説明

ディスク装置

【課題】ディスク装置内へディスクが挿入されたことを検知する手段の小型化を図り、小型で薄型のディスク装置を提供する。
【解決手段】ディスク装置は、フローティングユニット10に電気回路基板8とディスク挿入検知レバー41とを設け、ディスク挿入検知レバーがディスク挿入排出口近傍に配設され、挿入されたディスク状記録媒体の外縁により押圧されて回動し、電気回路基板にディスク検知信号を出力するスイッチ81を直接的に駆動するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD、DVD等のディスク状記録媒体の記録及び/又は再生を行うディスク装置に関し、特にディスク状記録媒体を装着するためのディスクローディング機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CD、DVD等のディスク状記録媒体(以下、ディスクと略称する)を記録及び/又は再生するディスク装置が小型、軽量化されて携帯用又は車載用として用いられてい
る。このようなディスク装置において、装置外部からの振動がディスクを載置するターンテーブルに直接的に伝わらないよう、ターンテーブルやスピンドルモータが実装されたフレームは、粘弾性手段により保持されたフローティング構造となっている。このようなフローティング構造のフレーム(フローティングフレーム)には、挿入されたディスクを記録再生位置に搬送したり記録再生位置からディスクを排出するディスク搬送駆動機構、記録再生位置のディスクを固定するディスク挟着機構、及び記録再生位置のディスクを記録再生するためのディスク記録再生機構等が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平07−272417号公報(第4−6頁、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のディスク装置において、ディスクが挿入されることにより装置内部の各機構が動作を開始するよう構成されている。したがって、ディスクが挿入されたことを検知するためにディスク挿入検知手段が設けられていた。従来のディスク装置においては、ディスク挿入検知手段及び各機構を制御する電気回路基板がディスク装置の外観となる筐体に固着された固定側フレームに設けられていた。したがって、ディスク装置内部のフローティングフレームに対して挿入されたディスクが固定側フレームに設けられたディスク挿入検知手段により検知され、そのディスク検知情報が電気回路基板の電気回路に信号として入力される構成であった。この結果、従来のディスク装置においては、ディスク挿入検知手段を配設し動作させるために、固定側フレームとフローティングフレームの両方に空間を確保する必要があり、また部品点数が多いため、ディスク挿入検知手段はディスク装置の小型化及び薄型化における障害となっていた。
本発明は、従来のディスク装置の小型化及び薄型化の障害となっていたディスク挿入検知手段の小型化を図り、小型で薄型のディスク装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るディスク装置は、固定部となる固定フレーム、及び前記固定フレームに弾性部材を介して前記固定フレームの内部に配置され、挿入されたディスク状記録媒体の記録及び/又は再生を行う機能を有するフローティングユニットを具備し、前記フローティングユニットが、固定フレームに形成されたディスク挿入排出口から挿入された前記ディスク状記録媒体を搬送するディスク搬送手段と前記ディスク状記録媒体を記録再生位置で挟着するためのディスク挟着手段と、前記ディスク状記録媒体を回動して記録再生を行うディスク記録再生駆動手段と、前記ディスク搬送手段と前記ディスク挟着手段と前記ディスク記録再生駆動手段とを駆動制御する電気回路を有する電気回路基板と、ディスク挿入排出口を形成する面に配設され、挿入された前記ディスク状記録媒体の外縁により押し下げられる方向に回動し、前記電気回路にディスク検知信号を出力するスイッチを直接的に駆動するディスク挿入検知レバーと、を具備する。このように構成されたディスク装置においては、挿入されたディスクを確実に検出するディスク挿入検知レバーを小さく構成することが可能となり、装置全体の小型化、薄型化を達成する。
【0005】
本発明に係るディスク装置は、ディスク挿入検知レバーが、ディスク挿入排出口の両側近傍に配設され、両側に広がりその両端が少し持ち上がった羽根形状部分と、回動により電気回路基板のスイッチを押圧する突起とを有するよう構成してもよい。このように構成することにより、本発明のディスク装置はディスク状記録媒体の挿入状態を確実に検知することができる。
【0006】
本発明に係るディスク装置は、さらにイジェクト検出レバーをディスク挿入検知レバーの近傍に配置して、ディスク状記録媒体の外縁により押圧されて回動し、前記電気回路にディスクの排出動作を検知する信号を出力するよう構成してもよい。このように構成することにより、本発明のディスク装置はディスク状記録媒体の挿入状態を確実に検知することができると共に、ディスク状記録媒体の排出状態を検知することが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置外観を構成する筐体に固着された固定側フレームに粘弾性的に保持されたフローティングユニットを設け、当該フローティングユニットに、挿入されたディスクを確実に検知するディスク検知レバー及びディスクを記録再生するための各機能を駆動制御する電気回路を設けることにより、ディスク挿入検知手段の小型化を達成することが可能となり、小型で薄型のディスク装置を提供するができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係るディスク装置の好適な実施の形態について添付の図面を参照して説明する。
【0009】
《実施の形態1》
図1は実施の形態1のディスク装置における外観となる筐体を取り除いた状態を示す斜視図である。図2は図1に示したディスク装置に対してディスク状記録媒体であるディスクが挿入された状態を示す斜視図である。図3は図1に示したディスク装置の内部構成を示す分解斜視図である。
図1から図3に示す実施の形態1のディスク装置は、ディスク状記録媒体であるディスク101、例えば、CD、DVD等の記録及び再生を行う機能を有しており、ディスク101がその直径方向に挿入されて装着され、当該ディスク101の記録又は再生が行われる。
【0010】
実施の形態1のディスク装置は、外観となる筐体に固定された上フレーム1と下フレーム9を有しており、その内部に複数の粘弾性体であるダンパーバネ90(図3)により粘弾性的に支持されたフローティングユニット10が設けられている。
【0011】
図3に示すように、フローティングユニット10には挿入されたディスク101をターンテーブル70により挟着するクランパ部3と、挿入されたディスク101を搬送するディスク搬送部4と、ディスク搬送部4の駆動源等を有するディスク搬送駆動部5と、ディスク101を記録再生位置に配置するトラバースシャーシ6と、ディスク101を回転駆動してデータの記録又は再生を行うディスク記録再生駆動部7と、トラバースシャーシ6の裏面(ディスク載置面と反対の面)にはフローティングユニット10内の各機構を駆動制御する電気回路を有するプリント基板8が設けられている。
上記のように構成されたフローティングユニット10は、上フレーム1と下フレーム9のそれぞれに設けられた複数のダンパーバネ90により粘弾性的にフローティング状態で保持されている。
【0012】
図4は上フレーム1を示す分解斜視図である。図4に示すように、上フレーム1には、その裏面にディスクガイド2が2箇所で回動可能に懸装されている。ディスクガイド2の2つの突起2a、2aが上フレーム1に形成された係合孔1a,1aにそれぞれ係合して、ディスクガイド2は上フレーム1に対してその係合部分を中心に装置前面側が所定角度回動するよう構成されている。
【0013】
図5はクランパ部3を示す斜視図である。図5に示すように、クランパ部3は挿入されたディスク101を押圧するクランパ30と、クランパ30を遊動可能に保持するクランパ保持部31と、クランパ保持部31をクランパアーム32を介してトラバースシャーシ6に固定するクランパベース33とを有している。クランパベース33とクランパ保持部31とを機械的に接続するクランパアーム32は、弾性部材、例えば薄い金属板で構成されており、クランパ30によるディスク挟着時の押圧力を規制している。クランパ30はクランパ保持部31により回転可能な係合状態で保持されている。
上記のように構成されたクランパ部3は、ディスク101が挿入されて搬送されているとき、ターンテーブル70の上方、即ちターンテーブル70から離間する位置に配置されて、上フレーム1に当接している。クランパ部3はクランパベース33がフローティングユニット10のトラバースシャーシ6に軸止されており、その軸に設けた付勢手段(図示省略)、例えばバネやクランク機構やカム機構によりクランパ30がターンテーブル70の方向に常に付勢されている。しかし、ディスク101が記録再生位置以外のときには、クランパ30は係止手段により上フレーム1に当接して、クランパ30がターンテーブル70から離間する位置に配置される。そして、ディスク101が挿入されてターンテーブル70上の位置(記録再生位置)に搬送されたとき、前記係止手段が外れてバネの付勢力やクランク機構やカム機構によりクランパ30がディスク101を間にしてターンテーブル70を押圧する。
【0014】
図6は、実施の形態1のディスク装置におけるフローティングユニット10のディスク搬送部4、ディスク搬送駆動部5、及びトラバースシャーシ6を示す斜視図である。
ディスク搬送部4は、ディスク挿入排出口11に挿入されたディスク101をディスクガイド2に押し付けて自転することにより装置内を所定軌跡で搬送する搬送ローラ40aを持つローラアーム40を有している。ローラアーム40の搬送ローラ40aは、ディスク101が記録再生位置以外の時、バネの付勢力によりディスクガイド2に押し付けられており、ディスク搬送が完了してディスク101が記録再生位置に到達したとき、ローラアーム40の搬送ローラ40aが下方(ディスクガイド2から離間する方向)に移動するよう構成されている。
【0015】
実施の形態1のディスク装置においては、搬送ローラ40aの回転軸の方向が、ディスク装置のディスク挿入排出口11のある装置前面に対して所定角度傾いている。これは、トラバースシャーシ6におけるディスク101の挿入及び排出の移動軌跡がディスク装置のディスク挿入排出口11と平行な線に対して直交するよう、すなわち装置の上面から見たとき装置の前後方向に真っ直ぐ移動するよう構成されていないため、ディスク101を斜行して搬送する必要があるためである。したがって、挿入されたディスク101は、ディスク挿入排出口11のある装置前面に対して斜めに搬送されるよう構成されている。実施の形態1におけるトラバースシャーシ6には、ディスク搬送駆動部5のモータ50がトラバースシャーシ6の前面であるディスク挿入排出口11の近傍に配設されており、モータ50の奥側に記録再生位置の一部が配置されている。このため、実施の形態1においては、ディスク挿入排出口11からディスク101を斜めに搬送するよう構成されている。
【0016】
図6に示すディスク搬送駆動部5は、ディスク搬送時(ディスクローディング時)にローラアーム40の搬送ローラ40aを回転駆動するモータ50と、ディスク挿入前及びディスク排出完了時(ディスクアンローディング時)にトラバースシャーシ6を上フレーム1に固定する制御スライダ51と、ディスク搬送が完了してディスク101の記録再生位置の到達を検知するトリガーレバー52と、モータ50の回転を制御スライダ51等に伝動するギヤ列53とを有している。なお、図6においては、トリガーレバー52がトラバースシャーシ6内の後方位置に配置して示したが、トリガーレバー52の一端は制御スライダ51の後方端部に接触するよう構成されており、トリガーレバー52の移動により制御スライダ51が連動するよう構成されている。トリガーレバー52の他端であるトラバースシャーシ6内の端部は、ディスク101が記録再生位置の上方に到達したときディスク101の縁部と当接する位置に配置されている。
上記のように構成されたディスク搬送部4とディスク搬送駆動部5とが装着されたトラバースシャーシ6の裏面には、ディスク記録再生駆動部7とプリント基板8が取り付けられている。
【0017】
トラバースシャーシ6の前面には、ディスク挿入排出口11の近傍に配置され、ディスク101が装置内に挿入されたことを検出するディスク挿入検知レバー41と、ディスク挿入検知レバー41の後方に配置され、ディスク101の排出状態を検出するイジェクト検出レバー42とが設けられている。ディスク挿入検知レバー41とイジェクト検出レバー42は、バネの付勢力により常に上方向へ付勢されており、ディスク101が挿入されていないとき、上方の所定位置に配置されている。
図6に示すように、ディスク挿入検知レバー41は、ディスク挿入排出口11の両側近傍に配設されており、両側に広がりその両端が少し持ち上がった羽根形状を有している。ディスク101がディスク挿入排出口11から挿入されたとき、ディスク101の外縁部分が両側に配置されたディスク挿入検知レバー41のいずれか一方若しくはそれぞれの検出面(図6における上面)41aを押し広げて、ディスク挿入検知レバー41に形成された突起41bがメカニカルスイッチである検出スイッチ81を押圧する。この検出スイッチ81が押圧されることにより、搬送ローラ40aの回転が始動し、その回転により挿入されたディスク101がトラバースシャーシ6における所望の位置に搬送される。
【0018】
図7は、ディスク記録再生駆動部7、プリント基板8、及び下フレーム9を示す分解斜視図である。下フレーム9はトラバースシャーシ6等を有するフローティングユニット10をダンパーバネ90により保持している。図7に示すように、ディスク記録再生駆動部7はディスク101を載置して回転駆動するターンテーブル70、このターンテーブル70を回転するスピンドルモータ71、ディスク101の記録再生を行う光ピック部72、及び光ピック部72をディスク101の径方向に駆動する光ピック駆動モータ73を有している。プリント基板8はトラバースシャーシ6の裏面に取り付けられており、トラバースシャーシ6に設けられた各機構を駆動制御する電気回路が実装されている。
【0019】
上記のように構成されたトラバースシャーシ6は、装置外観となる筐体に取り付けられた固定側フレームである下フレーム9により粘弾性機能を有するダンパーバネ90により保持されている。ディスク挿入前の状態において、トラバースシャーシ6は制御スライダ51とローラアーム40のディスクガイド2への押し付け動作により上フレーム1と下フレーム9によるフレーム内部において下方位置にある。この状態において、ディスク101が挿入されると、ディスク101がローラアーム40の搬送ローラ40aとディスクガイド2との間に入り記録再生位置に搬送される。ディスク101が記録再生位置に到達すると、トラバースシャーシ6はフローティング状態となり上昇して、ディスク101はターンテーブル70とクランパ30により挟着される。
次に、ディスク101の排出動作においては、ローラアーム40のディスクガイド2への押し付け動作と制御スライダ51により、ダンパーバネ90が圧縮されてトラバースシャーシ6が下降して固定側フレーム内部の下方位置となる。
【0020】
次に、実施の形態1のディスク装置におけるフローティングユニット10に設けられたディスク挿入検知レバー41について詳細に説明する。
図8は実施の形態1における上フレーム1とフローティングユニット10と下フレーム9の前面側、すなわちディスク挿入排出口側のそれぞれを示す正面図であり、フローティングユニット10と下フレーム9とを粘弾性的に接続するダンパーバネ90をフローティングユニット10と下フレーム9との間に示している。ダンパーバネ90は、渦巻きバネ90aと絶縁材料で形成されたダンパー90bとに構成されている。ダンパー90bは、例えばゴムを材料として形成され、耐振性を向上させるために設けられている。
【0021】
図8に示すように、ディスク挿入検知レバー41は、ディスク挿入排出口近傍であるフローティングユニット10の前面側の両側に配設されている。ディスク挿入検知レバー41のそれぞれは、装置の内側に回動中心軸41bがあり、装置の外側に向かって延設された検知部41cが外側に広がりその両端が少し持ち上がった羽根形状を有している。検知部41cのディスク101に対向する面である上面が検出面41aとなっている。検知部41cに対して回動中心軸41bを間にした反対側には突起41dが形成されている。この突起41dは、フローティングユニット10のトラバースシャーシ6の裏面に配設されたプリント基板8にあるメカニカルスイッチである検出スイッチ81から所定距離を有して配設されており、突起41dの移動により確実に検出スイッチ81が動作するよう構成されている。
【0022】
図9は図8に示した実施の形態1における上フレーム1とフローティングユニット10と下フレーム9に対してディスク101が装着された状態を示す正面図である。図10は実施の形態1におけるディスク挿入検知レバー41の動作を示す拡大正面図である。図10においては、ディスク挿入検知レバー41を平行斜線で示している。図10において、(a)はディスクが装着されていないときのディスク装置前面から見た左側のディスク挿入検知レバー41を示し、(b)はディスクが装着されていないときのディスク装置前面から見た右側のディスク挿入検知レバー41を示している。また、図10の(c)はディスクが装着されたときのディスク装置前面から見た左側のディスク挿入検知レバー41を示し、(d)はディスクが装着されたときのディスク装置前面から見た右側のディスク挿入検知レバー41を示している。
【0023】
図9及び図10の(c)と(d)に示されているように、ディスク101がディスク挿入排出口11から挿入されたとき、ディスク101の外縁部分が両側に配置されたディスク挿入検知レバー41の斜行している検出面(図6における上面)41aを押し広げる。このとき、ディスク101の記録面には検出面41aが接触しないよう、羽根形状の検出部41cは常に両側が持ち上がった状態である。このように検出部41cが回動することにより、回動中心軸41bを介して設けられている各突起41dは、検出スイッチ81を押圧してオン状態とする。検出スイッチ81のオン状態により、プリント基板8の電気回路にディスク挿入検知信号が入力され、フローティングユニット10に設けられている各機構が駆動される。
【0024】
次に、上記のように構成された実施の形態1のディスク装置の動作について説明する。
実施の形態1のディスク装置に対してディスク101がそのディスク挿入排出口11から挿入されると、ディスク挿入検知レバー41がディスク101により押し下げられて、ディスク101の挿入が検知される。ディスク101の挿入が検知されると、ローラアーム40が自転すると共にディスク101を上フレーム1のディスクガイド2に押し付ける。その結果、ディスク101はディスク装置内部のディスク記録再生位置に搬送される。このとき、ディスク搬送駆動部5における制御スライダ51が上フレーム1と当接しており、トラバースユニット6は固定状態となっている。
【0025】
実施の形態1のディスク装置においては、ローラアーム40がディスク挿入排出口11、すなわち装置前面に対して斜行して取り付けられているため、ディスク101は装置前面に対して斜めに搬送される。これは、図6に示すように、ディスク挿入排出口11において装置に向かって左側の位置にモータ50が配設されており、かつディスク記録再生位置の一部がそのモータ50の奥側に配置されているためである。このように実施の形態1のディスク装置においては、トラバースシャーシ6における各機構が有機的に配置されているとともに、デッドスペースが生じないよう効率的に配設されている。
【0026】
ディスク101がディスク記録再生位置に達すると、トリガーレバー52とディスク101が接触し、その後の制御スライダ51等の一連動作によりローラアーム40の回転が停止し、ローラアーム40がディスク記録再生面より下側へ下降する。このローラアーム40のディスク記録再生面より下側への下降動作により、ローラアーム40とディスク101を介して接触しているディスクガイド2も同様に下降動作を行う。このディスクガイド2の下降動作において、ディスクガイド2は2箇所の係合位置で上フレーム1に懸装されているため、その係合位置を中心として回動して、トラバースシャーシ6の前面側に形成されたチンガード61に当接する。このようにディスクガイド2が回動してチンガード61に当接することにより、ディスク挿入排出口11の一部が塞がれ、さらなるディスク101の挿入が禁止される。なお、トラバースシャーシ6の前面側に形成されたチンガード61は、ディスク挿入排出口11の下側を構成するフレームであり、装置前面側にディスクが収納されるよう湾曲して飛び出して形成されている。
【0027】
また、ディスク搬送駆動部5のトリガーレバー52がディスク101と接触することにより、制御スライダ51がディスク挿入時と逆の方向へ移動する。このように制御スライダ51が移動することにより、制御スライダ51と上フレーム1との当接状態が外れ、トラバースユニット6はダンパーバネ90により粘弾性的に指示された状態、すなわちフローティングユニット10がフローティング状態となる。このフローティング状態において、クランパ部3のクランパ30が押し下がり、ディスク記録再生位置のディスク101をクランパ30とターンテーブル70とにより挟着する。この挟着動作により、フローティングユニット10は下フレーム9の方へ、すなわち下方へ多少移動する。
上記のようにディスク101がクランパ30とターンテーブル70とにより完全に挟着されると、ディスク101が回転すると共に光ピック部72が移動してディスク101の記録又は再生が行われる。
【0028】
ディスク101に対する記録又は再生動作が終了し、例えばディスク排出指令が装置外部から入力されたとき、ローラアーム40が持ち上げられてディスク101を上フレーム1のディスクガイド2に押し付ける。このとき、ディスク搬送駆動部5の制御スライダ51が移動して、制御スライダ51と上フレーム1とが当接し、トラバースユニット6の移動を制限する。このとき、ディスクガイド2は持ち上げられるため、ディスク挿入排出口11は開放状態となる。
【0029】
上記の状態において、ローラアーム40が回転して、ディスク101をディスク挿入排出口11から排出する。ディスク101の排出状態は、トラバースシャーシ6に設けたイジェクト検出レバー42により検知される。このイジェクト検出レバー42は、ディスク挿入排出口11の両側近傍に配設されたディスク挿入検知レバー41と同様に、端側が少し持ち上がった羽根形状を有している。ディスク101がディスク挿入排出口11から排出されるとき、ディスク101の外縁部分がイジェクト検出レバー42の検出面(図6における上面)42aを押し下げており、ディスク101がディスク挿入排出口11から想定された位置まで排出されたとき、イジェクト検出レバー42の端部が持ち上がり、ディスク101の排出動作が終了したことを検知する。このように、ディスク101の排出動作が終了したことにより、ローラアーム40の回転が停止する。その後、ディスク101が完全に排出されたとき、ローラアーム40はバネの力により上方へ移動して、ディスクガイド2と下フレーム9とに係止される。そして、ディスク101の排出動作が完了する。
なお、上記の実施の形態においては、記録及び再生が可能なディスク装置について説明したが、本発明はこのような装置に限定されるものではなく、ディスク状記録媒体の記録装置又は再生装置等のディスク装置においても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
発明は、CD、DVD等のディスク状記録媒体の記録又は再生を行う小型のディスク装置に特に有用であり、装置に挿入されたディスクを確実に検知することができる薄型のディスク装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る実施の形態1のディスク装置における外観筐体を取り除いた状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示したディスク装置に対してディスク状記録媒体の挿入途中状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示したディスク装置の内部構成を示す分解斜視図である。
【図4】実施の形態1における上フレーム1を示す分解斜視図である。
【図5】実施の形態1におけるクランパ部3を示す斜視図である。
【図6】実施の形態1のディスク装置におけるフローティングユニット10のディスク搬送部4、ディスク搬送駆動部5、及びトラバースシャーシ6を示す斜視図である。
【図7】実施の形態1のディスク装置におけるディスク記録再生駆動部7とプリント基板8、及びトラバースシャーシ6をダンパーバネ90により保持する下フレーム90を示す分解斜視図である。
【図8】実施の形態1における上フレーム1とフローティングユニット10と下フレームの前面側のそれぞれを示す正面図である。
【図9】図8に示した実施の形態1における上フレーム1とフローティングユニット10と下フレーム9に対してディスク101が装着された状態を示す正面図である。
【図10】実施の形態1におけるディスク挿入検知レバー41の動作を示す拡大正面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 上フレーム
2 ディスクガイド
3 クランパ部
4 ディスク搬送部
5 ディスク搬送駆動部
6 トラバースシャーシ
7 ディスク記録再生駆動部
8 プリント基板
9 下フレーム
10 フローティングユニット
11 ディスク挿入排出口
40 ローラアーム
41 ディスク挿入検知レバー
41a 検出面
41b 回動中心軸
41c 検知部
42 イジェクト検出レバー
81 検出スイッチ
61 チンガード
101 ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部となる固定フレーム、及び
前記固定フレームに弾性部材を介して前記固定フレームの内部に配置され、挿入されたディスク状記録媒体の記録及び/又は再生を行う機能を有するフローティングユニットを具備し、
前記フローティングユニットが、固定フレームに形成されたディスク挿入排出口から挿入された前記ディスク状記録媒体を搬送するディスク搬送手段と、
前記ディスク状記録媒体を記録再生位置で挟着するためのディスク挟着手段と、
前記ディスク状記録媒体を回動して記録再生を行うディスク記録再生駆動手段と、
前記ディスク搬送手段と前記ディスク挟着手段と前記ディスク記録再生駆動手段とを駆動制御する電気回路を有する電気回路基板と、
ディスク挿入排出口を形成する面に配設され、挿入された前記ディスク状記録媒体の外縁により押し下げられる方向に回動し、前記電気回路にディスク検知信号を出力するスイッチを直接的に駆動するディスク挿入検知レバーと、
を具備することを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
ディスク挿入検知レバーは、ディスク挿入排出口の両側近傍に配設され、両側に広がりその両端が少し持ち上がった羽根形状部分と、回動により電気回路基板のスイッチを押圧する突起とを有している請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
イジェクト検出レバーをディスク挿入検知レバーの近傍に配置して、ディスク状記録媒体の外縁により押圧されて回動し、前記電気回路にディスクの排出動作を検知する信号を出力するよう構成された請求項1又は2に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−269782(P2008−269782A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166949(P2008−166949)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【分割の表示】特願2003−359786(P2003−359786)の分割
【原出願日】平成15年10月20日(2003.10.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】