説明

ディスク装置

【課題】ディスクの二重挿入を防止するための専用機構を不要とし、装置の薄型化を実現したディスク装置を提供すること。
【解決手段】揺動自在なローラ支持板27に支持されたローディングローラ25を本体1の挿入口23に配置し、この挿入口23からドライブユニット9に向けてディスクが引き込まれた場合、この引き込み動作に連動してローラ支持板27を揺動させて、ローディングローラ25をドライブユニット9から離間させる構成を備えると共に、当該ローラ支持板27の揺動動作に連動して、挿入口23を閉鎖するシャッタプレート80を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されてCD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)等の記録媒体ディスクの情報を再生するディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両に搭載されるCD、DVDプレーヤ等の従来のディスク装置では、ディスクを挿入口から吸い込んで、本体内に引き込まれた当該ディスクをターンテーブルにクランプして再生している(例えば、特許文献1参照)。
この種のものでは、挿入口を通じて複数枚のディスクが本体内に引き込まれることを防止するために、挿入口に二重挿入防止機構を設けるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】WO/2001/091119号
【特許文献2】実開平02−42240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の構成では、二重挿入防止機構は、ディスクを本体内に引き込む機構や再生する機構とは別個に挿入口に設けられるため、これにより装置が大型化し、特に装置の厚さ方向の寸法が大きくなるといった問題があった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、ディスクの二重挿入を防止するための専用機構を不要とし、これにより装置の薄型化を実現したディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、揺動自在なローラ支持板に支持されたローディングローラを本体の挿入口に配置し、この挿入口からドライブユニットに向けてディスクが引き込まれた場合、この引き込み動作に連動して前記ローラ支持板を揺動させて、前記ローディングローラを前記ドライブユニットから離間させる構成を備えると共に、当該ローラ支持板の揺動動作に連動して、前記挿入口を閉鎖するシャッタプレートを備えることを特徴とする。
【0006】
本構成によれば、ローラ支持板の揺動動作に連動して、挿入口を閉鎖するシャッタプレートを備えるため、ローラ支持板を揺動させることによって、ローディングローラをドライブユニットから離間させる動作と、シャッタプレートを挿入口を閉鎖させてディスクの二重挿入を防止する動作とを、同時に実行することができる。このため、ディスクの二重挿入を防止するための専用機構が不要となり、従来のものに比べて、その分だけ装置が小型化し、この装置の薄型化を図ることができる。
【0007】
この場合において、前記シャッタプレートは、前記本体の前面に支持部材を介して回動自在に設けられるとともに、前記ローラ支持板が揺動した場合に、このローラ支持板の一部と係合して当該シャッタプレートを前記挿入口を閉鎖する方向に回動させる係合片を備える構成としても良い。
また、前記シャッタプレートは、前記支持部材を介して上下方向にスライド可能な長孔を備える構成としても良い。また、前記シャッタプレートは、前記挿入口の略中央部を閉鎖する構成としても良い。
【0008】
また、前記シャッタプレートは、前記ローラ支持板の前端部に連結され、このローラ支持板が揺動した場合、前記シャッタプレートを前記挿入口を閉鎖する方向にスライドさせる構成としても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、ローラ支持板の揺動動作に連動して、挿入口を閉鎖するシャッタプレートを備えるため、ローラ支持板を揺動させることによって、ローディングローラをドライブユニットから離間させる動作と、シャッタプレートを挿入口を閉鎖させてディスクの二重挿入を防止する動作とを、同時に実行することができる。このため、ディスクの二重挿入を防止するための専用機構が不要となり、従来のものに比べて、その分だけ装置が小型化し、この装置の薄型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本実施の形態に係るディスクプレーヤ(ディスク装置)の外観を示す斜視図である。このディスクプレーヤには、CD、DVD等の例えば直径8cmや、直径12cm等の大きさの異なる記録媒体ディスクが引き込まれて、このディスクに記録された情報が再生される。符号1は本体を示し、この本体1は板金製のシャーシ3を備えている。このシャーシ3はロアーシャーシ5と、このロアーシャーシ5の上方を覆うアッパーシャーシ7とを備え、その内側には、図1では図示を省略したが、ディスクをローディングするためのローディングメカニズム、ローディングされたディスクをクランプするためのクランプメカニズム、クランプされたディスクをドライブするためのドライブメカニズム等が設けられている。
