説明

ディスク装置およびディスク装置の電波入射防止構造

【課題】ディスク装置が外部電波から受ける影響を低減すること。
【解決手段】スロット4から挿入されるディスク媒体Aを記録位置または再生位置まで搬入して、ディスク媒体Aの情報を記録または再生すると共に、記録位置または再生位置のディスク媒体Aをスロット4に向かって搬出するデッキ3と、スロット4が形成されると共に、デッキ3を収納するシャーシ2と、を有するディスク装置1において、導電性を有する部材で形成され、もしくはその表面が導電性を有する膜で被覆された延出部材13A,13B,24A,24Bを、スロット4の短手方向に横切るように設けることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置およびディスク装置の電波入射防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、CD、DVDなどのディスク媒体を記録再生するディスク装置では、スロットに挿入されるディスク媒体は、ディスク装置の内部に配設されるディスクローディング機構によって、ターンテーブルなどの記録再生位置まで搬送される。そして、記録再生位置まで搬入されたディスク媒体の信号は、ディスク装置の内部に配設される光ピックアップによって読み取られ、音楽等の再生がなされる。
【0003】
また、このようなディスク装置には、スロットに挿入されたディスク媒体を記録再生位置にローディングした際に、再び、スロットに誤って新たなディスク媒体が挿入されるのを防止するためのディスク誤挿入防止装置を備えているものが存在する(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示されているディスク装置50は、図10に示すように、シャーシ51に覆われた再生デッキ52内の所定の位置にディスク媒体Aが収納された後、再度、新たなディスク媒体Aが挿入されるのを防止するための誤挿入防止アーム53を備えている。この誤挿入防止アーム53には上方に向かって突出する誤挿入防止突起54が設けられており、該誤挿入防止突起54によってディスク媒体の挿入が阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−260316号公報(要約書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、電波の送受信を行う通信機器等が汎用されるようになってきており、例えば、車に搭載される車載用ディスク装置は、外部からの電波にさらされる機会が多くなっている。このため、これらの電波がディスク装置の内部に入り込み、ノイズとなって該ディスク装置の動作に悪影響を及ぼすといった問題が生じている。
【0007】
特許文献1に開示されているディスク装置50は、外側が金属製のシャーシ51に覆われており、当該シャーシ51の前面にはディスク媒体Aを挿入するための挿入間口55が設けられている。このため、ディスク装置50の前面に飛来した電波は挿入間口55から再生デッキ52内に進入し、再生デッキ52内の機構部品に到達する。この電波は再生デッキ52内でノイズとなり、該ノイズに起因して、再生音に音飛びが生じたり、雑音が発生したりしてしまう。さらに、一般的に、挿入間口55の口径Hは120mm程度の幅寸法を有しており、この寸法は、携帯電話等の無線通信で使用される外部電波の周波数帯1.25GHzの半波長に相当するため、当該外部電波が挿入間口55から再生デッキ52内に進入しやすい。したがって、ディスク装置50が車載用ディスク装置として使用された場合、ディスク装置50は外部電波にさらされる機会が多くなり、該外部電波がディスク装置50に悪影響を及ぼすことになる。
【0008】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外部電波の影響を受けにくいディスク装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一側面は、スロットから挿入されるディスク媒体を記録位置または再生位置まで搬入して、ディスク媒体の情報を記録または再生すると共に、記録位置または再生位置のディスク媒体をスロットに向かって搬出するデッキと、スロットが形成されると共に、デッキを収納するシャーシと、を有するディスク装置において、導電性を有する部材で形成され、もしくはその表面が導電性を有する膜で被覆された延出部材を、スロットの短手方向に横切るように設けるものである。
