち、挿抜口2Aの右側に軸支される。詳述すると、アーム本体321は、平面視略三角形状を有し、最大角部分(鈍角部分)を挟む2辺のうち、一辺が挿抜口2Aに沿い、かつ、当該一辺を挟む2つの端部のうち、最大角部分でない方の端部が挿抜口2Aの右側端縁近傍に軸支される。そして、当該アーム本体321は、回動軸となる端部に取り付けられた捻りコイルばね324により、当該最大角部分が挿抜口2Aに近接する方向に付勢されている。なお、この捻りコイルばね324の付勢力は、捻りコイルばね318の付勢力より大きく、各フロントアーム31,32のがた付きを抑制している。
【0038】
アーム本体321は、Z方向先端側の端部に、鉤状に突出し、かつ、リンクアーム34の溝部342に挿通される本発明の第1突起部としての突起部3211を有する。
また、アーム本体321は、アーム本体321の斜辺部分に、下方に向かって突出し、かつ、それぞれ略円筒状の一対の突起部3212,3213を有する。これらのうち、アーム本体321の回動軸RA2側に位置する突起部3212は、後述する検知アーム61の開口部614(図7及び図8)に挿入され、また、突起部3213は、後述する第2スライドカム82のガイド部831又はガイド部832(図11及び図14)と係合する。
更に、アーム本体321の上面における略中央には、突起部3214(図4)が形成されている。
【0039】
把持部材322,323は、前述のフロントアーム31の各把持部材312,313と同様の形状を有し、当該各把持部材312,313と同様に、アーム本体321の斜辺における略中央、及び、Z方向先端側の端部近傍に、それぞれ固定されている。そして、各フロントアーム31,32が回動していない状態では、各把持部材312,322は、挿抜口2Aから略同じ寸法だけ離れた位置に配置され、また、各把持部材313,323は、挿抜口2Aからそれぞれ略同じ分だけ離れた位置に配置されている。換言すると、各把持部材322,323は、各把持部材312,313に対して、仮想の直線Lを中心として対称位置に配置されている。このような把持部材322,323は、把持部材312,313とともに、ディスクの端縁を把持する。
【0040】
〔リンクアームの構成〕
一対のリンクアーム33,34は、各フロントアーム31,32の回動を同期させるものであり、それぞれ挿抜口2Aに向かって左側及び右側に配置されている。すなわち、各リンクアーム33,34は、前述の仮想の直線Lを中心として、互いに対称配置される。
これらリンクアーム33,34は、図4に示すように、それぞれ略同じ寸法を有し略対称な平面視略L字状に形成され、Z方向先端側の端部が上面部21Uに軸支され、基端側の端部が各アーム31,32に係合する。
【0041】
具体的に、リンクアーム33,34のZ方向先端側の端部は、開口部211を挟んで挿抜口2Aとは反対側の位置に軸支され、互いに交差するように配置される。これらリンクアーム33,34の回動軸RA3,RA4となる軸支位置は、仮想の直線Lを中心として対称配置されている。なお、リンクアーム34は、回動軸RA4を有する端部が、挿抜口2Aに近い端部より低く(上面部21Uから近く)なっている。この構成により、リンクアーム33との重なり部分の厚みを吸収でき、当該挿抜口2Aに近い端部は、リンクアーム33と上面部21Uからの位置が略同じとなり、また、フロントアーム32の突起部3211と上面部21Uからの位置も略同じとなっている。
なお、本実施形態では、回動軸RA3,RA4は、仮想の直線Lを中心とする対称位置に配置されているが、同じ位置(例えば、当該直線L上)でもよい。
【0042】
リンクアーム33における回動軸RA3側の端部近傍には、X方向に沿う略円弧状の溝部331が形成され、また、リンクアーム34における回動軸RA4側の端部近傍には、本発明の第1突起部としての略円筒状の突起部341が上面側に形成されている。そして、各リンクアーム33,34は、溝部331に突起部341を挿通させるようにして組み合わされる。
【0043】
この溝部331は、本発明の第1溝部に相当し、各リンクアーム33,34の閉状態(ディスクを搬入していない状態)で一方(X方向先端側)の端部に突起部341が位置し、各アーム33,34の開状態(ディスクを搬入した状態)で他方(X方向基端側)の端部に突起部341が位置するように形成されている。この閉状態から開状態への遷移においては、突起部341は、溝部331のZ方向先端側の端縁に沿って移動する。
【0044】
このような溝部331は、リンクアーム33側(X方向先端側)に偏って直径8cmのディスク(第2ディスク)D2(図25)が挿抜口2Aに挿入された際に、各リンクアーム33,34の閉状態から開状態への遷移、すなわち、各アーム33,34の回動を規制する規制部3311を有する。この規制部3311は、本実施形態では、閉状態での突起部341の場所から、当該溝部331の円弧とは異なる方向(Z方向とは反対方向)に向かって延出する切欠として形成されている。この規制部3311は、本発明の第1切欠に相当し、詳しくは後述するが、当該規制部3311に突起部341が嵌まり込むことにより、各アーム33,34及びフロントアーム31,32の更なる回動が規制され、ディスクD2の搬入が規制される。なお、溝部がリンクアーム34に形成され、突起部がリンクアーム33に形成されていてもよい。
【0045】
また、各リンクアーム33,34における回動軸RA3,RA4側の端部とは反対側の端部には、突起部3111,3211が挿通する本発明の第2溝部としての溝部332,342が形成されている。この溝部332,342に沿って、本発明の第2突起部としての突起部3111,3211が摺動することにより、一方のフロントアームの回動に伴って、各リンクアーム33,34が回動し、他方のフロントアームが回動する。これにより、各フロントアーム31,32の回動が同期する。
【0046】
なお、溝部342は、挿抜口2Aにおけるフロントアーム31側(X方向先端側)に偏って第2ディスクD2が挿入された際に、各アーム33,34の閉状態から開状態への遷移を規制する規制部3421を有する。この規制部3421は、本実施形態では、溝部342においてリンクアーム33側に切り欠かれた切欠として形成されている。この規制部3421は、本発明の第2切欠に相当し、詳しくは後述するが、当該規制部3421に突起部3211が嵌まり込むことにより、各リンクアーム33,34の回動、ひいては、フロントアーム31,32の更なる回動が規制され、ディスクD2の搬入が規制される。
【0047】
なお、リンクアーム34における回動軸RA4側の端部とは反対側の端部には、外側に突出する突出部344が形成されている。この突出部344は、規制部3421に突起部3211が嵌まり込んだ際に、突起部3214と係合し、当該規制部3421とともに、フロントアーム31,32及びリンクアーム33,34の回動を規制する。
また、リンクアーム34は、規制部343と回動軸RA4との間の外径側部分(開口部211から離れた端縁)に、凹部345が形成されている。この凹部345は、溝部332,342に近い各端部が互いに離間するようにリンクアーム33,34が回動した際に、当該リンクアーム33の回動軸RA3を囲むように配置される。
【0048】
更に、リンクアーム34は、当該各アーム33,34の閉状態で、後述するチャックアーム41,42の回動を規制する回動規制部346,347を有する。これら回動規制部346,347は、本発明の第2回動規制部に相当する。
具体的に本実施形態では、回動規制部346は、リンクアーム34の底面側で、上面部21Uからの高さ位置が変化する部分に、後述するチャックアーム41に近接する方向に突出する凸部として形成されている。また、回動規制部347は、当該リンクアーム34の略中央における外径側(開口部211から離れている側)の端縁近傍に、上面部22U側に向かって突出するボスとして形成されている。この回動規制部346がチャックアーム41の後述する規制部413に嵌り込み、また、回動規制部347にチャックアーム42の後述する規制部423が当接することにより、リンクアーム34が回動していない状態(ディスクを搬入していない状態)でのチャックアーム41,42の回動を規制する。なお、回動規制部346,347の形状及び配置位置は適宜設定可能であり、当該回動規制部346,347は、リンクアーム33に設けられていてもよく、各アーム33,34にそれぞれ個別に設けられていてもよい。
【0049】
更に、各リンクアーム33,34の底面側には、図5及び6に示すように、略円筒状の規制部333,343がそれぞれ形成されている。これら規制部333,343は、フロントアーム31,32により搬入されたディスクの端縁を底面側から支持してチャッキング位置に位置決めし、当該ディスクがチャッキング位置よりZ方向先端側に移動することを規制する。このような規制部333,343は、リンクアーム33,34がそれぞれ回動した場合でも、前述の仮想の直線Lを中心とした対称位置にあり、具体的には、フロントアーム31,32及びリンクアーム33,34が回動して、搬入されたディスクD1,D2がチャッキング位置に位置した際に、当該各ディスクD1,D2に当接する位置に設けられている。
【0050】
このような規制部333,343には、リンクアーム33,34からの突出方向先端に、当該突出方向に直交する方向に延出する延出部3331,3431が形成されている。これら延出部3331,3431の延出方向は、リンクアーム33,34が回動していない状態(ディスクを搬入していない状態)では、開口部211(図5)に向かう方向に設定されている。また、延出部3331,3431は、図示を省略するが、当該延出方向先端側の端部から規制部333,343の側面に向かって傾斜する傾斜面を有し、当該傾斜面は、ディスクの端縁に当接して、当該側面に適切に当接させる。
【0051】
〔検知レバーの構成〕
検知レバー35は、リンクアーム33の底面側に軸支され、ディスクがチャッキング位置に搬入されたことを検知して、後述する昇降装置8の第1スライドカム81をZ方向基端側に移動させる。この検知レバー35は、平面視略L字状の平板状に形成され、回動軸側の端部に、底面側に突出する略円筒状の押圧部351が形成され、また、回動軸側とは反対側の端部に、同じく底面側に突出する突出部352が形成されている。
このうち、突出部352は、チャッキング位置に搬入されるディスクの端縁に当接し、検知レバー35を回動させる。また、押圧部351は、検知レバー35が回動した際に、第1スライドカム81を押圧してZ方向基端側に移動させる。
【0052】
〔チャック装置の構成〕
チャック装置4は、後述する光学装置5のターンテーブル521とともに、搬入されたディスクをチャッキングする。このチャック装置4は、図4〜図6に示すように、一対のチャックアーム41,42と、チャックプーリー43と、各チャックアーム41,42を付勢する引張コイルばね44,45とを備える。
