説明

ディスク装置

【課題】防塵性能を低下させるような開口や隙間を有しないトッププレートを採用することができ、しかも、部品点数を増やすことなく、トッププレートにクランパを取り付けることの可能なディスク装置を提供する。
【解決手段】トッププレート35を、盲蓋としてのプレート本体36と、プレート本体36の内面側に設けたクランパ保持枠20とによって構成する。クランパ保持枠20は、クランパ20の鍔体12を係止する鍔受部22と、プレート本体36と鍔受部22とを連結している支持部26とを有する。鍔受部22を欠円箇所23を有するリング状に形成し、鍔受部22の周方向両端部を一対の開閉アーム部24,24として形成する。開状態の一対の開閉アーム部24,24の相互間を通してクランパ10の円筒状のスペーサ13を鍔受部22の孔部21に挿入することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタルバーサタイルディスク)、BD(ブルーレイディスク)といった円板形のディスクを取り扱うディスク装置、特に、筐体の密閉化を図るための対策が講じられたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD、DVD、BDといった円板形のディスクを取り扱うディスク装置は、近時の高性能化に伴って、筐体の密閉化により防塵性能を高め、性能安定性などを向上させることが要求されている。この要求に対処するために、近時のディスク装置では、筐体をボトムシャーシとそのボトムシャーシに取り付けられたトッププレートに分け、トッププレートにボトムシャーシの上面開放口を密閉状態に塞ぐ盲蓋としての機能を付与することが試みられている。
【0003】
また、ディスク装置では、筐体にターンテーブルや光ピックアップ、その他の光学部品や機構部品などが内蔵されているのに対して、筐体には、ターンテーブルと共働してディスクを挟持するクランパを備えている。
【0004】
図5は上記した円板形のディスクを取り扱うディスク装置に一般的に採用されているクランパなどを例示した縦断側面図である。同図に例示したクランパ10は、円板形のディスク押え11と、このディスク押えに対向配備された円板形の鍔体12と、ディスク押え11と鍔体12との間に介在されてそれらの対向間隔を規制する径小な円筒状のスペーサ13とを備えている。この構成を有するクランパ10は、クランパ保持枠20に一定範囲内で上下動可能に保持されている。このクランパ保持枠20は、クランパ10のスペーサ13が遊嵌合された円形の孔部21と、この孔部21の周縁部によって形成された鍔受部22とを備えている。
【0005】
図5のようにクランパ保持枠20に取り付けられたクランパ10は、ディスク装置に備わっているターンテーブル100に載架されたディスクDを、そのターンテーブル100と共働して挟持する。このようなディスクDに対する挟持作用は、ターンテーブル100が、退避位置(不図示)から上動する途中でディスクトレイ(不図示)からディスクDを受け取った後、クランパ10のディスク押え11を持ち上げて当該クランパ10の鍔体12をクランパ保持枠20の鍔受部22から図示のように浮き上がらせることによって発揮される。そして、ディスクDに対する挟持力は、たとえばクランパ10側及びターンテーブル100側に内蔵されている永久磁石やヨークの吸引作用によって得られるようになっている。なお、図例ではクランパ10側に永久磁石14が内蔵されている。図5の状態から、ディスクDの載架されているターンテーブル100が退避位置まで下降すると、クランパ10の鍔体12がクランパ保持枠20の鍔受部22により受け止められて、ディスク押え11がターンテーブル100から離れる。
【0006】
ディスクDの記録面の光学的処理は、上記のようにクランパ10と共働してディスクDを挟持しているターンテーブル100をディスクDと共に回転させながら、光ピックアップなど(不図示)の作用を通じて行われる。
【0007】
上記したように、一般的なディスク装置では、ディスクDをターンテーブル100に押し付けてターンテーブルに保持させる手段として、クランパ保持枠20に上下動可能に保持されるクランパ10が採用されている。
【0008】
ところが、筐体に、上記したトッププレートを設けずにボトムシャーシにクランパ保持枠20を取り付けたり、トッフプレートと共にクランパ保持枠20を設けたりすると、クランパ保持枠20の設置箇所にどうしても開口や隙間が形成されて防塵性能が損なわれるというおそれがある。そこで、従来は、そのような開口や隙間をシール片を用いて塞ぐなどの手段を採用して防塵性能が損なわれことを防いでいた。
【0009】
一方、上記した筐体のトッププレートそのものをクランパ保持枠として利用することが提案されている(たとえば、特許文献1)。ここで掲げた特許文献1では、トップカバー(トッププレートに相当)にクランパカバーを取り付け、そのクランパカバーの内部に上下移動可能なディスクホルダーを保持するクランパー部を配設することが示されている。
