説明

ディスク装置のクランプ機構

【課題】 ディスク保持機能を持つターンテーブルを採用していながら、ターンテーブルによるディスクのクランプが、手作業に頼ることなく、ターンテーブルの移動動作を通じて自動的に行われるようにして、クランパやクランパホルダーを不要とする。
【解決手段】 ターンテーブルとカム機構5とを有する。ターンテーブルはそれ自体がディスク保持機能を備える。カム機構5が、揺動フレームの自由端部に具備された係合部51と、カム面55を備えるカムスライダ52とを有する。カム面55が本来的に必要な部位56,57,58を有していることに加え、第3部位58と第1部位56との間に位置する山形の第4部位59を有する。第4部位59が押上げ機能を発揮し、待機部材の助けによって、ターンテーブルによるディスク保持機能が発揮されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置のクランプ機構、特にディスク装置の組立作業性の改善やその薄形化ないしコンパクト化に役立つ対策が講じられたディスク装置のクランプ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク装置において、ターンテーブルとクランパとによってディスクをクランプさせる場合にカムスライダの作用を利用することが知られていた(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
図12及び図13にクランプ機構の従来例の概略構成や作用を説明的に示してある。図12及び図13において、100はターンテーブル、200はターンテーブル100を回転駆動するためのモータ、300はクランパ、400はディスクトレイをそれぞれ示している。ターンテーブル100は円形であって、その中央に裁頭円錐形の凸部110を備えている。そして、ターンテーブル100が、ディスクトレイ400によるディスク500の搬入位置の下側の退避位置とその上側の動作位置との間で移動されるようになっているのに対し、ディスククランプ時にターンテーブル100の相手方として作用するクランパ300が、ディスク装置の枠フレーム(不図示)に装備されているクランパホルダー310に遊嵌状態で保持されている。
【0004】
このようなクランプ機構にあっては、図12のようにディスク500がその搬入位置に搬入された後、ターンテーブル100が退避位置から図13の矢印aのように上昇すると、その上昇途中で、ターンテーブル100が、ディスクトレイ400からディスク500を受け取って上方で待機しているクランパ300をクランパホルダー310から浮き上がらせる。そして、クランパ300やターンテーブル100に内蔵されている磁石やその相手方である磁性体が互いに引き合って、クランパ300とターンテーブル100とが共働して同図のようにディスク500を挟持する。この後、モータ200が始動してターンテーブル100が矢印Rのように回転し、併せて、図示していない光ピックアップなどが動作してディスク500に対する光学的処理が実行される。
【特許文献1】特開2004−241067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12及び図13を参照して説明した従来例では、クランプ機構がクランパホルダー310に保持されたクランパ300を必要としている。そのため、このクランプ機構では、ターンテーブル100の他にクランパ300やクランパホルダー310が余分に必要になり、それだけ必要部品点数が多くなって組立作業性ないし量産性の損なわるおそれがあっただけでなく、ディスク搬入位置の上方にクランパ300の配備スペースを確保しておく必要があったために、ディスク装置自体の薄形化ないしコンパクト化がそれによって阻害されるおそれがあった。
【0006】
ところで、近時普及の著しいノート型パソコン(ノート型パーソナルコンピュータ)に組み込まれているDVDドライブなどのディスク装置では、ターンテーブルがディスクトレイに装備されていて、そのターンテーブル自体に単独でディスクを挟圧保持することのできるディスク保持機能を付与したものがある。このものでは、上記したようなクランプを用いずにディスクをクランプさせるができるので、DVDドライブのサイズをノート型パソコンのサイズに合わせやすいという利点がある。この種のDVDドライブにおいて、外部に引き出したディスクトレイに装備されているターンテーブルにディスクをクランプさせるときには、ユーザが手作業でディスクの中心孔部をターンテーブルに押し込むという作業を行っている。
【0007】