【0053】
〔チャックプーリーの構成〕
チャックプーリー43は、本発明の当接部材に相当し、ディスクの記録面とは反対側の面に当接して、ターンテーブル521とともに当該ディスクを挟持するものであり、図4に示すように、開口部211に応じた位置に配置される。このチャックプーリー43は、内部に磁石が設けられ、かつ、開口部211内に挿入される小径部(図示省略)と、当該開口部211より大きな直径寸法を有する大径部431とを有し、当該大径部431は、チャックアーム41,42により支持される。
【0054】
このため、チャックプーリー43は、ディスクをチャッキングしていない状態では、当該各チャックアーム41,42により、開口部211から浮いた状態で維持される。そして、各チャックアーム41,42が回動してチャックプーリー43から離間すると、磁力によってターンテーブル521に近接する方向にチャックプーリー43が移動して、これらのよるディスクのチャッキングが行われる。この際、大径部431は、上部フレーム21Aに干渉せず、このため、ディスクの回転が妨げられることがない。
なお、ディスクの搬出時には、大径部431がチャックアーム41,42により持ち上げられることで、チャックプーリー43とターンテーブル521とによるチャッキングが解除される。
【0055】
〔チャックアームの構成〕
一対のチャックアーム41,42は、本発明のアーム部材に相当し、上面部21Uにおける左側(X方向先端側)及び右側(X方向基端側)にそれぞれ軸支される。また、チャックアーム41は、リンクアーム33と交差し、チャックアーム42は、リンクアーム34と交差するように、各リンクアーム33,34と上部フレーム21Aの上面部21Uとの間に配置される。
これらチャックアーム41,42は、図6に示すように、それぞれの略中央に略円形状の開口部411,421が形成されており、当該開口部411,421に上面部21Uに形成されたボス(図示省略)が挿入されることで、当該開口部411,421の中心を回動軸RA5,RA6として、各チャックアーム41,42は回動する。
【0056】
各チャックアーム41,42は、開口部211側の端部に、当該開口部211に沿う略円弧状の当接部412,422を有する。これら当接部412,422は、ディスクが搬入されていない状態では、チャックプーリー43に当接して、当該チャックプーリー43を上部フレーム21Aから離間される方向に押し上げた状態で支持する。
また、チャックアーム41,42は、リンクアーム34に当接して、当該チャックアームの回動を規制する規制部413,423を有する。具体的に、規制部413は、凸部346が嵌まり込む切欠として形成され、また、規制部423は、チャックアーム42の略中央における内径側(開口部211に近い側)の端縁に形成されている。そして、規制部413に前述の凸部346が嵌まり込み、また、規制部423に、ボス347に当接することで、リンクアーム34が回動していない状態(ディスクが搬入されていない状態)での、チャックアーム41,42の回動が規制される。なお、フロントアーム31,32の回動に伴うリンクアーム33,34の回動により、当該リンクアーム33,34が規制部413,423から離間することにより、チャックアーム41,42の回動規制が解除される。
【0057】
チャックアーム41,42は、開口部211から離間する側の端部に、当該チャックアーム41,42の底面側に突出する略円筒状の突出部414,424をそれぞれ有する。これら突出部414,424は、後述する昇降装置8の第2スライドカム82のガイド部821,835(図11及び図14)にそれぞれ挿入され、当該第2スライドカム82の回動に伴って、チャックアーム41,42を回動させる。このチャックアーム41,42の回動により、当接部412,422がチャックプーリー43から離間し、当該チャックプーリー43が、チャッキング位置に搬入されたディスクを、ターンテーブル521とともにチャッキングする。
【0058】
なお、チャックアーム41における突出部414側の端部には、係合部415が形成され、また、チャックアーム42における突出部424と開口部421との間には、係合部425が形成されている。これら係合部415,425には、上部フレーム21Aに一端が係止された引張コイルばね44,45の他端が係合する。このため、チャックアーム41,42は、当該ばね44,45の付勢力により、当接部412,422がチャックプーリー43に当接する方向に付勢される。
【0059】
このようなチャックアーム41,42は、ディスクが搬入されていない状態では、リンクアーム33,34により回動が規制され、各リンクアーム33,34が回動されると、各チャックアーム41,42の回動が許容される。また、検知レバー35の回動により、後述する第1スライドカム81がスライドされると、第2スライドカム82により、チャックアーム41,42が、チャックプーリー43から離間する方向に回動して、当該チャックプーリー43によるディスクのチャッキングが行われる。
【0060】
〔下部ユニットの構成〕
図7及び図8は、下部ユニット22を示す上面図及び下面図である。
下部ユニット22は、前述のように、装置本体2の下部を構成する。この下部ユニット22は、図7及び図8に示すように、下部フレーム22Aを備えるほか、光学装置5、検出装置6、駆動装置7及び昇降装置8を備える。そして、これら光学装置5、検出装置6、駆動装置7及び昇降装置8は、それぞれ下部フレーム22Aに取り付けられる。
【0061】
下部フレーム22Aは、図7に示すように、挿抜口2Aを形成する前述の凹部22A1と、Z方向先端側に形成された略矩形状の開口部221と、凹部22A1の略中央近傍に形成された略楕円形状を有する開口部222と、凹部22A1の左側(X方向先端側)に位置する開口部223及び軸部224とを有するほか、複数の溝部が形成されている。これらのうち、複数の溝部は、前述の上部フレーム21Aの溝部と同様に、各アームの回動範囲を規定するほか、各アーム等に設けられた突出部位を、上面部22U側又は下面部22L側に露出させる。更に、下部フレーム22Aは、上面部22Uに軸支されたサポートアーム225を備える。
【0062】
開口部221,222は、下面部22Lに取り付けられた光学装置5及び後述するロックレバー228の突起部2283を、上面部22U側に露出させる。
開口部223は、後述する駆動装置7を構成し、かつ、当該開口部223内に形成された軸部224に軸支されるギアシャフト76を上面部22U側に露出させる。このギアシャフト76は、前述のアイドラー314と噛合する。
【0063】
〔サポートアームの構成〕
サポートアーム225は、フロントアーム32が回動する際の把持部材323側の端部の軌跡に応じて、平面視略円弧状に形成され、上面部22Uの右側(X方向基端側)の端縁近傍に軸支されている。換言すると、サポートアーム225は、挿抜口2Aから後述するターンテーブル521に至るまでの範囲内に軸支されている。このサポートアーム225は、軸支位置に設けられた捻りコイルばね2250の付勢力により、ディスクが搬入されていない状態では、Z方向に略直交する状態で維持されている。
【0064】
このようなサポートアーム225は、軸支位置とは反対側の端部に、搬入されるディスクの端縁に当接する当接部2251を有する。そして、サポートアーム225は、当該当接部2251に当接したディスクの搬送力により回動しつつ、当該ディスクをセンタリングする。特に、小径のディスクD2が挿抜口2Aにおけるフロントアーム31側に偏って挿入された際に、当該ディスクD2の端縁に当接部2251が当接することで、ディスクD2はセンタリングされる。
【0065】
また、サポートアーム225は、図8に示すように、軸支位置近傍に下方に向かって突出する突起部2252を有する。この突起部2252は、後述する第2スライドカム82と係合し、ディスクが搬入されていない状態で、当該第2スライドカム82の回動を規制する。そして、サポートアーム225がディスクの搬入に伴って回動することにより、突起部2252による第2スライドカム82の回動規制が解除され、また、当該第2スライドカム82の回動により、サポートアーム225は、ディスクの端面から離間される。
【0066】
下部フレーム22Aの下面部22Lには、図8に示すように、挿抜口2Aの右側(X方向基端側であり、図8における左側)端部近傍に、面外方向に突出する略円筒状の突起部226が形成され、また、略中央には、平面視略U字状のガイド部227が形成されている。
突起部226は、後述する検出装置6の検知アーム61を軸支する。
ガイド部227は、後述する第2スライドカム82の回動を案内する。このガイド部227の内側及び外側に、後述する光学装置5及び第2スライドカム82が位置する。ガイド部227には、当該光学装置5のホルダー56に設けられた一対の突起部5611が挿通する開口部(図示省略)が形成されており、当該開口部を介して、各突起部5611は、第2スライドカム82と係合する。
【0067】
〔ロックレバーの構成〕
下面部22LにおけるZ方向基端側には、挿抜口2Aと第2スライドカム82との間に、ロックレバー228が軸支されている。このロックレバー228は、ディスクの搬入後に挿抜口2Aを塞ぐように起立して、他のディスクの挿入を防止するものである。
ロックレバー228は、図8及び図9に示すように、右側(X方向基端側)端部に形成された軸部2281を有し、当該軸部2281にて、下面部22Lに対して傾倒自在に軸支される。また、ロックレバー228は、第2スライドカム82に係合する突起部2282を有するほか、軸部2281とは反対側に形成され、上方側に突出する突起部2283を有する。
【0068】
このようなロックレバー228は、ディスクが搬入されていない状態では、下面部22Lに対して傾斜するように配置されている。そして、ディスクの搬入に伴って当該第2スライドカム82が回動すると、突起部2282が第2スライドカム82のガイド部829に沿って摺動して、下面部22Lに沿うようにロックレバー228が回動する。この回動により、突起部2283が、開口部222を介して上面部22U側に露出する。この突起部2283が、挿抜口2Aの略中央を塞ぐことで、他のディスクの挿入が防がれる。
【0069】
また、下部フレーム22Aにおける下面部22Lから起立する側面のうち、左側(X方向先端側であり、図8における右側)の側面には、略直角三角形状の係止部229が突設されている。この係止部229は、第2スライドカム82の規制部825と当接して、当該第2スライドカム82が、引張コイルばね(図示省略)によるZ方向先端側への付勢力により、同方向にスライドしすぎないようにする。すなわち、当該係止部229は、第2スライドカム82の初期位置を規定している。
