説明

ディスク検知機構

【課題】ディスク検出機構の省スペース化及び部品点数の削減を図ることを目的とする。
【解決手段】この発明に係るディスク検知機構は、ディスク当接部24aとバネ当接部24bとを有し、ベース(クランプユニット4)に回動自在に軸止された検知レバー24と、初期状態では、バネ当接部24bの当接で検知レバー24を一方向に付勢する第1のバネ部(バネ部27a)と、挿入されたディスク23で検知レバー24が押し動かされた後はバネ当接部24bの当接で検知レバー24を他方向に付勢する第2のバネ部(バネ部27a)とを折り曲げ形成した板バネ部材27とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスク再生装置に搭載されるディスク検知機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のディスク検知機構としては、装置内に挿入された小径ディスクを所定の位置に位置決めするとともに、装置内に挿入された大径ディスクにより倒伏する回動可能なロックピンと、装置内に挿入された大径ディスクが前端ピンに当接して回動するディスク検知レバーと、ディスク検知レバーを反対方向に回動付勢する引張りコイルバネと、ディスク検知レバーの回動により横方向に移動してロックピンを直立状態と倒伏状態とに選択的にロックするロックプレートと、小径ディスクまたは大径ディスクの外周が当接する作動ピンを一端部に有し、ロックプレートの移動により第1の回動支点位置と第2の回動支点位置とに位置決めされる差動レバーと、差動レバーの他端部に係合ピンが係合して差動レバーの回動に連動して回動する駆動レバーとを備えたディスク検出装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−123360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のディスク検知機構は、以上のように構成されていたので、ディスク搬送完了の検知レバーの反転機構に引張りコイルバネ等を使用しており、引張りコイルバネと検知レバーの動作領域のオーバーラップを回避するために、ディスク検知機構(メカニズム)の厚さ方向及び平面方向に空間を要するという課題があった。
また、検知レバーの組み立てにおいては、検知レバーの固定に別の固定部材を要するという課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、ディスクのローディング位置への搬送完了を検知する検知レバーを、ディスク再生時にディスクより退避させる反転機構に板バネ部材を用いることにより、省スペース化及び部品点数の削減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るディスク検知機構は、ディスク当接部とバネ当接部とを有し、ベースに回動自在に軸止された検知レバーと、初期状態では、バネ当接部の当接で検知レバーを一方向に付勢する第1のバネ部と、挿入されたディスクで検知レバーが押し動かされた後はバネ当接部の当接で検知レバーを他方向に付勢する第2のバネ部とを折り曲げ形成した板バネ部材とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、ディスクの搬送完了を検知する検知レバーの反転機構を板バネ部材で構成したことにより、省スペース化及び部品点数の削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について説明する。なお、以降の説明で「ディスク」とは、記憶媒体(DVD、CD、CD−R等)を指すものとする。
図1は、この発明の実施の形態1に係るディスク検知機構を搭載したディスク再生装置の内部構成を示した斜視図、図2は、図1のディスク再生装置にディスクが挿入された状態を示した斜視図、図3は、図1のディスク再生装置から再生ユニット、ベース、及び防振機構部を取り外した状態を示した斜視図、図4は、図2中の検知レバーがラック部材に動力を伝達する様子を示した部分拡大図、図5は、図1中の搬送機構により搬送されたディスクが検知レバーを押す前の状態を示した平面図、図6は、図1中の搬送機構により搬送されたディスクが検知レバーを押した後の状態を示した平面図、図7は、図5中のディスクに押される前の検知レバーの周辺を拡大して、図5と反対側から見た裏面図、図8は、図6中のディスクに押された後の検知レバーの周辺を拡大して、図6と反対側から見た裏面図、図9は、図7,8中の検知レバー及び板バネ部材の組立前の分解斜視図、図10は、図7,8中の板バネ部材の一部がディスクのローディング位置を規制する様子を示した平面図である。図10は、図8と同状態での、ディスクとディスク検知機構との位置関係を示している。
【0009】
次に、図1〜10に基づいて、本発明に係るディスク検知機構と同ディスク検知機構を搭載したディスク再生装置の構成について説明する。
図1に示すように、本ディスク再生装置は、挿入されたディスク23をローラで搬送する搬送機構1と、モータMの駆動力をロック機構部21に伝達するギアユニット2と、ディスク23を再生する再生ユニット3と、ディスク23を再生ユニット3に設けられたターンテーブル3a上に保持するクランプユニット4と、再生ユニット3への装置外部からの振動伝達を抑制する防振機構部11と、防振状態の再生ユニット3をディスク23のローディング及びイジェクト時に固定するロック機構部21と、全体のベースとなるフレーム部22、及びディスク23のローディング位置への搬送完了を検知するディスク検知機構を備えている。
