ディスク装置
【課題】部品点数を少なくすると共に各アームの安定した作動状態を確保する。
【解決手段】ディスク挿入口から挿入されるディスクを保持するディスク保持部を有し、アーム軸を支点として回動する左右に配置された第１、第２のディスク搬入アームと、前記左右のディスク保持部を同時にディスク挿入口からディスク装着位置へ向かう内側と待機位置となるディスク挿入口へ向かう外側とに回動自在に作動制御する左右一対のリンクアームと、先端にディスク保持部を有し前記第２のディスク搬入アームのアーム軸によって回動自在に支持されディスク保持部が前方へ向かう回動と前方から後方へ向かう回動とに回動可能なディスク搬出アームと、そのディスク搬出アームと第２のディスクアームのアーム軸に装着され第１、第２の搬入アームを内側へ向け常時付勢すると共にディスク搬出アームを前方へ向け常時付勢する１つの付勢ばねとを備えた構造。
【解決手段】ディスク挿入口から挿入されるディスクを保持するディスク保持部を有し、アーム軸を支点として回動する左右に配置された第１、第２のディスク搬入アームと、前記左右のディスク保持部を同時にディスク挿入口からディスク装着位置へ向かう内側と待機位置となるディスク挿入口へ向かう外側とに回動自在に作動制御する左右一対のリンクアームと、先端にディスク保持部を有し前記第２のディスク搬入アームのアーム軸によって回動自在に支持されディスク保持部が前方へ向かう回動と前方から後方へ向かう回動とに回動可能なディスク搬出アームと、そのディスク搬出アームと第２のディスクアームのアーム軸に装着され第１、第２の搬入アームを内側へ向け常時付勢すると共にディスク搬出アームを前方へ向け常時付勢する１つの付勢ばねとを備えた構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば、ディスク状記録媒体を用いたビデオカメラ等に搭載され、その媒体に対して情報の記録又は再生を行なうディスク装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般にディスク状記録媒体を用いたビデオカメラ等に搭載され、その媒体に対して情報の記録又は再生を行なうディスク装置の概要は、前方のディスク挿入口から挿入されるディスクを左右の引込みアームによって例えば、再生又は記録位置となるディスク装着位置へ搬入セットし、セット完了後のディスクは光ヘッド部によって例えば再生が行なわれる。再生完了後のディスクは取り出しアームによって前記ディスク挿入口へ搬出される手段となっており、ディスクの出し入れが自由に行なえる構造となっている。ディスク状記録媒体としては、光ディスクや光磁気ディスク等がある。
【特許文献１】特開平８−１６７２０８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
ディスク装置は、ディスクを出し入れするところからディスクを引込む引き込みアーム並びに取り出しアームが重要な構成要素となっており、各アームは左右にそれぞれ独立して配置されている。それにともない各アーム付勢用の付勢ばね及びアーム駆動用のアーム駆動部材も左右にそれぞれ独立して配置される結果、部品点数が多くなることでコスト高を招く問題がある。
【０００４】
また、付勢ばねは左右のアームにそれぞれ独立して設けられているため、ばねによる左右同じ付勢力の管理が比較的難しく、安定したアームの作動が望めない等の不具合を有する。
【０００５】
そこで、本発明にあっては部品点数が少なくて済むと共に左右同じばね圧での作動が得られるディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
前記目的を達成するために本発明にあっては、ディスクが挿入されるディスク挿入口と、先端にディスク保持部を有しアーム軸を支点として回動する左右に配置された第１、第２のディスク搬入アームと、左右の第１、第２のディスク搬入アームと連動連繋し前記アーム軸を支点として各先端のディスク保持部を同時にディスク挿入口からディスク装着位置へ向かう内側への回動と待機位置となるディスク挿入口へ向かう外側への回動とに作動制御する左右一対のリンクアームと、先端にディスク保持部を有し前記第２のディスク搬入アームのアーム軸によって回動自在に支持され先端のディスク保持部がディスク挿入口となる前方へ向かう回動と前方から後方へ向かう回動とに回動可能なディスク搬出アームと、そのディスク搬出アームが支持された第２のディスクアームのアーム軸に装着され第１、第２の搬入アームを内側へ向け常時付勢すると共にディスク搬出アームを前方へ向け常時付勢する１つの付勢ばねとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば、付勢ばねのばね圧により第１、第２の搬入アームを内側へ向けて、ディスク搬出アームを前方へ向けてそれぞれ同時に回動させることができる。この結果、各アームに付勢力を与える付勢ばねは１つで済むため部品点数の削減を図ることができると共に、左右の第１、第２のディスク搬入アームは同一の同じ付勢力が与えられバラツキのない安定した作動を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
本発明のディスク装置は、光ディスク、光磁気ディスク等のディスク状記録媒体に対して情報の記録又は再生を行なうと共に、前記第１、第２のディスク搬入アームとディスク搬出アームを、一方のディスク搬入アームに沿って前後にスライド自在に配置された１つのスライド駆動部材により付勢ばねに抗して第１、第２のディスク搬入アームを外側へ向けて、ディスク搬出アームを後方へ向けて同時に回動させることで、駆動部材の部品点数の削減を図りながら第１、第２のディスク搬入アームとディスク搬出アームを１つの駆動部材によって作動できるようにする。
【実施例】
【０００９】
以下、図１乃至図１２の図面を参照しながら本発明の実施形態について具体的に説明する。
【００１０】
図１は本発明にかかるディスク装置のシャーシに左右一対のディスク搬入アーム及びディスク搬出アームを設けた概要平面図、図２はディスク搬入アーム及びディスク搬出アームを示した概要斜視図、図３は図１の概要平面図をそれぞれ示している。
【００１１】
図３において、ディスク装置１は、例えば、図外のディスク状記録媒体を用いるビデオカメラ等に図面左側を上向きとして縦置きに組込まれて使用される。
【００１２】
ディスク装置１のディスク挿入口３は、シャーシ５の前面両サイドの内、一方（図面下方左側）がカットされたカット面３ａを備えた形状となっていて前面全幅がディスクＤＳを挿入する挿入幅Ｌとなっている。これにより、二点鎖線で示す三角コーナ領域Ｓの占有スペースがなくなり、その分、装置全体のコンパクト化を図った形状となっている。