【0010】
また、デッキは、スロットから挿入されるディスク媒体と当接してディスク媒体を検出するディスク検出アームを備えており、延出部材をディスク検出アームから、スロットの短手方向に向かって延出するディスク検出部で構成するのが好ましい。
【0011】
また、デッキは、ディスク媒体が収納された状態で、新たな前記ディスク媒体がスロットから挿入されるのを防止する誤挿入防止アームを備えており、延出部材を誤挿入防止アームから、スロットの短手方向に向かって延出する誤挿入防止部で構成するのが好ましい。
【0012】
また、延出部材を複数設けるものとするのが好ましい。
【0013】
また、本発明の一側面は、スロットから挿入されるディスク媒体をデッキ中の記録位置または再生位置まで搬入して、ディスク媒体の情報を記録または再生するディスク装置への電波の入射を防止するディスク装置の電波入射防止構造において、導電性を有する部材で形成され、もしくはその表面が導電性を有する膜で被覆された延出部材を、スロットの短手方向に横切るように設けることで、スロットを長手方向に沿って複数の領域に分割し、スロットに入射する電波の周波数帯を変えることにより、ディスク装置に影響を及ぼす周波数帯を有する電波の入射を防止するものである。
【0014】
また、デッキは、スロットから挿入されるディスク媒体と当接してディスク媒体を検出するディスク検出アームを備えており、延出部材をディスク検出アームから、スロットの短手方向に向かって延出するディスク検出部で構成するのが好ましい。
【0015】
また、デッキは、ディスク媒体が収納された状態で、新たなディスク媒体がスロットから挿入されるのを防止する誤挿入防止アームを備えており、延出部を誤挿入防止アームから、スロットの短手方向に向かって延出する誤挿入防止ピンで構成するのが好ましい。
【0016】
また、延出部材を複数設けるものとするのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、ディスク装置が外部電波から受ける影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るディスク装置を右斜め上方から見た斜視図であり、光ディスクが挿入される前の状態を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るディスク装置を右斜め上方から見た斜視図であり、光ディスクが挿入された後の状態を示す図である。
【図3】図1のディスク装置を裏返して右斜め下方から見た状態を示す斜視図である。
【図4】図1中の誤挿入防止アームの構成を示す斜視図である。
【図5】光ディスクが図1のディスク装置に収納された状態での、電波とスロットとの関係を説明するための概略図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るディスク装置を右斜め上方から見た斜視図であり、光ディスクが挿入される前の状態を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るディスク装置を右斜め上方から見た斜視図であり、光ディスクが挿入された後の状態を示す図である。
【図8】図6中の誤挿入防止アームの構成を示す斜視図である。
【図9】光ディスクが図6のディスク装置に収納された状態での、電波とスロットとの関係を説明するための概略図である。
【図10】従来のディスク装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係るディスク装置1について、図面を参照しながら説明する。なお、ディスク装置1の電波入射防止構造についてもディスク装置1と共に説明する。このディスク装置1は再生装置となっているが、記録装置や記録再生装置としても良い。なお、以下の説明において、図1〜図9に示す矢示X方向を前方、矢示X方向を後方、このX方向とX方向と水平方向で直交する方向となる矢示Y方向を左方、矢示Y方向を右方、このXY平面と直交する方向の矢示Z方向を上方および矢示Z方向を下方とそれぞれ規定する。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るディスク装置1を右斜め上方から見た斜視図であり、光ディスクAが挿入される前の状態を示す図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係るディスク装置1を右斜め上方から見た斜視図であり、光ディスクAが挿入された後の状態を示す図である。図3は、図1のディスク装置1を裏返して右斜め下方から見た状態を示す斜視図である。