【0011】
図2は、アッパーシャーシ7を取り外した斜視図であり、図3は、ロアーシャーシ5の斜視図であり、図4は、ロアーシャーシ5にドライブユニット9を取り付けた左方視の斜視図であり、図5は、同じくロアーシャーシ5にドライブユニット9を取り付けた右方視の斜視図である。
【0012】
上記ロアーシャーシ5は、図3に示すように、枠状に形成され、このロアーシャーシ5には、ダンパ及びばねを備えた3つの防振構造体11が取り付けられ、この防振構造体11の上に、図2に示すように、クランプメカやドライブメカが一体化されたクランプ機構としてのドライブユニット9が載置されて、フローティング支持されている。
このドライブユニット9は、図4及び図5に示すように、ベースプレート13と、このベースプレート13の後端部の両側にヒンジ15で連結され、先端17Aを閉じる方向にばね付勢されて、ベースプレート13と協働してディスクを挟持するクランププレート17とを備えている。このクランププレート17の先端17Aには回転板19が支持され、この回転板19に対向するマグネット入りのターンテーブル21が、ベースプレート13に支持されている。そして、後述するように、ディスクが挿入されて、クランププレート17が閉じると、先端17Aの回転板19とマグネット入りのターンテーブル21とで挟持(クランプ)されてディスクが回転可能になる。
【0013】
図1に示すように、本体1の前面には横長のディスクの挿入口23が形成され、この挿入口23の奥には、図2に示すように、ロアーシャーシ5の前部のモータ24で駆動されるローディングローラ25が設けられている。
このローディングローラ25は、ディスクが検知されると、モータ24により駆動されて、当該ディスクを本体1内に引き込む。このローディングローラ25は、ローラ支持板27に支持されている。
ローラ支持板27は、その両端を上方に屈曲させて形成した屈曲部27Aを備え、この屈曲部27Aの後端側にローディングローラ25の駆動軸25Aを回転自在に支持する軸受部29が形成されている。また、屈曲部27Aの前端側にはヒンジピン28が設けられ、ローラ支持板27は、このヒンジピン28を介して、ロアーシャーシ5の側板に揺動自在に連結されている。従って、このローディングローラ25は、ローラ支持板27の揺動により、その高さ位置を変位させて、ドライブユニット9のディスクに離接可能に構成されている。また、ローラ支持板27は、図示を省略したばねにより、このローラ支持板27の前端を下げて、ローディングローラ25を持ち上げる方向に付勢されている。
また、ローラ支持板27の前端部には、このローラ支持板27の一部を上方に立ち上げた後、水平に屈曲して形成された2つの爪部91、92が各々一体に形成されている。これら爪部91、92は、ディスクがドライブユニット9に引き込まれてクランプされた場合に、ローラ支持板27の揺動により挿入口23内に延在する。本構成では、一方の爪部91は、後述するシャッタプレート80を動作させる機能を有する。
【0014】
ドライブユニット9の上面の左後部には支持ピン30を介してトリガープレート31が揺動自在に支持されている。このトリガープレート31は、本体1内に引き込まれたディスクと当接し、このディスクをドライブユニット9にクランプさせるものである。このトリガープレート31は、ばね31Sにより、時計方向に付勢されており、その一端31A側には、ドライブユニット9の内方に折り曲げられた2つの爪部32,33が各々一体に形成されている。一方の爪部(小径トリガー部)32は、引き込まれた8cmディスクが当接可能であり、他方の爪部(大径トリガー部)33には、引き込まれた12cmディスクが当接可能である。
トリガープレート31の他端31Bは、ドライブユニット9の外側に延出し、ドライブユニット9の外壁に沿って下方に折り曲げられている。この他端31Bは、ロアーシャーシ5に配置されたトリガー35の後面35Kに当接する。そして、ディスクが本体1に引き込まれ、爪部32,33のいずれかに当接し、トリガープレート31が反時計方向に回動すると、このトリガープレート31が、トリガー35を前進(矢印Xの方向)させる。このトリガー35は、図4に示すように、ばね34により、通常時、他端31B側(矢印Yの方向)に付勢されている。