更に、下面部22Lには、後述する駆動装置7のモーター71近傍に、面外方向(下方)に突出する突起部230が形成されている。この突起部230は、ディスクの搬入に伴って第2スライドカム82が回動した際に当接部828と当接して、当該第2スライドカム82が必要以上に回動することを規制する。
【0070】
〔光学装置の構成〕
図9は、下部フレーム22A及び制御基板62を除く下部ユニット22を上方から見た図である。
光学装置5は、搬入されたディスクに対する情報の読取及び記録を行う。この光学装置5は、図7及び図8に示すように、下部フレーム22AにおけるZ方向先端側(図7及び図8における上側)に位置し、当該光学装置5の奥側(Z方向先端側)の端縁を中心として、換言すると、X方向に沿う軸を中心として、挿抜口2A側の端部が上下方向に回動自在に下面部22Lに取り付けられている。換言すると、光学装置5は、Y方向を中心とする回動が規制された状態で取り付けられている。このような光学装置5は、図7〜図9に示すように、支持部材51、回転装置52、一対のガイドレール53、移動装置54及びピックアップ55と、支持部材51を保持するホルダー56とを備える。
【0071】
支持部材51は、Z方向に沿って長い略矩形箱型状の金属製部材であり、当該Z方向先端側の両端は、下面部22Lに対して傾倒自在にねじ58(図8)により取り付けられ、また、当該Z方向基端側の両端は、ホルダー56にねじ58(図8)により固定される。この支持部材51は、略中央に開口部511を有し、当該開口部511内にはピックアップ55が配置される。すなわち、開口部511内には、ピックアップ55が移動するスペースが形成される。
【0072】
回転装置52は、図8及び図9に示すように、支持部材51のZ方向基端側(挿抜口2A側)の端部に設けられ、搬入されたディスクを回転させる。この回転装置52は、ターンテーブル521と、当該ターンテーブル521を回転させるモーター(図示省略)と、当該モーターの駆動を制御する制御基板522とを備える。
ターンテーブル521は、中心が前述の仮想の直線L(図4)上に位置するように配置される。このターンテーブル521は、ディスクの中央に形成された孔部に嵌合される嵌合部5211を有し、当該嵌合部5211には、チャックプーリー43と引き合う磁石(図示省略)が設けられている。このターンテーブル521の上面の中心に対応する位置が、チャッキング位置(本発明の搬入位置)の中心に相当する。
一対のガイドレール53は、Z方向に略平行に延出し、当該各ガイドレール53には、ピックアップ55が摺動自在に取り付けられている。
【0073】
移動装置54は、図9に示すように、支持部材51におけるX方向基端側に設けられ、当該移動装置54は、軸方向に沿う螺旋溝が外周に形成されたスピンドル541と、当該スピンドル541を回転させる駆動部542とを備える。このスピンドル541の螺旋溝には、ピックアップ55の一端が噛合する。そして、駆動部542がスピンドル541を回転させると、当該スピンドル541の回転に伴ってピックアップ55が、ガイドレール53に沿って、ターンテーブル521に対して近接及び離間する方向に移動する。
ピックアップ55は、ターンテーブル521により回転されるディスクにレーザー光を照射して、当該ディスクに情報を記録するほか、ディスクからの反射光を受光して、当該ディスクに記録された情報を読み取る。すなわち、ピックアップ55は、ディスクに対して情報の読取及び記録の少なくともいずれかを行う情報読取/記録手段に相当する。
【0074】
ホルダー56は、一端が下面部22Lに軸支され、他端が後述する第2スライドカム82に係合する。このホルダー56は、当該第2スライドカム82の回動に伴って、支持部材51におけるZ方向基端側(ターンテーブル521が配置される側)の端部を上方又は下方に移動させるものである。このホルダー56は、支持部材51におけるZ方向基端側の端部に沿い、かつ、当該端部が固定される基部561と、当該基部561の左右両端からZ方向先端側に延出する一対の延出部562,563とを備え、これらにより平面視略U字状を有する。
【0075】
基部561は、後述する第2スライドカム82の回動方向に沿うように形成され、下面部22Lに設けられた引張コイルばね(図示省略)により、下方側に付勢されている。この基部561は、Z方向基端側に向かって略円筒状に突出する一対の突起部5611を備える。これら突起部5611は、第2スライドカム82の一対のガイド溝839(図11)にそれぞれ挿入される。
左右の延出部562,563は、支持部材51の左右両端の略3/4を覆うように配置される。これら延出部562,563のZ方向先端側の端部には、支持部材51から離間する方向に突出する略円筒状の軸部5621,5631が形成されており、各軸部5621,5631にて、ホルダー56は下面部22Lに軸支される。
このようなホルダー56は、突起部5611が係合する第2スライドカム82の回動に伴って、軸部5621,5631を回動軸として上下に回動する。これにより、ターンテーブル521が上下に移動して、ディスクのチャッキング及びチャッキングの解除が行われる。
【0076】
〔検出装置の構成〕
検出装置6は、ディスクの搬送状態を検出するほか、スライドカムの回動位置を検出して、ディスクのチャッキング状態を検出する。そして、検出装置6は、これらの検出結果に基づいて、後述するモーター71の駆動を制御する。このような検出装置6は、図7〜図9に示すように、検知アーム61及び制御基板62(図9では図示省略)を備える。
【0077】
検知アーム61は、突起部226に嵌合される略円筒状のボス611(図8)を有し、当該ボス611にて、挿抜口2AにおけるX方向基端側の端縁近傍に軸支される。このボス611の周囲には捻りコイルばね63(図8及び図9)が取り付けられ、当該捻りコイルばね63により、検知アーム61は、挿抜口2Aに近接する方向に付勢されている。
【0078】
また、検知アーム61は、当接部612、押圧部613及び開口部614を有する。
当接部612は、図7に示すように、ボス611とは反対側の端部側に、上方に突出するように形成されている。この当接部612の突出方向先端部は、上面部22Uより上方に位置し、当該当接部612には、挿抜口2Aに挿入されたディスクの端縁が当接する。そして、当該ディスクがZ先端側に向かって押されることで、ボス611の中央を中心として、検知アーム61が回動する。
【0079】
押圧部613は、ボス611と当接部612との間に、当該ボス611の中央(すなわち、検知アーム61の回動軸)を中心とする略円弧状に下方に突出するように形成されている。この押圧部613は、検知アーム61の回動に伴って、制御基板62上に配設されたスイッチ621,622を押圧する。
開口部614は、ボス611と押圧部613との間で、かつ、Z方向先端側の端部近傍に略矩形状に形成されている。この開口部614には、前述のフロントアーム32の突起部3212が挿入される。このため、フロントアーム32の回動が第2スライドカム82により規制されると、検知アーム61の回動も規制される。
【0080】
制御基板62は、検知アーム61に隣接配置され、図8に示すように、3つのスイッチ621〜623を有する。
スイッチ621,622は、制御基板62における検知アーム61側にそれぞれ並列配置され、回動する検知アーム61の押圧部613により押圧される。これらスイッチ621,622は、ディスクが搬入されていない状態では、押圧されておらず、各スイッチ621,622の状態はオフ状態である。そして、ディスクの搬入に伴う検知アーム61の回動初期にて、まずスイッチ621が押圧されてオン状態となり、当該検知アーム61の回動終期にて、スイッチ622が押圧され、スイッチ621とともにオン状態となる。
【0081】
スイッチ623は、制御基板62におけるZ方向先端側の端部に、後述する第2スライドカム82に対して対向配置される。このスイッチ623は、第2スライドカム82の押圧部830(図14及び図15)により押圧されてオン状態となっている。そして、ディスクの搬入に伴って第2スライドカム82が回動すると、当該押圧部830による押圧が解除され、スイッチ623はオフ状態に遷移する。
【0082】
このような制御基板62は、スイッチ623がオン状態であるときに、スイッチ621がオフ状態からオン状態に遷移すると、駆動装置7を構成するモーター71に駆動信号を出力し、当該モーター71を順回転させる。これにより、搬送装置3によるディスクの搬入が行われ、ディスクの搬入位置に応じて検知アーム61が更に回動することで、スイッチ622がオン状態となる。そして、第2スライドカム82が回動して、スイッチ623がオフ状態となると、制御基板62は、モーター71に停止信号を出力し、これにより搬送装置3及び昇降装置8の駆動が停止される。
【0083】
一方、ディスクを搬出する際(例えば、使用者等により図示しないイジェクトボタンが押下された場合)には、制御基板62がモーター71に駆動信号を出力して、当該モーター71を逆回転させる。これにより、搬入時とは逆方向に第2スライドカム82及び各アーム31〜34が回動する。そして、フロントアーム32の挿抜口2Aに近接する方向への回動に伴って、検知アーム61が挿抜口2Aに近接する方向に回動する。この後、スイッチ623がオン状態となり、また、スイッチ622がオフ状態となると、制御基板62は、モーター71に停止信号を出力し、これにより、搬送装置3及び昇降装置8の駆動が停止される。この状態では、ディスクは各把持部材312,322により把持されたままであるので、挿抜口2Aからのディスクの転落が防がれる。
【0084】
〔駆動装置の構成〕
駆動装置7は、搬送装置3、チャック装置4及び昇降装置8を駆動させる駆動力をこれらに伝達する。この駆動装置7は、図8に示すように、下面部22Lにおける検出装置6とは反対側に配置され、当該駆動装置7は、モーター71、ウォームギア72、ウォームホイール73、ギア74,75、ギアシャフト76及びスイングアーム77を備える。
モーター71は、前述の制御基板62の制御下で駆動して、スピンドルに取り付けられたウォームギア72を回転させる。このモーター71は、ウォームギア72の回転軸が、挿抜口2Aに対して傾斜するように、下面部22Lに固定されている。
【0085】
ウォームホイール73、ギア74、ギアシャフト76及びスイングアーム77は、それぞれ下面部22Lに軸支されている。
このうち、ウォームホイール73は、減速ギアであり、当該ウォームホイール73は、直径寸法がそれぞれ異なる2段のギア部731,732を有する。これらのうち、上方側(下面部22Lに近接する側)に位置し、大きな直径寸法を有するギア部731は、ウォームギア72と噛合する。また、下方側(下面部22Lから離間する側)に位置し、小さな直径寸法を有するギア部732は、ギア74に噛合する。
【0086】