【0021】
本実施の形態に係るディスク装置1は、車に搭載される車載用ディスク装置として用いられる。図1および図2に示すように、ディスク装置1は、ディスク媒体であるCD、DVDなどの光ディスクAを再生するスロットイン方式のディスク再生装置である。このディスク装置1は略直方体の箱型形状を有するシャーシ2と、該シャーシ2の内部に備えられ、光ディスクAに記録されている情報を読み取り、再生する再生デッキ3とを有している。シャーシ2には、光ディスクAを挿入または排出するためのスロット4が設けられている。スロット4は略矩形状の形態を有しており、その長手方向の口径Hは挿入される光ディスクAの直径に対応するように、約120mmの寸法に形成されている。このスロット4に挿入される光ディスクAは、光ディスクAをローディングするための不図示のディスクローディング機構によって再生デッキ3内のクランプ位置まで搬送される。なお、ディスク装置1は車載用ディスク装置とされているが、車載用ではなく、例えば、家庭用のディスク装置としても良い。また、ディスク媒体として、光ディスクAの代わりに磁気ディスク等の他の種類のディスク媒体を挿入するようにしても良い。
【0022】
また、図1から図3に示すように、再生デッキ3には、光ディスクAの検出を行う2つのディスク検出アーム5A,5B(以下、ディスク検出アーム5A,5Bをまとめて現す場合には、単に、ディスク検出アーム5と表記する。)と、光ディスクAがディスク装置1内に収納された状態で、新たな光ディスクAがスロット4から挿入されるのを防止する誤挿入防止アーム6と、再生デッキ3をシャーシ2内において浮動(フローティング)状態にて支持するダンパ7(図1および図2では再生デッキに配設されているダンパ7のうちの一部のみを示す。)と、光ディスクAに記録されている信号を読み取るための光ピックアップ10(図3参照)と、光ピックアップ10の動作を制御する光ピックアップ基板11(図3参照)が配設されている。
【0023】
ディスク検出アーム5A,5Bは左右対称に一対設けられている。このディスク検出アーム5は光ディスクAの挿排出に応じて左右方向に向かって周状にスライドすることで、光ディスクAの検出を行う。ディスク検出アーム5A,5Bは前後方向に略板状の形態で延出するアーム部12A,12B(図1および図2ではその前端側の部分のみを示す。)と、アーム部12A,12Bの先端から上方に向かって延出するディスク検出部となるディスク検出ピン13A,13Bとを有する。ディスク検出アーム5は左右で対称構造を有しており、アーム部12A,12Bが再生デッキ3の奥側において軸支され、該軸支された支点を中心として左右方向に回動(スライド)するように構成されている。ディスク検出アーム5A,5Bは、ディスク検出ピン13A,13Bが挿排出される光ディスクAの外周部と当接ながら左右方向にスライドする。なお、光ディスクAの検出は、アーム部12A,12Bがそのスライドに応じて不図示の検出スイッチを押すことによってなされる。ディスク検出アーム5は鉄もしくはアルミニウム等の導電性を有する部材から形成されている。なお、ディスク検出アーム5は金属のみならず導電性を有するシリコーン材料等から形成しても良い。
【0024】
図4は、図1中の誤挿入防止アーム6の構成を示す斜視図である。
【0025】
誤挿入防止アーム6は、Y方向を軸として周方向に回動し、再生デッキ3の左右両端部において回動可能に軸支されている。図4に示すように、誤挿入防止アーム6は、左右を長手方向とする略平板状の平板部20と、平板部20の左端部に設けられる略台形の板状の形態を有する左板部21と、平板部20の右端部に設けられる略楕円形の板状の形態を有する右板部22と、平板部20の左右両端から左右方向外方に向かって略円柱状の形態で突出する軸部23と、平板部20を長手方向において約3分割する2箇所の位置から前方に向かって、右方向から見て略L字状の形態で立ち上がる誤挿入防止部となる誤挿入防止板24A,24B(以下、誤挿入防止板24A,24Bをまとめて表す場合には、単に、誤挿入防止板24と表記する。)を有する。誤挿入防止板24A,24Bのうち上方に延出する部分は幅広の略板状の形態を有している。また、誤挿入防止板24Aの左端部および誤挿入防止板24Bの右端部から下方に向かって細長状の細状部25が延出している。誤挿入防止アーム6は鉄もしくはアルミニウム等の導電性を有する部材から形成されている。なお、誤挿入防止アーム6は金属のみならず導電性を有するシリコーン材料等から形成しても良い。