【００１３】
ディスク挿入口３には、図４から図７に示すように挿入口を開又は閉とする開閉可能な開閉扉７とその開閉扉７をロック又はロック解除するロック装置９が設けられている。
【００１４】
開閉扉７は、前記ディスク挿入口３の形状に沿って作られ、一方（図面右側）は回動ヒンジ１１、他方は自由端となっている。これにより、開閉扉７は回動ヒンジ１１を支点としてカット面３ａ側となる自由端側の回動が可能となるため、縦置きとした時に下側の回動ヒンジ１１を支点として上側が開くことで、ディスク挿入時のディスク受け部材として機能するようになっている。
【００１５】
開閉扉７のロック装置９は、ロックプレート１３とキャンセルレバ１５とを具備している。
【００１６】
ロックプレート１３はロック爪１７とロック解除用の手動操作部１９とを有し、ロックプレート１３に設けられたガイド孔２１とシャーシ５に支持されるガイドピン２３との関係によってロック位置（図６）とロック待機位置（図５）とにスライド自在（図５矢印イ）にシャーシ５に支持されている。
【００１７】
キャンセルレバ１５は、前記ロック爪１７と噛み合う噛み合い部２５とガイド突起爪２７とを有し前記ロックプレート１３の上面に重ね合わされている。重ね合わされたキャンセルレバ１５の基端部はレバー軸２９によって前記ロックプレート１３に設けられた長孔３１に対してロック爪拘束位置（図６）とロック爪拘束解除位置（図５）とにスライド及び回動自在に支持されている。
【００１８】
キャンセルレバ１５のガイド突起爪２７は、前記ロックプレート１３に設けられたガイド孔２１に係合しその規制凹部２１ａ内で回動可能となっている。したがって、ガイド突起爪２７が、規制凹部２１ａの外にある時、ロックプレート１３のロック位置（図６）とロック待機位置（図５）とのスライド移動（矢印イ）が可能となる。また、ガイド突起爪２７が規制凹部２１ａ内にある時、ロックプレート１３のスライド移動の動きが拘束されるようになっている。
【００１９】
キャンセルレバ１５は、付勢ばね３５によって常時、ロック爪拘束解除位置（図５）に付勢される一方、ロック爪拘束解除位置にあるキャンセルレバ１５に対して前記開閉扉７の閉扉時にその開閉扉７に設けられた係合部３７が前記キャンセルレバ１５の噛み合い部２５と当接し押圧することで、ロック爪拘束位置（図６）への回動が可能となっている。
【００２０】
付勢ばね３５は、一端がキャンセルレバ１５に、他端がロックプレート１３にそれぞれ係止され、前記した如くキャンセルレバ１５を常時ロック爪拘束解除位置（図５）へ付勢する外に、キャンセルレバ１５が開閉扉７の係合部３７によって押圧されロック爪拘束位置（図６）へ回動した時、ロックプレート１３をロック位置へ付勢（図６矢印ロ）する付勢機能を備えている。
【００２１】
したがって、ロックプレート１３のロック爪１７と開閉扉７の係合部３７とキャンセルレバ１５の噛み合い部２５の関係は、図６に示すようにロックプレート１３がロック位置にある時、ロック爪１７、係合部３７、噛み合い部２５の三者は同時に係合し合うことで、開閉扉７の開扉方向（図６矢印ハ）への動きが拘束されたロック状態が得られるようになっている。
【００２２】
また、ロック位置（図６）にあるロックプレート１３は手動操作部１９を持ってロック解除位置（図５）へスライド移動（矢印ニ）させることで、開閉扉７の開扉が可能となる。
【００２３】
一方、前面がディスク挿入口３となるシャーシ５には、図３に示すようにその挿入幅Ｌ内に光ヘッド部（図示していない）と、第１、第２のディスク搬入アーム４５、４７及びディスク搬出アーム６５が配置されている。
【００２４】
第１、第２のディスク搬入アーム４５、４７は、ディスク挿入口３から挿入されたディスクＤＳをディスク装着位置、即ち、ディスク装着部４６へ向けて搬入する手段となっている。
【００２５】
具体的に説明すると第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７は、前記シャーシ５の両サイド壁面に沿って左右にそれぞれ配置（図面上下方向）されている。第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７の先端（図面下側）はディスク７の両端縁を保持するピンタイプのディスク保持部４９ａ，４９ｂ、後端（図面上側）は回動軸５１ａ，５１ｂとなっている。カット面３ａ側となる一方の第１のディスク搬入アーム４５の長さｄ１（ディスク保持部４９ａから回動軸５１ａまで）は挿入口のカット面分、第２のディスク搬入アーム４７の長さｄ２より短く設定されている。
【００２６】
第１のディスク搬入アーム４５は、回動軸５１ａからさらに内側へ向かって第１延長アーム部４５ａが、第２のディスク搬入アーム４７は、回動軸５１ｂからさらに内側へ向かって第２延長アーム部４７ａが内側へ向かってそれぞれ一体に延長されている。第１、第２延長アーム部４５ａ，４７ａの内、一方の第１延長アーム部４５ａの延長端部は連繋機構を構成するリンクアーム５３の一端とアーム軸５５を介して回動自在に連結し、リンクアーム５３の他端は前記シャーシ５のほぼ中央部位に配置セットされたガイド部材５７のガイド溝５９にガイドピン６１を介してスライド自在に支持されている。第２延長アーム部４７ａの延長端部は連繋機構を構成するリンクアーム６３の一端がアーム軸６４を介して回動自在に連結している。リンクアーム６３の他端は前記したガイド部材５７のガイド溝５９に前記第１延長アーム部４５ａのリンクアーム５３と一緒に前記したガイドピン６１を介してスライド自在に支持されることで、第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７は各リンクアーム５３、６３を介して内側及び外側へ向って同時に回動する連動連繋された関係に設定されている。
【００２７】
ガイド部材５７のガイド溝５９は図３に示す如くディスク挿入方向となる中心軸線Ｘに対して所定の角度θを有しており、この角度θは長さの異なる第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７の同期用の角度となっている。
【００２８】
具体的には、ガイドピン６１がガイド溝５９に沿って後方（矢印ホ）へスライド移動することで、第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７の各ディスク保持部４９ａ，４９ｂは同時に内側（矢印ヘとなる閉じる方向）へ回動可能となる。
【００２９】