【0015】
このトリガー35の一部は、図4に示すように、ロアーシャーシ5の底部を前方に延出し、この延出部の上面にはトリガーラックギア35Aが一体に形成されている。このトリガーラックギア35Aの前方には、ロアーシャーシ5の側板5Aに支持されたファイナルギア37(図3参照)が配置されている。このファイナルギア37は、通常時にトリガーラックギア35Aに噛み合わない位置に支持されており、トリガープレート31が反時計方向に回動して、トリガー35が前進したときにのみ、トリガーラックギア35Aに噛み合う。ファイナルギア37は、図2に示すように、複数のギアからなるギア輪列38を介して、ロアーシャーシ5の前部の上記モータ24に連結されており、モータ24の駆動時に、トリガーラックギア35Aとファイナルギア37とが一旦噛み合うと、それ以後は、ファイナルギア37、モータ24の駆動力でトリガー35が前進する。
【0016】
このトリガー35には、図4に示すように、トリガーカム41が一体に連結されている。このトリガーカム41は、ギア輪列38の内側を当該ギア輪列38と平行に延出し、その中程の上面には前方が徐々に、階段状に高くなるカム面41Aが形成され、その先端部にはローディングローラ25の駆動軸25A(図2参照)を案内する前上がりの階段状の傾斜溝41Bが形成されている。カム面41Aには、ドライブユニット9のクランププレート17の一部17Bが当接している。
トリガー35がファイナルギア37に噛み合い、ストロークエンドに移動した後、トリガーカム41を押し出し、トリガーカム41のラックがファイナルギア37と噛み合い、トリガーカム41が前進(矢印Xの方向)する。
【0017】
上記トリガーカム41が前進(矢印Xの方向)すると、上記一部17Bが当接しているカム面41Aが徐々に低くなって、クランププレート17が、ばね力で閉じる方向に揺動し、さらに前進してトリガーカム41が前進限界の位置に移動すると、一部17Bがカム面41Aから完全に離れ、クランププレート17の先端の回転板19と、ターンテーブル21とによるディスクのクランプが完了する。それと同時に、クランププレート17の一部17Bとカム面41Aとの係合解除によって、ドライブユニット9が、3つの防振構造体11を介して完全にフローティング支持される。
また、同時に、ローディングローラ25の駆動軸25Aが、傾斜溝41Bに沿って低い位置に移動し、ローラ支持板27の揺動により、ローディングローラ25が低く変位し、このローディングローラ25が、クランプ時のディスクの下面から離れる。この状態において、ターンテーブル21を回転させてディスクの再生が行われる。
【0018】
上記モータ24を逆回転させると、ギア輪列38、ファイナルギア37及びトリガーラックギア35Aを介して、トリガー35及びトリガーカム41が後退(矢印Yの方向)する。それに伴って、上記一部17Bが当接しているカム面41Aが徐々に高くなり、クランププレート17が、ばね力に抗して押し上げられて開く方向に揺動する。さらに後退してトリガーカム41が後退限界の位置に移動すると、一部17Bがカム面41Aの最も高い位置に乗り上げて、クランププレート17の先端の回転板19と、ターンテーブル21との間にディスク挿入用の隙間を形成する。
【0019】
それと同時に、ローディングローラ25の駆動軸25Aが、傾斜溝41Bに沿って徐々に高い位置に移動し、後退限界の位置では、ローラ支持板27の揺動により、ローディングローラ25が、ディスクの下面に接触するまで高く変位する。そして、このディスクはローディングローラ25によりイジェクトされる。
ディスクをイジェクトした後に、ローディング待機の状態となる。イジェクトもしくはローディング待機の状態では、ドライブユニット9が、図示を省略した機構によりシャーシ3にロックされる。
【0020】
本構成では、図1に示すように、本体1の右側前面に挿入口23を開閉するシャッタプレート80が設けられている。このシャッタプレート80は、ローラ支持板27の揺動動作に連動し、ドライブユニット9にディスクがクランプされている場合に挿入口23を閉じてディスクの二重挿入を防止するものである。
シャッタプレート80は、このシャッタプレート80の一端80Aが支持ピン(支持部材)81を介してロアーシャーシ5に回動自在に取り付けられ、ばね82によって、開く方向(矢印K1方向)に付勢されている。シャッタプレート80には、上下方向に延びたスライド孔80Bが形成され、このスライド孔80Bには、ロアーシャーシ5の前面に形成されたガイド部5Bが嵌っている。このガイド部5Bは、シャッタプレート80が回動する際に、スライド孔80B内を移動して、当該シャッタプレート80を案内する。また、シャッタプレート80の他端80Cは、挿入口23の中央部分に延在し、ロアーシャーシ5の形状に合わせて円弧上に折り曲げられて形成されている。