また、図3に示すように、ロック機構部21は、ラック部材25と複数のロック部材26a〜26dを有する。
更に、図7〜9に示すように、ディスク検知機構は検知レバー24と板バネ部材27を備えている。
【0010】
図7〜9に示すように、検知レバー24は、略一方向に延出する板状部材である。検知レバー24は、長手方向の一端で、片側に突出したディスク当接部24aを備えている。
また、検知レバー24は、長手方向の中間付近で、ディスク当接部24aと同側に突出したバネ当接部24bを備えている。ディスク当接部24aとバネ当接部24bは、それぞれ、検知レバー24の板状部分に対して垂直上方に延出した円柱状部を有している。
また、検知レバー24は、長手方向の他端(ディスク当接部24aと反対側)にL字形の作動部24cを有する。作動部24cの曲折部分は直角でなくてもよい。
更に、検知レバー24は、長手方向の中間付近に穴部24dを形成している。
【0011】
板バネ部材27は、くの字形の板状部材である。板バネ部材27は、板状部分の上端に対して垂直下方に突出した係止部27bを備えている。
また、板バネ部材27は、板状部分の下端の両側を垂直上方に折り曲げ、片側にバネ部27aを、もう片側にはディスク位置規制部27cを形成している。バネ部27aは更に折り曲げられ、筐体の横方向に平行な水平面(第2のバネ部)27a−2と、同横方向に対して傾斜した傾斜面(第1のバネ部)27a−1を形成している。ディスク位置規制部27cは更に両端を折り曲げ形成している。
更に、板バネ部材27の上端には穴部27dを形成している。
【0012】
図9に示すように、先ず、検知レバー24の長手方向の中間付近に設けられた穴部24dに、クランプユニット4から垂直上方に突出した軸(ボス軸)4aを挿通する。
そして、クランプユニット4に回転自在に軸止された検知レバー24の上から、板バネ部材27をクランプユニット4に取り付ける。
具体的には、板バネ部材27の係止部27bをクランプユニット4の係止穴4bに係止する。
更に、検知レバー24が脱落しないように、板バネ部材27の上端に設けられた穴部27dをクランプユニット4の軸4aに嵌着する。
【0013】
それと同時に、バネ部27aとディスク位置規制部27cの間の固定部27eを、クランプユニット4の固定部4cに固定する。固定部27eは、直線上に穴部、ボスの順に配置している。また、固定部4cは、固定部27eの穴部と対向する位置にボスを、固定部27eのボスと対向する位置に穴部を配置している。穴部またはボスを同一平面上に並べて配置することで、板バネ部材27のがたつき(回転)を防止している。ボスと穴部との組み合わせは、固定部4cと固定部27eとが嵌合可能であれば任意である。
【0014】
次に、動作について説明する。
図7に示すように、ディスク23が検知レバー24を押していない場合(初期状態)では、検知レバー24のバネ当接部24bが板バネ部材27のバネ部27aに当接している。バネ当接部24bがバネ部27aの傾斜面(第1のバネ部)27a−1に押されるので、検知レバー24は、軸4aを中心として反時計回りに回転する方向、即ち、図7中の矢印A方向に付勢される。なお、検知レバー24の作動部24cがクランプユニット4の側壁に掛かることにより、検知レバー24は図7の状態(初期状態)を超えて矢印A方向には回転しない。
【0015】
図4に示すように、ディスク挿入時には、ディスク再生装置のディスク挿入口に設けたセンサ(図示せず)でディスク23を検出し、その検出信号を受信した制御回路(図示せず)によってモータMを起動させ、モータMが搬送機構1のローラを駆動させる。ローラはディスク23を挿入する方向(時計回り)に回転する。
それと同時に、モータMの駆動力を利用して、ギアユニット2が装置内側から見て時計回りに回転する。
【0016】
図2,5に示すように、搬送機構1により搬送されたディスク23が、再生ユニット3の所定の位置、即ちターンテーブル3aの中心とディスク23の中心と一致する位置にローディングされる過程において、クランプユニット4に組み付けられた検知レバー24がディスク23の周面により押される。
そして、図6に示すように、搬送機構1が継続してディスク23を搬送することにより、ディスク23の周面が検知レバー24を押し込む。
【0017】
図8に示すように、搬送されたディスク23の周面がディスク当接部24aに当接して押すことにより、検知レバー24は軸4aを中心として図8中の矢印B方向に回転する。
検知レバー24が一定角度回転すると、バネ当接部24bは、バネ部27aの傾斜面(第1のバネ部)27a−1から水平面(第2のバネ部)27a−2に移動する(乗り上げる)。この時、バネ当接部24bは、バネ部27aの水平面27a−2から図8中の矢印C方向に付勢され、ディスク当接部24aはディスク23の周面から離間する。即ち、検知レバー24は、図8中の矢印Bの方向に付勢された状態となる。
【0018】
図10に示すように、搬送されたディスク23がローディング位置に到達すると、ディスク23の周面が板バネ部材27のディスク位置規制部27cに当接して停止する。即ち、ディスク23はこれ以上前進しなくなる。図8で説明したように、ディスク23の周面からディスク当接部24aは離間(退避)しているので、ディスク23の再生時にディスク23の周面がディスク当接部24aと接触することはない。この状態で、板バネ部材27の作動部24cがラック部材25を押す。