このような背景の下、本発明は、ディスク保持機能を備えるターンテーブルを図12及び図13を参照して説明した従来例のターンテーブル100の代わりに採用したものでありながら、搬入位置にあるディスクのターンテーブルへの受渡しやターンテーブルによるディスクのクランプ動作が、ユーザの手作業に頼ることなく、ターンテーブルの移動動作を通じて自動的に行われるようにしたディスク装置のクランプ機構を提供することを目的としている。
【0008】
また、本発明は、従来例で説明したクランパ300やクランパホルダー310を省略してディスク装置の組立作業性ないし量産性を改善すると共に、その薄形化ないしコンパクト化を促進しやすくなるディスク装置のクランプ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、中央にディスクの中心孔部が嵌合される凸部を備えて回転駆動されるターンテーブルと、上記凸部にディスクの中心孔部が嵌合したディスクを保持して回転させる動作位置とその動作位置から退避して当該ターンテーブルとの対向位置である搬入位置に対するディスクの搬入出を許容する退避位置との間で上記ターンテーブルを移動させるためのカム機構と、を有している。
【0010】
そして、上記ターンテーブルは、ディスクの中心孔部が上記凸部に嵌合されたときに、そのディスクを上記凸部に出退可能に装備されている係止爪と共働して挟圧保持するディスク保持機能を備えている。また、上記カム機構には、上記ターンテーブルを退避位置から動作位置に移動させる途中で動作位置を越えてターンテーブルを移動させた後に上記動作位置に復帰させる押上げ機能が付加されていて、その押上げ機能によってターンテーブルが動作位置を越えてから上記動作位置に復帰するまでにディスク圧入動作が行われるように構成されている。このときのディスク圧入動作は、上記係止爪により中心孔部が支えられたディスクを定位置の待機部材に押し付けてその中心孔部を係止爪に乗り越えさせて上記凸部に嵌合するという動作のことである。
【0011】
この発明によると、それ自体がディスク保持機能を備えるターンテーブルを採用しているにもかかわらず、退避位置から動作位置に向かうターンテーブルの移動の途中でそのターンテーブルの凸部に対して自動的にディスク圧入動作が行われてディスクがそのターンテーブルによって挟圧保持される。このため、従来例で説明したクランパやクランパホルダーが不要になってディスク装置の組立作業性ないし量産性が改善され、併せて、ディスク装置の薄形化ないしコンパクト化を促進しやすくなる。
【0012】
本発明では、上記カム機構が、上記ターンテーブルを搭載して一端部が定位置に揺動可能に取り付けられた揺動フレームの他端部である自由端部に具備された係合部と、この係合部が摺動自在に係合するカム面を備えて上記揺動フレームの揺動方向に対する直交方向にスライド可能なカムスライダとを有し、このカムスライダの上記カム面が、上記動作位置に対応する第1部位と上記退避位置に対応する第2部位と、第1部位から第2部位に向かって延びる傾斜した第3部位とを有していると共に、第3部位と第1部位との間に介在されてそれらを連続させる山形の第4部位を有し、この第4部位を上記係合部が摺動することによって上記ディスク圧入動作が行われるようになっている、という構成を採用することが望ましい。これによれば、ターンテーブルを退避位置から動作位置に移動させるのに必要とされる第1、第2及び第3の各部位を備えるカムスライダのカム面に、山形の第4部位を追加するだけで、ターンテーブルの凸部に対するディスク圧入動作が行われるようになる。そのため、カム面の形状を変更するだけでディスク圧入動作が行われるようになる。
【0013】
本発明では、上記揺動フレームの一端部が取り付けられている枠フレームに上記待機部材が装備されていることが望ましい。この発明において、待機部材は、従来例に示したようなクランパのようにクランパホルダーに遊嵌状態で保持されている必要がない。そのため、クランパやクランパホルダーを用いた従来例に比べてクランプ機構の構成が簡略化される。
【0014】
本発明に係るディスク装置のクランプ機構は、次の構成を採用することによっていっそう具体化される。