【0010】
また、ターンテーブル自体にチャッキング機能を付与しておき、そのターンテーブルでディスクをチャッキングさせるときに、トップカバー部材に設けた凹部や貫通孔を利用することが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−200376号公報(図1〜3、0008)
【特許文献2】特開2006−260719号公報(図1、0019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記した従来のディスク装置のように、クランパ保持枠やトッププレートに形成されている開口や隙間をシール片で塞ぐという手段を採用して防塵性能の低下を防ぐと、シール片などの余分な部材が必要になり、それだけ組立工程が煩雑になり、コスト高にもなる。
【0013】
また、特許文献1のように、トップカバーにクランパカバーを取り付けると、クランパカバーが余分に必要になって組立工程の煩雑化やコスト高につながるだけでなく、クランパカバーがトップカバーの上面から突き出るので、トップカバーの上面の平坦性が保たれなくなって外観デザインが損なわれる可能性がある。
【0014】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、防塵性能を低下させるような開口や隙間を有しないトッププレートを採用することのできるディスク装置を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、部品点数を増やすことなく、トッププレートにクランパを取り付けることの可能なディスク装置を提供することを目的とする。
【0016】
さらに、本発明は、トッププレートにクランパを取り付ける構成を採用しているにもかかわらず、トッププレートの上面の平坦性が損なわれることのないディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係るディスク装置は、ボトムシャーシとこのボトムシャーシに取り付けられたトッププレートとによって構成された筐体と、この筐体に取り付けられたクランパと、上記筐体に内蔵されて上記クランパとの間にディスクを挟持して回転させるターンテーブルと、を備えている。そして、上記トッププレートが、上記ボトムシャーシの上面開放口を密閉状態に塞ぐ盲蓋としての平板状のプレート本体と、このプレート本体の内面側に設けられて、上記クランパが取り付けられたクランパ保持枠と、を有する。
【0018】
この構成を採用すると、クランパやクランパ保持枠が筐体の内部に収容されるために、トッププレートのプレート本体を、防塵性能の低下を来すような開口や隙間を有しない平坦なプレートで構成することができるようになる。その結果、トッププレートのプレート本体に要求される盲蓋としての性能が向上する。また、プレート本体の上面の平坦性がクランパ保持枠などによって損なわれることもない。
【0019】
本発明では、上記クランパが、上記ターンテーブルに載架されたディスクをそのターンテーブルに押し付ける円板形のディスク押えと、このディスク押えに対向配備された円板形の鍔体と、ディスク押えと鍔体との間に介在されてそれらの対向間隔を規制する円筒状のスペーサと、を備え、上記クランパ保持枠は、上記クランパのスペーサが遊嵌合された孔部を備えて上記クランパの鍔体を係止する鍔受部と、ディスクが載架された上記ターンテーブルによって上記クランパのディスク押えが持ち上げられたときに上記鍔受部から上記クランパの鍔体が浮き上がることを許容する隙間を、上記プレート本体と上記鍔受部との間に形成する支持部と、を有し、上記鍔受部及び上記支持部が、上記プレート本体と共に一体成形された樹脂成形体でなる、という構成を採用することが望ましい。この構成であれば、クランパ保持枠が、別部品としてでなくトッププレートに一体に具備されるために、部品点数を増加させずにトッププレートにクランパを取り付けることが可能になる。
【0020】
本発明では、上記クランパ保持枠の鍔受部が欠円箇所を有するリング状に形成され、その鍔受部の周方向両端部が、根元部分に具備された樹脂ヒンジ部を支点として開閉方向に弾性変形可能な一対の開閉アーム部として形成されていると共に、開状態の一対の上記開閉アーム部の相互間を通して上記クランパの円筒状のスペーサをその鍔受部の上記孔部に挿入することが可能に構成されている、という構成を採用することが可能である。この構成であれば、クランパ保持枠の一対の開閉アーム部を開き、それらの相互間を通してクランパの円筒状のスペーサをその鍔受部の上記孔部に挿入する、という作業を行うだけでクランパ保持枠を介してトッププレートにクランパを取り付けることが可能になる。
【0021】
本発明では、上記クランパ保持枠の支持部が、上記クランパの鍔体よりも径大な半円弧形状に形成されてリング状の上記鍔受部に対して同心位置に設けられ、その支持部の周方向両端部のそれぞれを始点として樹脂ヒンジ部を有する上記開閉アーム部が延び出ている、という構成を採用することが可能である。この構成によれば、クランパの円筒状のスペーサを開状態の一対の開閉アーム部の相互間を通して上記鍔受部の孔部に挿入するときに、クランパ保持枠の支持部の内側にクランパの鍔体が無理なく嵌まり込む。