また、ガイドピン６１がガイド溝５９に沿って前方（矢印ト）へスライド移動することで、第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７の各ディスク保持部４９ａ，４９ｂは同時に外側（矢印へとは逆の開く方向）への回動が可能となっていて、第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７は付勢ばね６６により閉じる方向となる内側（矢印ヘ）へ向け付勢された付勢力が常に与えられている。
【００３０】
ディスク搬出アーム６５は、ディスク挿入口３から挿入されたディスクＤＳを後退しながら前記第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７と一緒にディスク装着部４６まで保持する作用と、例えば、記録又は再生完了後のディスクＤＳをディスク挿入口３へ搬出する作用とを備え、一本のアームによって構成されている。
【００３１】
ディスク搬出アーム６５の先端は、ディスク挿入口３から挿入されるディスクＤＳの挿入端中央部位を保持するピンタイプのディスク保持部６７となっている。ディスク搬出アーム６５の基端部は前記第２のディスク搬入アーム４７の回動軸５１ｂに対して回動自在に支持され、第２のディスク搬入アーム４７と同軸構造となっている。
【００３２】
したがって、ディスク搬出アーム６５は、前記回動軸５１ｂに装着された前記付勢ばね６６により反時計方向となるディスク押出完了位置（図３実線）となる前方へ向けて常に付勢されている。
【００３３】
これにより、１つの付勢ばね６６により第１、第２のディスク搬入アーム４５、４７及びディスク搬出アーム６５は同時に付勢力が与えられると共に、付勢ばね６６は１点で済むようになっている。
【００３４】
一方、第１のディスク搬入アーム４５と連動関係にある第２のディスク搬入アーム４７は第１のスライド駆動部材６９によって前記した付勢ばね６６とは別に強制的な回転動力が与えられる。
【００３５】
具体的に説明すると、図２、図３に示すように第１のスライド駆動部材６９はカム溝７１と第１ピン７３及び第２ピン７４とを有し、第１、第２ピン７３，７４がそれぞれ係合し合うシャーシ５に設けられた長孔７５ａ，７５ｂの範囲内において第１のスライド駆動部材６９のスライド（矢印チ、リ）が可能となっている。
【００３６】
第１のスライド駆動部材６９のカム溝７１内には第２のディスク搬入アーム４７に設けられたカムピン７７がカム溝７１に沿ってスライド自在に係合している。
【００３７】
カム溝７１は、第１のスライド駆動部材６９が前後（矢印チ、リ）にスライド移動した時にカムピン７７を介して第２のディスク搬入アーム４７を内側（矢印ヘ）方向へ回動させるカム突起面７１ａを有している。
【００３８】
カム突起面７１ａは、カムピン７７がそこに乗りあがることで、第２のディスク搬入アーム４７を内側へ向け強制的に回動させるのと同時に各リンクアーム６３，５３を介して第１のディスク搬入アーム４５を内側（矢印ヘ）へ向け強制的に回動させる作用が得られるようになっている。
【００３９】
したがって、ディスクＤＳをその直径方向の中心を通る両端が第１、第２のディスク搬入アーム４５、４７のディスク保持部４９ａ，４９ｂを越える位置、即ち、死点越えするまで手で挿入することで、付勢ばね６６による付勢力とカムピン７７及びカム突起面７１ａによる回動作用とによって強制的なディスクＤＳの引込み作用が得られるようになる。
【００４０】
また、第１のスライド駆動部材６９に設けられた第１、第２ピン７３、７４は、前方に第１ピン７３が、後方に第２ピン７４がそれぞれ設けられた配置構造となっていて、シャーシ５に設けられた長孔７５ａ，７５ｂとそれぞれ係合し合い、長孔７５ａ，７５ｂの範囲内において第１のスライド駆動部材６９の前後動（矢印チ、リ）が可能となる。
【００４１】
第１、第２ピン７３、７４の内、第１ピン７３はピン上端部が後述する伝達アーム７９の係合凹部８１と係脱自在に係合可能となっている。
【００４２】
第２ピン７４は、ピン上端部が前記第１のスライド駆動部材６９が後退（矢印チ）した時、即ち、第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７を内側（矢印ヘ）へ回動させた時にディスク搬出アーム６５のアーム端縁に設けられたカム面６５ａを押圧し、ディスク搬出アーム６５を付勢ばね６６に抗して後退（時計方向）させる機能を有する。また、第２ピン７４は第１のスライド駆動部材６９が前進（矢印リ）した時、ディスク搬出アーム６５のカム面６５ａから離れる押圧解除方向へ移動する規制解除ピンとして作用することでディスク搬出アーム６５は前記した付勢ばね６６の作用でディスクＤＳをディスク挿入口３まで搬出する反時計方向となる前方へ向かう回動作用が得られる構造となっている。
【００４３】
第１のスライド駆動部材６９を前後動（矢印チ、リ）させる動力は図１に示すように駆動モータＭによって与えられる。即ち、第１のスライド駆動部材６９にはラック等のギヤ部８３が設けられ、そのギヤ部８３は駆動部となる前記駆動モータＭからの回転動力を減速して伝達する最終の伝導ギヤ８５と噛み合っている。
【００４４】
したがって、第１のスライド駆動部材６９は駆動モータＭの正転又は逆転する回転動力によって前進（矢印リ）、後退（矢印チ）のスライド移動が可能となる。
【００４５】
駆動モータＭは、ディスクＤＳの両端を支持する第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７のディスク保持部４９ａ，４９ｂが左右に一杯に開いたことを検知する検知センサ８７からの信号によって、例えば、第１のスライド駆動部材６９を後退（矢印チ）させる正転に作動制御される。
【００４６】
また、開閉扉７のロック装置９がロック解除位置（図５）になったことを検知する検知スイッチ８９（図５参照）からの信号によって、例えば、第１のスライド駆動部材６９を前進（矢印リ）、即ち、第２ピン７４がディスク搬出アーム６５のカム面６５ａから離れるよう逆転に作動制御されるようになっている。
【００４７】
一方、図示しない光ヘッド部は、図４に示すようにスピンドルモータ９３によって回転するディスク装着部４６に装着セットされたディスクＤＳに対して、支持部材９１に固定されたガイドレール９５によって径方向にスライド自在に支持されている。支持部材９１は後端の回動ヒンジ９７によって自由端となる前端が上下動するよう回動自在に支持されている。支持部材９１の自由端となる前端には支持ピン９９が設けられ、その支持ピン９９は、図１２に示す第２のスライド駆動部材１０１の昇降カム溝１０３内に臨む形状となっている。
【００４８】