すなわち、中央にディスクの中心孔部が嵌合される凸部を備えて回転駆動されるターンテーブルと、上記凸部にディスクの中心孔部が嵌合したディスクを保持して回転させる動作位置とその動作位置から退避して当該ターンテーブルとの対向位置である搬入位置に対するディスクの搬入出を許容する退避位置との間で上記ターンテーブルを移動させるためのカム機構と、を有するディスク装置において、上記ターンテーブルは、ディスクの中心孔部が上記凸部に嵌合されたときに、そのディスクを上記凸部に出退可能に装備されている係止爪と共働して挟圧保持するディスク保持機能を備え、その係止爪は、ディスクの中心孔部を支える受面が当該ターンテーブルの径方向外側に向かう下がり勾配の傾斜面に形成されていて、その受面で支えられた上記ディスクの中心孔部に押込み力が加えられたときに後退してディスクの中心孔部を乗り越えさせる機能を備え、上記カム機構が、上記ターンテーブルを搭載して一端部が定位置に揺動可能に取り付けられた揺動フレームの他端部である自由端部に具備された係合部と、この係合部が摺動自在に係合するカム面を備えて上記揺動フレームの揺動方向に対する直交方向にスライド可能なカムスライダとを有し、このカムスライダの上記カム面が、上記動作位置に対応する第1部位と上記退避位置に対応する第2部位と、第1部位から第2部位に向かって延びる傾斜した第3部位とを有していると共に、第3部位と第1部位との間に介在されてそれらを連続させる山形の第4部位を有していて、この第4部位は、上記係合部が摺動することによって、上記ターンテーブルを退避位置から動作位置に移動させる途中でそのターンテーブルを動作位置を越えて移動させた後に上記動作位置に復帰させる押上げ機能を有し、その押上げ機能により、ターンテーブルが動作位置を越えてから上記動作位置に復帰するまでに、係止爪の上記受面により中心孔部が支えられたディスクを定位置の待機部材に押し付けてその中心孔部を係止爪に乗り越えさせて上記凸部に嵌合させるディスク圧入動作が行われるように構成され、かつ、上記揺動フレームの一端部が取り付けられている枠フレームに上記待機部材が装備されている、という構成を採用することによっていっそう具体化される。この発明の作用などについては後述する実施形態を参照して詳細に説明する。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、それ自体がディスク保持機能を備えるターンテーブルを採用したものでありながら、搬入位置にあるディスクのターンテーブルへの受渡しやターンテーブル自体によるディスクのクランプが、手作業に頼ることなく、ターンテーブルの移動動作を通じて自動的に行われるようになる。そのため、従来例で説明したクランパやクランパホルダーが不要になってそれだけディスク装置の組立作業性ないし量産性が改善されて量産化を図りやすくなり、しかも、ディスク装置の薄形化ないしコンパクト化も促進しやすいという効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明に係るクランプ機構を採用したディスク装置の一例を示した概略斜視図であり、同図のディスク装置では、メインシャーシとしての枠フレーム1にディスクトレイ2が出退可能に組み付けられているほか、同図に現れていないドライブシャーシとしての揺動フレームや光ピックアップなども枠フレーム1に組み付けられている。
【0017】
図2は図1のディスク装置の内部構造を概略で示した平面図、図3はディスクトレイ2を概略で示した平面図である。
【0018】
図2のように、枠フレーム1に組み付けられている揺動フレーム3は、その一端部31が枠フレーム1の定位置に揺動可能に取り付けられていて、同図には一点鎖線X−X線によってその揺動中心の位置を示してある。また、揺動フレーム3の他端部は、一点鎖線X−Xで示した揺動中心の回りで揺動される自由端部32となっている。この揺動フレーム3にはターンテーブル4が搭載されているのに対し、揺動フレーム3に開設された開口33内で移動する光ピックアップPが上記枠フレーム1に取り付けられている。
【0019】
図3のように、ディスクトレイ2は、サイズの異なる2種類のディスク500が各別に載架される円形の凹所21,22を同心位置に有しているほか、それらの凹所21,22のいずれかに載架されたディスク500の中心孔部510に対向する箇所と上記光ピックアップPの移動範囲に対応する箇所とに亘る開口23を有している。そして、図1又は図2に示した枠フレーム1の外側に後退して引き出されたディスクトレイ2にディスク500が載架された後、そのディスクトレイ2が矢印Y方向に移動して枠フレーム1の内側に進入することによりディスク500が搬入位置まで搬入されるのであって、その搬入位置では、たとえば図8に示したように、ディスク500の中心孔部510が、ディスクトレイ2の開口23を介してその下側に位置しているターンテーブル4に上方から対向するようになっている。
【0020】
図4はディスク保持機能を備えるターンテーブル4を概略で示した平面図、図5は図4のターンテーブル4のディスク保持機能の説明図である。
【0021】