【0019】
図4に示すように、検知レバー24がラック部材25を押すことにより、ギアユニット2とラック部材25は噛み合うので、ラック部材25は図4中の矢印A方向に移動する。検知レバー24に押されたラック部材25は、ギアユニット2に係合する。ラック部材25がギアユニット2と係合することにより、ラック部材25を介して、ロック部材26a〜26dにモータMの駆動力が伝達され、再生ユニット3はロック解除状態となる。それと同時に、再生ユニット3は、防振機構部11により防振状態となる。
【0020】
一方、ディスクイジェクト時には、イジェクト信号等を受信する等して、モータMがローディング時と反対方向に搬送機構1のローラを駆動させる。つまり、ローラはディスク23を排出する方向(反時計回り)に回転する。
それと同時に、モータMの駆動力を利用して、ギアユニット2が装置内側から見て反時計回りに回転(逆回転)する。
ギアユニット2とラック部材25は噛み合っているので、ラック部材25は図4中の矢印B方向に移動する。
ラック部材25は、ロック部材26a〜26dをロック動作へ移行させて、再生ユニット3をロック状態とする。
そして、ラック部材25は、検知レバー24を押すことで、検知レバー24がディスク23を押し出すと共に、搬送機構1のローラがイジェクト方向にディスク23を搬送する。
【0021】
以上のように、この実施の形態1によれば、ディスク23の搬送完了を検知する検知レバー24の反転機構に板バネ部材27を用いることにより、検知レバー24と板バネ部材27の動作範囲のオーバーラップが可能となると同時に、板バネ部材27の動作範囲も少なくなるため、省スペースで反転機構を構成できる。
また、板バネ部材27の一部にて検知レバー24の固定を行い、更には、板バネ部材27の一部を用いてディスク位置規制部27cを形成することにより、部品点数の削減が可能となる。
更に、板バネ部材27にて検知レバー24を反転させることにより、従来のディスク検知機構で懸案とされていたバネ外れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態1に係るディスク検知機構を搭載したディスク再生装置の内部構成を示した斜視図である。
【図2】図1のディスク再生装置にディスクが挿入された状態を示した斜視図である。
【図3】図1のディスク再生装置から再生ユニット、ベース、及び防振機構部を取り外した状態を示した斜視図である。
【図4】図2中の検知レバーがラック部材に動力を伝達する様子を示した部分拡大図である。
【図5】図1中の搬送機構により搬送されたディスクが検知レバーを押す前の状態を示した平面図である。
【図6】図1中の搬送機構により搬送されたディスクが検知レバーを押した後の状態を示した平面図である。
【図7】図5中のディスクに押される前の検知レバーの周辺を拡大して、図5と反対側から見た裏面図である。
【図8】図6中のディスクに押された後の検知レバーの周辺を拡大して、図6と反対側から見た裏面図である。
【図9】図7,8中の検知レバー及び板バネ部材の組立前の分解斜視図である。
【図10】図7,8中の板バネ部材の一部がディスクのローディング位置を規制する様子を示した平面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 搬送機構、2 ギアユニット、3 再生ユニット、3a ターンテーブル、4 クランプユニット、4a 軸、4b 係止穴、4c 固定部、11 防振機構部、21 ロック機構部、22 フレーム部、23 ディスク、24 検知レバー、24a ディスク当接部、24b バネ当接部、24c 作動部、24d 穴部、25 ラック部材、26a〜26d ロック部材、27 板バネ部材、27a バネ部、27a−1 傾斜面、27a−2 水平面、27b 係止部、27c ディスク位置規制部、27d 穴部、27e 固定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク当接部とバネ当接部とを有し、ベースに回動自在に軸止された検知レバーと、
初期状態では、前記バネ当接部の当接で前記検知レバーを一方向に付勢する第1のバネ部と、挿入されたディスクで前記検知レバーが押し動かされた後は前記バネ当接部の当接で該検知レバーを他方向に付勢する第2のバネ部とを折り曲げ形成した板バネ部材とを備えたディスク検知機構。
【請求項2】
前記検知レバーは、前記板バネ部材と重ねてベースに回動可能に支持させたことを特徴とする請求項1記載のディスク検知機構。
【請求項3】
前記板バネ部材は、ディスク挿入時にディスクの外周と当接してディスクを搬送完了位置に位置決めするディスク位置規制部を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のディスク検知機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−93686(P2009−93686A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23223(P2006−23223)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】