第２のスライド駆動部材１０１は、水平面１０４と垂直面１０５からなるアングル状に形成され、水平面１０４は図１１に示すようにその水平面１０４に設けられた長孔１０７とその長孔１０７に係合されたスライドピン１０９とによって左右（矢印ヌ、ル）にスライド自在にシャーシ５に支持されている。垂直面１０５は前記支持ピン９９が臨む昇降カム溝１０３を有し、第２のスライド駆動部材１０１が左方（矢印ル）へスライドした時、昇降カム溝１０３（図１２、鎖線）に臨む支持ピン９９によって光ヘッド部及びスピンドルモータ９３は下降した待機位置（図９）に、右方（矢印ヌ）へスライドした時、昇降カム溝１０３（図１２、実線）に臨む支持ピン９９によって光ヘッド部及びスピンドルモータ９３は上昇した作動位置（図１２）とに上下動可能となっている。
【００４９】
第２のスライド駆動部材１０１は、前記第１のスライド駆動部材６９が前後動（矢印チ、リ）すると伝達アーム７９を介して左右（矢印ヌ、ル）方向のスライド運動が与えられるようになっている。
【００５０】
伝達アーム７９は、図３に示すように、基端部から左右一対のアーム部１１１、１１３が延長された逆Ｕ字状の形状となっていて基端部はアーム軸１１５によってシャーシ５に回動自在に支持されている。伝達アーム７９の一方のアーム部１１３は係合凹部８１を有し、第１のスライド駆動部材６９の第１ピン７３と係脱自在に係合可能となっている。他方のアーム部１１１は第２のスライド駆動部材１０１に設けられた長孔１１５内に挿入された連結ピン１１７を介して回動自在に連結し、連結ピン１１７はシャーシ５に設けられた円弧溝１１９に沿ってスライド自在となっている。
【００５１】
アーム部１１３の係合凹部８１と第１のスライド駆動部材６９の第１ピン７３との係合関係は、第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７の作動中、即ち、ディスクＤＳの挿入中にあっては係合しておらず光ヘッド部及びスピンドルモータ９３が取付けられた支持部材９１は下降した待機状態におかれる。そして、ディスクＤＳの装着セットが完了すると係合し合い、第１のスライド駆動部材６９の作動時から所定のタイムラグを有して第２のスライド駆動部材１０１がスライドし、前記支持部材９１は上昇した作動位置におかれるようになる。
【００５２】
この場合、伝達アーム７９と第２のスライド駆動部材１０１を連結する連結ピン１１７にトグルばね１２１を作用させることが望ましい。これにより、第２のスライド駆動部材１０１の右方（矢印ル）への移動完了時の位置決め及び左方（矢印ヌ）への移動完了時の位置決めと、右方から左方へ、左方から右方への移動を助勢する助勢手段としての機能が得られる。
【００５３】
このように構成されたディスク装置１によれば、ロック装置９の手動操作部１９を操作してロックを解除し開閉扉７を開き、続いて、図３に示すようにディスク挿入口３からディスクＤＳを挿入する。このディスクＤＳの挿入に対応して第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７は順々に外側へ拡がる。と同時にディスク搬出アーム６５も一緒に後退する。さらに、ディスクＤＳが挿入されディスクＤＳが第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７のディスク保持部４９ａ，４９ｂに対して死点越えすると、駆動モータＭの動力で第１のスライド駆動部材６９がスライド（矢印チ）し、第１、第２ディスク搬入アーム４５，４７を内側へ強制的に回動させる。これにより、図８から図１１に示すように、ディスクＤＳの引込み作用が発生しディスクＤＳをディスク装着部４６に装着セットする。装着セットが完了すると待機位置にある支持部材９１は作動位置まで上昇し、例えば、光ヘッド部による再生が行なわれる。
【００５４】
これら一連の動作において、第２のディスク搬入アーム４７にディスク搬出アーム６９を同一軸で支持する一方、第２のディスク搬入アーム４７側に第１のスライド駆動部材６９を集合させたレイアウトによってアームとスライド駆動部材及び付勢ばね６６の連結関係が最短距離で済むことと相俟って部品点数の削減が図れると共に付勢ばね６６による左右の付勢力の管理が容易となる。しかも、一つの駆動モータＭの動力で確実な作動状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００５５】
【図１】本発明にかかるディスク装置の第１、第２のディスク搬入アーム及びディスク搬出アームとそれを連結する連繋機構をシャーシに設けた状態の概要斜視図。
【図２】第１、第２のディスク搬入アーム及びディスク搬出アームの連動連繋関係を示した概要斜視図。
【図３】第１、第２のディスク搬入手段アーム及びディスク搬出アームを連繋機構を介してシャーシに組込んだ状態を示した概要斜視図。
【図４】開閉扉が開いた状態のディスク装置の概要平面図。
【図５】ロック解除状態を示したロック装置の概要斜視図。
【図６】ロック状態を示したロック装置の概要平面図。
【図７】ロック装置の分解斜視図。
【図８】ディスクの挿入時の動作説明図。
【図９】図８を矢視方向からみた概要切断側面図。
【図１０】ディスク挿入完了前の動作説明図。
【図１１】ディスク挿入完了時の動作説明図。
【図１２】図１１を矢視方向からみた概要切断側面図。
【符号の説明】
【００５６】
３ ディスク挿入口
５ シャーシ
７ 開閉扉
４５ 第１のディスク搬入アーム
４６ ディスク装着部（ディスク装着位置）
４７ 第２のディスク搬入アーム
４９ａ，４９ｂ ディスク保持部
５１ａ，５１ｂ アーム軸
５３，６３ リンクアーム（連繋機構）
６５ ディスク搬出アーム
６６ 付勢ばね
６９ 第１のスライド駆動部材
９１ 支持部材
１０１ 第２のスライド駆動部材
Ｍ 駆動モータ（駆動部）
ＤＳ ディスク
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば、ディスク状記録媒体を用いたビデオカメラ等に搭載され、その媒体に対して情報の記録又は再生を行なうディスク装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般にディスク状記録媒体を用いたビデオカメラ等に搭載され、その媒体に対して情報の記録又は再生を行なうディスク装置の概要は、前方のディスク挿入口から挿入されるディスクを左右の引込みアームによって例えば、再生又は記録位置となるディスク装着位置へ搬入セットし、セット完了後のディスクは光ヘッド部によって例えば再生が行なわれる。再生完了後のディスクは取り出しアームによって前記ディスク挿入口へ搬出される手段となっており、ディスクの出し入れが自由に行なえる構造となっている。ディスク状記録媒体としては、光ディスクや光磁気ディスク等がある。