また、ウォームホイール73は、下方側に回転軸上に形成された十字溝733を有する。この十字溝733には、前述の挿通孔251を挿通した治具(図示省略)が挿入される。そして、当該治具を介してウォームホイール73を、モーター71の逆回転時と同方向に回転させると、装置本体2の各装置3,4,8が駆動して、ディスクが搬出される。なお、ディスクが既に搬入されている状態で、モーター71の順回転時と同方向にウォームホイール73を回転させようとした場合(ディスクを搬入させようとした場合)には、後述する第2スライドカム82の回動が規制されるので、ウォームホイール73は回転されない構成となっている。
【0087】
ギア74は、図8及び図9に示すように、直径寸法がそれぞれ異なる2段のギア部741(図8)、742(図9)を有する。このうち、下方側に位置し、大きな直径寸法を有するギア部741は、ギア部732及びギア75と噛合する。また、上方側に位置し、小さな直径寸法を有するギア部742は、後述する第1スライドカム81のラック部817と噛合して、当該第1スライドカム81をスライドさせる。すなわち、ギア部742は、ラック部817に対するピニオンとして機能する。
ギア75は、スイングアーム77に軸支されている。このギア75は、ギア74と噛合するほか、ディスクが搬入されていない状態では、ギアシャフト76に噛合する。
【0088】
ギアシャフト76は、略円筒状に形成され、前述の軸部224に軸支される。このギアシャフト76は、軸方向の両端に、それぞれギア部761(図8)、762(図7及び図9)を有する。下方側(Y方向基端側)のギア部761は、ギア75に噛合し、上方側(Y方向先端側)のギア部762は、上面部22Uより上方に位置し、前述のアイドラー314と噛合する。これにより、モーター71の回転力が、ギア315〜317を介して、各把持部材312,313に伝達され、当該各把持部材312,313が回転する。
【0089】
スイングアーム77は、図9に示すように、ギア74を軸支する軸部(図示省略)が挿通する略円形状の開口部771を中央に有し、当該開口部771を中心として回動自在に下面部22Lに取り付けられている。換言すると、スイングアーム77は、ギア74と同軸で回動するように、当該下面部22Lに軸支される。
このスイングアーム77は、Z方向基端側の端部に、ギア75を軸支する軸部772を有し、Z方向先端側の端部に、第2スライドカム82のガイド溝824(図14及び図15)に挿入される突起部773を有する。そして、第2スライドカム82の回動に応じて突起部773がガイド溝824に沿って移動することで、スイングアーム77は、ギア75がギアシャフト76から近接及び離間する方向に回動する。
【0090】
具体的に、ディスクの搬入に伴う第2スライドカム82の回動時(後述するS1方向への回動時)には、チャッキング位置にディスクが搬入されているので、フロントアーム31の各把持部材312,313を回転させる必要がなく、逆に、当該第2スライドカム82を回動させる駆動力が必要となる。このため、スイングアーム77が、ギア75をギアシャフト76から離間させる方向に回動することで、ギア75からギアシャフト76に回転力が伝達されなくなる。これにより、フロントアーム31の各把持部材312,313の回転が停止され、第2スライドカム82の回動に要する駆動力が確保される。
【0091】
一方、ディスクの搬出に伴う第2スライドカム82の回動時(後述するS2方向への回動時)には、当該第2スライドカム82の回動が終わる直前に、スイングアーム77は、ギア75がギアシャフト76に近接する方向に回動する。このため、ギア75とギアシャフト76が互いに噛合して、当該ギア75からギアシャフト76に回転力が伝達される。これにより、各把持部材312,313が回転され、ディスクを搬出するための駆動力が確保される。
【0092】
〔昇降装置の構成〕
図10は、昇降装置8をZ方向基端側でY方向基端側(下方側)から見た斜視図であり、図11は、当該昇降装置8をZ方向先端側でY方向先端側(上方側)から見た斜視図である。なお、図10及び図11において示すX,Y,Zの各方向は、ディスクが搬入されていない状態での昇降装置8の向きに合わせて記載されている。
昇降装置8は、駆動装置7から伝達される駆動力により、光学装置5を昇降させる。また、昇降装置8は、搬送装置3の各フロントアーム31,32、チャック装置4のチャックアーム41,42及びサポートアーム225を、チャッキング位置に搬入されたディスクから離間させるほか、ロックレバー228を回動させて、挿抜口2Aをロックする。このような昇降装置8は、図8〜図10に示すように、第1スライドカム81及び第2スライドカム82を備える。
【0093】
〔第1スライドカムの構成〕
図12及び図13は、第1スライドカム81を示す上面図及び下面図である。なお、図12及び図13において示すX,Y,Zの各方向は、ディスクが搬入されていない状態での第1スライドカム81の向きに合わせて記載している。
第1スライドカム81は、第2スライドカム82の下面にスライド自在に取り付けられる。この第1スライドカム81は、ディスクの搬入時に検知レバー35により押圧されて、駆動装置7に近接する方向にスライドする。そして、第1スライドカム81は、ギア74と噛合することで、図10〜図13に示すS1方向(上方から見て反時計回り)及びS2方向(上方から見て時計回り)にスライドし、ひいては、第2スライドカム82を同方向に回動させる。すなわち、第1スライドカム81のスライドは、第2スライドカム82の回動の契機となる。
このような第1スライドカム81は、図12及び図13に示すように、Z方向に沿って長い略円弧状部材として形成されている。そして、この第1スライドカム81は、当接部811、812、ガイド部813、開口部814、係合部815,816、ラック部817、ガイド部818及び突起部819を有する。
【0094】
当接部811は、Z方向先端側(S2方向側)に位置し、当接部812は、第1スライドカム81の略中央における内径側に位置している。これら当接部811,812には、ディスクD1,D2を搬入する際に、検知レバー35の押圧部351がそれぞれ当接する。そして、第1スライドカム81は、当該検知レバー35の回動により、第2スライドカム82に沿ってZ方向基端側であり、S1方向側(挿抜口2Aに近接する側)にスライドする。
ガイド部813は、同じくX方向先端側で、当接部812と同じ側に位置し、ディスクD2がチャッキングされた際に押圧部351に当接して、検知レバー35をディスクD2から離間させる。
【0095】
開口部814は、Z方向先端側に略矩形状に形成され、また、係合部815は、第1スライドカム81の略中央における内径側に形成されている。この開口部814の端縁及び係合部815には、第2スライドカム82の鉤状部836,837が係合して、当該第2スライドカム82からの第1スライドカム81の脱落を防止するほか、当該第2スライドカム82のスライドを案内する。
係合部816は、第1スライドカム81の略中央に下方側に突出するように鉤状に形成され、当該係合部816には、一端が第2スライドカム82に係止された引張コイルばね(図示省略)が係合する。この引張コイルばねにより、第1スライドカム81は、第2スライドカム82に対してZ方向先端側に付勢される。
【0096】
ラック部817、ガイド部818及び突起部819は、Z方向基端側(S1方向側)の端部に形成されている。
ラック部817は、外径側の端縁に沿って形成されている。このラック部817は、第1スライドカム81がS1方向側にスライドした際に、ギア74に噛合する。そして、第1スライドカム81は、ギア74の回転により、S1方向及びS2方向にスライドする。
ガイド部818は、内径側の端縁に沿って形成されている。このガイド部818は、第2スライドカム82の鉤状部838(図10及び図15)に当接し、第1スライドカム81のスライドを案内する。
【0097】
突起部819は、上方に突出する略楕円筒状を有する突起である。この突起部819は、第2スライドカム82のガイド溝827(図14及び図15)内に挿入されて、開口部814の端縁、係合部815及びガイド部818とともに、第2スライドカム82に対する第1スライドカム81のスライドを案内するほか、当該ガイド溝827におけるS1方向側の端縁に当接して、当該第1スライドカム81のS1方向へのスライドに応じて第2スライドカム82を同方向にスライドさせる。
【0098】
〔第2スライドカムの構成〕
図14及び図15は、第2スライドカム82を示す上面図及び下面図である。
第2スライドカム82は、ギア74に噛合してS1方向及びS2方向にスライドする第1スライドカム81により同方向にスライドしつつ回動し、光学装置5を昇降させるほか、搬入されたディスクの端縁に対して各アーム及び各レバーを離間及び当接させる。
この第2スライドカム82は、図8〜図11に示すように、略半円形状を有する合成樹脂製の一体成形品であり、挿抜口2Aと回転装置52との間に配置される。この第2スライドカム82の略半円形状の中心と、第1スライドカム81の略円弧状の中心とは略一致し、当該中心は、前述の仮想の直線L上に位置する。このような第2スライドカム82は、図14及び図15に示すように、ガイド部821、係止部822,823、ガイド溝824、規制部825、ガイド部826、ガイド溝827、当接部828、ガイド部829、押圧部830、ガイド部831,832、規制部833、ガイド部834,835(以上、図14)及び鉤状部836〜838(図15)を備える。
【0099】
以下、第2スライドカム82におけるS2方向側からS1方向側に向かってそれぞれ形成された各部821〜835を、主に図14に基づいて説明する。
ガイド部821は、第2スライドカム82のS2方向側の端部に上面部82Uから起立し、当該ガイド部821は、チャックアーム41の突出部414(図6)と係合する。そして、ガイド部821は、第2スライドカム82がS1方向に回動した際に、チャックアーム41を回動させて、チャックプーリー43から当接部412を離間させる。なお、第2スライドカム82がS2方向に回動する場合には、引張コイルばね44の付勢力によりチャックアーム41は回動され、当接部412がチャックプーリー43に当接する。
【0100】
係止部822,823は、S2方向側で、かつ、第2スライドカム82の内径側にそれぞれ形成されている。これらのうち、内径側に突出する係止部822には、下面部22Lに設けられた引張コイルばね(図示省略)が係合する。このばねにより、第2スライドカム82は、S2方向側(S1方向とは反対側)に付勢される。また、外径側に突出する係止部823には、一端が第1スライドカム81に係止された引張コイルばね(図示省略)の他端が係止される。
【0101】
ガイド溝824は、第2スライドカム82のS2方向側の端部近傍に形成され、当該ガイド溝824には、前述のスイングアーム77の突起部773(図9)が挿入される。そして、当該ガイド溝824は、前述のように、第2スライドカム82の回動に応じて、スイングアーム77を回動させて、ギア75とギアシャフト76とを噛合又は離間させる。