図4又は図5のように、ターンテーブル4は円形であって、その中央に円形の凸部41が備わっている。さらに、その凸部41の周方向等角度おきの3箇所には、係止爪42が、ばね体44により突出方向に常時弾発付勢された状態でその凸部41の径方向に出退可能に取り付けられている。個々の係止爪42は、ディスク500の中心孔部510を支える受面43を有していて、その受面43が、図5に拡大して示したようにターンテーブル4の径方向外側に向かう下がり勾配の傾斜面に形成されている。そして、図5に仮想線で示したようにディスク500の中心孔部510がその受面43によって支えられた後、そのディスク500に押込み力が加えられたときには、ディスク500の中心孔部510が受面43を滑りながら係止爪42をばね体44の付勢に抗して後退させて係止爪42を乗り越えるようになっている。そして、ディスク500の中心孔部510が係止爪42を乗り越えると、その中心孔部510が凸部41に嵌合してディスク500がターンテーブル4に載架され、かつ、係止爪42がばね体44の付勢により突出してその係止爪42がターンテーブル4と共働してディスク500を挟圧保持するようになっている。ここで説明したところの、係止爪42がターンテーブル4と共働してディスク500を挟圧保持するという機能がターンテーブル4自体に付与されているディスク保持機能である。なお、図5において、Mはモータであり、このモータMを動力源としてターンテーブル4が回転する。
【0022】
なお、図2に示した揺動フレーム3は、ターンテーブル4を搭載したまま、同図に示したカム機構5の作用によって、ターンテーブル4が上記したディスク500の搬入位置の下側に位置してディスクトレイ3によるディスク500の搬入出を許容する退避位置(図8参照)と、その退避位置よりも上側の動作位置(図11参照)との間で移動されるようになっている。
【0023】
図6及び図7はカム機構5の正面図、図8〜図11はクランプ機構の作用説明図である。
【0024】
カム機構5は、揺動フレーム3の自由端部32に具備された係合部51と、揺動フレーム3の揺動方向に対する直交方向(図2に示した揺動フレーム3の横幅方向W)にスライド可能なカムスライダ52とを有している。そして、図6及び図7に示したように、カムスライダ52には、上記係合部51が摺動自在に係合されたカム面55が備わっている。
【0025】
カム面55は、上記したターンテーブル4の動作位置に対応する第1部位56と、上記したターンテーブル4の退避位置に対応する第2部位57と、第1部位56から第2部位57に向かって延びる傾斜した第3部位58とを有していることに加えて、第3部位58と第1部位56との間に介在されてそれらを連続させる山形の第4部位59を有している。そして、カムスライダ52が揺動フレーム3の横幅方向W(図2参照)にスライドすると、係合部51が、カム面55の第3部位58を摺動して、第1部位56と第2部位57との間で移動することに加え、係合部51が第3部位58を経て第1部位56に達する直前では、その係合部51が山形の第4部位59を乗り越える。このため、カムスライダ52のスライド動作を通じて、ターンテーブル4が動作位置とその動作位置から退避した退避位置との間で移動することに加え、ターンテーブル4が退避位置から動作位置に移動する途中では、係合部51が山形の第4部位59を乗り越えることによってターンテーブル4が動作位置を越えて移動した後に動作位置に復帰する。このようにターンテーブル4が退避位置から動作位置に移動する途中で、ターンテーブル4を動作位置を越えて移動させる作用は、カム面55の第4部位59に付与されている押上げ機能によって発揮される。
【0026】
次に、図8に示したように、ディスク500についての搬入位置の上方には待機部材7が配備されている。この待機部材7は、円筒形に形成されていて、図1又は図2に示した枠フレーム1に装備されている梁部12に樹脂で一体に成形されている。そして、カム面55の第4部位59(図6又は図7参照)が発揮する押上げ機能によりターンテーブル4が動作位置を越えてから動作位置に復帰するまでの間の所定のタイミングで、ターンテーブル4の上記係止爪42の受面43(図4又は図5参照)により中心孔部510が支えられたディスク500がその待機部材7に押し付けられるようになっていて、しかも、待機部材7にディスク500が押し付けられることによって、ディスク500の中心孔部510が係止爪42を乗り越えて凸部41に嵌合するようになっている。このようにして待機部材7がディスク500の中心孔部510を押し付けて係止爪42を乗り越えさせることによってその中間孔部510を凸部41に嵌合させる動作が、待機部材7によるディスク圧入動作である。
【0027】
以上のように構成されている実施形態のクランプ機構の作用を次に説明する。
【0028】