また、シャッタプレート80は、このシャッタプレート80の上縁部から挿入口23の内側に曲げ形成された係合片80Dを備える。この係合片80Dは、ローラ支持板27の爪部91の上方に延在し、このローラ支持板27が揺動した場合に、上記爪部91と係合して、シャッタプレート80を回動させる。
【0021】
本構成では、シャッタプレート80は、支持ピン81を介して回動自在に構成されるとともに、上下方向にスライド可能に構成されている。具体的には、シャッタプレート80には、上下方向に延びる長孔80Eが形成され、この長孔80Eは支持ピン81と遊嵌されている。このため、ローラ支持板27が揺動し、このローラ支持板27の爪部91がシャッタプレート80の係合片80Dと係合した場合、このシャッタプレート80は、支持ピン81が長孔80Eの下端部に当接するまで上方にスライド移動する。
これによれば、シャッタプレート80が支持ピン81を介して回動するとともに、上下方向にスライドすることにより、シャッタプレートを単に回動させるものに比べて、挿入口の閉鎖面積を大きくとることができ、この挿入口へのディスクの二重挿入が防止されるとともに、当該挿入口への異物の挿入が最小限に抑制される。
さらに、シャッタプレート80を上下方向にスライドさせることにより、ローラ支持板27の揺動ストロークを抑制することができ、その分だけ装置が小型化し、この装置の薄型化を図ることができる。
【0022】
図6は、ディスクが引き込まれる前のシャッタプレート80の状態を示す斜視図であり、図7は、ディスクが引き込まれた後のシャッタプレート80の状態を示す斜視図である。この図7では、説明の便宜上、ディスクの図示を省略している。
ディスクが本体1内に引き込まれていない場合には、爪部91、92は、図6に示すように、挿入口23の下面よりも下方に位置する。このため、シャッタプレート80は、ばね82の付勢力によって挿入口23を開放する位置にあり、この挿入口23にディスクを挿入する場合に、爪部91、92及びシャッタプレート80が、このディスクの挿入を阻害することや、ディスクの記録面に傷をつけることはない。
【0023】
一方、ディスクが本体1内に引き込まれた場合には、図7に示すように、トリガーカム41が前進(矢印Xの方向)して前進限界の位置に移動すると、ローディングローラ25の駆動軸25Aが傾斜溝41Bに沿って低い位置に移動し、ローラ支持板27が揺動する。これにより、ローラ支持板27に形成された爪部91、92は挿入口23の下面よりも上方に突出する。この場合、爪部91は、シャッタプレート80の係合片80Dと係合し、この係合片80Dを押し上げる。これにより、シャッタプレート80は、ばね82の付勢力に抗して、支持ピン81が当該シャッタプレート80の長孔80Eの下端部に当接するまで上方にスライド移動するとともに、この支持ピン81を中心に挿入口23を閉鎖する方向(矢印K2方向)に回動する。
【0024】
本構成では、ローラ支持板27の揺動動作に連動して回動し、挿入口23を閉鎖するシャッタプレート80を備えるため、ローラ支持板27を揺動させることによって、ローディングローラ25をドライブユニット9から離間させる動作と、シャッタプレート80を挿入口23を閉鎖する方向に回動させてディスクの二重挿入を防止する動作とを、同時に実行することができる。このため、ディスクの二重挿入を防止するための専用機構が不要となり、従来のものに比べて、その分だけ装置が小型化し、この装置の薄型化を図ることができる。
特に、シャッタプレート80が閉鎖されると、このシャッタプレート80の他端80Cが挿入口23の略中央部に延在するため、ディスクの先端部分でさえ、この挿入口23内に挿入することができず、ディスクの二重挿入を確実に防止することができる。このため、挿入しようとするディスクの先端部分と、既に挿入されているディスクの外周部分とが接触し、これらディスクの記録面が傷つきことが確実に防止される。
【0025】
次に、本体1内に引き込まれたディスクをドライブユニット9のクランプ位置に案内する案内する機構について説明する。図8は、クランププレートを下面から見た斜視図であり、図9は、クランププレートを上面から見た斜視図である。
クランププレート17には、図8に示すように、本体1内に引き込まれたディスクの外周部に当接し、このディスクをクランプ位置に案内する一対のガイドアーム43、44が設けられている。これらガイドアーム43、44は、クランププレート17の先端の回転板19に対しほぼ中心振り分けで配置され、当該ガイドアーム43、44の前端には、ディスクに当接する当接部43A、44Aが形成される。ガイドアーム43、44の後端には軸受部43B、44Bが形成され、これら軸受部43B、44Bは、クランププレート17から下方に延出するピン45、46に遊嵌される。また、これらガイドアーム43、44は、ばね47、48により、閉じる方向(矢印Aの方向)に付勢されている。また、ガイドアーム43、44の上面には、図9に示すように、クランププレート17に形成されたガイド孔49、50(図8)を通じて当該クランププレート17の上面側に延在するガイドピン43C、44Cが設けられている。