【0022】
本発明では、一対の上記開閉アーム部が、上記クランパの円筒状のスペーサの外周面が押し付けられることによって当該開閉アーム部に開き方向の力を発生させるように構成されていることが望ましい。この構成であれば、クランパの円筒状のスペーサを開状態の一対の開閉アーム部に押し当てて押し込むだけで、クランパ保持枠にクランパを取り付けることが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、防塵性能を低下させるような開口や隙間を有しないプレート本体を備えたトッププレートを採用することによって、そのトッププレートにボトムシャーシの上面開放口を密閉する盲蓋としての機能を確実に付与することが可能になり、ディスク装置の防塵性能が高まって性能安定性が向上する。また、トッププレートにクランパを取り付ける構成を採用しているにもかかわらず、トッププレートの上面の平坦性が損なわれないので、ディスク装置の外観デザインがトッププレートの上面の凹凸によって損なわれる余地がなくなる。
【0024】
さらに、本発明によれば、トッププレートのプレート本体の内面側に、そのプレート本体と共に一体成形された樹脂成形体でなるクランパ保持枠を設けることができ、そうすることによって、部品点数を増やすことなく、トッププレートにクランパを取り付けることの可能なディスク装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係るディスク装置の外観斜視図である。
【図2】クランパが取り付けられたトッププレートを裏面側から見て示した一部破断正面図である。
【図3】クランパ保持枠を示した概略斜視図である。
【図4】クランパ保持枠にクランパを組み付けるための工程を説明的に示した平面図である。
【図5】ディスク装置に一般的に採用されているクランパなどを例示した縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明の実施形態に係るディスク装置の外観斜視図である。同図のディスク装置において、筐体30は、有底箱形のボトムシャーシ31と、このボトムシャーシ31に重ね合わされてそのボトムシャーシ31に備わっている上面開放口(不図示)の全体を密閉状態に塞いでいるトッププレート35とによって偏平箱形に構成されている。図示していないけれども、筐体30の内部には、図5に示したターンテーブル100のほか、光ピックアップなどの光学部品や機構部品などが内蔵されている。また、筐体30の前壁には、ディスクを筐体30の内部と外部との間で搬送するディスクトレイの出入口32が設けられている。図例のディスク装置では、ボトムシャーシ31にトッププレート35を固定する手段にビス止め手段が採用されている。
【0027】
図2はクランパ10が取り付けられたトッププレート35を裏面側から見て示した一部破断正面図である。図示のように、トッププレート35は、矩形のプレート本体36の裏面の所定位置にクランパ保持枠20が設けられていて、そのクランパ保持枠20にクランパ10が保持されている。クランパ10には、図5を参照して説明したものと同様の構成のものが採用されている。したがって、クランパ10の構成についての詳細説明は省略することにする。
【0028】
図3はクランパ保持枠20を示した概略斜視図である。また、図4はクランパ保持枠20にクランパ10を組み付けるための工程を説明的に示した平面図である。
【0029】
図3及び図4のように、クランパ保持枠20は、鍔受部22と支持部26とを備えていて、支持部26の上端面がプレート本体36に連設されている。図中、支持部26の上端面に施されているハッチングは、プレート本体36から切断分離された支持部26の切断端面を示している。
【0030】
このクランパ保持枠20は、トッププレート10のプレート本体26と共に一体成形された樹脂成形体でなる。そして、鍔受部22が、欠円箇所23を有するリング状に形成されていて、この鍔受部22によって形成される孔部21の直径寸法が、図5に示したクランパ10の円筒状のスペーサ13の外周直径よりもやゝ径大になっている。鍔受部22の周方向両端部は、一対の開閉アーム部24,24として形成されていて、それらの開閉アーム部24,24の根元部分に樹脂ヒンジ部25,25が形成されている。樹脂ヒンジ部25,25は、鍔受部22の両端部近傍の2箇所に盗み凹所25aを形成してその箇所で鍔受部22を幅狭に形作ることによって形成されている。また、上記欠円箇所23の横幅寸法、言い換えると、一対の開閉アーム部24,24の相互間隔寸法Aは、図5に示したクランパ10の円筒状のスペーサ13の外周直径寸法よりもやゝ短く定められている。また、これらの開閉アーム部24,24は、鍔受部22と同一の曲率半径を有する円弧状に形成されていて、その幅寸法が、鍔受部22の幅寸法と同一になっている。
