説明

ディスク状対象物の複数画像の記録装置

【課題】ディスク状サブストレートをただ1つの個所から同時に複数記録すること。
【解決手段】ディスク状対象物(6)の複数画像を記録するための装置であって、該装置は少なくとも2つの照明装置(8,10)を備え、当該照明装置(8,10)はそれらから発する光のスペクトルが異なるように構成されている形式の装置が開示される。ただ1つの記録装置(12)が前記ディスク状対象物を基準(6)にして配置されており、これにより前記記録装置(12)は前記ディスク状対象物(6)の、スペクトルの異なる複数の画像を同時に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク状対象物の複数画像の記録装置に関する。とりわけ本発明は、ディスク状対象物の複数画像を記録する装置に関するものであり、この装置は少なくとも2つの照明装置を備え、これらの照明装置はそれらから発する光のスペクトルが異なるように構成されている。
【背景技術】
【0002】
特許文献1DE10337727A1は、好適には環状に周回する縁部を有する対象物の光学的品質検査方法および装置を開示している。ここで光は対象物の縁部に向けられ、対象物から反射、屈折および/または回折により発した光が測定装置によって検出される。検出された画像信号に基づき、対象物表面にある欠陥および/または対象物内の欠陥が検出される。
【0003】
特許文献2DE10330006A1は、ウェハの検査装置を開示している。ここでは少なくとも2つの落射光照明装置が設けられており、これらの落射光照明装置はそれぞれ1つの照明光ビームを照射する。この照明光ビームは被検ウェハの表面に斜めに入射し、それぞれ1つの照明軸を設定する。暗視野構成において表面の画像を検出するための画像検出装置、並びに所定の配向の下でウェハを記録するためのウェハ撮像(記録)装置が記載されており、ウェハの表面には線形に延在する構造体が形成されている。この装置は、照明軸が相互に直角に配向されていることを特徴とする。この装置は、それぞれの照明軸の投影がウェハの表面へ向けられ、ウェハの表面にあるそれぞれの線形構造体に対して実質的に直角に配向されるように構成されている。
【0004】
特許文献3DE10239548A1は、対象物の検査装置および検査方法に関するものである。ここでは、一つの結像光学系に関連して構成された明視野光源の明視野照明ビーム路と、一つの結像光学系に関連して構成された暗視野光源の暗視野照明ビーム路とを備え、対象物は結像光学系により少なくとも1つの検出器に結像可能であり、対象物は2つの光源により同時に照明される。面倒なフィルタ操作なしで明視野画像と暗視野画像を同時に検出するために、対象物を検査するための当該発明の装置ないし方法は次にように構成されている。すなわち、暗視野照明に用いられる光がパルス化され、暗視野照明に用いられる光のパルス強度は、明視野照明に用いられる連続光の、パルスインターバルに関連する強度よりも少なくとも一桁大きいように構成されている。
【0005】
特許文献4DE19946520A1は、走行する帯状材料の表面エラーを発見し、カテゴライズ(分類)するための装置および方法を開示している。このために照明装置が照明面を形成するために設けられており、カメラ装置が検査面の画像を記録するために用いられる。計算および制御装置は少なくとも1つのマトリクスカメラを有する。検査面画像は少なくとも2つの別個に評価可能な画像セクションに分割される。
【0006】
特許文献5DE10030772A1。この発明はとりわけ顕微鏡での照射照明のための照明装置および照明方法に関する。光軸を中心に、照明手段を収容するためのリング支持体が配向されている。本発明によれば、照明手段はリング支持体にある発光半導体ダイオード(LED)であり、比較的小さな放射角を有する半導体ダイオードの主ビーム方向はシステムの光軸に向けられているか、ないしはこれに対して傾斜している。ダイオードとして白色LED(複数)が使用される。これらの白色LEDは、リング支持体内で好適には少なくとも2つの同芯のリング列に固定される。隣接するLEDは群にまとめて接続されており、制御可能な定電流源を介して駆動される。
【特許文献1】DE10337727A1
【特許文献2】DE10330006A1
【特許文献3】DE10239548A1
【特許文献4】DE19946520A1
【特許文献5】DE10030772A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の基礎とする課題は、ディスク状サブストレートをただ1つの個所から同時に複数記録することのできる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1の特徴部分の構成を備える装置によって解決される。即ち、本発明の記録装置は、ただ1つの記録装置が、前記ディスク状対象物の、スペクトルの異なる複数の画像を同時に記録するよう、前記ディスク状対象物に対して配置されていることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ただ1つの記録装置がディスク状対象物に対して(ないし、関連して)配置されており、これにより記録装置がディスク状対象物の、スペクトルの異なる複数の画像を同時に記録するようにされると有利である。
【0010】
2つの照明装置はディスク状対象物に対して、それらが1つの同じ領域をディスク状対象物の表面上で照明するように配置されている。ここで2つの照明装置のうちの第1の照明装置は照明領域に対して明視野構成で配置されており、2つの照明装置のうちの第2の照明装置は暗視野構成で配置されている。
【0011】
明視野構成である第1の照明装置は狭帯域の青色照明を有し、暗視野構成にある第2の照明装置は狭帯域の赤色照明を有する。
【0012】