規制部825は、第2スライドカム82の外径側に形成されている。この規制部825は、第2スライドカム82がS2方向に回動した際に、下部フレーム22Aの係止部229(図8)と当接し、当該第2スライドカムの更なるS2方向への回動を規制する。
ガイド部826は、第2スライドカム82の上面部82U側に、内径側の端縁に沿って形成されている。このガイド部826は、下面部22Lに当接して、当該第2スライドカム82のスライドを案内する。
【0102】
ガイド溝827は、第2スライドカム82の半円形状と略同じ中心を有する略円弧状に形成され、当該ガイド溝827には、第1スライドカム81の突起部819(図12)が挿入される。そして、前述のように、当該突起部819がガイド溝827のS1方向側の端縁に当接しつつ、第1スライドカム81がS1方向にスライドすることで、第2スライドカム82が、同方向に回動する。なお、第2スライドカム82はS2方向に付勢されているため、モーター71が逆回転して、第1スライドカム81がS2方向にスライドする場合には、突起部819がガイド溝827のS1方向側の端縁に当接したまま、第2スライドカム82は、S2方向に回動する。
当接部828は、第2スライドカム82がS1方向に回動した際に、下面部22Lに形成された突起部230(図8)に当接し、当該第2スライドカム82が必要以上に回動することを規制する。
【0103】
ガイド部829は、外径側に形成され、かつ、高さ位置(Y方向の位置)がそれぞれ異なる第1ガイド部8291及び第2ガイド部8294により構成される。このガイド部829は、ロックレバー228の突起部2282(図8及び図9)と係合し、当該ロックレバー228を回動させる。
第1ガイド部8291は、図15に示すように、S2方向側で、かつ、下方側(Y方向基端側)に形成されている。この第1ガイド部8291は、S2方向側に位置し、かつ、当該S2方向に沿う平坦部8292と、S1方向側に位置し、かつ、平坦部8292のS2方向側の端部から上方に向かって傾斜する傾斜部8293とを有する。
【0104】
第2ガイド部8294は、図14に示すように、S1方向側に位置し、かつ、上方側(Y方向先端側)に形成されている。この第2ガイド部8294は、S2方向側に位置し、かつ、上方に向かって傾斜した傾斜部8295と、当該傾斜部8295のS1方向側の端部に接続され、かつ、当該S1方向に沿う平坦部8296とを有する。そして、傾斜部8295は、傾斜部8293と対向するように配置されている。
【0105】
このようなガイド部829において、ディスクが搬入されていない状態では、突起部2282は、平坦部8292に応じた位置に配置されており、第2スライドカム82のS1方向への回動に伴って、当該突起部2282は、平坦部8292から傾斜部8293側に移動する。そして、第2スライドカム82が更にS1方向に移動すると、突起部2282は、傾斜部8293と対向される傾斜部8295に沿って移動して、突起部2283が上面部22Uから突出する方向に、ロックレバー228を回動させる。そして、突起部2282が、平坦部8296に沿うように配置されることで、ロックレバー228の回動が規制され、突起部2283が上面部22Uから突出した状態が維持される。これにより、挿抜口2Aに対する他のディスクの挿入が規制される。
【0106】
なお、この状態から第2スライドカム82がS2方向に回動した場合には、突起部2282が、平坦部8296から平坦部8292に向かって相対的に移動することにより、ロックレバー228が逆方向に回動して、突起部2283が上面部22Uから下方に移動する。これにより、挿抜口2Aに対するディスクの挿入が許容される。
【0107】
押圧部830は、外径側に形成され、前述のスイッチ623(図8)を押圧する。この押圧部830は、第2スライドカム82がS1方向に回動し終えた状態で、スイッチ623から離間する。
ガイド部831は、外径側から外側に突出する。このガイド部831のS1方向側端部は、第2スライドカム82のS1方向への回動時に、大径のディスクD1を搬入するフロントアーム32の突起部3213に当接し、当該フロントアーム32をディスクD1から離れる方向に回動させる。
ガイド部832は、S1方向に略直交する面を有し、同様に、第2スライドカム82がS1方向に回動する際に、当該面にて突起部3213に当接して、フロントアーム32を小径のディスクD2から離れる方向に回動させる。
【0108】
規制部833は、S1方向側を向く略U字状に外径側に形成されている。この規制部833は、ディスクが搬入されていない状態で第2スライドカム82がS1方向に回動しないように、サポートアーム225の突起部2252(図7)に当接し、当該第2スライドカム82の回動を規制する。
ガイド部834は、内径側に形成され、第2スライドカム82のS1方向への回動時に、ディスクに当接して回動した突起部2252に当接し、サポートアーム225をディスクから離れる方向に回動させる。
【0109】
ガイド部835は、S1方向側の端部において上面部82Uから起立して形成されている。このガイド部835は、ディスクD1,D2がチャッキング位置に搬入された際に、第2スライドカム82のS1方向への回動に伴って、チャックアーム42の突出部424(図6)と係合し、当接部422がチャックプーリー43から離間する方向に、チャックアーム41を回動させる。なお、第2スライドカム82がS2方向に回動した場合には、ガイド部835と突出部424とが離間し、チャックアーム42は、引張コイルばね44(図4)の付勢力により、当接部422がチャックプーリー43に近接する方向に回動する。
【0110】
鉤状部836〜838は、図15に示すように、S2方向側の端部近傍に、第2スライドカム82の下面部82Lから突出するように形成されている。
これらのうち、鉤状部836は開口部814(図10)に挿入され、鉤状部837は係合部815(図10)と係合して、第2スライドカム82からの第1スライドカム81の脱落を規制する。
鉤状部838は、ガイド溝827近傍に形成され、ガイド部818(図10)に係合して、第2スライドカム82に対する第1スライドカム81の移動を案内する。
【0111】
第2スライドカム82は、これらの他に、図11に示すように、一対のガイド溝839を有する。これらガイド溝839は、内径側、すなわち、前述のホルダー56の基部561(図9)に近接する側に形成されている。これらガイド溝839は、S1方向に沿う一対の平坦部8391,8393と、当該各平坦部8391,8393を接続する傾斜部8392とを有する。
【0112】
S1方向側に位置する平坦部8391は、S2方向側に位置する平坦部8393より下方側(Y方向基端側)に位置し、また、傾斜部8392は、平坦部8391におけるS2方向側の端部から上方に向かってなだらかに連続して傾斜して、平坦部8393のS1方向側の端部に接続される。この傾斜部8392は、第2スライドカム82の回動軸に沿う方向(Y方向であり、ディスクD1,D2の回転軸に沿う方向)に対して傾斜する。換言すると、傾斜部8392は、第1係合部である突起部5611の移動範囲の一端から他端に向かうに従って、ディスクD1,D2に対して近接するように連続して傾斜している。更に換言すると、当該傾斜部8392は、ディスクD1,D2の一方の面(例えば、記録面)に対して傾斜する直線に沿うように形成されている。具体的には、傾斜部8392における平坦部8391側の端部に比べて、平坦部8393側の端部が、搬入されたディスクD1,D2に対して近い位置となるように、当該傾斜部8392は形成されている。
【0113】
このようなガイド溝839には、ホルダー56の突起部5611がそれぞれ挿入される。そして、第2スライドカム82がS1方向に回動すると、当該突起部5611が、平坦部8391に応じた位置から、傾斜部8392を介して平坦部8393に移動することにより、前述の光学装置5における挿抜口2A側(Z方向基端側)の端部が上昇される。一方、第2スライドカム82がS2方向に回動すると、各突起部5611は、平坦部8393から傾斜部8392を介して平坦部8391側に移動して、光学装置5における挿抜口2A側の端部が下降される。
【0114】
〔直径12cmのディスクの搬入〕
図16〜図24は、ディスクD1搬入時のディスク装置1の動作を示す図である。
以下、挿抜口2Aに挿入された直径12cmのディスクD1を搬入する際のディスク装置1の動作を説明する。
挿抜口2AにディスクD1が挿入されると、当該ディスクD1は当接部612(図7)に当接して、検知アーム61(図8)を回動させる。この検知アーム61の回動によりスイッチ621が押圧され、制御基板62(図8)により駆動信号が出力されると、モーター71が駆動される。このモーター71の駆動力(回転力)は、各ギア72〜76、アイドラー314及びギア315〜317を介して各把持部材312,313に伝達され、当該各把持部材312,313が回転する。
【0115】
ディスクD1が更に挿入されると、図16に示すように、当該ディスクD1の端縁は、各把持部材312,322により把持される。そして、図17に示すように、ディスクD1の端縁を、ローラーである把持部材312が回転しつつZ方向先端側に押すと、各フロントアーム31,32が互いに離間する方向に同期して回動する。これにより、ディスクD1は、固定された把持部材322による把持位置を基点として、回転しつつZ方向先端側に搬入される。
なお、このフロントアーム31,32の回動に伴って、検知アーム61が更に回動して、スイッチ622が押圧部613により押圧される。
【0116】
そして、ディスクD1は、把持部材312,322から把持部材313,323に受け渡されて、更にZ方向先端側に搬入される。この後、図18に示すように、ディスクD1が、突出部352に当接された状態でZ方向先端側に搬入されると、図19に示すように、当該ディスクD1は、規制部333,343に当接する。これにより、ディスクD1が、チャッキング位置に配置される。この状態では、ディスクD1の中心に対してZ方向基端側に位置する各把持部材313,323と、Z方向先端側に位置する各規制部333,343とにより、当該ディスクD1は、4点で支持される。
また、この際には、ディスクD1に当接する検知レバー35が回動し、押圧部351が当接部811を押圧して、第1スライドカム81をZ方向基端側(S1方向側)にスライドさせる。なお、この状態で、チャックアーム41,42の回動が許容される。
【0117】
第1スライドカム81がスライドすると、図20に示すように、ラック部817とギア74とが噛合して、当該ギア74の回転力により、第1スライドカム81は更にS1方向側にスライドする。これにより、突起部819(図11)がガイド溝827(図11)のS1方向側の端縁に当接し、当該第1スライドカム81が、第2スライドカム82をS1方向に回動させる。