【0026】
誤挿入防止アーム6は、その左右両端に設けられる軸部23が再生デッキ3の下方において回動可能に軸支されている。このため、誤挿入防止アーム6は軸部23を中心として周方向に回動可能な構成となっている。したがって、誤挿入防止アーム6を周方向に回動させて、光ディスクAを挿入可能な状態にしたり、挿入不可な状態にしたりすることができる。具体的には、光ディスクAが挿入される前には、図1に示すように、誤挿入防止板24が斜め下方に向かって傾いた状態を維持する。このため、シャーシ2の天板27と誤挿入防止板24との間に隙間が形成され、該隙間を介して光ディスクAをスロット4に挿入できる。一方、光ディスクAが挿入された後には、図2に示すように、誤挿入防止板24A,24Bが上方に傾き、スロット4を上下方向に横切る状態となる。このため、新たな光ディスクAがスロット4に挿入することができなくなる。
【0027】
図5は、光ディスクAがディスク装置1に収納された状態での、電波とスロット4との関係を説明するための概略図である。
【0028】
上述したように、本実施の形態に係るディスク装置1は車載用のディスク装置として用いられる。このため、無線通信で使用される周波数帯の電波にさられる機会が多い。ここで、スロット4の長手方向の口径Hは約120mmに形成されている。また、一般に無線通信で使用される電波Xの周波数帯は1.25GHzである。これより、図5に示すように、口径Hの120mmの寸法は電波の半波長に相当する。すなわち、口径をH(mm)、電波の波長をλ(mm)としたとき、H=λ/2の関係が成立する。仮に、ディスク検出アーム5および誤挿入防止アーム6が導電性を有する部材で形成されていないとすると、スロット4の開口部には電波の進入を遮るものがない。このため、ディスク装置1に電波Xが飛来してきた場合、スロット4がアンテナ(スロットアンテナ)の機能を果たし、スロット4から電波Xが入り込んでしまう。具体的には、スロット4に電波Xの半波長が定在波として定在することになる。したがって、電波Xが再生デッキ3の内部に進入し、それがノイズとなって光ピックアップ10や光ピックアップ基板11等の機構部品に悪影響を及ぼすことになる。
【0029】
一方、本実施の形態に係るディスク装置1では、ディスク検出アーム5および誤挿入防止アーム6は導電性を有する部材で形成されている。このため、スロット4の開口部内には、ディスク装置1の内部へのディスク検出ピン13A,13Bおよび誤挿入防止板24A,24Bといった、ディスク装置1の内部への電波Xの進入を遮る部材が存在することになる。ここで、スロット4の開口部は長手方向に沿って約3分割した約40mmの口径寸法を有する3つの開口部26が形成されている。このため、口径120mmを有する開口部はスロットアンテナとして機能することはなく、各開口部26がスロットアンテナの機能を果たす。すなわち、スロット4からの電波Xの進入はディスク検出ピン13A,13Bおよび誤挿入防止板24A,24Bによって阻止される。他方、開口部26が有する約40mmの口径寸法は、3.75GHzの周波数帯を有する電波の半波長に相当する。この周波数帯を有する電波は、通信においてあまり利用されていない。さらに、3.75GHzの周波数帯を有する電波がディスク装置1の内部に進入したとしても、該電波は高周波であるため、直進性があると共に減衰しやすく、一般的に、強度は小さい。このため、ディスク装置1が該電波から大きな影響を受けることはない。
【0030】
以上のように構成されたディスク装置1では、スロット4をディスク検出ピン13A,13Bおよび誤挿入防止板24A,24Bといった導電性を有する部材で区切ることにより、外部から影響を受けやすい周波数帯を変化させている。このため、口径120mmを有する開口部となるスロット4は、一般に無線通信で使用される1.25GHzの周波数帯を有する電波Xに対してスロットアンテナとして機能しなくなる。したがって、電波Xがスロット4から進入するのを防止できる。その結果、再生デッキ3の内部に進入した電波Xがノイズとなって、光ピックアップ10や光ピックアップ基板11等の機構部品に悪影響を及ぼすのを防止できる。このため、ディスク装置1で再生される音に、飛びが発生することや雑音が発生するのを防止することができる。一方、スロット4をディスク検出ピン13A,13Bおよび誤挿入防止板24A,24Bで区切ることにより、開口部26がスロットアンテナの機能を果たし、その結果、開口部26からは3.75GHzの周波数帯を有する電波が進入しやすくなる。しかし、この周波数帯を有する電波は、通信においてあまり利用されていない上、ディスク装置1の内部に進入したとしても、その周波数帯の電波は高周波であるため、一般的に、強度は小さい。このため、ディスク装置1が該電波によって大きな影響を受けることはない。以上より、外部電波がディスク装置1へ及ぼす影響を低減することが可能となる。