【0026】
本構成では、図1に示すように、挿入されるディスクの外周部に当接して挿入口23の側方に退避するターンプレート51と、このターンプレート51の動作に連動するスライドプレート52及びセレクタプレート53とを備える。ターンプレート51及びスライドプレート52はアッパーシャーシ7上に配置され、セレクタプレート53はクランププレート17上に配置されている。このセレクタプレート53は、ディスクの挿入に際してターンプレート51の動作に連動し、ガイドアーム43、44のガイドピン43C、44Cと係合または離脱することにより、当該ガイドアーム43、44の動作を規制する規制部材として機能する。
【0027】
ターンプレート51は、上記したシャッタプレート80が配置されている側と反対の側であるアッパーシャーシ7の左側前部の上面に、ピン54を介して揺動自在に連結され、ばね55により閉じる方向に付勢されている。このターンプレート51には、挿入口23に臨むゲートピン56が取り付けられている。また、ターンプレート51の基部には略J字型のガイド孔51Aが形成され、このガイド孔51Aに嵌るピン57がスライドプレート52に取り付けられている。このスライドプレート52には、ディスクの挿入方向(矢印Yの方向)に延びた一対のスライド孔52A、52Bが形成され、このスライド孔52A、52Bにアッパーシャーシ7の一部を切り起こして、上方に立ち上げたガイド片58、59が嵌っている。また、スライドプレート52の後端52Cは前方に折り返されており、セレクタプレート53の一端に形成された連結部53Aに係合されている。
【0028】
セレクタプレート53は、図9に示すように、クランププレート17の略中央上面に、ピン60を介して揺動自在に連結され、ばね61により時計方向に付勢されている。また、セレクタプレート53には、ピン61の左右に形成された一対のガイド孔53B、53Cと、上記連結部53A側の一端に形成され、当該セレクタプレート53の動作範囲を規制するためのスライド孔53Dとが形成されている。上記ガイド孔53B、53Cには、クランププレート17の上方に延出するガイド片62、63が嵌り、上記スライド孔53Dには、当該クランププレート17の上方に延出する規制片64が嵌っている。
また、セレクタプレート53には、本体内にディスクが挿入されていない初期状態において、上記ガイドアーム43、44のガイドピン43C、44Cと係合する係合溝53E、53Fが形成されている。この係合溝53E、53Fとガイドピン43C、44Cとが係合することにより、ガイドアーム43、44の動作が規制される。また、係合溝53E、53Fは、クランププレート17の付勢方向(時計方向)側が開放されており、このクランププレート17が反時計方向に回動すると、ガイドピン43C、44Cが係合溝53E、53Fから離脱して、ガイドアーム43、44の動作が可能となる。
【0029】
ディスクが挿入口23に挿入された場合、ディスクは、ターンプレート51のゲートピン56を側方に押し退ける。例えば、12cm径の大きいディスク100が挿入されると、図10に示すように、ディスク100の外周部100Aがゲートピン56を挿入口23の側方に押し退け、ターンプレート51が開く方向(矢印Dの方向)に回動する。この回動に伴い、ピン57が、ガイド孔51Aの中を移動し、これにより、ターンプレート51の揺動に連動し、スライドプレート52が、ガイド片58、59に沿って本体1の前方(矢印X方向)に移動する。
スライドプレート52の移動に伴い、このスライドプレート52に係合されたセレクタプレート53の連結部53Aが前方に引っ張られるため、このセレクタプレート53は、ばね61に抗して反時計方向(矢印E方向)に回動する。この回動により、ガイドアーム43、44のガイドピン43C、44Cが係合溝53E、53Fから離脱するため、当該ガイドピン43C、44Cの動作が可能となる。
これによれば、図11に示すように、ディスク100の外周部100Aがガイドアーム43、44の当接部43A、44Aと当接することにより、このガイドアーム43、44が徐々に側方(矢印B方向に)に開き、当該ガイドアーム43、44によってディスク100がクランプ位置に案内される。
【0030】