【0118】
この第2スライドカム82の回動により、図21に示すように、各アーム31〜34が、ディスクD1から離間する方向に回動され、リンクアーム33に軸支された検知レバー35も、ディスクD1から離間する。これら各アーム31〜34の回動に応じて、フロントアーム32に係合する検知アーム61が、下部フレーム22Aの周縁側に退避され、また、チャックアーム41,42がチャックプーリー43から離間する方向に回動する。
なお、この時点では既にスイングアーム77が回動し、ギア75がギアシャフト76から離間している。このため、各把持部材312,313の回転は停止されている。
【0119】
また、ロックレバー228が、突起部2282(図20)が係合するガイド部829(図20)により下面部22Lに沿う方向に回動される。これにより、図22に示すように、ロックレバー228の突起部2283が、上面部22Uより上側に突出し、挿抜口2Aがロックされる。
更に、光学装置5におけるターンテーブル521側(Z方向基端側)の端部が、突起部5611が係合するガイド溝839により押し上げられ、嵌合部5211がディスクD1の中央の孔部に嵌合される。
このほか、サポートアーム225も、突起部2252が係合するガイド部834(図11)により、ディスクD1から離間する。
【0120】
そして、図23に示すように、チャックアーム41,42が第2スライドカム82により更に回動されると、当接部412,422がチャックプーリー43(図示省略)から完全に離間する。これにより、フリーとなったチャックプーリー43と、上方に押し上げられたターンテーブル521とにより、ディスクD1がチャッキングされる。
この後、第2スライドカム82が更にS1方向に回動して、図24に示すように、押圧部830によるスイッチ623の押圧が解除されると、制御基板62から停止信号が出力されて、モーター71の駆動が停止される。
以上により、ディスクD1の搬入が終了する。
【0121】
〔直径8cmのディスクの搬入〕
図25〜図33は、ディスクD2搬入時のディスク装置1の動作を示す図である。
次に、直径8cmのディスクD2の搬入時の動作を説明する。
図25及び図26に示すように、挿抜口2Aの略中央にディスクD2が挿入された場合には、当該ディスクD2の端縁が、把持部材313,323により把持される。この状態から、ディスクD2がZ方向先端側に押されると、当該ディスクD2が当接部612に当接し、検知アーム61が回動される。これにより、スイッチ621が押圧され、制御基板62から出力される駆動信号に応じてモーター71が駆動される。
【0122】
ここで、挿抜口2AのX方向の寸法に比べてディスクD2の直径寸法は小さいので、当該ディスクD2が挿抜口2Aの左側(X方向先端側)又は右側(X方向基端側)に偏って挿入される場合がある。
このうち、ディスクD2が左側に偏って挿入された場合、フロントアーム31が挿抜口2Aから離間する方向に僅かに回動し、当該フロントアーム31の回動に伴ってリンクアーム33,34がそれぞれ回動する。この際、突起部341(図25)が溝部331(図25)のZ方向基端側の端縁に沿って摺動して規制部3311に嵌まり込むため、各リンクアーム33,34の回動が規制され、ひいては、フロントアーム31,32の回動も規制される。これにより、ディスクD2がセンタリングされずに、装置本体2内に搬入されることが防止される。
【0123】
また、ディスクD2が挿抜口2Aの左端側に投げ込まれた場合には、フロントアーム31及びリンクアーム33側に荷重がかかり、突起部3211(図25)は、溝部342における左側の端縁に沿って摺動する。この状態で、各アーム31,32が回動すると、突起部3211が規制部3421に嵌まり込むため、各アーム31〜34の更なる回動が規制される。これにより、前述の場合と同様に、ディスクD2がセンタリングされずに、装置本体2内に搬入されることが防止される。この後、捻りコイルばね318,324の付勢力により、各フロントアーム31,32は、規制部3421から突起部3211が離れつつ、挿抜口2A側に回動して、図25及び図26に示した状態となる。
【0124】
一方、ディスクD2が右側に偏って挿入された場合には、フロントアーム32によりディスクD2が把持された状態で、各アーム31,32は挿抜口2Aから離間する方向に回動する。しかしながら、フロントアーム32のZ方向先端側には、当該Z方向に対して略直交する方向に延出するように配置され、Z方向基端側に向かって付勢されたサポートアーム225が配置されているため、当該サポートアーム225により、ディスクD2がセンタリングされる。そして、各捻りコイルばね318,324の付勢力により、各フロントアーム31,32が挿抜口2A側に回動することで、当該ディスクD2は、各把持部材313,323により把持され、図25及び図26に示した状態となる。
【0125】
図25及び図26に示した状態から、各把持部材312,313が回転されると、図27に示すように、ディスクD2を各把持部材313,323が把持した状態で、フロントアーム31,32は、挿抜口2Aから離間する方向にそれぞれ回動し、当該ディスクD2をZ方向先端側に搬入する。
そして、ディスクD2が更に搬入されると、図28に示すように、ディスクD2が突出部352に当接し、この後、図29に示すように、ディスクD2が各規制部333,343に当接する。この状態では、ディスクD2は、各規制部333,343及び把持部材313,323により4点で支持されて、チャッキング位置に配置される。また、検知レバー35が回動して、図30に示すように、押圧部351が当接部812をZ方向基端側(S1方向側)に押圧し、第1スライドカム81が同方向にスライドする。そして、第1スライドカム81のS1方向へのスライドにより、前述のように、第2スライドカム82が同方向に回動する。
【0126】
この第2スライドカム82のS1方向への回動により、図31に示すように、各アーム31〜34がディスクD2から離間する方向に回動する。また、リンクアーム33の回動に応じて、検知レバー35もディスクD2から離間し、フロントアーム32の回動に応じて、検知アーム61が下部フレーム22Aの周縁側に退避される。なお、この状態では、前述のディスクD1の場合と同様に、スイングアーム77の回動によりギア75とギアシャフト76との噛合が解除されており、各把持部材312,313の回転は停止されている。
【0127】
また、図32に示すように、サポートアーム225がディスクD2から離間する方向に回動されて、下部フレーム22A周縁側に退避される。このほか、前述のディスクD1の場合と同様に、光学装置5の上昇が行われ、ディスクD2の中央の孔部に、ターンテーブル521の嵌合部5211が嵌合される。更に、ロックレバー228が回動して、突起部2283が開口部222を介して、上面部22U側に突出する。これにより、挿抜口2Aがロックされる。
【0128】
これらに加えて、図33に示すように、第2スライドカム82によりチャックアーム41,42が回動され、当接部412,422がチャックプーリー43(図示省略)から離間する。これにより、チャックプーリー43がフリーとなり、当該チャックプーリー43と、上昇されたターンテーブル521とにより、ディスクD2がチャッキングされる。
なお、ディスクD2のチャッキングが完了し、押圧部830によるスイッチ623(図30)の押圧が解除されると、制御基板62から停止信号が出力され、これにより、モーター71の駆動が停止される。
以上により、ディスクD2の搬入が完了する。
【0129】
なお、ディスクD1,D2を搬出する際には、前述の動作方向とは反対方向に各部材が動作することにより、当該各ディスクD1,D2は挿抜口2Aから搬出される。この際、制御基板62は、スイッチ622がオフ状態となったとき、すなわち、押圧部613によるスイッチ622の押圧が解除された際に、モーター71に停止信号を出力するので、各ディスクD1,D2が、把持部材312,322又は把持部材313,323に把持された状態で、搬出動作は停止される。これにより、挿抜口2AからディスクD1,D2が転落することが防止される。
【0130】
以上説明した本実施形態に係るディスク装置1によれば、以下の効果がある。
(1)各リンクアーム33,34におけるZ方向先端側の位置に設けられた規制部333,343により、他のアーム等を設けることなく、搬入されたディスクD1,D2を搬入位置に適切に配置することができる。従って、簡易な構成で、ディスクを搬入位置に適切に搬入することができる。また、これにより、ディスクD1,D2をチャックプーリー43及びターンテーブル521により適切にチャッキングすることができ、当該ディスクD1,D2に対する情報の読取及び記録の少なくともいずれかを、ピックアップ55により適切に行うことができる。従って、ディスク装置1の信頼性を向上することができる。
【0131】
(2)各リンクアーム33,34は、屈曲形状(詳述すると略円弧状)を有しているので、略直線形状を有している場合に比べ、回動軸RA3,RA4側とは反対側の端部の移動範囲を小さくすることができる。従って、ディスク装置1の小型化を図ることができる。また、当該端部の移動範囲を小さくすることができるので、上部フレーム21A及び下部フレーム22A内のスペースを有効に利用することができるほか、ディスク装置1を構成する他の部品に対するリンクアーム33,34の干渉を抑制できる。
【0132】
(3)規制部333,343は、仮想の直線Lを中心として略対称にリンクアーム33,34に設けられる。これによれば、当該各規制部333,343により、ディスクD1,D2における仮想の直線Lを中心とする略対称位置を規制することができる。従って、規制部が一方のリンクアームの1箇所にのみ設けられている場合に比べ、ディスクD1,D2がずれることなく、当該ディスクD1,D2を搬入位置に確実に停留させることができる。
【0133】
(4)搬入位置に搬入されたディスクD1,D2の端縁は、各規制部333,343に当接するほか、各把持部材313,323により把持されている。これによれば、当該ディスクD1,D2を4点で支持することができるので、搬入位置にディスクD1,D2を安定して確実に停留させることができる。
【0134】
(5)各リンクアーム33,34の回動軸RA3,RA4となる一端が、搬入位置の中心(上昇したターンテーブル521の中心)に対してZ方向先端側に位置する。これによれば、各フロントアーム31,32の回動に応じて各リンクアーム33,34が大きく開いた場合でも、各規制部333,343の移動範囲が小さいので、当該各規制部333,343の位置設定を容易に行うことができる。また、各規制部333,343の位置が仮想の直線Lから大きく離れないので、搬入位置に搬入されたディスクD1,D2の端縁に規制部333,343を確実に当接させて、各ディスクD1,D2を適切に規制することができる。
【0135】