【0031】
また、ディスク装置1では、ディスク検出ピン13および誤挿入防止板24といった2種類の導電性を有する部材で、スロット4を区切っている。このため、より確実に電波Xの進入を防止することができる。
【0032】
また、ディスク装置1では、誤挿入防止板24はスロット4の長手方向に幅広の略平板状に形成されている。このため、より確実に電波Xの進入を防止することができる。
【0033】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係るディスク装置40について、図面を参照しながら説明する。なお、第2の実施の形態に係るディスク装置40において、第1の実施の形態と共通する事項については、同一の符号を付すと共に、その説明を省略または簡略化する。また、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と誤挿入防止アーム41の構成が相違する。
【0034】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るディスク装置40を右斜め上方から見た斜視図であり、光ディスクAが挿入される前の状態を示す図である。図7は、本発明の第2の実施の形態に係るディスク装置40を右斜め上方から見た斜視図であり、光ディスクAが挿入された後の状態を示す図である。図8は、図6中の誤挿入防止アーム41の構成を示す斜視図である。
【0035】
図6に示すように、本実施の形態に係るディスク装置40では、第1の実施の形態と同様、再生デッキ3はシャーシ2の内部に収納されており、該シャーシ2の前方にはスロット4が設けられている。また、再生デッキ3には、光ディスクAの検出を行う2つのディスク検出アーム5A,5Bと、光ディスクAがディスク装置40内に収納された状態で、新たな光ディスクAがスロット4から挿入されるのを防止する誤挿入防止アーム41が配設されている。
【0036】
誤挿入防止アーム41は、従来の誤動作防止アームと同様の構成を有しており、再生デッキ3の左右両端部において回動可能に軸支されている。誤挿入防止アーム41は、第1の実施の形態と同様、平板部42と、左板部43と、右板部44と、軸部45と、誤挿入防止ピン46A,46Bを有するものの、誤挿入防止ピン46A,46B(以下、誤挿入防止ピン46A,46Bをまとめて現す場合には、単に、誤挿入防止ピン46と表記する。)の形状が第1の実施の形態と異なる。図8に示すように、誤挿入防止ピン46は、平板部20を長手方向において約3分割する2箇所の位置から前方に向かって略L字状の形態で立ち上がり、そのうち上方に向かって延出する部分が略柱状に形成されている。
【0037】
図9は、光ディスクAがディスク装置40に収納された状態での、電波Xとスロット4との関係を説明するための概略図である。
【0038】
第1の実施の形態の場合と同様、ディスク装置40は車載用のディスク装置として用いられる。また、スロット4の口径Hは電波Xの半波長に相当する約120mmに形成されている。このため、仮に、ディスク検出アーム5および誤挿入防止アーム41が導電性を有する部材で形成されていないとすると、スロット4の開口部には電波Xのディスク装置40の内部への進入を遮るものがなくなる。したがって、ディスク装置40に電波Xが飛来してきた場合、スロット4がアンテナ(スロットアンテナ)の機能を果たし、スロット4に電波Xが入り込んでしまう。
【0039】
ディスク装置40では、導電性を有するディスク検出ピン13A,13Bおよび誤挿入防止ピン46A,46Bによって、スロット4を長手方向に沿って約3分割した約40mmの口径寸法を有する3つの開口部47が形成されている。したがって、各開口部47がスロットアンテナとしての機能を果たす。このため、スロット4からの電波Xの進入はディスク検出ピン13A,13Bおよび誤挿入防止ピン46A,46Bによって阻止される。一方、第1の実施の形態の場合と同様、3.75GHzの周波数帯を有する電波が開口部47から再生デッキ3内に進入しやすくなるが、該電波はディスク装置1に大きな影響を及ぼさない。