図12は、8cm径の小さいディスク200を挿入する場合の斜視図である。この場合には、挿入口23の幅に比してディスク径が小さいため、挿入口23の一方の端に偏って挿入される恐れがある。例えば、ディスク200がゲートピン56の側に偏って挿入された場合、ディスク200の外周部200Aがゲートピン56を挿入口23の側方に押し退け、ターンプレート51が開く方向(矢印Dの方向)に回動する。このため、上記12cm径ディスク100と同様に、ターンプレート51の動作に連動して、セレクタプレート53が回動することにより、ガイドアーム43、44のガイドピン43C、44Cが係合溝53E、53Fから離脱するため、当該ガイドピン43C、44Cの動作が可能となる。しかしながら、8cm径ディスク200は、12cm径ディスクに比べて径が小さいため、この8cm径ディスク200をクランプ位置に達するまでに、ターンプレート51は、ばね55の付勢力によって初期位置の状態に戻る。このターンプレート51の動作に連動して、セレクタプレート53も初期位置に戻るため、ガイドアーム43、44のガイドピン43C、44Cはセレクタプレート53の係合溝53E、53Fと係合し、当該ガイドアーム43、44の動作が規制される。
これによれば、図13に示すように、ガイドアーム43、44は初期状態の位置から動作しないため、ディスク200の外周部200Aがガイドアーム43、44の当接部43A、44Aと当接することにより、このディスク200がクランプ位置に案内される。
【0031】
次に、12cm径のディスクが挿入された場合に、トリガープレート31の爪部32をローディング経路から退避させる退避機構240について説明する。本構成では、退避機構240は、上記セレクタプレート53及びクランププレート17を備えて構成されている。このセレクタプレート53は、上記ガイドアーム43、44の規制部材として機能するとともに、トリガープレート31の爪部32をローディング経路から退避させる退避機構としても機能する。
上述のように、セレクタプレート53は、ターンプレート51の動作に連動してピン60と中心に回動するようになっている。本構成では、セレクタプレート53には、図14に示すように、その後端部53Gから当該セレクタプレート53の延在方向に沿って延出する片53Hが一体に形成されている。また、トリガープレート31には、上記セレクタプレート53の片53H上に位置するように、当該トリガープレート31の前端部から前方に延出する作動片31Cが形成されている。
また、クランププレート17の上面には、上記作動片31Cの下方に、このクランププレート17の一部を切り起こした凸部70が形成されている。この凸部70は、本体1の後方から前方へ向けて上昇するように傾斜した後、先端部が略水平に形成されている。
【0032】
12cm径のディスクが挿入されると、上述のように、この12cm径のディスクの外周部がゲートピンを挿入口の側方に押し退けることにより、ターンプレートが開く方向に回動する。そして、この回動に伴い、スライドプレートがガイド片に沿って本体の前方に移動する。これにより、図15に示すように、スライドプレートに係合されたセレクタプレート53の連結部53Aが前方に引っ張られるため、このセレクタプレート53は、ばねに抗して反時計方向(矢印E方向)に回動する。
そして、セレクタプレート53の回動に伴い、このセレクタプレート53の片53Hがクランププレート17の凸部70上を移動することにより、この片53Hの位置が上方に移動する。これによれば、図16に示すように、この片53H上に延在するトリガープレート31の作動片31Cが当該片53Hにより上方に持ち上げるため、このトリガープレート31の爪部32をローディング経路RKから退避させることができる。従って、12cm径のディスク100は、上記ローディング経路RKを搬送されてトリガープレート31の爪部33に当接してクランプが実行される。
この場合、セレクタプレート53の片53Hの厚みを調整することにより、上記爪部32をローディング経路RKから退避させる際のストロークを調整することができる。これによれば、上記爪部32を確実にローディング経路RKから退避させることが可能となる。
【0033】
一方、8cm径のディスクを挿入する場合には、図14に示すように、セレクタプレート53は、初期位置の状態にあるため、セレクタプレート53の片53Hがクランププレート17の凸部70上を移動することはなく、トリガープレート31の爪部32がローディング経路RKから退避されることはない。従って、図17に示すように、この爪部32はローディング経路RKに延在するため、8cm径のディスク200は、当該爪部32に当接することによりクランプが実行される。
【0034】