【0031】
これに対し、支持部26は、図5に示したクランパ10の鍔体12よりもやゝ径大な半円弧形状(1/2円弧形状)に形成されていて、その外周面は上記鍔受部22の外周端面から面一に連続している。また、この支持部26は、上記鍔受部22に対して同心位置に設けられているのであって、当該支持部26の周方向両端部のそれぞれを始点として樹脂ヒンジ部25,25を有する一対の上記開閉アーム部24,24が周方向に延び出ている。また、支持部26は、図5を参照して説明したように、ディスクDの載架されたターンテーブル100が、クランパ10のディスク押え11を持ち上げて当該クランパ10の鍔体12をクランパ保持枠20の鍔受部22から浮き上がらせるという動作を行うのに十分な高さ(軸長)を有している。支持部26の高さをこのように定めておくことにより、ディスクDが載架されたターンテーブル100によってクランパ10のディスク押え11が持ち上げられたときに、鍔受部22からクランパ10の鍔体12が浮き上がることを許容する隙間が、プレート本体36と鍔受部22との間に形成される。
【0032】
次に、図5に示したものと同一の構成を有するクランパ10をトッププレート35に取り付ける工程を図4を参照して説明する。図4のように、この取付工程では、クランパ10を作業者の手又は治具で掴んでその円筒状のスペーサ13をクランパ保持枠20の一対の開閉アーム24,24の相互間に押し込むことにより、クランパ10のスペーサ13を孔部21に挿入するという操作が行われる。この操作を行うと、クランパ10のスペーサ13が、樹脂ヒンジ部25,25の弾力性に抗して一対の開閉アーム部24,24を矢印a,aのように押し拡げながらそれらの開閉アーム部24,24の相互間に分け入った後、それらの開閉アーム部24,24を乗り越えて図中一点鎖線で示したように孔部21に嵌まり込む。この状態では、クランパ10の円筒状のスペーサ13がクランパ保持枠20の孔部21に遊嵌合されていると共に、クランパ10の鍔体12がクランパ保持枠20の鍔受部22に対峙し、クランパ10から手又は治具を離すと、鍔体12が鍔受部22に係止される。また、クランパ保持枠20の一対の開閉アーム部24,24は、樹脂ヒンジ部25,25の弾力性によって初期位置に復元してクランパ10のスペーサ13が孔部21から脱落することを防止する。
【0033】
上記取付工程において、クランパ10の鍔体12をプレート本体36の裏面に押し付けてスライドさせるという操作を通じて、クランパ10の円筒状のスペーサ13が一対の開閉アーム24,24の相互間に押し込まれるようになっていることが、組立作業性を向上させる上で有益である。したがって、この実施形態では、クランパ10の鍔体12をプレート本体36の裏面に押し付けたときに、クランパ10のスペーサ13が一対の開閉アーム24,24の相互間の欠円箇所23に臨むように上記支持部26の高さを定めてある。
【0034】
この実施形態では、クランパ保持枠20の一対の開閉アーム部24,24の相互間隔寸法Aを、クランパ10の円筒状のスペーサ13の外周直径寸法よりもやゝ短く定めてある。そのため、一対の上記開閉アーム部24,24に、クランパ10の円筒状のスペーサ13の外周面が押し付けられることによって当該開閉アーム部24,24に開き方向の力が発生する。したがって、上記組立工程で、開閉アーム部24,24を開くための特別な操作を行う必要がないという利点がある。
【0035】
クランパ10が取り付けられたトッププレート35は図1のようにボトムシャーシ31にビス止めなどの適宜手段で固定される。符号Fはビス止め箇所を例示している。この固定状態では、トッププレート35のプレート本体36(図2参照)が、ボトムシャーシ31の上面開放口を密閉状態に塞ぐ盲蓋としての機能を発揮する。そのため、ボトムシャーシ31とトッププレート35とによって構成されている筐体30の内部に塵芥などが侵入するという事態が防止され、筐体30に内蔵されている光学部品や機構部品などが塵芥から防護されてその動作性能の安定性が確保される。また、プレート本体36自体は、隙間や開口を有しておらず、しかも、その外面が、凹凸を有しない平坦面になっているので、ディスク装置の外観デザインがシンプルになり、その外観デザインがトッププレートの上面の凹凸によって損なわれるといった余地がなくなる。
【0036】
図5を参照して説明したところと同様に、実施形態のディスク装置では、トッププレート35のクランパ保持枠20に取り付けられたクランパ10が、ターンテーブル100に載架されているディスクDをターンテーブル100と共働して挟持する。すなわち、ターンテーブル100が、退避位置(不図示)から上動する途中でディスクトレイ(不図示)からディスクDを受け取った後、クランパ10のディスク押え11を持ち上げて当該クランパ10の鍔体12をクランパ保持枠20の鍔受部22から浮き上がらせる。ディスクDに対する挟持力は、たとえばクランパ10側及びターンテーブル100側に内蔵されている永久磁石やヨークの吸引作用によって得られる。一方、ディスクDの載架されているターンテーブル100が退避位置まで下降すると、クランパ10の鍔体12がクランパ保持枠20の鍔受部22により受け止められて、ディスク押え11がターンテーブル100から離れる。ディスクDの記録面の光学的処理は、上記のようにクランパ10と共働してディスクDを挟持しているターンテーブル100をディスクDと共に回転させながら光ピックアップなど(不図示)の作用を通じて行われる。
【0037】
この実施形態では、クランパ10が図5に示したものと同様の構成を有しているけれども、クランパ10の構成はそれに限定されない。要するに、筐体に内蔵されているターンテーブルとの間でディスクを挟持する機能を発揮するものであればよく、より具体的には、クランパが、ターンテーブルに載架されたディスクをそのターンテーブルに押し付ける円板形のディスク押えと、このディスク押えに対向配備された円板形の鍔体と、ディスク押えと鍔体との間に介在されてそれらの対向間隔を規制する円筒状のスペーサと、を備えていればよい。
【0038】
また、クランパ保持枠20はプレート本体36の内面側に設けられていればよく、さらに、クランパ保持枠20は、クランパ10が取り付けられているものであれば、その構成は図示したものに限定されない。たとえば、クランパ保持枠20が一対の開閉アーム部24を有していないものであったとしても、そのクランパ保持枠20にクランパ10が取り付けられていればよい。
【0039】
なお、図1〜図5では、説明の便宜上、同一又は相応する要素に同一符号を付してある。
【符号の説明】
【0040】
10 クランパ
11 ディスク押え
12 鍔体
13 スペーサ
20 クランパ保持枠
21 孔部
22 鍔受部
23 欠円箇所
24 開閉アーム部
25 樹脂ヒンジ部
26 支持部
30 筐体
31 ボトムシャーシ
35 トッププレート
36 プレート本体
100 ターンテーブル
D ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトムシャーシとこのボトムシャーシに取り付けられたトッププレートとによって構成された筐体と、この筐体に取り付けられたクランパと、上記筐体に内蔵されて上記クランパとの間にディスクを挟持して回転させるターンテーブルと、を備えているディスク装置において、
上記トッププレートが、上記ボトムシャーシの上面開放口を密閉状態に塞ぐ盲蓋としての平板状のプレート本体と、このプレート本体の内面側に設けられて、上記クランパが取り付けられたクランパ保持枠と、を有することを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
上記クランパが、上記ターンテーブルに載架されたディスクをそのターンテーブルに押し付ける円板形のディスク押えと、このディスク押えに対向配備された円板形の鍔体と、ディスク押えと鍔体との間に介在されてそれらの対向間隔を規制する円筒状のスペーサと、を備え、
上記クランパ保持枠は、上記クランパのスペーサが遊嵌合された孔部を備えて上記クランパの鍔体を係止する鍔受部と、ディスクが載架された上記ターンテーブルによって上記クランパのディスク押えが持ち上げられたときに上記鍔受部から上記クランパの鍔体が浮き上がることを許容する隙間を、上記プレート本体と上記鍔受部との間に形成する支持部と、を有し、上記鍔受部及び上記支持部が、上記プレート本体と共に一体成形された樹脂成形体でなる請求項1に記載したディスク装置。
【請求項3】
上記クランパ保持枠の鍔受部が欠円箇所を有するリング状に形成され、その鍔受部の周方向両端部が、根元部分に具備された樹脂ヒンジ部を支点として開閉方向に弾性変形可能な一対の開閉アーム部として形成されていると共に、開状態の一対の上記開閉アーム部の相互間を通して上記クランパの円筒状のスペーサをその鍔受部の上記孔部に挿入することが可能に構成されている請求項2に記載したディスク装置。
【請求項4】
上記クランパ保持枠の支持部が、上記クランパの鍔体よりも径大な半円弧形状に形成されてリング状の上記鍔受部に対して同心位置に設けられ、その支持部の周方向両端部のそれぞれを始点として樹脂ヒンジ部を有する上記開閉アーム部が延び出ている請求項3に記載したディスク装置。
【請求項5】
一対の上記開閉アーム部が、上記クランパの円筒状のスペーサの外周面が押し付けられることによって当該開閉アーム部に開き方向の力を発生させるように構成されている請求項4に記載したディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−123929(P2011−123929A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279147(P2009−279147)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】