(6)リンクアーム34が回動する際の突起部341の軌跡に応じて形成された溝部331に、突起部341が挿入されるので、各リンクアーム33,34を同じ回動量で同期して回動させることができ、ひいては、各フロントアーム31,32を同じ回動量で同期させて回動させることができる。従って、仮想の直線Lを中心として対称的に、各フロントアーム31,32を確実に回動させることができるので、当該各フロントアーム31,32により、ディスクD1,D2をセンタリングしつつ搬入することができる。
【0136】
(7)フロントアーム31側に偏ってディスクD2が挿入されると、フロントアーム31及びリンクアーム33には、Z方向先端側への荷重がかかる。この状態で、各リンクアーム33,34が回動しようとすると、突起部341は、溝部331における搬入位置の中心に近接する側の端縁(Z方向基端側の端縁)に沿って摺動して、規制部3311に嵌まり込む。これによれば、ディスクD2の搬入する際の各リンクアーム33,34の回動を規制することができ、ひいては、各フロントアーム31,32の回動を規制することができる。従って、当該ディスクD2がセンタリングされずに搬入されることを防止できる。
【0137】
また、溝部331及び規制部3311は、捻りコイルばね318により、捻りコイルばね324に比べて小さな付勢力が作用するフロントアーム31に係合するリンクアーム33に形成されている。これによれば、フロントアーム31側に偏って挿抜口2AにディスクD2が挿入された場合に、大きな付勢力が作用するフロントアーム32に係合するリンクアーム34の突起部341を、搬入位置の中心に近接する側の溝部331の端縁に沿って確実に摺動させることができ、これにより、当該突起部341を規制部3311に嵌まり込ませることができる。従って、各アーム31〜34の回動を確実に規制することができ、ディスクD2がセンタリングされずに搬入されることを確実に防止できる。また、このような付勢部材としての捻りコイルばね318,324の付勢力の差により、各フロントアーム31,32のがた付きを防止することができる。
【0138】
(8)同様に、フロントアーム31側に偏ってディスクD2が挿抜口2Aに投げ込まれた際には、フロントアーム31及びリンクアーム33に、Z方向先端側への荷重がかかり、フロントアーム32の突起部3211は、リンクアーム34の溝部342における搬入位置の中心側の端縁に沿って摺動する。そして、各アーム31〜34が回動して、突起部3211が規制部3421に嵌まり込むことにより、各アーム31〜34の更なる回動を規制することができる。従って、ディスクD2がセンタリングされずに搬入されてしまうことを防止できる。
また、このような規制部3421は、大きな付勢力が作用するフロントアーム32に係合するリンクアーム34に形成されているので、前述の溝部331及び規制部3311の場合と同様に、フロントアーム31側に偏ってディスクD2が挿入された場合の各アーム31〜34の回動を確実に規制することができる。従って、ディスクD2がセンタリングされずに搬入されることを確実に防止できる。
【0139】
(9)回動規制部346,347により、リンクアーム33,34の閉状態(ディスクが搬入されていない状態)では、チャックプーリー43から離間する方向へのチャックアーム41,42の回動が規制される。これによれば、当該閉状態では、チャックプーリー43はフリーとならず、ターンテーブル521に近接する方向に移動しない。従って、ディスクが搬入されていない状態でターンテーブル521にチャックプーリー43が係合してしまうことでディスクD1,D2の搬入が妨げられることを防止することができる。
【0140】
〔2.第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態に係るディスク装置について説明する。
本実施形態のディスク装置は、前述のディスク装置1と同様の構成を備えるが、一方のチャックアームが、第1ディスクD1の搬入完了時に当該第1ディスクD1に近接する方向へのフロントアーム及びリンクアームの回動を規制する規制部を備える点で、ディスク装置1と相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0141】
図34は、本実施形態に係るディスク装置1Aが備えるリンクアーム34A及びチャックアーム42Aを示す図である。
本実施形態に係るディスク装置1Aは、リンクアーム34及びチャックアーム42に代えて、リンクアーム34A及びチャックアーム42Aを備えるほかは、前述のディスク装置1と同様の構成を備える。
【0142】
リンクアーム34Aは、図34に示すように、回動規制部348を更に有するほかは、前述のリンクアーム34と同様の構成及び機能を有する。この回動規制部348は、本発明の第1回動規制部に相当し、大径の第1ディスクD1を搬入した際に、チャックアーム42Aと係合して、リンクアーム34Aの回動を規制し、ひいては、フロントアーム31,32がディスクD1から離れた状態のまま、各アーム31〜33,34Aを係止して維持する。なお、当該回動規制部348は、本実施形態では、規制部343近傍で、チャックアーム42Aに近い位置に、上面部21U(図示省略)に近接する方向に突出する突起として形成されている。
【0143】
チャックアーム42Aは、規制部426を更に有するほかは、前述のチャックアーム42と同様の構成及び機能を有する。この規制部426は、突出部424が形成された端部からリンクアーム33,34の回動軸RA3,RA4に向かって突出するように鉤状に形成されている。この規制部426の先端部には、当該端部に向かうに従ってチャックアーム42Aの回動軸RA6から遠ざかる方向に傾斜した傾斜部4261を有する。この傾斜部4261は、ディスクD1の搬入完了時に、前述の回動規制部348を押し上げる。
【0144】
図35は、ディスクD1搬入完了時の搬送装置3及びチャック装置4を示す図である。
具体的に、ディスクD1の搬入が完了し、第2スライドカム82が回動すると、前述のように、チャックアーム41,42Aが、チャックプーリー43から離間する方向に回動する。これにより、図35に示すように、傾斜部4261が、回動規制部348に当接し、チャックアーム42Aの回動に伴って当該回動規制部348を押し上げる。そして、更に第2スライドカム82が回動すると、ディスクD1から離間する方向にフロントアーム31,32が回動するとともに、溝部332,342が形成された各端部33E,34Eが離間する方向にリンクアーム33,34Aが回動する。
【0145】
この状態では、捻りコイルばね318,324の付勢力により、各端部33E,34Eが互いに近接する方向にリンクアーム33,34Aが回動しようとしても、回動規制部348の移動範囲内に規制部426が位置しているため、当該リンクアーム33,34Aの回動がまず規制され、結果として、ディスクD1に近接する方向へのフロントアーム31,32の回動が規制される。これにより、各アーム31〜34Aの回動量が大きくなって、当該各アーム31〜34Aに捻りコイルばね318,324の付勢力が強く作用する第1ディスクD1の搬入完了時に、当該第1ディスクD1から、把持部材313,323及び規制部333,343を確実に離間させることができる。
【0146】
以上説明した本実施形態に係るディスク装置1Aによれば、前述のディスク装置1と同様の効果を奏することができる。
なお、第2ディスクD2の搬入完了時では、各アーム31〜34Aに付勢力が強く作用しないほか、各アームをディスクD2から退避させるスペースを確保できるので、当該ディスクD2から、把持部材313,323及び規制部333,343を確実に離間させることができる。
【0147】
更に、チャックアーム42Aの回動時に、規制部423から規制部426に向かうチャックアーム42Aの内径側の端縁が回動規制部348を押し上げるので、各アーム31〜34AをディスクD2から離間する方向に回動させることができ、当該ディスクD2から把持部材313,323及び規制部333,343を確実に離間させることができる。従って、搬入されたディスクD1,D2に対して各フロントアーム31,32が干渉することを防止することができ、ターンテーブル521による当該ディスクD1,D2の回転が妨げられることを防ぐことができる。
・ なお、このような本発明の第1回動規制部としての回動規制部348は、リンクアーム33に設けてもよく、各リンクアームにそれぞれ設けてもよい。
【0148】
〔3.実施形態の変形〕
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、リンクアーム33は規制部333を有し、リンクアーム34,34Aは規制部343を有し、これら各規制部333,343は、仮想の直線Lを中心として略対称配置されるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、一対のリンクアームのうち少なくとも一方に、搬入位置(例えば、チャッキング位置)からディスクの搬入方向先端側への当該ディスクの移動を規制する規制部が設けられていればよい。また、規制部の数、位置及び形状等についても、適宜設定可能であり、第1ディスクD1の移動を規制する規制部と、第2ディスクD2の移動を規制する規制部とを別途設ける構成としてもよい。
【0149】
前記各実施形態では、リンクアーム33,34,34Aは、それぞれ略対称な平面視略L字状を有するとしたが、本発明はこれに限らず、円弧状でもよく、或いは、直線状を有していてもよい。更に、各リンクアーム33,34,34Aの回動軸RA3,RA4は、搬入位置の中心に対応するターンテーブル521の中心からZ方向先端側に位置するとしたが、本発明はこれに限らず、Z方向基端側に位置していてもよい。この場合でも、搬入位置の中心よりZ方向基端側の位置に、規制部が設けられていれば、前述のディスク装置1,1Aと同様の効果を奏することができる。また、リンクアーム33の回動軸RA3と、リンクアーム34,34Aの回動軸RA4とは、一致していてもよい。
【0150】
前記各実施形態では、ディスクD1,D2が搬入位置(チャッキング位置)に搬入された際には、当該ディスクD1,D2の端縁は、規制部333,343及び把持部材313,323により4点で支持されるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、規制部333,343によりディスクD1,D2を搬入位置に停留させることができれば、必ずしも把持部材313,323がそれぞれ当該ディスクD1,D2を把持していなくてもよい。また、複数の規制部の少なくともいずれかと、複数の把持部材の少なくともいずれかとで、ディスクの端縁を支持する構成としてもよい。
【0151】