【特許文献１】特開平８−１６７２０８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
ディスク装置は、ディスクを出し入れするところからディスクを引込む引き込みアーム並びに取り出しアームが重要な構成要素となっており、各アームは左右にそれぞれ独立して配置されている。それにともない各アーム付勢用の付勢ばね及びアーム駆動用のアーム駆動部材も左右にそれぞれ独立して配置される結果、部品点数が多くなることでコスト高を招く問題がある。
【０００４】
また、付勢ばねは左右のアームにそれぞれ独立して設けられているため、ばねによる左右同じ付勢力の管理が比較的難しく、安定したアームの作動が望めない等の不具合を有する。
【０００５】
そこで、本発明にあっては部品点数が少なくて済むと共に左右同じばね圧での作動が得られるディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
前記目的を達成するために本発明にあっては、ディスクが挿入されるディスク挿入口と、先端にディスク保持部を有しアーム軸を支点として回動する左右に配置された第１、第２のディスク搬入アームと、左右の第１、第２のディスク搬入アームと連動連繋し前記アーム軸を支点として各先端のディスク保持部を同時にディスク挿入口からディスク装着位置へ向かう内側への回動と待機位置となるディスク挿入口へ向かう外側への回動とに作動制御する左右一対のリンクアームと、先端にディスク保持部を有し前記第２のディスク搬入アームのアーム軸によって回動自在に支持され先端のディスク保持部がディスク挿入口となる前方へ向かう回動と前方から後方へ向かう回動とに回動可能なディスク搬出アームと、そのディスク搬出アームが支持された第２のディスクアームのアーム軸に装着され第１、第２の搬入アームを内側へ向け常時付勢すると共にディスク搬出アームを前方へ向け常時付勢する１つの付勢ばねとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば、付勢ばねのばね圧により第１、第２の搬入アームを内側へ向けて、ディスク搬出アームを前方へ向けてそれぞれ同時に回動させることができる。この結果、各アームに付勢力を与える付勢ばねは１つで済むため部品点数の削減を図ることができると共に、左右の第１、第２のディスク搬入アームは同一の同じ付勢力が与えられバラツキのない安定した作動を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００８】
本発明のディスク装置は、光ディスク、光磁気ディスク等のディスク状記録媒体に対して情報の記録又は再生を行なうと共に、前記第１、第２のディスク搬入アームとディスク搬出アームを、一方のディスク搬入アームに沿って前後にスライド自在に配置された１つのスライド駆動部材により付勢ばねに抗して第１、第２のディスク搬入アームを外側へ向けて、ディスク搬出アームを後方へ向けて同時に回動させることで、駆動部材の部品点数の削減を図りながら第１、第２のディスク搬入アームとディスク搬出アームを１つの駆動部材によって作動できるようにする。
【実施例】
【０００９】
以下、図１乃至図１２の図面を参照しながら本発明の実施形態について具体的に説明する。
【００１０】
図１は本発明にかかるディスク装置のシャーシに左右一対のディスク搬入アーム及びディスク搬出アームを設けた概要平面図、図２はディスク搬入アーム及びディスク搬出アームを示した概要斜視図、図３は図１の概要平面図をそれぞれ示している。
【００１１】
図３において、ディスク装置１は、例えば、図外のディスク状記録媒体を用いるビデオカメラ等に図面左側を上向きとして縦置きに組込まれて使用される。
【００１２】
ディスク装置１のディスク挿入口３は、シャーシ５の前面両サイドの内、一方（図面下方左側）がカットされたカット面３ａを備えた形状となっていて前面全幅がディスクＤＳを挿入する挿入幅Ｌとなっている。これにより、二点鎖線で示す三角コーナ領域Ｓの占有スペースがなくなり、その分、装置全体のコンパクト化を図った形状となっている。
【００１３】
ディスク挿入口３には、図４から図７に示すように挿入口を開又は閉とする開閉可能な開閉扉７とその開閉扉７をロック又はロック解除するロック装置９が設けられている。
【００１４】
開閉扉７は、前記ディスク挿入口３の形状に沿って作られ、一方（図面右側）は回動ヒンジ１１、他方は自由端となっている。これにより、開閉扉７は回動ヒンジ１１を支点としてカット面３ａ側となる自由端側の回動が可能となるため、縦置きとした時に下側の回動ヒンジ１１を支点として上側が開くことで、ディスク挿入時のディスク受け部材として機能するようになっている。
【００１５】
開閉扉７のロック装置９は、ロックプレート１３とキャンセルレバ１５とを具備している。
【００１６】
ロックプレート１３はロック爪１７とロック解除用の手動操作部１９とを有し、ロックプレート１３に設けられたガイド孔２１とシャーシ５に支持されるガイドピン２３との関係によってロック位置（図６）とロック待機位置（図５）とにスライド自在（図５矢印イ）にシャーシ５に支持されている。
【００１７】
キャンセルレバ１５は、前記ロック爪１７と噛み合う噛み合い部２５とガイド突起爪２７とを有し前記ロックプレート１３の上面に重ね合わされている。重ね合わされたキャンセルレバ１５の基端部はレバー軸２９によって前記ロックプレート１３に設けられた長孔３１に対してロック爪拘束位置（図６）とロック爪拘束解除位置（図５）とにスライド及び回動自在に支持されている。
【００１８】
キャンセルレバ１５のガイド突起爪２７は、前記ロックプレート１３に設けられたガイド孔２１に係合しその規制凹部２１ａ内で回動可能となっている。したがって、ガイド突起爪２７が、規制凹部２１ａの外にある時、ロックプレート１３のロック位置（図６）とロック待機位置（図５）とのスライド移動（矢印イ）が可能となる。また、ガイド突起爪２７が規制凹部２１ａ内にある時、ロックプレート１３のスライド移動の動きが拘束されるようになっている。
【００１９】
キャンセルレバ１５は、付勢ばね３５によって常時、ロック爪拘束解除位置（図５）に付勢される一方、ロック爪拘束解除位置にあるキャンセルレバ１５に対して前記開閉扉７の閉扉時にその開閉扉７に設けられた係合部３７が前記キャンセルレバ１５の噛み合い部２５と当接し押圧することで、ロック爪拘束位置（図６）への回動が可能となっている。
【００２０】
付勢ばね３５は、一端がキャンセルレバ１５に、他端がロックプレート１３にそれぞれ係止され、前記した如くキャンセルレバ１５を常時ロック爪拘束解除位置（図５）へ付勢する外に、キャンセルレバ１５が開閉扉７の係合部３７によって押圧されロック爪拘束位置（図６）へ回動した時、ロックプレート１３をロック位置へ付勢（図６矢印ロ）する付勢機能を備えている。
【００２１】
したがって、ロックプレート１３のロック爪１７と開閉扉７の係合部３７とキャンセルレバ１５の噛み合い部２５の関係は、図６に示すようにロックプレート１３がロック位置にある時、ロック爪１７、係合部３７、噛み合い部２５の三者は同時に係合し合うことで、開閉扉７の開扉方向（図６矢印ハ）への動きが拘束されたロック状態が得られるようになっている。
【００２２】
また、ロック位置（図６）にあるロックプレート１３は手動操作部１９を持ってロック解除位置（図５）へスライド移動（矢印ニ）させることで、開閉扉７の開扉が可能となる。
【００２３】
一方、前面がディスク挿入口３となるシャーシ５には、図３に示すようにその挿入幅Ｌ内に光ヘッド部（図示していない）と、第１、第２のディスク搬入アーム４５、４７及びディスク搬出アーム６５が配置されている。
【００２４】
第１、第２のディスク搬入アーム４５、４７は、ディスク挿入口３から挿入されたディスクＤＳをディスク装着位置、即ち、ディスク装着部４６へ向けて搬入する手段となっている。
【００２５】
具体的に説明すると第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７は、前記シャーシ５の両サイド壁面に沿って左右にそれぞれ配置（図面上下方向）されている。第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７の先端（図面下側）はディスク７の両端縁を保持するピンタイプのディスク保持部４９ａ，４９ｂ、後端（図面上側）は回動軸５１ａ，５１ｂとなっている。カット面３ａ側となる一方の第１のディスク搬入アーム４５の長さｄ１（ディスク保持部４９ａから回動軸５１ａまで）は挿入口のカット面分、第２のディスク搬入アーム４７の長さｄ２より短く設定されている。
【００２６】
第１のディスク搬入アーム４５は、回動軸５１ａからさらに内側へ向かって第１延長アーム部４５ａが、第２のディスク搬入アーム４７は、回動軸５１ｂからさらに内側へ向かって第２延長アーム部４７ａが内側へ向かってそれぞれ一体に延長されている。第１、第２延長アーム部４５ａ，４７ａの内、一方の第１延長アーム部４５ａの延長端部は連繋機構を構成するリンクアーム５３の一端とアーム軸５５を介して回動自在に連結し、リンクアーム５３の他端は前記シャーシ５のほぼ中央部位に配置セットされたガイド部材５７のガイド溝５９にガイドピン６１を介してスライド自在に支持されている。第２延長アーム部４７ａの延長端部は連繋機構を構成するリンクアーム６３の一端がアーム軸６４を介して回動自在に連結している。リンクアーム６３の他端は前記したガイド部材５７のガイド溝５９に前記第１延長アーム部４５ａのリンクアーム５３と一緒に前記したガイドピン６１を介してスライド自在に支持されることで、第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７は各リンクアーム５３、６３を介して内側及び外側へ向って同時に回動する連動連繋された関係に設定されている。
【００２７】
ガイド部材５７のガイド溝５９は図３に示す如くディスク挿入方向となる中心軸線Ｘに対して所定の角度θを有しており、この角度θは長さの異なる第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７の同期用の角度となっている。
【００２８】
具体的には、ガイドピン６１がガイド溝５９に沿って後方（矢印ホ）へスライド移動することで、第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７の各ディスク保持部４９ａ，４９ｂは同時に内側（矢印ヘとなる閉じる方向）へ回動可能となる。
【００２９】
また、ガイドピン６１がガイド溝５９に沿って前方（矢印ト）へスライド移動することで、第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７の各ディスク保持部４９ａ，４９ｂは同時に外側（矢印へとは逆の開く方向）への回動が可能となっていて、第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７は付勢ばね６６により閉じる方向となる内側（矢印ヘ）へ向け付勢された付勢力が常に与えられている。
【００３０】
ディスク搬出アーム６５は、ディスク挿入口３から挿入されたディスクＤＳを後退しながら前記第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７と一緒にディスク装着部４６まで保持する作用と、例えば、記録又は再生完了後のディスクＤＳをディスク挿入口３へ搬出する作用とを備え、一本のアームによって構成されている。
【００３１】
ディスク搬出アーム６５の先端は、ディスク挿入口３から挿入されるディスクＤＳの挿入端中央部位を保持するピンタイプのディスク保持部６７となっている。ディスク搬出アーム６５の基端部は前記第２のディスク搬入アーム４７の回動軸５１ｂに対して回動自在に支持され、第２のディスク搬入アーム４７と同軸構造となっている。
【００３２】
したがって、ディスク搬出アーム６５は、前記回動軸５１ｂに装着された前記付勢ばね６６により反時計方向となるディスク押出完了位置（図３実線）となる前方へ向けて常に付勢されている。
【００３３】
これにより、１つの付勢ばね６６により第１、第２のディスク搬入アーム４５、４７及びディスク搬出アーム６５は同時に付勢力が与えられると共に、付勢ばね６６は１点で済むようになっている。
【００３４】
一方、第１のディスク搬入アーム４５と連動関係にある第２のディスク搬入アーム４７は第１のスライド駆動部材６９によって前記した付勢ばね６６とは別に強制的な回転動力が与えられる。
【００３５】
具体的に説明すると、図２、図３に示すように第１のスライド駆動部材６９はカム溝７１と第１ピン７３及び第２ピン７４とを有し、第１、第２ピン７３，７４がそれぞれ係合し合うシャーシ５に設けられた長孔７５ａ，７５ｂの範囲内において第１のスライド駆動部材６９のスライド（矢印チ、リ）が可能となっている。
【００３６】
第１のスライド駆動部材６９のカム溝７１内には第２のディスク搬入アーム４７に設けられたカムピン７７がカム溝７１に沿ってスライド自在に係合している。
【００３７】
カム溝７１は、第１のスライド駆動部材６９が前後（矢印チ、リ）にスライド移動した時にカムピン７７を介して第２のディスク搬入アーム４７を内側（矢印ヘ）方向へ回動させるカム突起面７１ａを有している。
【００３８】
