説明

ディスク装置

【課題】 ディスクが筐体の内部に装着されているときに、検知スイッチによって電力を無駄に消費してしまうことを防止できる「ディスク装置」を提供することを目的とする。
【解決手段】 ディスクの挿入を検知する第1の検知スイッチS1とディスクが回転駆動部に保持された状態を検知する第2の検知スイッチS2とを、直列に接続する。第2の検知スイッチS2は、ディスクが回転駆動部に保持されたときに閉状態から開状態に切り替わるようにしておく。ディスクが回転駆動部に保持されているとき第2の検知スイッチS2が開状態であるため、第1の検知回路部70と第2の検知回路部80の双方に電流が流れず、検知電圧(a)(b)がともに高電位(H)になる。よって、ディスクが回転駆動部に保持されているときに、第1の検知回路部70と第2の検知回路部80での電流消費を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接点開閉式の検知スイッチを使用して、ディスクが挿入口から挿入されたことを検知する検知動作と、ディスクが回転駆動部に保持されたことを検知する検知動作とが行われるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体に開口したスリット状の挿入口からディスクが挿入されるいわゆるスロットイン方式のディスク装置は、筐体の内部の複数箇所に検知手段が設けられている。この検知手段によって、挿入口からディスクが挿入されたことの検知や、挿入されたディスクの大きさまたは形状の検知、さらにはディスクが筐体内の所定の位置までに装填されたことの検知が行われる。
【0003】
以下の特許文献1と特許文献2に記載されたディスク装置は、筐体の内部に、複数の光学式の検知手段が設けられている。光学式の検知手段は、発光部と検知部とが対向して設けられており、ディスクが発光部から発せられる光を遮断するか否かを監視することで、所定の形状のディスクが検知手段を通過したか否かの検知が行なわれる。
【0004】
また、特許文献2に記載されたディスク装置は、光学式の検知手段の他に、挿入口の内側に接点開閉式のスイッチが設けられて、所定の大きさのディスクが挿入されると前記スイッチがONに切り替わる。さらに、筐体の内部に他の接点開閉式のスイッチが設けられて、所定の大きさのディスクが回転駆動部にクランプ可能な位置まで搬入されると、前記スイッチがONに切り替わる。
【特許文献1】特開2005−251329号公報
【特許文献2】特開2000−149367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のディスク装置において、光学式の検知手段でディスクを検知するものでは、ディスクと検知手段とが非接触で検知できる利点があるが、ディスク装置が動作中に、発光部から連続的にまたは間欠的に光を発し続けることが必要であるため、消費電力が多くなる欠点がある。特に、ディスクの挿入を待機しているときに、発光部で発光を継続してディスクが挿入口から挿入されるのを監視することが必要であるため消費電力が多くなる。
【0006】
特許文献2に記載されたディスク装置は、ディスクが挿入口から挿入されたこと、およびディスクがクランプ可能な位置に至ったことが、接点開閉式のスイッチで検知されるため、光学式の検知手段のみを使用したものに比べて消費電力が少ない利点がある。しかし、ディスクがクランプされている間は、ディスクがクランプ可能な位置にあることを検知しているスイッチの接点がON状態(閉状態)を継続するために、次の問題が生じる。
【0007】
すなわち、ディスクが筐体の内部でクランプされている状態で、メインスイッチが切られると、通常はディスク装置が動作を停止し、光学検知手段の検知部の発光を停止させる。しかし、メインスイッチが切られても通常はスリープモードとなり機構制御部には電力が与えられている。ディスクが装填されている間は、ディスクがクランプ可能であることを検知しているスイッチがON状態(閉状態)であるため、このスイッチを有する回路部に電流が流れ続ける。そのため、ディスク装置の動作が停止中でありながら電力を消費し続け、例えば車載用の場合には車両用バッテリーの電力を必要以上に消費してしまう欠点がある。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、ディスクが挿入されたことの検知と、ディスクが回転駆動部に保持される位置へ装填されたことの検知とが、接点開閉式のスイッチで行われるものにおいて、ディスクが装填されたまま動作を停止しているときに、消費電力を低減できるディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ディスクを挿入する挿入口と、前記挿入口よりも装置奥側に設けられてディスクを搬送する搬送機構と、前記搬送機構で搬送されたディスクを保持する回転駆動部と、を有するディスク装置において、
前記挿入口から挿入されたディスクの挿入方向への移動力によって開状態から閉状態へ切り替えられる接点開閉式の第1の検知スイッチと、ディスクが前記回転駆動部に保持される位置に至ったときまたは保持されたときに閉状態から開状態に切り替えられる接点回転式の第2の検知スイッチと、前記第1の検知スイッチが閉状態のときに電流が流れる第1の検知回路部および前記第2の検知スイッチが閉状態のときに電流が流れる第2の検知回路部と、前記第1の検知回路部および前記第2の検知回路部の電流の変化を監視する機構制御部とが設けられており、
前記第2の検知スイッチが閉状態から開状態に切り替えられたときに、前記第1の検知回路部および前記第2の検知回路部の双方への通電が遮断されることを特徴とするものである。
【0010】
本発明は、前記第1の検知回路部は、直列に接続された前記第1の検知スイッチと前記第2の検知スイッチの双方が閉状態のときに電流が流れ、前記第2の検知回路部は、前記第2の検知スイッチが閉状態のときに電流が流れるものとして構成できる。
【0011】
例えば、本発明は、前記第1の検知回路部の接地側と前記第2の検知回路部の接地側とが前記第1の検知スイッチを介して接続され、前記第2の検知回路部が前記第2の検知スイッチを介して接地されているものである。
【0012】
本発明は、ディスクが前記回転駆動部に装着されているときに、前記第1の検知回路部と前記第2の検知回路部の双方に電流が流れることがなく、前記第1の検知回路部と前記第2の検知回路部とで電力が消費されない。
【0013】
本発明は、ディスクが前記回転駆動部に装着されている状態でディスク装置の動作を停止させているときに、前記第1の検知回路部と前記第2の検知回路部の双方に電流が流れていないことで、ディスクが装着中であることを認識できる。