本実施形態によれば、揺動自在なローラ支持板27に支持されたローディングローラ25を本体1の挿入口23に配置し、この挿入口23からドライブユニット9に向けてディスクが引き込まれた場合、この引き込み動作に連動してローラ支持板27を揺動させて、ローディングローラ25をドライブユニット9から離間させる構成を備えると共に、当該ローラ支持板27の揺動動作に連動して、挿入口23を閉鎖するシャッタプレート80を備えるため、ローラ支持板27を揺動させることによって、ローディングローラ25をドライブユニット9から離間させる動作と、シャッタプレート80を挿入口23を閉鎖する方向に回動させてディスクの二重挿入を防止する動作とを、同時に実行することができる。このため、ディスクの二重挿入を防止するための専用機構が不要となり、従来のものに比べて、その分だけ装置が小型化し、この装置の薄型化を図ることができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、シャッタプレート80は、本体1の前面に支持ピン81を介して回動自在に設けられるとともに、ローラ支持板27が揺動した場合に、このローラ支持板27の前端部に形成された爪部91と係合して当該シャッタプレート80を挿入口23を閉鎖する方向に回動させる係合片80Dを備えるため、簡単な構成によって、シャッタプレート80をローラ支持板27の揺動動作に連動させることができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、シャッタプレート80は、支持ピン81を介して上下方向にスライド可能な長孔80Eを備えるため、ローラ支持板27が揺動し、このローラ支持板27の爪部91がシャッタプレート80の係合片80Dと係合した場合、このシャッタプレート80は、支持ピン81が長孔80Eの下端部に当接するまで上方にスライド移動する。これによれば、シャッタプレート80が支持ピン81を介して回動するとともに、上下方向にスライドすることにより、シャッタプレートを単に回動させるものに比べて、挿入口の閉鎖面積を大きくとることができ、この挿入口へのディスクの二重挿入が防止されるとともに、当該挿入口への異物の挿入が最小限に抑制される。
さらに、シャッタプレート80を上下方向にスライドさせることにより、ローラ支持板27の揺動ストロークを抑制することができ、その分だけ装置が小型化し、この装置の薄型化を図ることができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、シャッタプレート80は、このシャッタプレート80の他端80Cが挿入口23の略中央部を閉鎖するように構成されているため、ディスクの先端部分でさえ、この挿入口23内に挿入することができず、ディスクの二重挿入を確実に防止することができる。このため、挿入しようとするディスクの先端部分と、既に挿入されているディスクの外周部分とが接触し、これらディスクの記録面が傷つくことが確実に防止される。
【0038】
本実施形態では、シャッタプレート80を本体1の前面に支持ピン81を介して回動自在に設けた構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、図18に示すように、ローラ支持板27の前端部に形成された爪部91、92連結され、このローラ支持板27が揺動した場合に、挿入口23を閉鎖する方向にスライド可能な構成としても良い。この構成では、シャッタプレート95は、略円弧状に折り曲げ形成された基部95Aと、この基部95Aの両端に連なる連結部95B、95Cとを備える。これら連結部95B、95Cは、挿入口23の幅方向に略平行に延出し、それぞれの端部には、上記爪部91、92と連結される連結孔96、97が形成されている。
また、基部95Aは、挿入口23の略中央部分を閉鎖するように配置され、この基部95Aの側方には上下方向に延びた一対のスライド孔98、99が形成されている。これらスライド孔98、99には、ロアーシャーシ5の前面に形成されたガイド部5C、5Dが嵌っている。これらガイド部5C、5Dは、シャッタプレート95が上下方向にスライドする際に、スライド孔98、99内を移動して、当該シャッタプレート95を案内する。
【0039】
図19は、別の実施形態にかかるシャッタプレート95の閉状態を示す斜視図である。ディスクが本体1内に引き込まれていない場合には、爪部91、92は、図19に示すように、挿入口23の下面よりも下方に位置する。このため、シャッタプレート95は挿入口23を開放する位置にあり、この挿入口23にディスクを挿入する場合に、爪部91、92及びシャッタプレート95が、このディスクの挿入を阻害することや、ディスクの記録面に傷をつけることはない。
【0040】
一方、ディスクが本体1内に引き込まれた場合には、図18に示すように、トリガーカム41が前進(矢印Xの方向)して前進限界の位置に移動すると、ローディングローラ25の駆動軸25Aが傾斜溝41Bに沿って低い位置に移動し、ローラ支持板27が揺動する。これにより、ローラ支持板27に形成された爪部91、92は挿入口23の下面よりも上方に突出する。これにより、爪部91、92に連結されたシャッタプレート95は、ガイド部5C、5Dに案内されつつ、挿入口23を閉鎖する方向(本構成では上方向)にスライド移動する。