カム突起面７１ａは、カムピン７７がそこに乗りあがることで、第２のディスク搬入アーム４７を内側へ向け強制的に回動させるのと同時に各リンクアーム６３，５３を介して第１のディスク搬入アーム４５を内側（矢印ヘ）へ向け強制的に回動させる作用が得られるようになっている。
【００３９】
したがって、ディスクＤＳをその直径方向の中心を通る両端が第１、第２のディスク搬入アーム４５、４７のディスク保持部４９ａ，４９ｂを越える位置、即ち、死点越えするまで手で挿入することで、付勢ばね６６による付勢力とカムピン７７及びカム突起面７１ａによる回動作用とによって強制的なディスクＤＳの引込み作用が得られるようになる。
【００４０】
また、第１のスライド駆動部材６９に設けられた第１、第２ピン７３、７４は、前方に第１ピン７３が、後方に第２ピン７４がそれぞれ設けられた配置構造となっていて、シャーシ５に設けられた長孔７５ａ，７５ｂとそれぞれ係合し合い、長孔７５ａ，７５ｂの範囲内において第１のスライド駆動部材６９の前後動（矢印チ、リ）が可能となる。
【００４１】
第１、第２ピン７３、７４の内、第１ピン７３はピン上端部が後述する伝達アーム７９の係合凹部８１と係脱自在に係合可能となっている。
【００４２】
第２ピン７４は、ピン上端部が前記第１のスライド駆動部材６９が後退（矢印チ）した時、即ち、第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７を内側（矢印ヘ）へ回動させた時にディスク搬出アーム６５のアーム端縁に設けられたカム面６５ａを押圧し、ディスク搬出アーム６５を付勢ばね６６に抗して後退（時計方向）させる機能を有する。また、第２ピン７４は第１のスライド駆動部材６９が前進（矢印リ）した時、ディスク搬出アーム６５のカム面６５ａから離れる押圧解除方向へ移動する規制解除ピンとして作用することでディスク搬出アーム６５は前記した付勢ばね６６の作用でディスクＤＳをディスク挿入口３まで搬出する反時計方向となる前方へ向かう回動作用が得られる構造となっている。
【００４３】
第１のスライド駆動部材６９を前後動（矢印チ、リ）させる動力は図１に示すように駆動モータＭによって与えられる。即ち、第１のスライド駆動部材６９にはラック等のギヤ部８３が設けられ、そのギヤ部８３は駆動部となる前記駆動モータＭからの回転動力を減速して伝達する最終の伝導ギヤ８５と噛み合っている。
【００４４】
したがって、第１のスライド駆動部材６９は駆動モータＭの正転又は逆転する回転動力によって前進（矢印リ）、後退（矢印チ）のスライド移動が可能となる。
【００４５】
駆動モータＭは、ディスクＤＳの両端を支持する第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７のディスク保持部４９ａ，４９ｂが左右に一杯に開いたことを検知する検知センサ８７からの信号によって、例えば、第１のスライド駆動部材６９を後退（矢印チ）させる正転に作動制御される。
【００４６】
また、開閉扉７のロック装置９がロック解除位置（図５）になったことを検知する検知スイッチ８９（図５参照）からの信号によって、例えば、第１のスライド駆動部材６９を前進（矢印リ）、即ち、第２ピン７４がディスク搬出アーム６５のカム面６５ａから離れるよう逆転に作動制御されるようになっている。
【００４７】
一方、図示しない光ヘッド部は、図４に示すようにスピンドルモータ９３によって回転するディスク装着部４６に装着セットされたディスクＤＳに対して、支持部材９１に固定されたガイドレール９５によって径方向にスライド自在に支持されている。支持部材９１は後端の回動ヒンジ９７によって自由端となる前端が上下動するよう回動自在に支持されている。支持部材９１の自由端となる前端には支持ピン９９が設けられ、その支持ピン９９は、図１２に示す第２のスライド駆動部材１０１の昇降カム溝１０３内に臨む形状となっている。
【００４８】
第２のスライド駆動部材１０１は、水平面１０４と垂直面１０５からなるアングル状に形成され、水平面１０４は図１１に示すようにその水平面１０４に設けられた長孔１０７とその長孔１０７に係合されたスライドピン１０９とによって左右（矢印ヌ、ル）にスライド自在にシャーシ５に支持されている。垂直面１０５は前記支持ピン９９が臨む昇降カム溝１０３を有し、第２のスライド駆動部材１０１が左方（矢印ル）へスライドした時、昇降カム溝１０３（図１２、鎖線）に臨む支持ピン９９によって光ヘッド部及びスピンドルモータ９３は下降した待機位置（図９）に、右方（矢印ヌ）へスライドした時、昇降カム溝１０３（図１２、実線）に臨む支持ピン９９によって光ヘッド部及びスピンドルモータ９３は上昇した作動位置（図１２）とに上下動可能となっている。
【００４９】
第２のスライド駆動部材１０１は、前記第１のスライド駆動部材６９が前後動（矢印チ、リ）すると伝達アーム７９を介して左右（矢印ヌ、ル）方向のスライド運動が与えられるようになっている。
【００５０】
伝達アーム７９は、図３に示すように、基端部から左右一対のアーム部１１１、１１３が延長された逆Ｕ字状の形状となっていて基端部はアーム軸１１５によってシャーシ５に回動自在に支持されている。伝達アーム７９の一方のアーム部１１３は係合凹部８１を有し、第１のスライド駆動部材６９の第１ピン７３と係脱自在に係合可能となっている。他方のアーム部１１１は第２のスライド駆動部材１０１に設けられた長孔１１５内に挿入された連結ピン１１７を介して回動自在に連結し、連結ピン１１７はシャーシ５に設けられた円弧溝１１９に沿ってスライド自在となっている。
【００５１】
アーム部１１３の係合凹部８１と第１のスライド駆動部材６９の第１ピン７３との係合関係は、第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７の作動中、即ち、ディスクＤＳの挿入中にあっては係合しておらず光ヘッド部及びスピンドルモータ９３が取付けられた支持部材９１は下降した待機状態におかれる。そして、ディスクＤＳの装着セットが完了すると係合し合い、第１のスライド駆動部材６９の作動時から所定のタイムラグを有して第２のスライド駆動部材１０１がスライドし、前記支持部材９１は上昇した作動位置におかれるようになる。
【００５２】
この場合、伝達アーム７９と第２のスライド駆動部材１０１を連結する連結ピン１１７にトグルばね１２１を作用させることが望ましい。これにより、第２のスライド駆動部材１０１の右方（矢印ル）への移動完了時の位置決め及び左方（矢印ヌ）への移動完了時の位置決めと、右方から左方へ、左方から右方への移動を助勢する助勢手段としての機能が得られる。
【００５３】