図6に仮想線で示したように係合部51がカム面55の第2部位57に位置しているときには、図8のようにターンテーブル4が退避位置に位置していて、ターンテーブル4との対向位置である上記搬入位置に対するディスク500の搬入が許容されている。そして、このときに、ディスク500が載架されたディスクトレイ2が枠フレーム1に進入してディスク500をその搬入位置まで搬入する。
【0029】
図8のようにディスク500がその搬入位置に搬入された後、カムスライダ52が図6の矢印W1方向にスライドすると、係合部51が同図矢印mのようにカム面55の第2部位57を離れて第3部位58を摺動した後、同図に実線で示したように第4部位59に乗り上がる。このように係合部51が第4部位59に乗り上がると、その第4部位59による押上げ機能が発揮されるために、図9の矢印Uのようにターンテーブル4が移動してディスクトレイ2上のディスク500を受け取って待機部材7に押し付け、さらに、図10の矢印Uのようにターンテーブル4がさらに移動すると、待機部材7によるディスク圧入動作によってディスク500の中心孔部510が係止爪42を乗り越えて凸部41に嵌合する。この状態では、ディスク500がターンテーブル4にそのディスク保持機能によって挟圧保持されている。
【0030】
この後、図7の矢印W1方向にカムスライダ52がさらにスライドすると、係合部51がカム面55の第4部位59を矢印nのように摺動して第1部位56に達する。こうして係合部51が第1部位56に達すると、図11のようにターンテーブル4が矢印Dのように移動して動作位置に位置するので、ターンテーブル4に挟圧保持されているディスク500が待機部材7から離れ、かつ、ディスクトレイ2からも離れた位置に保たれる。したがって、モータMを始動させてターンテーブル4と共にディスク500を回転させながら図2に示した光ピックアップPを動作させると、ディスク500に対して情報の書込み又は読取りといった光学的処理が行われる。
【0031】
次に、カムスライダ52が図7の矢印W1方向とは反対方向にスライドすると、係合部51がカム面55の第1部位56を離れて第4部位59を乗り越えた後、第3部位58を摺動して図7に仮想線で示したように第2部位57に達する。この場合、ターンテーブル4は図11及び図8の矢印Dのように移動する途中でディスク500をディスクトレイ2に受け渡す。そして、ターンテーブル4が図8のように動作位置に位置した後に、ディスクトレイ2が枠フレーム1(図1又は図2参照)の外側に引き出されてディスク500の交換などに備えられる。
【0032】
なお、図5には、係止爪42の受面43にディスク500の中心孔部510が支えられている状態からその中心孔部510が係止爪42を乗り越えてターンテーブル4に挟圧保持された状態に至るまでのディスク500の移動距離を符号Cで示してある。これに対し、図6及び図7には、カム面55の第2部位57と第1部位56との相互間距離を符号Aで示し、第4部位59の頂部と第1部位56との相互間距離を符号Bで示してある。そして、これらA,B,Cのそれぞれの長さは、Aが最も長く、BはCと同等に定められている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るクランプ機構を採用したディスク装置の概略斜視図である。
【図2】同ディスク装置の内部構造を概略で示した平面図である。
【図3】ディスクトレイを概略で示した平面図である。
【図4】ディスク保持機能を備えるターンテーブルを概略で示した平面図である。
【図5】図4のターンテーブルのディスク保持機能の説明図である。
【図6】カム機構の正面図である。
【図7】カム機構の正面図である。
【図8】退避位置のターンテーブルを示したクランプ機構の作用説明図である。
【図9】係止爪に支えられたディスクが待機部材に押し付けられたときのクランプ機構の作用説明図である。
【図10】待機部材のディスク圧入動作によってディスクがターンテーブルに挟圧保持されたときのクランプ機構の説明図である。
【図11】動作位置のターンテーブルを示したクランプ機構の作用説明図である。
【図12】従来例によるクランプ機構の作用説明図である。
【図13】他の状態での従来例によるクランプ機構の作用説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 枠フレーム
3 揺動フレーム
4 ターンテーブル
5 カム機構
7 待機部材
32 揺動フレームの自由端部
41 凸部
42 係止爪
43 受面
51 係合部
52 カムスライダ
55 カム面
56 第1部位
57 第2部位
58 第3部位
59 第4部位
500 ディスク