【0040】
以上のように構成されたディスク装置1では、スロット4をディスク検出ピン13A,13Bおよび誤挿入防止ピン46A,46Bといった導電性を有する部材で区切ることにより、外部から影響を受けやすい周波数帯を変化させている。このため、口径120mmを有する開口部となるスロット4がスロットアンテナとして機能することがなくなり、電波Xがスロット4から進入するのを防止できる。その結果、電波Xが再生デッキ3の内部に進入し、ノイズとなって光ピックアップ10や光ピックアップ基板11等の機構部品に悪影響を及ぼすのを防止できる。したがって、ディスク装置1で再生される音に、飛びが発生することや雑音が発生するのを防止することができる。一方、開口部47から3.75GHzの周波数帯を有する電波が進入しやすくなるが、該電波はディスク装置40に大きな影響を及ぼさない。このため、外部電波がディスク装置40へ及ぼす影響を低減することが可能となる。
【0041】
また、ディスク装置40では、ディスク検出ピン13および誤挿入防止ピン46といった2種類の導電性を有する部材で、スロット4を区切っている。このため、より確実に電波Xの進入を防止することができる。
【0042】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は上述の各形態に限定されることなく、種々変形した形態にて実施可能である。
【0043】
上述の各実施の形態では、ディスク検出アーム5および誤挿入防止アーム6,41の2種類の導電性を有する部材を設けているが、どちらか一方を設けないようにしても良い。また、ディスク検出アーム5および誤挿入防止アーム6,41の双方を導電性を有する部材で形成しているが、ディスク検出アーム5および誤挿入防止アーム6,41のうちのどちらか一方のみを導電性を有する部材で形成するようにしても良い。
【0044】
また、上述の第1の実施の形態では、ディスク検出アーム5および誤挿入防止アーム6の全体を導電性を有する部材で形成しているが、ディスク検出アーム5および誤挿入防止アーム6のうちのディスク検出ピン13および誤挿入防止板24の部分のみを導電性を有する部材で形成するようにしても良い。また、第2の実施の形態においても、ディスク検出アーム5および誤挿入防止アーム41のうちのディスク検出ピン13および誤挿入防止板46の部分のみを導電性を有する部材で形成するようにしても良い。
【0045】
また、上述の各実施の形態では、ディスク検出アーム5および誤挿入防止アーム6,41を導電性を有する部材で形成しているが、ディスク検出アーム5および誤挿入防止アーム6,41を樹脂等の他の部材で形成し、例えば、その外側をメッキ塗装や導電塗装、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷もしくはスパッタ法を用いた蒸着等することにより、ディスク検出アーム5および誤挿入防止アーム6,41の外側を導電性を有する薄膜もしくは厚膜で被覆するようにしても良い。また、ディスク検出アーム5および誤挿入防止アーム6,41を樹脂等の他の部材で形成し、ディスク検出ピン13並びに誤挿入防止板24もしくは誤挿入防止ピン46の一部もしくは全部を導電性を有する薄膜もしくは厚膜で被覆するようにしても良い。
【0046】
また、上述の第1の実施の形態では、ディスク検出ピン13および誤挿入防止板24をそれぞれ2つずつ設けることによって、スロット4内に3つの開口部26を形成するようにしているが、誤挿入防止板24の数は2つに限定されるものではなく、例えば、1つもしくは3つ以上設けるようにして、スロット4内に他の数の開口部を形成するようにしても良い。また、第2の実施の形態においても、誤挿入防止ピン46を、例えば、1つもしくは3つ以上設けるようにして、スロット4内に他の数の開口部を形成するようにしても良い。また、ディスク検出ピン13、誤挿入防止板24および誤挿入防止ピン46は、スロット4を長手方向に沿って略均等の間隔で3分割するように設けられているが、飛来してくる電波の周波数帯に対応させて、適宜、スロット4の間隔を調整するようにしても良い。
【0047】