前記各実施形態では、リンクアーム33が有する溝部331に、リンクアーム34,34Aが有する突起部341が挿入されることで、これらが交差して組み合わされるとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、各リンクアームの回動軸となる端部の周囲に複数の歯を形成し、当該各歯が互いに噛合して、各リンクアームが同期をとって回動するように構成してもよい。また、リンクアーム34,34Aが溝部を有し、リンクアーム33が突起部を有する構成としてもよい。
【0152】
前記各実施形態では、ディスクD1,D2が搬入されていない状態での突起部341の位置から、搬入位置の中心側に向かって切り欠かれた規制部3311が溝部331に形成されているとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、挿抜口2Aの端部近傍に挿入されたディスクD2をセンタリングして、当該ディスクD2を搬入位置に搬入することができれば、規制部3311は無くてもよい。
前記各実施形態では、溝部342に規制部3421を形成したが、本発明はこれに限らない。すなわち、溝部332に切欠が形成されていてもよく、更には、それぞれの溝部332,342に、切欠が形成されていてもよい。
【0153】
前記各実施形態では、フロントアーム31,32は、捻りコイルばね318,324により、挿抜口2Aに近接する方向に付勢されるとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、引張コイルばね等の付勢部材を採用してもよい。また、捻りコイルばね324の付勢力は、捻りコイルばね318の付勢力より大きいとしてが、本発明はこれに限らず、捻りコイルばね318の付勢力を大きくしてもよく、また、それぞれの付勢力が同じであってもよい。
【0154】
前記各実施形態では、フロントアーム31は、ディスクを把持して回転し、当該ディスクを搬送する略円筒状の把持部材312,313を備え、フロントアーム32は、当該把持部材312,313と略同形状を有し、かつ、ディスクを把持する把持部材を有し、当該把持部材は固定されているとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、各アーム31,32が、ディスクを把持し、かつ、それぞれ回転するローラーを把持部材として備える構成としてもよい。この場合、アーム31のローラーと、アーム32のローラーとは互いに逆方向に回転する構成が望ましい。また、フロントアーム32が把持部材として回転するローラーを備え、フロントアーム31が固定された把持部材を備える構成としてもよく、更に、このような把持部材及びローラーの数、位置及び形状は、適宜設定してよい。
【0155】
前記各実施形態では、本発明のディスク搬入装置をディスク装置1,1Aに適用した構成を例示したが、本発明はこれに限らない。例えば、ディスクを加工する加工装置に本発明を採用してもよい。また、ディスク装置1,1Aは、内部に搬入されたディスクD1,D2を搬出する構成を備えていたが、本発明はこれに限らず、ディスクが排出される排出口を挿入口とは別に形成し、当該排出口を介して、ディスクを排出する構成としてもよい。更に、ディスク装置1は、搬入されたディスクD1,D2に対して情報の読取及び記録を行うとしたが、本発明はこれに限らず、いずれか一方でもよい。更に、第1ディスクD1は直径12cmを有し、第2ディスクD2は直径8cmを有するとしたが、本発明はこれに限らず、第1ディスクに対して第2ディスクの直径が小さければ、各ディスクの直径は適宜設定してよい。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明は、ディスクを搬入するディスク搬入装置に利用でき、特に、スロットイン型ディスク装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0157】
1,1A…ディスク装置(ディスク搬入装置)、2…装置本体、2A…挿抜口(挿入口)、31,32…フロントアーム、33,34,34A…リンクアーム、41,42…チャックアーム(アーム部材)、43…チャックプーリー(当接部材)、312,313…把持部材(ローラー)、322,323…把持部材、331…溝部(第1溝部)、332…溝部(第2溝部)、333…規制部、341…突起部(第1突起部)、342…溝部(第2溝部)、343…規制部、346,347…回動規制部(第2回動規制部)、348…回動規制部(第1回動規制部)、3111,3211…突起部(第2突起部)、3311…規制部(第1切欠)、3421…規制部(第2切欠)、D1…第1ディスク,D2…第2ディスク(他のディスク)、L…仮想の直線、Z…搬入方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクの直径寸法に応じた挿入口を有する装置本体を備え、前記挿入口に挿入された前記ディスクを前記装置本体内に設定された搬入位置に搬入するディスク搬入装置であって、
前記ディスクの搬入方向に沿い、かつ、前記挿入口の略中央を通る仮想の直線を中心とする略対称にそれぞれ配置され、前記挿入口の両端近傍にそれぞれ軸支される一端を中心として他端が互いに離間する方向に回動して、前記ディスクを搬入する一対のフロントアームと、
前記仮想の直線を中心とする略対称にそれぞれ交差して配置され、一端を中心として他端が互いに離間する方向に回動して、一方が係合する前記フロントアームの回動と、他方が係合する前記フロントアームの回動とを同期させる一対のリンクアームとを備え、
前記一対のリンクアームのうち少なくともいずれかは、前記搬入位置に搬入された前記ディスクの端縁に当接して、前記搬入方向先端側への前記ディスクの移動を規制する規制部を備えることを特徴とするディスク搬入装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク搬入装置において、
前記各リンクアームは、屈曲形状を有し、内側が前記搬入位置の中心を向くように配置されることを特徴とするディスク搬入装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のディスク搬入装置において、
前記各リンクアームは、前記規制部をそれぞれ備え、
前記各規制部は、前記搬入位置の中心に対して前記搬入方向先端側で、かつ、前記仮想の直線を中心とする略対称にそれぞれ配置されていることを特徴とするディスク搬入装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のディスク搬入装置において、
前記各フロントアームは、前記仮想の直線を中心とする略対称位置に、前記ディスクの端縁に当接して当該ディスクを把持する把持部材をそれぞれ備え、
前記各フロントアームのうち少なくともいずれか一方が有する前記把持部材は、前記ディスクを搬送するローラーであり、
前記規制部は、前記ディスクに当接した際に、前記把持部材とともに前記ディスクを前記搬入位置に停留することを特徴とするディスク搬入装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のディスク搬入装置において、
前記各リンクアームの回動軸となる前記一端は、前記搬入位置の中心に対して前記搬入方向先端側に位置し、
前記各リンクアームの前記他端は、前記各フロントアームの前記他端とそれぞれ係合することを特徴とするディスク搬入装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のディスク搬入装置において、
前記各リンクアームのうち、
一方のリンクアームは、他方のリンクアームとの交差部位において当該他方のリンクアームに向かって突出する第1突起部を有し、
他方のリンクアームは、前記第1突起部が挿入され、かつ、前記各リンクアームの回動時の前記第1突起部の軌跡に沿う第1溝部を有することを特徴とするディスク搬入装置。
【請求項7】
請求項6に記載のディスク搬入装置において、
前記第1溝部は、前記ディスクが搬入されていない状態での前記第1突起部の位置から、前記搬入位置の中心に向かって切り欠かれた第1切欠を有し、
前記第1切欠には、前記挿入口における前記他方のリンクアームが係合する前記フロントアーム側に偏って、前記ディスクより直径が小さい他のディスクが挿入された際に、前記第1突起部が嵌り込むことを特徴とするディスク搬入装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載のディスク搬入装置において、
前記各フロントアームは、対応する前記リンクアームに向かって突出する第2突起部をそれぞれ備え、
前記各リンクアームは、前記フロントアームの回動に伴って前記第2突起部が内部を摺動する第2溝部をそれぞれ有し、
前記各第2溝部のうち、少なくともいずれかは、当該第2溝部から前記搬入位置の中心側に切り欠かれた第2切欠を有し、
前記第2切欠には、前記挿入口における前記第2切欠を有する前記リンクアームとは反対側の前記リンクアームに係合する前記フロントアーム側に偏って、前記ディスクより直径が小さい他のディスクが挿入された際に、前記第2突起部が嵌り込むことを特徴とするディスク搬入装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のディスク搬入装置において、
前記一対のリンクアームのうち、少なくともいずれかは、前記ディスクが前記搬入位置に搬入された際に、前記ディスクから離間した状態で前記各リンクアームの前記他端が互いに近接する方向への回動を規制する第1回動規制部を有することを特徴とするディスク搬入装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載のディスク搬入装置において、
前記搬入位置に搬入された前記ディスクの一方の面に当接する当接部材と、
回動により、前記当接部材を前記ディスクに当接させるアーム部材とを備え、
前記一対のリンクアームのうち、少なくともいずれかは、前記ディスクが搬入されていない場合に、前記アーム部材の回動を規制する第2回動規制部を備えることを特徴とするディスク搬入装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載のディスク搬入装置と、前記ディスク搬入装置により搬入された前記ディスクに対して情報の読取及び記録のうち少なくともいずれかを行う情報読取/記録装置とを備えることを特徴とするディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2010−267315(P2010−267315A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117058(P2009−117058)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】