このように構成されたディスク装置１によれば、ロック装置９の手動操作部１９を操作してロックを解除し開閉扉７を開き、続いて、図３に示すようにディスク挿入口３からディスクＤＳを挿入する。このディスクＤＳの挿入に対応して第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７は順々に外側へ拡がる。と同時にディスク搬出アーム６５も一緒に後退する。さらに、ディスクＤＳが挿入されディスクＤＳが第１、第２のディスク搬入アーム４５，４７のディスク保持部４９ａ，４９ｂに対して死点越えすると、駆動モータＭの動力で第１のスライド駆動部材６９がスライド（矢印チ）し、第１、第２ディスク搬入アーム４５，４７を内側へ強制的に回動させる。これにより、図８から図１１に示すように、ディスクＤＳの引込み作用が発生しディスクＤＳをディスク装着部４６に装着セットする。装着セットが完了すると待機位置にある支持部材９１は作動位置まで上昇し、例えば、光ヘッド部による再生が行なわれる。
【００５４】
これら一連の動作において、第２のディスク搬入アーム４７にディスク搬出アーム６９を同一軸で支持する一方、第２のディスク搬入アーム４７側に第１のスライド駆動部材６９を集合させたレイアウトによってアームとスライド駆動部材及び付勢ばね６６の連結関係が最短距離で済むことと相俟って部品点数の削減が図れると共に付勢ばね６６による左右の付勢力の管理が容易となる。しかも、一つの駆動モータＭの動力で確実な作動状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００５５】
【図１】本発明にかかるディスク装置の第１、第２のディスク搬入アーム及びディスク搬出アームとそれを連結する連繋機構をシャーシに設けた状態の概要斜視図。
【図２】第１、第２のディスク搬入アーム及びディスク搬出アームの連動連繋関係を示した概要斜視図。
【図３】第１、第２のディスク搬入手段アーム及びディスク搬出アームを連繋機構を介してシャーシに組込んだ状態を示した概要斜視図。
【図４】開閉扉が開いた状態のディスク装置の概要平面図。
【図５】ロック解除状態を示したロック装置の概要斜視図。
【図６】ロック状態を示したロック装置の概要平面図。
【図７】ロック装置の分解斜視図。
【図８】ディスクの挿入時の動作説明図。
【図９】図８を矢視方向からみた概要切断側面図。
【図１０】ディスク挿入完了前の動作説明図。
【図１１】ディスク挿入完了時の動作説明図。
【図１２】図１１を矢視方向からみた概要切断側面図。
【符号の説明】
【００５６】
３ ディスク挿入口
５ シャーシ
７ 開閉扉
４５ 第１のディスク搬入アーム
４６ ディスク装着部（ディスク装着位置）
４７ 第２のディスク搬入アーム
４９ａ，４９ｂ ディスク保持部
５１ａ，５１ｂ アーム軸
５３，６３ リンクアーム（連繋機構）
６５ ディスク搬出アーム
６６ 付勢ばね
６９ 第１のスライド駆動部材
９１ 支持部材
１０１ 第２のスライド駆動部材
Ｍ 駆動モータ（駆動部）
ＤＳ ディスク
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ディスクが挿入されるディスク挿入口と、先端にディスク保持部を有しアーム軸を支点として回動する左右に配置された第１、第２のディスク搬入アームと、左右の第１、第２のディスク搬入アームと連動連繋し前記アーム軸を支点として各先端のディスク保持部を同時にディスク挿入口からディスク装着位置へ向かう内側への回動と待機位置となるディスク挿入口へ向かう外側への回動とに作動制御する左右一対のリンクアームと、先端にディスク保持部を有し前記第２のディスク搬入アームのアーム軸によって回動自在に支持され先端のディスク保持部がディスク挿入口となる前方へ向かう回動と前方から後方へ向かう回動とに回動可能なディスク搬出アームと、そのディスク搬出アームが支持された第２のディスクアームのアーム軸に装着され第１、第２の搬入アームを内側へ向け常時付勢すると共にディスク搬出アームを前方へ向け常時付勢する１つの付勢ばねとを備えていることを特徴とするディスク装置。
【請求項２】
前記第１、第２のディスク搬入アームとディスク搬出アームは、一方のディスク搬入アームに沿って前後にスライド自在に配置された１つのスライド駆動部材により付勢ばねに抗して第１、第２のディスク搬入アームを外側へ向けて、ディスク搬出アームを後方へ向けてそれぞれ同時に回動させることを特徴とする請求項１記載のディスク装置。
【請求項１】
ディスクが挿入されるディスク挿入口と、先端にディスク保持部を有しアーム軸を支点として回動する左右に配置された第１、第２のディスク搬入アームと、左右の第１、第２のディスク搬入アームと連動連繋し前記アーム軸を支点として各先端のディスク保持部を同時にディスク挿入口からディスク装着位置へ向かう内側への回動と待機位置となるディスク挿入口へ向かう外側への回動とに作動制御する左右一対のリンクアームと、先端にディスク保持部を有し前記第２のディスク搬入アームのアーム軸によって回動自在に支持され先端のディスク保持部がディスク挿入口となる前方へ向かう回動と前方から後方へ向かう回動とに回動可能なディスク搬出アームと、そのディスク搬出アームが支持された第２のディスクアームのアーム軸に装着され第１、第２の搬入アームを内側へ向け常時付勢すると共にディスク搬出アームを前方へ向け常時付勢する１つの付勢ばねとを備えていることを特徴とするディスク装置。
【請求項２】
前記第１、第２のディスク搬入アームとディスク搬出アームは、一方のディスク搬入アームに沿って前後にスライド自在に配置された１つのスライド駆動部材により付勢ばねに抗して第１、第２のディスク搬入アームを外側へ向けて、ディスク搬出アームを後方へ向けてそれぞれ同時に回動させることを特徴とする請求項１記載のディスク装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【公開番号】特開２００７−２１３７４３（Ｐ２００７−２１３７４３Ａ）
【公開日】平成１９年８月２３日（２００７．８．２３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−３５３３９（Ｐ２００６−３５３３９）
【出願日】平成１８年２月１３日（２００６．２．１３）
【出願人】（０００００４３２９）日本ビクター株式会社 (3,896)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年８月２３日（２００７．８．２３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年２月１３日（２００６．２．１３）
【出願人】（０００００４３２９）日本ビクター株式会社 (3,896)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]