【0014】
本発明は、ディスクによって光路が遮られることで検知状態となる光学検知部材が設けられており、前記第1の検知スイッチが閉状態に切り替わったときに、前記機構制御部の制御動作によって前記光学検知部材への通電が開始されるものである。
【0015】
また、本発明は、ディスクが前記回転駆動部に装着されている状態でディスク装置の動作を停止させているときに、前記光学検知部材への通電を停止するとともに、前記第1の検知回路部と前記第2の検知回路部の双方に電流が流れていないことで、ディスクが装着中であることを認識でき、且つ前記第1の検知回路部と前記第2の検知回路部とで電力が消費されない。
【発明の効果】
【0016】
本発明のディスク装置は、第1の検知スイッチが閉状態となったときに挿入口からディスクが挿入されたと判断されて、機構制御部からディスク装置の各部に通電され、例えば光学検知部材に通電されて発光部から光が発せられてディスクの検知が開始されるとともに、第2の検知スイッチに通電されて、ディスクが回転駆動部に保持可能な位置に至ったか否か、あるいは回転駆動部に保持されるに至ったか否かが監視される。第1の検知スイッチが閉状態に切り替わるまでディスク装置に通電されないため、ディスクの挿入を待機しているときに、光学検知部材や第2の検知スイッチでの電力の消費を少なくできる。
【0017】
ディスクが回転駆動部に装填されているときは、第2の検知スイッチが閉状態から開状態に切り替えられるため、第1の検知回路部と第2の検知回路部の双方に電流が流れなくなり、第1の検知回路部と第2の検知回路部の双方での電力の無駄な消費を削減できる。
【0018】
また、ディスクが回転駆動部に保持されている状態で、メインスイッチ(自動車の場合はアクセサリースイッチ)が切られたときに、第1の検知回路部と第2の検知回路部に電流が流れないことで無駄な電力を消費することがない。しかもその後にメインスイッチが入れられてディスク装置の動作を再開したときに、第1の検知回路部と第2の検知回路部の双方を監視することで、ディスクが筐体内に装填されている状態であることを正確に認識でき、動作の再開後に正常な動作制御が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の形態のディスク装置の全体構造を示す斜視図、図2は図1の右側面図である。図2においては、右側方スライダ30aの図示を省略している。図3ないし図6はディスク装置の動作状態を順に示す平面図である。図においては、X1側が右方向、X2側が左方向、Y1側が前方、Y2側が後方、Z1側が上方、Z2側が下方である。図7は検知スイッチと検知回路部を示す回路図、図8は検知動作を説明するタイムチャート図である。
【0020】
ディスク装置は、DVD(デジタルバーサタイルディスク)やCD(コンパクトディスク)などの直径が12cmの真円形のディスクDが正規のディスクとして装填可能であり、正規のディスク以外のもので、例えば、直径が8cmのディスクや、外周の形状が楕円形やその他の形状の異形ディスクや、四角形のカードCなどが挿入されたときは、これらを異物として排出する。
【0021】
図3ないし図6に示すように、ディスク装置は、金属板から形成された筐体1を有している。車載用のディスク装置の場合、筐体1の大きさは、例えば1DINサイズまたは1/2DINサイズであり、筐体1は自動車の車室内のインストルメントパネルに埋設して設置される。
【0022】
図3ないし図6に示すように、筐体1は、Y1側に向く前面板2と、Y2側に向く後面板3と、X1側とX2側に向く側面板4,5を有している。また、筐体1は天井板と底板を有している。前面板2には、左右方向(X1−X2方向)に向けて細長い挿入口(図示せず)が開口している。筐体1の前面板2の前方に、合成樹脂で形成された化粧ノーズが取り付けられており、この化粧ノーズの前面に各種操作部材や表示装置が設けられている。化粧ノーズには、挿入口に連通するノーズ部挿入口が開口しており、このノーズ部挿入口と前面板2に形成された挿入口を経て、ディスクDが筐体1の内部に向けて挿入される。
【0023】
筐体1の内部に、図1に示す機構ユニット10が収納されている。機構ユニット10は底部側にドライブベース11を有し、上部側にクランプベース12を有している。ドライブベース11とクランプベース12は共に金属板を折り曲げて形成されている。ドライブベース11には、Y2側においてX1方向とX2方向へ延びる連結軸13が設けられており、クランプベース12のY2側の端部が、連結軸13に回動自在に支持されている。
【0024】
図1と図2および図3ないし図6に示すように、筐体1の内部には、ドライブベース11を弾性的に支持する複数のダンパー15a,15b,15cが設けられている。これらダンパー15a,15b,15cは、弾性体の袋の内部にオイルが封入されて構成されている。ダンパー15a,15b,15cは、筐体1の内面に固定されており、ドライブベース11に固定された支持軸がそれぞれのダンパー15a,15b,15cに支持されている。機構ユニット10にディスクDが装填された後は、ドライブベース11が、ダンパー15a,15b,15cに弾性支持された状態で、ディスクDが回転駆動される。
【0025】
図2に示すように、ドライブベース11のY1側には、回転駆動部20が設けられている。回転駆動部20は、ドライブベース11の上に固定されたスピンドルモータと、スピンドルモータの回転軸に固定された合成樹脂製のターンテーブル23を有している。
【0026】
図1に示すように、ドライブベース11には光ヘッド25が搭載されている。光ヘッド25は、ドライブベース11に設けられたガイド機構によって移動自在に支持されているとともに、光ヘッド25を前記ガイド機構に沿って往復移動させるスレッド機構が設けられている。光ヘッド25は、スレッド機構によって、ターンテーブル23にクランプされたディスクDの記録面に沿って、ディスクDの半径方向に向けて移動させられる。
【0027】
図1に示すように、クランプベース12のY1側の端部には、合成樹脂製のクランパ27が回動自在に支持されているとともに、クランパ27の回転軸を下方(Z2方向)へ押圧する板ばね26が設けられている。
【0028】
図1と図2に示すように、ドライブベース11のY2側の端部にはX1方向へ突出する突出片12aが一体に形成され、この突出片12aに、トーションコイルばね17が取り付けられている。トーションコイルばね17の一方の腕部は、ドライブベース11に掛けられ、他方の腕部がクランプベース12に掛けられて、クランプベース12は、連結軸13を支点として、反時計方向へ常に付勢されている。すなわち、クランプベース12は、クランパ27がターンテーブル23に押圧されるように常に回動付勢されている。
【0029】
図2に示すように、クランプベース12のY1側の端部には、X1方向へ突出する持ち上げ軸18が固定されている。この持ち上げ軸18に上方(Z1方向)への力を与えると、クランプベース12はトーションコイルばね17の付勢力に対抗して時計方向へ回動させられ、クランパ27がターンテーブル23から離れる。
【0030】
図1や図3などに示すように、クランプベース12の左右の側方には、下方に向けて突出する一対のストッパ部材16a,16bが設けられている。ストッパ部材は、金属製のピンであり、筐体1の内部に搬入されたディスクDの外周縁が、ストッパ部材16a,16aに当たったときに、ディスクDはその中心がターンテーブル23の中心に一致するように位置決めされる。
【0031】
図1および図3などに示すように、ドライブベース11には、X1側に右側方スライダ30aが設けられ、X2側に左側方スライダ30bが設けられている。図1に示すように、右側方スライダ30aには前後方向(Y1−Y2方向)に延びる案内長穴31が開口し、ドライブベース11に案内軸19が固定されている。案内長穴31と案内軸19は、ひとつの右側方スライダ30aに複数組設けられているが、図1では1組のみ図示している。案内長穴31が案内軸19を摺動することで、右側方スライダ30aがY1−Y2方向へ往復移動可能である。同様に、左側方スライダ30bも、ドライブベース11のX2側の側部において前後方向へ往復移動可能に支持されている。
【0032】
ドライブベース11の左後方にモータMが設けられており、このモータMの動力によって左側方スライダ30bが前後方向へ駆動される。図4に示すように、機構ユニット10の底面側でY1側には、リンクスライダ46がX1−X2方向に移動自在に設けられている。図4と図6に示すように、リンクスライダ46と右側方スライダ30aとの間には、反転レバー47が設けられている。反転レバー47は、支持軸47aを中心に回動自在に支持されている。反転レバー47の一方の腕部に設けられた連結軸47bが、リンクスライダ46に連結され、他方の腕部に設けられた伝達軸47cが右側方スライダ30aに連結されている。
【0033】
左側方スライダ30bがモータMの動力によってY1−Y2方向に移動させられると、その移動力が、リンクスライダ46と反転レバー47を含むリンク機構を介して右側方スライダ30aに伝達され、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bとが同期してY1−Y2方向に移動させられる。図1と図2に示す待機状態では、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bが、共に後方(Y2方向)へ移動させられている。
【0034】
図3ないし図6に示すように、機構ユニット10のY2側には、トリガー部材14が設けられている。トリガー部材14は、ドライブベース11上に回動自在に支持されているアーム14Bとこのアーム14Bに固定されて、搬入されるディスクDの外周縁に対向する検知ピン14Aとを有している。
【0035】
搬入される直径が12cmの正規のディスクDが図5に示す位置まで移動すると、このディスクDの外周縁で検知ピン14Aが押されてアーム14Bが反時計方向へ回動する。このとき、アーム14Bの回動力によって歯車が噛み合い動力伝達機構の伝達経路が成立する。この動力伝達機構の伝達経路の成立により、モータMの動力が、左側方スライダ30bにY1方向への直線移動力として伝達され、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bが同期してY1方向へ移動させられる。
【0036】
以下では、主に右側方スライダ30aについて説明する。右側方スライダ30aと左側方スライダ30bは同じ機能を発揮するものであり、左側方スライダ30bの形状および構造は、右側方スライダ30aと同等である。
【0037】
図1に示すように、右側方スライダ30aにはクランプ制御カム部32が設けられている。クランプ制御カム部32は、前方(Y1方向)に向かうにしたがって上方(Z1方向)へ向けられるカム長穴32aと、このカム長穴32aとY2側で連続する大きな直径の逃げ穴部32bを有している。クランプベース12に設けられた持ち上げ軸18は、カム長穴32aと逃げ穴部32bの内部を移動できるように挿入されている。
【0038】
図1に示す待機状態では、右側方スライダ30aが後方(Y2方向)へ移動しているため、カム長穴32aによって持ち上げ軸18がZ1方向へ持ち上げられている。このとき、クランプベース12が時計方向へ回動させられ、クランパ27がターンテーブル23から上方へ離れたクランプ解除状態に設定されている。正常なディスクDの中心穴がターンテーブル23の上に移動して、モータMが始動して、右側方スライダ30aが前方(Y1方向)へ移動させられると、持ち上げ軸18が、逃げ穴部32b内に移動する。このとき、クランプベース12がトーションコイルばね17の弾性力によって反時計方向へ回動し、クランパ27によってディスクDの中心部がターンテーブル23に押し付けられ、ディスクDがターンテーブル23にクランプされる。
【0039】
図1に示すように、右側方スライダ30aにはロックカム部33が設けられている。このロックカム部33は、前後方向に延びるロック長穴33aと、ロック長穴33aのY2側に連続する大きな直径の逃げ穴部33bとを有している。
【0040】
図1に示す待機状態で、右側方スライダ30aがY2方向へ移動していると、筐体1の左右の側面板4,5の内面に固定された拘束軸(図示せず)が、ロック長穴33a内に保持される。このとき、機構ユニット10は、筐体1の内側において動くことなく保持され、挿入口から搬入されたディスクDが、ターンテーブル23と、ターンテーブル23から離れているクランパ27との間の隙間内に移動しやすくなる。右側方スライダ30aがY1方向へ移動すると、クランパ27が下降してディスクDの中心部がクランプされるとともに、ロック長穴33aが前記拘束軸から外れ、拘束軸が逃げ穴部33bに移動する。このとき、機構ユニット10は筐体1内で拘束されず、ダンパー15a,15b,15cによって弾性支持される。ターンテーブル23にクランプされたディスクDが回転駆動される間に、外部振動がダンパー15a,15b,15cの振動として吸収されやすくなり、機構ユニット10に直接に影響を及ぼすことが防止される。
【0041】
図1と図2に示すように、挿入口と回転駆動部との間に搬送機構40が設けられている。
【0042】
搬送機構40は、搬送ローラ41と、搬送ローラ41のZ1側に対向する固定案内部43とを有している。
【0043】
固定案内部43は、摩擦係数の小さい合成樹脂材料で形成されて、筐体1の天井板の下面に動かないように固定されている。図2に示すように、固定案内部43は、その下面43aがY1−Y2方向へ水平に延びる案内面となっている。
【0044】
搬送ローラ41は、合成ゴムなどの摩擦係数の大きな材料で円筒状に形成されており、金属製のローラ軸42の外周に装着されている。ローラ軸42の右端部と左端部はローラブラケット44に支持されている。
【0045】
ローラブラケット44は金属板で形成されている。図1と図2に示すように、ローラブラケット44は、X1側に形成された右側支持部44aおよびこの右側支持部44aのY1側の先部から上方へ延びる右側先部44bと、X2側に形成されている左側支持部44cおよびこの左側支持部44cのY1側の先部から上方へ延びる左側先部44dとを有している。
【0046】
右側先部44bに支持穴44eが開口し、左側先部44dに支持穴44fが開口している。支持穴44eと支持穴44fは、X1−X2軸と平行な軸線上に位置している。筐体1の左右の側面板4,5のそれぞれの内面には短い一対の支持軸45,45が固定されており、支持穴44e,44fがそれぞれの支持軸45,45に支持され、ローラブラケット44は、支持軸45,45を回動支点として回動自在に支持されている。ローラブラケット44と筐体の底板との間に引っ張りコイルばね(図示せず)が掛けられており、ローラブラケット44は常に図2における反時計方向へ付勢されている。
【0047】
図2に示すように、ローラブラケット44の右側支持部44aのY2側の端部に保持穴44gが形成され、左側支持部44cのY2側の端部にも同様に保持穴44gが開口している。ローラ軸42の左右両端部は、それぞれ保持穴44g,44g内に挿入されている。図1に示す待機状態では、図示しない引っ張りコイルばねの弾性力でローラブラケット44が反時計方向へ付勢されており、この付勢力によって、ローラ軸42が固定案内部43に押し付けられている。
【0048】
図3ないし図6に示すように、ローラ軸42のX2側の端部にピニオン歯車48が固定され、筐体1の左側(X2側)の側面板5の内側には、図示しない搬送モータからの回転動力が与えられる駆動歯車49が設けられている。図1と図2に示すディスクDの挿入待機状態から、図5に示すようにディスクDが所定の装填完了位置まで搬入されるまでの間は、ローラブラケット44が反時計方向へ回動しているため、ピニオン歯車48は駆動歯車49と噛み合っている。この間、前記搬送モータの回転力が駆動歯車49からピニオン歯車48に伝達されて、ローラ軸42がディスクDを搬入する方向へ連続回転する。
【0049】
図2に示すように、ローラブラケット44には、右側支持部44aの上縁と左側支持部44cの上縁とをつなぐ対向案内部44hが設けられている。すなわち、右側支持部44aは対向案内部44hのX1側で下向きに直角に折り曲げて形成され、左側支持部44cは対向案内部44hのX2側で下向きに直角に折り曲げられて形成されている。
【0050】
対向案内部44hの上面の案内面44iは平坦面である。図2に示す待機状態では、案内面44iが、後方(Y2方向)に向かうにしたがって上方(Z1方向)へ持ち上がるように傾斜している。
【0051】
搬送機構40と、挿入口を有する前面板2との間には、可動案内部50が設けられている。可動案内部50は、固定案内部43と同じ低摩擦係数の合成樹脂材料で形成されており、その下面は平滑な案内面51である。案内面51は、ローラブラケット44に設けられた対向案内部44hの案内面44iに上方から対向している。
【0052】
可動案内部50の先部(Y1側)には、X1方向とX2方向へ突出する短い支持軸52,52が一体に形成されている。それぞれの支持軸52,52は、筐体の両側面板に設けられた軸受部に回動自在に支持されている。可動案内部50はその自重と図示しないばね部材の付勢力によって、支持軸52,52を中心として時計方向へ回動付勢されている。可動案内部50の上面には、支持軸52,52よりもY1側にストッパ部53が形成されている。可動案内部50は、ストッパ部53が筐体1の天井板の下面に当たったときに、それ以上は時計方向へ回動しない回動限界となる。可動案内部50は、図2に示すように傾斜しているときに、挿入口から挿入されたディスクDが案内面51に当たりやすくなっている。
【0053】
図2に示す待機状態では、可動案内部50の下面の案内面51と対向案内部44hの案内面44iとの対向間隔が、挿入口側で広く、搬送ローラ41に向かうにしたがって徐々に狭くなっている。
【0054】
図1に示すように、固定案内部43の前端(Y1側の端部)には、X1−X2方向のほぼ中心部分に、内部に機械的な開閉接点を有する第1の検知スイッチS1が固定され、第1の検知スイッチS1のアクチュエータSaがY1方向へ突出している。また、可動案内部50のY2側の端部には、その上面に凹部54が形成されている。可動案内部50がばね部材の付勢力に対向して反時計方向へ回動させられると、凹部54の底面によってアクチュエータSaが押され第1の検知スイッチS1の出力が、接点の開状態であるOFFから接点が閉状態となるONに切り替えられる。
【0055】
可動案内部50の後端部(Y2側の端部)には、X1方向とX2方向へ突出する持ち上げ突部55,55が一体に形成されている。
【0056】
図1に示すように、右側方スライダ30aのY1側には、ローラ制御カム部34が設けられている。ローラ制御カム部34は、上側に形成された上側案内部34aと、それよりもY2側で且つ下側に形成された下側拘束部34bと、上側案内部34aと下側拘束部34bとに連続する傾斜案内穴34cとを有している。ローラ軸42のX1側の端部は、ローラ制御カム部34に摺動自在に挿入されている。
【0057】
右側方スライダ30aのY1側の端部には、案内制御カム部35が形成されている。案内制御カム部35は、Y1側の持ち上げ案内部35aとY2側に延びる保持案内部35bとを有している。持ち上げ案内部35aは、後方(Y2方向)へ向かうにしたがって徐々に上向きになる傾斜面であり、保持案内部35bは、Y1−Y2方向へ延びる水平な平面である。可動案内部50に設けられた持ち上げ突部55の姿勢は、案内制御カム部35によって制御される。
【0058】
図1に示す待機状態では、右側方スライダ30aがY2方向へ移動しているため、ローラ軸42の右端部は、ローラ制御カム部34の上側案内部34a内に位置している。上側案内部34aの上下の開口幅はローラ軸42の直径よりも広くなっており、図2に示すように、図示しない引っ張りコイルばねによって反時計方向へ回動させられているローラブラケット44の付勢力で、ローラ軸42が固定案内部43に向けて押圧されている。
【0059】
また、図1に示す待機状態では、右側方スライダ30aのY1側の端部に設けられた持ち上げ案内部35aが、持ち上げ突部55からY2方向へ離れており、可動案内部50が時計方向へ回動させられている。
【0060】
直径が12cmで真円形の正規のディスクDが搬入され、ディスクDが正常なクランプ可能位置に至ると、モータMが始動し、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bが同期してY1方向へ移動する。前述のように、右側方スライダ30aがY1方向へ移動すると、クランプ動作が行われ、且つ機構ユニット10の拘束が解除される。
【0061】
さらに、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bがY1方向へ移動すると、ローラ軸42の右端部が、ローラ制御カム部34の傾斜案内穴34cによって下向きに案内されて、下側拘束部34bで保持される。よって、ローラブラケット44が時計方向へ回動させられ、搬送ローラ41が固定案内部43およびディスクDから離れる位置へ移動するとともに、対向案内部44hも可動案内部50から下側へ離れる方向へ移動する。さらに、可動案内部50に設けられた持ち上げ突部55が、右側方スライダ30aの持ち上げ案内部35aにより持ち上げられて、保持案内部35bを摺動する。このとき、可動案内部50がほぼ水平な案内姿勢となる。
【0062】
図3に示すように、筐体1の天井板の下面に回路基板90が設けられ、回路基板90の下面には光学検知部材71A,71Bが設けられている。
【0063】
光学検知部材71A,71Bはそれぞれ、検知光を発する発光素子と、検知光を受光する受光素子とが組み合わされて構成されている。ローラブラケット44の案内面44iと可動案内部50との間のディスク搬入経路を挟んで上側に発光素子が、下側に受光素子が配置され、発光素子と受光素子とがZ方向に間隔を空けて対向している。可動案内部50には、それぞれの光学検知部材71A,71Bが対応する位置に検知穴が形成されており、発光素子からの検知光は検知穴を通って下方に発せられ、受光素子で受光される。ディスクDが、受光素子で受光する光を遮っていないとき、光学検知部材71A,71Bから、非検知出力であるHレベルの出力信号が出力される。ディスクDが光を遮ると受光素子が受光できなくなり、光学検知部材71A,71Bからは、検知出力であるLレベルの出力信号が出力される。
【0064】
図3に示すように、光学検知部材71A,71Bは共に、搬送ローラ41と挿入口を有する前面板2との間に配置されており、第1の光学検知部材である光学検知部材71Bが、第2の光学検知部材である光学検知部材71Aよりも前面板2に近い側に配置されている。
【0065】
図3に示すように、ターンテーブル23の回転中心を通ってY1−Y2方向に延びる線を搬送中心線Oa−Oaとしたときに、光学検知部材71A,71Bは、共に搬送中心線Oa−Oaよりも左側(X2側)に離れて配置されている。そして、直径が12cmの正規のディスクDがY2方向へ搬入される間、ディスクDの中心穴Daおよびその周辺のリング状の透明部が、光学検知部材71A,71Bを通過しないようになっている。
【0066】
図3に示すように、光学検知部材71A,71Bは、ターンテーブル23の回転中心から共に同じ距離r0離れた位置に配置されている。しかも、図6に示すように、正規のディスクDがターンテーブル23にクランプされたときに、光学検知部材71A,71Bが共に、ディスクDの外周縁のすぐ内側に位置し、且つディスクDの外周縁に通常形成されているリング状の透明部に重ならないように、透明部のすぐ内側に配置されている。
【0067】
そのため、挿入口から正規のディスクDが挿入されて、光学検知部材71A,71Bの双方が検知状態であるLレベルとなった後に、このディスクDが正常に搬入されて、図6に示すように、ディスクDの中心がターンテーブル23の回転中心と一致する正常な装填完了位置に位置決めされるまでの間、光学検知部材71A,71Bは、共にLレベルを継続する。
【0068】
図6に示すように、筐体の底板の上面には回路基板が設けられ、その回路基板のX1側に、内部に機械的な開閉接点を有する第2の検知スイッチS2が設けられている。第2の検知スイッチS2のアクチュエータSbがX1方向に突出している。
【0069】
左側方スライダ30bの移動力を右側方スライダ30aに伝達するための反転レバー47の下面には、接触部(図示せず)が設けられている。反転レバー47が、支持軸47aを中心に時計方向に回動して、右側方スライダ30aが最もY1方向へ移動したときに、前記接触部が第2の検知スイッチS2のアクチュエータSbに接触し、第2の検知スイッチS2の出力が閉状態であるONから開状態であるOFFに切り替えられる。第2の検知スイッチS2がOFFとなることで、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bが最もY1方向へ移動したことが検知される。図7に示す機構制御部61は、第2の検知スイッチS2がOFFとなったことで、ターンテーブル23とクランパ27とで、ディスクDの中心穴Daのクランプが完了され、回転駆動部20にディスクDが保持されたことが認識される。
【0070】
なお、第2の検知スイッチとして、ディスクDがY2方向へ搬送されてその中心穴Daがターンテーブル23と一致した時点でONからOFFに切り替わり、その後に、ディスクDがターンテーブル23にクランプされている間、OFFの状態を継続するスイッチを使用してもよい。
【0071】
図7に示すように、第1の検知回路部70は、直列に接続された抵抗72とダイオード73を有しており、ダイオード73の順方向は接地方向である。第1の検知回路部70の電流の変化は、抵抗72とダイオード73との間の第1の検出ライン74で検知され、その検知電圧(a)が機構制御部61に与えられる。第2の検知回路部80は、直列に接続された抵抗82とダイオード83を有しており、ダイオード83の順方向は接地方向である。第2の検知回路部82の電流の変化は、抵抗82とダイオード83との間の第2の検出ライン84で検知され、その検知電圧(b)が機構制御部61に与えられる。
【0072】
前記第1の検知スイッチS1は、第1の検知回路部70のダイオード73の接地側と、第2の検知回路部80のダイオード83の接地側との間を接続している。また、前記第2の検知スイッチS2は、第2の検知回路部80のダイオード83の接地側と接地電位との間に設けられている。
【0073】
機構制御部61は、第1の検知スイッチS1と第2の検知スイッチS2の状態と、さらには光学検知部材71A,71Bの検知状態を監視しながら、モータMなどの切り替え機構の動作制御や光ヘッドのスレット動作の制御などを行う。また、主制御部62はディスク装置のみならず、その他の再生装置や各種操作部や表示装置などの全体を制御するものであり、自動車の場合、さらに他の車載用機器の制御や自動車のコントロール制御、各種操作入力の検出などを行う。
【0074】
第1の検知スイッチS1と第2の検知スイッチS2は直列に接続されて、メイン検知ライン66を介して主制御部62に接続されている。第1の検知スイッチS1と第2の検知スイッチS2が共にON(閉状態)となったときの、メイン検知ライン66の検知電圧(c)の変化は主制御部62で検知される。
【0075】
Vccは主電源であり、自動車の場合は、自動車用バッテリーである。主電源Vccの電力は、切り替え部63を介して第1の検知回路部70および第2の検知回路部80に与えられる。また、主電源Vccの電力は、切り替え部64を介して機構制御部61に与えられ、さらに光学検知部材71A,71BやモータMを駆動するモータドライバなどに与えられる。切り替え部63と64は、主制御部62によって切り替え制御される。またメインスイッチSa例えば自動車のアクセサリースイッチの切り替え動作は主制御部62で検出される。
【0076】
次に、ディスク装置におけるディスクDの検知動作およびディスクDの挿入・排出を説明する。
【0077】
(ディスク挿入待機状態)
図1と図2に示すように、ディスクDが挿入される前のディスク挿入待機状態では、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bの双方がY2方向へ移動している。右側方スライダ30aに設けられたクランプ制御カム部32のカム長穴32aによって持ち上げ軸18が持ち上げられ、クランプベース12が時計方向へ回動させられて、クランパ27がターンテーブル23から上方へ離れている。
【0078】
また、ローラ軸42の右端部が、右側方スライダ30aに形成されたローラ制御カム部34の上側案内部34aに案内され、引っ張りコイルばねからローラブラケット44に作用する弾性力により、搬送ローラ41が固定案内部43に向けて付勢されている。また、右側方スライダ30aのY1側の端部の持ち上げ案内部35aが持ち上げ突部55から離れており、可動案内部50が時計方向へ回動して下向きに傾斜している。
【0079】
待機状態では、右側方スライダ30aがY2方向へ移動しているため、図6に示す反転レバー47が反時計方向へ回動しており、第2の検知スイッチS2がON(閉状態)である。また、可動案内部50が下向きに回動し、可動案内部50の凹部54の底部がアクチュエータSaから離れているため、第1の検知スイッチS1はOFF(開状態)である。
【0080】
図7に示すように、自動車のアクセサリースイッチなどのメインスイッチSaがONであっても、第1の検知スイッチS1がOFFであるため、メイン検知ライン66に電流が流れず、メイン検出ライン66の検知電圧(c)が高電位である。図8に示すように、主制御部62は、メイン検出ライン66の検知電圧(c)が高電位(H)であることを検知して、ディスクの挿入を待機している状態であると認識している。このとき、主制御部62によって切り替え部63と切り替え部64が共にOFFに切り替えられ、主電源Vccからの電力が、第1の検知回路部70と第2の検知回路部80に与えられず、さらに機構制御部61にも与えられない。
【0081】
機構制御部61に通電されないため、モータMや搬送モータに通電されない。また、光学検知部材71A,71Bの発光素子にも通電されず発光素子から検知光が発せられていない。よって、ディスクの挿入を待機しているときの消費電流を低減できる。
【0082】
(搬入動作)
図1と図2に示す待機状態で、挿入口からディスクDがY2方向へ挿入されると、ディスクDのY2側に向く周縁部が、可動案内部50の案内面51と、その下に対向する対向案内部44hの案内面44iとの間に導かれる。待機状態では、可動案内部50の案内面51と対向案内部44hの案内面44iとの間隔がY2側に向かうにしたがって徐々に狭くなっている。ディスクDが、図3の(i)に示す位置または(ii)に示す位置まで挿入されると、ディスクDの上面によって可動案内部50が持ち上げられ、可動案内部50の凹部54の底部によってアクチュエータSaが持ち上げられて、第1の検知スイッチS1の出力がOFF(開状態)からON(閉状態)に切り替えられる。
【0083】
図7に示すように、このとき第1の検知スイッチS1と第2の検知スイッチS2が共にON(閉状態)になるため、メインスイッチSaがONであると、メイン検知ライン66の検知電圧(c)が接地電位の低電位(L)になる。主制御部62は、検知電圧(c)が低電位(L)になったときに、切り替え部63と切り替え部64をONに切り替え、第1の検知回路部70および第2の検知回路部80に主電源Vccから電力が供給されるとともに、機構制御部61にも電力が供給される。
【0084】
第1の検知スイッチS1と第2の検知スイッチS2が共にON(閉状態)であるため、切り替え部63がONに切り替えられた瞬間に、第1の検知回路部70に電流I1が流れ、第2の検知回路部80に電流I2が流れる。よって、検知ライン74の検知電圧(a)と検知ライン84の検知電圧(b)が共に低電位(L)になる。
【0085】
図8の時刻(I)は、ディスクDが挿入口から挿入され、第1の検知スイッチS1がONになったときの各検知ラインの検知電圧の変化を示している。前記のように、時刻(I)では、検知電圧(c)が高電位(H)から低電位(L)になり、検知電圧(a)(b)は、ともに低電位(L)となる。
【0086】
検知電圧(c)が低電位になると時刻(I)において、機構制御部61が光学検知部材71A,71Bの発光素子へ通電を開始する。それ以後は、光学検知部材71A,71Bの発光素子に連続的に通電され、または間欠するパルス状の電流が与えられて検知光が発せられる。
【0087】
ディスクDが図3に示す(ii)の位置まで挿入されると、ディスクDによって光学検知部材71Bの検知光が遮られる。その検知出力が機構制御部61に与えられると、搬送モータが始動させられ、ローラ軸42がディスク搬入方向へ回転させられる。ディスクDは、搬送ローラ41の回転力によって、搬送ローラ41と固定案内部43との間に導かれ、ディスクDが搬送ローラ41と固定案内部43の下面43aとで挟持され、搬送ローラ41の回転力によって筐体1の内方へ向けて搬入される。
【0088】
挿入されたのが直径が12cmの正常なディスクDの場合は、光学検知部材71Bの検知光が遮られた直後に、光学検知部材71Aの検知光が遮られる。その後は、図6に示すように、ディスクDがターンテーブル23に正常に装着されるまで、光学検知部材71Aと光学検知部材71Bは共に検知光が遮られた状態を継続する。一方、図4に示す直径が8cmの小径ディスクD1やカード形状の異物などが挿入されたときは、搬入途中で、小径ディスクD1や異物が光学検知部材71Aと光学検知部材71Bの少なくとも一方から外れて、少なくとも一方が光を検知する状態となる。機構制御部61は、光学検知部材71Aと光学検知部材71Bの検知出力を常に監視し、小径ディスクD1や異物が挿入されたと判断したら、搬送モータを逆転させ、ローラ軸42を搬出方向へ回転させて、小径ディスクD1などを挿入口へ排出する。
【0089】
搬送ローラ41の回転力によって正規のディスクDが搬送され、ディスクDの中心穴Daがターンテーブル23よりもややY1側の位置まで搬入されると、ディスクDのY2側の外周縁によって、トリガー部材14を構成する検知ピン14AがY2方向に押圧され、アーム14Bが反時計方向に回動させられる。同時に、ディスクDの外周縁が、一対のストッパ部材16a,16bに当たり、ディスクDはクランプ可能位置である正常な搬入完了位置に位置決めされる。
【0090】
トリガー部材14のアーム14Bが反時計方向へ回動すると、モータMが始動するとともに動力伝達機構の歯車が噛み合わされ、モータMの動力により左側方スライダ30bがY1方向へ移動させられ、右側方スライダ30aも同期してY1方向へ移動する。この過程で、図1に示す右側方スライダ30aに設けられたクランプ制御カム部32のカム長穴32aによって持ち上げ軸18が下方へ案内されて逃げ穴部32bに移動させられる。よって、クランプベース12が、トーションコイルばね17の付勢力によって、連結軸13,13を支点として反時計方向へ回動させられ、クランパ27がターンテーブル23に向けて下降する。
【0091】
クランプベース12の反時計方向への回動動作とほぼ同時に、ローラ軸42の右端部が、右側方スライダ30aに設けられたローラ制御カム部34の上側案内部34aから傾斜案内穴34cへ案内され、さらに下側拘束部34bで拘束される。これにより、ローラブラケット44が時計方向へ回動させられて、ローラ軸42および搬送ローラ41が下降させられる。搬送ローラ41の上に乗っている正規のディスクDは、搬送ローラ41と共に下降し、ディスクDの中心穴Daが、ターンテーブル23とクランパ27とで保持されて、ディスクDがクランプされる。
【0092】
ローラ制御カム部34の下側拘束部34bによって、搬送ローラ41がディスクDから下側へ離れた位置に拘束された後に、さらに右側方スライダ30aがY1方向へ移動し、右側方スライダ30aのY1側の端部に設けられた案内制御カム部35の持ち上げ案内部35aで持ち上げ突部55が持ち上げられさらに保持案内部35bで保持される。その結果、可動案内部50は反時計方向へ回動させられ、可動案内部50の下面の案内面51が水平姿勢となり、クランプされているディスクDから上方へ離れる。
【0093】
そのため、ディスクDが挿入された第1の検知スイッチS1がONになった後に、ディスクが排出されるまで第1の検知スイッチS1がONの状態を継続する。
【0094】
右側方スライダ30aが最もY1方向に移動して、ディスクDのクランプ動作が完了すると、図6に示すように、右側方スライダ30aを駆動する反転レバー47の接触部が、第2の検知スイッチS2のアクチュエータSbに接触し、第2の検知スイッチS2の出力がON(閉状態)からOFF(開状態)に切り替えられる。
【0095】
検知スイッチS2がOFFになると、第1の検知回路部70と第2の検知回路部80の双方に電流が流れなくなり、検知ライン74の検知電圧(a)が高電位(H)で、検知ライン84の検知電圧(b)も高電位(H)になる。
【0096】
図8の(II)で示すように、検知電圧(a)(b)の双方が高電圧(H)になったときに、機構制御部61はディスクDのターンテーブル23へのクランプが完了したと判断し、モータMを停止させる。
【0097】
その後、ターンテーブル23が回転させて、ターンテーブル23にクランプされたディスクDを回転駆動し、光ヘッドでデータの再生や記録を行うことが可能になる。
【0098】
(搬出動作)
再生や記録動作が完了したディスクDを搬出するときは、モータMによって左側方スライダ30bと右側方スライダ30aをY2方向へ移動させ、ディスクDのクランプを解除する。また、搬送ローラ41と固定案内部43とでディスクDを挟持し、ディスクDを挿入口から搬出する。
【0099】
図8において(III)で示すように、ディスクDの排出動作が開始されると、右側方スライダ30aがY2方向へ移動するため、第2の検知スイッチS2がOFFからONに切り替えられる。このとき、第1の検知スイッチS1がONのままであるため、第1の検知回路部70に電流I1が流れ、第2の検知回路部80に電流I2が流れて、検知ライン74の検知電圧(a)と、検知ライン84の検知電圧(b)の双方が低電位(L)になる。
【0100】
ディスクDが搬出される過程で、機構制御部61で光学検知部材71A,71Bの出力信号が監視され、光学検知部材71Aが非検知状態になったときに搬送モータを停止する。よって、ディスクDは、図4において実線で示す位置で停止し、ディスクDのY2側の端部は、停止している搬送ローラ41と固定案内部43とで挟持されている。このときが、図8に示す時刻(IV)であり、検知電圧(a)と検知電圧(b)はともに低電位(L)のままである。
【0101】
その後、挿入口からディスクDが取り出されると、図2に示すように、可動案内部50が時計方向へ回動し、第1の検知スイッチS1がOFFに切り替わる。よって、図8の時刻(V)のように、第1の検知回路部70に電流が流れずに、検知ライン74の検知電圧(a)が高電位(H)になる。ただし、第2の検知スイッチS2はONであるため、第2の検知回路部80に電流I2が流れ、検知ライン84の検知電圧(b)は低電位(L)のままである。
【0102】
また、メイン検知ライン66の検知電圧(c)が低電位(L)から高電位(H)に切り替えられる。検知電圧(c)が低電位(L)から高電位(H)に切り替えられたのが主制御部62で検知されたときに、つまり、時刻(I)の後に、検知電圧(c)の低電位(L)から高電位(H)への切り替えが2回生じたときに、主制御部62はディスクDが引き抜かれたと判断し、その直後に、または一定時間を経過した後に、主制御部62によって、切り替え部63と切り替え部64の双方がOFFに切り替えられる。よって、光学検知部材71A,71Bへの通電が停止される。
【0103】
(ディスク装着中の電流消費)
ディスクDがターンテーブル23にクランプされているときは、第2の検知スイッチS2がOFFであるため、図8の時刻(II)から(III)の間で示すように、第1の検知回路部70と第2の検知回路部80に電流が流れない。よって、ディスクが筐体の内部に装填されている間、第1の検知回路部70と第2の検知回路部80で実質的に電流が消費されず、電流と電力の無駄な消費が抑制される。
【0104】
ディスクDがターンテーブル23にクランプされているときに、メインスイッチSaが切られると、主制御部62は、切り替え部64をOFFにして主電源Vccから機構制御部61への通電を停止し、光学検知部材71A,71Bの発光素子への通電を断つ。よって、停止中に光学検知部材71A,71Bによる無駄な電力の消費を防止できる。
【0105】
ただし、メインスイッチSaが切られたときに、切り替え部63をONのままにしておいても、第1の検知回路部70と第2の検知回路部80の双方に電流が流れないために、無駄な電力の消費を防止でき、主電源Vccのバッテリーの寿命が極端に低下するのを防止できる。しかも、その後に主電源Saが入れられたときに、機構制御部61で検知電圧(a)(b)がともに高電位(H)であることを確認して、直ちに、ディスクが装填されていることを知ることができ、その後の再生または記録動作や排出動作に移行させることができる。
【0106】
なお、上記実施の形態では、支持軸52,52を中心としてディスクの厚さ方向に回動可能な可動案内部50が設けられ、可動案内部50の回動動作によって、第1の検知スイッチS1がONに切り替えられる。しかし、ディスクDが挿入されたときに、ディスクDの外周縁によって挿入検知ピンや検知スライダが移動させられて、第1の検知スイッチが動作せられるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施の形態のディスク装置の全体構造を示す斜視図、
【図2】図1の右側面図、
【図3】ディスクが挿入口から挿入された直後の状態を示すディスク装置の平面図、
【図4】ディスクが搬送ローラで搬入される動作を示すディスク装置の平面図、
【図5】搬送ローラで搬入されるディスクが搬送完了位置に至った状態を示すディスク装置の平面図、
【図6】ディスクがターンテーブルにクランプされたときのディスク装置の平面図、
【図7】第1の検知回路部および第2の検知回路部を含む回路図、
【図8】第1の検知回路部および第2の検知回路部の検知動作を示すタイムチャート図、
【符号の説明】
【0108】
1 筐体
2 前面板
10 機構ユニット
14トリガー部材
16a,16b 位置決め部材
20 回転駆動部
23 ターンテーブル
27 クランパ
30a 右側方スライダ
30b 左側方スライダ
40 搬送機構
41 搬送ローラ
43 固定案内部
61 機構制御部
62 主制御部
50 可動案内部(可動部材)
70 第1の検知回路部
71A,71B 光学検知部材
80 第2の検知回路部
S1 第1の検知スイッチ
S2 第2の検知スイッチ
Sa メインスイッチ
D 正規のディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを挿入する挿入口と、前記挿入口よりも装置奥側に設けられてディスクを搬送する搬送機構と、前記搬送機構で搬送されたディスクを保持する回転駆動部と、を有するディスク装置において、
前記挿入口から挿入されたディスクの挿入方向への移動力によって開状態から閉状態へ切り替えられる接点開閉式の第1の検知スイッチと、ディスクが前記回転駆動部に保持される位置に至ったときまたは保持されたときに閉状態から開状態に切り替えられる接点回転式の第2の検知スイッチと、前記第1の検知スイッチが閉状態のときに電流が流れる第1の検知回路部および前記第2の検知スイッチが閉状態のときに電流が流れる第2の検知回路部と、前記第1の検知回路部および前記第2の検知回路部の電流の変化を監視する機構制御部とが設けられており、
前記第2の検知スイッチが閉状態から開状態に切り替えられたときに、前記第1の検知回路部および前記第2の検知回路部の双方への通電が遮断されることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記第1の検知回路部は、直列に接続された前記第1の検知スイッチと前記第2の検知スイッチの双方が閉状態のときに電流が流れ、前記第2の検知回路部は、前記第2の検知スイッチが閉状態のときに電流が流れる請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記第1の検知回路部の接地側と前記第2の検知回路部の接地側とが前記第1の検知スイッチを介して接続され、前記第2の検知回路部が前記第2の検知スイッチを介して接地されている請求項2記載のディスク装置。
【請求項4】
ディスクが前記回転駆動部に装着されているときに、前記第1の検知回路部と前記第2の検知回路部の双方に電流が流れることがなく、前記第1の検知回路部と前記第2の検知回路部とで電力が消費されない請求項1ないし3のいずれか1項に記載のディスク装置。
【請求項5】
ディスクが前記回転駆動部に装着されている状態でディスク装置の動作を停止させているときに、前記第1の検知回路部と前記第2の検知回路部の双方に電流が流れていないことで、ディスクが装着中であることを認識できる請求項1ないし4のいずれか1項に記載のディスク装置。
【請求項6】
ディスクによって光路が遮られることで検知状態となる光学検知部材が設けられており、前記第1の検知スイッチが閉状態に切り替わったときに、前記機構制御部の制御動作によって前記光学検知部材への通電が開始される請求項1ないし3のいずれか1項に記載のディスク装置。
【請求項7】
ディスクが前記回転駆動部に装着されている状態でディスク装置の動作を停止させているときに、前記光学検知部材への通電を停止するとともに、前記第1の検知回路部と前記第2の検知回路部の双方に電流が流れていないことで、ディスクが装着中であることを認識でき、且つ前記第1の検知回路部と前記第2の検知回路部とで電力が消費されない請求項6記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−170620(P2010−170620A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13322(P2009−13322)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】