一つの記録装置が設けられており、この記録装置は照明装置(複数)により同時に照明された、ディスク状対象物の表面上の領域を記録する。ここで記録装置はCCDカラーカメラであり、面状またはライン状(zeilenfoermig)に配置されたピクセルが設けられている。CCDカラーカメラの個々のピクセルにはフィルタ層(複数)が設けられており、従ってカラーチャネルは赤色光、青色光、または緑色光に対して別個に感度があり、赤色光、青色光、ないし緑色光をそれぞれ広い波長帯域で記録する。青色カラーチャネルは明視野画像を記録し、赤色カラーチャネルは暗視野画像を記録する。
【0013】
第3の照明装置を設けることができ、この第3の照明装置はディスク状対象物を第1および第2の照明装置の波長とは異なる波長の光で照明する。ここで第3の照明装置は緑光を送出することができる。(色は任意に組み合わせることができる。青色→明視野、赤色→暗視野、またはその反対。緑色との組合わせも考えられる)
本発明のさらなる有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0014】
図面には本発明の対象が概略的に示されており、以下図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、ディスク状対象物6の表面4を記録するための本発明による装置1の概略図である。ここでディスク状対象物6の表面4から、1つの同じ領域7の複数の画像が記録(撮像)される。この装置1は、明視野照明のための少なくとも1つの第1の照明装置8と、暗視野照明のための少なくとも1つの第2の照明装置10とをディスク状対象物6に対して有する。前記装置1は、偏平な面または湾曲した面上の隆起および/または陥没した構造体を結像するのに適する。ここでディスク状対象物6は、ウェハ(前面および/または裏面および/または縁部)、ガラスプレート、金属(鋼)板、フラットパネルディスプレイ、または導体路(回路)基板等とすることができる。さらにこの装置1は、ディスク状対象物6の照明された領域7から発する光を検出するための記録装置12を備えている。この実施形態では、第1の照明装置8と第2の照明装置10がLEDラインとして構成されている。同様に第1と第2の照明装置8と10は帯状ビーム発生器または少なくとも1つの蛍光管(ないし発光素発光管Leuchtstoffroehre)を有することができる。明視野構成である第1の照明装置8は狭帯域の青色照明を有する。暗視野構成である第2の照明装置10は狭帯域の赤色照明を有する。明視野照明のための第1の照明装置8は、ディスク状対象物6の表面4への垂線9を基準にして小さな角度で傾斜している。ここで明視野照明のための第1の照明装置8の光は、ディスク状対象物6の表面4を介して記録装置2に直接反射される。明視野照明のための第1の照明装置8の光は、この実施形態では赤色LEDラインにより形成することができる。記録装置12は、面状またはライン状に配置されたピクセルを備えるCCDカラーカメラである。記録装置12は評価装置14と接続されている。この評価装置はカラーチャネル(複数)に相応して分離しており、従って強度に依存する画像を各カラーチャネル毎に形成する。
【0016】
図2は、第1の照明装置8の光のスペクトル分布を示す概略図である。横軸20には波長が、縦軸22には強度がプロットされている。第1の照明装置8は、狭帯域24の赤色光を送出する。ここで狭帯域の領域は約30nmの幅を有する。有利な実施形態では、この狭帯域の領域は630nmにピーク25を有する。
【0017】
図3は、第2の照明装置10の光のスペクトル分布を示す概略図である。横軸30には波長が、縦軸32には強度がプロットされている。第2の照明装置10は、狭帯域34の青色光を送出する。ここで狭帯域の領域は約30nmの幅を有する。有利な実施形態では、この狭帯域の領域は450nmにピーク35を有する。
【0018】
当業者には自明であるが、図2と図3の説明に示された領域ないし波長は複数の実施形態の中の1つにすぎない。当業者であれば、結像問題の解決にもっとも適すると思われるスペクトル照明を自由に選択することができる。
【0019】
図4は、記録された強度を示す概略図である。CCDカラーカメラはライン毎に配置されたピクセルを有し、このピクセルは種々異なるスペクトル領域に対して感度がある。通常、3つのピクセルラインが設けられており、それらのうち第1のライン(行)は赤色光、第2のライン(行)は緑色光、第3のライン(行)は青色光に対して感度がある。図4では横軸40に波長が、縦軸42には記録された強度がプロットされている。ここで記録装置12は、狭帯域スペクトル照明よりも広い波長領域を記録する。暗視野照明は赤色スペクトル領域で、明視野照明は青色スペクトル領域で記録される。
【0020】
図5は、照明装置50の拡大図であり、この照明装置50はこの実施形態では複数のLED51からなる。同様に、照明装置が帯状ビーム発生器または少なくとも1つの蛍光灯を有することも考えられる。ここで照明装置50は、これが少なくとも被検対象物の幅を有するように構成されている。
【0021】
図6は、記録装置12のセンサ60の拡大図である。センサ60は、ディスク状対象物の明視野画像と暗視野画像を同時に記録するように構成されている。センサは、赤色光に対して感度のあるセンサ素子64を備える第1のライン61と、緑色光に対して感度のあるセンサ素子65を備える第2のライン62と、青色光に対して感度のあるセンサ素子66を備える第3のライン63とを有する。個々のセンサ素子の感度は例えば適切なフィルタにより達成することができる。記録装置12による記録原理は、緑色光に対して感度のあるセンサ素子65を備える第2のライン62(緑チャネル)がさらなる情報を得るために利用されることで拡張することができる。対象物を緑色光または緑LEDにより照明することにより、緑チャネルの画像における目標位置からの位置偏差を、焦点位置または対象物の傾斜角の検出に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、ディスク状対象物の表面を記録するための本発明による装置の概略図である。
【図2】図2は、第1の照明装置の光のスペクトル分布を示す概略図である。