【0041】
この構成においても、ローラ支持板27の揺動動作に連動してスライド移動し、挿入口23を閉鎖するシャッタプレート95を備えるため、ローラ支持板27を揺動させることによって、ローディングローラ25をドライブユニット9から離間させる動作と、シャッタプレート95を挿入口23を閉鎖する方向にスライドさせてディスクの二重挿入を防止する動作とを、同時に実行することができる。このため、ディスクの二重挿入を防止するための専用機構が不要となり、従来のものに比べて、その分だけ装置が小型化し、この装置の薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るディスクプレーヤの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】アッパーシャーシを取り外した斜視図である。
【図3】ロアーシャーシの斜視図である。
【図4】ロアーシャーシにドライブユニットを取り付けた左方視の斜視図である。
【図5】ロアーシャーシにドライブユニットを取り付けた右方視の斜視図である。
【図6】シャッタプレートの開状態を示す斜視図である。
【図7】シャッタプレートの閉状態を示す斜視図である。
【図8】クランププレートを下面から見た斜視図である。
【図9】クランププレートを上面から見た斜視図である。
【図10】12cm径のディスクを挿入した際のターンプレート及びセレクタプレートの動作を示す斜視図である。
【図11】12cm径のディスクを挿入した際のガイドアームの動作を示す図である。
【図12】8cm径のディスクを挿入した際のターンプレート及びセレクタプレートの動作を示す斜視図である。
【図13】8cm径のディスクを挿入した際のガイドアームの動作を示す図である。
【図14】セレクタプレートとトリガープレートとの配置関係を示す斜視図である。
【図15】セレクタプレートの動作に連動するトリガープレートの動作を示す斜視図である。
【図16】図15に対応する部分破断斜視図である。
【図17】図14に対応する部分破断斜視図である。
【図18】別の実施形態にかかるシャッタプレートの開状態を示す斜視図である。
【図19】別の実施形態にかかるシャッタプレートの閉状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 本体
3 シャーシ
5 ロアーシャーシ
7 アッパーシャーシ
9 ドライブユニット
13 ベースプレート
17 クランププレート
21 ベースプレート
23 挿入口
25 ローディングローラ
27 ローラ支持板
31 トリガープレート
41 トリガーカム
80、95 シャッタプレート
80D 係合片
80E 長孔
81 支持ピン(支持部材)
91、92 爪部
95B、95C 連結部
100 ディスク
200 ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動自在なローラ支持板に支持されたローディングローラを本体の挿入口に配置し、この挿入口からドライブユニットに向けてディスクが引き込まれた場合、この引き込み動作に連動して前記ローラ支持板を揺動させて、前記ローディングローラを前記ドライブユニットから離間させる構成を備えると共に、当該ローラ支持板の揺動動作に連動して、前記挿入口を閉鎖するシャッタプレートを備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記シャッタプレートは、前記本体の前面に支持部材を介して回動自在に設けられるとともに、前記ローラ支持板が揺動した場合に、このローラ支持板の一部と係合して当該シャッタプレートを前記挿入口を閉鎖する方向に回動させる係合片を備えることを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記シャッタプレートは、前記支持部材を介して上下方向にスライド可能な長孔を備えることを特徴とする請求項2に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記シャッタプレートは、前記挿入口の略中央部を閉鎖することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項5】
前記シャッタプレートは、前記ローラ支持板の前端部に連結され、このローラ支持板が揺動した場合、前記シャッタプレートを前記挿入口を閉鎖する方向にスライドさせることを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate