説明

ディスク装置

【課題】 クランプ支持部材に、クランプ部材の側方に対向する抜け止め部材が設けられて、非クランプ時にクランプ部材が外れることを防止でき、クランプ状態で、抜け止め部材が、回転中のクランプ部材の押圧部に接近しすぎて当たることを防止できる「ディスク装置」を提供する。
【解決手段】 クランプ状態では、クランプ部材30のフランジ部34がクランプ支持部のフランジ受け部24から距離δだけ持ち上げられた状態で、板ばね45の弾性力で、クランプ部材30がディスクDに押し付けられる。このとき、クランプ部材30と一緒に板ばね45の弾性腕部45bが持ち上げられ、弾性腕部45bで抜け止め対向部41aも持ち上げられる。そのため、抜け止め対向部41aが、回転中の押圧部31に当たることを防止しやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクを回転テーブルに押圧するクランプ部材が、クランプ支持部材に回転自在に支持されているディスク装置に係り、クランプ支持部材におけるクランプ部材の回転支持部を薄型にできるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CDやDVDが装填されるディスク装置は、モータで回転駆動される回転テーブルと、この回転テーブルに対向するクランプ部材とが設けられ、ディスクの中心部が回転テーブルとクランプ部材との間で挟持されて、ディスクがクランプされる。クランプ部材は、クランプ支持部材に回転自在に支持されているとともに、クランプ支持部材に設けられた板ばねがクランプ部材のピボット部を押圧して、クランプ部材がディスクに押し付けられる。
【0003】
例えば、以下の特許文献1などに記載されているディスク装置では、板金製のクランプ支持部材に凹部を有するフランジ受け部が形成されて、クランプ部材の軸部が前記凹部内に装着され、その凹部から抜け出ることを規制する抜け止め部材が設けられている。ディスクをクランプしていないときは、前記板ばねの押圧力によって、クランプ部材の軸部に設けられたフランジ部がフランジ受け部に押し付けられ、ディスクをクランプするときは、クランプ部材がディスクに当たることによってフランジ部がフランジ受け部から浮き上がり、この状態で、前記板ばねの弾圧力がクランプ部材のディスク押圧力として作用できるようになる。
【特許文献1】特開2002−319215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近のディスク装置は薄型化が要求され、クランプ支持部においてクランプ部材を回転自在に支持する支持構造部の薄型化が要求されている。しかし、前記支持構造部を薄型にしてしまうと、ディスクをクランプした状態で、フランジ部がフランジ受け部から浮き上がったときに、クランプ部材と抜け止め部材とが接近して当たりやすくなる。特に、クランプ部材が長期間回転してピボット部が磨耗すると、クランプ部材と抜け止め部材などが当たりやすくなる。
【0005】
また、抜け止め部材をクランプ部材から離れた位置に設けると、クランプ部材の軸部がフランジ受け部の凹部から抜け出やすくなってしまう。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、薄型に構成でき、クランプ部材が外れにくくなり、しかもディスクをクランプしているときに、クランプ部材と抜け止め部材とが当たることが生じにくいディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、モータで回転駆動される回転テーブルと、前記回転テーブルに対向するクランプ部材と、前記クランプ部材を回転自在に支持するクランプ支持部材とを有し、前記クランプ支持部材が前記回転テーブルに向けて移動するときに、前記回転テーブルと前記クランプ部材との間にディスクの中心部が挟持されるディスク装置において、
前記クランプ部材に、前記回転テーブルとの対向側に位置してディスクを前記回転テーブルに押圧する押圧部と、前記回転テーブルとの対向側と逆側である非対向側で前記押圧部から離れて位置するフランジ部と、前記フランジ部からさらに非対向側に突出するピボット部とが設けられ、前記クランプ支持部材に、前記押圧部と前記フランジ部との間に位置するフランジ受け部と、前記ピボット部を前記回転テーブルとの対向側へ向けて押圧する弾性押圧部材と、抜け止め部材とが設けられており、
前記クランプ部材が前記回転テーブルから離れる非クランプ状態で、前記弾性押圧部材の押圧力によって前記フランジ部が前記フランジ受け部に押し付けられるとともに、前記抜け止め部材が前記フランジ部の側方に対向して前記フランジ部が前記フランジ受け部から外れることが防止され、
前記回転テーブルと前記クランプ部材との間にディスクが挟まれたクランプ状態では、前記クランプ支持部材が前記回転テーブルに向けて移動し且つ前記クランプ部材の押圧部がディスクに当たって、前記フランジ部が前記フランジ受け部から前記回転テーブルとの非対向側へ離れるとともに、前記クランプ部材と共に前記回転テーブルとの非対向側へ移動する前記弾性押圧部材によって、前記抜け止め部材が前記回転テーブルとの非対向側へ移動させられることを特徴とするものである。
【0008】
本発明のディスク装置では、クランプ部材がディスクから離れている非クランプ状態において、弾性押圧部材の弾性力でクランプ部材が前記回転テーブルとの対向側へ押されるために、クランプ部材に設けられたフランジ部がクランプ支持部材のフランジ受け部に押し付けられる。このとき、抜け止め部材がフランジ部の側方に対向するために、フランジ部がフランジ受け部から外れることを防止できる。また、クランプ部材が弾性押圧部材の押圧力によってディスクに押し付けられているクランプ状態では、クランプ部材のフランジ部がフランジ受け部から浮き上がるが、このとき、クランプ部材と共に浮き上がる弾性押圧部材によって抜け止め部材が持ち上げられるため、抜け止め部材とクランプ部材の押圧部との間に十分な隙間を保つことができ、両部材が当たることを防止しやすくなる。
【0009】
本発明は、前記クランプ部材には、前記押圧部と前記フランジ部との間に軸部が設けられ、前記フランジ受け部に前記軸部が入り込む凹部が形成されており、前記非クランプ状態で、前記抜け止め部材が前記凹部の開口部に対向するものである。
【0010】
また、本発明は、前記クランプ状態で、前記回転テーブルと前記クランプ部材が、回転軸が一致するように嵌合し、前記軸部が前記凹部の縁部に当たらない状態で、ディスクと共に前記クランプ部材が回転するものである。
【0011】
上記発明では、クランプ状態で、クランプ部材が回転テーブルと嵌合して回転軸が一致した状態で位置決めされる。よって、弾性押圧部材によって抜け止め部材が持ち上げられていても、クランプ部材の軸部がフランジ受け部の凹部から抜け出ることがない。一方、非クランプ状態では、クランプ部材が回転テーブルから離れて、クランプ部材の軸部がフランジ受け部の凹部内で自由に動けるようになるが、このときは抜け止め部材がフランジ部の側方に対向するために、クランプ部材がフランジ受け部の凹部内から不用意に外れることを防止できる。
【0012】
本発明は、前記弾性押圧部材は、少なくとも一部が板ばね材料で形成されており、前記クランプ部材がディスクと共に回転するときに、前記ピボット部が前記弾性押圧部材に当接して回転するものである。
【0013】
この場合に、長期間の使用でピボット部が磨耗し、クランプ部材の押圧部が弾性押圧部材に接近しても、非クランプ状態で、抜け止め部材とクランプ部材の押圧部との距離を十分に保つことができる。
【0014】
また、本発明は、前記抜け止め部材は、前記回転テーブルとの対向側へ動くことができるように前記クランプ支持部材に支持されている。あるいは、前記抜け止め部材は少なくとも一部が弾性変形部であり、前記クランプ状態では、前記弾性押圧部材によって前記弾性変形部が前記回転テーブルとの非対向側に向けて変形させられるものである。
【0015】
また本発明は、前記弾性押圧部材と前記抜け止め部材とが連結されているものとして構成できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のディスク装置は、非クランプ状態で、抜け止め部材によって、クランプ部材がクランプ支持部材から外れることを防止でき、クランプ状態では、クランプ部材の押圧部と抜け止め部材との距離を保って両部材が当たることを防止できるようになる。
【0017】
非クランプ状態で、抜け止め部材とクランプ部材の押圧部との距離をできる限り狭くしても、クランプ状態で、抜け止め部材とクランプ部材の押圧部との距離を保てるために、クランプ支持部材でのクランプ部材の支持構造部を薄型化しやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の第1の実施の形態のディスク装置の主要部を示す分解斜視図である。図2は非クランプ状態のディスク装置を示す断面図、図3はクランプ状態のディスク装置を示す断面図である。
【0019】
ディスク装置1に装填されるディスクDは、DVD(デジタルバーサタイルディスク)、CD(コンパクトディスク)、CD−Rなどであり、図3に示すように、ディスクDの中心部に中心穴Daが形成されている。
【0020】
図1に示すように、ディスク装置1の筐体の内部にはスピンドルモータMが設けられ、スピンドルモータMの回転軸11に回転テーブル10が固定されている。筐体の前部にはスリット状の挿入口が形成されており、筐体の内部では、前記挿入口と回転テーブル10との間に搬送ローラ2が設けられている。挿入口から挿入されたディスクDは、搬送ローラ2とその上に位置する合成樹脂製の摺動部材(図示省略)との間で挟まれ、搬送ローラ2の回転力で、矢印T方向へ搬送されて回転テーブル10の上に供給される。
【0021】
回転テーブル10の側方には光ヘッド3が設けられている。光ヘッド3は、一対の案内軸4,5に移動自在に支持されている。ディスクDの下面に対向する光ヘッド3が、スレッド機構によってディスクDの半径方向へ移動させられる。光ヘッド3にはディスクDに対向する対物レンズ6が設けられているとともに、発光素子と受光素子を含む光学装置が内蔵され、ディスクDに記録されたデータを読み取ることができ、またはディスクDにデータを記録することができる。
【0022】
図1ないし図3に示すように、回転テーブル10に、回転軸11と嵌合して上側(Z1側)に突出するクランプ位置決め凸部12が設けられている。クランプ位置決め凸部12は、回転軸11の軸心と同心でほぼ円柱形状に形成されており、上端周囲にテーパ面12aが形成されている。クランプ位置決め凸部12の外周にはディスク位置決め凸部13が設けられている。ディスク位置決め凸部13は上側へ突出し、クランプ位置決め凸部12と同心に形成されており、ディスク位置決め凸部13の直径はクランプ位置決め凸部12の直径よりも大きい。ディスク位置決め凸部13の外周面はZ1方向へ向かうにしたがって直径が徐々に小さくなる案内面13aとなっている。ディスク位置決め凸部13よりも外周には、ディスク位置決め凸部13よりも下側(Z2側)に位置するディスク受け部14が設けられている。クランプ位置決め凸部12とディスク位置決め凸部13およびディスク受け部14は、回転軸11と一緒に回転する。
【0023】
回転テーブル10の上方にはクランプ支持部材20が設けられており、クランプ支持部材20に設けられた回転支持部21の下方にクランプ部材30が回転自在に支持されている。クランプ支持部材20は、回転テーブル10よりもディスク搬入方向(T方向)へ離れた位置に設けられた回動支持部を支点としてZ1−Z2方向へ揺動自在に支持されている。図2に示す非クランプ状態では、クランプ支持部材20がZ1方向へ持ち上げられている。ディスクDがT方向へ搬送され、ディスクDの中心穴Daが回転テーブル10の真上に移動すると、図3に示すように、クランプ支持部材20がZ2方向へ下降してクランプ状態となる。
【0024】
クランプ支持部材20とクランプ部材30は、下側が回転テーブル10と対向する対向側であり、上方が非対向側である。
【0025】
クランプ支持部材20は板金製であり、クランプ位置決め凸部12が対向する部分に回転支持部21が設けられている。回転支持部21には、クランプ位置決め凸部12の上方に対向する開口部22が形成されている。
【0026】
回転支持部21では、クランプ支持部材20の対向側(Z2側)に対向側支持部材23が取り付けられている。対向側支持部材23には取り付け平面23aが形成され、取り付け平面23aに複数の固定穴23bが開口している。取り付け平面23aがクランプ支持部材20の対向側に向く下面に密着した状態で、固定穴23bの周囲がクランプ支持部材20の対向側の面に溶接されあるいは蝋付けされ、または固定穴23bがクランプ支持部材20の対向側にかしめ固定されるなどして、対向側支持部材23が固定されている。
【0027】
対向側支持部材23には、クランプ支持部材20の下面よりもさらに対向側に離れて位置するフランジ受け部24が形成され、フランジ受け部24に支持凹部25が形成されている。フランジ受け部24は、回転軸11の軸心を中心とするリング領域に形成されている。フランジ受け部24と取り付け平面23aとの間には側壁部26が形成されている。図2と図3に示すように、側壁部26は、フランジ受け部24から取り付け平面23aに向けて内径寸法が徐々に広くなるテーパ面である。また、支持凹部25の開口部25aは、ディスク搬入方向(T方向)へ向けられ開放されている。対向側支持部材23は板金製であり、フランジ受け部24と支持凹部25がプレス加工で形成されている。
【0028】
クランプ部材30は押圧部31を有している。押圧部31は板金材料で形成されて、対向側へ突側が向くように凹状に形成された円盤である。押圧部31の対向側に、ディスクDを押圧する押圧面31aが形成されている。押圧面31aはほぼリング状の領域に形成されている。
【0029】
押圧部31の中心部に軸部32が取り付けられている。軸部32はポリアセタールなどの摩擦抵抗の小さい合成樹脂材料で形成されており、押圧部31の中心部から非対向側へ延びている。軸部32は外周面が所定の半径の円筒面であり、軸部32の内部には、対向側に向けて開口する位置決め凹部33が形成されている。図3に示すクランプ状態では、前記位置決め凹部33が、回転テーブル10のクランプ位置決め凸部12と凹凸嵌合して、クランプ部材30と回転テーブル10とが、回転中心が一致して半径方向へ互いに動かないように位置決めされる。
【0030】
軸部32の非対向側には、円周方向へ突出する円板形状のフランジ部34が一体に形成されている。フランジ部34の直径は軸部32の外周面の直径よりも大きく、フランジ部34は、押圧部31から非対向側へ離れて位置している。
【0031】
図2と図3に示すように、軸部32が対向側支持部材23の支持凹部25内に入り込み、フランジ部34がフランジ受け部24の上に設置されることで、クランプ部材30がクランプ支持部材20の下部に回転自在に支持される。フランジ部34の直径は、支持凹部25の開き寸法(内径寸法)よりも大きい。そのため、フランジ受け部24が、クランプ部材30の押圧部31とフランジ部34との間に介在することで、クランプ部材30がクランプ支持部材20から下方へ離脱しないように支持されている。
【0032】
フランジ部34の直径は、フランジ受け部24の周囲の側壁部26の内径寸法よりも小さい。また、軸部32の外周面の直径は、支持凹部25の開き寸法(内径寸法)よりも小さい。したがって、図3に示すクランプ状態において、クランプ位置決め凸部12と位置決め凹部33とが嵌合して、クランプ部材30が回転テーブル10に回転中心が一致するように位置決めされたときに、軸部32の外周面は支持凹部25の内周縁と当たらず、フランジ部34の外周縁も側壁部26に当たらない。
【0033】
クランプ支持部材20の回転支持部21に抜け止め部材41が取り付けられている。抜け止め部材41は板金材料で形成されて実質的に弾性変形しない剛体である。抜け止め部材41には抜け止め対向部41aがほぼ直角に折り曲げられている。抜け止め対向部41aは、開口部22を通過してクランプ支持部材20の対向側(Z2側)へ延びている。図2に示す非クランプ状態では、抜け止め対向部41aが、支持凹部25の開口部25aに対向し、且つフランジ部34の側方に対向して、クランプ部材30の軸部32が支持凹部25から抜け出ることが規制される。
【0034】
抜け止め部材41には一対の取り付け穴41b,41bが開口している。取り付け穴41b,41bに取り付けねじ42,42が挿入されている。それぞれの取り付けねじ42は、雄ねじ部42aと、雄ねじ部42aよりも直径の大きい丸棒状の支持体42bと、支持体42bの最上部に形成された頭部42cとを有している。支持体42bの軸方向の長さ寸法は、抜け止め部材41の板厚寸法よりもやや大きい。また、支持体42bの直径は、取り付け穴41bの内径寸法よりも小さい。よって、図2と図3に示すように、支持体42bが取り付け穴41bに挿入され、雄ねじ部42aがクランプ支持部材20に形成された雌ねじ穴20aに螺着されたときに、クランプ支持部材20の上面と取り付けねじ42,42の頭部42c,42cとの間で、抜け止め部材41がZ1−Z2方向へわずかに動くことができる。
【0035】
クランプ支持部材20の上面には弾性押圧部材である板ばね45が取り付けられている。この弾性押圧部材は少なくとも一部が弾性変形可能な材料で形成されていればよいが、この実施の形態では、弾性押圧部材はその全体が弾性変形可能な板ばね45で形成されている。
【0036】
板ばね45は、支持基端部45aがクランプ支持部材20の上面に設置され、位置決め突起46aで位置決めされて、かしめ固定手段などで固定されている。板ばね45の弾性腕部45bは、開口部22を通過してクランプ支持部材20の対向側(Z2側)へ延びており、クランプ部材30のフランジ部34の中心から非対向側(Z1側)へ突出するピボット部35に弾圧されている。さらに、弾性腕部45bの先端部45cは、抜け止め部材41の抜け止め対向部41aにスリット状に開口する連結部41cに挿入されて、抜け止め部材41と連結されている。
【0037】
次に、ディスク装置1のディスククランプ動作を説明する。
図2は、ディスク装置1がディスクDの搬入を待機する非クランプ状態である。このとき、クランプ支持部材20がZ1方向へ持ち上げられて、回転テーブル10とクランプ部材30との間に空間が形成されている。
【0038】
非クランプ状態では、クランプ部材30がディスクDなどに当たっていないため、板ばね45の弾性腕部45bでクランプ部材30のピボット部35が対向側(Z2側)に弾圧され、フランジ部34が対向側支持部材23に形成されているフランジ受け部24に押し付けられている。すなわち、クランプ部材30はクランプ支持部材20から対向側(Z2側)へ最も離れた位置にある。クランプ部材30の対向側(Z2側)への移動に伴って板ばね45の弾性腕部45bが対向側(Z2側)へ変形するために、弾性腕部45bの先端部45cに連結されている抜け止め対向部41aが対向側(Z2側)へ下げられ、可動状態で支持されている抜け止め部材41が、クランプ支持部材20の上面にほぼ密着している。
【0039】
図2に示す非クランプ状態では、抜け止め対向部41aが最も対向側(Z2側)に移動しているため、抜け止め対向部41aが、フランジ部34の側方に対向するのみならず、対向側支持部材23に形成された支持凹部25の開口部25aに対向する。したがって、軸部32が支持凹部25から抜け出ることを防止できる。
【0040】
図2に示す非クランプ状態では、Z2方向へ移動した抜け止め対向部41aのZ2側の下端が、フランジ部34のZ2側の下面よりも十分にZ2側へ移動しているため、軸部32がフランジ受け部24の上で傾いても、フランジ部34が抜け止め対向部41aのZ2側の下端に入り込むことがない。そのため、搬送ローラ2の回転力で搬入方向へ送られるディスクDの周縁部がクランプ部材30の押圧部31aに当たって、クランプ部材30が傾きながら搬入方向へ強く押されたとしても、軸部32が支持凹部25内から外れることを防止できる。
【0041】
搬送ローラ2で搬送されているディスクDの中心穴Daが、回転テーブル10のディスク位置決め凸部13の上に対向したことが図示しない検知手段で検知されると、搬送ローラ2の回転が停止させられる。そして、クランプ支持部材20が回転テーブル10に接近するクランプ動作が行われ、ほぼ同時に搬送ローラ2がZ2方向へ移動して、搬送ローラ2がディスクDから離れる。
【0042】
クランプ動作において、クランプ支持部材20がZ2方向へ移動すると、クランプ部材30の押圧面31aがディスクDの上面に当たり、ディスクDがZ2方向へ押される。この押圧動作により、ディスクDの中心穴Daの周縁部が、回転テーブル10に設けられたディスク位置決め凸部13の案内面13aに案内されて、中心穴Daがディスク位置決め凸部13と嵌合し、ディスクDの中心が回転軸11の軸心に一致させられるとともに、ディスクDの下面がディスク受け部14に当たる。さらに、回転テーブル10に設けられたクランプ位置決め凸部12の上端のテーパ面12aに、クランプ部材30の軸部32の下端が案内され、クランプ位置決め凸部12と位置決め凹部33とが嵌合し、クランプ部材30の中心と回転軸11の軸心とが一致するように、クランプ部材30が位置決めされる。
【0043】
その後、さらにクランプ支持部材20がZ2方向へ移動して、対向側支持部材23のフランジ受け部24が、クランプ部材30のフランジ部34よりもわずかな距離δだけ対向側(Z2側)へ離れた位置で、クランプ支持部材20のZ2方向への移動が停止して、図3に示すクランプ状態が設定される。
【0044】
図3に示すクランプ状態では、クランプ部材30のフランジ部34がフランジ受け部24から距離δだけ非対向側(Z1側)へ離れているため、板ばね45の弾性腕部45bがピボット部35を押圧する弾性力によって、押圧部31の押圧面31aがディスクDの上面に加圧され、前記弾性力によって、ディスクDが回転テーブル10のディスク受け部14とクランプ部材30の押圧面31aとの間で挟持される。
【0045】
クランプ状態では、クランプ位置決め凸部12と位置決め凹部33との凹凸嵌合によって、クランプ部材30がZ1−Z2方向と交叉する方向(ディスクDの面方向)へは動かないようにセンタリングされて拘束されている。よって、クランプ部材30の軸部32の外周面は、支持凹部25の内周縁と当たることがなく、フランジ部34の外周縁がフランジ受け部24の外周に位置する側壁部26に当たることもない。また、フランジ部34は、フランジ受け部24から距離δだけ浮き上がっている。スピンドルモータMによって回転テーブル10がディスクDと共に回転させられると、ディスクDに圧接されているクランプ部材30も一緒に回転するが、このとき、ピボット部35が板ばね45の弾性腕部45bの下面に当たって回転摺動するが、クランプ部材30の軸部32やフランジ部34がクランプ支持部材20や対向側支持部材23に当たることはない。
【0046】
図3に示すクランプ状態では、フランジ部34がフランジ受け部24から距離δだけZ1方向へ持ち上げられているため、板ばね45の弾性腕部45bも、クランプ支持部材20に対して、相対的に非対向側(Z1側)へ持ち上げられている。よって、弾性腕部45bの先端部45cによって、抜け止め対向部41aが非対向側(Z1側)へ持ち上げられ、抜け止め部材41はクランプ支持部材20の上面からやや浮き上がっている。
【0047】
図3に示すクランプ状態では、クランプ部材30がクランプ支持部材20に距離δだけ接近することになるが、抜け止め対向部41aは、その分だけZ1方向へ移動するため、クランプ部材30の押圧部31と抜け止め対向部41aの対向側(Z2側)の下端との対向距離を保つことができ、前記対向距離が狭くなることを防止できる。よって、クランプ部材30がディスクDと共に回転しているときに、抜け止め対向部41aの下端が押圧部31に当たって異音を発生するなどのトラブルの発生を防止できる。
【0048】
また、クランプ状態では、クランプ部材30が回転テーブル10と嵌合してクランプ部材30がディスクDの面方向へ移動しないように位置決めされているため、抜け止め対向部41aが、支持凹部25の開口部25aからZ1方向へ離れていてもクランプ部材30がクランプ支持部材20から外れる心配はない。
【0049】
すなわち、抜け止め対向部41aは、図2に示す非クランプ状態のときに、支持凹部25の開口部25aおよびフランジ部34の側方に対向して、軸部32が支持凹部25から抜け出ることを十分に阻止でき、図3に示すクランプ状態では、抜け止め対向部41aの下端と押圧部31との距離を十分に保てるようになる。
【0050】
そのため、長期間使用した結果、ピボット部35が磨耗し、クランプ部材30の押圧部31が図3の位置からさらにZ1側へ移動しても、抜け止め対向部41aと押圧部31との対向距離が極端に狭まることを防止でき、回転する押圧部31と抜け止め対向部41aとの接触の発生を防止できる。
【0051】
次に、図4は本発明の第2の実施の形態のディスク装置101を示す断面図であり、図3と同じクランプ状態を示している。
【0052】
図4に示すディスク装置101は、抜け止め部材141の全体が弾性変形可能な板ばね材料で形成されており、取り付けねじ142,142によって、抜け止め部材141の基部がクランプ支持部材20の上面に完全に固定されている。抜け止め部材141の先部に抜け止め対向部141aが折り曲げられており、この抜け止め対向部141aが、開口部22を通過してクランプ支持部材20の対向側(Z2側)に延びて、フランジ部34の側方に対向している。
【0053】
また、板ばね45の先部はクランク形状に曲げられており、先端部45dが抜け止め対向部141aのZ2側の下端をZ2側から支えている。
【0054】
図4に示すクランプ状態において、フランジ部34がフランジ受け部24から距離δだけ持ち上げられると、板ばね45の先端部45dによって抜け止め対向部141aがZ1方向へ持ち上げられて、抜け止め対向部141aの下端や板ばね45の先端部45dが回転中の押圧部31に当たることを防止できる。
【0055】
また、非クランプ状態では、抜け止め対向部141aがZ2方向へ移動するため、非クランプ状態において、抜け止め対向部141aによって、軸部32が支持凹部25から抜け出ることを防止できるようになる。
【0056】
なお、抜け止め部材141は、例えば、取り付けねじ142による取付け部の周辺の一部のみが弾性変形可能な構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態の実施の形態のディスク装置の主要部を示す分解斜視図、
【図2】非クランプ状態のディスク装置を示す断面図、
【図3】クランプ状態のディスク装置を示す断面図、
【図4】第2の実施の形態のディスク装置のクランプ状態を示す断面図、
【符号の説明】
【0058】
1,101 ディスク装置
2 搬送ローラ
10 回転テーブル
11 回転軸
12 クランプ位置決め凸部
13 ディスク位置決め凸部
14 ディスク受け部
20 クランプ支持部材
21 回転支持部
23 対向側支持部材
24 フランジ受け部
25 支持凹部
25a 支持凹部の開口部
30 クランプ部材
31 押圧部
31a 押圧面
32 軸部
33 位置決め凹部
34 フランジ部
35 ピボット部
41,141 抜け止め部材
41a,141a 抜け止め対向部
D ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータで回転駆動される回転テーブルと、前記回転テーブルに対向するクランプ部材と、前記クランプ部材を回転自在に支持するクランプ支持部材とを有し、前記クランプ支持部材が前記回転テーブルに向けて移動するときに、前記回転テーブルと前記クランプ部材との間にディスクの中心部が挟持されるディスク装置において、
前記クランプ部材に、前記回転テーブルとの対向側に位置してディスクを前記回転テーブルに押圧する押圧部と、前記回転テーブルとの対向側と逆側である非対向側で前記押圧部から離れて位置するフランジ部と、前記フランジ部からさらに非対向側に突出するピボット部とが設けられ、前記クランプ支持部材に、前記押圧部と前記フランジ部との間に位置するフランジ受け部と、前記ピボット部を前記回転テーブルとの対向側へ向けて押圧する弾性押圧部材と、抜け止め部材とが設けられており、
前記クランプ部材が前記回転テーブルから離れる非クランプ状態で、前記弾性押圧部材の押圧力によって前記フランジ部が前記フランジ受け部に押し付けられるとともに、前記抜け止め部材が前記フランジ部の側方に対向して前記フランジ部が前記フランジ受け部から外れることが防止され、
前記回転テーブルと前記クランプ部材との間にディスクが挟まれたクランプ状態では、前記クランプ支持部材が前記回転テーブルに向けて移動し且つ前記クランプ部材の押圧部がディスクに当たって、前記フランジ部が前記フランジ受け部から前記回転テーブルとの非対向側へ離れるとともに、前記クランプ部材と共に前記回転テーブルとの非対向側へ移動する前記弾性押圧部材によって、前記抜け止め部材が前記回転テーブルとの非対向側へ移動させられることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記クランプ部材には、前記押圧部と前記フランジ部との間に軸部が設けられ、前記フランジ受け部に、前記軸部が入り込む凹部が形成されており、前記非クランプ状態で、前記抜け止め部材が前記凹部の開口部に対向する請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記クランプ状態で、前記回転テーブルと前記クランプ部材が、回転軸が一致するように嵌合し、前記軸部が前記凹部の縁部に当たらない状態で、ディスクと共に前記クランプ部材が回転する請求項2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記弾性押圧部材は、少なくとも一部が板ばね材料で形成されており、前記クランプ部材がディスクと共に回転するときに、前記ピボット部が前記弾性押圧部材に当接して回転する請求項1ないし3のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項5】
前記抜け止め部材は、前記回転テーブルとの対向側へ動くことができるように前記クランプ支持部材に支持されている請求項1ないし4のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項6】
前記抜け止め部材は少なくとも一部が弾性変形部であり、前記クランプ状態では、前記弾性押圧部材によって前記弾性変形部が前記回転テーブルとの非対向側に向けて変形させられる請求項1ないし4のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項7】
前記弾性押圧部材と前記抜け止め部材とが連結されている請求項1ないし6のいずれかに記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−118088(P2010−118088A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288387(P2008−288387)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】