また、上述の第1の実施の形態では、ディスク検出ピン13および誤挿入防止板24によって、スロット4を区切るような構成としているが、このような構成に限定されるものではなく、再生デッキ3内に他の部材を配設することによって、もしくは、再生デッキ3内に配設されている部材によって、スロット4を区切るような構成としても良い。また、第2の実施の形態においても、ディスク検出ピン13および誤挿入防止ピン46以外の他の部材によって区切るようにしても良い。
【符号の説明】
【0048】
1,40…ディスク装置
2…シャーシ
3…再生デッキ(デッキ)
4…スロット
5A,5B…ディスク検出アーム
6,41…誤挿入防止アーム
13A,13B…ディスク検出ピン(ディスク検出部、延出部材)
23A,23B…誤挿入防止板(誤挿入防止部、延出部材)
46A,46B…誤挿入防止ピン(誤挿入防止部、延出部材)
A…光ディスク(ディスク媒体)
X…電波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットから挿入されるディスク媒体を記録位置または再生位置まで搬入して、上記ディスク媒体の情報を記録または再生すると共に、記録位置または再生位置の上記ディスク媒体を上記スロットに向かって搬出するデッキと、
上記スロットが形成されると共に、上記デッキを収納するシャーシと、
を有するディスク装置において、
導電性を有する部材で形成され、もしくはその表面が導電性を有する膜で被覆された延出部材を、上記スロットの短手方向に横切るように設けることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
請求項1記載のディスク装置において、前記デッキは、前記スロットから挿入される前記ディスク媒体と当接して前記ディスク媒体を検出するディスク検出アームを備えており、前記延出部材を上記ディスク検出アームから、前記スロットの短手方向に向かって延出するディスク検出部で構成したことを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のディスク装置において、前記デッキは、前記ディスク媒体が収納された状態で、新たな前記ディスク媒体が前記スロットから挿入されるのを防止する誤挿入防止アームを備えており、前記延出部材を上記誤挿入防止アームから、前記スロットの短手方向に向かって延出する誤挿入防止部で構成したことを特徴とするディスク装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載のディスク装置において、前記延出部材は複数設けられていることを特徴とするディスク装置。
【請求項5】
スロットから挿入されるディスク媒体をデッキ中の記録位置または再生位置まで搬入して、上記ディスク媒体の情報を記録または再生するディスク装置への電波の入射を防止するディスク装置の電波入射防止構造において、
導電性を有する部材で形成され、もしくはその表面が導電性を有する膜で被覆された延出部材を、上記スロットの短手方向に横切るように設けることで、上記スロットを長手方向に沿って複数の領域に分割し、上記スロットに入射する電波の周波数帯を変えることにより、上記ディスク装置に影響を及ぼす周波数帯を有する電波の入射を防止することを特徴とするディスク装置の電波入射防止構造。
【請求項6】
請求項5記載のディスク装置の電波入射防止構造において、前記デッキは、前記スロットから挿入される前記ディスク媒体と当接して前記ディスク媒体を検出するディスク検出アームを備えており、前記延出部材を上記ディスク検出アームから、前記スロットの短手方向に向かって延出するディスク検出部で構成したことを特徴とするディスク装置の電波入射防止構造。
【請求項7】
請求項5または6記載のディスク装置の電波入射防止構造において、前記デッキは、前記ディスク媒体が収納された状態で、新たな前記ディスク媒体が前記スロットから挿入されるのを防止する誤挿入防止アームを備えており、前記延出部を上記誤挿入防止アームから、前記スロットの短手方向に向かって延出する誤挿入防止ピンで構成したことを特徴とするディスク装置の電波入射防止構造。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項記載のディスク装置の電波入射防止構造において、前記延出部材は複数設けられていることを特徴とするディスク装置の電波入射防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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