【図3】図3は、第2の照明装置の光のスペクトル分布を示す概略図である。
【図4】図4は、記録装置により記録された強度(複数)を示す概略図である。
【図5】図5は、照明装置の拡大図であり、この照明装置はLEDライン(アレイ)からなる。
【図6】図6は、記録装置のセンサの拡大図であり、このセンサはスペクトルの異なる2つの画像を同時に記録するように構成されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状対象物(6)の複数画像を記録するための装置であって、該装置は少なくとも2つの照明装置(8,10)を備え、当該照明装置(複数)(8,10)はそれらから発する光のスペクトルが異なるように構成されている形式の装置において、
ただ1つの記録装置(12)が、前記ディスク状対象物(6)の、スペクトルの異なる複数の画像を同時に記録するよう、前記ディスク状対象物(6)に対して配置されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記2つの照明装置(8,10)が、ディスク状対象物(6)に対して、当該照明装置(複数)が1つの同じ領域(7)を前記ディスク状対象物(6)の表面(4)上で照明するように配置されている、ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記2つの照明装置のうちの第1の照明装置(8)は照明領域(7)に対して明視野構成で配置されており、2つの照明装置のうちの第2の照明装置(10)は暗視野構成で配置されている、ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
明視野構成における前記第1の照明装置(8)は狭帯域の青色照明を有し、暗視野構成における第2の照明装置(10)は狭帯域の赤色照明を有する、ことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、
赤色照明は帯状ビーム発生器または少なくとも1つの赤色蛍光管または赤色発光ダイオードを有する、ことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4記載の装置において、
青色照明は帯状ビーム発生器または少なくとも1つの青色蛍光管または青色発光ダイオードを有する、ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項記載の装置において、
前記記録装置(12)は、照明装置(複数)(8,10)により同時に照明された、ディスク状対象物(6)の表面(4)上の領域(7)を記録する、ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7記載の装置において、
前記記録装置(12)はCCDカラーカメラであり、面状またはライン状に配置されたピクセルが設けられている、ことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、
前記CCDカラーカメラの個々のピクセルにはフィルタ層が設けられており、カラーチャネルは赤色光、青色光、または緑色光に対して別個に感度があり、赤色光、青色光、ないし緑色光をそれぞれ広い波長帯域で記録する、ことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一項記載の装置において、
評価装置(14)が設けられており、該評価装置はカラーチャネルに相応して分離しており、従って強度に依存する画像を各カラーチャネル毎に形成する、ことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10記載の装置において、
青色カラーチャネルは明視野画像を記録し、赤色カラーチャネルは暗視野画像を記録する、ことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11記載の装置において、
緑色カラーチャネルはさらなる情報を獲得するために使用可能である、ことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置において、
第3の照明装置が設けられており、該第3の照明装置は前記ディスク状対象物(6)を第1および第2の照明装置(8,10)の波長とは異なる波長の光で照明する、ことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13記載の装置において、
前記第3の照明装置は緑光を送出するレーザまたはLEDであり、緑光は目標位置からの偏差を検出するために使用される、ことを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14記載の装置において、
前記目標位置は焦点位置、または前記ディスク状対象物(6)の傾斜角である、ことを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか一項記載の装置において、
第1と第2の照明装置(8,10)は、LEDラインとして構成された線状の照明である、ことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−510426(P2009−510426A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532793(P2008−532793)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066887
【国際公開番号】WO2007/039559
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(508099818)クロマーゼンツ ゲーエムベーハー (1)
【出願人】(502124798)ヴィステック セミコンダクタ システムス ゲーエムベーハー (41)
【Fターム(参考)】