510 ディスクの中心孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央にディスクの中心孔部が嵌合される凸部を備えて回転駆動されるターンテーブルと、上記凸部にディスクの中心孔部が嵌合したディスクを保持して回転させる動作位置とその動作位置から退避して当該ターンテーブルとの対向位置である搬入位置に対するディスクの搬入出を許容する退避位置との間で上記ターンテーブルを移動させるためのカム機構と、を有するディスク装置において、
上記ターンテーブルは、ディスクの中心孔部が上記凸部に嵌合されたときに、そのディスクを上記凸部に出退可能に装備されている係止爪と共働して挟圧保持するディスク保持機能を備え、その係止爪は、ディスクの中心孔部を支える受面が当該ターンテーブルの径方向外側に向かう下がり勾配の傾斜面に形成されていて、その受面で支えられた上記ディスクの中心孔部に押込み力が加えられたときに後退してディスクの中心孔部を乗り越えさせる機能を備え、
上記カム機構が、上記ターンテーブルを搭載して一端部が定位置に揺動可能に取り付けられた揺動フレームの他端部である自由端部に具備された係合部と、この係合部が摺動自在に係合するカム面を備えて上記揺動フレームの揺動方向に対する直交方向にスライド可能なカムスライダとを有し、このカムスライダの上記カム面が、上記動作位置に対応する第1部位と上記退避位置に対応する第2部位と、第1部位から第2部位に向かって延びる傾斜した第3部位とを有していると共に、第3部位と第1部位との間に介在されてそれらを連続させる山形の第4部位を有していて、
この第4部位は、上記係合部が摺動することによって、上記ターンテーブルを退避位置から動作位置に移動させる途中でそのターンテーブルを動作位置を越えて移動させた後に上記動作位置に復帰させる押上げ機能を有し、その押上げ機能により、ターンテーブルが動作位置を越えてから上記動作位置に復帰するまでに、係止爪の上記受面により中心孔部が支えられたディスクを定位置の待機部材に押し付けてその中心孔部を係止爪に乗り越えさせて上記凸部に嵌合させるディスク圧入動作が行われるように構成され、かつ、上記揺動フレームの一端部が取り付けられている枠フレームに上記待機部材が装備されていることを特徴とするディスク装置のクランプ機構。
【請求項2】
中央にディスクの中心孔部が嵌合される凸部を備えて回転駆動されるターンテーブルと、上記凸部にディスクの中心孔部が嵌合したディスクを保持して回転させる動作位置とその動作位置から退避して当該ターンテーブルとの対向位置である搬入位置に対するディスクの搬入出を許容する退避位置との間で上記ターンテーブルを移動させるためのカム機構と、を有するディスク装置において、
上記ターンテーブルは、ディスクの中心孔部が上記凸部に嵌合されたときに、そのディスクを上記凸部に出退可能に装備されている係止爪と共働して挟圧保持するディスク保持機能を備え、
上記カム機構には、上記ターンテーブルを退避位置から動作位置に移動させる途中で動作位置を越えてターンテーブルを移動させた後に上記動作位置に復帰させる押上げ機能が付加されていて、そのカム機構の押上げ機能によりターンテーブルが動作位置を越えてから上記動作位置に復帰するまでに、上記係止爪により中心孔部が支えられたディスクを定位置の待機部材に押し付けてその中心孔部を係止爪に乗り越えさせて上記凸部に嵌合するディスク圧入動作が行われるように構成されていることを特徴とするディスク装置のクランプ機構。
【請求項3】
上記カム機構が、上記ターンテーブルを搭載して一端部が定位置に揺動可能に取り付けられた揺動フレームの他端部である自由端部に具備された係合部と、この係合部が摺動自在に係合するカム面を備えて上記揺動フレームの揺動方向に対する直交方向にスライド可能なカムスライダとを有し、このカムスライダの上記カム面が、上記動作位置に対応する第1部位と上記退避位置に対応する第2部位と、第1部位から第2部位に向かって延びる傾斜した第3部位とを有していると共に、第3部位と第1部位との間に介在されてそれらを連続させる山形の第4部位を有し、この第4部位を上記係合部が摺動することによって上記ディスク圧入動作が行われるようになっている請求項2に記載したディスク装置のクランプ機構。
【請求項4】
上記揺動フレームの一端部が取り付けられている枠フレームに上記待機部材が装備されている請求項2又は請求項3に記載したディスク装置のクランプ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−84361(P2008−84361A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−259879(P2006−259879)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】